以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
まず、図1を参照して、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1に示す画像形成装置1は、カラーレーザープリンタであり、その装置本体の中央には、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kが設けられている。各作像部4Y,4M,4C,4Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
具体的に、各作像部4Y,4M,4C,4Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体5と、感光体5の表面を帯電させる帯電装置6と、感光体5の表面にトナーを供給する現像装置7と、感光体5の表面をクリーニングするクリーニング装置8などを備える。なお、図1では、ブラックの作像部4Kが備える感光体5、帯電装置6、現像装置7、クリーニング装置8のみに符号を付しており、その他の作像部4Y,4M,4Cにおいては符号を省略している。
各作像部4Y,4M,4C,4Kの下方には、感光体5の表面を露光する露光装置9が配設されている。露光装置9は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体5の表面へレーザー光を照射するようになっている。
各作像部4Y,4M,4C,4Kの上方には、転写装置3が配設されている。転写装置3は、転写体としての中間転写ベルト30と、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ31と、二次転写手段としての二次転写ローラ36と、二次転写バックアップローラ32と、クリーニングバックアップローラ33と、テンションローラ34、ベルトクリーニング装置35を備える。
中間転写ベルト30は、無端状のベルトであり、二次転写バックアップローラ32、クリーニングバックアップローラ33及びテンションローラ34によって張架されている。ここでは、二次転写バックアップローラ32が回転駆動することによって、中間転写ベルト30は図の矢印で示す方向に周回走行(回転)するようになっている。
4つの一次転写ローラ31は、それぞれ、各感光体5との間で中間転写ベルト30を挟み込んで一次転写ニップを形成している。また、各一次転写ローラ31には、図示しない電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が各一次転写ローラ31に印加されるようになっている。
二次転写ローラ36は、二次転写バックアップローラ32との間で中間転写ベルト30を挟み込んで二次転写ニップを形成している。また、一次転写ローラ31と同様に、二次転写ローラ36にも図示しない電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ36に印加されるようになっている。
ベルトクリーニング装置35は、中間転写ベルト30に当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードを有する。このベルトクリーニング装置35から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、図示しない廃トナー収容器の入り口部に接続されている。
プリンタ本体の上部には、ボトル収容部2が設けられており、ボトル収容部2には補給用のトナーを収容した4つのトナーボトル2Y,2M,2C,2Kが着脱可能に装着されている。各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kと上記各現像装置7との間には、図示しない補給路が設けてあり、この補給路を介して各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kから各現像装置7へトナーが補給されるようになっている。
一方、プリンタ本体の下部には、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙トレイ10や、給紙トレイ10から用紙Pを搬出する給紙ローラ11等が設けてある。ここで、記録媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート等が含まれる。また、図示しないが、手差し給紙機構が設けてあってもよい。
プリンタ本体内には、用紙Pを給紙トレイ10から二次転写ニップを通過させて装置外へ排出するための搬送路Rが配設されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向上流側には、二次転写ニップへ用紙Pを搬送する搬送手段としての一対のレジストローラ12が配設されている。
また、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向下流側には、用紙Pに転写された未定着画像を定着するための定着装置20が配設されている。さらに、定着装置20よりも搬送路Rの用紙搬送方向下流側には、用紙を装置外へ排出するための一対の排紙ローラ13が設けられている。また、プリンタ本体の上面部には、装置外に排出された用紙をストックするための排紙トレイ14が設けてある。
