この種の部材連結構造として、本願発明者は、図21〜図23に示す部材連結構造100を開発している。この部材連結構造100は、一例として、治具式の基板検査装置において、図21に示すように、ベース部101(一方の部材)に対して、検査用のプローブ102がプローブ配設領域A内に複数立設されたピンボード103(他方の部材)を、その取付け位置を微調整して連結する部材連結構造であって、ベース部101に取り付けられた一対の嵌合筒体104(一方の嵌合部)、ピンボード103に取り付けられた一対の嵌合ピン105(他方の嵌合部)、およびピンボード103に取り付けられて各嵌合ピン105のピンボード103に対する取付け位置を、互いに直交するX軸およびY軸方向に沿って微調整する調整機構106を備えている。
具体的には、ピンボード103が取り付けられるベース部101の上壁101aには、プローブ配設領域A内に配設された複数のプローブ102に対する配線を行うための開口部101bが形成されている。一対の嵌合筒体104は、上壁101aにおけるX方向に沿った位置であって、かつこの開口部101bを挟んで離間した位置に取り付けられている。嵌合筒体104の内径は、嵌合ピン105ががたつきの極めて少ない状態で挿入可能な長さに規定されている。
一対の嵌合ピン105は、図21に示すようにピンボード103における一対の嵌合筒体104に対応する位置に、図23に示すようにピンボード103に形成された貫通孔103aに挿通された状態で立設されている。一例として、各嵌合ピン105は、一方の端部(同図中の上端部)の外周面に雄ねじ部105aが形成されると共に、外周面における雄ねじ部105aから若干離間した位置(雄ねじ部105aから他方の端部(同図中の下端部)方向に若干離間した位置)に、厚みが一定で、かつ平面視正方形(図22参照)の板状の位置決めブロック107が嵌合ピン105の長さ方向に対して直交する状態で取り付けられている。また、各嵌合ピン105は、ピンボード103におけるベース部101との対向面側から一方の端部が貫通孔103a内に挿通され、ピンボード103におけるベース部101との非対向面から突出する一方の端部に形成された雄ねじ部105aにワッシャ108を介在させた状態でナット109が螺合されることにより、ピンボード103に立設されている。また、各嵌合ピン105は、その外径が貫通孔103aの内径よりも小径に形成されている。
この構成により、ナット109を雄ねじ部105aにねじ込んだ場合には、ピンボード103における貫通孔103aの口縁部分がナット109と位置決めブロック107との間で挟持されることにより、貫通孔103a内での嵌合ピン105の移動が規制される。つまり、嵌合ピン105がピンボード103に固定される。一方、ナット109を緩めた場合には、ナット109と位置決めブロック107とによるピンボード103の挟持が解除されるため、嵌合ピン105の貫通孔103a内での移動(嵌合ピン105の長さ方向と直交する方向への移動)が可能となる。
調整機構106は、図22に示すように、平面視L形の位置決めブロック110および押し付け部111を備え、図21に示すように、ピンボード103におけるベース部101との対向面(同図における下面)上に配設されている。具体的には、押し付け部111は、一例として図22に示すように、ピンボード103における対向面上に固定された固定ブロック112と、固定ブロック112にピンボード103と平行な状態で螺着されて先端が固定ブロック112から突出するボルト113とを備えている。また、位置決めブロック110および押し付け部111は、図22に示すように、ボルト113の軸線の延長上に、嵌合ピン105と、位置決めブロック110における位置決め基準面B,Cの交点Dとがこの順番で位置するように配設されている。この場合、基準面BはY軸と平行となり、基準面CはX軸と平行となるように予め規定されている。
この構成により、ボルト113を固定ブロック112にねじ込むことにより、固定ブロック112から突出するボルト113の先端で位置決めブロック107を位置決めブロック110の方向に移動させ、位置決めブロック107における基準面Bとの対向面Eをこの基準面Bに当接させ、かつ位置決めブロック107における基準面Cとの対向面Fをこの基準面Cに当接させることにより、位置決めブロック107のピンボード103上での位置、すなわち位置決めブロック107を介して嵌合ピン105のピンボード103上での位置が規定される。
