JP5622107B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

定着装置及び画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5622107B2
JP5622107B2 JP2011003504A JP2011003504A JP5622107B2 JP 5622107 B2 JP5622107 B2 JP 5622107B2 JP 2011003504 A JP2011003504 A JP 2011003504A JP 2011003504 A JP2011003504 A JP 2011003504A JP 5622107 B2 JP5622107 B2 JP 5622107B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fixing
region
infrared
fixing device
irradiated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011003504A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012145720A (ja
Inventor
卓弥 瀬下
卓弥 瀬下
吉川 政昭
政昭 吉川
石井 賢治
賢治 石井
吉永 洋
洋 吉永
荒井 裕司
裕司 荒井
高木 啓正
啓正 高木
岩谷 直毅
直毅 岩谷
哲生 徳田
哲生 徳田
嘉紀 山口
嘉紀 山口
一平 藤本
一平 藤本
豊 池淵
豊 池淵
有信 吉浦
有信 吉浦
高広 今田
高広 今田
後藤 創
創 後藤
俊彦 下川
俊彦 下川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2011003504A priority Critical patent/JP5622107B2/ja
Publication of JP2012145720A publication Critical patent/JP2012145720A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5622107B2 publication Critical patent/JP5622107B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat

Description

本発明は、記録媒体上に形成されたトナー像を定着させる定着装置、及びその定着装置を備えたファクシミリ、プリンタ、複写機などの画像形成装置に関するものである。
この種の画像形成装置として、像担持体である感光体ドラムの表面に静電潜像を形成し、感光体ドラム上の静電潜像を樹脂微粒子からなるトナーによって現像して顕像化して、このトナー像を転写装置により転写紙等の記録媒体に転写する電子写真方式の画像形成装置が知られている。この画像形成装置では、トナー像が転写された転写紙に対して定着ニップ部で熱及び圧力を加えることにより、転写紙上のトナー像を定着する定着装置が広く用いられている。
また、転写紙に熱を加える定着ベルトや定着ローラ等の無端状の回転可能な定着部材を加熱する熱源として、赤外線を照射して輻射熱によって定着部材に接触する加熱部材を加熱し、加熱部材を介して定着部材を加熱するハロゲンヒータを備えた定着装置が知られている(特許文献1等)。この種の定着装置では、定着部材の回転軸に平行な軸方向について定着部材を均一に加熱するために、ハロゲンヒータにおける赤外線を照射する照射部が軸方向に延在するように配置されている。
ハロゲンヒータは照射部の軸方向の長さを規定していても、その照射部の全域から均一な赤外線が照射されるわけではなく、照射部の軸方向の端部では照射される赤外線の出力が低下する。このため、加熱部材が軸方向に均一な部材であると、加熱部材側の赤外線が照射される被照射領域は軸方向全域に均一な温度分布を得られず、被照射領域の軸方向の両端部は温度の落ち込みが生じる。よって、転写紙の幅方向(定着ニップ部における軸方向に平行な方向)の全域で所望の定着性を確保しようとすると、端部での温度低下が許容されるところまでハロゲンヒータの照射部の軸方向の長さを規定し、被照射領域の軸方向の長さを転写紙の幅方向の最大幅よりも長くする必要がある。このように、被照射領域の軸方向の長さを転写紙の幅方向の最大幅よりも長くすることで、転写紙の幅方向の全域で所望の定着性を確保することができる。
しかしながら、転写紙の幅方向端部よりも外側となる領域の被照射領域によって加熱される領域の定着部材は通紙する転写紙のサイズに関係なく転写紙と接触しないため、定着部材から転写紙への熱の受け渡しが行われない。このため、この領域の定着部材は連続通紙時に昇温し続け、高温に起因する部品の破損等の不具合を防止するために設定された定着部材の上限温度まで過昇温することがある。このように定着部材の一部が上限温度に達すると、定着装置を停止する必要があり、過昇温した領域が所定の温度まで自然冷却することを待って連続通紙を再開する。このように、転写紙に接触せず、定着に寄与しない定着部材の領域が過昇温することに起因して、連続通紙を停止することは生産性の低下に繋がる。
さらに、ハロゲンヒータによって加熱を行う定着装置としては、複数のハロゲンヒータを軸方向に複数配置するものがある。複数のハロゲンヒータを配置する場合、加熱部材の被照射領域に隙間があると、その部分の定着部材への加熱が不十分となる。このため、隣り合うハロゲンヒータによる被照射領域の一部が重なるようにハロゲンヒータを配置する。このよう配置すると、加熱部材における被照射領域が重なった領域は、照射される赤外線が強くなる。このように、照射される赤外線が強くなる領域は、他の領域よりも温度が上昇し、この領域の加熱部材に接触する領域の定着部材は他の領域よりも表面温度が高くなり過昇温が生じる。定着部材の一部に他の領域よりも温度が高くなる領域があると、温度ムラが生じた状態であり、光沢ムラなどの定着画像の不均一化が生じる。
このように、軸方向における加熱部材の被照射領域の両端部よりも内側で、且つ、転写紙の最大幅よりも外側の領域や被照射領域が重なり合う領域のように、軸方向における特定の領域が過昇温すると、生産性の低下や、定着画像の不均一化などの不具合が生じる。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、定着部材の軸方向における特定の領域が過昇温することに起因する不具合の発生を抑制できる定着装置、及び、この定着装置を備えた画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、無端状の回転可能な定着部材と、該定着部材に接触して熱伝導によって該定着部材を加熱する加熱部材と、該加熱部材に赤外線を照射することによって加熱する赤外線照射手段とを有し、未定着の樹脂微粒子を担持した記録媒体と該定着部材の外周面とが接触する定着部で、該定着部材の熱によって該樹脂微粒子を該記録媒体に定着する定着装置において、上記赤外線照射手段は、赤外線を照射する照射領域の位置が互いに異なる複数の赤外線照射部材を備え、該赤外線照射手段から赤外線を照射される上記加熱部材の被照射領域は、二つの該赤外線照射部材の該加熱部材における被照射領域同士の一部が重なる二重被照射領域があり、該二重被照射領域は、上記定着部材の回転軸に平行な軸方向の位置が異なる他の該被照射領域とは赤外線吸収率が異なることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の定着装置において、上記定着部材は、無端状ベルトであり、上記加熱部材は、該定着部材の内側に装置本体に対して固定支持されて設置され、回転する該定着部材の内周面に接触摺動して該定着部材を加熱する部材であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の定着装置において、上記定着部で上記定着部材の外周面に加圧当接する加圧部材と、該定着部材の内側で装置本体に対して固定支持されるように設置され、該定着部材を介して該加圧部材に当接して定着ニップ部を形成する当接部材と、該当接部材を該加圧部材に対して反対側から裏当てしてニップ面圧を確保する裏当て部材とを備え、上記赤外線照射手段の赤外線照射部は、上記加熱部材と上記裏当て部材とによって囲まれる空間内に配置され、該裏当て部材の該赤外線照射部と対向する面に赤外線を反射する赤外線反射部材を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の定着装置において、上記定着部を通過し得る上記記録媒体のうち、該定着部を通過するときに上記軸方向と平行な幅方向の長さである記録媒体幅が最大となる該記録媒体が、該定着部で通過する該軸方向の領域を最大通紙領域としたときに、上記加熱部材の上記被照射領域における該軸方向について該最大通紙領域よりも外側となる領域に該最大通紙領域よりも内側となる領域よりも赤外線吸収率が低い赤外線低吸収率領域を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の定着装置において、上記赤外線低吸収率領域よりも赤外線吸収率が高い領域と該赤外線低吸収率領域との境界が、上記最大通紙領域よりも外側で、且つ、上記赤外線照射手段における赤外線を照射する照射部の上記軸方向の両端部よりも内側であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の定着装置において、上記複数の赤外線照射部材は、上記射領域の上記軸方向についての位置が互いに異な上記二重被照射領域に他の上記被照射領域よりも赤外線吸収率が低い赤外線低吸収率領域を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の定着装置において、上記加熱部材の上記被照射領域における他の領域よりも赤外線吸収率が高い領域に対して上記軸方向の位置が同じとなる位置の上記定着部材の温度を検出する定着部材温度検出手段と、該定着部材温度検出手段の検知結果に基づいて上記赤外線照射手段の赤外線の照射を制御し、該定着部材が昇温し過ぎることを防止する過昇温防止手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の定着装置において、上記被照射領域となる上記加熱部材の表面に塗布する塗布層の厚みの違い、または、該塗布層の有無によって、該加熱部材の該被照射領域における赤外線吸収率が異なる領域を形成することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の定着装置において、上記被照射領域となる上記加熱部材の表面に塗布する塗布層の材料の違いによって、該加熱部材の該被照射領域における赤外線吸収率が異なる領域を形成することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、記録媒体に対して画像を形成する画像形成部と、該画像形成部で形成された記録媒体上の画像を定着させる定着手段と、を備えた画像形成装置において、上記定着装置として、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の定着装置を用いたことを特徴とするものである。