続いて、図1を参照して、本実施形態に係るプリンタの基本的動作について説明する。 作像動作が開始されると、各作像部4Y,4M,4C,4Kにおける各感光体5が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体5の表面が帯電装置6によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体5の表面には、露光装置9からレーザー光がそれぞれ照射されて、各感光体5の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体5に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように各感光体5上に形成された静電潜像に、各現像装置7によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
また、作像動作が開始されると、二次転写バックアップローラ32が図の反時計回りに回転駆動し、中間転写ベルト30を図の矢印で示す方向に周回走行させる。そして、各一次転写ローラ31に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ31と各感光体5との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。
その後、各感光体5の回転に伴い、感光体5上の各色のトナー画像が一次転写ニップに達したときに、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、各感光体5上のトナー画像が中間転写ベルト30上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト30の表面にフルカラーのトナー画像が担持される。また、中間転写ベルト30に転写しきれなかった各感光体5上のトナーは、クリーニング装置8によって除去される。その後、図示しない除電装置によって各感光体5の表面が除電され、表面電位が初期化される。
画像形成装置の下部では、給紙ローラ11が回転駆動を開始し、給紙トレイ10から用紙Pが搬送路Rに送り出される。搬送路Rに送り出された用紙Pは、レジストローラ12によってタイミングを計られて、二次転写ローラ36と二次転写バックアップローラ32との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ36には、中間転写ベルト30上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。
その後、中間転写ベルト30の周回走行に伴って、中間転写ベルト30上のトナー画像が二次転写ニップに達したときに、上記二次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト30上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。また、このとき用紙Pに転写しきれなかった中間転写ベルト30上の残留トナーは、ベルトクリーニング装置35によって除去され、除去されたトナーは図示しない廃トナー収容器へと搬送され回収される。
その後、用紙Pは定着装置20へと搬送され、定着装置20によって用紙P上のトナー画像が当該用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ13によって装置外へ排出され、排紙トレイ14上にストックされる。
以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つの作像部を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
次に、図2に基づき、上記定着装置20の構成について説明する。
図2に示すように、定着装置20は、回転可能な定着回転体としての定着ベルト21と、定着ベルト21に対向して回転可能に設けられた対向回転体としての加圧ローラ22と、定着ベルト21を加熱する加熱源としての2本のハロゲンヒータ23A,23Bと、定着ベルト21の内側に配設されたニップ形成部材24と、ニップ形成部材24を支持する支持部材としてのステー25と、各ハロゲンヒータ23A,23Bから放射される光を定着ベルト21へ反射する反射部材26と、定着ベルト21の温度を検知する温度検知手段としてのサーモパイル27と、加圧ローラ22の温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ29と、定着ベルト21から用紙を分離する分離部材28と、加圧ローラ22を定着ベルト21へ加圧する図示しない加圧手段等を備えている。
上記定着ベルト21は、薄肉で可撓性を有する無端状のベルト部材(フィルムも含む)で構成されている。詳しくは、定着ベルト21は、ニッケルもしくはSUS等の金属材料又はポリイミド(PI)などの樹脂材料で形成された内周側の基材と、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などで形成された外周側の離型層によって構成されている。また、基材と離型層との間に、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等のゴム材料で形成された弾性層を介在させてもよい。
上記加圧ローラ22は、芯金22aと、芯金22aの表面に設けられた発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等から成る弾性層22bと、弾性層22の表面に設けられたPFA又はPTFE等から成る離型層22cによって構成されている。加圧ローラ22は、図示しない加圧手段によって定着ベルト21側へ加圧され定着ベルト21を介してニップ形成部材24に当接している。この加圧ローラ22と定着ベルト21とが圧接する箇所では、加圧ローラ22の弾性層22bが押しつぶされることで、所定の幅のニップ部Nが形成されている。また、加圧ローラ22は、プリンタ本体に設けられた図示しないモータ等の駆動源によって回転駆動するように構成されている。加圧ローラ22が回転駆動すると、その駆動力がニップ部Nで定着ベルト21に伝達され、定着ベルト21が従動回転するようになっている。
