以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、SIPサーバ(Session Initiation Protocol)100の通信環境の一例を示す概略図である。SIPサーバ100は、IPネットワーク10を介して、電話機200、電話機302、電話機304、及び電話機306と通信する。電話機200、電話機302、電話機304、及び電話機306は、例えば、IP電話機能を備えた電話機である。電話機200、電話機302、電話機304、及び電話機306は、IP電話アダプタを別体として備えた電話機であってもよい。
本実施形態において、SIPサーバ100は、受信した発呼情報に含まれる発信先電話番号に対応付けられた複数の電話機の鳴動を順次開始させる。SIPサーバ100は、呼制御装置の一例であってよい。SIPサーバ100は、複数の電話番号毎に複数の電話機の識別情報が対応付けられたテーブルを参照することによって、対応付けを判定してよい。
SIPサーバ100は、電話機200から受信した発呼情報に含まれる発信先電話番号と、電話機302、電話機304、電話機306とが対応付けてテーブルに記憶されている場合に、電話機302、電話機304、電話機306のいずれかを選択する。例えば、SIPサーバ100は、電話機302を選択する。そして、SIPサーバ100は、電話機302を鳴動させる。
SIPサーバ100は、電話機302を鳴動させてから予め定められた鳴動時間が経過するまでに電話機302が応答しない場合、電話機302に鳴動を継続させたまま、電話機304を鳴動させる。また、SIPサーバ100は、電話機304を鳴動させてから予め定められた鳴動時間を経過するまでに電話機302及び電話機304のいずれからも応答を受信しない場合、電話機302及び電話機304に鳴動を継続させたまま、電話機306を鳴動させる。
そして、SIPサーバ100は、例えば、電話機302が応答した場合、電話機304及び電話機306の鳴動を停止させる。これにより、電話機302の鳴動が開始されたときに電話機302のユーザが応答できない状態であっても、電話機304、電話機306の鳴動が開始された後に電話機302のユーザが応答できる状態になった場合、そのユーザに電話に応答する機会を与えることができる。
本実施形態に係るSIPサーバ100の活用事例として、複数の電話機のユーザが、ある社内ネットワークのシステム管理者である場合を挙げることができる。社内ネットワークに不具合が発生した場合、複数のシステム管理者のうちいずれかの管理者と連絡がとれればよいという状況がしばしば発生する。このような状況において、本実施形態に係るSIPサーバ100によれば、複数の管理者のうちのいずれかと連絡をとれる確率を向上できる。また、複数のシステム管理者に優先順位がある場合、優先順位の順に電話機を鳴動させることによって、優先順位の高い順に、連絡をとれる確率を高めることができる。
図2は、SIPサーバ100による処理の流れを説明するためのシーケンス図である。ここでは、電話機200がINVITEメッセージをSIPサーバ100に送信してから、通話処理が開始されるまでの処理の流れの一例を説明する。なお、発信先電話番号に対して、電話機302、電話機304、電話機306が対応付けられていることを前提として説明する。
ステップS202では、SIPサーバ100が、電話機200から、発信先電話番号を含むINVITEメッセージを受信する。SIPサーバ100は、INVITEメッセージに含まれる発信先電話番号に対応する電話機として、電話機302、電話機304、及び電話機306を特定する。
ステップS204では、SIPサーバ100が、電話機302にINVITEメッセージを送信する。SIPサーバ100は、電話機302にINVITEを送信してからの経過時間のカウントを開始する。INVITEメッセージを受信した電話機302は、鳴動を開始する。ステップS206では、SIPサーバ100が、電話機200に100Tryingメッセージを送信する。