本発明においては、加熱部材の被照射領域は、軸方向で赤外線吸収率が異なり、赤外線吸収率が相対的に低い領域(以下、赤外線低吸収率領域と呼ぶ)は、他の領域よりも、照射された赤外線の出力に対する加熱効率が低下する。よって、上述したような定着部材における過昇温が生じ易い特定の領域と接触する位置の加熱部材の被照射領域を、赤外線低吸収率領域とすることによって、この領域における赤外線の出力に対する定着部材の加熱効率を低下させることが可能になる。過昇温が生じ易い特定の領域の定着部材の加熱効率が低下することで、過昇温となることを抑制することができる。
本発明によれば、軸方向における特定の領域が過昇温することを抑制できるため、この領域が過昇温することに起因する不具合の発生を抑制できるという優れた効果を奏する。
本実施形態に係るプリンタの概略構成図。 実施例1の定着装置の概略構成図。 図2中のA−A断面の説明図。 実施例1の加熱板の内周面における軸方向の各領域での表面加工の一例の説明図。 実施例1で、赤外線吸収率を低くする表面加工が、最大通紙領域よりも外側と二重被照射領域とで、異なる構成の説明図。 実施例1で、赤外線照射部材が一本の構成の定着ベルト及び加熱板の断面図。 実施例2の定着装置の概略構成図。 図7中のA−A断面で、ベルト内周面における軸方向の各領域での表面加工の一例の説明図。 実施例2で、赤外線吸収率を低くする表面加工が、最大通紙領域よりも外側と二重被照射領域とで、異なる構成の説明図。 実施例2で、赤外線照射部材が一本の構成の定着ベルト及び加熱板の断面図。 図5に示す構成に、過昇温防止装置の温度センサを配置した構成の説明図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る定着装置を備えたプリンタとしてのタンデム型のカラープリンタ(以下、単にプリンタ1という)概略構成図である。
プリンタ1本体の上方にあるボトル収容部101には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱自在(交換自在)に設置されている。ボトル収容部101の下方には中間転写ユニット85が配設されている。その中間転写ユニット85の中間転写体としての中間転写ベルト78に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。これらの作像部4Y、4M、4C、4K及び中間転写ユニット85、並びに後述の露光部3、一次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、二次転写バックアップローラ82及び二次転写ローラ89等により、転写紙P上のトナー像を形成するトナー像形成手段が構成される。
各作像部4Y、4M、4C、4Kには、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kが配設されている。また、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの周囲には、それぞれ、帯電手段としての帯電装置75、現像手段としての現像装置76、像担持体クリーニング手段としてのクリーニング装置77、除電手段としての除電部(不図示)等が配設されている。そして、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われることにより、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に各色の画像(トナー像)が形成される。
感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、不図示の駆動モータによって図1中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電装置75の位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面が一様に帯電される(帯電工程)。その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光手段としての露光部3から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程)。静電潜像が形成された感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、現像装置76との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、各色のトナー像が形成される(現像工程)。トナー像が形成された感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト78及び一次転写手段としての一次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される(一次転写工程)。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上には、僅かながら未転写トナーが残存する。その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、クリーニング装置77との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に残存した未転写トナーがクリーニング装置77のクリーニングブレードによって機械的に回収される(クリーニング工程)。最後に、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で行われる一連の作像プロセスが終了する。現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像は、中間転写ベルト78上に重ねて転写される。以上により、中間転写ベルト78上にカラー画像が形成される。
中間転写ユニット85は、中間転写ベルト78、4つの一次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、二次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、中間転写体クリーニング手段としての中間転写クリーニング装置80、等で構成される。中間転写ベルト78は、3つのローラ(82〜84)によって張架・支持されるとともに、1つのローラである二次転写バックアップローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。4つの一次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kは、それぞれ、中間転写ベルト78を感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kとの間に挟み込んで一次転写ニップを形成している。そして、一次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。そして、中間転写ベルト78は、矢印方向に走行して、各一次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの一次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト78上に重ねて一次転写される。各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト78は、二次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、二次転写バックアップローラ82が、二次転写ローラ89との間に中間転写ベルト78を挟み込んで二次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト78上に形成された4色のトナー像は、この二次転写ニップの位置に搬送された用紙(転写紙)等の転写紙P上に転写される。このとき、中間転写ベルト78には、転写紙Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。その後、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング装置80の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収される。こうして、中間転写ベルト78上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
