JPH07232564A - 電気自動車のバッテリ取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 バッテリ取付作業の改善と確実な取付けを実
現すると共に、バッテリの冷却効果の向上を図る。 【構成】 バッテリフレーム１の中央部にセンターフレ
ーム５で左右に区画されたフレーム底板６上に前後複数
列にバッテリ固定フレーム７を各外側端が斜め後方とな
るように傾斜配設し、バッテリ固定フレーム７の上面を
前傾して成形すると共に、その後側面にフランジ嵌合溝
８を形成し、前後のバッテリ固定フレーム７間でバッテ
リ９の前面下縁のフランジ１０をフランジ嵌合溝８に挿
入係合し、後面下縁のフランジ１１をバッテリ固定フレ
ーム７の上面にリテーナプレート１２を介して締結して
ある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電気自動車のバッテリ取
付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】電気自動車にあっては車載バッテリが可
成りの重量および搭載スペースを占めるため、従来では
フロアパネルの下側に専用の剛体構造のバッテリフレー
ムを配設し、このバッテリフレーム上に複数個のバッテ
リを搭載し、該バッテリをフロアパネルとバッテリフレ
ームとの間に格納するようにしている。

【０００３】従来、このようなバッテリフレームへのバ
ッテリの取付構造としては、例えば特開昭５２−３５０
２３号公報に示されているように、バッテリフレームの
フレーム底板上に複数個のバッテリを複数列で整然と縦
列配置し、各バッテリの前後部をクランプ手段で固定す
るようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】バッテリの個々をその
前後部でクランプ手段により固定するため、バッテリ固
定の部品点数および作業工数が多く、作業時間も多くか
かってコスト的に不利となってしまう。

【０００５】また、バッテリ個々の前後部をクランプ手
段で固定してあるが、車両の前面衝突時にクランプ手段
による締結部に大きな荷重が作用するため、クランプ手
段ととしてこの荷重に十分に対抗し得るような強度が要
求され、クランプ手段自体が高価についてしまう。

【０００６】しかも、バッテリの前後部をクランプ手段
で固定してあっても、車両の側面衝突時に横方向に大き
な荷重が作用すると、バッテリが横方向にずれ動いてし
まうおそれがある。

【０００７】更に、バッテリは発熱するためバッテリフ
レームの前方より冷却風を取り入れるようにしている
が、バッテリを縦列配置してあるため、後列のバッテリ
に冷却風が行き渡りにくく、冷却効率が悪いという問題
点があった。

【０００８】そこで、本発明はバッテリ固定の部品点数
を低減できると共に、作業性を改善できてコスト的に有
利に得ることができ、かつ、前面衝突および側面衝突時
にあってもバッテリをずれ動くことなく確実に固定でき
て、バッテリを保護することができ、しかも、バッテリ
の冷却効率を高めることができる電気自動車のバッテリ
取付構造を提供するものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】請求項１にあっては、バ
ッテリフレームの中央部にセンターフレームを前後方向
に接合配置して、該センターフレームによって左右に区
画されたフレーム底板上に、それぞれ前後複数列にバッ
テリ固定フレームを各外側端が斜め後方となるように傾
斜して接合配置し、これら各バッテリ固定フレームの上
面を前傾状態に傾斜成形すると共に、各バッテリ固定フ
レームの後側面にフランジ嵌合溝を形成し、複数個のバ
ッテリを前後のバッテリ固定フレーム間で、各バッテリ
の前面下縁のフランジをバッテリ固定フレームの後側面
のフランジ嵌合溝に挿入係合する一方、各バッテリの後
面下縁のフランジをバッテリ固定フレームの上面に載置
して、該後面下縁のフランジをリテーナプレートを介し
て締結固定し、センターフレームを境として左右に列設
配置される複数個のバッテリを、それぞれ前傾状態で、
かつ、該センターフレームに対してそれぞれ前方斜め外
向きに傾斜配列してある。

【００１０】請求項２にあっては、前述の各バッテリの
前、後面下縁のフランジの固定部には、緩衝材を介装し
てある。

【００１１】請求項３にあっては、横方向に隣接する各
バッテリ間には、弾性スペーサを介装してある。

【００１２】

【作用】請求項１によれば、バッテリは前後のバッテリ
固定フレーム間で、前面下縁のフランジをバッテリ固定
フレームの後側面のフランジ嵌合溝に挿入係合し、後面
下縁のフランジをバッテリ固定フレームの上面に載置し
て、該後面下縁のフランジのみをリテーナプレートを介
して締結固定すればよいから、バッテリ固定のための作
業工数及び部品点数を削減することができる。