本実施形態では、加圧ローラ22を中空のローラとしているが、中実のローラであってもよい。また、加圧ローラ22の内部にハロゲンヒータ等の加熱源を配設してもよい。また、弾性層が無い場合は、熱容量が小さくなり定着性が向上するが、未定着トナーを押しつぶして定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部に光沢ムラが生じる可能性がある。これを防止するには、厚さ100μm以上の弾性層を設けることが望ましい。厚さ100μm以上の弾性層を設けることで、弾性層の弾性変形により微小な凹凸を吸収することができるので、光沢ムラの発生を回避することができるようになる。弾性層22bはソリッドゴムでもよいが、加圧ローラ22の内部に加熱源が無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト21の熱が奪われにくくなるのでより望ましい。また、定着回転体と対向回転体は、互いに圧接する場合に限らず、加圧を行わず単に接触させるだけの構成とすることも可能である。
上記各ハロゲンヒータ23A,23Bは、それぞれの両端部が定着装置20の側板(不図示)に固定されている。各ハロゲンヒータ23A,23Bは、プリンタ本体に設けられた電源部により出力制御されて発熱するように構成されており、その出力制御は、上記サーモパイル27による定着ベルト21の表面温度の検知結果に基づいて行われる。このようなヒータ23A,23Bの出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度に設定できるようになっている。また、定着ベルト21を加熱する加熱源は、ハロゲンヒータ以外の発熱体であってもよい。
上記ニップ形成部材24は、ベースパッド241と、ベースパッド241の表面に設けられた摺動シート(低摩擦シート)240とを有する。ベースパッド241は、定着ベルト21の軸方向又は加圧ローラ22の軸方向に渡って連続して長手状に配設されており、加圧ローラ22の加圧力を受けてニップ部Nの形状を決めるものである。また、ベースパッド241は、ステー25によって固定支持されている。これにより、加圧ローラ22による圧力でニップ形成部材24に撓みが生じるのを防止し、加圧ローラ22の軸方向に渡って均一なニップ幅が得られるようにしている。なお、ステー25は、ニップ形成部材24の撓み防止機能を満足するために、ステンレスや鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成することが望ましい。また、ベースパッド241も、強度確保のためにある程度硬い材料で構成されていることが望ましい。ベースパッド241の材料としては、液晶ポリマー(LCP)等の樹脂や、金属、あるいはセラミックなどを適用することができる。
また、ベースパッド241は、耐熱温度200℃以上の耐熱性部材で構成されている。これにより、トナー定着温度域で、熱によるニップ形成部材24の変形を防止し、安定したニップ部Nの状態を確保して、出力画質の安定化を図っている。ベースパッド241には、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの一般的な耐熱性樹脂を用いることが可能である。
摺動シート240は、ベースパッド241の少なくとも定着ベルト21と対向する表面に配設されていればよい。これにより、定着ベルト21が回転する際、この低摩擦シートに対し定着ベルト21が摺動することで、定着ベルト21に生じる駆動トルクが低減され、定着ベルト21への摩擦力による負荷が軽減される。なお、摺動シートを有しない構成とすることも可能である。
上記反射部材26は、ステー25とハロゲンヒータ23A,23Bとの間に配設されている。反射部材26の材料としては、アルミニウムやステンレス等が挙げられる。このように反射部材26を配設していることにより、ハロゲンヒータ23A,23Bからステー25側に放射された光が定着ベルト21へ反射される。これにより、定着ベルト21に照射される光量を多くすることができ、定着ベルト21を効率良く加熱することが可能となる。また、ハロゲンヒータ23A,23Bからの輻射熱がステー25等に伝達されるのを抑制することができるので、省エネルギー化も図れる。
また、本実施形態に係る定着装置20は、さらなる省エネ性及びファーストプリントタイムなどの向上のために、種々の構成上の工夫が施されている。
具体的には、ハロゲンヒータ23A,23Bによって定着ベルト21をニップ部N以外の箇所において直接加熱できるようにしている(直接加熱方式)。本実施形態では、ハロゲンヒータ23A,23Bと定着ベルト21の図2の左側の部分の間に何も介在させないようにし、その部分においてハロゲンヒータ23A,23Bからの輻射熱を定着ベルト21に直接与えるようにしている。
また、定着ベルト21の低熱容量化を図るために、定着ベルト21を薄くかつ小径化している。具体的には、定着ベルト21を構成する基材、弾性層、離型層のそれぞれの厚さを、20〜50μm、100〜300μm、10〜50μmの範囲に設定し、全体としての厚さを1mm以下に設定している。また、定着ベルト21の直径は、20〜40mmに設定している。さらに低熱容量化を図るためには、望ましくは、定着ベルト21全体の厚さを0.2mm以下にするのがよく、さらに望ましくは、0.16mm以下の厚さとするのがよい。また、定着ベルト21の直径は、30mm以下とするのが望ましい。
