JP5619660B2 - スライド駆動装置 - Google Patents
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Description
スライド90が初期位置(例えば、上死点)に位置する初期状態では、図3(B)に示す如く、押え部材51(押え天井部52)が円環部材41を通して水平ピン部材45(球体部32)に担持されている。雄円筒形状外面38Tと雌円筒形状内面48Tとの間のクリアランスはC2dである。円環部材41(外周面42)と第1水平端面64との間のクリアランスC2mlの値はクリアランスC2dの値よりも大きい。つまり、スライド荷重Psrdは水平ピン部材45を通してコンロッド20(下端部31)に伝達される。
クランク軸10を回転させると、コンロッド20の上端部21は水平軸線X1を中心として偏心回転される。ロッド部25(上端部21)は、下端部31(球体部32)を中心に揺動運動する。具体的には、水平ピン部材45が両側円環部材41を軸受としかつ水平軸線X2を中心に回転する。下端部31(円筒部32)は、コンロッド20の揺動角度に応じて上下(Z)方向に移動する。スラスト受けガイド3が設けられているので、揺動運動に伴うスラスト分力を分散できる。
すなわち、コンロッド20の揺動に伴いスライド90が下死点に向かって下降する。この際は、図3(B)の状態が維持される。
スライド90が所定位置(例えば、下死点近傍)に進むと、上型が下型内にセットされたワークに当接する。すなわち、プレス成形動作に突入する。すると、プレス成形荷重Pprsが発生する。この上向き反力(Pprs)は、図1に示すスライド90→プレート93→雌ねじ部材72→雄ねじ部材62→雌円筒形状部材47Tに伝達される。したがって、雌円筒形状内面48Tが図3(B)に示す状態から同図(A)に示す状態に変化して雄円筒形状外面38Tに接触する。この切換わりの際に、ガタ(C2d)が発生する。内外面48T、38Tが接触状態であるから、プレス成形荷重Pprsは雄円筒形状部材37T(円筒体32)に伝播され、コンロッド20(下端部31)に伝達される。最終的にはクランク軸10がプレス負荷(プレス成形荷重Pprs)として受け止める。これと並行して、押え天井部52(内面52I)と円環部材41(外周面42)との間のクリアランスC2uが、図3(A)に示すように広がる。このクリアランスC2uの値は、図3(B)に示すクリアランスC2dの値と同じである。しかし、押え部材51および円環部材41(水平ピン部材45)はプレス成形荷重Pprsの伝達に直接関与しないので、クリアランスC2uは総合精度を低下させるガタにはならない。すなわち、従来例の場合のように両クリアランスの和(C2d+C2u)ではない。本発明では、第2の結合個所のガタが半減(C2d)される。
プレス成形終了後に、スライド90は上昇し始める。プレス成形荷重Pprsが消滅し、スライド荷重Psrdが発生する。この下向き荷重(Psrd)は、スライド90→プレート93→雌ねじ部材72→雄ねじ部材62→押え部材51に伝達される。このスライド懸架に伴い、雌円筒形状内面48Tは図3(A)に示す状態から同図(B)に示す状態に変化(降下)する。つまり、雌円筒形状内面48Tは降下して雄円筒形状外面38Tと非接触状態となる。クリアランスC2dが広がるが、ガタとはならない。つまり、下向き荷重(Psrd)は、雄ねじ部材62の第2水平端面65を通してこれと一体的に連結された押え部材51の負荷となる。すなわち、押え部材51が降下して円環部材41(外周面42)に当接するから、下向き荷重(Psrd)は円環部材41、水平ピン部材45および下端部31(円筒部32)を通してコンロッド20に伝達される。押え部材51(内面52I)と円環部材41(外周面42)との間のクリアランスC2uの値は、図3(A)に示す最大値から同図(B)示すゼロ(0)となる。下向き荷重(Psrd)の伝達に直接関与するので、クリアランスC2uはガタとなる。しかし、非接触状態の雌円筒形状内面48Tおよび雄円筒形状外面38Tは、スライド荷重Psrdの伝達に直接関与しないので、クリアランスC2dはガタとならない。
スライド90をある位置またはある位置範囲内で上昇と下降を繰り返すプレス運転が選択された場合を考える。かかるプレス運転の場合は、クランク軸10の回転方向を切換えることで、スライド下降動作とスライド上昇動作とが交互に繰り返される。しかし、第2の連結個所のガタ(C2d=C2u)が従来例の場合(C21+C22)の値の1/2であるから、従来例の場合に比較して切換え動作時の衝撃や騒音が大幅に弱小化されている。したがって、サーボプレスに固有な特長機能を発現させたプレス運転を続行できる。
第2の連結個所のガタ(C2d=C2u)が従来例の場合(C2)の1/2であるから、油圧ねじロック手段が無い場合でも、従来例による製品品質と遜色のないまたはそれ以上の品質の製品を生産することができる。隙間調整により、ガタ(C2d)を最小化できるからである。もとより油圧ねじロック手段を付設してもよい。この場合には、大幅な高精度化を達成できるから、一段と高品質の製品を生産することができる。すなわち、本発明装置は、従来例に比較して生産すべき製品品質に対する適応性が広い。
具体的運用条件(連続時間・期間、製品品質、プレス負荷の大小、プレス速度、周囲環境など)に最適な精度を得るには、押え部材51と雄ねじ部材62との間のスペーサー57の交換等により、クリアランスC2dの値を調整すればよい。