【００１３】また、車両の前面衝突時には各バッテリは
慣性により前方へ移動する傾向となるが、前面下縁のフ
ランジが前記フランジ嵌合溝にしっかりと受け止められ
るから、前方へのずれ動きは全くなく、かつ、後面下縁
のフランジのリテーナプレートの締結部に作用する荷重
を極力小さくすることができる。

【００１４】この車両の前面衝突時、および側面衝突時
の何れにあっても、各バッテリはセンターフレームに対
して前方斜め外向きの配置としてあるため、各バッテリ
に横向きの回転モーメントが働く傾向となり、これによ
り前面下縁のフランジのエッヂがフランジ嵌合溝に喰い
込むようになるから、前方および横方向へのずれ動きが
確実に阻止される。

【００１５】更に、各バッテリは前傾配置となっている
から、バッテリフレームの前方より取り入れられる冷却
風が、各バッテリの熱の逃げ面となる上面に吹き当るよ
うになって、後列のバッテリも積極的に冷却することが
できる。

【００１６】請求項２によれば、バッテリの前、後面下
縁のフランジの固定部に介装した緩衝材によって、車両
衝突時におけるフランジ嵌合溝およびリテーナプレート
へ作用する衝撃を緩和して、フランジの確実な固定状態
を維持させることができる。

【００１７】請求項３によれば、横方向に隣接するバッ
テリ間に介装した弾性スペーサによって、車両衝突時に
おけるバッテリの相互干渉を回避して、バッテリの破損
を未然に防止することができる。

【００１８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面と共に詳述す
る。

【００１９】図１はバッテリフレーム１の全体外観を示
す略字的平面図で、該バッテリフレーム１はフロントフ
レーム２，リヤフレーム３，一対のサイドフレーム４，
および中央部でフロントフレーム２とリヤフレーム３と
に跨って接合したセンターフレーム５とを備えている。

【００２０】フロントフレーム２，リヤフレーム３，サ
イドフレーム４，およびセンターフレーム５は、何れも
中空に形成してあり、前記センターフレーム５によって
左右に区画されたフレーム底板６上には、それぞ前後複
数列にバッテリ固定フレーム７を接合配置してある。

【００２１】バッテリ固定フレーム７は、前記フロント
フレーム２，リヤフレーム３，サイドフレーム４，およ
びセンターフレーム５よりも突出高の低い中空に形成さ
れていて、各外側端が斜め後方となるように傾斜して接
合配置し、外側端はサイドフレーム４に、および内側端
はセンターフレーム５に接合してある。

【００２２】これら各バッテリ固定フレーム７は図１〜
４に示すように上面を前傾状態に傾斜成形してあると共
に、後側面にフランジ嵌合溝８を形成してある。

【００２３】フランジ嵌合溝８の溝底はバッテリ固定フ
レーム７の上面と略同一の傾斜角度に形成してあると共
に、フランジ嵌合溝８の上面はバッテリ９の前、後面下
縁に突設したフランジ１０，１１の上面の傾斜角度に合
わせて傾斜成形してある。

【００２４】そして、バッテリ９は各前後のバッテリ固
定フレーム７，７間で、前面下縁のフランジ１０をバッ
テリ固定フレーム７の後側面のフランジ嵌合溝８に挿入
嵌合し、後面下縁のフランジ１１をバッテリ固定フレー
ム７の上面の前側部に載置し、この後面下縁のフランジ
１１を断面略Ｌ字状のリテーナプレート１２で抱持した
状態でボルト１３，ナット１４により締結固定し、この
ようにしてセンターフレーム５を境として左右に列設配
置される複数個のバッテリ９を、それぞれ前傾状態で、
かつ、該センターフレーム５に対してそれぞれ前方斜め
外向きに傾斜配設してある。

【００２５】本実施例ではバッテリ９の一対を１ブロッ
クとして密接させた状態で、各前後のバッテリ固定フレ
ーム７，７間に２対づつ列設配置してある。

【００２６】また、横方向に隣接する１対１ブロックと
なったバッテリ９Ａ，９Ａのフランジ１０，１０間およ
びフランジ１１，１１間にはゴム又は樹脂等の弾性材か
らなる弾性スペーサ１５を介装してある。

【００２７】更に、バッテリ９のフランジ１０，１１の
各固定部には、ゴム又は樹脂等の弾性材からなる緩衝材
１６を介装してある。

【００２８】フランジ嵌合溝８に設けられる緩衝材１６
は、該フランジ嵌合溝８の前面部に突出成形した突起８
ａに係合すると共に、該フランジ嵌合溝８に嵌着して定
置し、フランジ１０の挿入係合によって該フランジ１０
を抱持するように溝付きの形状としてある。