また、この部材連結構造では、下記特許文献1に開示されている間隔調整シートを利用した間隔調整の技術を適用して、図22に示すように、上記した各基準面B,E間、および各基準面C,F間に間隔調整シート114を適宜挟み込むことにより、嵌合ピン105のピンボード103上での位置を微調整する構成を採用している。具体的には、一方の位置決めブロック110の基準面Bと一方の位置決めブロック107の対向面Eとの間に挟む間隔調整シート114の枚数を増やし、かつこの増加の枚数分だけ、他方の位置決めブロック110の基準面Bと他方の位置決めブロック107の対向面Eとの間に挟む間隔調整シート114の枚数を減らすことにより、各嵌合ピン105のピンボード103上での位置をX軸方向に沿って、間隔調整シート114の変更枚数分だけ(具体的には変更枚数に間隔調整シート114の厚みを乗算した距離だけ)シフトさせることが可能となる。
また、各位置決めブロック110の基準面Cと各位置決めブロック107の対向面Fとの間に挟む間隔調整シート114の枚数を増減することにより、ベース部101に対するピンボード103の位置をY軸方向に沿って、間隔調整シート114の変更枚数分だけシフトさせることが可能となっている。したがって、この部材連結構造によれば、ピンボード103の各嵌合ピン105を、ベース部101に取り付けられている一対の嵌合筒体104のうちの対応する嵌合筒体104に挿入することにより、ベース部101に対するピンボード103の位置をX軸方向およびY軸方向に微調節して連結させることができる。
以下、添付図面を参照して、第1部材と第2部材とを凹凸嵌合させて連結する部材連結構造の実施の形態について説明する。本例では一例として、治具式の基板検査装置におけるベース部2を第1部材として、このベース部2に第2部材としてのピンボード3を凹凸嵌合によって連結させる部材連結構造1を例に挙げて説明する。この場合、ピンボード3には、基板検査装置で検査される検査対象基板に予め規定された複数の接触ポイントに接触するプローブ4が複数配設されている。また、ベース部2内には、基板検査装置で検査される検査対象基板に対してプローブ4を介して試験用信号を供給する機能、試験用信号の供給に起因して検査対象基板に発生する信号をプローブ4を介して検出する機能、および検出した信号に基づいて検査対象基板の良否を判別する機能を備えた不図示の電気回路が収容されている。
図1に示すように、部材連結構造1は、ベース部2に対して、検査用のプローブ4がプローブ配設領域A内に複数立設されたピンボード3を、その取付け位置を微調整して連結する部材連結構造であって、ベース部2の表面に取り付けられた一対の第1連結部材5と、ピンボード3の表面に取り付けられた一対の第2連結部材6と、ベース部2における一対の第1連結部材5の各取付け位置Gに予め規定された第1配列で形成された複数の第1基準孔7と、ピンボード3における一対の第2連結部材6の各取付け位置Hに予め規定された第3配列で形成された複数の第2基準孔8とを備えている。
この場合、複数の第1基準孔7は、図3に示すように、第1の方向としてのY方向に沿って配列された一対の第1孔11で構成されて、4以上の偶数個形成されている。本例では一例として、第1基準孔7は、同図に示すように、第1基準孔7a,7b,7c,7dの4つ(4組)形成されている。また、1つの第1基準孔7を構成する一対の第1孔11は、同径で、かつ同一間隔に規定されている。
また、複数の第1基準孔7の第1配列は、図5に示すように、第1基準孔7a,7b,7c,7dの各一対の第1孔11を結ぶ線分の中心点Pa,Pb,Pc,Pdが、ベース部2の取付け位置Gに規定した第1基準点O1を仮想原点とし、かつ一方の軸線(Y軸)がY方向と平行なX−Y直交座標系内において、一方の軸線(Y軸)および他方の軸線(X軸)のうちの少なくとも一方を基準として線対称となると共に第1基準点O1を基準として点対称となるように規定されている。また、ベース部2の各取付け位置Gには、第1連結部材5を取付け位置Gに固定するための一対の雌ねじ孔12が形成されている。