なお、本実施形態では、加圧ローラ22の直径を20〜40mmに設定しており、定着ベルト21の直径と加圧ローラ22の直径を同等となるように構成している。ただし、この構成に限定されるものではない。例えば、定着ベルト21の直径が加圧ローラ22の直径よりも小さくなるように形成してもよい。その場合、ニップ部Nにおける定着ベルト21の曲率が加圧ローラ22の曲率よりも小さくなるため、ニップ部Nから排出される記録媒体が定着ベルト21から分離されやすくなる。
また、上記のように、定着ベルト21を小径化した結果、定着ベルト21の内側のスペースが小さくなるが、本実施形態では、ステー25を両端側において折り曲げられた凹状に形成し、その凹状に形成した部分の内側にハロゲンヒータ23A,23Bを収容することで、小さいスペース内でもステー25やハロゲンヒータ23A,23Bの配設を可能にしている。
また、小さいスペース内でもステー25をできるだけ大きく配設するために、ニップ形成部材24を反対にコンパクトに形成している。具体的には、ベースパッド241の用紙搬送方向の幅を、ステー25の用紙搬送方向の幅よりも小さく形成している。さらに、図2において、ベースパッド241の用紙搬送方向上流側端部24a及び下流側端部24bにおけるそれぞれのニップ部N(又はその仮想延長線E)に対する高さをh1,h2とし、上流側端部24a及び下流側端部24b以外のベースパッド241の部分におけるニップ部N(又はその仮想延長線E)に対する最大高さをh3とすると、h1≦h3、h2≦h3となるように構成している。このように構成することで、ベースパッド241の上流側端部24aと下流側端部24bは、ステー25の用紙搬送方向上流側及び下流側の各折り曲げ部と定着ベルト21との間に介在しないので、各折り曲げ部を定着ベルト21の内周面に近づけて配設することができる。これにより、定着ベルト21内の限られたスペース内でステー25をできるだけ大きく配設できるようになり、ステー25の強度を確保することができるようになる。その結果、加圧ローラ22によるニップ形成部材24の撓みを防止でき、定着性の向上を図れる。
さらにステー25の強度を確保するために、本実施形態では、ステー25が、ニップ形成部材24と接触し用紙搬送方向(図2の上下方向)に延在するベース部25aと、そのベース部25aの用紙搬送方向上流側と下流側の各端部から加圧ローラ22の当接方向(図2の左側)に向かって延びる立ち上がり部25bとを有するように構成している。すなわち、ステー25に立ち上がり部25bを設けることで、ステー25が加圧ローラ22の加圧方向に延在する横長の断面を有するようになり、断面係数が大きくなって、ステー25の機械的強度を向上させることが可能となる。
また、立ち上がり部25bを加圧ローラ22の当接方向により長く形成する方が、ステー25の強度が向上する。従って、立ち上がり部25bの先端は、定着ベルト21の内周面に対し、できる限り近接していることが望ましい。しかし、回転中、定着ベルト21には大小なりとも振れ(挙動の乱れ)が生じるので、立ち上がり部25bの先端を定着ベルト21の内周面に近づけすぎると、定着ベルト21が立ち上がり部25bの先端に接触する虞がある。特に、本実施形態のように、薄い定着ベルト21を用いている構成においては、定着ベルト21の振れ幅が大きいので、立ち上がり部25bの先端の位置設定には注意が必要である。
具体的に、本実施形態の場合、立ち上がり部25bの先端と定着ベルト21の内周面との加圧ローラ22の当接方向の距離dは、少なくとも2.0mm、望ましくは3.0mm以上に設定するのが好ましい。一方、定着ベルト21にある程度厚みがあって振れがほとんど無い場合は、上記距離dは0.02mmに設定することが可能である。
このように、立ち上がり部25bの先端を定着ベルト21の内周面に対し可能な限り近接するように配設することで、立ち上がり部25bを加圧ローラ22の当接方向に長く配設することができる。これにより、小径の定着ベルト21を用いた構成においても、ステー25の機械的強度を向上させることが可能となる。
以下、図2を参照しつつ、本実施形態に係る定着装置の基本動作について説明する。
プリンタ本体の電源スイッチが投入されると、ハロゲンヒータ23A,23Bに電力が供給されると共に、加圧ローラ22が図2中の時計回りに回転駆動を開始する。これにより、定着ベルト21は、加圧ローラ22との摩擦力によって、図2中の反時計回りに従動回転する。
その後、上述の画像形成工程により未定着のトナー画像Tが担持された用紙Pが、ガイド板37に案内されながら図2の矢印A1方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ22のニップ部Nに送入される。そして、ハロゲンヒータ23A,23Bによって加熱された定着ベルト21による熱と、定着ベルト21と加圧ローラ22との間の加圧力とによって、用紙Pの表面にトナー画像Tが定着される。
トナー画像Tが定着された用紙Pは、ニップ部Nから図2中の矢印A2方向に搬出される。このとき、用紙Pの先端が分離部材28の先端に接触することにより、用紙Pが定着ベルト21から分離される。その後、分離された用紙Pは、上述のように、排紙ローラによって機外に排出され、排紙トレイにストックされる。
以下、本実施形態の特徴部分について説明する。