ステップS208では、SIPサーバ100が、電話機302から、180Ringingメッセージを受信する。そして、ステップS210では、SIPサーバ100が、電話機200に180Ringingメッセージを送信する。180Ringingメッセージを受信した電話機200は、呼び出し音を出力する。
ステップS212では、SIPサーバ100が、ステップS204でカウントを開始した経過時間が、予め定められた鳴動時間を超えたことをトリガとして、INVITEメッセージを電話機304に送信する。SIPサーバ100は、電話機304にINVITEメッセージを送信してからの経過時間のカウントを開始する。INVITEメッセージを受信した電話機304は、鳴動を開始する。
ステップS214では、SIPサーバ100が、ステップS212でカウントを開始した経過時間が、予め定められた鳴動時間を超えたことをトリガとして、INVITEメッセージを電話機306に送信する。SIPサーバ100は、電話機304にINVITEメッセージを送信してからの経過時間のカウントを開始する。INVITEメッセージを受信した電話機306は、鳴動を開始する。
ステップS216では、SIPサーバ100が、電話機302から、200OKメッセージを受信する。そして、ステップS218では、SIPサーバ100が、電話機200に、ACKメッセージを送信する。
ステップS220では、SIPサーバ100が、電話機304にCANCELメッセージを送信する。SIPサーバ100は、電話機304にCANCELメッセージを送信することによって、電話機304に鳴動を停止させる。ステップS222では、SIPサーバ100が、電話機306にCANCELメッセージを送信する。SIPサーバ100は、電話機306にCANCELメッセージを送信することによって、電話機306に鳴動を停止させる。
そして、ステップS224では、電話機200と、電話機302との間で通話処理が実行される。このように、SIPサーバ100は、INVITEメッセージを電話機302、304、306に送信することによって鳴動を開始させ、CANCELメッセージを送信することによって鳴動を停止させてよい。
図3は、SIPサーバ100の機能構成の一例を示す概略図である。SIPサーバ100は、識別情報記憶部102、受信部104、優先順位取得部106、鳴動時間取得部108、鳴動制御部110、優先順位調整部112、鳴動時間調整部114、送信部116、発呼履歴記憶部118、発呼履歴取得部120、及び制御部122を備える。
識別情報記憶部102は、複数の電話番号と、複数の電話番号毎に対応付けられた複数の電話機の識別情報とを記憶する。電話機の識別情報は、例えば、当該電話機に割り当てられたIPアドレスである。電話機の識別情報は、当該電話機に割り当てられた電話番号であってもよい。
識別情報記憶部102は、さらに、複数の電話機毎に、電話機の識別情報と優先順位とを対応付けて記憶してもよい。すなわち、識別情報記憶部102は、優先順位記憶部の一例であってよい。また、識別情報記憶部102は、複数の電話機毎に、電話機の識別情報と鳴動時間とを対応付けて記憶してもよい。すなわち、識別情報記憶部102は、鳴動時間記憶部の一例であってよい。
識別情報記憶部102が記憶する情報は、例えば、SIPサーバ100の管理者によって登録される。SIPサーバ100の管理者は、SIPサーバ100が提供するサービスを受けることを希望するユーザの要求に基づいて、電話番号及び電話番号に対応付けられた複数の電話機の識別情報を、識別情報記憶部102に記憶させてよい。
ユーザは、例えば、3台の電話機を登録する要求をSIPサーバ100の管理者に対して行う。そして、SIPサーバ100の管理者による操作に従って、SIPサーバ100は、3台の電話機に対して1つの電話番号を割り当てて、割り当てた電話番号と3台の電話機の識別情報とを対応付けて識別情報記憶部102に記憶する。割り当てられた電話番号はユーザに通知される。