複数の第2基準孔8は、図2に示すように、ベース部2およびピンボード3が連結した状態において、図4,14に示すように、第1の方向としてのY方向に沿って配列された一対の第3孔13で構成されて、4以上の偶数個形成されている。本例では一例として、第2基準孔8は、同図に示すように、第2基準孔8a,8b,8c,8dの4つ(4組)形成されている。また、1つの第2基準孔8を構成する一対の第3孔13は、同径で、かつ同一間隔に規定されている。
また、複数の第2基準孔8の第3配列は、図13に示すように,第2基準孔8a,8b,8c,8dの各一対の第3孔13を結ぶ線分の中心点Qa,Qb,Qc,Qdが、ピンボード3の取付け位置Hに規定した第2基準点O2を仮想原点とし、かつ一方の軸線(Y軸)がY方向と平行なX−Y直交座標系内において、一方の軸線(Y軸)および他方の軸線(X軸)のうちの少なくとも一方を基準として線対称となると共に第2基準点O2を基準として点対称となるように規定されている。また、ピンボード3の各取付け位置Hには、第1連結部材5を取付け位置Gに固定するための一対の雌ねじ孔14が形成されている。
一対の第1連結部材5は、図1,3に示すように、第1板体21および第1嵌合部22を備えている。第1板体21は、一例として、平面視長方形で、板厚が均一の直方体に形成されている。第1嵌合部22は、一例として第1板体21の表面に直角に立設された円筒体に構成されて、嵌合凹部として機能する。第1板体21には、第1連結部材5が取り付けられるベース部2の取付け位置Gに第1配列で形成された複数(本例では4つ)の第1基準孔7に一対一で対応する第1位置決め孔23が第1基準孔7と同数(4つ)、第2配列で形成されている。各第1位置決め孔23は一対の第2孔24で構成され、各第2孔24は第1基準孔7を構成する一対の第1孔11と同径(内径が同一)に形成されている。また、第1板体21には、第1連結部材5をベース部2に固定する際に使用する第1長孔25が、ベース部2の取付け位置Gに形成された一対の雌ねじ孔12に対応して一対形成されている。この場合、第1長孔25は、上記の他方の軸線(X軸)に沿って長い孔に形成されている。
また、複数の第1位置決め孔23の第2配列は、図6に示すように、複数の第1位置決め孔23のうちの1つの第1位置決め孔23を複数の第1基準孔7のうちの対応する1つの第1基準孔7に一致させた状態において、複数の第1位置決め孔23のうちの他の第1位置決め孔23が複数の第1基準孔7のうちの対応する第1基準孔7に対して一つの第1位置決め孔23を構成する一対の第2孔24の並び方向(Y方向)と直交する第2の方向(X方向)へ第1単位長ΔLx0ずつ異なる距離だけ離間する配列に規定されている。
具体的には、本例では、図6に示すように、第1位置決め孔23aを対応する第1基準孔7aに一致させた状態において、第1位置決め孔23bが対応する第1基準孔7bに対して第2の方向(X方向)へ距離Lx1(=ΔLx0)だけ離間して配設されている。また、この状態において、第1位置決め孔23cが対応する第1基準孔7cに対して第2の方向(X方向)へ距離Lx2(=Lx1+ΔLx0=2×ΔLx0)だけ離間して配設され、第1位置決め孔23dが対応する第1基準孔7dに対して第2の方向(X方向)へ距離Lx3(=Lx2+ΔLx0=3×ΔLx0)だけ離間して配設されている。
また、各第1連結部材5は、図6に示すように、第1位置決め孔23aを対応する第1基準孔7aに一致させて、ベース部2に取り付けた状態において、第1嵌合部22における後述の第2嵌合部(第2連結部材6に形成されている嵌合部)との嵌合中心が第1基準点O1と一致するように構成されている。本例では、第1嵌合部22は、上記したように円筒体に構成され、後述するように第2嵌合部は、円筒体に構成された第1嵌合部22内にガタのない状態で挿入される円柱体に構成されている。このため、第1嵌合部22における第2嵌合部との嵌合中心は、円筒体に構成された第1嵌合部22の軸線S1となることから、この軸線S1が第1基準点O1と一致する(第1基準点O1を通過する)ように構成されている。