図3に示すように、定着ベルト21の両端部にはそれぞれベルト保持部材40が挿入されており、これらベルト保持部材40によって定着ベルト21の各端部は回転可能に保持されている。各ベルト保持部材40は、定着装置の図示しない側板に固定されている。なお、図3において、上記ニップ形成部材24、ステー25、反射部材26等は図示省略している。
また、定着ベルト21の各端面とそれに対向するベルト保持部材40の各対向面との間には、定着ベルト21の端部を保護する保護部材としてのスリップリング41が設けられている。これにより、定着ベルト21に軸方向の寄りが生じた場合に、定着ベルト21の端部がベルト保持部材40に直接当接するのを防止することができ、端部の摩耗や破損を防ぐことができる。また、スリップリング41は、ベルト保持部材40に外周に対し余裕を持って嵌められている。このため、定着ベルト21の端部がスリップリング41に接触した際に、スリップリング41は定着ベルト21と連れ回り可能となっているが、スリップリング41が連れ回りせず、静止していても構わない。スリップリング41の材料としては、耐熱性に優れたいわゆるスーパーエンプラ、例えば、PEEK、PPS、PAI、PTFE等を適用することが好ましい。
また、定着ベルト21の両端部には、ハロゲンヒータ23A,23Bからの熱を遮蔽する遮蔽部材42が配設されている。各遮蔽部材42は、定着ベルト21とハロゲンヒータ23A,23Bとの間に介在している。さらに、各遮蔽部材42の一部は、ベルト保持部材40内に挿入されており、ベルト保持部材40とハロゲンヒータ23A,23Bとの間にも介在している。また、遮蔽部材42は、図4に示すように、ハロゲンヒータ23A,23Bに対してステー25とは反対側に配設され、反射部材26に固定支持されている。
図5において、下側のハロゲンヒータ23Aを第1ハロゲンヒータ、上側のハロゲンヒータ23Bを第2ハロゲンヒータと便宜的に称すると、第1ハロゲンヒータ23Aと第2ハロゲンヒータ23Bとでは、それぞれの発熱部の位置が異なっている。
具体的に、第1ハロゲンヒータ23Aは、その長手方向中央部から所定範囲に渡って配設された主発熱部44aと、長手方向両端側にそれぞれ配設された微小発熱部45aとを有する。本実施形態では、主発熱部44aは、第1ハロゲンヒータ23Aの長手方向中央部を対称軸として200〜220mmの範囲内に配設されており、その範囲の外側にそれぞれ微小発熱部45aが配設されている。
一方、第2ハロゲンヒータ23Bは、第1ハロゲンヒータ23Aとは反対に、その長手方向中央部を対称軸として200〜220mmの範囲内に2つの微小発熱部45bを有し、その範囲の外側にそれぞれ主発熱部44bを有している。また、各主発熱部44bの外側の端部は、中央部を対称軸に300〜330mmの範囲内に配設されている。
なお、第1ハロゲンヒータ23A及び第2ハロゲンヒータ23Bの主発熱部44a,44bとは、主として発光し発熱する部分である。また、それぞれの微小発熱部45a,45bは、ハロゲンヒータのフィラメントをガラス管に対して支持するために設けられたもの(サポート部)であり、多少の発熱をする。本実施形態では、微小発熱部45a,45bは、ハロゲンヒータの全長の5%以下の長さの発光長となっている。
本実施形態では、定着ベルト21の温度を検知するサーモパイル27を2つ設けている。図5に示すように、1つのサーモパイル27Aは、定着ベルト21の軸方向中央部に配設され、もう1つのサーモパイル27Bは、定着ベルト21の軸方向端部側に配設されている。中央部のサーモパイル27Aは、第1ハロゲンヒータ23Aの主発熱部44aに対応した部分の温度を検知するために設けられ、端部側のサーモパイル27Bは、第2ハロゲンヒータ23Bの主発熱部44bに対応した部分の温度を検知するために設けられている。
図5において、符号W1で示す領域は、A3サイズの用紙を縦方向に通紙する際、又はA4サイズの用紙を横方向に通紙する際に、用紙が通過する通紙領域(記録媒体通過領域)を示している。また、符号W2で示す領域は、前記A3縦又はA4横の通紙幅よりも広い12インチサイズの用紙を通紙する際の通紙領域(記録媒体通過領域)を示している。具体的に、A3縦又はA4横の通紙領域W1の幅は、定着ベルト21の中央部を対称に297mmであり、12インチサイズの通紙領域W2の幅は、定着ベルト21の中央部を対称に304.8mmである。
上記各遮蔽部材42は、A3縦又はA4横の通紙領域W1よりも外側に配設されている。詳しくは、各遮蔽部材42は、A3縦又はA4横の通紙領域W1の外側の端部から、最も外側に配設された発熱部(この場合、第2ハロゲンヒータ23Bの主発熱部44b)よりも外側に渡って配設されている。
また、遮蔽部材42のうち、12インチサイズの通紙領域W2よりも内側に配設された部分Dには、定着ベルト21の端部側から中央部側に向けて切り欠かれた切り欠き部53が設けられている。このように、遮蔽部材42の一部に切り欠き部53を設けることにより、その部分において、遮蔽部材42の定着ベルト21の内周面に対向する面積を、切り欠き部53が設けられていない部分(12インチサイズの通紙領域W2よりも外側に配設された部分)Eよりも小さくなるようにしている。すなわち、切り欠き部53が設けられた部分Dでは、切り欠き部53が設けられていない部分Eに比べて、ハロゲンヒータ23A,23Bからの光を遮蔽する範囲が少なくなっている。
本実施形態では、切り欠き部53が設けられていない部分Eでは、遮蔽部材42と反射部材26によってハロゲンヒータ23A,23Bが全周に渡って囲まれているが(図4参照)、切り欠き部53が設けられた部分Dでは、図6に示すように、切り欠き部53によってその一部分Jで開口している。このため、切り欠き部53が設けられた部分Dでは、その開口部からハロゲンヒータ23A,23Bの光が定着ベルト21に照射される。