ダイハイト調整を必要とする場合(プレス運転態様、製品形態や保証品質などに好適とするための一策を施す。)には、外部モータ制御により、図1、図2に示すウオームねじ81(81S)を回転させてウオーム歯車82を、垂直軸線Zを中心に回転させる。雄ねじ部材62の回転量に応じて雌ねじ部材72が上下方向に変位する。すなわち、ダイハイト調整ができる。油圧ねじロック手段が無いので、プレス運転中も調整できるから、製品精度・品質のバラツキを最小化できる。雌円筒形状部材47T(雌円筒形状内面48T)が垂直軸線Zを中心に回転できるので、円滑で迅速なダイハイト調整ができる。
クランク軸10の回転を停止させると、コンロッド20(上端部21)の水平軸線X1を中心とする偏心回転が停止する。下端部31(円筒部32)を中心とするコンロッド20の揺動運動も停止する。水平ピン部材45の両側円環部材41を軸受としかつ水平軸線X2を中心とする回転が停止する。通常はスライド90を上死点位置(初期位置)に戻してプレス停止させる。下端部31(円筒部32)はコンロッド20の揺動角度に応じて上下(Z)方向に移動する。サスペンション機構40は図3(B)に示す状態で静止保持される。
3 スラスト受けガイド
10 クランク軸
20 コンロッド
31 下端部
32 円筒体(雄円筒形状部材)
33 肩部
37T 雄円筒形状部材
38T 雄円筒形状外面
40 サスペンション機構
41 円環部材
45 水平ピン部材
46 半割り円筒体(雌円筒形状部材)
47T 雌円筒形状部材
48T 雌円筒形状内面
51 押え部材
52 押え天井部
54 スカート部
57 スペーサー
61 スライド高さ調整部(ダイハイト調整機構)
62 雄ねじ部材
67 雄ねじ部
72 雌ねじ部材
77 雌ねじ部
Claims (8)
- クランク軸の回転運動をコンロッドおよびサスペンション機構を通してスライドの垂直軸線に沿った昇降運動に変換しつつスライド駆動するスライド駆動装置において、
前記コンロッドの下端部に下方に凸形状の雄円筒形状外面を有する雄円筒形状部材を形成し、かつ該垂直軸線の周りに円環である円環部材に回転自在に水平方向に保持された水平ピン部材を設けるとともに、下部側が下方に凸形状の雌円筒形状内面を有する雌円筒形状部材に連結されかつ上部側が該円環部材に被嵌装着可能に形成された押え部材を設け、さらに、前記押え部材の下部側には雄ねじ部材が連結され、前記雄ねじ部材は前記スライド側の雌ねじ部材と螺合し、
プレス成形中は前記スライド側の該雌円筒形状内面と前記コンロッド側の該雄円筒形状外面とを接触状態としかつプレス成形荷重を当該接触内外面を通して前記コンロッド側に伝達可能に形成され、
非プレス成形中は該押え部材の上部側を該円環部材に懸架させることで該雌円筒形状内面と該雄円筒形状外面とを非接触状態としかつスライド荷重を該押え部材、該円環部材および水平ピン部材を通して前記コンロッド側に伝達可能に形成された、スライド駆動装置。 - クランク軸の回転運動をコンロッドおよびサスペンション機構を通してスライドの垂直軸線に沿った昇降運動に変換しつつスライド駆動するスライド駆動装置において、
前記コンロッドの下端部に仮想中心を通る水平軸線を中心としかつ下方に凸形状の雄円筒形状外面を有する雄円筒形状部材を形成するとともに該水平軸線を中心としかつ水平軸線方向に延びる水平ピン部材を設け、
前記サスペンション機構を、該水平ピン部材を回転自在に該水平軸線の方向に保持し、かつ、該垂直軸線の周りに円環である円環部材と,前記スライド側の雌ねじ部材と螺合される雄ねじ部材と,上部側が該円環部材に懸架可能で下部側が該雄ねじ部材に連結された押え部材とを含みスライドをサスペンション可能に形成し、
該雄円筒形状外面の形状に対応する下方に凸形状の雌円筒形状内面を有する雌円筒形状部材を該雄ねじ部材の上部側に配置し、
プレス成形中はプレス成形荷重により該雌円筒形状内面と該雄円筒形状外面とを接触状
態に保持可能かつ該押え部材と該円環部材とを非接触状態に保持可能に形成され、非プレス成形中はスライド荷重により該押え部材と該円環部材とを接触状態に保持可能かつ該雌円筒形状内面と該雄円筒形状外面とを非接触状態に保持可能に形成されている、スライド駆動装置。 - 前記雄円筒形状部材が円筒体から形成され、前記雌円筒形状部材が半割り円筒体から形成されている、請求項2記載のスライド駆動装置。
- スペーサーを用いて前記押え部材の下端面と前記雄ねじ部材の上端面との隙間を拡縮することで非接触状態の前記雌円筒形状内面と前記雄円筒形状外面との間のクリアランスを調整可能に形成されている、請求項2または3記載のスライド駆動装置。
- 前記雄円筒形状部材と前記水平ピン部材とが隙間のない一体的構造とされている、請求項2〜4までのいずれか1項に記載されたスライド駆動装置。
- 前記雌円筒形状部材は前記雄ねじ部材の上部側に、前記垂直軸線を中心とした円柱形状のホルダーを介して配置されており、前記雌円筒形状部材と前記雄ねじ部材とが前記仮想中心を通る垂直軸線を中心に相対回転可能である、請求項2〜5までのいずれか1項に記載されたスライド駆動装置。
- 前記コンロッドの下端部の前記水平ピン部材よりも上方に位置する肩部が前記押え部材と非接触とされている、請求項2〜6までのいずれか1項に記載されたスライド駆動装置。
- 前記押え部材の起立外周面と前記クランク軸を収容するクラウンとの間にスラスト受けガイドが装着されている、請求項2〜7までのいずれか1項に記載されたスライド駆動装置。
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