以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1は、ウエハレンズ集合体の概略構成を示す斜視図である。
ウエハレンズ集合体100は、ウエハレンズ1とウエハレンズ1Bとが間にスペーサー7を介在させて積層されて構成されている。
<ウエハレンズ>
ウエハレンズ1は円形状のガラス基板3と複数のレンズ部4,5とを有しており(図5参照)、ガラス基板3の表裏両面に複数のレンズ部4,5がアレイ状に配置された構成を有している。レンズ部4,5には、光学面の表面に回折溝や段差等の微細構造が形成されていてもよい。
レンズ部4,5は樹脂4A,5Aで形成されている(図5参照)。この樹脂4A,5Aとしては、硬化性樹脂材料が用いられる。硬化性樹脂材料としては大きく分けて光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とに分類され、樹脂4A,5Aは光硬化性樹脂を用いる。
光硬化性樹脂としては、例えばアクリル樹脂やアリルエステル樹脂などを用いることができ、これら樹脂はラジカル重合により反応硬化させることができる。その他の光硬化性樹脂としては、例えばエポキシ系の樹脂などを用いることができ、当該樹脂はカチオン重合により反応硬化させることができる。
以下、上記各樹脂について詳細を次に記す。
(アクリル樹脂)
重合反応に用いられる(メタ)アクリレートは特に制限はなく、一般的な製造方法により製造された下記(メタ)アクリレートを使用することができる。エステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、エーテル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレン(メタ)アクリレート、芳香環を有する(メタ)アクリレート、脂環式構造を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。これらを1種類又は2種類以上を用いることができる。
特に脂環式構造を持つ(メタ)アクリレートが好ましく、酸素原子や窒素原子を含む脂環構造であってもよい。例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、ビシクロヘプチル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレートや、イソボロニル(メタ)アクリレート、水添ビスフェノール類のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また特にアダマンタン骨格を持つと好ましい。例えば、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート(特開2002−193883号公報参照)、アダマンチルジ(メタ)アクリレート(特開昭57−500785号公報参照)、アダマンチルジカルボン酸ジアリル(特開昭60―100537号公報参照)、パーフルオロアダマンチルアクリル酸エステル(特開2004−123687号公報参照)、新中村化学製 2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、1,3−アダマンタンジオールジアクリレート、1,3,5−アダマンタントリオールトリアクリレート、不飽和カルボン酸アダマンチルエステル(特開2000−119220号公報参照)、3,3’−ジアルコキシカルボニル−1,1’ビアダマンタン(特開2001−253835号公報参照)、1,1’−ビアダマンタン化合物(米国特許第3342880号明細書参照)、テトラアダマンタン(特開2006−169177号公報参照)、2−アルキル−2−ヒドロキシアダマンタン、2−アルキレンアダマンタン、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−tert−ブチル等の芳香環を有しないアダマンタン骨格を有する硬化性樹脂(特開2001−322950号公報参照)、ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類やビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン(特開平11−35522号公報、特開平10−130371号公報参照)等が挙げられる。
また、その他反応性単量体を含有することも可能である。(メタ)アクリレートであれば、例えば、メチルアクリレート、メチルメタアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタアクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタアクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、などが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとして、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールセプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(アリルエステル樹脂)
アリル基を持ちラジカル重合による硬化する樹脂で、例えば次のものが挙げられるが、特に以下のものに限定されるわけではない。
芳香環を含まない臭素含有(メタ)アリルエステル(特開2003−66201号公報参照)、アリル(メタ)アクリレート(特開平5−286896号公報参照)、アリルエステル樹脂(特開平5−286896号公報、特開2003−66201号公報参照)、アクリル酸エステルとエポキシ基含有不飽和化合物の共重合化合物(特開2003−128725号公報参照)、アクリレート化合物(特開2003−147072号公報参照)、アクリルエステル化合物(特開2005−2064号公報参照)等が挙げられる。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、エポキシ基を持ち光又は熱により重合硬化するものであれば特に限定されず、硬化開始剤としても酸無水物やカチオン発生剤等を用いることができる。エポキシ樹脂は硬化収縮率が低いため、成形精度の優れたレンズとすることができる点で好ましい。
エポキシの種類としては、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が挙げられる。その一例として、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル等を挙げることができる。
硬化剤は硬化性樹脂材料を構成する上で使用されるものであり特に限定はない。また、本発明において、硬化性樹脂材料と、添加剤を添加した後の光学材料の透過率を比較する場合、硬化剤は添加剤には含まれないものとする。硬化剤としては、酸無水物硬化剤やフェノール硬化剤等を好ましく使用することができる。酸無水物硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、あるいは3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸と4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸等を挙げることができる。また、必要に応じて硬化促進剤が含有される。硬化促進剤としては、硬化性が良好で、着色がなく、熱硬化性樹脂の透明性を損なわないものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)等のイミダゾール類、3級アミン、4級アンモニウム塩、ジアザビシクロウンデセン等の双環式アミジン類とその誘導体、ホスフィン、ホスホニウム塩等を用いることができ、これらを1種、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
レンズ部4,5の表面には、反射防止膜9(図1拡大図参照)がそれぞれ形成されている。反射防止膜9は2層構造を有している。レンズ部4,5の表面に対して第1層91が形成され、その上に第2層92が形成されている。
第1層91は屈折率1.7以上の高屈折率材料から構成された層であり、好ましくはTa2O5,Ta2O5とTiO2との混合物,ZrO2,ZrO2とTiO2との混合物のいずれかで構成されている。第1層91はTiO2,Nb2O3,HfO2で構成されてもよい。第2層92は屈折率1.7未満の低屈折率材料から構成された層であり、好ましくはSiO2から構成されている。
反射防止膜9は第1層91,第2層92がともに蒸着等の手法により形成されており、詳しくは、第1層91,第2層92は、その成膜温度がリフロー処理に供される半田等の導電性ペーストの溶融温度に対し−40〜+40℃(好ましくは−20〜+20℃)の範囲に保持されながら、形成されている。
なお、第1層91,第2層92の上にさらに第1層91,第2層92を交互に積層し、反射防止膜9を全体で2〜7層構造としてもよい。この場合、レンズ部4,5に直に接触する層はレンズ部4,5の種類に応じて、高屈折率材料の層としてもよいし、低屈折率材料の層としてもよい。本実施形態ではレンズ部4,5に直に接触する層が高屈折率材料の層となっている。