二次転写ニップの位置に搬送された転写紙Pは、プリンタ1本体の下方に配設された給紙部12から、給紙ローラ97やレジストローラ対98等を経由して搬送されたものである。詳しくは、給紙部12には、用紙(転写紙)等の転写紙Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ97が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の転写紙Pがレジストローラ対98のローラ間に向けて給送される。レジストローラ対98に搬送された転写紙Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対98のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト78上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対98が回転駆動されて、転写紙Pが二次転写ニップに向けて搬送される。こうして、転写紙P上に、所望のカラー画像が転写される。その後、二次転写ニップの位置でカラー画像が転写された転写紙Pは、定着装置20による定着位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト21及び加圧ローラ31による熱と圧力とにより、感光体ドラムから転写されたカラー画像が転写紙P上に定着される。その後、転写紙Pは、排紙ローラ対99のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対99によって装置外に排出された転写紙Pは、出力画像として、スタック部100上に順次スタックされる。こうして、プリンタ1における、一連の画像形成プロセスが完了する。
〔実施例1〕
次に、本発明を適用した定着装置20の一つ目の実施例(以下、実施例1と呼ぶ)について説明する。
図2は、実施例1の定着装置20の概略構成図である。
図2に示す定着装置20は、定着部材としての定着ベルト21、熱源としてのヒータ25、加圧部材としての加圧ローラ31、定着ベルト21を介して加圧ローラ31に当接して定着ニップ部Nを形成する当接部材22等を備えている。また、定着ベルト21の内側には、定着ベルト21の内周面と外周面が摺擦するように配置され、ヒータ25によって供給された熱量を定着ベルト21に伝達して定着ベルト21を加熱する加熱部材としての筒状の加熱板24が配置されている。加熱板24は、定着ニップ部Nの位置で開口部となっており、定着ニップ部Nでは当接部材22と定着ベルト21の内周面とが摺擦する。
図3は、図2中のA−A断面における定着ベルト21、加熱板24及びヒータ25の説明図である。
定着ベルト21は、回転する無端状ベルトであり、厚さが30[μm]、φ30[mm]、図2中の紙面に直行する方向である軸方向長さが270[mm]の無端状のニッケル基材上にシリコンゴムを100[μm]塗布し、さらにその上にPFA(四フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)を50[μm]塗布している。
加熱板24は、厚さが20[μm]、軸方向長さが270[mm]のステンレス鋼板を、φ30[mm]で一部が開口した筒状に形成したものを用い、装置本体に対して固定支持されている。また、加熱板24の内周面である加熱板内周面240には、赤外線をより吸収しやすいように、約3[μm]の黒色塗装を施している。
当接部材22は、アルミニウムからなり、筒状の加熱板24の開口している部分に配置され、定着ベルト21の内周面に接触するように、装置本体に対して固定支持されている。そして、当接部材22は、定着ベルト21を介した加圧ローラ31との当接により、トナーTを転写紙Pに定着させるための定着ニップ部Nを形成している。
加圧ローラ31は、φ25[mm]の芯金上に厚さが2.5[mm]のシリコンゴム層を形成し、φ30[mm]、軸方向長さが260[mm]で構成している。加圧ローラ31は、定着ベルト21に対向するように設けられ、図示しないスプリングや板バネ等の加圧手段により定着ベルト21の外周面に対して加圧される。
当接部材22を加圧ローラ31とは反対方向から裏当てしてニップ面圧を確保する裏当て部材23は厚さが6[mm]、軸方向長さが270[mm]の板状のステンレス鋼を用いている。
加圧ローラ31は、不図示の駆動源より回転駆動が伝達されることにより、図2中の矢印B方向に回転する。定着ニップ部Nで加圧ローラ31に当接する定着ベルト21は、この加圧ローラ31の回転駆動により、連れ回り、図2中の矢印C方向に回転する。
ヒータ25は、加熱板24の内周面を加熱する熱を発生する熱源である。本実施形態では、ヒータ25としてハロゲンヒータ(ハロゲンランプ)からなる赤外線ヒータを用いているが、ヒータ25としてはこれに限るものではなく、カーボンヒータ等の他の赤外線ヒータで構成してもよい。また、ヒータ25は、その両端部が定着装置20の側板に固定され、プリンタ1の本体の電源部やコントローラにより出力制御される。このヒータ25からの輻射熱によって加熱板24が加熱され、加熱板24に接触する定着ベルト21に熱量が伝播して定着ベルト21が加熱される。加熱された定着ベルト21の外周面から転写紙P上のトナー像に熱が加えられる。
ヒータ25は、定着ベルト21の軸方向(図3中の左右方向)の中央部を加熱する中央ヒータ25aと、定着ベルト21の軸方向の両端部それぞれを加熱する端部ヒータ25bとの二本の赤外線照射部材からなるデュアルハロゲンヒータを使用した。中央ヒータ25a及び端部ヒータ25bは、図中の波線で示す部分が赤外線を発する照射部であり、中央ヒータ25aと端部ヒータ25bとでは、照射部の軸方向の一部が重なるように配置されている。
定着装置20では、中央ヒータ25aと端部ヒータ25bとをそれぞれ制御する方式を採用しており、通紙する転写紙Pが大サイズの時は中央ヒータ25aと端部ヒータ25bとの両方を点灯し、転写紙Pが小サイズの時は中央ヒータ25aのみを点灯して温度制御を行う。
裏当て部材23のヒータ25に対向する面には赤外線を反射する赤外線反射部材28が配置されている。赤外線反射部材28はアルミニウム基材上に銀を蒸着させた部材であり、厚さが0.5[mm]、軸方向長さが273[mm]の板状部材で構成している。そして、銀を蒸着した赤外線反射面をヒータ25に対向する位置に配置している。
図2に示す定着装置20は、上述した構成により、定着ベルト21外周面の熱と、定着ニップ部Nにおけるニップ圧とによって転写紙Pに担持された未定着の樹脂微粒子であるトナーTを転写紙Pに定着する。
図2に示す定着装置20は、上述した部材で構成した定着装置を用いたが、定着装置20としては、詳細を示した上述の部材を用いた定着装置に限定されるものではない。
次に、実施例1の定着装置20の特徴部について説明する。
実施例1の定着装置20は、加熱板内周面240が、軸方向で赤外線吸収率が異なる構成となっている。
図4は、実施例1の定着装置20が備える加熱板24の加熱板内周面240における軸方向の各領域での表面加工の一例の説明図である。
図4に示す例では、加熱板内周面240は、上述した赤外線を吸収しやすい黒色塗装が成された通常塗装領域240aと、この黒色塗装が成されていない塗装無し領域240bとが形成されている。これにより、通常塗装領域240aよりも塗装無し領域240bの方が赤外線吸収率が低くなる構成を実現できる。
ヒータ25は、実際は図3に示すように加熱板24の内側に配置されているが、図4では、加熱板内周面240における各領域とヒータ25との軸方向の位置関係を比較し易いように、ヒータ25を加熱板24や定着ベルト21の外側に記載している。
図4中の「α」は、ヒータ25の赤外線の照射領域を示し、「β」は、最大幅の転写紙Pが通過する最大通紙領域を示す。また、ヒータ25から赤外線を照射される加熱板24の被照射領域の軸方向の長さは、照射領域αの幅よりも広くなる。これは、ヒータ25が発した赤外線は拡がりをもって加熱板内周面240に照射されるためである。本実施例では、被照射領域の軸方向の長さは、加熱板24の軸方向の長さの全域となっている。
また、中央ヒータ25aと端部ヒータ25bとでは、照射部の軸方向の一部が重なるように配置されているため、加熱板内周面240における中央ヒータ25aによる被照射領域と、端部ヒータ25bによる被照射領域とは、二つの被照射領域が重なる二重被照射領域γが形成される。ヒータ25の照射部の軸方向の長さよりも加熱板内周面240における被照射領域の軸方向の長さの方が長くなるため、二重被照射領域γの軸方向の長さは、中央ヒータ25aの照射部と端部ヒータ25bの照射部との軸方向の一部が重なる長さよりも長くなる。
図4に示すように、加熱板内周面240の軸方向における最大通紙領域βよりも外側で、且つ、照射領域αよりも内側に、赤外線吸収率が小さい塗装無し領域240bと、赤外線吸収率が大きい通常塗装領域240aとの境界を設けた。さらに、ヒータ25として、デュアルヒータを使用しているため、それぞれの赤外線照射部材の照射部の軸方向の位置が重なる箇所に相当する加熱板内周面240上の箇所を含むその近傍の領域である二重被照射領域γを塗装無し領域240bとして、赤外線吸収率を小さくした。
実施例1では、最大通紙領域βの軸方向端部から外側へ2[mm]、且つ、照射領域αの軸方向端部から内側へ5[mm]の位置に、通常塗装領域240aと塗装無し領域240bとの境界を設けている。しかし、この境界の位置は、定着装置20の構成に応じて適宜最適値を選ぶことが必要となる。
また、中央ヒータ25aの照射部と端部ヒータ25bの照射部との軸方向の位置が重なる軸方向の部分に対応する加熱板内周面240の軸方向の位置において、照射部の軸方向の位置が重なる部分を中心として軸方向の内外に5[mm]程度の領域を二重被照射領域γとして、赤外線吸収率の小さい領域を作った。
図4に示す実施例1の定着装置20では、赤外線吸収率が小さい領域は、加熱板内周面240に黒色塗装を施さないことによって作成したが、塗装の厚さを変更し、赤外線吸収率が小さくなるようにしても良い。
図5は、通常塗装領域240aよりも赤外線吸収率を低くする表面加工が、最大通紙領域βよりも外側で赤外線吸収率を小さくする領域と、二重被照射領域γとで、異なる構成の説明図である。
図5に示す構成では、二重被照射領域γを通常塗装領域240aよりも塗装の厚さが薄い、薄塗装領域240cとし、最大通紙領域βよりも外側で赤外線吸収率を小さくする領域は塗装無し領域240bとしている。
また、図4及び図5に示す構成では、最大通紙領域βよりも外側の領域と、二重被照射領域γとの両方を通常塗装領域240aよりも赤外線吸収率が低い赤外線低吸収率領域としているが、いずれか一方の領域のみを赤外線低吸収率領域とする構成であってもよい。
また、赤外線吸収率を小さくするための手段としては、塗装の有無の違いや塗装の厚さの違いに限るものではない。例えば、塗装材質を変更する、加熱板内周面240の表面を粗面にする等の手段を用いても良く、その他、赤外線吸収率を小さくする手段であれば適用可能である。
