JP5622637B2 - 電動パワーステアリング装置の製造方法及びその製造に用いられる治具 - Google Patents

電動パワーステアリング装置の製造方法及びその製造に用いられる治具 Download PDF

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Description

本発明は、電動モータによって操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置の製造方法及びその製造に用いられる治具に関するものである。
電動パワーステアリング装置には、ラック軸に形成したボールねじ軸にボールを介して螺合するボールナットと平行に電動モータを配置し、電動モータのモータシャフトに駆動プーリを連結するとともに、ボールナットに従動プーリを取付け、これら駆動プーリと従動プーリとをベルトを介して連動させた回転伝動機構を備えるものがある。
この種の回転伝動機構においては、ベルトの張力が、電動パワーステアリング装置のフリクション、作動音、耐久性等に影響を及ぼすため、例えば、特許文献1に開示されているように、ベルトの張力を調整できるようにしたものがある。
特許文献1に開示された回転伝動機構は、電動モータのモータハウジングをケーシングに締結する際に、各ボルトを締め付けない状態でモータハウジングを締結するボルトをケーシングの長穴に沿って移動させることによってベルトの張力が調整され、その後に各ボルトを締め付けることによってモータハウジングがケーシングに締結されるようになっている。
特開2006−027577号公報
しかしながら、このような従来の電動パワーステアリング装置の製造方法にあっては、ベルトの張力が調整される際に、各ボルトを締め付ける直前において、目標のベルト張力に調整した状態でモータハウジングの位置を決めても、各ボルトが締め付けられる前後でモータハウジングの位置が若干変わるため、ベルトの張力が狂い、ベルトの張力を精度よく調整することが難しいという問題点があった。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ベルトの張力を精度よく調整することができる電動パワーステアリング装置の製造方法及びその製造に用いられる治具を提供することを目的とする。
本発明は、電動モータの出力が、この電動モータのモータシャフトによって回転駆動される駆動プーリと、この駆動プーリと従動プーリに渡って掛け回されるベルトと、この従動プーリの回転を転舵シャフトの軸方向の移動に変換する運動変換機構とを介して転舵シャフトに付与される電動パワーステアリング装置の製造方法であって、運動変換機構を収容するケーシングに電動モータを収容するモータハウジングを組み付ける組み付け工程と、ケーシングに対して前記モータハウジングを支持するガイドホルダをケーシングに取り付けるガイドホルダ取り付け工程と、ガイドホルダに支持されるモータハウジングの位置を変えてベルトの張力を調整する張力調整工程と、ガイドホルダに支持されるモータハウジングをボルトを介してケーシングに締結する締結工程と、ガイドホルダをケーシングから取り外すガイドホルダ取り外し工程と、を行うことを特徴とする。
本発明によると、各ボルトを締め付ける締結工程にて、モータハウジングがケーシングに対してガイドホルダを介して支持されているため、各ボルトが締め付けられる前後でモータハウジングの位置がズレることを抑えられ、ベルトの張力を精度よく調整することができる。
本発明の実施形態を示す電動パワーステアリング装置の模式図。 同じく電動パワーステアリング装置の斜視図。 同じく電動パワーステアリング装置の正面図。 同じく図3のA−A線に沿う断面図。 同じく図3のB−B線に沿う断面図。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、電動パワーステアリング装置1の構成を示す模式図である。電動パワーステアリング装置1は、運転者によって操舵されるハンドル2が連結される操舵シャフト3と、この操舵シャフト3の先端部に設けられるピニオン4と、このピニオン4に噛合うラックギヤ5を有する転舵シャフト6と、ピニオン4および転舵シャフト6を収容するケーシング20を備える。転舵シャフト6は、ケーシング20に車両の左右方向について移動可能に支持される。ピニオン4は、ケーシング20に回動可能に支持される。
電動パワーステアリング装置1は、転舵シャフト6の両端部に連結されるタイロッド7を備え、各タイロッド7は、それぞれ左右車輪8のナックルアーム(図示せず)に連結される。これにより、ハンドル2が操作されて操舵シャフト3が回転すると、この回転がピニオン4およびラックギヤ5を介して転舵シャフト6の移動に変換され、タイロッド7を介して左右車輪8が転舵される。
電動パワーステアリング装置1は、操舵補助力を付与する構成要素として、電動モータ10と、回転運動を転舵シャフト6の軸方向の運動に変換する運動変換機構30と、電動モータ10の回転を運動変換機構30に伝達する回転伝達機構40とを備える。