ウエハレンズ1の製造にあたっては、図2のマスター成形型10(以下、単に「マスター10」とする),サブマスター成形型20(以下、単に「サブマスター20」とする)が使用される。
マスター10はサブマスター20を製造する際に用いる母型であり、サブマスター20はウエハレンズ1(レンズ部5)を成形する際に用いる成形型である。サブマスター20はウエハレンズ1を量産するのに複数回にわたり使用され、その使用目的、使用頻度などにおいてマスター10とは異なるものである。本実施形態では、マスター10を精密加工用成形型の一例として使用している。
<マスター>
図2(a)に示す通り、マスター10は直方体状のベース部12に対し複数の凸部14がアレイ状に形成されている。凸部14はウエハレンズ1のレンズ部5に対応する部位であり、略半球形状に突出している。なお、マスター10の外形状は、このように四角形であっても良いし円形であっても良い。本発明の権利範囲はこの差異によって制約されないが、以降は四角形状を例にして説明する。
凸部14の表面(成形面)形状は、ガラス基板3上に成形転写するレンズ部5の光学面形状(ガラス基板3とは反対の面の形状)に対応するポジ形状となっている。
マスター10の材料としては、切削や研削などの機械加工によって光学面形状を創製する場合には、金属または金属ガラスを用いることができる。分類としては鉄系の材料とその他合金が挙げられる。鉄系としては、熱間金型、冷間金型、プラスチック金型、高速度工具鋼、一般構造用圧延鋼材、機械構造用炭素鋼、クロム・モリブデン鋼、ステンレス鋼が挙げられる。その内、プラスチック金型としては、プリハードン鋼、焼入れ焼戻し鋼、時効処理鋼がある。プリハードン鋼としては、SC系、SCM系、SUS系が挙げられる。さらに具体的には、SC系はPXZがある。SCM系はHPM2、HPM7、PX5、IMPAXが挙げられる。SUS系は、HPM38、HPM77、S−STAR、G−STAR、STAVAX、RAMAX−S、PSLが挙げられる。また、鉄系の合金としては特開2005−113161号公報や特開2005−206913号公報が挙げられる。非鉄系の合金は主に、銅合金、アルミ合金、亜鉛合金がよく知られている。例としては、特開平10−219373号公報、特開2000−176970号公報に示されている合金が挙げられる。金属ガラスの材料としては、PdCuSiやPdCuSiNiなどがダイヤモンド切削における被削性が高く、工具の磨耗が少ないので適している。また、無電解や電解のニッケル燐メッキなどのアモルファス合金もダイヤモンド切削における被削性が良いので適している。これらの高被削性材料は、マスター10全体を構成しても良いし、メッキやスパッタなどの方法によって特に光学転写面の表面だけを覆っても良い。
また、マスター10の材料として、機械加工はやや難しいが、ガラスを用いることもできる。マスター10にガラスを用いれば、光を通すというメリットも得られる。一般的に使用されているガラスであれば特に限定されない。
特に、マスター10のモールド成形用材料としては、低融点ガラスや、金属ガラスのように低温で容易に流動性が確保できる材料が挙げられる。低融点ガラスを使用すれば、UV硬化性の材料を成形する際にサンプルの金型側からも照射できるようになるため有利である。低融点ガラスとしては、ガラス転移点が600℃程度またはそれ以下のガラスで、ガラス組成がZnO−PbO−B2O3、PbO−SiO2−B2O3、PbO−P2O5−SnF2などが挙げられる。また、400℃以下で溶融するガラスとして、PbF2−SnF2−SnO−P2O5及びその類似構造品が挙げられる。具体的な材料として、S−FPL51、S−FPL53、S−FSL 5、S−BSL 7、S−BSM 2、S−BSM 4、S−BSM 9、S−BSM10、S−BSM14、S−BSM15、S−BSM16、S−BSM18、S−BSM22、S−BSM25、S−BSM28、S−BSM71、S−BSM81、S−NSL 3、S−NSL 5、S−NSL36、S−BAL 2、S−BAL 3、S−BAL11、S−BAL12、S−BAL14、S−BAL35、S−BAL41、S−BAL42、S−BAM 3、S−BAM 4、S−BAM12、S−BAH10、S−BAH11、S−BAH27、S−BAH28、S−BAH32、S−PHM52、S−PHM53、S−TIL 1、S−TIL 2、S−TIL6、S−TIL25、S−TIL26、S−TIL27、S−TIM 1、S−TIM 2、S−TIM 3、S−TIM 5、S−TIM 8、S−TIM22、S−TIM25、S−TIM27、S−TIM28、S−TIM35、S−TIM39、S−TIH 1、S−TIH 3、S−TIH 4、S−TIH 6、S−TIH10、S−TIH11、S−TIH13、S−TIH14、S−TIH18、S−TIH23、S−TIH53、S−LAL7、S−LAL 8、S−LAL 9、S−LAL10、S−LAL12、S−LAL13、S−LAL14、S−LAL18、S−LAL54、S−LAL56、S−LAL58、S−LAL59、S−LAL61、S−LAM 2、S−LAM 3、S−LAM 7、S−LAM51、S−LAM52、S−LAM54、S−LAM55、S−LAM58、S−LAM59、S−LAM60、S−LAM61、S−LAM66、S−LAH51、S−LAH52、S−LAH53、S−LAH55、S−LAH58、S−LAH59、S−LAH60、S−LAH63、S−LAH64、S−LAH65、S−LAH66、S−LAH71、S−LAH79、S−YGH51、S−FTM16、S−NBM51、S−NBH 5、S−NBH 8、S−NBH51、S−NBH52、S−NBH53、S−NBH55、S−NPH 1、S−NPH 2、S−NPH53、P−FK01S、P−FKH2S、P−SK5S、P−SK12S、P−LAK13S、P−LASF03S、P−LASFH11S、P−LASFH12S等が挙げられるが特にこれらに限定される必要はない。
また、金属ガラスも同様にモールドにより、容易に成形することができる。金属ガラスとしては特開平8−109419号公報、特開平8−333660号公報、特開平10−81944号公報、特開平10−92619号公報、特開2001−140047号公報、特開2001−303218号公報、特表2003−534925号公報のような構造が挙げられているが、特にこれらに限定される必要はない。
<サブマスター>
図2(b)に示す通り、精密加工用成形型の一例であるサブマスター20は、主には成形部22と基材26とで構成されている。成形部22には複数の凹部24がアレイ状に形成されている。凹部24の表面(成形面)形状はウエハレンズ1におけるレンズ部5に対応するネガ形状となっており、この図では略半球形状に凹んでいる。
ここで、「サブマスター20」は、「レンズ部5」を成形するための成形型であり、図5に示す「サブマスター20B」は、「レンズ部4」を成形するための成形型であり、これらを区別している。「サブマスター20B」は、基本的に「サブマスター20」と同様の構成及び材料であり、凹部24の表面形状がレンズ部4に対応するネガ形状となっているだけであるので、ここではサブマスター20についてのみ詳細に説明する。
本実施形態では、サブマスター20をウエハレンズ1のレンズ部5の成形に用いる例を示すが、これに限らず、サブマスター20(の構成)は表面に微細でかつ精密な凹凸形状(ナノサイズスケールの凹凸形状)を形成することが要求される光学素子や精密素子などの成形にも適用可能であって、例えば単品のレンズや複数のレンズをアレイ状に配置したレンズアレイの成形、パターンドメディアの基材の成形、ナノインプリント技術におけるナノホールの成形技術などにも応用可能である。
≪成形部≫
成形部22は、樹脂22Aによって形成されている。樹脂22Aとしては、離型性の良好な樹脂、特に透明樹脂が好ましい。離型剤を塗布しなくても離型できる点で優れる。樹脂としては、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれでも構わない。
光硬化性樹脂としては、フッ素系樹脂が挙げられ、熱硬化性樹脂としては、フッ素系樹脂やシリコーン系樹脂が挙げられる。中でも、離型性の良好なもの、つまり硬化させた時の表面エネルギーの低い樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどの透明で比較的離型性の良いオレフィン系樹脂が挙げられる。なお、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂の順に離型性が良好となる。この場合、基材26は無くても構わない。このような樹脂を使用することにより、撓ませることができるので離型の際にさらに優位となる。
以下、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、熱可塑性樹脂について詳細に説明する。
(フッ素系樹脂)