なお、SIPサーバ100は、SIPサーバ100の管理者による操作に従って、3台の電話機のうちの1つの電話機の電話番号と、残りの2台の電話機の識別情報とを対応付けて識別情報記憶部102に記憶してもよい。また、識別情報記憶部102が記憶する情報は、権限を有するユーザによって、例えばインターネットを介して直接編集可能であってもよい。
受信部104は、発信先電話番号を含むINVITEメッセージを、IPネットワーク10を介して受信する。優先順位取得部106は、識別情報記憶部102から優先順位を取得する。優先順位取得部106は、例えば、電話番号の指定を受け付けて、指定された電話番号に対応する複数の電話機の識別情報に対応付けられた優先順位を、識別情報記憶部102から取得する。鳴動時間取得部108は、識別情報記憶部102から鳴動時間を取得する。鳴動時間取得部108は、例えば、電話機の識別情報の指定を受け付けて、指定された電話機の識別情報に対応付けられた鳴動時間を取得する。
鳴動制御部110は、受信部104が受信した発呼情報に含まれる発信先電話番号が、識別情報記憶部102に登録されているか否かを判定する。鳴動制御部110は、登録されていると判定した場合、発信先電話番号に対応付けられた複数の電話機から、一の電話機を選択する。鳴動制御部110は、例えば、優先順位取得部106から、発信先電話番号に対応付けられた複数の電話機の優先順位を取得して、優先順位が最も高い電話機を、一の電話機として選択する。なお、鳴動制御部110は、発信先電話番号に対応付けられた複数の電話機から、ランダムに一の電話機を選択してもよい。
鳴動制御部110は、一の電話機を選択した後、当該一の電話機を鳴動させる。鳴動制御部110は、例えば、当該一の電話機にINVITEメッセージを送信することによって、当該一の電話機を鳴動させる。鳴動制御部110は、当該一の電話機に呼び出し信号を送信することによって、当該一の電話機を鳴動させてもよい。
鳴動制御部110は、一の電話機を鳴動させてから、予め定められた鳴動時間が経過するまでに一の電話機が応答しない場合、一の電話機を鳴動させたまま、複数の電話機のうちの他の電話機を鳴動させる。鳴動制御部110は、予め定められた鳴動時間として、例えば、鳴動時間取得部108から、一の電話機の識別情報に対応付けられた鳴動時間を取得してよい。また、鳴動制御部110は、複数の電話機に共通の鳴動時間を、予め定められた鳴動時間としてもよい。鳴動制御部110は、優先順位が最も高い電話機を一の電話機として選択した場合、次の優先順位の電話機を他の電話機として選択してよい。また、鳴動制御部110は、他の電話機をランダムに選択してもよい。
鳴動制御部110は、他の電話機を鳴動させてから予め定められた鳴動時間が経過するまでに、鳴動させているいずれの電話機も応答しない場合、鳴動させている電話機に鳴動を継続させたまま、複数の電話機のうちのさらに他の電話機を鳴動させる処理を繰り返してよい。鳴動制御部110は、予め定められた鳴動時間として、例えば、鳴動時間取得部108から、他の電話機の識別情報に対応付けられた鳴動時間を取得する。鳴動制御部110は、複数の電話機に共通の鳴動時間を、予め定められた鳴動時間としてもよい。
鳴動制御部110は、優先順位が2番目に高い電話機を他の電話機として選択した場合、優先順位が3番目に高い電話機を、さらに他の電話機として選択してよい。また、鳴動制御部110は、さらに他の電話機をランダムに選択してもよい。
鳴動制御部110は、鳴動させているいずれかの電話機が応答した場合、応答した電話機以外の電話機の鳴動を停止させてよい。鳴動制御部110は、例えば、応答した電話機以外の電話機に、CANCELメッセージを送信することによって、応答した電話機以外の電話機の鳴動を停止させる。鳴動制御部110は、呼び出し信号を送信することによって電話機を鳴動させていた場合、呼び出し信号の送信を停止することによって、電話機の鳴動を停止させてもよい。
優先順位調整部112は、識別情報記憶部102が記憶する優先順位を調整する。優先順位調整部112は、鳴動制御部110が鳴動させているいずれかの電話機が応答した場合、応答した電話機の識別情報に対応付けて識別情報記憶部102に記憶された優先順位を上げるべく、優先順位を調整してよい。優先順位調整部112は、例えば、応答した電話機の識別情報に対応付けて記憶された優先順位を上げる、又は応答しなかった電話機の識別情報に対応付けて記憶された優先順位を下げることにより、優先順位を調整する。