また、加熱板内周面240の軸方向で赤外線吸収率が異なる構成としては、塗装の有無や、厚さ、または、塗装材料の違いなど、塗装を用いたものに限るものではない。加熱板内周面240が塗装されていない加熱板24においても、本発明は適用可能であり、その際は、赤外線被照射領域である加熱板内周面240の表面粗さを異ならせ、加熱板内周面240の軸方向での赤外線吸収率の大小を設けてもよい。
実施例1では、軸方向における照射部の位置が異なり、軸方向における照射部の位置の一部が重なる二つの赤外線照射部材(25a及び25b)を備える構成である。これに対して、一つの赤外線照射部材の場合、または、複数の赤外線照射部材の軸方向における照射部の位置が同じ構成の場合は、二重被照射領域γのように、照射部の軸方向の位置が異なる複数の赤外線照射部材による被照射領域が重なることで、他の被照射領域よりも赤外線の被照射量が多くなる領域が加熱板内周面240に生じない。このため、二重被照射領域γのような最大通紙領域βの内側に、赤外線吸収率を小さくした領域を設ける必要がない。
図6は、赤外線照射部材が一本のヒータ25を備えた定着装置20における定着ベルト21及び加熱板24の断面図である。
図6に示すように、ヒータ25の赤外線照射部材を一本とする構成では、加熱板24の内周面における赤外線照射部材による被照射領域の一部が重なる部分が生じなくなる。このため、最大通紙領域βに対して軸方向外側に赤外線吸収率が小さい領域(塗装無し領域240b)を設け、赤外線吸収率が大きい領域(通常塗装領域240a)との境界を、最大通紙領域βよりも外側で、且つ、照射領域αよりも内側に設定するのみでよい。
図4乃至6を用いて説明した実施例1では、赤外線吸収率が高い領域を「通常塗装領域240a」とし、この領域に比べて赤外線吸収率が低い領域を「塗装無し領域240b」または「薄塗装領域240c」という書き方で表現しているが、軸方向で赤外線吸収率を変化させることができれば、ここで示す手段によらなくても良い。
〔実施例2〕
次に、本発明を適用した定着装置20の二つ目の実施例(以下、実施例2と呼ぶ)について説明する。
図7は、実施例2の定着装置20の概略構成図である。
図7に示す定着装置20は、定着部材としての定着ベルト21、熱源としてのヒータ25、加圧部材としての加圧ローラ31、定着ベルト21を介して加圧ローラ31に当接して定着ニップ部Nを形成する当接部材22等を備えている。そして、実施例1の定着装置20では、定着ベルト21とは別部材として加熱板24を設けているのに対して、実施例2の定着装置20では、定着ベルト21が加熱部材としての機能も備えており、ヒータ25によって定着ベルト21の内周面であるベルト内周面210を直接加熱する方式である。
図8は、図7中のA−A断面における定着ベルト21及びヒータ25の一例の説明図であって、図4と同様に、ベルト内周面210における各領域とヒータ25との軸方向の位置関係を比較し易いように、ヒータ25を定着ベルト21の外側に記載している。
定着ベルト21は、回転する無端状ベルトであり、厚さが30[μm]、φ30[mm]、図7中の紙面に直行する方向(図8中の左右方向)である軸方向長さが270[mm]の無端状のニッケル基材上にシリコンゴムを100[μm]塗布し、さらにその上にPFA(四フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)を50[μm]塗布している。さらに、その内周面であるベルト内周面210は、赤外線をより吸収しやすいように、約3[μm]の黒色塗装を施している。
当接部材22は、アルミニウムからなり、定着ベルト21を介した加圧ローラ31との当接により、トナーTを転写紙Pに定着させるための定着ニップ部Nを形成している。
加圧ローラ31は、φ25[mm]の芯金上に厚さが2.5[mm]のシリコンゴム層を形成し、φ30[mm]、軸方向長さが260[mm]で構成している。加圧ローラ31は、定着ベルト21に対向するように設けられ、図示しないスプリングや板バネ等の加圧手段により定着ベルト21の外周面に対して加圧される。
当接部材22を加圧ローラ31とは反対方向から裏当てしてニップ面圧を確保する裏当て部材23は厚さが6[mm]、軸方向長さが270[mm]の板状のステンレス鋼を用いている。
加圧ローラ31は、不図示の駆動源より回転駆動が伝達されることにより、図2中の矢印B方向に回転する。定着ニップ部Nで加圧ローラ31に当接する定着ベルト21は、この加圧ローラ31の回転駆動により、連れ回り、図7中の矢印C方向に回転する。
裏当て部材23のヒータ25に対向する面には赤外線を反射する赤外線反射部材28が配置されている。赤外線反射部材28はアルミニウム基材上に銀を蒸着させた部材であり、厚さが0.5[mm]、軸方向長さが273[mm]の板状部材で構成している。そして、銀を蒸着した赤外線反射面をヒータ25に対向する位置に配置している。
ヒータ25は、定着ベルト21のベルト内周面210を加熱する熱源である。本実施形態では、ヒータ25としてハロゲンヒータ(ハロゲンランプ)からなる赤外線ヒータを用いているが、カーボンヒータ等の他の赤外線ヒータで構成してもよい。また、ヒータ25は、その両端部が定着装置20の側板に固定され、プリンタ1の本体の電源部やコントローラにより出力制御される。このヒータ25からの輻射熱によって定着ベルト21が加熱される。加熱された定着ベルト21の外周面から転写紙P上のトナー像に熱が加えられる。
ヒータ25は、定着ベルト21の軸方向(図8中の左右方向)の中央部を加熱する中央ヒータ25aと、定着ベルト21の軸方向の両端部それぞれを加熱する端部ヒータ25bとの二本の赤外線照射部材からなるデュアルハロゲンヒータを使用した。中央ヒータ25a及び端部ヒータ25bは、図中の波線で示す部分が赤外線を発する照射部であり、中央ヒータ25aと端部ヒータ25bとでは、照射部の軸方向の一部が重なるように配置されている。
定着装置20では、中央ヒータ25aと端部ヒータ25bとをそれぞれ制御する方式を採用しており、通紙する転写紙Pが大サイズの時は中央ヒータ25aと端部ヒータ25bとの両方を点灯し、転写紙Pが小サイズの時は中央ヒータ25aのみを点灯して温度制御を行う。
図7に示す実施例2の定着装置20のような構成でも、実施例1の加熱板内周面240と同様の表面加工をベルト内周面210に適用することで、本発明が解決しようとする課題を解決することができる。
図8に示す例では、ベルト内周面210は、上述した赤外線を吸収しやすい黒色塗装が成されたベルト通常塗装領域210aと、この黒色塗装が成されていないベルト塗装無し領域210bとが形成されている。これにより、ベルト通常塗装領域210aよりもベルト塗装無し領域210bの方が赤外線吸収率が低くなる構成を実現できる。
ヒータ25から赤外線を照射される定着ベルト21の被照射領域の軸方向の長さは、照射領域αの幅よりも広くなる。これは、ヒータ25が発した赤外線は拡がりをもって定着ベルト21のベルト内周面210に照射されるためである。本実施例では、被照射領域の軸方向の長さは、定着ベルト21の軸方向の長さの全域となっている。
また、中央ヒータ25aと端部ヒータ25bとでは、照射部の軸方向の一部が重なるように配置されているため、ベルト内周面210における中央ヒータ25aによる被照射領域と、端部ヒータ25bによる被照射領域とは、二つの被照射領域が重なる二重被照射領域γが形成される。ヒータ25の照射部の軸方向の長さよりもベルト内周面210における被照射領域の軸方向の長さの方が広くなるため、二重被照射領域γの軸方向の長さは、中央ヒータ25aの照射部と端部ヒータ25bの照射部との軸方向の一部が重なる長さよりも長くなる。
図8に示すように、ベルト内周面210の軸方向における最大通紙領域βよりも外側で、且つ、照射領域αよりも内側に、赤外線吸収率が小さいベルト塗装無し領域210bと、赤外線吸収率が大きいベルト通常塗装領域210aとの境界を設けた。さらに、ヒータ25として、デュアルヒータを使用しているため、それぞれの赤外線照射部材の照射部の軸方向の位置が重なる部分に相当するベルト内周面210上の位置を含むその近傍の領域である二重被照射領域γをベルト塗装無し領域210bとして、赤外線吸収率を小さくした。
実施例2では、最大通紙領域βの軸方向端部から外側へ2[mm]、且つ、照射領域αの軸方向端部から内側へ5[mm]の位置に、ベルト通常塗装領域210aとベルト塗装無し領域210bとの境界を設けている。しかし、この境界の位置は、定着装置20の構成に応じて適宜最適値を選ぶことが必要となる。
また、中央ヒータ25aの照射部と端部ヒータ25bの照射部とが重なる軸方向の部分に対応するベルト内周面210の軸方向の位置において、照射部が重なる部分を中心として軸方向の内外に5[mm]程度の領域を二重被照射領域γとして、赤外線吸収率の小さい領域を作った。
図8に示す実施例2の定着装置20では、赤外線吸収率が小さい領域は、ベルト内周面210に黒色塗装を施さないことによって作成したが、塗装の厚さを変更し、赤外線吸収率が小さくなるようにしても良い。
図9は、ベルト通常塗装領域210aよりも赤外線吸収率を低くする表面加工が、最大通紙領域βよりも外側で赤外線吸収率を小さくする領域と、二重被照射領域γとで、異なる構成の説明図である。
図9に示す構成では、二重被照射領域γをベルト通常塗装領域210aよりも塗装の厚さが薄い、ベルト薄塗装領域210cとし、最大通紙領域βよりも外側で赤外線吸収率を小さくする領域はベルト塗装無し領域210bとしている。
また、図8及び図9に示す構成では、最大通紙領域βよりも外側の領域と、二重被照射領域γとの両方をベルト通常塗装領域210aよりも赤外線吸収率が低い赤外線低吸収率領域としているが、いずれか一方の領域のみを赤外線低吸収率領域とする構成であってもよい。
また、赤外線吸収率を小さくするための手段としては、塗装の有無の違いや塗装の厚さの違いに限るものではない。例えば、塗装材質を変更する、ベルト内周面210の表面を粗面にする等の手段を用いても良く、その他、赤外線吸収率を小さくする手段であれば適用可能である。