フッ素系樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4,6フッ素化))、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド(2フッ化))、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化))、ECTFE(クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVF(ポリビニルフルオライド)等が挙げられる。
フッ素系樹脂の優位点としては、離型性、耐熱性、耐薬品性、絶縁性、低摩擦性などだが、欠点としては、結晶性なので透明性に劣る。融点が高いので、成形時に高温(300℃程度)が必要である。
また、成形方法は、射出成形、押出成形、ブロー成形、トランスファー成形などであり、その中でも特に、光透過性に優れ、射出成形や押出成形も可能なFEP、PFA、PVDF等が好ましい。
溶融成形可能なグレートとしては、例えば、旭硝子製 Fluon PFA、住友3M社製 Dyneon PFA、Dyneon THV 等が挙げられる。特に、Dyneon THVシリーズは、低融点(120℃程度)なので、比較的低温で成形でき、高透明なので好ましい。
また、熱硬化性のアモルファスフッ素樹脂として、旭硝子製 サイトップ グレードSも高透過率、良離型性で好ましい。
(シリコーン系樹脂)
シリコーン系樹脂には、1液湿気硬化型のものと、2液付加反応型、2液縮合型のものがある。
優位点としては、離型性、柔軟性、耐熱性、難燃性、透湿性、低吸水性、透明グレードが多いなどだが、欠点としては、線膨張率が大きいなどがある。
特に、PDMS(ポリジメチルシロキサン)構造を含むような、型取り用途のシリコーン樹脂が離型性良好で好ましく、RTVエラストマーの、高透明グレードが望ましい。例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製 TSE3450(2液混合、付加型)、旭化成ワッカーシリコーン製 ELASTOSIL M 4647(2液型RTVシリコーンゴム)、また、信越シリコーン製のKE−1603(2液混合、付加型RTVゴム)、東レダウコーニング製のSH−9555(2液混合、付加型RTVゴム)、SYLGARD 184、シルポット184、WL−5000シリーズ(感光性シリコーンバッファー材料、UVによりパターニング可能)等が好ましい。
成形方法は、2液型RTVゴムの場合、室温硬化または加熱硬化である。
シリコーン系樹脂の利点は、マスター10から簡単に離型でき、転写性に優れる点である一方で、欠点は、やわらかく脆いため、レンズ部5の成形の際に、数10〜100ショット程度しかもたない点である。これを補うため、シリコーン系樹脂に転写させたあと、さらにNi(ニッケル)をコーティングする。コート方法は、電鋳、蒸着、スパッタリング、など何れでもよい。これでショット数は向上する。しかし、レンズ部5への離型性が、そんなによくない。そこで、Niコートの上からさらに、離型剤を塗布する。このように成形部22の樹脂22AをPDMSとし、かつ、その表面にNiコートし、さらに、離型剤を塗布することによって、マスター10及びレンズ部5からの離型性を良好にしつつ、サブマスター20の寿命を延ばすことができる。また、サブマスター20も作りやすく、コストダウンにもつながる。
離型剤としては、シランカップリング剤構造のように、末端に加水分解可能な官能基が結合した材料、すなわち、金属の表面に存在するOH基との間で脱水縮合又は水素結合等を起こして結合するような構造を有するものが挙げられる。末端がシランカップリング構造を持ち、他端が離型性機能を持つ離型剤の場合、サブマスターの表面にOH基が形成されていればいるほど、サブマスター表面の共有結合する箇所が増え、より強固な結合ができる。その結果、何ショット成形をしても、離型効果は薄れることなく、耐久性が増す。また、プライマー(下地層、SiO2コートなど)が不要となるので、薄膜を保ったまま耐久性向上の効果を得ることができる。
末端に加水分解可能な官能基が結合した材料とは、好ましくは官能基としてアルコキシシラン基やハロゲン化シラン基、4級アンモニウム塩、リン酸エステル基などからなる材料が挙げられる。また、末端基に、例えばトリアジンチオールのような、金型と強い結合を起こすような基でもよい。具体的には、次の一般式で示されるアルコキシシラン基(下記一般式(B))又はハロゲン化シラン基(下記一般式(C))を有するものである。
−Si(OR1)nR2(3−n) …(B)
−SiXmR3(3−m) …(C)
ここで、R1およびR2はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)、nおよびmは1,2または3、R3はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)またはアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基など)である。Xはハロゲン原子(例えば、Cl、Br、I)である。
また、R1、R2、R3またはXがSiに2以上結合している場合には、上記の基または原子の範囲内で、例えば2つのRmがアルキル基とアルコキシ基であるように異なっていてもよい。
アルコキシシラン基−SiOR1およびハロゲン化シラン基−SiXは、水分と反応して−SiOHとなり、さらにこれがガラス、金属等の型材料の表面に存在するOH基との間で脱水縮合または水素結合等を起こして結合する。
図3は、末端に加水分解可能な官能基の一例としてアルコキシシラン基を使用した離型剤と、マスター10表面のOH基との反応図を示している。
図3(a)中、−ORはメトキシ(−OCH3)やエトキシ(−OC2H5)を表し、加水分解によりメタノール(CH3OH)やエタノール(C2H5OH)を発生して、図3(b)のシラノール(−SiOH)となる。その後、部分的に脱水縮合して、図3(c)のようにシラノールの縮合体となる。さらに、図3(d)のようにマスター10(無機材料)表面のOH基と水素結合により吸着し、最後に図3(e)のように脱水して、−O− 化学結合(共有結合)する。なお、図3ではアルコキシシラン基の場合を示したが、ハロゲン化シラン基の場合も基本的に同様の反応が起こる。
すなわち本発明に使用する離型剤は、その一端でサブマスター表面に化学結合し、他端に機能性基を配向して、サブマスターを被うこととなり、薄くて耐久性に優れた均一な離型層を形成することができる。
離型性機能を持つ側の構造として好ましいのは、表面エネルギーの低いもの、例えば、フッ素置換炭化水素基や炭化水素基である。
(機能性側がフッ素系の離型剤)
フッ素置換炭化水素基としては、特に分子構造の一端にCF3(CF2)a−基や、CF3・CF3・CF(CF2)b−基などのパーフルオロ基(aおよびbは整数)を持つフッ素置換炭化水素基が好ましく、また、パーフルオロ基の長さが炭素数にして2個以上が好ましく、CF3(CF2)a−のCF3につづくCF2基の数は5以上が適切である。
また、パーフルオロ基は直鎖である必要はなく、分岐構造を有していてもよい。さらに、近年の環境問題対応として、CF3(CF2)c−(CH2)d−(CF2)e−のような構造でもよい。この場合、cは3以下、dは整数(好ましくは1)、eは4以下である。
上記のフッ素離型剤は通常は固体であるが、これをサブマスターの表面に塗布するには、有機溶剤に溶解した溶液とする必要がある。離型剤の分子構造によって異なってくるが、多くはその溶媒としてフッ化炭化水素系の溶剤またはそれに若干の有機溶媒を混合したものが適している。溶媒の濃度は特に限定ないが、必要とする離型膜は特に薄いことが特徴であるので、濃度は低いもので充分であり、1〜3質量%でよい。
この溶液をサブマスター表面に塗布するには、浸漬塗布、スプレー塗布、ハケ塗り、スピンコート等の通常の塗布方法を用いることができる。塗布後は通常は自然乾燥で溶媒を蒸発させて乾燥塗膜とするが、このとき塗布された膜厚はとくに規定するべきものではないが、20μm以下が適当である。
具体例としては、ダイキン工業製 オプツールDSX、デュラサーフHD−1100、HD−2100、住友3M製 ノベックEGC1720、竹内真空被膜製 トリアジンチオールの蒸着、AGC製 アモルファスフッ素 サイトップ グレードM、エヌアイマテリアル製 防汚コートOPC−800等が挙げられる。
(機能性側が炭化水素系の離型剤)
炭化水素基としては、CnH2n+1 のように直鎖でもよいし、分岐していてもよい。シリコーン系離型剤がこの分類に含まれる。
従来、オルガノポリシロキサン樹脂を主成分とする組成物であり、撥水性を示す硬化皮膜を形成する組成物としては数多くの組成物が知られている。例えば、特開昭55−48245号公報には水酸基含有メチルポリシロキサン樹脂とα,ω−ジヒドロキシジオルガノポリシロキサンとオルガノシランからなり、硬化して離型性、防汚性に優れ、撥水性を示す皮膜を形成する組成物が提案されている。また、特開昭59−140280号公報にはパーフルオロアルキル基含有オルガノシランとアミノ基含有オルガノシランを主成分とするオルガノシランの部分共加水分解縮合物を主剤とする組成物であり、撥水性、撥油性に優れた硬化皮膜を形成する組成物が提案されている。