【００２９】また、バッテリ固定フレーム７の上面に設
けられる緩衝材１６も、該上面に突出成形した突起７ａ
に係合して定置されて、フランジ１１を抱持し得るよう
に溝付きの形状としてある。

【００３０】前記フランジ１１を締結するナット１４
は、バッテリ固定フレーム７の上面の裏側に配置される
が、このナット１４はナットプレート１４ａに溶接し
て、該ナットプレート１４ａをバッテリ固定フレーム７
の上面裏側に形成したプレートホルダ１７に挿入係合し
て定置される。

【００３１】以上の実施例構造によれば、バッテリ９の
取付に際しては、該バッテリ９を前後のバッテリ固定フ
レーム７，７間で、前面下縁のフランジ１０をバッテリ
固定フレーム７の後側面のフランジ嵌合溝８に緩衝材１
６を介して挿入係合し、後面下縁のフランジ１１をバッ
テリ固定フレーム７の上面前側部に緩衝材１６を介して
載置して、該フランジ１１のみをリテーナプレート１２
で抱持した状態でボルト１３およびナット１４により締
結固定すればよく、従って、バッテリ９の締結作業はフ
ランジ１１のみでよいから、バッテリ固定のための部品
点数および作業工数を削減することができる。

【００３２】前記バッテリ９の取付け時には、前述のよ
うにバッテリ９のフランジ１０をフランジ嵌合溝８に挿
入係合することによって前後方向の位置決めが行われる
から、車幅方向の位置をずらして位置調整すればよく、
位置決め作業も非常に容易となる。

【００３３】そして、このようなバッテリ９の取付状態
では車両が前面衝突するとバッテリ９は慣性により前方
へずれ動く傾向となるが、前記フランジ１０がフランジ
嵌合溝８に係合してしっかりと受け止められるから、前
方へのずれ動きは全くなく、かつ、後面下縁のフランジ
１１のリテーナプレート１２のボルト１３，ナット１４
による締結部に作用する荷重を極力小さくすることがで
きる。

【００３４】この車両の前面衝突時、および側面衝突時
の何れにあっても、バッテリ９はセンターフレーム５に
対して前方斜め外向きの配置としてあるため、各バッテ
リ９には横向きの回転モーメントが働く傾向となり、こ
れによりフランジ１０の左右何れかのエッヂがフランジ
嵌合溝８に、また、フランジ１１の左右何れかのエッヂ
がリテーナプレート１２の後縁に喰い込むようになるか
ら、前面衝突時にはバッテリ９の前方へのずれ動きが、
また、側面衝突時にはバッテリ９の横方向へのずれ動き
が確実に阻止される。

【００３５】とりわけ、本実施例ではフランジ１０，１
１の固定部分には緩衝材１６を介装してあるため、この
緩衝材１６によって車両衝突時におけるフランジ嵌合溝
８およびリテーナプレート１２に作用する衝撃を緩和し
て、フランジ１０，１１の確実な固定、即ち、バッテリ
９の確実な固定を維持させることができる。

【００３６】また、横方向に隣接する対をなすバッテリ
９のブロック９Ａ，９Ａのフランジ１０，１０間および
１１，１１間には弾性スペーサ１５を介装してあるの
で、車両衝突時におけるバッテリ９のブロック９Ａ，９
Ａの相互干渉を回避して、バッテリ９の破損を未然に防
止することができる。

【００３７】また、前述のようにバッテリ９のブロック
９Ａ，９Ａがセンターフレーム５に対して前方斜め外向
きに配置されているため、図１，２の矢印ＡＦで示すよ
うに、バッテリフレーム１の前方より導入される冷却風
をこれら横方向に適宜の間隔をおいて隣接するブロック
９Ａ，９Ａ間で迎え入れて流通させることができること
と、後列のブロック９Ａが前列のブロック９Ａに完全に
重ならずにずれた配置となって、前方から流入する冷却
風が各ブロック９Ａに行き渡るようになる。

【００３８】しかも、各バッテリ９は前傾配置となって
いるから、前方から流入する冷却風が各バッテリ９の熱
の一番大きな逃げ面となる上面に吹き当るようになる。

【００３９】この結果、後列のバッテリ９をふくめてバ
ッテリ９の個々を積極的に冷却できて、バッテリ９の冷
却効果を一段と向上することができる。

【００４０】

【発明の効果】以上、本発明によれば次に列挙する効果
を奏せられる。

【００４１】（１） バッテリは前後のバッテリ固定フ
レーム間で、前面下縁のフランジをバッテリ固定フレー
ムの後側面のフランジ嵌合溝に挿入係合し、後面下縁の
フランジをバッテリ固定フレームの上面に載置して、該
後面下縁のフランジのみをリテーナプレートを介して締
結固定すればよいから、バッテリの前後部で固定する従
来のものに較べて、作業工数および部品点数を著しく削
減できて、コスト的に有利に得ることができる。