また、ベルト内周面210の軸方向で赤外線吸収率が異なる構成としては、塗装の有無や、厚さ、または、塗装材料の違いなど、塗装を用いたものに限るものではない。ベルト内周面210が塗装されていない定着ベルト21においても、本発明は適用可能であり、その際は、赤外線被照射領域であるベルト内周面210の表面粗さを異ならせ、ベルト内周面210の軸方向での赤外線吸収率の大小を設けてもよい。
実施例2では、軸方向における照射部の位置が異なり、軸方向における照射部の位置の一部が重なる二つの赤外線照射部材(25a及び25b)を備える構成である。これに対して、一つの赤外線照射部材の場合、または、複数の赤外線照射部材の軸方向における照射部の位置が同じ構成の場合は、二重被照射領域γのように、照射部の軸方向の位置が異なる複数の赤外線照射部材による被照射領域が重なることで、他の被照射領域よりも赤外線の被照射量が多くなる領域がベルト内周面210に生じない。このため、二重被照射領域γのような最大通紙領域βの内側に、赤外線吸収率を小さくした領域を設ける必要がない。
図10は、赤外線照射部材が一本のヒータ25を備えた定着装置20における定着ベルト21の断面図である。
図10に示すように、ヒータ25の赤外線照射部材を一本とする構成では、ベルト内周面210における赤外線照射部材による被照射領域の一部が重なる部分が生じなくなる。このため、最大通紙領域βに対して軸方向外側となる非通紙領域に赤外線吸収率が小さい領域(ベルト塗装無し領域210b)を設け、赤外線吸収率が大きい領域(ベルト通常塗装領域210a)との境界を、最大通紙領域βよりも外側で、且つ、照射領域αよりも内側に設定するのみでよい。
図8乃至10を用いて説明した実施例2では、赤外線吸収率が高い領域を「ベルト通常塗装領域210a」とし、この領域に比べて赤外線吸収率が低い領域を「ベルト塗装無し領域210b」または「ベルト薄塗装領域210c」という書き方で表現しているが、軸方向で赤外線吸収率を変化させることができれば、ここで示す手段によらなくても良い。
〔変形例〕
本発明を適用した定着装置20は、以下のように過昇温防止装置と組み合わせることが望ましい。
図11は、変形例として、図5に示す構成の定着装置20に、過昇温防止装置の温度センサ26を配置した構成の説明図である。
本発明を適用した定着装置20は、定着ベルト21を加熱する加熱部材の被照射領域の赤外線吸収率を軸方向で変化させたものである。
このため、被照射領域における赤外線吸収率が高い箇所の方が、ヒータ25のON/OFF制御に対して、定着部材である定着ベルト21の外周面の温度は追従しやすい。よって、本発明を適用した定着装置20では、図11に示すように、定着部材の内周面側の赤外線吸収率の高い箇所(内側が通常塗装領域240aとなる定着ベルト21の外周面)と対向する位置に過昇温防止装置の温度センサ26を配置することがより望ましい。
図11に示す温度センサ26の配置は、ヒータ25として、デュアルヒータ使用する図4、図5、図8及び図9で示した構成の配置である。図6及び図10のように、ヒータ25としてシングルヒータを使用する場合は、内周面側が通常塗装領域240a(または、ベルト通常塗装領域210a)となる定着ベルト21の外周面と対向する位置に過昇温防止装置の温度センサ26を配置することことになる。
ヒータ25としてデュアルヒータ使用する場合、内周面側が二重被照射領域γとなる定着ベルト21の外周面と対向する位置に過昇温防止装置の温度センサ26を設置しないことが望ましい。この位置では、ヒータ25のON/OFF制御に対して、定着ベルト21の外周面の温度が追従し難いからである。
しかし、内周面側が二重被照射領域γとなる定着ベルト21の外周面と対向する位置に温度センサ26を設置した場合、メインヒータである中央ヒータ25aとサブヒータである端部ヒータ25bのコイル端部(照射部の軸方向端部)における温度変化を見ることができる。
内周面側が二重被照射領域γとなる定着ベルト21の外周面と対向する位置は、温度センサ26の設置箇所として望ましい設置箇所ではないが、この位置に温度センサ26を設置しても十分に過昇温を防止できる場合、コスト、レイアウトなどの理由でこの位置に温度センサ26を設置することも可能である。
ここで使用される過昇温防止装置としては、UL(アメリカ保険業者安全試験所)で認可されているサーモスタット、温度ヒューズ等の過昇温防止装置を用いることができる。また、ULで認可可されていなくとも、例えばソフトにより定着装置20をストップするための過昇温防止装置を設ける場合、上記理由により赤外線吸収率の高い箇所に過昇温防止装置の温度センサ26を設けることが望ましい。
以上、本実施形態の定着装置20は、定着ベルト21と、加熱部材と、ヒータ25とを有する。特に、実施例1の定着装置20は、定着ベルト21とは別部材の加熱板24を備え、実施例2の定着装置20は、定着ベルト21の内周面であるベルト内周面210が加熱部材としての機能を備える。定着ベルト21は、無端状の回転可能な定着部材であり、加熱板24は、定着ベルト21に接触して熱伝導によって定着ベルト21を加熱する加熱部材である。ヒータ25は、加熱板24に赤外線を照射することによって加熱する赤外線照射手段である。定着装置20は、未定着の樹脂微粒子であるトナーTを担持した記録媒体である転写紙Pと定着ベルト21の外周面とが接触する定着部である定着ニップ部Nで、定着ベルト21の熱によってトナーTを転写紙Pに定着する。このような定着装置20において、ヒータ25から赤外線を照射される被照射領域である加熱板内周面240(実施例2では、ベルト内周面210)は、定着ベルト21の回転軸に平行な軸方向で赤外線吸収率が異なる。
加熱部材の被照射領域(加熱板内周面240、ベルト内周面210)は、軸方向で赤外線吸収率が異なり、赤外線吸収率が相対的に低い赤外線低吸収率領域(240b、240c、210b及び210c)は、他の領域(240a及び210a)よりも、照射された赤外線の出力に対する加熱効率が低下する。よって、最大通紙領域βよりも外側である非通紙領域や二重被照射領域γのように、定着ベルト21における過昇温が生じ易い特定の領域と接触する位置の加熱部材の被照射領域を、赤外線低吸収率領域とすることによって、この領域における赤外線の出力に対する定着ベルト21の加熱効率を低下させることが可能になる。過昇温が生じ易い特定の領域の定着ベルト21の加熱効率が低下することで、過昇温となることを抑制することができる。非通紙領域や二重被照射領域γのように、軸方向における特定の領域が過昇温することを抑制できるため、この領域が過昇温することに起因する不具合の発生を抑制できる。
定着装置20のように赤外線を照射することによって定着部材を加熱する構成で、定着部材側の被照射領域(加熱板内周面240)の赤外線吸収率を軸方向で同じにすると、赤外線を吸収させたくない箇所(定着部材へ熱を伝えたくない箇所)でも、赤外線が吸収され、定着部材を加熱してしまう。具体的には最大通紙領域βよりも外側の非通紙領域においても定着部材が加熱され、非常に高温になってしまうことがある。このように定着部材の非通紙領域が高温となってしまう構成では、連続通紙時等、非通紙領域の温度が高くなりすぎることを防止するために、ある一定時間毎に定着部材を冷やす必要がある。そして、定着部材が冷えるまでの間、定着装置20を停止させることは、その間、ユーザーの待ち時間が発生してしまう。
これに対して、本実施形態の定着装置20のように、定着ベルト21の回転軸に平行な軸方向で加熱部材の赤外線吸収率が異なる構成であれば、軸方向で赤外線を吸収し易い領域と、赤外線を吸収し難い領域とを分けることが出来る。例えば、上述した非通紙領域における加熱部材の被照射領域(加熱板内周面240、または、ベルト内周面210)の赤外線吸収率を小さくすることで、非通紙領域において定着ベルト21が高温になってしまうことを抑制できる。これにより、定着ベルト21の温度が高くなり過ぎる(過昇温する)ことに起因するユーザーの待ち時間の発生等の不具合の発生を抑制することができる。
実施例1の定着装置20では、定着部材は、無端状ベルトからなる定着ベルト21であり、加熱部材は、定着ベルト21の内側に装置本体に対して固定支持されて設置され、回転する定着ベルト21の内周面に接触摺動して定着ベルト21を加熱する加熱板24である。また、実施例2では、定着ベルト21とは別部材の加熱板24を設けず、定着ベルト21のベルト内周面210を加熱部材として用いる構成である。
このような構成により、定着部材の熱容量の低下を図ることができ、定着装置20の低消費電力化(TEC値低減)を図ることができる。しかし、定着部材の熱容量を小さくすると、赤外線の照射を受ける加熱部材の被照射領域の軸方向における温度の差が、そのまま定着部材の外周面の温度の差となって反映されやすい。例えば、定着ローラのように熱容量の大きな定着部材を用いた構成で、赤外線を照射して定着部材を加熱する場合、被照射領域から定着部材の外周面に熱量が伝達される間に、軸方向での温度差が均され、被照射領域の軸方向における温度の差が、定着部材の外周面の温度の差となって反映され難い。
定着装置20のように、定着部材の熱容量の低下に伴い、被照射領域の軸方向における温度の差が、定着部材の外周面の温度の差となって反映され易くなると、赤外線照射手段を使用した際の照射部の軸方向の長さと、通紙領域幅の最適化を図ることがより困難になる。それは以下の二つの理由がある。
一つ目の理由は、軸方向最大通紙可能サイズ紙の最大画像領域である最大通紙領域β外の定着部材端部の温度上昇である。ハロゲンヒータのような赤外線照射手段では、照射部の軸方向の幅である照射領域αを規定していても、その照射部から照射される赤外線が入射する被照射領域では軸方向の全幅で均一な温度分布を得られるわけではなく、端部は温度の落込みがある。そのため、例えばスリープ復帰直後の1枚目から通紙領域全幅で定着性を確保しようとすると、ある程度、定着部材端部の温度低下が許容されるところまで照射部の軸方向の長さを長くし、画像領域全幅以上に照射部を設ける必要がある。しかし、このように照射部の軸方向の長さを長く規定すると、連続通紙の時は、転写紙Pが通過せず、転写紙Pへの熱量の受け渡しのない非通紙領域では、赤外線照射の影響を受け、温度が上昇してしまう。いわゆる小サイズ通紙時の端部温度上昇と同様の不具合が、軸方向最大通紙可能サイズ紙を通紙した際にもその紙通過領域のさらに外側で端部温度上昇が発生し、生産性が低下してしまう。