このように優先順位調整部112が優先順位を調整することにより、次に同じ発信先電話番号を含む発呼情報を受信した場合、今回応答した電話機を優先的に鳴動させることができる。電話機が応答したということは、次もまた応答する可能性が高いことが期待できるので、応答した電話機の優先順位を上げることによって、通話がより早く確立する可能性を高めることができる。
鳴動時間調整部114は、識別情報記憶部102が記憶する鳴動時間を調整する。例えば、鳴動時間調整部114は、鳴動制御部110が鳴動させているいずれかの電話機が応答した場合に、応答しなかった電話機の識別情報に対応付けて識別情報記憶部102に記憶された鳴動時間を減少させる。これにより、次に同じ発信先電話番号を含む発呼情報を受信した場合に、今回応答しなかった電話機の鳴動時間を短くすることができる。電話機が応答しなかったということは、次もまた応答しない可能性が高いので、応答しなかった電話機の鳴動時間を短くすることによって、通話がより早く確立する可能性を高めることができる。なお、鳴動時間調整部114は、応答した電話機の識別情報に対応付けられた鳴動時間を増加させてもよい。これにより、次に同じ発信先電話番号を含む発呼情報を受信した場合に、今回応答した電話機の鳴動時間を長くすることができる。電話機が応答したということは、次もまた応答する可能性が高いので、応答した電話機の鳴動時間を長くすることによって、通話がより早く確立する可能性を高めることができる。
送信部116は、鳴動制御部110により電話機を鳴動させる場合に、発信元を示す電話番号として、SIPサーバ100の電話番号を送信する。これにより、鳴動制御部110が鳴動させている電話機に着信履歴を記憶する機能が備わっている場合に、SIPサーバ100の電話番号を着信履歴として残すことができる。
例えば、鳴動制御部110が3台の電話機を鳴動させて、いずれかの電話機が応答した場合、応答しなかった電話機に着信履歴が残る。このとき、発呼情報を送信した電話機の電話番号ではなくSIPサーバ100の電話番号を着信履歴として残すことにより、応答しなかった電話機のユーザに、本実施形態に係るSIPサーバ100が提供するサービスが実行されたことを認識させることができる。すなわち、他の電話機も鳴動されたことを、ユーザに認識させることができる。
発呼履歴記憶部118は、複数の電話機の発呼履歴を記憶する。発呼履歴記憶部118は、複数の電話機から発呼情報を受信した場合に、送信元の電話機の識別情報及び受信日時を発呼履歴として記憶してよい。発呼履歴取得部120は、発呼履歴記憶部118から発呼履歴を取得する。発呼履歴取得部120は、例えば、電話機の識別情報の指定を受け付けて、指定された識別情報に対応する発呼履歴を、発呼履歴記憶部118から取得する。
制御部122は、識別情報記憶部102、受信部104、優先順位取得部106、鳴動時間取得部108、鳴動制御部110、優先順位調整部112、鳴動時間調整部114、送信部116、発呼履歴記憶部118、及び発呼履歴取得部120を制御する。
図4は、SIPサーバ100による処理のフローチャートの一例を示す。図4に示すフローチャートは、SIPサーバ100が、発呼情報を待ち受けている状態を開始状態とする。
ステップS402では、受信部104が、発信元電話機から、発呼情報を受信する。ステップS404では、制御部122が、発呼情報に含まれる発信先電話番号が、識別情報記憶部102に登録されているか否かを判定する。登録されていると判定された場合、ステップS406に進み、登録されていると判定されなかった場合、ステップS426に進む。
ステップS406では、優先順位取得部106が、発信先電話番号に対応する複数の電話機の優先順位を取得する。そして、鳴動制御部110が、優先順位が最も高い電話機にINVITEメッセージを送信することによって、鳴動を開始させる。鳴動制御部110は、鳴動を開始させてからの経過時間のカウントを開始する。