この構成により、第1位置決め孔23aを対応する第1基準孔7aに一致させて、第1連結部材5をベース部2に取り付けた状態(図6に示す状態)を基準として、図7に示すように、第1位置決め孔23bを対応する第1基準孔7bに一致させて、第1連結部材5をベース部2に取り付けたときには、第1連結部材5は、距離Lx1だけX軸に沿って同図中の左側にシフトした状態でベース部2に取り付けられる。また、図8に示すように、第1位置決め孔23cを対応する第1基準孔7cに一致させて、第1連結部材5をベース部2に取り付けたときには、第1連結部材5は、距離Lx2だけX軸に沿って同図中の左側によりシフトした状態でベース部2に取り付けられる。また、図9に示すように、第1位置決め孔23dを対応する第1基準孔7dに一致させて、第1連結部材5をベース部2に取り付けたときには、第1連結部材5は、距離Lx3だけX軸に沿って同図中の左側によりシフトした状態でベース部2に取り付けられる。
さらに本例では、上記したように複数の第1基準孔7の第1配列が、一方の軸線(Y軸)および他方の軸線(X軸)のうちの少なくとも一方を基準として線対称となると共に第1基準点O1を基準として点対称となるように規定されているため、第1連結部材5を図6〜図9の状態から第1嵌合部22の軸線S1を中心として180°回転させてベース部2に取り付けることで、図7〜図9に示すシフト方向と逆方向にシフトさせてベース部2に取り付け可能となっている。なお、第1連結部材5を第1嵌合部22の軸線S1を中心として180°回転させて、第1位置決め孔23aを第1基準孔7cに一致させた状態でベース部2に取り付けたときには、第1嵌合部22の軸線S1が第1基準点O1に一致した状態となって、ベース部2に対する第1連結部材5のシフト量がゼロとなる。つまり、図6に示す取り付け状態と同じになる。このため、この取り付けの態様についての説明は省略する。
具体的には、図10に示すように、第1位置決め孔23bを第1基準孔7dに一致させて、第1連結部材5をベース部2に取り付けたときには、図6に示す取付け状態を基準として、第1連結部材5は、距離Lx1だけX軸に沿って同図中の右側にシフトした状態でベース部2に取り付けられる。また、図11に示すように、第1位置決め孔23cを第1基準孔7aに一致させて、第1連結部材5をベース部2に取り付けたときには、第1連結部材5は、距離Lx2だけX軸に沿って同図中の右側によりシフトした状態でベース部2に取り付けられる。また、図12に示すように、第1位置決め孔23dを第1基準孔7bに一致させて、第1連結部材5をベース部2に取り付けたときには、第1連結部材5は、距離Lx3だけX軸に沿って同図中の右側によりシフトした状態でベース部2に取り付けられる。
したがって、この部材連結構造1では、ベース部2に対する各第1連結部材5の取付け位置を、図6に示す位置をX方向の基準位置として、X方向に沿って第1単位長ΔLx0単位で、X軸の負側(左側)に3段階、X軸の正側(右側)に3段階に変更可能となっている。つまり、第1連結部材5のベース部2への取付け位置を、図6に示す基準位置に取り付ける場合を含めて、X方向に沿って7段階で変更可能となっている。
一対の第2連結部材6は、図1,4に示すように、第2板体31および第2嵌合部32を備えている。第2板体31は、一例として、平面視長方形で、板厚が均一の直方体に形成されている。第2嵌合部32は、一例として第2板体31の表面に直角に立設された円柱体に構成されて、嵌合凸部として機能する。この場合、第2嵌合部32は、円筒体に構成された第1嵌合部22にガタのない状態で挿入し得る直径に規定されている。
第2板体31には、第2連結部材6が取り付けられるピンボード3の取付け位置Hに第3配列で形成された複数(本例では4つ)の第2基準孔8に一対一で対応する第2位置決め孔33が第2基準孔8と同数(4つ)、第4配列で形成されている。各第2位置決め孔33は一対の第4孔34で構成され、各第4孔34は第2基準孔8を構成する一対の第3孔13と同径(内径が同一)に形成されている。また、第2板体31には、第2連結部材6をピンボード3に固定する際に使用する第2長孔35が、ピンボード3の取付け位置Hに形成された一対の雌ねじ孔14に対応して一対形成されている。この場合、第2長孔35は、上記Y軸に沿って長い孔に形成されている。
また、複数の第2位置決め孔33の第4配列は、複数の第2位置決め孔33のうちの1つの第2位置決め孔33を複数の第2基準孔8のうちの対応する1つの第2基準孔8に一致させた状態において、複数の第2位置決め孔33のうちの他の第2位置決め孔33が複数の第2基準孔8のうちの対応する第2基準孔8に対して一つの第2位置決め孔33を構成する一対の第4孔34の並び方向(Y方向)と平行な第1の方向(Y方向)へ第2単位長ΔLy0ずつ異なる距離だけ離間する配列に規定されている。