また、照射部の軸方向の長さと、通紙領域幅の最適化を図ることがより困難となる二つ目の理由は、被照射領域に照射される赤外線の軸方向における強度ムラがある。図3を用いて説明した定着部材のように、低熱容量化を図り、ヒータ25の赤外線照射部を複数設置した構成では、被照射領域の幅方向に隙間が生じることを防止するために、各赤外線照射部による被照射領域では、図4に示すように、二つの被照射領域が重なる二重被照射領域γが形成される。この二重被照射領域γは、他の被照射領域よりも照射される赤外線の強度が強くなり、この赤外線の強度のムラは被照射領域の軸方向の温度ムラとなる。このように、被照射領域の軸方向に温度ムラが生じると、定着部材の熱容量が小さく、被照射領域の軸方向における温度の差が、定着部材の外周面の温度の差となって反映され易く易い構成では、定着部材の外周面に温度ムラが生じる。定着部材の外周面に温度ムラが生じると、光沢ムラ等の定着画像の不均一化という不具合が生じる。このような定着画像の不均一化という不具合は、連続通紙時の後半で顕著に発生した。
このため、上述した2つの理由に起因する不具合を解決しなければ、定着部材の低熱容量化による定着装置20のさらなる省電力化はできない。
このような問題に対して、本発明を適用した定着装置20では、被照射領域(加熱板内周面240、または、ベルト内周面210)の軸方向について、赤外線を吸収し易い領域と、赤外線を吸収し難い領域とを設けている。そして、例えば最大通紙領域βよりも軸方向外側においては、通紙領域よりも赤外線吸収率を小さくする。また複数の赤外線照射部により加熱部材を加熱する際には、二重被照射領域γで、その他通紙領域よりも赤外線吸収率を小さくする。これにより、最大通紙領域βよりも軸方向外側の領域や二重被照射領域γでの温度の過昇温を防止することができる。結果として、最大通紙領域βよりも軸方向外側の過昇温に起因する生産性の低下や、通紙領域中に温度ムラがあることに起因する定着画像の不均一化の発生を防止することが出来る。
また、実施例1及び実施例2の定着装置20は、加圧ローラ31と、当接部材22と、裏当て部材23とを備える。加圧ローラ31は、定着ニップ部Nで定着ベルト21の外周面に加圧当接する加圧部材である。当接部材22は、定着部材の内側で装置本体に対して固定支持されるように設置され、該定着部材を介して該加圧部材に当接して定着ニップ部を形成する部材である。裏当て部材23は、当接部材22を加圧ローラ31に対して反対側から裏当てしてニップ面圧を確保する部材である。定着ベルト21のように薄い部材は熱容量が小さいが、定着ニップ部Nで外周面側から圧力が加わると容易に変形し、ニップ圧を確保し難い。これに対して、定着装置20は、当接部材22及び裏当て部材23を設けることにより、定着ニップ部Nにおけるニップ圧を確保できる。これにより、定着ニップ部Nでは、定着ベルト21による加熱に加えて、ニップ圧が定着に作用し、熱容量が小さい定着部材を用いて良好な定着を実現することができる。さらに、定着装置20は、ヒータ25の赤外線照射部は、加熱部材と裏当て部材23とによって囲まれる空間内に配置され、裏当て部材23の赤外線照射部と対向する面に赤外線を反射する赤外線反射部材28を設けている。このような赤外線反射部材28を設けることにより、定着ベルト21を加熱するために赤外線を照射すべき加熱部材以外の方向に照射された赤外線を加熱部材に反射させることができ、赤外線を用いた加熱の効率の向上を図ることができる。
また、定着装置20は、定着ニップ部Nを通過し得る転写紙Pのうち、定着ニップ部Nを通過するときに軸方向と平行な幅方向の長さである記録媒体幅が最大となる転写紙Pが、定着ニップ部Nで通過する軸方向の領域を最大通紙領域βとしたときに、加熱板24の被照射領域である加熱板内周面240(実施例2では、210)における軸方向について最大通紙領域βよりも外側となる領域に最大通紙領域βよりも内側となる領域の通常塗装領域240a(実施例2では、210a)よりも赤外線吸収率が低い赤外線低吸収率領域である塗装無し領域240b(実施例2では、210b)を設けている。
赤外線が加熱板内周面240の軸方向全域に照射される構成では、軸方向について最大通紙領域βよりも外側となる非通紙領域に、最大通紙領域βと同等の赤外線が吸収されると、定着ベルト21から転写紙Pへの熱の受け渡しが無いため、加熱板24や定着ベルト21が必要以上に加熱され、定着ベルト21の過昇温の原因となる。この過昇温によって定着ベルト21の一部が上限温度に達すると、定着装置20を停止する必要があり、過昇温した領域が所定の温度まで自然冷却することを待って連続通紙を再開する。このように、転写紙Pに接触せず、定着に寄与しない定着ベルト21の領域が過昇温することに起因して、連続通紙を停止することは生産性の低下に繋がる。
これに対して、最大通紙領域βよりも外側となる非通紙領域に塗装無し領域240bを設けることにより、非通紙領域における過昇温の発生を抑制することができる。これにより、軸方向端部の過昇温に起因して装置が停止することを抑制でき、定着ベルト21の軸方向における一部の領域が過昇温することに起因して生産性が低下することを抑制できる。
また、定着装置20は、赤外線低吸収率領域である塗装無し領域240bよりも赤外線吸収率が高い通常塗装領域240a領域と塗装無し領域240bとの境界が、最大通紙領域βよりも外側で、且つ、ヒータ25における赤外線を照射する照射部である照射領域αの軸方向の両端部よりも内側である。これにより、加熱板内周面240における照射領域αと対向する領域で、非通紙領域となる領域の赤外線吸収率を低下させることができ、非通紙領域の過昇温を抑制することができる。
また、図4、図5、図8及び図9に示す定着装置20では、赤外線照射手段であるヒータ25は、赤外線を照射する領域の軸方向についての位置が異なる複数の赤外線照射部材である中央ヒータ25aと端部ヒータ25bとを備える。そして、加熱部材における中央ヒータ25aによる被照射領域と端部ヒータ25bによる被照射領域との一部が重なる二重被照射領域γが形成されており、二重被照射領域γを塗装無し領域240b(210b)または薄塗装領域240c(210c)とすることで、他の領域よりも赤外線吸収率が低い赤外線低吸収率領域を設けている。
複数の赤外線照射部材によって加熱する構成では、それぞれの被照射領域が重なる二重被照射領域γでは、照射される赤外線の出力が強くなる。この二重被照射領域γは最大通紙領域β内であり、二重被照射領域γが最大通紙領域β内の他の領域と赤外線吸収率が同じであると、定着ベルト21の二重被照射領域γに対応する部分が他の部分よりも温度が高くなり、最大通紙領域β内において軸方向で均一な温度分布が得られなくなる。最大通紙領域β内の領域は転写紙Pのトナーが形成された部分が通過し得るため、最大通紙領域β内において軸方向で均一な温度分布が得られなないと、定着性が均一でなくなり、光沢ムラが生じる。これに対して、定着装置20では、二重被照射領域γを塗装無し領域240b(210b)または薄塗装領域240c(210c)とすることで、最大通紙領域β内における軸方向の一部の領域が過昇温することを抑制して、軸方向で均一な温度分布を得ることができ、光沢ムラを抑制することができる。
また、図12に示す変形例の定着装置20は、加熱部材の被照射領域である加熱板内周面240(210)における他の領域よりも赤外線吸収率が高い領域となる通常塗装領域240a(210a)に対して軸方向の位置が同じとなる位置の定着ベルトの温度を検出する定着部材温度検出手段である温度センサ26を備える。さらに、温度センサ26の検知結果に基づいてヒータ25のON/OFFを制御することで赤外線の照射を制御し、定着ベルト21が昇温し過ぎることを防止する過昇温防止手段である不図示の過昇温防止装置を備える。塗装無し領域240b(210b)や薄塗装領域240c(210c)のように、赤外線吸収率の小さい箇所の定着ベルト21の温度を測定すると、過昇温を検知するタイミングが遅くなり、過昇温に起因する装置の故障を防止できるタイミングで定着装置20を停止させることができなくなる。これに対して、赤外線吸収率が高い通常塗装領域240a(210a)に対応する定着ベルト21の温度を測定することで、ヒータの暴走等による過昇温の発生をより早く検出することができ、過昇温に起因する故障をより確実に防止することができる。
また、定着装置20は、被照射領域となる加熱部材の表面(240または210)に塗布する黒色塗装の塗布層の厚みの違い、または、黒色塗装の塗布層の有無によって、加熱板内周面240(または、ベルト内周面210)における赤外線吸収率が異なる領域を形成する。
このように、黒色塗装の塗布層の厚みの違いや、黒色塗装の塗布層の有無といった簡易な表面加工の際によって、被照射領域において軸方向で赤外線吸収率を異ならせることができる。
また、被照射領域における赤外線吸収率の違いを形成する方法としては、被照射領域となる加熱部材の表面(240または210)に塗布する黒色塗装の塗布層の材料の違いによってもよい。赤外線吸収率の高い材料を定着装置20における通常塗装領域240a(210a)に該当する領域に塗布し、赤外線吸収率の低い材料を定着装置20における塗装無し領域240b(210b)や薄塗装領域240c(210c)に該当する領域に塗布することで、定着装置20と同様に、被照射領域において軸方向で赤外線吸収率を異ならせることができる。
本実施形態のプリンタ1は、四つの作像部4及び中間転写ユニット85等のよって構成され、転写紙Pに対して画像を形成する画像形成部と、画像形成部で形成された転写紙P上のトナー像を定着させる定着手段と、を備えた画像形成装置である。このようなプリンタ1の定着手段として、本発明の特徴部を備えた定着装置20を用いることによって、生産性の低下や光沢ムラといった定着部材の軸方向における一部が過昇温することに起因した不具合の発生を抑制でき、良好な画像形成を実現することができる。
1 プリンタ
4 作像部
20 定着装置
21 定着ベルト
22 当接部材
23 裏当て部材
24 加熱板
25 ヒータ
25a 中央ヒータ
25b 端部ヒータ
26 温度センサ
28 赤外線反射部材
31 加圧ローラ
85 中間転写ユニット
210 ベルト内周面
210a ベルト通常塗装領域
210b ベルト塗装無し領域
210c ベルト薄塗装領域
240 加熱板内周面
240a 通常塗装領域
240b 塗装無し領域
240c 薄塗装領域
N 定着ニップ部
P 転写紙
α 照射領域
β 最大通紙領域
γ 二重被照射領域
特開2007−334205号公報