ステップS408では、鳴動制御部110が鳴動させている電話機から応答が有ったか否かを判定する。応答が有ったと判定された場合、ステップS424に進み、応答が有ったと判定されなかった場合、ステップS410に進む。
ステップS410では、鳴動制御部110が、ステップS406でカウントを開始した経過時間が、予め定められた鳴動時間を経過したか否かを判定する。予め定められた鳴動時間を経過したと判定されなかった場合、ステップS408に戻り、予め定められた鳴動時間を経過したと判定された場合、ステップS412に進む。
ステップS412では、鳴動制御部110が、次の優先順位の電話機に、INVITEメッセージを送信することによって、鳴動を開始させる。鳴動制御部110は、鳴動を開始させてからの経過時間のカウントを開始する。
ステップS414では、鳴動制御部110が鳴動させているいずれかの電話機から応答が有ったか否かを判定する。応答が有ったと判定された場合、ステップS422に進み、応答が有ったと判定されなかった場合、ステップS416に進む。
ステップS416では、鳴動制御部110が、ステップS412でカウントを開始した経過時間が、予め定められた鳴動時間を経過したか否かを判定する。予め定められた鳴動時間を経過したと判定されなかった場合、ステップS414に戻り、予め定められた鳴動時間を経過したと判定された場合、ステップS418に進む。
ステップS418では、制御部122が、発信先電話番号に対応する複数の電話機のうち、鳴動させていない電話機が有るか否かを判定する。鳴動させていない電話機が有ると判定された場合、ステップS412に戻り、鳴動させている電話機があると判定されなかった場合、ステップS420に進む。ステップS420では、鳴動制御部110が、鳴動させているすべての電話機にCANCELメッセージを送信することにより、鳴動を停止させる。
ステップS414で、鳴動制御部110が鳴動させているいずれかの電話機から応答が有ったと判定された場合に進むステップS422では、鳴動制御部110が、応答した電話機以外の電話機にCANCELメッセージを送信することにより、鳴動を停止させる。ステップS422で鳴動を停止させた後、及びステップS408で応答が有ったと判定された場合、ステップS424に進む。ステップS424では、応答した電話機及び発信元電話機に通話処理を実行させる。
ステップS404で、送信先電話番号が識別情報記憶部102に登録されていると判定されなかった場合に進むステップS426では、制御部122が、発信元電話機と、送信先電話番号に対応する電話機との間において通常の通話確立処理を実行する。例えば、制御部122は、送信先電話番号に対応する電話機が通話処理を実行可能な場合、当該電話機に割り当てられたIPアドレスを、発信元電話機に送信する。ステップS420、ステップS424、及びステップS426が終了した後、本フローチャートに係る処理が終了する。
図5は、識別情報記憶部102に記憶されたデータの一例を示す。図5は、登録番号「090−1234−5678」に対して3つの電話機の識別情報が対応付けられ、電話番号「080−9876−5432」に対して4つの電話機の識別情報が対応付けられている例を示す。ここでは、識別情報としてIPアドレスが対応付けられている例を図示しているが、識別情報は電話番号であってもよい。また、割り当てられたIPアドレスまたは電話番号が変更された場合、識別情報記憶部102に記憶された識別情報もそれにあわせて変更されてよい。
各識別情報には、優先順位、鳴動時間、及びフラグが対応付けられている。例えば、受信部104が「090−1234−5678」を含む発呼情報を受信した場合、鳴動制御部110は、優先順位に従って、まず電話機Bを鳴動させる。鳴動制御部110は、電話機Bを鳴動させてから15秒経過するまでに電話機Bが応答しない場合、電話機Aを鳴動させる。また、鳴動制御部110は、電話機Aを鳴動させてから5秒経過するまでに電話機A及び電話機Bが応答しない場合、電話機Cを鳴動させる。