具体的には、本例では、図14に示すように、第2位置決め孔33aを対応する第2基準孔8aに一致させた状態において、第2位置決め孔33bが対応する第2基準孔8bに対して第1の方向(Y方向)へ距離Ly1(=ΔLy0)だけ離間して配設されている。また、この状態において、第2位置決め孔33cが対応する第2基準孔8cに対して第1の方向(Y方向)へ距離Ly2(=Ly1+ΔLy0=2×ΔLy0)だけ離間して配設され、第2位置決め孔33dが対応する第2基準孔8dに対して第1の方向(Y方向)へ距離Ly3(=Ly2+ΔLy0=3×ΔLy0)だけ離間して配設されている。
また、各第2連結部材6は、図14に示すように、第2位置決め孔33aを対応する第2基準孔8aに一致させて、ピンボード3に取り付けた状態において、第2嵌合部32における第1嵌合部22との嵌合中心が第2基準点O2と一致するように構成されている。本例では、第2嵌合部32は、上記したように、円筒体に構成された第1嵌合部22内にガタのない状態で挿入される円柱体に構成されている。このため、第2嵌合部32における第1嵌合部22との嵌合中心は、円柱体に構成された第2嵌合部32の軸線S2となることから、この軸線S2が第2基準点O2と一致する(第2基準点O2を通過する)ように構成されている。
この構成により、第2位置決め孔33aを対応する第2基準孔8aに一致させて、第2連結部材6をピンボード3に取り付けた状態(図14に示す状態)を基準として、図15に示すように、第2位置決め孔33bを対応する第2基準孔8bに一致させて、第2連結部材6をピンボード3に取り付けたときには、第2連結部材6は、距離Ly1だけY軸に沿って同図中の上側にシフトした状態でピンボード3に取り付けられる。また、図16に示すように、第2位置決め孔33cを対応する第2基準孔8cに一致させて、第2連結部材6をピンボード3に取り付けたときには、第2連結部材6は、距離Ly2だけY軸に沿って同図中の上側によりシフトした状態でピンボード3に取り付けられる。また、図17に示すように、第2位置決め孔33dを対応する第2基準孔8dに一致させて、第2連結部材6をピンボード3に取り付けたときには、第2連結部材6は、距離Ly3だけY軸に沿って同図中の上側によりシフトした状態でピンボード3に取り付けられる。
さらに本例では、上記したように複数の第2基準孔8の第3配列が、一方の軸線(Y軸)および他方の軸線(X軸)のうちの少なくとも一方を基準として線対称となると共に第2基準点O2を基準として点対称となるように規定されているため、第2連結部材6を図14〜図17の状態から第2嵌合部32の軸線S2を中心として180°回転させてピンボード3に取り付けることで、図15〜図17に示すシフト方向と逆方向にシフトさせてピンボード3に取り付け可能となっている。なお、第2連結部材6を第2嵌合部32の軸線S2を中心として180°回転させて、第2位置決め孔33aを第2基準孔8cに一致させた状態でピンボード3に取り付けたときには、第2嵌合部32の軸線S2が第2基準点O2に一致した状態となって、ピンボード3に対する第2連結部材6のシフト量がゼロとなる。つまり、図14に示す取り付け状態と同じになる。このため、この取り付けの態様についての説明は省略する。
具体的には、図18に示すように、第2位置決め孔33bを第2基準孔8dに一致させて、第2連結部材6をピンボード3に取り付けたときには、図14に示す取付け状態を基準として、第2連結部材6は、距離Ly1だけY軸に沿って同図中の下側にシフトした状態でピンボード3に取り付けられる。また、図19に示すように、第2位置決め孔33cを第2基準孔8aに一致させて、第2連結部材6をピンボード3に取り付けたときには、第2連結部材6は、距離Ly2だけY軸に沿って同図中の下側によりシフトした状態でピンボード3に取り付けられる。また、図20に示すように、第2位置決め孔33dを第2基準孔8bに一致させて、第2連結部材6をピンボード3に取り付けたときには、第2連結部材6は、距離Ly3だけY軸に沿って同図中の下側によりシフトした状態でピンボード3に取り付けられる。
したがって、この部材連結構造1では、ピンボード3に対する各第2連結部材6の取付け位置を、図14に示す位置をY方向の基準位置として、Y方向に沿って第2単位長ΔLy0単位で、Y軸の負側(下側)に3段階、Y軸の正側(上側)に3段階に変更可能となっている。つまり、第2連結部材6のピンボード3への取付け位置を、図14に示す基準位置に取り付ける場合を含めて、Y方向に沿って7段階で変更可能となっている。