Claims (10)

  1. 無端状の回転可能な定着部材と、
    該定着部材に接触して熱伝導によって該定着部材を加熱する加熱部材と、
    該加熱部材に赤外線を照射することによって加熱する赤外線照射手段とを有し、
    未定着の樹脂微粒子を担持した記録媒体と該定着部材の外周面とが接触する定着部で、該定着部材の熱によって該樹脂微粒子を該記録媒体に定着する定着装置において、
    上記赤外線照射手段は、赤外線を照射する照射領域の位置が互いに異なる複数の赤外線照射部材を備え、
    該赤外線照射手段から赤外線を照射される上記加熱部材の被照射領域は、二つの該赤外線照射部材の該加熱部材における被照射領域同士の一部が重なる二重被照射領域があり、
    該二重被照射領域は、上記定着部材の回転軸に平行な軸方向の位置が異なる他の該被照射領域とは赤外線吸収率が異なることを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1の定着装置において、
    上記定着部材は、無端状ベルトであり、
    上記加熱部材は、該定着部材の内側に装置本体に対して固定支持されて設置され、回転する該定着部材の内周面に接触摺動して該定着部材を加熱する部材であることを特徴とする定着装置。
  3. 請求項1または2の定着装置において、
    上記定着部で上記定着部材の外周面に加圧当接する加圧部材と、
    該定着部材の内側で装置本体に対して固定支持されるように設置され、該定着部材を介して該加圧部材に当接して定着ニップ部を形成する当接部材と、
    該当接部材を該加圧部材に対して反対側から裏当てしてニップ面圧を確保する裏当て部材とを備え、
    上記赤外線照射手段の赤外線照射部は、上記加熱部材と上記裏当て部材とによって囲まれる空間内に配置され、該裏当て部材の該赤外線照射部と対向する面に赤外線を反射する赤外線反射部材を設けたことを特徴とする定着装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の定着装置において、
    上記定着部を通過し得る上記記録媒体のうち、該定着部を通過するときに上記軸方向と平行な幅方向の長さである記録媒体幅が最大となる該記録媒体が、該定着部で通過する該軸方向の領域を最大通紙領域としたときに、上記加熱部材の上記被照射領域における該軸方向について該最大通紙領域よりも外側となる領域に該最大通紙領域よりも内側となる領域よりも赤外線吸収率が低い赤外線低吸収率領域を設けたことを特徴とする定着装置。
  5. 請求項4の定着装置において、
    上記赤外線低吸収率領域よりも赤外線吸収率が高い領域と該赤外線低吸収率領域との境界が、上記最大通紙領域よりも外側で、且つ、上記赤外線照射手段における赤外線を照射する照射部の上記軸方向の両端部よりも内側であることを特徴とする定着装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の定着装置において、
    上記複数の赤外線照射部材は、上記射領域の上記軸方向についての位置が互いに異な
    上記二重被照射領域に他の上記被照射領域よりも赤外線吸収率が低い赤外線低吸収率領域を設けたことを特徴とする定着装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の定着装置において、
    上記加熱部材の上記被照射領域における他の領域よりも赤外線吸収率が高い領域に対して上記軸方向の位置が同じとなる位置の上記定着部材の温度を検出する定着部材温度検出手段と、
    該定着部材温度検出手段の検知結果に基づいて上記赤外線照射手段の赤外線の照射を制御し、該定着部材が昇温し過ぎることを防止する過昇温防止手段を備えることを特徴とする定着装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の定着装置において、
    上記被照射領域となる上記加熱部材の表面に塗布する塗布層の厚みの違い、または、該塗布層の有無によって、該加熱部材の該被照射領域における赤外線吸収率が異なる領域を形成することを特徴とする定着装置。
  9. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の定着装置において、
    上記被照射領域となる上記加熱部材の表面に塗布する塗布層の材料の違いによって、該加熱部材の該被照射領域における赤外線吸収率が異なる領域を形成することを特徴とする定着装置。
  10. 記録媒体に対して画像を形成する画像形成部と、
    該画像形成部で形成された記録媒体上の画像を定着させる定着手段と、を備えた画像形成装置において、
    上記定着装置として、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の定着装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
JP2011003504A 2011-01-11 2011-01-11 定着装置及び画像形成装置 Expired - Fee Related JP5622107B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011003504A JP5622107B2 (ja) 2011-01-11 2011-01-11 定着装置及び画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011003504A JP5622107B2 (ja) 2011-01-11 2011-01-11 定着装置及び画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012145720A JP2012145720A (ja) 2012-08-02
JP5622107B2 true JP5622107B2 (ja) 2014-11-12