運動変換機構30は、転舵シャフト6に設けられるボールねじ9と、このボールねじ9にボール(図示せず)を介して螺合されるボールナット31とを備える。これにより、ボールナット31が回転されると、転舵シャフト6が軸方向に移動するようになっている。
回転伝達機構40は、電動モータ10によって回転駆動される駆動プーリ41と、ボールナット31の外周に連結される従動プーリ42と、駆動プーリ41と従動プーリ42に渡って掛け回されるベルト43とを備える。これにより、電動モータ10によって駆動される駆動プーリ41の回転は、ベルト43を介して従動プーリ42に減速して伝達される。
ベルト43は、歯付きベルト(タイミングベルト)が用いられ、これに噛み合う駆動プーリ41の回転が従動プーリ42に滑りなく伝達される。
なお、電動モータ10の回転を運動変換機構30に伝達する循環部材として、ベルト43に代えて、スプロケットに噛み合うチェーンを用いてもよい。
図2は、電動パワーステアリング装置1の斜視図である。図3は、電動パワーステアリング装置1の正面図である。これらに示すように、ケーシング20は、転舵シャフト6を収容し支持する筒状のハウジング部21と、このハウジング部21の中程に形成されピニオン4を収容し支持するハウジング部22と、ハウジング部21の一端に形成され運動変換機構30を収容するハウジング部23とを有する。
ケーシング25にはハウジング部23に連接してフランジ部24が形成される。このフランジ部24にはケーシング25が複数のボルト26を介して締結される。フランジ部24とケーシング25の間に回転伝達機構40が収容される。
電動モータ10は、転舵シャフト6を収容するハウジング部21と平行に並んで設けられる。電動モータ10は、モータハウジング11、50を備え、一方のモータハウジング50の一端がケーシング20のフランジ部24に複数のボルト17を介して締結される。なお、これに限らず、電動モータ10は、モータハウジング11、50を一体形成する構成としてもよい。
図4は、図3のA−A線に沿う断面図である。有底筒状のモータハウジング11は、転舵シャフト6を収容するハウジング部21に間隙をもって配置される。電動モータ10は、モータハウジング11の後部から突出されるコネクタ19を備え、このコネクタ19を介して取り出されるケーブル(図示せず)によって電力が供給される。
図5は、図3のB−B線に沿う断面図である。筒状のモータハウジング50の内側には、電動モータ10の出力を取り出すモータシャフト(図示せず)と、このモータシャフトを駆動プーリ41に連結する中継シャフト15が設けられる。これにより、モータシャフトと中継シャフト15と駆動プーリ41は、互いに一体となって回転する。図5において、16は、中継シャフト15を支持するベアリングである。
図5において、O15は、モータシャフトと中継シャフト15と駆動プーリ41の回転中心軸である。O6は、転舵シャフト6の回転中心軸である。
モータハウジング50には複数の空洞部58が形成され、軽量化がはかられる。
前述したように、モータハウジング50は複数(4本)のボルト17を介してケーシング20のフランジ部24に締結される。フランジ部24には各ボルト17を挿通させる複数(4個)長穴27が形成される。モータハウジング50には各ボルト17が螺合する複数(4個)のネジ孔18が形成される。ケーシング20のフランジ部24にモータハウジング50を締結する際に、モータハウジング50を各ボルト17と共に長穴27に沿って移動させることによって、モータハウジング50の固定位置が変えられ、ベルト43の張力が調整されるようになっている。
しかし、上記のベルト43の張力が調整される際に、各ボルト17を締め付ける直前の状態でモータハウジング50の位置を決めても、各ボルト17を締め付ける過程でモータハウジング50の位置が若干変わるため、ベルト43の張力が狂い、ベルト43の張力を精度よく調整することが難しいという問題点があった。
とくに、ベルト43が伸びにくい仕様のものが用いられる場合に、駆動プーリ41と従動プーリ42間の軸間距離に微少な変化が生じることによってベルト43の張力が狂い、ベルト43の張力を精度よく調整することが難しい。
これに対処して、作業者がベルト43の張力を調整する際に、モータハウジング50を保持するガイドホルダ61、62を用いることとした。リング状のガイドホルダ61、62は、ケーシング20に対してモータハウジング50を保持する位置を可変とするカム機構を構成する治具であり、モータハウジング50を組み付ける工程でケーシング20のフランジ部24に取り付けられ、モータハウジング50がフランジ部24に締結された後にフランジ部24から取り外される。
ガイドホルダ61、62は、それぞれC字状(半割りリング状)のブロックであり、互いに合体してモータハウジング50を取り囲むリング状に延びるようになっている。
ガイドホルダ61、62は、それぞれの端面から突出する複数(2本)のピン65、66を有し、このピン65、66がフランジ部24に形成された穴28、29にそれぞれ挿入されることによって、ケーシング20の所定位置に取り付けられる。
