JP5618747B2 - バッテリスタックの固定構造 - Google Patents

Description

本発明は車両に搭載するバッテリスタックの固定構造に関し、特に複数のバッテリスタックを固定するのに適した固定構造に係る。

車両に搭載するバッテリスタックの固定構造としては、例えば特許文献１にセルスタックを上下の締め付け板で挟み込み、この上の締め付け板を補強枠にて支持する構造を開示する。
しかし、同公報に開示するセルスタックの固定構造はセルスタックの項部を上の締め付け板を介した補強枠で固定するものであるため、車両走行振動時に最も振動幅が大きくなるセルスタックの項部を補強枠で支える構造となる。
また、車両が衝突した際に衝撃モーメントが最大となるセルスタックの項部にてその衝撃を吸収しなければならない構造でもある。
よって、セルスタック（バッテリスタック）を強固に固定するには大型、大重量の補強枠になり、車両の軽量化、小型化、燃費（電費）向上の観点からは好ましいものではない。

特許文献２は、電池集合体の両側に電池モジュールフランジ部を設け、アッパーケースフランジ部とロアーケースフランジ部とでこのモジュールフランジ部を挟み込むようにして車両側に固定する構造を開示する。
しかし、同公報に開示する固定構造は１つのバッテリスタック毎にアッパーケースとロアーケースで包み込み、それぞれ１つのバッテリスタック毎に車両に固定しなければならないものであり、複数のバッテリスタックを並設する場合に部品点数が多くなり、さらには広い搭載スペースが必要となる問題があった。

特開平５−８２１５７号公報 特開２００６−２３６８２６号公報

本発明は複数のバッテリスタックを少ない部品点数にて固定でき、軽量化、省スペース化を図るのに有効で固定強度に優れたバッテリスタックの固定構造の提供を目的とする。

本発明に係るバッテリスタックの固定構造は、車両に搭載するバッテリスタックの下フレームへの固定構造であって、バッテリスタックは両側の側部であって下部側にフランジ部を有し、複数のバッテリスタックを隣接した相互の対向するフランジ部が概ね平行になるように共通する中空断面形状の下フレーム上に並設し、対向する両側のフランジ部を上部から共通して押えるように前記下フレームに固定するための固定フレームを有し、前記固定フレームの両側に形成した押え片で前記対向する両側のフランジ部を押えるようにして前記固定フレームをボルトで下フレームの中空部に螺着固定したことを特徴とする。

ここで、下フレームは車両に直接的に連結したものでもよいが、複数のバッテリスタックが収容されるバッテリパックを有し、当該バッテリパックは上枠と下枠とを縦フレームで連結したフレームケース構造であり、当該下枠に前記下フレームを連結してあるのが好ましい。

本発明にあって、バッテリスタックとは充放電可能な２次電池からなるセルを複数枚積層し、直列に電気接続したセルの集合体をいい、一般的には複数のセルを積層した状態で樹脂製のセルホルダーに収容されている。

また、バッテリスタックの両側の側部であって、下部側にフランジ部を有すると表現したのは、次のような理由による。
このフランジ部を固定用フレームと下フレームとの間に挟持するようにして、この固定用フレームを用いてバッテリスタックを下フレームに固定する際に、バッテリスタックの側部から側方に突出するフランジ部の位置がバッテリスタックの高さ方向の上部側よりも下部側の方が好ましい趣旨である。
フランジ部を下部側に設けた方が車両の走行振動や衝突時の衝撃モーメントにより振れが最大となるバッテリスタックの項部よりも小さい力で抑えることができるからである。
よって、下部側とはバッテリスタックの高さ方向の中心より下側をいう。

本発明に係るバッテリスタックの固定構造にあっては、複数の隣接するバッテリスタックを共通する下フレームと共通する固定フレームにて固定できるために、個々のバッテリスタックを個別に固定するよりも固定強度を確保しつつ、部品点数が少なくて済み、省スペース化及び軽量化を図ることができる。

本発明に係るバッテリスタックの固定部の要部断面図を示す。 固定用フレームとバッテリスタックとの位置関係を示す。 バッテリパックの構造例を示す。 固定用フレームの変形例を示す。

本発明に係るバッテリスタックの固定構造は車両側に直接的に設けた下フレームに複数のバッテリスタックを並設固定する場合も含むが、図３には本発明に係るバッテリスタックの固定構造を車両に搭載するバッテリパック１０に適用した例を示す。
バッテリパック１０は、内燃機関とモーターを統合したハイブリッド自動車や、電気自動車等に搭載される。