具体例としては、AGCセイミケミカル製 モールドスパット、マツモトファインケミカル製 オルガチックスSIC−330,434、東レダウケミカル製 SR−2410などが挙げられる。また、自己組織化単分子膜として、日本曹達製 SAMLAY が挙げられる。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、脂環式炭化水素系樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂及びポリイミド樹脂等の透明樹脂が挙げられるが、これらの中では、特に脂環式炭化水素系樹脂が好ましく用いられる。サブマスター20を熱可塑性樹脂で構成すれば、従来から実施している射出成形技術をそのまま転用することができ、サブマスター20を容易に作製することができる。また熱可塑性樹脂が脂環式炭化水素系樹脂であれば、吸湿性が非常に低いため、サブマスター20の寿命が長くなる。また、シクロオレフィン樹脂等の脂環式炭化水素系樹脂は、耐光性・光透過性に優れるため、活性光線硬化性樹脂を硬化させるために、UV光源等の短波長の光を用いた場合も劣化が少なく、金型として長期間用いることができる。
脂環式炭化水素系樹脂としては、下記式(1)で表されるものが例示される。
上記式(1)中、「x」、「y」は共重合比を示し、0/100≦y/x≦95/5を満たす実数である。「n」は0、1又は2で置換基Qの置換数を示す。「R1」は炭素数2〜20の炭化水素基群から選ばれる1種又は2種以上の(2+n)価の基である。「R2」は水素原子であるか、又は炭素及び水素からなり、炭素数1〜10の構造群から選ばれる1種若しくは2種以上の1価の基である。「R3」は炭素数2〜20の炭化水素基群から選ばれる1種又は2種以上の2価の基である。「Q」はCOOR4(R4は水素原子であるか、又は炭化水素からなり、炭素数1〜10の構造群から選ばれる1種又は2種以上の1価の基である。)で表される構造群から選ばれる1種又は2種以上の1価の基である。
前記一般式(1)において、R1は、好ましくは炭素数2〜12の炭化水素基群から選ばれる1種ないし2種以上の2価の基であり、より好ましくは下記一般式(2)(式(2)中、pは0〜2の整数)で表される2価の基であり、更に好ましくは前記一般式(2)において、pが0または1である2価の基である。
R1の構造は、1種のみ用いても2種以上併用しても構わない。R2の例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基等が挙げられるが、好ましくは、水素原子、及び/又はメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。R3の例としては、この基を含む構造単位の好ましい例として、n=0の場合、例えば、(a)、(b)、(c)(但し、式(a)〜(c)中、R1は前述の通り)などが挙げられる。また、nは好ましくは0である。
本実施形態において共重合のタイプは特に制限されるものではなく、ランダム共重合、ブロック共重合、交互共重合等、公知の共重合のタイプを適用することができるが、好ましくはランダム共重合である。
また、本実施形態で用いられる重合体は、本実施形態の成形方法によって得られる製品の物性を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能なモノマーから誘導される繰り返し構造単位を有していてもよい。その共重合比は特に限定されることはないが、好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下であり、それ以上共重合させた場合には、光学特性を損ない高精度の光学部品が得られない恐れがある。この時の共重合のタイプは特に限定はされないが、ランダム共重合が好ましい。
サブマスター20に適用される好ましい熱可塑性脂環式炭化水素系重合体のもう一つの例としては、脂環式構造を有する繰り返し単位が、下記一般式(4)で表される脂環式構造を有する繰り返し単位(a)と、下記式(5)及び/又は下記式(6)及び/又は下記式(7)で表される鎖状構造の繰り返し単位(b)とを合計含有量が90質量%以上になるように含有し、さらに繰り返し単位(b)の含有量が1質量%以上10質量%未満である重合体が例示される。
式(4)、式(5)、式(6)及び式(7)中、R21〜R33は、それぞれ独立に水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミノ基、イミド基、シリル基、及び極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基等を表す。具体的に、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を挙げることができ、極性基で置換された鎖状炭化水素基としては、例えば炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のハロゲン化アルキル基が挙げられる。鎖状炭化水素基としては、例えば炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のアルキル基:炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6のアルケニル基が挙げられる。
上記式(4)中のXは、脂環式炭化水素基を表し、それを構成する炭素数は、通常4個〜20個、好ましくは4個〜10個、より好ましくは5個〜7個である。脂環式構造を構成する炭素数をこの範囲にすることで複屈折を低減することができる。また、脂環式構造は単環構造に限らず、例えばノルボルナン環などの多環構造のものでもよい。
脂環式炭化水素基は、炭素−炭素不飽和結合を有してもよいが、その含有量は、全炭素−炭素結合の10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。脂環式炭化水素基の炭素−炭素不飽和結合をこの範囲とすることで、透明性、耐熱性が向上する。また、脂環式炭化水素基を構成する炭素には、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、及び極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基等が結合していてもよく、中でも水素原子又は炭素原子数1〜6個の鎖状炭化水素基が耐熱性、低吸水性の点で好ましい。
また、上記式(6)は、主鎖中に炭素−炭素不飽和結合を有しており、上記式(7)は主鎖中に炭素−炭素飽和結合を有しているが、透明性、耐熱性を強く要求される場合、不飽和結合の含有率は、主鎖を構成する全炭素−炭素間結合の、通常10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。
本実施形態においては、脂環式炭化水素系共重合体中の、一般式(4)で表される脂環式構造を有する繰り返し単位(a)と、一般式(5)及び/又は一般式(6)及び/又は一般式(7)で表される鎖状構造の繰り返し単位(b)との合計含有量は、質量基準で、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。合計含有量を上記範囲にすることで、低複屈折性、耐熱性、低吸水性、機械強度が高度にバランスされる。
上記脂環式炭化水素系共重合体を製造する製造方法としては、芳香族ビニル系化合物と共重合可能なその他のモノマーとを共重合し、主鎖及び芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化する方法が挙げられる。
水素化前の共重合体の分子量は、GPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算重量平均分子量(Mw)で、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜300,000の範囲である。共重合体の重量平均分子量(Mw)が過度に小さいと、それから得られる脂環式炭化水素系共重合体の成形物の強度特性に劣り、逆に過度に大きいと水素化反応性に劣る。
上記の方法において使用する芳香族ビニル系化合物の具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレン等が挙げられ、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン等が好ましい。これらの芳香族ビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
共重合可能なその他のモノマーとしては、格別な限定はないが、鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエン化合物等が用いられ、鎖状共役ジエンを用いた場合、製造過程における操作性に優れ、また得られる脂環式炭化水素系共重合体の強度特性に優れる。