モータハウジング50は、円筒面状の外周面51を有する。一方、ガイドホルダ61、62は、それぞれモータハウジング50の外周面51に沿って延びる円筒面状の内周面63、64を有する。ガイドホルダ61、62は、それぞれの内周面63、64がモータハウジング50の外周面51に摺動可能に嵌合し、モータハウジング50を回動可能に支持するようになっている。
図5において、モータハウジング50の外周面51の中心線をモータ回動中心軸O51とし、モータシャフト15の回転中心線を電動モータ10の回転中心軸O15とすると、このモータ回動中心軸O51は、電動モータ10の回転中心軸O15に対して所定距離だけオフセットされる。これにより、ケーシング20に対してガイドホルダ61、62を介して支持されるモータハウジング50がモータ回動中心軸O51を中心として回動することによって、モータシャフト15がモータ回動中心軸O51を中心として回動(旋回)する。こうして、モータシャフト15がケーシング20に対して変位すると、駆動プーリ41と従動プーリ42間の距離が増減することによって、ベルト43の張力が調整される。
電動パワーステアリング装置1は、以下の各工程を経て製造される。
まず、ケーシング20にモータハウジング50を組み付ける組み付け工程が行われる。
この組み付け工程では、モータハウジング50は、各ボルト17を介してケーシング20のフランジ部24に締結されるが、各ボルト17が締め付けられることなく、長穴27に沿って変位可能に組み付けられる。
なお、この組み付け工程は、ケーシング20に転舵シャフト6、ピニオン4、運動変換機構30、回転伝達機構40を組み付けた後に行われる。
次に、ガイドホルダ61、62をケーシング20に取り付けるガイドホルダ取り付け工程が行われる。
このガイドホルダ取り付け工程では、作業者がガイドホルダ61、62をモータハウジング50を囲むように合わせ、ガイドホルダ61、62をモータシャフト15の軸方向(図3にて左方向)に移動することにより、各ピン65、66をフランジ部24の穴28、29に挿入して、ガイドホルダ61、62をケーシング20の所定位置に取り付ける。
次に、ベルト43の張力を調整する張力調整工程が行われる。
この張力調整工程では、ガイドホルダ61、62を介して支持されるモータハウジング50を回動させることによって駆動プーリ41を変位させてベルト43の張力を所定値に調整する。
次に、ケーシング20に電動モータ10のモータハウジング50を締結する締結工程が行われる。
モータハウジング50がケーシング20に対してガイドホルダ61、62を介して支持された状態で、作業者が各ボルト17を締め付け、モータハウジング50をケーシング20のフランジ部24に固定する。
上記の各ボルト17を締め付ける過程で、モータハウジング50がケーシング20に対してガイドホルダ61、62を介して支持されていることにより、モータハウジング50の位置が変わることなく一定に保たれ、ベルト43の張力が所定値に調整された状態が維持されるため、ベルト43の張力を精度よく調整することができる。
次に、ガイドホルダ61、62をケーシング20から取り外すガイドホルダ取り外し工程が行われる。
このガイドホルダ取り外し工程では、作業者がガイドホルダ61、62をモータシャフト15の軸方向(図3にて左方向)に移動することにより、各ピン65、66がフランジ部24の穴28、29から外れ、ガイドホルダ61、62がケーシング20から取り外される。
なお、図2〜5は、ガイドホルダ61、62がケーシング20に取り付けられた状態を示しているが、電動パワーステアリング装置1は、ガイドホルダ61、62が取り外された状態で出荷される。
以下、本実施形態の要旨と作用、効果を説明する。
本実施形態では、電動モータ10の出力が、この電動モータ10のモータシャフトによって回転駆動される駆動プーリ41と、駆動プーリ41と従動プーリ42に渡って掛け回されるベルト43と、従動プーリ42の回転を転舵シャフト6の軸方向の移動に変換する運動変換機構30とを介して転舵シャフト6に付与される電動パワーステアリング装置1の製造方法であって、運動変換機構30を収容するケーシング20に電動モータ10を収容するモータハウジング50を組み付ける組み付け工程と、ケーシング20に対してモータハウジング50を支持するガイドホルダ61、62をケーシング20に取り付けるガイドホルダ取り付け工程と、ガイドホルダ61、62に支持されるモータハウジング50の位置を変えてベルト43の張力を調整する張力調整工程と、ガイドホルダ61、62に支持されるモータハウジング50をボルト17を介してケーシング20に締結する締結工程と、ガイドホルダ61、62をケーシング20から取り外すガイドホルダ取り外し工程と、を行う構成とした。
上記構成に基づき、各ボルト17を締め付ける締結工程にて、モータハウジング50がケーシング20に対してガイドホルダ61、62を介して支持されているため、各ボルト17が締め付けられる前後でモータハウジング50の位置がズレることを抑えられ、ベルト43の張力を精度よく調整することができる。