また、切り欠き部53には、定着ベルト21の軸方向に対して傾斜する傾斜部43が形成されている。図5では、傾斜部43は、A3縦又はA4横の通紙領域W1内に向かって図の下方へ傾斜している。すなわち、傾斜部43を形成した部分では、遮蔽部材42の定着ベルト21の内周面に対向する面積が、A3縦又はA4横の通紙領域W1内に向かって漸減するようになっている。本実施形態では、傾斜部43を直線状としているが、傾斜部43を曲線状やその他の形状に形成してもよい。
ここで、図6に示すように、切り欠き部53における定着ベルト21の周方向の断面において、ハロゲンヒータ23A,23Bの発熱中心から定着ベルト21に向かって光が(反射部材26等を介さずに)直接照射(直接加熱)される範囲を直接照射範囲と定義する。本実施形態では、ハロゲンヒータを2本設けているので、切り欠き部53における直接照射範囲は、各ハロゲンヒータ23A,23Bの直接照射範囲Q1,Q2を合わせた範囲Q3となる。また、切り欠き部53には傾斜部43が設けられているため、直接照射範囲Q3は傾斜部43の傾斜に伴って変化する。この場合、直接照射範囲Q3は、定着ベルト21の中央部に向かって漸増し、定着ベルト21に照射される光量が多くなる。
以下、各種サイズの用紙を通紙する際の遮蔽部材42の作用・効果について説明する。 まず、A3サイズの用紙を縦方向に通紙する場合、又はA4サイズの用紙を横方向に通紙する場合は、第1ハロゲンヒータ23Aと第2ハロゲンヒータ23Bの両方を発光させる。このときの発光長は300〜330mmの範囲に設定され、A3縦又はA4横の通紙幅(297mm)よりも長くしている。なぜならば、一般にハロゲンヒータは発光部の端部ほど発光強度が低下するため、発光長を通紙領域と同じ範囲に設定すると、ウォームアップ完了時や、通紙開始時の通紙領域端部の温度分布は、中央に比べて落ち込んでしまうからである。そのため、ハロゲンヒータの発光長を定型サイズの記録媒体の通紙幅よりも延長させ、発光強度が一定である部分が通紙領域と一致するように配設することで、通紙1枚目においても端部の定着性を確保している。
しかし、一般に、通紙領域W1の外側にまで発光部を配設すると、A3縦又はA4横の用紙を連続通紙した場合に、その通紙領域W1の外側では延長した発光部の発熱量は小さくても、定着ベルト21の熱が用紙によって奪われないため、過剰に温度上昇し、定着ベルト21の耐熱温度を超えてしまうという問題がある。そこで、本実施形態では、A3縦又はA4横の通紙領域W1の外側に遮蔽部材42を配設することによって、ハロゲンヒータ23A,23Bから定着ベルト21へ照射される光を遮蔽している。これにより、通紙1枚目においても端部の定着性を確保しつつ、A3縦又はA4横を連続通紙した場合の通紙領域W1外における定着ベルト21の過昇温を抑制することができる。
なお、本発明の遮蔽部材による光又は熱の「遮蔽」は、加熱源からの光又は熱を完全に遮る場合にかぎらず、遮蔽部材の材質又は構造等により光又は熱の一部を透過し一部を遮る場合であってもよい。また、遮蔽部材42のハロゲンヒータ23A,23Bとの対向面を鏡面処理したり、あるいは、その対向面に反射部材を設けたりして、反射面を設けてもよい。この場合、反射面によってハロゲンヒータ23A,23Bからの光を反射することができるので、遮蔽部材42自身の過剰な温度上昇を抑制することができると共に、遮蔽部材42から周囲の部材への熱の伝達も低減することが可能となる。
また、上記のように、ハロゲンヒータ23A,23Bは、フィラメントをガラス管に対して支持するために微小発熱部45a,45bを有しているが、この微小発熱部45a,45bからの発熱は、温度分布のばらつきや過剰な温度上昇を引き起こす要因となる場合がある。そこで、図5に示すように、本実施形態では、第1ハロゲンヒータ23Aにおける端部側の微小発熱部45aと定着ベルト21との間にも遮蔽部材42を配設することで、微小発熱部45aからの光を遮蔽部材42によって遮蔽し、上記不具合の発生を抑制又は防止するようにしている。
図7は、遮蔽部材を設けた場合と設けていない場合とでの定着ベルトの温度変化を示す図である。
図7において、太い実線は、遮蔽部材有りの場合の図5のベルト端部側Xの温度変化を示し、細い実線は、遮蔽部材無しの場合の同じ端部側Xにおける温度変化を示す。また、点線は、図5のベルト中央部Yの温度変化を示している。
図7に示すように、遮蔽部材有りの場合(太い実線)は、遮蔽部材無しの場合(細い実線)に比べて、A3縦又はA4横の通紙領域外における定着ベルトの温度上昇を抑制することができている。ここでは、遮蔽部材無しの場合は、定着ベルトの温度がその耐熱温度である220℃を超えてしまっているが、遮蔽部材有りの場合は、定着ベルトの温度を耐熱温度よりも低い温度に抑えることができた。
次に、12インチサイズの用紙を通紙する場合は、上記A3縦又はA4横の通紙時と同様に、両方のハロゲンヒータ23A,23Bを発光させる。このとき、図5に示すように、遮蔽部材42は、その一部(図5の符号Dの範囲)で12インチサイズの通紙領域W2の端部と重なっているため、その重なっている部分においてハロゲンヒータ23A,23Bからの光が遮られる。その結果、定着ベルトの端部における加熱が不足すると、用紙の端部側で定着不良が発生する虞がある。
そこで、上記重なっている部分(図5の符号Dの範囲)では、切り欠き部53を形成することにより、ベルト周方向の一部で開口して、定着ベルト21へ光を照射するようにしている。すなわち、切り欠き部53を設けることにより、その部分において、遮蔽部材42の定着ベルト21の内周面に対向する面積を、切り欠き部53が設けられていない部分Eよりも小さくして、定着ベルト21に与えられる熱量(光量)を多くするようにしている。
図8(a)に、定着ベルトの軸方向における光の相対的な照射強度分布を示す。
図8(a)に示すように、切り欠き部53が設けられた部分Dでは、切り欠き部53が設けられていない部分Eに比べて、光の照射強度が高くなっている。これは、上記のように、切り欠き部53が設けられた部分Dでは、開口部から定着ベルト21に光が照射されるためである。
また、図8(b)に、定着ベルトの軸方向における温度分布を示す。
図8(b)において、実線で示すのは、本実施形態のように遮蔽部材42の一部に切り欠き部53を設けた場合の温度分布であり、点線で示すのは、切り欠き部53を設けずベルト周方向の全周に渡って光を遮るように構成した場合の温度分布である。
図8(b)に示すように、切り欠き部無しの場合(点線)は、切り欠き部53の形成箇所に対応する領域Dにおいて十分な照射強度が得られないため、定着ベルト21の温度が低下している。このため、切り欠き部無しの場合は、12インチサイズの通紙領域W2の端部側で定着不良が発生する虞がある。
これに対し、切り欠き部有りの場合(実線)は、開口部から光が照射されるので、切り欠き部無しの場合に比べて、定着ベルト21の端部側における温度を上げることができる。これにより、12インチサイズの通紙領域W2の端部側で十分な温度を確保することができ、定着不良の発生を防止又は抑制することが可能となる。
上記のように、本実施形態では、遮蔽部材42の一部に切り欠き部53を設けることで、12インチサイズの用紙の端部においてある程度の照射強度が得られるようにしているが、切り欠き部53が設けられた部分Dにおける照射強度は均一でなくてもよい。すなわち、用紙の端部側ほど、未定着画像が担持される可能性は低いため、照射強度(熱量)は低くても構わない。そこで、本実施形態では、切り欠き部53が設けられた部分Dに傾斜部43を設けることで、照射強度が定着ベルト21の端部側(用紙の端部側)へと向かって次第に低下するようにしている(図8(a)参照)。
図9(a)〜(c)に、遮蔽部材の変形例を示す。
図9(a)(b)示す変形例では、上記実施形態と同様に、遮蔽部材42の一部Dで切り欠き部53が形成されているが、ここでは、切り欠き部53に上記のような傾斜部43は形成されていない。このように、切り欠き部53に傾斜部43を形成せず、切り欠き部53の縁を定着ベルト21の軸方向と平行に配設してもよい。この場合も、切り欠き部53によって形成された開口部から、定着ベルト21へ光を照射することができるので、12インチサイズの通紙領域W2の端部側での温度低下を抑制することが可能である。
また、図9(c)に示す変形例では、切り欠き部53に代えて、遮蔽部材42のベルト中央部側の部分Dに複数の貫通孔54を形成している。この場合は、貫通孔54から定着ベルト21に光が照射されることで、12インチサイズの通紙領域W2の端部側での温度低下を抑制することができる。
ところで、本実施形態において、定着に必要な温度は、モノクロ画像で130℃以上、フルカラー画像で140℃以上であるところ、12インチサイズの用紙を通紙する場合に、A3縦又はA4横の通紙時と同様の定着条件で画像定着を行うと、12インチサイズの用紙の両端部において十分な熱量が得られない虞がある。
そこで、本実施形態では、以下のように定着条件を制御するようにしている。
図10は、定着動作時の制御のフローチャートを示す図である。
図10に示すように、印刷ジョブを受信した場合(S1)、ウォームアップ動作を開始し、各ハロゲンヒータを点灯させる(S2)。そして、印刷ジョブの情報から、供給される用紙の通紙幅が297mm以下であるか否かを確認する(S3)。
その結果、通紙幅が297mm以下である場合、例えばA3縦サイズ又はA4横サイズ(297mm)である場合は、ウォームアップ時間(定着ベルトの加熱時間)が10秒経過したとき(S4)、あるいは、中央部のサーモパイルと端部側のサーモパイルの各検知温度が共に150℃に達したときに(S5)、作像動作を開始し、通紙を開始する(S6)。また、この場合、通紙時の定着ベルトの目標温度は、中央部のサーモパイルと端部側のサーモパイルの各検知温度が共に150℃となるように維持され、用紙の線速度(搬送速度)は250mm/secに設定される。
一方、通紙幅が297mmよりも大きい場合、例えば12インチサイズ(304.8mm)である場合は、さらに、印刷ジョブの情報から、モノクロ画像であるか、カラー画像であるかを確認する(S7)。
その結果、モノクロ画像である場合は、ウォームアップ時間が30秒経過したとき(S8)、あるいは、中央部のサーモパイルの検知温度が150℃、端部側のサーモパイルの検知温度が170℃、かつ、サーミスタ(加圧ローラに設けたサーミスタ)の検知温度が100℃に達したときに(S9)、作像動作を開始し、通紙を開始する(S10)。この場合、上記通紙幅が297mm以下の場合に比べて、ウォームアップ時間を延長し、又は端部側のサーモパイルの検知温度を高く設定しているので、12インチサイズの用紙の端部側での定着温度を上昇させることができ、良好な定着性が得られる。なお、この場合、通紙時に維持される中央部のサーモパイルの目標温度と用紙の線速度は、150℃、250mm/secに設定されている。
また、上記モノクロ画像か否かを確認した結果、カラー画像である場合は、上記モノクロ画像の場合と同様に、ウォームアップ時間が30秒経過したとき(S11)、あるいは、中央部のサーモパイルの検知温度が150℃、端部側のサーモパイルの検知温度が170℃、かつ、サーミスタの検知温度が100℃に達したときに(S12)、作像動作を開始し、通紙を開始する(S13)。これにより、12インチサイズの用紙の端部側での定着温度を上昇させることができる。さらに、カラー画像の場合は、用紙の線速度を、モノクロ画像の場合の2分の1の125mm/secに減速させる。これにより、トナーの付着量の多い画像の場合でも、良好な定着性が得られるようになる。
このように、12インチサイズの用紙を通紙する場合は、A3縦又はA4横の用紙を通紙する場合とは、画像の定着条件を異ならせることで、定着に必要な熱量を十分に確保することができ、良好な画像を得ることができる。また、ウォームアップ時間、定着ベルトの端部目標温度、用紙の線速度の3つの定着条件うち、いずれを選択して異ならせるかは、定着装置の性能等に応じて適宜設定することが可能である。また、選択する定着条件は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
また、図11と図12に、本発明を適用した他の実施形態の定着装置の構成を示す。
図11に示す定着装置は1本ハロゲンヒータ23を備え、図12に示す定着装置は3本のハロゲンヒータ23A,23B,23Cを備えているが、ハロゲンヒータの本数にかかわらず、上記実施形態と同様に、遮蔽部材42を設けることが可能である。なお、図11及び図12において、ハロゲンヒータの本数以外の構成については、基本的に上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
以上のように、本発明によれば、加熱源が最大通紙領域外に発熱部を有する場合であっても、少なくとも最大通紙領域外において遮蔽部材42を配設することにより、非通紙領域(最大通紙領域外)での定着ベルトの不要な加熱を抑制することができる。これにより、非通紙領域における定着ベルトの過剰な温度上昇を抑制することが可能である。
ここで、「最大通紙領域(記録媒体の最大通過領域)」とは、通紙領域が複数ある装置においては、その中での最大の通紙領域をいうが、通紙領域が1種類しかない装置においては、当該1つの通紙領域をいうものとする。また、「複数の通紙領域」には、A3サイズとA4サイズ等の異なる用紙サイズによる複数の通紙領域以外に、同じA4サイズでも縦と横とで向きを異ならせて通紙することによる複数の通紙領域も含まれる。
上記のように、本発明によれば、非通紙領域における定着ベルトの過剰な温度上昇を抑制することができるので、定着ベルトの加熱温度をその耐熱温度以下に抑えることができるようになり、定着ベルトの熱による劣化や損傷を防止することができる。特に、上記実施形態のように、定着ベルトを薄く形成し、低熱容量化した構成においては、定着ベルトの温度が上がりやすいので、このような構成の定着装置に本発明を適用した場合は、大きな効果を期待できる。
また、上記本発明の実施形態では、遮蔽部材42の一部が通紙領域の端部に重なる場合であっても、その一部に切り欠き部53を形成することで、当該通紙領域の端部において用紙に対し十分な熱量を供給することができ、定着不良の発生を抑制することが可能である。
さらに、上記実施形態では、切り欠き部53に傾斜部43を設けることにより、未定着画像が担持される可能性が低い用紙端部側に向かって光の照射量を少なくし、定着ベルトの不要な加熱をより高度に抑制することができる。これにより、定着ベルトの熱による劣化や損傷をより確実に防止することが可能となる。一方、未定着画像が担持される可能性が高い用紙中央部に向かっては、光の照射量が多くなることで、定着に必要な熱量を十分に確保でき、良好な画像を得ることができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、A3縦又はA4横のサイズ(297mm)と12インチサイズ(304.8mm)の用紙の使用比率が高い画像形成装置を例に挙げて説明したが、例えば、A4縦サイズ(210mm)とレター縦サイズ(215.9mm)の用紙の使用比率が高い画像形成装置や、レター横サイズ(279.4mm)とダブルレター縦サイズ(279.4mm)の使用比率が高い画像形成装置などにも、本発明の構成を適用することは可能である。
また、上述の実施形態の定着装置では、各種サイズの用紙の幅方向中央を定着ベルトの軸方向中央に揃えて搬送する方式(センター基準方式)を採用しているが、用紙の幅方向一端を定着ベルトの軸方向端部側で揃えて搬送する方式(端部基準方式)を採用している定着装置にも、本発明の構成を適用することは可能である。
また、本発明に係る定着装置は、図1に示すカラーレーザープリンタに限らず、モノクロ画像形成装置や、その他のプリンタ、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等に搭載することも可能である。また、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
上記課題を解決するため、請求項1に係る本発明は、回転可能な無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの内側に配設されたニップ形成部材と、前記定着ベルトを介して前記ニップ形成部材と当接して定着ベルトとの間にニップ部を形成する対向回転体と、前記ニップ部以外の箇所で前記定着ベルトを直接加熱する加熱源と、前記定着ベルトの端部を回転可能に保持するベルト保持部材と、を備え、前記ニップ部に未定着画像を担持した記録媒体を搬送して、当該記録媒体に未定着画像を定着する定着装置において、前記加熱源は、前記記録媒体の最大通過領域外に発熱部を有し、前記記録媒体の最大通過領域外にて、前記定着ベルトと前記加熱源の発熱部との間、且つ、前記ベルト保持部材と前記加熱源との間に、熱又は光を遮蔽する遮蔽部材を固定支持したことを特徴とする。