次に、この部材連結構造1を採用する治具式の基板検査装置でのベース部2へのピンボード3の取付け手順(連結手順)について説明する。なお、ベース部2へのピンボード3の取付け位置の説明においては、各第1連結部材5をベース部2に対して図6に示す状態で取り付けると共に、第2連結部材6をピンボード3に対して図14に示す状態で取り付け、この状態においてピンボード3の各第2連結部材6における第2嵌合部32(円柱体)を、ベース部2の各第1連結部材5における第1嵌合部22(円筒体)内に挿入することにより(凹凸嵌合させることにより)、図2に示すようにベース部2にピンボード3を取り付けた状態でのピンボード3の取付け位置を基準取付け位置として説明する。
上記したように、ベース部2への第1連結部材5の取付け位置を7段階で変更し、ピンボード3への第2連結部材6の取付け位置を7段階で変更し得るように構成されている。したがって、この部材連結構造1では、ベース部2に対するピンボード3の取付け位置については、上記した基準取付け位置を中心とした7×7の格子点(Y軸方向の座標値がΔLy0単位で、X軸方向の座標値がΔLx0単位で変化する49個の格子点)のうちの任意の1点を選択可能となっている。このため、まず、ベース部2に対するピンボード3の取付け位置を選択する。
次いで、ベース部2に対する各第1連結部材5の取付け位置、およびピンボード3に対する各第2連結部材6の取付け位置の組み合わせの中から、選択した取付け位置にピンボード3が取り付けられる1つの組み合わせを決定する。続いて、この決定した1つの組み合わせを構成する各第1連結部材5についてのベース部2への取付け位置に、第1連結部材5を取り付ける。この場合、図3に示すように、この取付け位置となる第1連結部材5の第1位置決め孔23とベース部2の第1基準孔7とを一致させ、第1位置決め孔23を構成する一対の第2孔24および第1基準孔7を構成する一対の第1孔11に、位置決めピン41を押し込む。これにより、ベース部2に対する各第1連結部材5の位置決めがなされる。次いで、固定ボルト42を各第1連結部材5の第1長孔25からベース部2の雌ねじ孔12にねじ込んで、第1連結部材5をベース部2に固定する。
第2連結部材6についても、上記した第1連結部材5と同様にして、決定した上記の1つの組み合わせを構成する各第2連結部材6についてのピンボード3への取付け位置に、第2連結部材6を取り付ける。この場合、図4に示すように、この取付け位置となる第2連結部材6の第2位置決め孔33とピンボード3の第2基準孔8とを一致させ、第2位置決め孔33を構成する一対の第4孔34および第2基準孔8を構成する一対の第3孔13に、位置決めピン51を押し込む。これにより、ピンボード3に対する各第2連結部材6の位置決めがなされる。次いで、固定ボルト52を各第2連結部材6の第2長孔35からピンボード3の雌ねじ孔14にねじ込んで、第2連結部材6をピンボード3に固定する。
最後に、ピンボード3に取り付けられている各第2連結部材6の第2嵌合部32を、ベース部2に取り付けられている各第1連結部材5の第1嵌合部22内に挿入することにより(凹凸嵌合させることにより)、図2に示すようにピンボード3をベース部2に取り付ける。これにより、基板検査装置についてのベース部2へのピンボード3の取付け作業が完了する。また、ベース部2へのピンボード3の取付け位置を変更する場合には、固定ボルト42を緩めてベース部2の雌ねじ孔12から外した後に、位置決めピン41を抜くことで、ベース部2から各第1連結部材5を外す。また、固定ボルト52を緩めてピンボード3の雌ねじ孔14から外した後に、位置決めピン51を抜くことで、ピンボード3から各第2連結部材6を外す。次いで、ベース部2へのピンボード3の取付け位置が所望の位置となるベース部2に対する各第1連結部材5の取付け位置、およびピンボード3に対する各第2連結部材6の取付け位置の組み合わせを1つ決定し、その後は、上記した手順に従って、第1連結部材5をベース部2に固定すると共に、第2連結部材6をピンボード3に固定し、最後に、ベース部2にピンボード3を取り付ける。これにより、ベース部2へのピンボード3の取付け位置の変更作業が完了する。