本実施形態では、ケーシング20に対するモータハウジング50の締結位置を変えることによりベルト43の張力を調整することが可能な電動パワーステアリング装置1の製造に用いられる治具として、ガイドホルダ61、62は、モータシャフトの回転中心である電動モータ10の回転中心軸O15に対して電動モータ10の回動中心であるモータ回動中心軸O51をオフセットさせながら、モータ回動中心軸O51についてモータハウジング50を回動可能に支持するガイドホルダ61、62を用い、張力調整工程では、ガイドホルダ61、62を介して支持されるモータハウジング50を回動させることによって、電動モータ10の回転中心軸O15を変位させる構成とした。
上記構成に基づき、ガイドホルダ61、62は、ケーシング20に対してモータハウジング50を保持する位置を可変とするカム機構を構成する。ガイドホルダ61、62を介して支持されるモータハウジング50を回動させることによってモータハウジング50が変位し、駆動プーリ41と従動プーリ42間の距離が増減することによって、従来のモータハウジングをベルトの張り方向に移動させる直動式の調整方法に比べて、ベルト43の張力を精度よく調節することができる。こうして、ベルト43の張力が調節された状態で、モータハウジング50はベルト43の張力によってガイドホルダ61、62に押し付けられ、円筒状の接触面に生じる摩擦力によってガイドホルダ61、62に対して回動することが抑えられるため、各ボルト17が締め付けられる前後でモータハウジング50の位置がズレることを抑えられ、ベルト43の張力を精度よく調整することができる。
本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
1 電動パワーステアリング装置
6 転舵シャフト
10 電動モータ
15 中継シャフト
17 ボルト
27 長穴
30 運動変換機構
40 回転伝達機構
41 駆動プーリ
42 従動プーリ
43 ベルト
50 モータハウジング
51 外周面
61、62 ガイドホルダ
63、64 内周面
65、66 ピン

Claims (3)

  1. 電動モータの出力が、前記電動モータのモータシャフトによって回転駆動される駆動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリに渡って掛け回されるベルトと、前記従動プーリの回転を転舵シャフトの軸方向の移動に変換する運動変換機構とを介して前記転舵シャフトに付与される電動パワーステアリング装置の製造方法であって、
    前記運動変換機構を収容するケーシングに前記電動モータを収容するモータハウジングを組み付ける組み付け工程と、
    前記ケーシングに対して前記モータハウジングを支持するガイドホルダを前記ケーシングに取り付けるガイドホルダ取り付け工程と、
    前記ガイドホルダに支持される前記モータハウジングの位置を変えて前記ベルトの張力を調整する張力調整工程と、
    前記ガイドホルダに支持される前記モータハウジングをボルトを介して前記ケーシングに締結する締結工程と、
    前記ガイドホルダを前記ケーシングから取り外すガイドホルダ取り外し工程と、を行うことを特徴とする電動パワーステアリング装置の製造方法。
  2. 前記ガイドホルダは、前記モータシャフトの回転中心である前記電動モータの回転中心軸に対して前記モータハウジングの回動中心であるモータハウジング回動中心軸をオフセットさせながら、前記モータハウジング回動中心軸について前記モータハウジングを回動可能に支持するものであり、
    前記張力調整工程では、前記ガイドホルダを介して支持される前記モータハウジングを回動させることによって前記電動モータの回転中心軸が変位することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置の製造方法。
  3. 電動モータの出力が、前記電動モータのモータシャフトによって回転駆動される駆動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリに渡って掛け回されるベルトと、前記従動プーリの回転を転舵シャフトの軸方向の移動に変換する運動変換機構とを介して前記転舵シャフトに付与される電動パワーステアリング装置の製造に用いられる治具であって、
    前記運動変換機構を収容するケーシングに前記電動モータを収容するモータハウジングの締結位置を変える際に前記ケーシングに対して前記モータハウジングの外周面を摺動可能に支持するガイドホルダを備え、
    前記ガイドホルダは、前記モータシャフトの回転中心である前記電動モータの回転中心軸に対して前記モータハウジングの回動中心である前記モータハウジング回動中心軸をオフセットさせながら、前記モータハウジング回動中心軸について前記モータハウジングを回動可能に支持する構成としたことを特徴とする電動パワーステアリング装置の製造に用いられる治具。
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