鎖状ビニル化合物の具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の鎖状オレフィンモノマー;1−シアノエチレン(アクリロニトリル)、1−シアノ−1−メチルエチレン(メタアクリロニトリル)、1−シアノ−1−クロロエチレン(α−クロロアクリロニトリル)等のニトリル系モノマー;1−(メトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸メチルエステル)、1−(エトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸エチルエステル)、1−(プロポキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸プロピルエステル)、1−(ブトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸ブチルエステル)、1−メトキシカルボニルエチレン(アクリル酸メチルエステル)、1−エトキシカルボニルエチレン(アクリル酸エチルエステル)、1−プロポキシカルボニルエチレン(アクリル酸プロピルエステル)、1−ブトキシカルボニルエチレン(アクリル酸ブチルエステル)などの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、1−カルボキシエチレン(アクリル酸)、1−カルボキシ−1−メチルエチレン(メタクリル酸)、無水マレイン酸などの不飽和脂肪酸系モノマー等が挙げられ、中でも、鎖状オレフィンモノマーが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテンが最も好ましい。
鎖状共役ジエンは、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、及び1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これら鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエンの中でも鎖状共役ジエンが好ましく、ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。これらの鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合反応は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等、特別な制約はないが、重合操作、後工程での水素化反応の容易さ、及び最終的に得られる炭化水素系共重合体の機械的強度を考えると、アニオン重合法が好ましい。
アニオン重合の場合には、開始剤の存在下、通常0℃〜200℃、好ましくは20℃〜100℃、特に好ましくは20℃〜80℃の温度範囲において、塊状重合、溶液重合、スラリー重合等の方法を用いることができるが、反応熱の除去を考慮すると、溶液重合が好ましい。この場合、重合体及びその水素化物を溶解できる不活性溶媒を用いる。溶液反応で用いる不活性溶媒は、例えばn−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。上記アニオン重合の開始剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウムなどのモノ有機リチウム、ジリチオメタン、1,4−ジオブタン、1,4−ジリチオー2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物などが使用可能である。
水素化前の共重合体の芳香環やシクロアルケン環などの不飽和環の炭素−炭素二重結合や主鎖の不飽和結合等の水素化反応を行う場合は、反応方法、反応形態に特別な制限はなく、公知の方法にしたがって行えばよいが、水素化率を高くでき、且つ水素化反応と同時に起こる重合体鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましく、例えば、有機溶媒中、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、及びレニウムから選ばれる少なくとも1つの金属を含む触媒を用いて行う方法が挙げられる。水素化反応は、通常10℃〜250℃であるが、水素化率を高くでき、且つ、水素化反応と同時に起こる重合体鎖切断反応を小さくできるという理由から、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは80℃〜180℃である。また水素圧力は、通常0.1MPa〜30MPaであるが、上記理由に加え、操作性の観点から、好ましくは1MPa〜20MPa、より好ましくは2MPa〜10MPaである。
このようにして得られた、水素化物の水素化率は、1H−NMRによる測定において、主鎖の炭素−炭素不飽和結合、芳香環の炭素−炭素二重結合、不飽和環の炭素−炭素二重結合のいずれも、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。水素化率が低いと、得られる共重合体の低複屈折性、熱安定性等が低下する。
水素化反応終了後に水素化物を回収する方法は特に限定されていない。通常、濾過、遠心分離等の方法により水素化触媒残渣を除去した後、水素化物の溶液から溶媒を直接乾燥により除去する方法、水素化物の溶液を水素化物にとっての貧溶媒中に注ぎ、水素化物を凝固させる方法を用いることができる。
これら熱可塑性樹脂製のサブマスターの表面にも、Niコートし、離型剤を付与させることが、耐久性の観点から好ましい。
≪基材≫
基材26は、サブマスター20の成形部22のみでは強度に劣る場合でも、基材に樹脂を貼り付けることでサブマスター20の強度が上がり、何回も成形することができるという、裏打ち材のことである。
基材26としては、石英、シリコーンウェハ、金属、ガラス、樹脂等、平滑性の出ているものなら何れでもよい。
透明性の観点で、サブマスター20の上からでも下からでもUV照射できるという点を考慮すると、透明な型、例えば石英やガラスや透明樹脂等が好ましい。透明樹脂は、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもUV硬化性樹脂でも何れでも良く、樹脂中に、微粒子が添加されていて線膨張係数を下げる等の効果があってもよい。このように樹脂を使用することによって、ガラスより撓むので離型する際により離型し易いが、樹脂は線膨張係数が大きいので、UV照射の際に熱が発生すると、形状が変形してきれいに転写することができないという欠点がある。
次に、図4〜図6を参照しながら、ウエハレンズ1、1B及びウエハレンズ集合体100の製造方法について説明する。
まず、マスター10Aからサブマスター20を成形する。ここで、「マスター10A」とは、「レンズ部5」を成形する「サブマスター20」を成形するための母型を言い、「レンズ部4」を成形する「サブマスター20B」を成形するための「マスター」(図示しない)と区別したものである。
図4(a)に示す通り、マスター10A上に樹脂22Aを塗布し、マスター10Aの凸部14を樹脂22Aに転写し、樹脂22Aを硬化させ、樹脂22Aに対し複数の凹部24を形成する。これにより、成形部22が形成される。
樹脂22Aは、熱硬化性であっても光硬化性であっても、揮発硬化性(溶媒が揮発して硬化する、HSQ(ハイドロゲンシルセスキオキサン等))であってもよい。高精度な成形転写性を重視する場合は、硬化に熱をかけないため樹脂22Aの熱膨張の影響が少ないUV硬化性や揮発硬化性樹脂による成形が好ましいが、これに限られるものではない。硬化後のマスター10Aとの剥離性が良い樹脂22Aが、剥離時に大きな力を必要としないため、成形光学面形状などを不用意に変形されることなく、より好ましい。
樹脂22A(成形部22の材料)、樹脂5A(レンズ部5の材料)が硬化性樹脂である場合において、マスター10Aの光学面形状(凸部14)は、好ましくは樹脂22Aの硬化収縮や樹脂5Aの硬化収縮を見越して設計する。
マスター10A上に樹脂22Aを塗布する場合には、スプレーコート,スピンコート等の手法を用いる。この場合、真空引きしながら樹脂22Aを塗布してもよい。真空引きしながら樹脂22Aを塗布すれば、樹脂22Aに気泡を混入させずに樹脂22Aを硬化させることができる。
また、マスター10Aの表面に上述した離型剤を塗布して、離型性を向上させてもよい。
離型剤を塗布する場合、マスター10Aの表面改質を行う。具体的には、マスター10Aの表面にOH基を立たせる。表面改質の方法は、UVオゾン洗浄、酸素プラズマアッシング等、マスター10Aの表面にOH基を立たせる方法なら何でもよい。
樹脂22Aが光硬化性樹脂である場合には、マスター10Aの上方に配置した光源50を点灯させ光照射する。
光源50としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、ブラックライト、Gランプ、Fランプ等が挙げられ、線状光源であってもよいし点状光源であってもよい。高圧水銀ランプは、365nm、436nmに狭いスペクトルを持つランプである。メタルハライドランプは、水銀灯の一種で、紫外域における出力は高圧水銀ランプよりも数倍高い。キセノンランプは、最も太陽光に近いスペクトルを持つランプである。ハロゲンランプは長波長の光を多く含んでおり、近赤外光がほとんどであるランプである。蛍光灯は光の三原色に均等な照射強度を持っている。ブラックライトはピークトップを351nmに持ち、300nm〜400nmの近紫外光を放射するライトである。