フラグは、対応する電話機の鳴動可否を制御するためのデータであってよい。例えば、鳴動制御部110は、フラグがONの場合は対応する電話機を鳴動させ、フラグがOFFの場合は対応する電話機を鳴動させずに、次の優先順位の電話機を鳴動させる。
フラグは、SIPサーバ100の管理者によって、任意に設定されてよい。例えば、SIPサーバ100の管理者は、SIPサーバ100が提供するサービスを受けることを希望するユーザの要求に基づいて、フラグを設定する。フラグによって鳴動可否を設定可能としたことにより、例えば、ユーザが、登録した複数の電話機のいずれかを一時的に鳴動させないことを希望する場合に、当該電話機を一時的に鳴動させないようにできる。
フラグは、制御部122の制御のもとで設定されてもよい。例えば、制御部122は、複数の電話機のいずれかと発呼情報を送信した電話機との間の通話処理を開始してから、予め定められた第1の時間が経過する前に当該通話処理が終了した場合に、当該電話機の識別情報に対応付けられたフラグをOFFに設定する。また、制御部122は、フラグをOFFにしてから、予め定められた第2の時間を経過したときに、当該フラグをONにしてよい。
これにより、複数の電話機のいずれかと発呼情報を送信した電話機との間の通話処理を開始してから、第1の時間が経過する前に当該通話処理が終了した場合であって、通話処理が終了してから第2の時間が経過するまでに、同一の発信先電話番号を含む発呼情報を受信した場合、当該電話機を鳴動させないようにできる。
例えば、一番目に鳴動させた電話機の留守番電話機能が可動していて、留守番電話に切り替わってしまうと、他の電話機を鳴動させることができない。また、留守番電話に切り替わってしまったことから発信元電話機のユーザがいったん電話を切って、同じ電話番号を含む発呼情報を送信した場合、同じ電話機を一番目に鳴動させてしまうと、また留守番電話に切り替わってしまう可能性が高い。
しかし、本実施形態に係るSIPサーバ100によれば、発信元電話機のユーザがいったん電話を切った場合、当該電話機の識別情報に対応付けられたフラグがOFFに設定される。したがって、再度同じ電話番号を含む発呼情報が送信された場合、当該電話機の鳴動をスキップできることから、再度留守番電話に切り替わってしまう事態の発生を防止することができる。
図6は、発呼履歴記憶部118に記憶されたデータの一例を示す。図6は、電話機A、電話機B、及び電話機Cの最新の発呼履歴が記憶されている例を示す。鳴動制御部110は、発呼履歴記憶部118に記憶された発呼履歴に基づいた順番で、複数の電話機を鳴動させてよい。
例えば、鳴動制御部110は、発信先電話番号に対応する複数の電話機の識別情報にそれぞれ対応する発呼履歴を、発呼履歴取得部120から取得してよい。そして、鳴動制御部110は、複数の電話機のうち、現在時刻により近い時刻が対応付けられている電話機から順に鳴動させるべく制御してよい。現在時刻に近い時刻に発呼しているということは、電話機の近くに電話に応答できる状態にいるユーザが存在する可能性が高いといえることから、現在時刻により近い時刻が対応付けられている電話機から順に鳴動させることによって、通話がより早く確立する可能性を高めることができる。
また、鳴動制御部110は、複数の電話機のうち、現在時刻からより遠い時刻が対応付けられている電話機から順に鳴動させるべく制御してよい。これにより、最近発呼した電話機が鳴動する可能性を低減することができ、当該電話機のユーザに係る負担を軽減することができる。
なお、図6では、最新の発呼履歴のみを記憶する例を挙げて説明したが、これに限らない。発呼履歴記憶部118は、1つの電話機に対して、複数回に渡る発呼履歴を記憶してもよい。そして、鳴動制御部110は、複数回に渡る発呼履歴に基づいた順番で、複数の電話機を鳴動させてもよい。例えば、鳴動制御部110は、1日における発呼回数が多い順に、複数の電話機を鳴動させてもよい。