Family

ID=46789343

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011003504A Expired - Fee Related JP5622107B2 (ja) 2011-01-11 2011-01-11 定着装置及び画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5622107B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9046833B2 (en) 2012-09-14 2015-06-02 Ricoh Company, Ltd. Fixing device and image forming apparatus incorporating same
JP6252822B2 (ja) * 2012-09-14 2017-12-27 株式会社リコー 定着装置及び画像形成装置
US9535380B2 (en) * 2013-05-29 2017-01-03 Ricoh Company, Ltd. Fixing device and image forming apparatus
JP6303712B2 (ja) * 2013-05-29 2018-04-04 株式会社リコー 定着装置および画像形成装置
JP6023750B2 (ja) * 2014-05-29 2016-11-09 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 定着装置及び画像形成装置
US20160170348A1 (en) 2014-12-12 2016-06-16 Fumihiro HIROSE Fixing device and image forming apparatus
JP6238244B2 (ja) * 2015-01-14 2017-11-29 日新製鋼株式会社 加熱定着ローラ及びその製造方法並びにそれらに用いるプレコート金属箔

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5760362A (en) * 1980-09-29 1982-04-12 Konishiroku Photo Ind Co Ltd Toner image fixing device
JP2005031400A (ja) * 2003-07-14 2005-02-03 Kyocera Mita Corp 定着装置及びそれを備えた画像形成装置
JP2006337521A (ja) * 2005-05-31 2006-12-14 Kyocera Mita Corp 定着装置及びこれを備えた画像形成装置
JP2007171318A (ja) * 2005-12-20 2007-07-05 Samsung Electronics Co Ltd 定着装置および画像形成装置
JP5387884B2 (ja) * 2008-10-14 2014-01-15 株式会社リコー 定着装置及び画像形成装置
JP5263206B2 (ja) * 2010-03-25 2013-08-14 ブラザー工業株式会社 定着装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012145720A (ja) 2012-08-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5622107B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
US9207596B2 (en) Image forming apparatus including a fixing device
JP5796714B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
US8918003B2 (en) Fixing device
JP5600970B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP5239599B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP6311818B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP6229422B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP6299462B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP6983489B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP6551813B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2014056146A (ja) 定着装置と画像形成装置
JP6462204B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP6106920B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP6303606B2 (ja) 定着装置と画像形成装置
JP6102981B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP6213890B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP6142595B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP6303652B2 (ja) 定着装置、加熱制御方法、及び画像形成装置
JP7275468B2 (ja) 定着装置、画像形成装置
JP7292603B2 (ja) 定着装置、画像形成装置
JP7269528B2 (ja) 加熱装置、定着装置、画像形成装置
JP7223320B2 (ja) 定着装置、画像形成装置
JP2015072408A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2015146057A (ja) 定着装置及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20131202

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140618

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140620

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140806

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140829

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140911

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5622107

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees