JP5621983B2 - Sprセンサー - Google Patents

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Description

本発明は、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance;SPR)現象を用いたセンサーに関し、より詳しくは、複数の被検出物の同時検出が可能なSPRセンサーに関する。
被検出物中の定性・定量分析を高感度で行うことができるセンサーとして表面プラズモン共鳴現象を利用したSPRセンサーが提案・実用化されている。
SPRセンサーの一例として、光源から出射した光を所定の入射角を持たせ、入射面とは別の面に金属薄膜を有する高屈折率プリズムに入射させ、被検出物に接した金属薄膜に照射し、このプリズムと金属薄膜の界面において反射する光をプリズムのさらに別の面から出射させ、その出射光の強度変化を検出器で検出する構成が知られている。この構成において、光源から照射されプリズムに入射した光は、プリズムと金属薄膜との界面でエバネッセント波を生じ、その一方で、金属薄膜表面では、表面プラズモン波が発生する。この表面プラズモン波を発生(励起)するのは、エバネッセント波の波数と表面プラズモン波の波数とが一致するように光の入射角もしくは入射光の波長が調整されている時であり、入射光のエネルギーは表面プラズモン波を励起するのに用いられ、反射光強度が減衰する。このときの反射光強度と波長との関係から、被検出物の膜厚・屈折率を知ることができ、この屈折率により被検出物の定性・定量分析をすることができる。
近年、SPRセンサーは、小型化・多チャンネル検出の要求が高まってきている。しかし、上記のようなプリズムを用いた構成では装置が大きくなってしまうという欠点があり、また、多チャンネル検出をしようとしてもさらに装置の大型化を招き、小型化・多チャンネル検出を達成することは困難であった。
一方、光導波路を用いた光導波路型SPRセンサーが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。光導波路型SPRセンサーは、一般には、コアと、このコアの周囲を取り囲むクラッドを具備する光導波路のクラッドの一部を開口してコアを露出させ、露出したコアの少なくとも一部に金属薄膜を接触・固定させてなるセンサー部を有する。検出に際し、センサー部に被検出物を接触させて検出する構成であり、この構成によれば、プリズムが不要で小型化することができ、またコア(センサー部)を複数設けることで多チャンネル検出をすることもできる。
また、下記特許文献2では、光導波路型のSPRセンサーであって、光導波路上に金属薄膜たるセンサー部を複数配列させて一体化したセンサーアレイとし、各金属薄膜の誘電率及び/又は膜厚が異なる構成とした光導波路型SPRセンサーが提案されている。この光導波路型SPRセンサーによれば、広範囲の屈折率にわたり高い分解能で高感度での検出を多チャンネルで行うことができる。
さらに、下記特許文献3では、光導波路型のSPRセンサーであって、多チャンネル検出をするに当たり、複数本のコアを有する導波路部に、測定対象物の検知状態と非検知状態とに切替可能なスイッチング素子を有するスイッチング部を、前記コアの長さ方向に沿って前記スイッチング部が複数配列されるように重ね合わせて構成している。この構成により、小型化・多チャンネル検出において一定の成果が得られたが、スイッチング素子を要するため、構造が複雑であるとともに低コストとすることが困難であった。
以上の光導波路型センサーは、プリズムを用いたSPRセンサーと比較すれば小型化の目的は達成されたが、いずれの場合も、多チャンネル検出をする場合は、複数光路のアレイやスイッチング機構が必要であり小型化には限度があり、また低コストで作製することは困難であった。
特開2002−162346号公報 特開2007−263736号公報 国際公開第2005/054826号パンフレット
本発明は以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、
本発明の目的は、小型化・多チャンネル検出を簡単な構成、及び低コストで実現可能なSPRセンサーを提供することにある。
前記課題を解決する手段は以下の通りである。すなわち、
(1)光路と、
前記光路の側面に、表面プラズモン共鳴現象を起こすように形成された金属層が積層されてなる検出領域と、
を有するSPRセンサーであって、
前記検出領域が、1つの光路に対して2箇所以上形成されていること、及び
前記2箇所以上の検出領域のうち少なくとも1箇所の検出領域にはさらに誘電率調整層が積層されて、各検出領域においてそれぞれ異なる表面プラズモン共鳴を有するように誘電率が調整されており、
前記2箇所以上の検出領域のうち少なくとも1箇所の検出領域に積層された誘電率調整層が、被検出物に対して感受性を有する感受性層として機能すること、
を特徴とするSPRセンサー。
(2)前記2箇所以上の検出領域のうち、少なくとも1箇所の検出領域は表面プラズモン共鳴現象を起こすように形成された金属層からなる検出領域であって、前記金属層からなる検出領域とは異なる少なくとも一つの検出領域は、表面プラズモン共鳴現象を起こすように形成された金属層及び誘電率調整層が積層されてなる検出領域であることを特徴とする前記(1)に記載のSPRセンサー。
(3)前記検出領域が、表面プラズモン共鳴現象を起こすように形成された金属層、及び誘電率調整層が積層されてなる検出領域であって、
1つの光路に対して2箇所以上形成されていること、及び
前記2箇所以上の検出領域に積層された誘電率調整層が、各検出領域においてそれぞれ異なる表面プラズモン共鳴を有するように誘電率が調整されており、
前記2箇所以上の検出領域のうち少なくとも1箇所の検出領域に積層された誘電率調整層が、被検出物に対して感受性を有する感受性層として機能すること、
を特徴とする前記(1)に記載のSPRセンサー。
(4)前記2箇所以上の検出領域に誘電率調整層が積層され、該誘電率調整層が各検出領域においてそれぞれ異なる被検出物に対して感受性を有する感受性層として機能することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のSPRセンサー。
(5)前記2箇所以上の検出領域に誘電率調整層が積層され、該誘電率調整層が各検出領域において材質が異なることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のSPRセンサー。
(6)前記2箇所以上の検出領域のうち、前記被検出物に対して感受性を有する感受性層として機能する誘電率調整層が積層された検出領域とは異なる少なくとも1つの検出領域に、被検出物に対して感受性を有しない非感受性層として機能する誘電率調整層が積層されることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のSPRセンサー。
(7)検出領域が2箇所以上形成された光路を用いての検出に際し、検出光としてはp偏波成分を用い、参照光としてはs偏波成分を用いることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載のSPRセンサー。
(8)前記誘電率調整層が各検出領域において厚さが異なることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のSPRセンサー。
(9)前記誘電率調整層が、透明媒質からなる前記(1)〜(8)のいずれかに記載のSPRセンサー。
(10)前記光路が透明基材中に位置することを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載のSPRセンサー。
(11)前記透明基材が無機ガラスからなることを特徴とする前記(10)に記載のSPRセンサー。
(12)前記透明基材がポリマーからなることを特徴とする前記(10)に記載のSPRセンサー。
(13)前記光路が2次元光導波路のコア層の一部であることを特徴とする前記(1)〜(12)のいずれかに記載のSPRセンサー。
(14)前記光路が3次元光導波路のコアであることを特徴とする前記(1)〜(13)のいずれかに記載のSPRセンサー。
(15)前記光路が光ファイバーのコアであることを特徴とする前記(1)〜(14)のいずれかに記載のSPRセンサー。
(16)前記金属層を構成する金属として、Au、Ag、Pt、Cu、及びAlからなる群より選択される少なくとも1種を用いたことを特徴とする前記(1)〜(15)のいずれかに記載のSPRセンサー。
(17)前記感受性層に含有される感受性を有する物質が溶媒可溶の物質であることを特徴とする前記(1)〜(16)のいずれかに記載のSPRセンサー。
(18)前記溶媒可溶の物質が親水性物質であることを特徴とする前記(17)に記載のSPRセンサー。
(19)前記親水性物質として、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアミド酸、及びポリイミド前駆体からなる群より選択される少なくとも1種を用いたことを特徴とする前記(18)に記載のSPRセンサー。
(20)前記溶媒可溶の物質が疎水性物質であることを特徴とする前記(19)に記載のSPRセンサー。
(21)前記疎水性物質が、ポリビニルカルバゾール、ポリメチルメタクリレート、ろう、ポリイミド又はテフロン(登録商標)であることを特徴とする前記(20)に記載のSPRセンサー。
(22)前記感受性層が、感受性を有する物質をポリマー中に含む層であることを特徴とする前記(1)〜(16)のいずれかに記載のSPRセンサー。
(23)前記非感受性層が、ガラス膜、無アルカリガラス膜、酸化ケイ素膜、石英ガラス膜、フッ化マグネシウム膜、アルミナ膜、チタニア膜、シリコン窒化膜、ITO膜からなる群より選択される1種から構成されていることを特徴とする前記(6)〜(22)のいずれかに記載のSPRセンサー。
本発明によれば、小型化・多チャンネル検出を簡単な構成、及び低コストで実現可能なSPRセンサーを提供することができる。
本発明のSPRセンサーの一例を模式的に示す斜視図である。 本発明のSPRセンサーを用いたガス検出装置を模式的に示す図である。 本発明のSPRセンサーの一例であって、検出領域を3箇所に設けた例を模式的に示す斜視図である。 本発明のSPRセンサーの一例であって、検出領域を透明基材の両側面に設けた例を模式的に示す側面図である。 本発明のSPRセンサーの一例であって、検出領域を光ファイバーに設けた例を模式的に示す側面図である。 本発明のSPRセンサーの一例であって、検出領域を光ファイバーに設け、各検出領域の周方向における位置を異ならせた例を模式的に示す側面図である。 本発明のSPRセンサーの一例であって、QCMと複合した例を模式的に示す側面図である。 本発明のSPRセンサーの一例であって、金属層からなる検出領域、及び金属層と誘電率調整層とからなる検出領域を設けた例を模式的に示す側面図である。 実施例1において作製したSPRセンサーを用いて測定した、ガス導入による吸収スペクトルの変化を示す図である。 図9の短波長側(a)、長波長側(b)をそれぞれ拡大して示した図である。 実施例2において作製したSPRセンサーを用いて測定した、ガス導入による吸収スペクトルの変化を示す図である。 図11の短波長側(a)、長波長側(b)をそれぞれ拡大して示した図である。 実施例3において作製したSPRセンサーを用いて測定した、ガス導入による吸収スペクトルの変化を示す図である。 図13の短波長側を拡大して示す図である。 実施例4において作製したSPRセンサーを用いて測定した、ガス導入による吸収スペクトルの変化を示す図である。 本発明のSPRセンサーのセンサーにおいて、波長515nmの光を使用した場合における、誘電率調整層の膜厚とその誘電率が異なる3つの検出領域に対する反射率スペクトルをグラフで示す図である。 本発明のSPRセンサーのセンサーにおいて、波長615nmの光を使用した場合における、誘電率調整層の膜厚とその誘電率が異なる3つの検出領域に対する反射率スペクトルをグラフで示す図である。 本発明のSPRセンサーの一例であって、同一素材からなり、それぞれにおいて膜厚が異なる検出領域を3箇所に設けた例を模式的に示す斜視図である。 実施例5において作製したSPRセンサーを用いて測定した、ガス導入による透過率スペクトルの変化を示す図である。 実施例5における、短波長側、中間波長域、長波長側のそれぞれのディップの時間に対する波長のシフト量変化をグラフで示す図である。 実施例5におけるウェット窒素の導入開始直前から導入終了直後までにおける、各誘電率調整層の透過率ディップ波長の検出光に対する透過率の経時変化をグラフで示す図である。 図21に示した各波長に対する透過率変化(delta T)の自然対数をとってグラフ化した図である。 実施例6において測定した、ガス導入による透過率スペクトルの変化を示す図である。 実施例6における、短波長側、中間波長域、長波長側のそれぞれのディップの時間に対する波長のシフト量変化をグラフで示す図である。 実施例6におけるエタノール−窒素の導入開始直前から導入終了直後までにおける、各誘電率調整層の透過率ディップ波長の検出光に対する透過率の経時変化をグラフで示す図である。 図25に示した各波長に対する透過率変化(delta T)の自然対数をとってグラフ化した図である。 実施例7において作製したSPRセンサーを用いて測定した、ガス導入による透過率スペクトルの変化を示す図である。
本発明のSPRセンサーは、光路と、前記光路の側面に、表面プラズモン共鳴現象を起こすように形成された金属層が積層されてなる検出領域と、を有するSPRセンサーであって、前記検出領域が、1つの光路に対して2箇所以上形成されていること、及び前記2箇所以上の検出領域のうち少なくとも1箇所の検出領域にはさらに誘電率調整層が積層されて、各検出領域においてそれぞれ異なる表面プラズモン共鳴を有するように誘電率が調整されており、前記2箇所以上の検出領域のうち少なくとも1箇所の検出領域に積層された誘電率調整層が、被検出物に対して感受性を有する感受性層として機能すること、を特徴としている。
すなわち、本発明のSPRセンサーは、1つの光路に2以上の検出領域を設けることを可能とし、小型化と、多チャンネル検出を両立することができ、またスイッチング素子などの機構が不要であり低コストである。
より詳細には、本発明のSPRセンサーは、1つの光路の長さ方向(検出光の進行方向)に沿って検出領域が複数配列されるようにし、各検出領域での検出信号を異なる波長で観測するように構成できるため、1つの光路から1つの検出信号しか観測できなかった従来の方法と比べて、検出信号が多重化されて観測され、かつ、多重化された検出信号を容易に分離することができるため、集積化が容易であり、装置の小型化が可能である。また、本発明のSPRセンサーでは、従来のように複数の光路を並列に設ける場合と異なり、1つの共通の光路で複数の検出信号を得ることができるため、従来のように異なる光路間での製造ばらつきなどによる設計された所望の特性からのずれなどが生じる虞が少なく、製造トレランスが大きく製造コストを低減することが可能である。
以下に、本発明のSPRセンサーについて詳述する。
図1は、本発明を適用したSPRセンサーの一実施形態を示す図である。図1に示すSPRセンサー10は、スライドガラス(透明基材)11上に、2箇所の検出領域12、14が形成されており、そのうち一方の検出領域12は、Agからなる金属層16上に誘電率調整層(感受性層)としてPVK(ポリビニルカルバゾール)層18が形成されており、他方の検出領域14には、金属層20上に誘電率調整層としてMgF(フッ化マグネシウム)層22及びPVA(ポリビニルアルコール)層24がこの順に積層されている。誘電率調整層たるPVK層18と、MgF層22及びPVA層24はそれぞれで異なる表面プラズモン共鳴を有するように誘電率が調整されている。また、検出領域12、14のPVK層18及びPVA層24はそれぞれ異なる材質であり、それぞれ、疎水性物質、親水性物質を感受し得る感受性層として機能する。
一方、いずれの検出領域においても、金属層上に誘電率調整層が形成されていない領域には何ら層形成はされておらず、金属層が露出した状態となっている。そして、光路は、検出領域において誘電率調整層が形成された領域を反射する光路と、誘電率調整層が形成されていない領域を反射する光路とがあり、前者が検出用の光路として使用され、後者が参照光用の光路として使用される。また、金属層及び誘電率調整層を形成していない領域を反射する光路を設け、そこを参照光用の光路として使用することもできる。なお、図1に示すSPRセンサーにおいて、光路は、スライドガラス11中の一部において光がスライドガラス11の厚み程度の範囲の幅を有して群速度伝搬方向へ伝搬する領域であり、金属層16の側面に位置するが、具体的領域を描くことは困難であるため、図1においては太い矢線で描くことで概念的に示し、この光路の中で、光の伝搬を幾何光学的に平面波のビームで表現した場合に、ジグザグで表現し得ることを示唆している。
また、光路に入射し光路内を伝搬する光が検出領域で全反射するように入射光の入射角が設定される。
図1に示すSPRセンサー10は検出に際し、スライドガラス11の右側端面から入射した入射光は光路を伝搬し、2箇所の検出領域14、12を全反射しながら伝搬し、左側端面から出射する(図1の矢線)。このとき、2箇所の検出領域14、12において表面プラズモン共鳴現象が起こり、それぞれの検出領域において全反射した反射光が異なる波長において強度低下し、そのときの波長から被検出物の屈折率を知ることができる。なお、図1においてSPRセンサー10の下に示す吸収スペクトルは各検出領域における吸収ピークが波長によって異なることを示しており、本発明においては、各検出領域の誘電率調整層はそれぞれ異なる表面プラズモン共鳴を有するように誘電率が調整されており、それぞれの検出領域において検出される吸収ピーク波長を異ならせることにより、いずれの検出領域で検出された吸収ピークなのかを区別することを容易にしている。この点については後述する。
一方、参照光用の光路を伝搬する光は、金属層が形成された検出領域で反射し出射口から出射する。この参照光のスペクトルは、被検出物のスペクトルとのリファレンスに供される。ここで、金属層及び誘電率調整層を形成していない領域を反射する光路を設け、そこを出射する光を被検出物のスペクトルとのリファレンスとすることもできる。
また、ここでは具体的に図示しないが、参照用の光路を上記例のように、別途設けるかわりに、1つの光路の側面に検出領域とは別に参照領域を設けることもできる。該構成とすることで、本発明に共通な効果として、並列なチャンネル数を低減することができ、さらに、製造ばらつきによる隣接光路の性能のばらつきを回避することができる。
図2は、図1に示すSPRセンサーを用いた、ガスの検出をするための検出装置の構成を模式的に示している。図2において、SPRセンサー10には、ケーシング30がSPRセンサー10の周囲に覆い被さるように設けられており、ケーシング30にはガスを導入するためのガス導入口34、及びガスを排出するためのガス排出口35が形成されている。ガス導入口34から導入されるガスは、ケーシング30の内部空間がガス流路となり、供給されたガスの一部がSPRセンサーの検出領域に接触(吸着)し検出に用いられ、残りはガス排出口35より排出される。
一方、図2においてケーシング30(SPRセンサー10)の右側には光源36が設けられており、左側には検出器38が設けられている。光源36から出射する光はSPRセンサー10の右端面から入射してスライドガラス11内の光路を伝搬し、左端面から出射し、検出器38に達し光強度等が検出される。また、図示しないが、検出器38はコンピュータなどの演算機器に接続されており、該演算機器により検出した光強度データに基づく演算処理がなされる。
図2に示す検出装置において、それぞれ、疎水性物質、親水性物質を感受し得る2種の感受性層を有するSPRセンサーを用いているため、既述のように親水性ガスと疎水性ガスの検出を容易に行うことができる。
ここで、本発明のSPRセンサーの検出原理について説明する。既述のように構成された検出領域に、光路の入射口から入射した光が金属層表面に到達して全反射すると、光路と金属層との界面においてエバネッセント波が発生し、検出領域の表面に存在する被検出物にまで漏れ出す。このときのエバネッセント波の波数は、伝搬する光の振動数と伝搬角度によって決まる。また、このエバネッセント波により金属層表面で表面プラズモン波を励起できるが、この表面プラズモン波の波数は、被検出物と金属層を構成する金属それぞれの膜厚と屈折率によって決まる。
一方、エバネッセント波の波数と表面プラズモン波の波数とが一致するとき、既述の通り、エバネッセント波は表面プラズモン波を励起するのに必要な光として用いられるため、反射光の強度は減衰する。従って、反射光(すなわち出射光)の強度と波長をモニターし、出射光の強度が減衰したとき、そのときの波長(波数の逆数)から被検出物の屈折率と膜厚を求めることができる。なお、この表面プラズモンを励起するのは、いわゆるp偏光の成分である(図2では、紙面に平行な電界成分を持つ偏波)。さらに、誘電率調整層が十分厚い場合には、誘電率調整層で導波条件が満たされる場合に励起される導波モードによる出射光の減衰を測定し、これをもって被検出物の屈折率と膜厚を求める光導波モードセンサとして動作させることもできる。この導波モードは、pおよびs偏波双方の成分で励起できる。
さらに本発明においては、1つの光路に検出領域を2箇所以上設け、各検出領域に存在する被検出物を同時に検出することを可能としているが、単に、同一の検出領域を2箇所以上に設けたことのみでは、吸収ピークが重なってしまい同時検出することは困難である。そこで本発明においては、検出領域ごとに吸収ピーク波長を分離することで同時検出を可能としている。すなわち、検出領域が2箇所の場合、長波長側及び短波長側において2つの吸収ピークが現れるように設定し2つの吸収ピークを区別することで2箇所の検出領域における検出を可能としている。3箇所以上の検出領域の場合であっても、ある検出領域に対し所定の吸収ピーク波長となるように設定し、1つの光路に3箇所以上の検出領域を設けることにより、3以上の被検出物の同時検出が可能となる。
検出領域ごとに吸収ピーク波長を異ならせる手法としては、(1)各検出領域において、誘電率調整層に用いる材質を異ならせる、(2)各検出領域において、誘電率調整層の厚さを異ならせる、(3)各検出領域において金属層に用いる金属の種類を異ならせる、が挙げられる。これら(1)〜(3)の手法は併用してもよい。
一方、以上のようにして検出領域ごとに分離した吸収ピーク波長に一定以上の差がなく、隣接する吸収ピークが接近している場合には、クロストークを防止するため共鳴吸収帯の半値幅を小さくすることが好ましい。共鳴吸収帯の半値幅を小さくするには、例えば、誘電率調整層の膜厚を薄くし、かつ誘電率調整層の構成材料として誘電率が高いものを使用することが好ましい。
図16、17は、それぞれ、515nm、615nmの波長の光を使用した場合において、誘電率調整層の膜厚とその誘電率がそれぞれ異なる3つの各検出領域に対する反射率スペクトルを示している。この反射率スペクトルは、半円柱プリズム(材質:BK-7)の矩形平面上に、銀薄膜と誘電体薄膜とを積層した構造において、入射角65度で光を入射させた場合の計算結果に基づくものである。各波長における銀薄膜の誘電率はドルーデモデルから算出し、伝達マトリクス法により計算を行った。図16、17より、それぞれ、誘電率調整層の膜厚44.6nm、誘電率2.4+i0の場合、誘電率調整層の膜厚67.4nm、誘電率2.4+i0の場合、すなわち誘電率調整層の膜厚が薄く、かつその誘電率が高い場合が最も共鳴吸収帯の半値幅が小さく、これより、誘電率調整層の膜厚を薄くし、かつ誘電率調整層の構成材料として誘電率が高いものを使用することで、共鳴吸収帯の半値幅を小さくすることができると推察される。具体的には、誘電率調整層の膜厚は、1〜200nmとすることが好ましく、20〜100nmとすることがより好ましい。また、誘電率調整層の膜厚が当該範囲内であって、その誘電率は1.2〜4であることが好ましく、1.5〜3であることがより好ましい。
次に、本発明のSPRセンサーを構成する各要素について以下に説明する。
前記透明基材の素材としては、無機ガラス又はポリマーを用いることができる。無機ガラスを使用すると、検体(被検出物)が基材へ吸収されることによる検出特性への影響が少ない。ポリマーとしては、 ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート が挙げられ、中でも、ポリメチルメタクリレートが好ましい。
透明基材の厚さとしては、0.01〜2.0mmとすることが好ましい。
前記光路としては、2次元光導波路のコア層の一部、3次元光導波路のコア、又は光ファイバーのコアとすることができる。
2次元光導波路は作製が容易であるが、横方向における光の閉じ込めが若干弱いので、平行ビームを用いるなど入射光の選択が必要である。これに対し、3次元光導波路は、損失が小さく、検出感度を向上することができる。また、光ファイバーは、遠隔地の検出が可能である。
2次元光導波路では、例えば、上下方向と左右方向など異なる2方位に光路を設定したり、検出光を2次元光導波路端で反射させたりすることで、光路をジグザグに設けることで、検出領域を面積効率がよく配置することが可能である。これに対して、3次元光導波路の場合には、光導波路に曲げや分岐を設けることで、検出信号を適切な位置に出力させるように構成することができるほか、MZ干渉計や、AWGのような公知の光導波路型デバイスと集積することで、感度を向上させたり、分光したりする機能を容易に付与することが可能である。例えば、本発明の場合に、1つの光路として3次元光導波路を採用し、複数の検出領域を通過させた後、AWGで分光することで、複数の検出信号を別の出力ポートへ分割して出力したり、光導波路端面においてアレイ型の光検出器へ導いたりすることで、分光スペクトルを直接得ることができる。こうすると、外部に分光器を設ける必要がなくなるため、プリズムもしくはグレーティングなどの部品を省略することができ、小型化することが可能である。
さらに付言すると、2次元光導波路の場合には、光路は、2次元光導波路の一部のコアと周囲のクラッド部からなる。つまり、2次元光導波路(スラブ膜)の場合、光路は、コア層の中で、光が通る部分のみである。従って、本発明のSPRセンサーにおいて光路を2次元光導波路とする場合は、既述の特開2007−263736号公報や特開2002−162346号公報などに記載された、3次元光導波路を利用したSPRセンサーの場合とは異なり、例えば、2次元光導波路に対して、光路を単純な直線ではなく、ジグザグに往復するように設定すると、2次元面に概略マトリックス状に配置した複数の検出領域を側面にして1つの光路に設けることができる。これに対し、特開2007−263736号公報に記載のSPRセンサーにおいては、検出領域を複数設けるに当たり、パラレルのアレイ型の複数の光導波路とし、検出領域間を分離しているが、これは3次元光導波路を前提としている。このため、マトリックス状に配置した複数の検出領域を配置しようとすると、スイッチなどの機構によって、測定に応じて光路を切替える必要が生じていた。本発明では、その必要がない分、装置を小型化できる。
前記検出領域は、金属層からなる場合、又は金属層及び誘電率調整層(感受性層)が積層されてなる場合があり、いずれも光路の側面に形成される。なお、光導波路又は光ファイバーの場合においては、コアとクラッドとを含めて光路ということがある。これは、光路を伝搬する光波は、空間的にはコアのみに閉じ込められているのではなく、エバネッセント場として、クラッド部分にまでしみだしていることを意味している。本発明において「(検出領域が設けられる)光路の側面」における「光路」は、表面プラズモン共鳴を実現する目的で利用されるので、側面に設けられた金属膜、誘電率調整層、感受性層、非感受性層などに上記エバネッセント波のしみだしが到達する程度の部分を指すものであって、コアのみであってもよいし、光導波を調整するための通常よりは薄いクラッドを含んだ部分であってもよい。
金属層に用いる金属の種類としては、Au、Ag、Pt、Cu、及びAlからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。金属層は、同種の金属から構成される単層としても、異種金属から構成される合金・多層膜としてもよい。
なお、金属層の厚さは、金属種、誘電率調整層の複素誘電率によって最適膜厚が異なり、好ましくは、Auは40nm、Ag・Cuは50nm、Al・Ptは15nmを中心として、±10nm程度を目安として、要求される検出感度に応じて選択されることが好ましい。
また、金属層は、スパッタ法、真空蒸着法などにより形成することができる。
各検出領域において、金属層の種類を異ならせることにより吸収ピーク波長を異ならせる場合、各金属層に用いる金属の組み合わせとしては、例えばAuとAgといった、誘電率の差が比較的大きいものが好ましい。
本発明においては、前記2箇所以上の検出領域のうち少なくとも1箇所の検出領域にはさらに誘電率調整層が積層されて、各検出領域においてそれぞれ異なる表面プラズモン共鳴を有するように誘電率が調整されており、前記2箇所以上の検出領域のうち少なくとも1箇所の検出領域に積層された誘電率調整層が、被検出物に対して感受性を有する感受性層として機能することを特徴としている。
また、前記2箇所以上の検出領域のうち、少なくとも1箇所の検出領域は表面プラズモン共鳴現象を起こすように形成された金属層からなる検出領域であり、前記金属層からなる検出領域とは異なる少なくとも一つの検出領域は、表面プラズモン共鳴現象を起こすように形成された金属層及び誘電率調整層が積層されてなる検出領域である構成とすることができる。
あるいは、前記検出領域が、表面プラズモン共鳴現象を起こすように形成された金属層、及び誘電率調整層が積層されてなる検出領域であって、1つの光路に対して2箇所以上形成され、前記2箇所以上の検出領域に積層された誘電率調整層が、各検出領域においてそれぞれ異なる表面プラズモン共鳴を有するように誘電率が調整されており、前記2箇所以上の検出領域のうち少なくとも1箇所の検出領域に積層された誘電率調整層が、被検出物に対して感受性を有する感受性層として機能する構成とすることができる。
以上の構成において、2箇所以上の検出領域に誘電率調整層が積層される場合、該誘電率調整層が各検出領域においてそれぞれ異なる被検出物に対して感受性を有する感受性層として機能する構成とすることができる。
ここで、誘電率調整層は、SPR共鳴条件を所望の条件とするために設けるものであって、材質、すなわち、構成材料の複素誘電率及び層の厚さが主な支配因子となる。そこで、複素誘電率を所望の値とするためには、母材自体の種類を変更すること、母材へ母材とは異なる複素誘電率を有するナノ粒子を含む粒子等を分散させたり、母材をポーラスにしたり、すなわち、小さな空隙(空気、液体等の誘電率を有する広い意味での粒子)を分散させることによっても実現することができる。また、SPR共鳴条件を所望の条件とするための誘電率調整層の厚さについては後述する。
また、被検出物に対して感受性を有するとは、誘電率調整層それ自体又はその最表面が被検出物に対して感受性を有し、被検出物が近傍に来た場合に、表面に吸着される、表面層に吸収される、感受性層に吸収される、表面で化学反応を起こす、化学反応によって結合を生じる、などすることを通して、SPR共鳴条件が変動することを意味しており、例えば、波長スペクトルとして観測している場合であれば、共鳴ピークの波長がシフトすることになる。感受性層として機能する誘電率調整層自体又はその表面が被検出物に対して吸収性を有するか、誘電率調整層の表面が被検出物に対して吸着性又は結合能を有していることが好ましい。吸着性を有するとは、例えば、親水性・疎水性の違い等により単に物理的に吸着する、静電気的に吸着する、イオン結合により吸着することなどをいい、結合能を有するとは、表面に極性基や官能基を有することによって、化学結合、抗原抗体反応、その他の結合によって、被検出物質と結合することをいう。
誘電率調整層が2層以上の場合には、少なくとも最外層に位置する誘電率調整層が感受性層として機能するものとすることが好ましい。
また、誘電率調整層は必ずしも透明である必要はないが、表面プラズモン共鳴を鋭くするという観点から、透明媒質層であることが好ましい。透明媒質層を用いると、例えば波長スペクトルとして観測している場合であれば、共鳴吸収帯の半値幅が狭くなる。狭い吸収帯とすることによって、各検出領域での表面プラズモン励起による光吸収帯を分離して測定しやすくできると共に、多重化も容易となる。誘電率調整層として使用できる材質としては、ガラス膜、無アルカリガラス膜、酸化ケイ素膜、石英ガラス膜、フッ化マグネシウム膜、アルミナ膜、チタニア膜、シリコン窒化膜、ITO膜、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアミド酸、及びポリイミド前駆体ポリビニルカルバゾール、ポリメチルメタクリレート、ろう、ポリイミド又はテフロン(登録商標)、などが挙げられる。
前記誘電率調整層の形成に用いる材料としては、例えば、親水性・疎水性物質に対しての感受性を付与するには、感受性層に含有される感受性を有する物質として溶媒可溶の物質を用いることができる。つまり、親水性物質に対して感受性を有する層としては親水性溶媒に可溶な物質を用い、疎水性物質に対して感受性を有する層としては疎水性溶媒に可溶な物質を用いることができる、具体的には以下の材料が挙げられる。例えば、親水性溶媒に可溶な物質としては、PVA(ポリビニルアルコール)、ポリアミド酸、ポリイミド前駆体などが挙げられ、疎水性溶媒に可溶な物質としては、PVK(ポリビニルカルバゾール)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ろう、ポリイミド、テフロン(登録商標)等が挙げられる。なお、疎水性溶媒に可溶な物質として、疎水性を大きくでき、耐久性を向上させる観点から、ポリイミドの中でも特にフッ素化ポリイミドを好適に用いることができる。
また、アンモニア、二酸化窒素に対して感受性を付与するには、それぞれ、ポリアクリル酸、ポリアリルアミンを用いることができる。
以上の誘電率調整層の形成方法としては、特に限定されることはなく、公知の種々の成膜法、例えば、スピンコート法、ディップコート法、真空蒸着法等を採用することができるが、中でも、膜厚の均一性の向上及びラフネスの低減の観点から、スピンコート法及び真空蒸着法を採用することが好ましい。膜厚が均一であると、共鳴吸収帯の半値幅を狭くすることができ、隣接するピークのクロストークを低減するため多重化が容易となる。また、ラフネスを低減できると、検出光の散乱を防止することができ、検出精度の向上に寄与する。
一方、感受性層として機能させるためには、感受性を有する物質をポリマー中に含む層であることが好ましく、感受性を有する物質をポリマー中に均一に分散した層であることがより好ましい。前記ポリマーとしては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、ポリアミド酸、PVK(ポリビニルカルバゾール)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ろう、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン等を用いることができる。
誘電率調整層の厚さとしては、前述したように、各検出領域において吸収ピーク波長を異ならせるために誘電率調整層の厚さを制御することもあるため一概に言えないが、1〜1500nmとすることができる。ただし、例えば、1.誘電率調整層の誘電率が小さい、2.赤外領域での測定を行う、3.導波モードでの測定を行う、などの場合は、1〜2000nmとすることができる。
また、誘電率調整層の厚さを異ならせて各検出領域における吸収ピーク波長を異ならせることができるが、誘電率調整層の誘電率が等しいとすれば、厚さの差を5〜2000nm、好ましくは10〜1500nmとすることができ、より好ましくは20〜500nm、さらに好ましくは30〜200nmであり、40〜100nm程度とすることが特に好ましい。
一方、誘電率調整層の誘電率を変えることにより、等しい厚さであっても各検出領域における吸収ピーク波長を異ならせることもできる。被検出物に対して感受性(又は非感受性)を有する層が、表面処理や分子膜ではなく、誘電率調整層の表面に設けられた実体的厚さを有している層である場合には、感受性層や非感受性層の誘電率の影響も加味して総合的に所望のSPR条件を得るために誘電率調整層の誘電率を設計調整することが好ましい。
前記誘電率調整層の材料として、各検出領域においてそれぞれ親水性材料、疎水性材料を使用することで、親水性ガス、疎水性ガスの検出が容易となる。つまり、親水性材料を使用した感受性層には親水性ガスが、疎水性材料を使用した感受性層には疎水性ガスがそれぞれ選択的に接触(吸着)するため、親水性ガスと疎水性ガスとを区別して検出することができる。
また、感受性層の材料として、各検出領域においてそれぞれポリアクリル酸、ポリアリルアミンを用いることで、前者はアンモニアに対して感受性を有し、後者は二酸化窒素に対して感受性を有するため、アンモニアと二酸化窒素とを区別して検出することができる。
さらに、このような2以上の感受性層を応用することで、例えば二酸化窒素を検出する際の湿度の干渉も検知することができる。すなわち、一方の感受性層として水溶性ポリマーなど、他方の感受性層として二酸化窒素検出のためのpH指示薬を使用することで、前者は湿度に感応し、後者は湿度および二酸化窒素に感応する。前者で湿度をモニタして、後者の測定結果において湿度の寄与を差し引き、二酸化窒素の正確な吸着量を求めることができる。
その他、感受性層を特に設けず金属層からなる検出領域を設けてもよい。このような金属層からなる検出領域を用いた場合では、例えば水などの液中で使用することで、その液体により誘電率を調整し、表面プラズモン励起することができる。この時、検出領域を持たない別の光路を設け、そこからリファレンス光を得ることができる。また、表面プラズモン励起が起こらない、空気中など誘電率の異なる環境での測定結果をリファレンスとすることもできる。
本発明においては、前記2箇所以上の検出領域のうち、前記被検出物に対して感受性を有する感受性層として機能する誘電率調整層が積層された検出領域とは異なる少なくとも1つの検出領域に積層された誘電率調整層が、被検出物に対して感受性を有しない非感受性層として機能するものであってもよい。
ここで、誘電率調整層が被検出物に対して感受性を有しない非感受性層として機能するとは、誘電率調整層自体又はその表面が被検出物に対して非感受性を有し、被検出物が誘電率調整層近傍に来た場合に、その表面に吸着される、表面層に吸収される、誘電率調整層に吸収される、表面で化学反応を起こす、化学反応によって結合を生じる、などすることを通して、誘電率調整層のSPR共鳴条件が変動しないことを意味する。例えば、被検出物質を選択的吸着(分野によっては、特異吸着という表現を用いることも多い)が起こらないものであれば、SPR共鳴条件が変動しないので、採用できる。例えば、波長スペクトルとして観測している場合であれば、共鳴ピークの波長がシフトしないことになる。
波長シフトを、スペクトル観測によって検出してもよいし、共鳴ピーク近傍の特定の波長位置での出射光強度をモニターし、強度の大小によって検出してもよい。また、共鳴ピーク付近で特定の波長特性を有するフィルタによって分別された光強度をモニターすることで検出してもよい。
この場合の非感受性層として機能する誘電率調整層を構成する材料としては、ガラス膜、無アルカリガラス膜、酸化ケイ素膜、石英ガラス膜、フッ化マグネシウム膜、アルミナ膜、チタニア膜、シリコン窒化膜、ITO(インジウムスズ酸化物)膜からなる群より選択される1種から構成されていることが好ましい。また、これらの層において、各層の材料物質と、それを表す組成式とは一致しているとは限らない。例えば蒸着などの成膜では、形成される膜の組成が組成式通りになるとは限らないからである。
非感受性層として機能する誘電率調整層は、少なくとも表面が被検出物質に対して非感受性を有していればよく、1層であっても、2層以上であってもよい。最上層が非感受性層で、その他の層は、感受性層であってもかまわない。
前記非感受性層の厚さとしては、1〜2000nmとすることができ、10〜1500nmとすることが好ましい。
また、非感受性層は、既述の誘電率調整層と同様の方法により形成することができる。
本発明のSPRセンサーにおいて、以上の検出領域は、1光路に対して2箇所以上に設けられるが、光路上の同一面上に2以上配置しても、光路の上側面と下側面の両面に2以上配置しても、あるいは右側面と左側面の両面に2以上配置する構成としてもよい。
また、光路の上側面と右側面とすることもでき、この場合は偏波成分で検出(分波)することができる。これは、表面プラズモンがp偏波成分により励起されることに基づく。上または右それぞれの検出領域においてp偏波となる成分を検出することで、検出箇所を選択できる。また、導波モードを用いる場合ではpとs偏波双方で励起できるが、励起条件は一般に異なるので、それぞれの偏波成分で検出が可能である。
また、光路の上下左右4側面に検出領域を設けることもできる。ただし、この場合は、検出領域を設定するに際し、上記同様偏波面を考慮することが必要である。
また、例えば、検出領域がp偏波成分により表面プラズモンを励起できる構成において、p偏波成分によって検出信号を観測し、s偏波成分を参照光とし、差スペクトルをとるなどして、検出感度、検出精度を高めることができる。つまり、検出用の光路と参照光用の光路とをそれぞれを別々に設けた場合には、各光路の構造上の微差に起因する光学上の誤差が想定されるが、同一の光路であればそのような誤差はなく、検出精度を高めることができる。従って、検出領域が2箇所以上形成された光路を用いての検出に際し、検出光としてはp偏波成分を用い、参照光としてはs偏波成分を用いることが好ましい。また、このような構成によると、検出光と参照光のそれぞれを使用する場合において、光源をずらす操作等を省略できるため検出作業上有利である。
また、本発明のSPRセンサーは、1つの光路で多チャンネル検出可能であることに特徴を有するが、以上のような構成とすることで、1つの光路で多チャンネル検出のみならず、参照光の検出も行うことができ、小型化、低コスト化を目的とする本発明には特に有用である。
検出領域が近傍に隣接して形成される場合に、検出領域の面積等の精度を向上させるために、検出窓を設けることができる。検出窓を設けるためには、例えば、検出領域以外の部分を非感受性の材料で被覆することによって、複数の検出領域を同一の面積(もしくは、あらかじめ設定された異なる面積)の開口となるように、同一マスクによって、フォトリソグラフィによって形成することができる。このようにすることによって、複数の検出領域による検出データの定量性、再現性を向上させることができる。検出窓を設けるためには、例えば、隣接する検出領域の誘電率調整層の厚さが変化する境界領域もしくは誘電率調整層の材質が変化する境界領域を不感とするように、非感受性の材料で被覆することによって実現することができる。このようにすることによって、検出データの定量性・再現性・隣接データのコンタミなどの影響を防止し、S/Nを向上させることができる。
さらに、同一波長の検出光を用いることもできる。具体的には、単一レーザー光源を用いることができる。例えば、光路の上側面と右側面とにそれぞれ異なる検出領域を設けた構成において、偏波スクランブラによって、上下方向、左右方向の両方向の偏波成分を同一となるように、検出光を入射し、上下方向に電界成分をもつ偏波(上側面に対してp偏波であって、右側面に対してはs偏波となる。)と左右方向に電界成分をもつ偏波(上側面に対してはs偏波であって、右側面に対してはp偏波となる。)とをPBS(偏波ビームスプリッタ)によって分離することで、上側面の検出領域での検出信号と右側面の検出領域での検出信号とを区別して観測することができる。
また、上記同様の構成において、入射光を特定方向の直線偏波として、検出光は全ての偏波成分とすれば、入射光の偏波方向が上下方向の場合に、上側面の検出領域、入射光の偏波方向が左右方向の場合に、右側面の検出領域の検出信号を選択的に得ることができる。また、入射光を偏波面が回転するようにして入射すると、検出光を時分割で、上側面の検出領域、右側面の検出領域の検出信号を交互に検出することができる。
検出に際して入射させる光としては白色光を用いることができ、この場合、検出器側に分光装置が必要である。つまり、出射光(反射光)の分光強度をモニターすることで共鳴波数を得ることができる。
また、複数の検出領域の検出波長に合わせた複数の波長の光源を用いることもでき、この場合、合分波器など波長多重装置を用いて入射、出射で信号を分別することができる。また、この態様は、センサ部分に電源の供給を必要としないこと、入射光と出射光とを光ファイバを用いて遠隔地から入出力することが可能であることなどの点で、光ファイバでの遠隔検出との相性がよい。一方、光路部分(光導波路)と合分波器部分を集積化することで小型デバイスを実現することができる。
さらに、同一波長で異なる偏波を同時入射することができ、この場合、無偏光の光源、又は偏波スクランブルとの併用が必要である。
光路への検出光の入力にあたっては、単色光(同一の波長)を用いる場合には、プリズムによってプリズムカプラ法で入射し、プリズムによって出射することが可能となるが、白色光を用いる場合には、波長によって入射条件が異なることから、プリズムカプラ法での入出射は困難であり、端面から入力し、端面から出力する方法が適切である。また、白色光をもちいる場合に、光ファイバ端を光導波路上に設けた液滴中に配することで、多くの入射条件を同時に満足させようとする公知の方法を組み合わせることも可能である。
本発明のSPRセンサーは、複数の検出領域に同一の検体(被検出物)が導かれるようにすることで、検出領域の位置の差による濃度差・濃度勾配の検出をすることが可能となる。
また、複数の検出領域に同一の検体(被検出物)を導く場合であっても、その検体とは異なる検体の検出をも可能とするため、異なる検体に適合する検出領域を形成してもよい。この構成により、ある検体の複数の性質の同時検出をしたり、混合物検体の成分検出をしたりすることができる。
さらに、複数の検出領域に互いに異なる検体が導かれるようにしてもよい。この構成により、多数検体の同時検出、二次元スポッティングされたDNA検体の検出・抗原抗体反応検出などをすることができる。二次元で利用するときは、1本のジグザグ光路とするか、複数のアレイとすればよい。
その他、図示しないが、2以上の検出領域を有する光路を2以上平行に配列することで、さらに多くの検出領域を設けることができ、検出をし得るSPRセンサーを得ることができる。
次に、本発明のSPRセンサーのバリエーションを6例示す。
図3は、検出領域を3箇所設けた3チャンネルの同時検出が可能なSPRセンサーの例を示す。図3に示すSPRセンサー40は、透明基材11上に検出領域を3箇所有し、この3箇所の検出領域の金属層41、42、43上に、それぞれ、誘電率調整層44、45、46が形成されている。誘電率調整層44、45、46は、それぞれ異なる表面プラズモン共鳴を有するように誘電率が調整されており、いずれも最外層はそれぞれ材質が異なる感受性層として形成されてなる。また、誘電率調整層44及び46はそれぞれ誘電率調整層45と厚さを異ならせている。以上の構成から、SPRセンサー40は、図3のSPRセンサーの下方に示すように、吸収ピーク波長が各検出領域において異なっており、各検出領域における被検出物を同時検出することができる。以上の構成は、誘電率調整層はいずれも感受性層として機能する構成であるが、少なくとも1箇所の領域において非感受性層として構成することもできる。
なお、金属層41、42、43を形成する金属の種類はそれぞれ異なっていてもよい。
図3の構成は、検出領域が3箇所の構成であるが、同様の手法により検出領域を4箇所以上とすることも可能である。
図4は、検出領域を透明基材の両面に設けたSPRセンサーの例を示す。図4に示すSPRセンサー50は、透明基材11の両面のそれぞれに検出領域を有するSPRセンサーである。2箇所にある検出領域のうちの1つは、透明基材11の一方の面に金属層52及び感受性層としての誘電率調整層54がこの順に形成され検出領域を構成している。また、もう1つの検出領域は、透明基材11の他方の面に金属層56及び誘電率調整層57がこの順に形成され検出領域を構成している。誘電率調整層57は、金属層56側から順に、非感受性層58及び感受性層59が形成された2層構成からなる。両面に位置する検出領域の誘電率調整層は、それぞれ異なる表面プラズモン共鳴を有するように誘電率が調整されており、それぞれ材質が異なる感受性層として機能する。この構成においても、図4のSPRセンサー50の下方に示すように、吸収ピーク波長が各検出領域において異なり、各検出領域における被検出物を同時検出することができる。
また、図4に示す構成では、光路の光伝搬方向に2箇所の検出領域を設ける構成(図1参照)と比較して、奥行きにおいて小型化が可能である。
図5は、透明基材などの平面基材を用いず、線状の光ファイバーを用い、該光ファイバーに検出領域を2箇所形成したSPRセンサーの例を示す。図5に示すSPRセンサー60は、光ファイバー62の表面に、金属層64が形成されており、この金属層64上の一部の領域に感受性層としての誘電率調整層66が形成され検出領域を構成しており、別の一部の領域には誘電率調整層68が形成され検出領域を構成している。また、これら2箇所の検出領域の誘電率調整層は、それぞれ異なる表面プラズモン共鳴を有するように誘電率が調整されており、それぞれ材質が異なる感受性層である。この構成においても、図5のSPRセンサー60の下方に示すように、吸収ピーク波長が各検出領域において異なっており、各検出領域における被検出物を同時検出することができる。
図6は、図5と同様に光ファイバーを用い、該光ファイバーに検出領域を2箇所形成したSPRセンサーの例を示し、図6(A)は側面方向から見た模式図であり、(B)は光ファイバーの端面から見た模式図である。図6に示すSPRセンサー70は、光ファイバー72の表面の一部の領域に、周方向の半周に渡り金属層74が形成されており、この金属層74上に感受性層としての誘電率調整層76が形成されている。また、金属層74とは別の領域であって、金属層74が形成されている半周領域とは対称位置にある半周領域に金属層78が形成されており、この金属層78上に誘電率調整層80が形成されている。誘電率調整層80は、金属層76側から順に、非感受性層82と感受性層84とが形成された2層構成からなる。2箇所に設けられた検出領域の誘電率調整層は、それぞれ異なる表面プラズモン共鳴を有するように誘電率が調整されており、それぞれ材質が異なる感受性層である。この構成においても、吸収ピーク波長を各検出領域において異ならせることができ、各検出領域における被検出物を同時検出することができる。
一方、本発明のSPRセンサーは、QCM(Quarts Crystal Microbalance)センサーと複合することもできる。図7は、本発明のSPRセンサーとQCMセンサーとを複合させた構成を模式的に示す図である。図7に示すSPRセンサー80は、透明基材たるQCM水晶82の一方の面に金属層84が形成されており、この金属層84上の2箇所に誘電率調整層86及び誘電率調整層88が形成されている。誘電率調整層86は感受性層として形成される層であり、誘電率調整層88はQCM水晶82側から順に、非感受性層90と感受性層92とが形成されてからなる。これら2つの検出領域に設けられた誘電率調整層は、それぞれ異なる表面プラズモン共鳴を有するように誘電率が調整されており、それぞれ材質が異なる感受性層である。この構成は、図1において説明したように、検出領域が2箇所のSPRセンサーとしての構成である。
金属層84は、既述の通り、表面プラズモン波の発生に使用されるが、本構成においてはQCM電極をも兼ねており、また、QCM水晶82の他方の面にはQCM電極94が形成されている。つまり、QCM水晶82は2つの電極84、94に挟まれた構成となっており、電極84、94及びQCM水晶82とでQCMセンサーを構成する。QCM電極94は透明基材たるQCM水晶に接しており光路と兼用されるため、鏡面となるよう厚め(200nm以上)に形成することが好ましい。
以上より、SPRセンサー80は、SPRセンサーとしての機能と、QCMセンサーとしての機能とを併せ持つ。
図8は、金属薄膜からなる検出領域と、金属薄膜と誘電率調整層からなる検出領域を設けた2チャンネルの同時検出が可能なSPRセンサーの例を示す。図8に示すSPRセンサー100は、透明基材102上に検出領域を2箇所有し、一方の検出領域は金属層104のみからなり、他方の検出領域は金属層106上に、誘電率調整層108が積層されてなる。そして、測定を行う液中(例えば水中)で、金属層104および106でそれぞれ異なる表面プラズモン共鳴を有するように誘電率調整層108が調整されてなる。また、誘電率調整層108は感受性層として機能する。以上の構成から、SPRセンサー100は、測定を行う液中に浸すことにより、図8のSPRセンサーの下方に示すように、吸収ピーク波長が各検出領域において異なるために、各検出領域における被検出物を同時検出することができる。ここで、リファレンス光は透明基材102において検出領域以外の部分を光路として測定すればよい。または、測定を行う液とは誘電率の大きく異なる液中または気中にセンサー100を設置し、表面プラズモンが励起されない状態で測定した光をリファレンスとすることもできる。
なお、金属層104、106を形成する金属の種類はそれぞれ異なっていても良い。
図8の構成は、検出領域が2箇所の構成であるが、異なる誘電率調整層を用いる手法により検出領域を3箇所以上とすることも可能である。
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されることはない。
[実施例1]
まず、透明基材としてスライドガラス(26mm×26mm)を用意し、このスライドガラスに対し真空蒸着法により50nmのAgの層からなる金属層を形成した。このとき、マスクを用いて、検出領域として形成しようとする領域2箇所に7mm×18mmの金属層を形成し、それ以外の領域には金属層が形成されないようにした。次に、図1に示すように、2箇所ある金属層のうち、一方の金属層上の半分の領域に10mg/mlのPVK溶液(溶媒:トルエン)を塗布液として、キャスト法により塗布し20nmの誘電率調整層(感受性層)を形成した。また、他方の金属層上の半分の領域に真空蒸着法によりMgFの層を100nm形成し、さらに形成したMgFの層上に20mg/mlのPVA溶液(溶媒:純水)をキャスト法により塗布し10nmの感受性層を形成してMgF層とPVA層の誘電率調整層を形成し、実施例1のSPRセンサーを作製した。
作製したSPRセンサーを用いて、図2に示すような検出装置を組み立てた。そして、検出用のガスである導入ガスとして、シリカゲルを通過させた乾燥窒素、純水中でバブリングしたウェット窒素、トルエン中でバブリングしたトルエン−窒素を交互に導入した。具体的には、乾燥窒素を5分間、ウェット窒素を15分間、乾燥窒素を15分間、トルエン−窒素を60分間、乾燥窒素を40分間の順に導入した。なお、検出用の光源としては、キセノンランプ(光研工業株式会社 LHX−300)を用い、検出器としては、瞬間マルチ測光システム(オーシャンオプティクス社製USB−2000)を用いた。このとき得られた吸収スペクトルを図9に示す。参照光は誘電率調整層の無いAg薄膜を有する光路、測定光は誘電率調整層を含むAg薄膜を有する光路において測定した(実施例2,3も同様)。また、図10(a)(b)は、それぞれ、図9の吸収スペクトルの短波長側、長波長側における吸収ピーク付近を拡大して示す。図9、図10において、長波長側の光吸収ピークはMgF2とPVAを堆積した部分、短波長側はPVKを堆積した部分における表面プラズモン励起によるものである。これらの短波長、長波長側のピークはそれぞれ異なった応答をしていることがわかる。すなわち、長波長側のピークはPVAの吸湿性が強いため湿度に強く応答してピークが長波長側にシフトしている。また、乾燥窒素の導入でピーク波長はほぼ元に戻っている。これに対して、短波長側のピークはPVKの吸湿性が強くないため湿度に対する応答は小さいことが分かる。
[実施例2]
スライドガラス上に2箇所の金属層を形成するまでの工程は実施例1と同様に行い、その後、2箇所ある金属層のうち、一方の金属層上の半分の領域に20mg/mlのPVA溶液(溶媒:純水)を塗布液として、キャスト法により塗布し10nmの誘電率調整層(感受性層)を形成した。また、他方の金属層上の半分の領域に真空蒸着法によりMgFの層を90nm形成し、さらに形成したMgFの層上に6mg/mlのPMMA溶液(溶媒:アセトン)をキャスト法により塗布し10nmのPMMA層(感受性層)を堆積し、MgF層とPMMA層からなる誘電率調整層を形成した。
次いで、実施例1と同様にして、図2に示すような検出装置を作製した。そして、検出用のガスである導入ガスとして、シリカゲルを通過させた乾燥窒素、純水中でバブリングしたウェット窒素、トルエン中でバブリングしたトルエン−窒素を交互に導入した。具体的には、乾燥窒素を5分間、ウェット窒素を15分間、乾燥窒素を15分間、アセトン−窒素を60分間導入した。さらに、アセトンの飽和蒸気を10分間、乾燥窒素を30分間の順に導入した。次いで、実施例1と同様に検出して得られた吸収スペクトルを図11に示す。また、図12(a)(b)は、それぞれ、図11の吸収スペクトルの短波長側、長波長側における吸収ピーク付近を拡大して示す。図11、図12において、短波長側のピークはPVAを堆積した部分、長波長側はMgFとPMMAを堆積した部分での表面プラズモン励起によるものである。これらの短波長、長波長側のピークはそれぞれ異なった応答をしていることがわかる。すなわち、短波長側のピークはPVAの吸湿性が強いため湿度に強く応答してピークが長波長側にシフトしており、乾燥時には元に戻っている。また、アセトンにはあまり応答性が無い。これに対して、長波長側のピークはPMMAの吸湿性が強くないため湿度に対する応答はPVAよりも小さい。また、PMMAはアセトンを吸着するため、アセトン蒸気への暴露に対してピークが長波長側にシフトしていることが分かる。このように、異なる感受性層を用いることで異なるガスに別の応答を観測することができる。
[実施例3]
スライドガラス上に2箇所の金属層を形成するまでの工程は実施例1と同様に行い、その後、2箇所ある金属層のうち、一方の金属層上の半分の領域に5mg/mlのPVKと10mg/mlオクタデカン溶液(溶媒:トルエン)を塗布液として、ディップコート法により塗布し40nmの誘電率調整層(感受性層)を形成した。また、他方の金属層上の半分の領域に真空蒸着法によりMgFの層を100nm形成し、さらに形成したMgFの層上に10mg/mlのPVA溶液(溶媒:純水)をディップコート法により塗布し55nmのPVA層(感受性層)を堆積し、MgF層とPVA層からなる誘電率調整層を形成した。
次いで、実施例1と同様にして、図2に示すような検出装置を作製した。そして、検出用のガスである導入ガスとして、シリカゲルを通過させた乾燥窒素、純水中でバブリングしたウェット窒素、トルエン中でバブリングしたトルエン−窒素を交互に導入した。具体的には、乾燥窒素を5分間、ウェット窒素を15分間、乾燥窒素を15分間、アセトン−窒素を2分間、さらに乾燥窒素を50分間の順に導入した。次いで、実施例1と同様に検出して得られた吸収スペクトルを図13に示す。また、図14は、図13の吸収スペクトルの短波長側における吸収ピーク付近を拡大して示す。図13、図14において、短波長側のピークはPVKとオクタデカンの混合膜を堆積した部分、長波長側はMgFとPVAを堆積した部分での表面プラズモン励起によるものである。これらの短波長、長波長側のピークはそれぞれ異なった応答をしていることがわかる。すなわち、長波長側のピークはPVAの吸湿性が強いため湿度に強く応答してピークが長波長側にシフトしており、乾燥時には元に戻っている。また、トルエンにはあまり応答性が無い。これに対して、短波長側のピークはPVKとオクタデカンの混合膜の吸湿性が強くないため湿度に対する応答はPVAよりも小さい。また、この混合膜はトルエンを吸着するため、トルエン蒸気への暴露に対してピークが長波長側にシフトし、また観測窒素導入時には元に戻っていることが分かる。このように、異なる感受性層を用いることで異なるガスに別の応答を観測することができる。
[実施例4]
スライドガラス上に2箇所の金属層を形成するまでの工程は実施例1と同様に行い、その後、2箇所ある金属層のうち、一方の金属層上の半分の領域に6mg/mlのPMMA溶液(溶媒:アセトン)を塗布液として、ディップコート法により塗布し65nmの誘電率調整層(感受性層)を形成した。また、他方の金属層上の半分の領域に真空蒸着法によりMgFの層を100nm形成し、さらに形成したMgFの層上に10mg/mlのPVA溶液(溶媒:純水)をディップコート法により塗布し60nmのPMMA層(感受性層)を堆積して、MgF層とPVA層からなる誘電率調整層を形成した。
次いで、実施例1と同様にして、図2に示すような検出装置を作製した。そして、検出用のガスである導入ガスとして、シリカゲルを通過させた乾燥窒素、純水中でバブリングしたウェット窒素、ヘキサン中でバブリングしたヘキサン−窒素を交互に導入した。具体的には、乾燥窒素を5分間、ウェット窒素を20分間、乾燥窒素を20分間、アセトン−窒素を25分間、さらに乾燥窒素を60分間の順に導入した。次いで、実施例1と同様に検出して得られた吸収スペクトルを図15に示す。図15において、短波長側のピークはPMMAを堆積した部分、長波長側はMgFとPVAを堆積した部分での表面プラズモン励起によるものである。これらの短波長、長波長側のピークはそれぞれ異なった応答をしていることがわかる。すなわち、長波長側のピークはPVAの吸湿性が強いため湿度に強く応答してピークが長波長側にシフトしており、乾燥時には元に戻っている。また、ヘキサンにはあまり応答性が無い。これに対して、短波長側のピークはPMMAの混合膜の吸湿性が強くないため湿度に対する応答はPVAよりも小さい。また、この混合膜はヘキサンを吸着するため、ヘキサン蒸気への暴露に対してピークが長波長側にシフトし、また観測窒素導入時には元に戻っていることが分かる。このように、異なる感受性層を用いることで異なるガスに別の応答を観測することができる。
[実施例5]
本実施例は、3箇所の検出領域を有するSPRセンサーの実施例である。図18に示すSPRセンサー110は、透明基材112上に検出領域を3箇所有し、いずれの検出領域も、それぞれの金属層114上に、誘電率調整層116A、116B、116Cが積層されてなる。誘電率調整層116A、116B、116Cはそれぞれ膜厚が異なり、膜厚を異ならせることでそれぞれ異なる表面プラズモン共鳴を有するように調整されている。当該SPRセンサーを以下のようにして作製し、被検出物の検出に供した。
まず、実施例1と同様にして、スライドガラス上に3箇所の金属層を形成した(図18参照)。その後、3箇所ある金属層上に、それぞれ、5mg/ml、20mg/ml、35mg/mlの濃度のポリビニルアルコール(PVA)水溶液をスピンコート法により塗布し、それぞれ、厚み22nm、58nm、94nmのPVA層(感受性層)からなる誘電率調整層を形成した。
次いで、実施例1と同様にして、図2に示すような検出装置を作製した。そして、検出用のガスである導入ガスとして、湿度10%の窒素、純水中でバブリングした湿度90%のウェット窒素を交互に導入した。具体的には、湿度10%の窒素を20分間、湿度90%のウェット窒素を60分間、湿度10%の窒素を10分間導入した。ここで、s偏波(紙面に垂直な電界成分を持つ光)の透過光を参照光とし、p偏波(紙面に平行な電界成分を持つ光)の透過光を同一光路で測定することにより得た透過率スペクトルを図19に示す。実施例3までと異なり透過率で示してあるため、表面プラズモンによる吸収は透過率のディップ(吸収として考えればピーク)として現れている。図19において、短波長側のディップは22nmの膜厚のPVA層、その隣の中間波長域のディップは58nmの膜厚のPVA層、長波長側のディップは94nmの膜厚のPVA層における表面プラズモン励起によるものである。また、図19において、湿度10%の窒素、純水中でバブリングした湿度90%のウェット窒素に対するスペクトルを、それぞれ、湿度10%、湿度90%、湿度10%として示した。このように、1つの光路に3箇所の検出領域を設けた場合であっても、3箇所の検出領域に位置する被検出物を同時に検出することができる。なお図19において、短波長側、中間波長域、長波長側の順に湿度変化によるディップの波長シフト量が大きくなっていることが分かる。これは、短波長側、中間波長域、長波長側の順に誘電率調整層の膜厚が厚くなり、膜厚が厚いと水分が浸透する容量が大きく、表面プラズモン共鳴条件も大きく変わるためと推察される。
また、以上のように、短波長側、中間波長域、長波長側における各ディップ波長が湿度変化によりシフトするが、図20に、短波長側、中間波長域、長波長側のそれぞれのディップの時間に対する波長のシフト量を示した。
ここで、実施例5において、PVA層の膜厚を異ならせた各誘電率調整層がそれぞれ異なる応答を示すことについて説明する。図21は、湿度90%のウェット窒素の導入開始直前から導入終了直後までにおける、各誘電率調整層の検出光(透過率ディップ波長)に対する透過率の経時変化を示す。別言すると、膜厚22nm、58nm、94nmのPVA層に対しそれぞれの透過率ディップ波長(吸湿時)である435nm、610nm、756nmの検出光を入射した場合において、湿度90%のウェット窒素の導入開始直前から60分間の導入が終了した直後までの透過率の経時変化を示す。
さらに、図22に、図21に示した各波長に対する透過率変化(delta T)の自然対数をとってグラフ化したものを示す。このように、膜厚を異ならせたPVA層はそれぞれ異なる応答を示す。
ここで、図22の傾きから算出した吸着過程・脱離過程における時定数を表1に示す。この時定数は、時間をtとして透過率変化がe-t/τに比例するとした時のτであり、吸着・脱離過程で変化量が約65%に至るまでの時間を意味し、吸着が単一の過程のみでない場合は、複数の時定数を有することがある。さらに詳細に説明すると、透過率(%)の数値をT、その飽和値Tsat(データとしては、透過率が減少する場合には、透過率の数値の最低値を採用する。)としたとき、ln(T-Tsat)を横軸時間t(s)でプロットして、1本あるいは2本(時定数が2以上観測される場合)の直線で近似された場合の傾きの逆数が時定数として与えられる。このとき、T−TsatをΔTとし、ΔTの初期値をΔTini=Tini - Tsat と表記すれば、ΔT=ΔTini exp[-t/τ]を計算していることとなる。なお、expの中の符号が−か、+かは、吸着過程の時と脱着過程の時とで異なるが、時定数が+となるように定義される。
本実施例においては、吸着過程では、10%の平衡吸着量と考えられるドライ吹き付けで安定した時における透過率をTini、90%の平衡吸着量と考えられるウェット吹き付けで安定した時における透過率をTsatとして、上式のようにしてτを計算した。脱着過程では、90%をTini、10%をTsatとして、同様にしてτを計算した。
Figure 0005621983
表1より、吸着においては、各チャンネル共にまず時定数の小さい(速い)吸着過程(過程A:時間310〜340秒付近)がみられ、次に時定数の大きい(遅い)吸着過程(過程B:時間700〜1500秒付近)が見られることが分かる。速い吸着過程はPVA表面への水分子の吸着、遅い吸着過程はPVA膜内部への浸透に対応していると考えられるが、膜厚の小さい場合は速い吸着過程が長く観測されている。これは、膜厚が小さい場合には内部への浸透の容量が小さく、表面プラズモン励起に対する、表面における吸着の寄与が大きいためと考えられる。これに対して、膜厚が大きい場合には内部への浸透による効果が大きいものと推察される。なお、脱離過程(過程C、時間3600秒付近)は各チャンネル共にかなり高速な応答であり、吸着過程とは異なった挙動を示している。
[実施例6]
実施例5におけるウェット窒素を60分間導入する代わりに、エタノール中でバブリングしたエタノール−窒素を10分間導入したこと以外は実施例5と同様に検出を行った。得られた透過率スペクトルを図23に示す。また、図24に、短波長側、中間波長域、長波長側のそれぞれのディップの時間に対する波長のシフト量を示した。
また、実施例5と同様に、エタノール−窒素の導入開始直前から導入終了直後までにおける、各誘電率調整層の検出光(透過率ディップ波長)に対する透過率の経時変化と、その透過率変化(delta T)の自然対数をとってグラフ化したものを図25、26に示す。図25、26からも、膜厚が異なる3つのPVA層が感受性層としてエタノールに対して応答性を示し、エタノールを検出可能であることが分かる。さらに、本実施例における吸着過程・脱離過程における時定数を表2に示す。
Figure 0005621983
表2より、エタノール蒸気の吸着では、まず時定数の大きい(遅い)吸着過程(過程A:時間380秒付近)がみられ、次に時定数の小さい(速い)吸着過程(過程B:膜厚22と58nmに関しては時間470秒付近、膜厚94nmに関しては510秒付近))が見られることが分かる。このように、各チャンネルの感受性層の膜厚を異ならせることで、速い吸着・拡散過程と遅い吸着・拡散過程とをそれぞれに測定することができることが示された。すなわち、速い過程から遅い過程までについての検出を、幅広いダイナミックレンジで、一つの光路の測定データから得ることができる。さらに、脱離においても時定数の異なる成分(過程C:時間870秒付近、過程D:時間910秒付近)が二つ観測されている。このように、図18の構造のSPRセンサーとすることで、吸着する蒸気による時定数の違いや、また感受性層の膜厚による応答の違いを簡便に測定できることが分かる。これらの違いをあらかじめ調べておくことによって、吸着された化学種を判別することも可能である。
[実施例7]
厚み22nm、34nm、48nmのPVA層(感受性層)からなる誘電率調整層を形成したこと以外は実施例5と同様にして検出を行った。得られた透過率スペクトルを図27に示す。図27からも、1つの光路に3箇所の検出領域を設けた場合であっても、3箇所の検出領域に位置する被検出物を同時に検出することができることが分かる。
10 40 50 60 70 80 100 SPRセンサー
11 スライドガラス(透明基材)
12 14 検出領域
16 金属層
18 PVK層(誘電率調整層)
20 金属層
22 MgF層(誘電率調整層)
24 PVA層(誘電率調整層)
30 ケーシング
32 ガス導入口
35 ガス排出口
36 光源
38 検出器

Claims (24)

  1. 光路と、
    前記光路の側面に、表面プラズモン共鳴現象を起こすように形成された金属層が積層されてなる検出領域と、
    を有するSPRセンサーであって、
    前記検出領域が、1つの光路に対して2箇所以上形成されていること、
    前記2箇所以上の検出領域のうち少なくとも1箇所の検出領域にはさらに誘電率調整層が積層されて、各検出領域においてそれぞれ異なる表面プラズモン共鳴を有するように誘電率が調整されており、
    前記2箇所以上の検出領域のうち少なくとも1箇所の検出領域に積層された誘電率調整層が、それ自体又はその最表面が被検出物に対して感受性を有する感受性層として機能すること、及び
    前記誘電率調整層の膜厚が1〜200nmであり、かつ/または、前記誘電率調整層の構成材料の誘電率が1.2〜4であること、
    を特徴とするSPRセンサー。
  2. 光路と、
    前記光路の側面に、表面プラズモン共鳴現象を起こすように形成された金属層が積層されてなる検出領域と、
    を有するSPRセンサーであって、
    前記検出領域が、1つの光路に対して2箇所以上形成されていること、及び
    前記2箇所以上の検出領域のうち少なくとも1箇所の検出領域にはさらに膜厚が均一である誘電率調整層が積層されて、各検出領域においてそれぞれ異なる表面プラズモン共鳴を有するように誘電率が調整されており、
    前記2箇所以上の検出領域のうち少なくとも1箇所の検出領域に積層された誘電率調整層が、それ自体又はその最表面が被検出物に対して感受性を有する感受性層として機能すること、
    を特徴とするSPRセンサー。
  3. 前記2箇所以上の検出領域のうち、少なくとも1箇所の検出領域は表面プラズモン共鳴現象を起こすように形成された金属層からなる検出領域であって、前記金属層からなる検出領域とは異なる少なくとも一つの検出領域は、表面プラズモン共鳴現象を起こすように形成された金属層及び誘電率調整層が積層されてなる検出領域であることを特徴とする請求項1又は2に記載のSPRセンサー。
  4. 前記検出領域が、表面プラズモン共鳴現象を起こすように形成された金属層、及び誘電率調整層が積層されてなる検出領域であって、
    1つの光路に対して2箇所以上形成されていること、及び
    前記2箇所以上の検出領域に積層された誘電率調整層が、各検出領域においてそれぞれ異なる表面プラズモン共鳴を有するように誘電率が調整されており、
    前記2箇所以上の検出領域のうち少なくとも1箇所の検出領域に積層された誘電率調整層が、それ自体又はその最表面が被検出物に対して感受性を有する感受性層として機能すること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載のSPRセンサー。
  5. 前記2箇所以上の検出領域に誘電率調整層が積層され、該誘電率調整層が、それ自体又はその最表面が各検出領域においてそれぞれ異なる被検出物に対して感受性を有する感受性層として機能することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のSPRセンサー。
  6. 前記2箇所以上の検出領域に誘電率調整層が積層され、該誘電率調整層が各検出領域において材質が異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のSPRセンサー。
  7. 前記2箇所以上の検出領域のうち、前記被検出物に対して感受性を有する感受性層として機能する誘電率調整層が積層された検出領域とは異なる少なくとも1つの検出領域に、被検出物に対して感受性を有しない非感受性層として機能する誘電率調整層が積層されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のSPRセンサー。
  8. 検出領域が2箇所以上形成された光路を用いての検出に際し、検出光としてはp偏波成分を用い、参照光としてはs偏波成分を用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のSPRセンサー。
  9. 前記誘電率調整層が各検出領域において厚さが異なることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のSPRセンサー。
  10. 前記誘電率調整層が、透明媒質からなる請求項1〜9のいずれか1項に記載のSPRセンサー。
  11. 前記光路が透明基材中に位置することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のSPRセンサー。
  12. 前記透明基材が無機ガラスからなることを特徴とする請求項11に記載のSPRセンサー。
  13. 前記透明基材がポリマーからなることを特徴とする請求項11に記載のSPRセンサー。
  14. 前記光路が2次元光導波路のコア層の一部であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のSPRセンサー。
  15. 前記光路が3次元光導波路のコアであることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のSPRセンサー。
  16. 前記光路が光ファイバーのコアであることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のSPRセンサー。
  17. 前記金属層を構成する金属として、Au、Ag、Pt、Cu、及びAlからなる群より選択される少なくとも1種を用いたことを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載のSPRセンサー。
  18. 前記感受性層に含有される感受性を有する物質が溶媒可溶の物質であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載のSPRセンサー。
  19. 前記溶媒可溶の物質が親水性物質であることを特徴とする請求項18に記載のSPRセンサー。
  20. 前記親水性物質として、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアミド酸、及びポリイミド前駆体からなる群より選択される少なくとも1種を用いたことを特徴とする請求項19に記載のSPRセンサー。
  21. 前記溶媒可溶の物質が疎水性物質であることを特徴とする請求項18に記載のSPRセンサー。
  22. 前記疎水性物質が、ポリビニルカルバゾール、ポリメチルメタクリレート、ろう、ポリイミド、及びテフロン(登録商標)からなる群より選択される1種であることを特徴とする請求項21に記載のSPRセンサー。
  23. 前記感受性層が、感受性を有する物質をポリマー中に含む層であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載のSPRセンサー。
  24. 前記非感受性層が、ガラス膜、無アルカリガラス膜、酸化ケイ素膜、石英ガラス膜、フッ化マグネシウム膜、アルミナ膜、チタニア膜、シリコン窒化膜、及びITO膜からなる群より選択される1種から構成されていることを特徴とする請求項7〜23のいずれか1項に記載のSPRセンサー。
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