光源50から光照射する場合には、複数の線状又は点状の光源50を格子状に配置して樹脂22Aの全面に一度に光が到達するようにしてもよいし、線状又は点状の光源50を樹脂22Aの表面に対し平行にスキャニングして樹脂22Aに順次光が到達するようにしてもよい。この場合、好ましくは光照射時の輝度分布や照度(強度)分布を測定し、その測定結果に基づき照射回数,照射量,照射時間等を制御する。
樹脂22Aを光硬化させた後(サブマスター20の作製後)においては、サブマスター20に対しポストキュア(加熱処理)をおこなってもよい。ポストキュアをおこなえば、サブマスター20の樹脂22Aを完全に硬化させることができ、サブマスター20の型寿命を延ばすことができる。
樹脂22Aが熱硬化性樹脂である場合には、加熱温度、加熱時間を最適な範囲で制御しながら樹脂22Aを加熱する。樹脂22Aは射出成形、プレス成形、光照射してその後に冷却する等の手法でも成形することができる。
図4(b)に示す通り、成形部22(樹脂22A)の裏面(凹部24とは反対の面)に対して基材26を装着し、成形部22を裏打ちする。
基材26は石英であってもよいし、ガラス板であってもよく、十分な曲げ強度とUV透過率を有することが重要である。成形部22と基材26との密着性を高めるために、基材26に対しシランカップリング剤を塗布するなどの処理を行ってもよい。
なお、上記のように、マスター10Aの凸部14を樹脂22Aに転写し樹脂22Aが硬化した後(つまり成形部22が形成された後)に、基材26を装着する(室温で裏打ちする)場合には、接着剤を使う。
逆に、マスター10Aの凸部14を樹脂22Aに転写し樹脂22Aが硬化する前に、基材26を装着する(室温で裏打ちする)ようにしてもよい。この場合には、接着剤を使用せずに、樹脂22Aの付着力により基材26を張り付かせるか、又は基材26にカップリング剤を塗布し付着力を強くして樹脂22Aに対し基材26を付着させる。
また、成形部22(樹脂22A)を基材26で裏打ちする際には、公知の真空チャック装置260を用い、この真空チャック装置260の吸引面260Aに基材26を吸引保持しつつ、当該吸引面260Aをマスター10Aにおける凸部14の成形面に対し平行な状態として、成形部22を基材26で裏打ちすることが好ましい。これにより、マスター10Aにおける凸部14の成形面に対してサブマスター20の裏面20A(基材26側の面)が平行となり、サブマスター20において凹部24の成形面が裏面20Aと平行となる。従って、後述のようにサブマスター20によってレンズ部5を成形する際に、サブマスター20の基準面、つまり裏面20Aを凹部24の成形面と平行にすることができるため、レンズ部5が偏芯したり、厚みにばらつきを有したりするのを防止し、レンズ部5の形状精度を向上させることができる。また、真空チャック装置260によってサブマスター20を吸引保持するため、真空排気のオン/オフのみによってサブマスター20を着脱することができる。従って、サブマスター20の配置を容易に行なうことができる。
ここで、凹部24の成形面に対して裏面20Aが平行であるとは、具体的には、凹部24の成形面における中心軸に対して裏面20Aが垂直であることをいう。
また、サブマスター20は、基材26で裏打ちしつつ硬化させて形成するのが好ましいが、裏打ち前に硬化させて形成しても良い。基材26で裏打ちしつつ硬化させる方法としては、例えば樹脂22Aとして熱硬化性樹脂を用い、マスター10Aと基材26との間に当該樹脂22Aを充填した状態でこれらをベーク炉に投入する方法や、樹脂22AとしてUV硬化性樹脂を用いるとともに、基材26としてUV透過性の基板を用い、マスター10Aと基材26との間に当該樹脂22Aを充填した状態で基材26の側から樹脂22Aに対してUV光を照射する方法などがある。
また、真空チャック装置260の吸引面260Aはセラミック材料で作るのが好ましい。この場合には、吸引面260Aの硬度が高くなり、サブマスター20(基材26)の着脱によって当該吸引面260Aに傷が付き難いため、吸引面260Aの面精度を高く維持することができる。また、このようなセラミック材料としては、窒化珪素やサイアロンを用いるのが好ましい。この場合には、線膨張係数が1.3ppmと小さいため、温度変化に対して吸引面260Aの平面度を高く維持することができる。
なお、本実施の形態においては、マスター10Aにおける凸部14の成形面に対して吸引面260Aを平行な状態にする手法としては、以下のような手法を用いている。
まず、マスター10Aの表裏面を高精度に平行化しておく。これにより、マスター10Aにおいて、凸部14の成形面と裏面とが平行となる。
また、このマスター10Aを裏面(凸部14とは反対側の面)側から支持する支持面260Bと、吸引面260Aとに対して、それぞれ基準部材260C、260Dを突設しておく。ここで、これらの基準部材260C、260Dの形状は、支持面260B及び吸引面260Aが互いに平行な状態でマスター10Aとサブマスター20とが当接したときにガタツキ無く互いに当接する形状とする。
これにより、基準部材260C、260D同士を当接させることによって、吸引面260Aに対してマスター10Aの支持面260B、ひいてはマスター10における凸部14の成形面が平行となる。
但し、上記のような手法において、基準部材は支持面260B及び吸引面260Aの少なくとも一方に設ければ良く、例えば支持面260Bのみに基準部材を設ける場合には、この基準部材の形状は、支持面260B及び吸引面260Aが互いに平行な状態でマスター10Aとサブマスター20とが当接したときに、吸引面260Aに対してガタツキ無く当接する形状とすれば良い。同様に、吸引面260Aのみに基準部材を設ける場合には、この基準部材の形状は、支持面260B及び吸引面260Aが互いに平行な状態でマスター10Aとサブマスター20とが当接したときに、支持面260Bに対してガタツキ無く当接する形状とすれば良い。
図4(c)に示す通り、マスター10Aから成形部22と基材26とを離型し、サブマスター20が形成される。
樹脂22AとしてPDMS(ポリジメチルシロキサン)などの樹脂を使い、さらに、Niコートした上で、その表面に離型剤を塗布しておくと、マスター10との離型性が非常によいので、マスター10からの剥離に大きな力を必要とせず、成形光学面を歪ませたりする事が無いのでよい。
なお、同様の手順でマスター(図示しない)から、レンズ部4に対応するネガ形状の凹部24を有するサブマスター20B(図5(e)参照)も形成しておく。
これにより、レンズ部5に対応するサブマスター20(第1の成形型)と、レンズ部4に対応するサブマスター20B(第2の成形型)の準備が完了する。
続いて、レンズ部4、5を成形する。
まず、ガラス基板3とサブマスター20との間に樹脂5Aを充填し硬化させる。より詳細には、図5(a)に示す通り、ガラス基板3上に樹脂5Aを塗布し、樹脂5Aが塗布されたガラス基板3に対しサブマスター20を上方から押圧することによって樹脂5Aを硬化させる。
サブマスター20を上方から押圧する場合には、真空引きしながら押圧してもよい。真空引きしながら押圧すれば、樹脂5Aに気泡を混入させずに樹脂5Aを硬化させることができる。
樹脂5Aが塗布されたガラス基板3に対してサブマスター20を上方から押圧するのに代えて、図示しないが、サブマスター20の凹部24に対して樹脂5Aを充填し、充填した樹脂5Aに対して上方からガラス基板3を押圧しながら樹脂5Aを硬化させる構成としてもよい。
ガラス基板3を押圧する場合に、ガラス基板3は、サブマスター20と軸合わせをするための構造が付与されているのが好ましい。ガラス基板3が円形状を呈している場合には、例えばDカット、Iカット、マーキング、切欠き部等を形成しておくのが好ましい。ガラス基板3を多角形状としてもよく、この場合にはサブマスター20との軸合わせが容易である。
樹脂5Aを硬化させる場合において、樹脂5Aは光硬化性樹脂であるので、サブマスター20の上方に配置した光源52を点灯させサブマスター20側から光照射してもよいし、ガラス基板3の下方に配置した光源54を点灯させガラス基板3側から光照射してもよいし、光源52、54の両方を同時に点灯させサブマスター20側とガラス基板3側との両側から光照射してもよい(図5(b)参照)。
光源52、54としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、ブラックライト、Gランプ、Fランプ等を使用でき、線状光源であってもよいし点状光源であってもよい。
光源52、54から光照射する場合には、複数の線状又は点状の光源52、54を格子状に配置して樹脂5Aに一度に光が到達するようにしてもよいし、線状又は点状の光源52、54をサブマスター20、ガラス基板3に対し平行にスキャニングして樹脂5Aに順次光が到達するようにしてもよい。この場合、好ましくは光照射時の輝度分布や照度(強度)分布を測定し、その測定結果に基づき照射回数、照射量、照射時間等を制御する。
樹脂5Aが硬化すると、レンズ部5が形成される。
その後、サブマスター20を離型する前に、一旦、プレ加熱(第1加熱工程)を行う。詳細には、後述するポストキュアの温度より低く短時間(例えば、80℃、10分)で行う。離型前にプレ加熱を行い、離型後に後述のポストキュアを行うことによって、レンズ部5の面形状の転写精度が良好となる。また、UV照射時間を50%程度に短くしても離型前のプレ加熱により、UV照射100%と同様の面転写精度が得られる。その結果、UV照射時間の短縮が可能となり、電力の省エネ、UVランプの長寿命化、成形装置占有時間の短縮により製造効率が向上する。