図7は、SIPサーバ100のハードウェア構成の一例を示す。SIPサーバ100は、ホストコントローラ402、CPU404、RAM406、入出力コントローラ408、ROM410、及び通信インターフェース412を備える。ホストコントローラ402は、RAM406と、RAM406にアクセスするCPU404とを接続する。CPU404は、ROM410及びRAM406に格納されたプログラムに基づいて動作して、各部を制御する。入出力コントローラ408は、ホストコントローラ402と、ROM410、通信インターフェース412とを接続する。
SIPサーバ100にインストールされて実行されるプログラムは、CPU404等に働きかけて、SIPサーバ100を、図1から図6にかけて説明した、識別情報記憶部102、受信部104、優先順位取得部106、鳴動時間取得部108、鳴動制御部110、優先順位調整部112、鳴動時間調整部114、送信部116、発呼履歴記憶部118、発呼履歴取得部120、及び制御部122として機能させる。
本実施形態では、SIPサーバ100が、識別情報記憶部102を備える場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らない。識別情報記憶部102は他の装置が備えてもよく、SIPサーバ100は、他の装置から、識別情報記憶部102に記憶されたデータを取得してよい。
また、本実施形態では、呼制御装置の一例としてSIPサーバ100を挙げて説明した。しかし、呼制御装置はこれに限らない。例えば、呼制御装置は、SIPサーバとは別途設置された、本実施形態に係るサービスを提供する専用の装置であってよい。また、呼制御装置は、例えば、公衆電話網内に配置された加入者交換機であってもよい。
呼制御装置が加入者交換機である場合、鳴動制御部110は、着信側の加入者交換機に、着信側の電話機に対して呼び出し信号を送信させることによって、着信側の電話機を鳴動させてよい。また、鳴動制御部110は、着信側の加入者交換機に、呼び出し信号の送信を停止させることによって、着信側の電話機の鳴動を停止させてよい。また、呼制御装置は、IPネットワークと、公衆電話網との境界に設置されたゲートウェイであってもよい。また、呼制御装置は、PBX(Private Branch eXchange)であってもよい。
図8は、呼制御装置の他の例であるPBX500の通信環境の一例を示す概略図である。ここでは、上述したSIPサーバ100とは異なる点を主に説明する。PBX500は、電話網20を介して、電話機600と通信する。また、PBX500は、同じ構内に設定された電話機702、電話機704、電話機706と通信する。PBX500は、受信した通話要求に含まれる発信先電話番号に対応付けられた複数の電話機を、順次鳴動させる。
例えば、電話機600がPBX500に送信した通話要求に含まれる発信先電話番号に、電話機702、電話機704、電話機706が対応付けられている場合、PBX500は、まず、電話機702を鳴動させる。PBX500は、電話機702に呼出信号を送信することにより、電話機702を鳴動させてよい。そして、PBX500は、電話機702を鳴動させてから予め定められた鳴動時間が経過するまでに電話機702が応答しない場合、電話機702に鳴動を継続させたまま、電話機704を鳴動させる。
また、PBX500は、電話機704を鳴動させてから予め定められた鳴動時間を経過するまでに電話機702及び電話機704のいずれからも応答を受信しない場合、電話機702及び電話機704に鳴動を継続させたまま、電話機706を鳴動させる。そして、PBX500は、例えば、電話機702が応答した場合、電話機704及び電話機706の鳴動を停止させる。PBX500は、電話機704及び電話機706に呼出停止信号を送信することにより、電話機704及び電話機706の鳴動を停止させてよい。
これにより、電話機702の鳴動が開始されたときに、電話機702のユーザが電話に応答できない状態であっても、電話機704、電話機706の鳴動が開始された後に電話機702のユーザが応答できる状態になった場合、そのユーザに電話に応答する機会を与えることができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。