バッテリパック１０は対向するフレーム２２ａ，２２ａの両端部をフレーム２２ｂ，２２ｂで連結した枠状の下枠２２と、対向するフレーム２１ａ，２１ａの両端部をフレーム２１ｂ，２１ｂで連結した枠状の上枠を４つのコーナー部にてそれぞれ縦フレーム２４にて連結したフレームケース２０の実施例となっている。

下枠２２に連結した下フレーム２３に複数のバッテリスタック３０を固定してあり、図３のＡ−Ａ線断面図を図１に示し、図２に下フレーム２３、バッテリスタック３０、固定用フレーム４０の位置関係を示す。
バッテリスタック３０は図２にて点数で示したように複数のセル（２次電池）３１が積層され、樹脂製等のセルホルダー３２の中に保持されている。
バッテリスタック３０（セルホルダー３２）は両側の側部３２ｂであって、下部側にフランジ部３２ａを側方に突出した状態で設けてある。

下フレーム２３は下枠２２に連結されたものであり、中空断面形状からなるアルミニウム合金の押出材にて製作された例となっている。
図１にて説明すると、下フレーム２３は、隣接して並設する左右のバッテリスタック３０のフランジ部３２ａ，３２ａをそれぞれ平行に載置するための載置面２３ａを有する。
この左右のバッテリスタック３０のフランジ部３２ａ，３２ａをその間に所定の隙間を形成するように共通の下フレーム２３に載置し、共通する固定フレーム４０にて固定する。

固定用フレーム４０は両側の並行に並設したバッテリスタック３０，３０を共通して下フレーム２３に固定できれば、その固定方法や固定用フレームの形状に限定はない。
固定方法としては、溶接（スポット溶接）、カシメ、ボルト締結等が例として挙げられる。
図１に示した実施例は、下フレーム２３の載置面２３ａに接するベース部４１から左右両側に段差状に上方に折り返した押え片４２，４２を有し、この押え片４２と下フレーム２３の間にフランジ部３２ａを挟み、ベース部４１の長手方向に複数設けた固定孔４３を介してボルト等の固定具６０にて螺着固定した例となっている。
なお、必要に応じて押え片４２とフランジ部３２ａとの間に弾性材５０を配設してもよい。
なお、本実施例では３個のバッテリスタック３０を並設した例になっているが、２個以上であれば数に制限はない。
また、複数のバッテリスタック３０を並設した両端のバッテリスタックのフランジ部は単独で下フレームに固定される。

図４は固定用フレームの変形例を示す。
図４に示した固定用フレーム１４０は断面コ字形状のチャンネル形状の例である。
固定用フレーム１４０は、ベース部１４１の両側から下方に折り曲げ垂下された押え片１４２，１４２を有し、共通する下フレーム１２３は中空断面形状からなり、固定面１２３ｃの両側の下部から側方に突出した載置面１２３ａ，１２３ｂを有し、この両側の載置面１２３ａ，１２３ｂに、並設するバッテリスタック１３０（セルホルダー１３２）の側部であって下部側に設けたフランジ部１３２ａ，１３２ａをそれぞれ載置し、共通する固定用フレーム１４０の両側の押え片１４２，１４２にてボルト６０を用いて固定した例である。

１０ バッテリパック
２０ フレームケース
２１ 上枠
２２ 下枠
２３ 下フレーム
２４ 縦フレーム
３０ バッテリスタック
３１ セル
３２ セルホルダー
３２ａ フランジ部
４０ 固定用フレーム
４１ ベース部
４２ 押え片
４３ 固定孔
５０ 弾性材
６０ 固定具

Claims (2)

1. 車両に搭載するバッテリスタックの下フレームへの固定構造であって、
   バッテリスタックは両側の側部であって下部側にフランジ部を有し、
   複数のバッテリスタックを隣接した相互の対向するフランジ部が概ね平行になるように共通する中空断面形状の下フレーム上に並設し、
   対向する両側のフランジ部を上部から共通して押えるように前記下フレームに固定するための固定フレームを有し、前記固定フレームの両側に形成した押え片で前記対向する両側のフランジ部を押えるようにして前記固定フレームをボルトで下フレームの中空部に螺着固定したことを特徴とするバッテリスタックの固定構造。
2. 複数のバッテリスタックが収容されるバッテリパックを有し、
   当該バッテリパックは上枠と下枠とを縦フレームで連結したフレームケース構造であり、当該下枠に前記下フレームを連結してあることを特徴とする請求項１記載のバッテリスタックの固定構造。

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