次いで、図5(c)に示す通り、レンズ部5及びガラス基板3をサブマスター20から離型する(第1離型工程)。ここで、樹脂5Aが光硬化性樹脂のうち、特にエポキシ樹脂の場合には、光照射しても反応が完全に進行しないため、離型した際にガラス基板3の反りが発生しにくい。
図5(d)に示す通りスペーサー7を用意する。
スペーサー7は、ガラス又は透明な樹脂で構成された円盤状を呈する部材であり、ウエハレンズ1のレンズ部4、5に対応する位置に開口部71が形成されている(当該開口部71からレンズ部4、5が露出するようになっている)。
そして、レンズ部5に対してスペーサー7を載置する。詳しくは、ガラス基板3の上面又はスペーサー7の下面に接着剤(図示しない)を塗布し、レンズ部5が開口部71から露出するようにスペーサー7を載置する。
次いで、図5(e)に示す通り、スペーサー7を接着した状態で上下反転させる。反転させた状態のまま、ガラス基板3上にさらに樹脂4Aを塗布し、樹脂4Aが塗布されたガラス基板3に対しサブマスター20Bを上方から押圧することによって樹脂4Aを硬化させる。
樹脂4Aの硬化に当たっては、樹脂4Aも光硬化性樹脂であるので、上述したようにサブマスター20Bの上方から光源52を照射することによって硬化させる(図5(f)参照)。
レンズ部4を形成する場合も同様に、樹脂4Aへの気泡混入を防止するため、サブマスター20Bを押圧する際に、真空引きしながら樹脂4Aを充填してもよい。さらに、図示しないが、サブマスター20Bの凹部24に対して樹脂4Aを充填し、充填した樹脂4Aに対して上方からガラス基板3を押圧しながら樹脂4Aを硬化させる構成としてもよい。
樹脂4Aが硬化すると、レンズ部4が形成される。
その後、サブマスター20Bを離型する前に、一旦、プレ加熱(第2加熱工程)を行う。この際のプレ加熱も、上述と同様に後述のポストキュアの温度より低く短時間で行う。これによって、レンズ部4の面形状の転写精度が良好となる。
次いで、図5(g)に示す通り、サブマスター20Bをレンズ部4から離型する(第2離型工程)。ここで、樹脂4Aも光硬化性樹脂のうち、特にエポキシ樹脂の場合には、光照射しても反応が完全に進行しないため、離型した際にガラス基板3の反りが発生しにくい。
そして、離型後、両面のレンズ部4、5に対して一括してポストキュアし加熱硬化させる(ポストキュア工程)。ポストキュアは、例えば150℃、1時間行う。このようにして、レンズ部4、5、ガラス基板3及びスペーサー7からなる第2成形体6(以下、単に「成形体6」とする)が形成される。ここでは、上述のように光照射して離型した後でも、ガラス基板3に反りが発生していないため、ガラス基板3が平坦な状態で両面のレンズ部4,5に対して一括してポストキュアを行うので、ポストキュア後もガラス基板3に反りがなく、レンズ部4、5を完全に硬化させることができる。
次いで、図5(h)に示す通り成形体6の表面に反射防止膜9を形成する(反射防止膜形成工程)。はじめに、真空蒸着装置(図示しない)内に成形体6を装着し、装置内の圧力を所定圧力(例えば2×10−3Pa)まで減圧すると共に、真空蒸着装置上部のヒーターより成形体6を所定温度(例えば240℃)の温度になるまで加熱する。
その後、反射防止膜9の第1層91(図1参照)を構成する蒸着源を用いて第1層91を形成する。特にこの場合、成膜温度を、リフロー処理で溶融しようとする導電性ペーストの溶融温度に対し−40〜+40℃の範囲内で保持する。
例えば、第1層91として(Ta2O5+5%TiO2)膜を形成する場合には、蒸発源としてオプトラン社製OA600を用い、電子銃加熱により当該蒸着源を蒸発させればよい。蒸着中は、真空蒸着装置内部の圧力が1.0×10−2PaまでO2ガスを導入し、蒸着速度を0.5nm/secの条件にコントロールしながら成膜するのがよい。そしてリフロー処理で溶融しようとする導電性ペーストの溶融温度が例えば240℃である場合には、成膜温度(蒸着装置内の温度)を200〜280℃の範囲内で保持する。
その後、成形体6の両面に第1層91を形成するため、蒸着装置内部の反転機構により成形体6を反転させ、上記と同様にしてその裏面にも第1層91を形成する(第2層92の裏面への成膜についても同様である。)。
その後、第1層91の上に続けて、第2層92(図1参照)を構成する蒸着源を用いて第2層92を形成する。この場合も、第1層91を形成する場合と同様に、成膜温度を、リフロー処理で溶融しようとする導電性ペーストの溶融温度に対し−40〜+40℃の範囲内で保持する。
例えば、第2層92としてSiO2膜を形成する場合には、真空蒸着装置内部の圧力が1.0×10−2PaまでO2ガスを導入し、蒸着速度を0.5nm/secの条件にコントロールしながら成膜するのがよい。そしてリフロー処理で溶融しようとする導電性ペーストの溶融温度が例えば240℃である場合には、成膜温度(蒸着装置内の温度)を200〜280℃の範囲内で保持する。
以上の工程により、成形体6の表面に反射防止膜9を形成することができ、ガラス基板3の両面にレンズ部4、5が形成されたウエハレンズ1が製造される。
なお、上述した手順では、ポストキュア工程後、反射防止膜9を蒸着形成するとしたが、ポストキュア工程を行わずに、反射防止膜9の蒸着形成時に(蒸着装置内で)ポストキュアを同時に行うようにしてもよい。具体的には、蒸着の際に通常、真空引きに40分かかるが、これをもう少し延ばして60分とすれば、ポストキュアかつ反射防止膜9の形成を同時に行うことができる。このようにポストキュア及び反射防止膜9の形成を同時に行うことによって、工程の短縮化を図れ、しかも、酸素フリーの雰囲気で樹脂硬化させることができ、着色の問題を防ぐことができる。
一方、図5(a)〜図5(d)と同様の手順を行い、ガラス基板3、レンズ部5及びスペーサー7からなる第1成形体6B(以下、単に「成形体6B」とする)を成形する(図6(a)参照)。そして、成形体6Bに対しても、ポストキュア及び反射防止膜9の形成を行っておく。なお、上述の成形体6を成形する工程と、成形体6Bを成形する工程とは、いずれを先に行っても構わない。
次いで、図6(a)に示す通り、成形体6をスペーサー7側が下面となるように支持面260Bに載置する。成形体6Bもスペーサー7側が下面となるように、レンズ部5が設けられていない側の平坦面を真空チャック装置260の吸引面260Aで吸引保持する。真空チャック装置260は、上述のサブマスター20成形時に使用した真空チャック装置260と同様のものである。吸引面260Aは平面精度が高く維持されており、成形体6Bのレンズ部5が設けられていない側の面も平坦面であるため、平面度が高い状態で成形体6Bを吸引保持することができる。また、樹脂を硬化する光に対する透過性が高い石英ガラスで出来ている。
図6(b)に示す通り、吸引面260Aを、成形体6のレンズ部4の成形面に対して平行な状態として、成形体6及び成形体6Bを接合することによって接合体81とする(第1接合工程)。このとき、成形体6Bのスペーサー7の下面又は成形体6のガラス基板3の上面に接着剤(図示しない)を塗布し、ガラス基板3上にスペーサー7を載置し、真空チャック装置260の上方より光源52を照射することによって接合する。
図6(c)に示す通り、成形体6Bのガラス基板3上に樹脂4Aを塗布し、樹脂4Aが塗布されたガラス基板3に対しサブマスター20Bを上方から押圧することによって樹脂4Aを硬化させる。
樹脂4Aの硬化に当たっては、図5(f)と同様に、樹脂4Aが光硬化性樹脂であるので、上述したようにサブマスター20Bの上方から光源52を照射することによって硬化させる。
レンズ部4を形成する場合も同様に、樹脂4Aへの気泡混入を防止するため、サブマスター20Bを押圧する際に、真空引きしながら樹脂4Aを充填してもよい。さらに、図示しないが、サブマスター20Bの凹部24に対して樹脂4Aを充填し、充填した樹脂4Aに対して上方からガラス基板3を押圧しながら樹脂4Aを硬化させる構成としてもよい。
樹脂4Aが硬化すると、レンズ部4が形成される。
その後、レンズ部4の面形状の転写精度を良好とするために、サブマスター20Bを離型する前に、一旦、プレ加熱を行うことが好ましい。この際のプレ加熱も、上述と同様に後述のポストキュアの温度より低く短時間で行う。
次いで、図6(d)に示す通り、サブマスター20Bをレンズ部4から離型する。離型後、レンズ部4に対してポストキュアし加熱硬化させる。ポストキュアは、例えば150℃、1時間行う。
最後に、図5(h)と同様の手順で成形体6Bのレンズ部4の表面に反射防止膜9を形成する。ここでも、反射防止膜9の形成と同時にポストキュアを行って、上述のポストキュア工程を省略してもよい。
以上のようにして、ウエハレンズ1に対してウエハレンズ1Bがスペーサー7を介して積層されてなるウエハレンズ集合体100が製造される。