【００４２】（２） 車両の前面衝突時には各バッテリ
は慣性により前方へずれ動く傾向となるが、バッテリの
前面下縁のフランジがバッテリ固定フレームのフランジ
嵌合溝にしっかりと受け止められるから、前方へのずれ
動きが全くなく、これにより、バッテリの後面下縁のフ
ランジのリテーナプレート締結部に過大な荷重が作用す
ることはなく、バッテリの固定を確実に行うことができ
る。

【００４３】（３） 各バッテリはバッテリ固定フレー
ムに沿ってセンターフレームに対して前方斜め外向きに
配置してあるため、車両の前面衝突時および側面衝突時
のいずれにあっても、各バッテリには横向きの回転モー
メントが働く傾向となって、バッテリの前面下縁のフラ
ンジの左右エッヂがフランジ嵌合溝に喰い込むようにな
るから、前面衝突時にはバッテリの前方へのずれ動き
が、また、側面衝突時にはバッテリの横方向へのずれ動
きが確実に阻止される。

【００４４】（４） 各バッテリは前述のようにセンタ
ーフレームに対して前方斜め外向きに配置してあるた
め、前方より流入してくる冷却風をこれら横方向に適宜
の間隔をおいて隣接するバッテリ間で迎え入れて流通さ
せることができ、かつ、後列のバッテリが前列のバッテ
リに完全に重ならずに左右方向にずれた配置となるか
ら、前方より流入する冷却風が各バッテリに行き渡るよ
うになって、バッテリ個々の冷却を積極的に行うことが
できる。

【００４５】（５） しかも、各バッテリは前傾配置と
してあるので、前方から流入してくる冷却風を各バッテ
リの熱の一番大きな逃げ面となる上面に吹き当らせるこ
とができるから、バッテリの冷却効果をより一層向上す
ることができる。

【００４６】（６） バッテリの前、後面下縁のフラン
ジの固定部には緩衝材を介装してあるので、車両衝突時
におけるフランジ嵌合溝およびリテーナプレートへ作用
する衝撃を緩和して、フランジの確実な固定状態を維持
させることができる。

【００４７】（７） 横方向に隣接するバッテリ間には
弾性スペーサを介装してあるので、車両衝突時における
バッテリの相互緩衝を回避して、バッテリ破損を未然に
防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す略示的平面図。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う断面図。

【図３】バッテリの取付け状態を示す斜視図。

【図４】図３のＢ−Ｂ線に沿う断面図。

【符号の説明】

１ バッテリフレーム ５ センターフレーム ６ フレーム底板 ７ バッテリ固定フレーム ８ フランジ嵌合溝 ９ バッテリ １０，１１ バッテリ前後面下縁のフランジ １２ リテーナプレート

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バッテリフレームの中央部にセンターフ
   レームを前後方向に接合配置して、該センターフレーム
   によって左右に区画されたフレーム底板上に、それぞれ
   前後複数列にバッテリ固定フレームを各外側端が斜め後
   方となるように傾斜して接合配置し、これら各バッテリ
   固定フレームの上面を前傾状態に傾斜成形すると共に、
   各バッテリ固定フレームの後側面にフランジ嵌合溝を形
   成し、複数個のバッテリを前後のバッテリ固定フレーム
   間で、各バッテリの前面下縁のフランジをバッテリ固定
   フレームの後側面のフランジ嵌合溝に挿入係合する一
   方、各バッテリの後面下縁のフランジをバッテリ固定フ
   レームの上面に載置して、該後面下縁のフランジをリテ
   ーナプレートを介して締結固定し、センターフレームを
   境として左右に列設配置される複数個のバッテリを、そ
   れぞれ前傾状態で、かつ、該センターフレームに対して
   それぞれ前方斜め外向きに傾斜配列したことを特徴とす
   る電気自動車のバッテリ取付構造。
2. 【請求項２】 バッテリの前後面下縁のフランジの固定
   部に緩衝材を介装したことを特徴とする請求項１記載の
   電気自動車のバッテリ取付構造。
3. 【請求項３】 横方向に隣接するバッテリ間に弾性スペ
   ーサを介装したことを特徴とする請求項１，２記載の電
   気自動車のバッテリ取付構造。