このように、この部材連結構造1によれば、各第1連結部材5の複数の第1位置決め孔23の1つとベース部2の各取付け位置Gに形成された複数の第1基準孔7の1つを一致させ、一致させた第1位置決め孔23および第1基準孔7に位置決めピン41を押し込むことによってベース部2に対して各第1連結部材5を位置決めし、各第2連結部材6の複数の第2位置決め孔33の1つとピンボード3の各取付け位置Hに形成された複数の第2基準孔8の1つを一致させ、一致させた第2位置決め孔33および第2基準孔8に位置決めピン51を押し込むことによってピンボード3に対して各第2連結部材6を位置決めすることにより、ベース部2に対するピンボード3の位置決めを行うことができる。したがって、この部材連結構造1によれば、間隔調整シートの使用を回避することができるため、ベース部2に対するピンボード3の位置決め作業(取り付け位置の調整作業)に要する時間を短縮することができると共に、位置決めの再現性を高めることができる。
また、この部材連結構造1によれば、複数の第1基準孔7の第1配列を、Y軸およびX軸のうちの少なくとも一方を基準として線対称となると共に第1基準点O1を基準として点対称となるように規定したことにより、第1嵌合部22の軸線S1を中心として第1連結部材5を180°回転させてベース部2に取り付けることができるため、回転させずに取り付けた場合のシフト方向と逆方向に第1連結部材5をシフトさせて取り付けることができる結果、ベース部2に対するピンボード3の取付け位置をX軸方向に沿ってより多段に変更することができる。
また、この部材連結構造1によれば、複数の第2基準孔8の第3配列を、Y軸およびX軸のうちの少なくとも一方を基準として線対称となると共に第2基準点O2を基準として点対称となるように規定したことにより、第2嵌合部32の軸線S2を中心として第2連結部材6を180°回転させてピンボード3に取り付けることができるため、回転させずに取り付けた場合のシフト方向と逆方向に第2連結部材6をシフトさせて取り付けることができる結果、ベース部2に対するピンボード3の取付け位置をY軸方向に沿ってより多段に変更することができる。
なお、上記の部材連結構造1では、第1連結部材5および第2連結部材6に対して、第1基準孔7および第2基準孔8をそれぞれ4つ(4組)ずつ形成する構成を採用しているが、第1基準孔7および第2基準孔8をそれぞれ180°回転させて取り付ける構成においては、4以上の偶数であれば、任意の数とすることができる。また、第1基準孔7および第2基準孔8の数を相違させる構成を採用することもできる。
また、第1基準孔7および第2基準孔8を180°回転させて取り付け可能とし、ベース部2に対するピンボード3の取付け位置を増加させる構成としているが、第1基準孔7および第2基準孔8のいずれか一方、または双方を180°回転させないで取り付ける方法のみが可能な構成とすることもできる。また、ベース部2に対する第1連結部材5の取付け位置、およびピンボード3に対する第2連結部材6の取付け位置の双方の変更を可能としているが、いずれか一方のみを変更可能とする構成を採用することもできる。
また、第1連結部材5の第1嵌合部22を円筒体に構成して、嵌合凹部として機能させ、一方、第2連結部材6の第2嵌合部32を円柱体に構成して、嵌合凸部として機能させる構成を採用しているが、逆の構成、すなわち、第1連結部材5の第1嵌合部22を円柱体に構成して、嵌合凸部として機能させ、第2連結部材6の第2嵌合部32を円筒体に構成して、嵌合凹部として機能させる構成を採用することもできる。また、第1嵌合部22および第2嵌合部32を凹凸嵌合させる構成として、一方を円柱体とし、他方を円筒体とする構成を採用しているが、ガタのない状態で凹凸嵌合し得る構成であれば、その形状は限定されず、例えば、一方を角柱体や楕円柱とし、他方をこの角柱体や楕円柱が挿入可能な断面多角形や断面楕円の凹部とする構成を採用することもできる。また、第1連結部材5を一対とし、かつ第2連結部材6を一対とした構成を採用しているが、それぞれ3つ以上とする構成を採用することもできる。
また、治具式の基板検査装置におけるベース部2を第1部材として、このベース部2に第2部材としてのピンボード3を凹凸嵌合によって連結させる部材連結構造を例に挙げて部材連結構造1を説明しているが、この部材連結構造1は他の装置に対しても適用できるのは勿論である。