本発明の第1の実施形態によれば、ガラス基板3の一方の面に樹脂5Aを充填して硬化させた後、離型し、その後、他方の面に樹脂4Aを充填して硬化させた後、離型し、次いで、ガラス基板3の両面のレンズ部4、5に対して一括でポストキュアを行う。つまり、離型時には樹脂4A、5Aが完全に硬化しておらず、ガラス基板3に反りが発生していない。そのため、ガラス基板3が平坦な状態で両面のレンズ部4、5に対して一括してポストキュアを行うことによって、ポストキュア後もガラス基板3に反りがなく、レンズ部4、5を完全に硬化させることができる。
また、ガラス基板3の片面毎に樹脂4A、5Aを硬化させるため、硬化時間の短縮化を図ることができる。しかも、ポストキュアを行う前の状態では、樹脂4A、5Aを完全に硬化させずに、ポストキュア工程時で両面の樹脂4A、5Aを一括して完全に硬化させるので、この点においても硬化時間を短縮することができる。さらに、樹脂4A、5Aを光照射によって硬化させる際には、ガラス基板3の片面から露光するために露光装置(光源52、54)も単純化することができる。
なお、第1の実施の形態においては、2つの成形型を準備し、ガラス基板の両面に光学部材であるレンズ部を形成するもので説明したが、これに限るものでなく、ガラス基板の一方の面のみにレンズ部を形成したものにも適用可能である。
即ち、光学部材の光学面形状に対応した成形面を複数有する成形型を準備し、基板の一面と成形型の成形面との間に光硬化性樹脂を充填する充填工程と、光硬化性樹脂に対して光照射により硬化を進める光硬化工程と、光硬化工程で硬化の進んだ光硬化性樹脂に対して加熱処理を行う加熱工程と、加熱工程後、光硬化性樹脂から前記成形型を離型する離型工程と、を有するウエハレンズの製造方法とすることで、レンズ部の面形状の転写が良好となる。
更に、離型工程後に、基板の一面に形成された光学部材に対してポストキュアを行うことで、硬化時間の短縮化を図ることができる。
また、第1の実施の形態においては、両面のレンズ部4、5に対して一括してポストキュアを行う例で説明したが、レンズ部4の形成時にポストキュア工程を行い、レンズ部5の形成時に再度ポストキュア工程を行うようにしてもよい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、ガラス基板3の両面に樹脂4A、5Aを充填して光照射により同時に硬化させた後、離型し、その後、両面のレンズ部4,5に対して一括してポストキュアを行う点で、第1の実施形態と異なる。以下、図7を参照しながらウエハレンズ1の製造方法について説明する。
まず、図7(a)、(b)に示す通り、図5(a)、(b)と同様の手順を行い、ガラス基板3の一方の面に樹脂5Aを充填し硬化させ、レンズ部5を形成する。
その後、図7(c)に示す通り、レンズ部5及びガラス基板3をサブマスター20から離型せずに、そのままの状態で上下反転させる。反転させた状態のまま、ガラス基板3上にさらに樹脂4Aを塗布し、樹脂4Aが塗布されたガラス基板3に対しサブマスター20Bを上方から押圧することによって樹脂4Aを硬化させる。
樹脂4Aの硬化に当たっては、樹脂4Aが光硬化性樹脂であるので、上述したようにサブマスター20Bの上方又はサブマスター20の下方から光源52、54を照射することによって硬化させてもよいし、両方の光源52、54を使用してもよい。
なお、この際に、樹脂4Aだけでなく樹脂5Aのいずれも硬化させることができるので、特に図7(b)において樹脂5Aを硬化させなくてもよく、図7(b)における硬化工程を省略してもよい。
レンズ部4を形成する場合も同様に、樹脂4Aへの気泡混入を防止するため、サブマスター20Bを押圧する際に、真空引きしながら樹脂4Aを充填してもよい。さらに、図示しないが、サブマスター20Bの凹部24に対して樹脂4Aを充填し、充填した樹脂4Aに対して上方からガラス基板3を押圧しながら樹脂4Aを硬化させる構成としてもよい。
樹脂4Aが硬化すると、レンズ部4が形成される(成型工程:図7(d)参照)。
その後、サブマスター20、20Bを離型する前に、一旦、プレ加熱を行う。詳細には、後述するポストキュアの温度より低く短時間(例えば、80℃、10分)で行う。離型前にプレ加熱を行い、離型後に後述のポストキュアを行うことによって、レンズ部4、5の面形状の転写精度が良好となる。また、上述のようにUV照射時間を50%程度に短くしても、UV照射100%と同様の面転写精度が得られる。その結果、UV照射時間の短縮が可能となり、電力の省エネ、UVランプの長寿命化、成形装置占有時間の短縮により製造効率が向上する。
次いで、図7(e)に示す通り、片側のサブマスター20Bをレンズ部4から離型し、もう片側のサブマスター20をレンズ部5から離型する(第3離型工程)。離型後、レンズ部4,5に対して一括してポストキュアし加熱硬化させる(ポストキュア工程)。ポストキュアは、例えば150℃、1時間行う。
ポストキュア後、図5(h)と同様の手順でレンズ部4、5の表面に反射防止膜9を形成する(反射防止膜形成工程:図7(f)参照)。ここでも、反射防止膜9の形成と同時にポストキュアを行って、上述のポストキュア工程を省略してもよい。
さらに、図7(g)に示す通りスペーサー7に対してレンズ部5を載置する。詳しくは、ガラス基板3の下面又はスペーサー7の上面に接着剤(図示しない)を塗布し、スペーサー7に対してガラス基板3を載置する。以上のようにしてガラス基板3の両面にレンズ部4、5が形成されたウエハレンズ1が製造される。
なお、図7(f)、(g)では、ポストキュア後にレンズ部4、5の表面に反射防止膜9を形成し、その後、スペーサー7を接着したが、この順に限らず、離型後に先にスペーサー7に対してガラス基板3を載置して、レンズ部4、5、ガラス基板3及びスペーサー7からなる成形体6を成形しておき、次いで、この成形体6のレンズ部4、5の表面に反射防止膜9を形成する順番としても良い。そして、この反射防止膜8の形成時に、同時にポストキュア工程を行って、上述のポストキュア工程を省略しても良い。
また、第2の実施形態においても上述のウエハレンズ1を使用して、第1の実施形態の図6と同様の手順でウエハレンズ集合体100を製造することができる。
本発明の第2の実施形態によれば、ガラス基板3の両面に樹脂4A、5Aを充填して硬化させた後、両面のサブマスター20、20Bを離型し、その後、ガラス基板3の両面のレンズ部4、5に対して一括でポストキュアを行う。つまり、離型時には樹脂4A、5Aが完全に硬化しておらず、ガラス基板3に反りが発生していない。そのため、ガラス基板3が平坦な状態で両面のレンズ部4,5に対して一括してポストキュアを行うことによって、ポストキュア後もガラス基板3に反りがなく、レンズ部4、5を完全に硬化させることができる。また、ポストキュア工程時で両面の樹脂4A、5Aを一括して完全に硬化させるので、硬化時間を短縮することができる。
[第3の実施形態]
図8を参照しながら、ウエハレンズ1、1B及びウエハレンズ集合体100の製造方法について説明する。
上記第1の実施形態では、成形体6B(一方の面のみにレンズ部5が設けられた第1成形体)と、成形体6(両面にレンズ部4,5が設けられた第2成形体)とを接合することによってウエハレンズ集合体100を製造する場合を説明したが、第3の実施形態は、第1の実施形態の成形体6の代わりに、一方の面のみにレンズ部5が設けられた第2成形体6C(以下、単に「成形体6C」とする)を使用して、この成形体6Cと第1の実施形態と同様の成形体6Bとを接合することによってウエハレンズ集合体100を製造する場合である。
まず、図5(a)〜(c)と同様の手順を行い、ガラス基板3及びレンズ部5からなる成形体6Cを成形する。そして、成形体6Cに対しても、ポストキュア及び反射防止膜9の形成を行っておく(図8(a)参照)。
一方、図5(a)〜(d)と同様の手順を行い、ガラス基板3、レンズ部5及びスペーサー7からなる成形体(第1成形体)6Bを成形する。そして、成形体6Bに対してポストキュア及び反射防止膜9の形成を行っておく(図8(a)参照)。
図8(a)に示す通り、成形体6Bをスペーサー7側が上面となり、レンズ部5が設けられていない側の平坦面が下面となるように支持面260Bに載置する。成形体6Cもレンズ部5が設けられていない側の平坦面を真空チャック装置260の吸引面260Aで吸引保持する。真空チャック装置260は、上述のサブマスター20成形時に使用した真空チャック装置260と同様のものである。吸引面260Aは平面精度が高く維持されており、成形体6Cのレンズ部5が設けられていない側の面も平坦面であるため、平面度が高い状態で成形体6Cを吸引保持することができる。
図8(b)に示す通り、吸引面260Aを、成形体6Bのレンズ部5の成形面に対して平行な状態として、成形体6B及び成形体6Cを接合することによって接合体82とする。このとき、成形体6Bのスペーサー7の上面又は成形体6Cのガラス基板3の下面に接着剤(図示しない)を塗布し、成形体6Bのスペーサー7上に成形体6Cのガラス基板3を載置し、真空チャック装置260の上方より光源52を照射することによって接合する。
図8(c)に示す通り、成形体6Cのガラス基板3上に樹脂4Aを塗布し、樹脂4Aが塗布されたガラス基板3に対しサブマスター20Bを上方から押圧することによって樹脂4Aを硬化させる。
樹脂4Aの硬化に当たっては、上述の図5(f)と同様に、樹脂4Aが光硬化性樹脂であるので、上述したようにサブマスター20Bの上方から光源52を照射することによって硬化させる(図8(d)参照)。
レンズ部4を形成する場合も同様に、樹脂4Aへの気泡混入を防止するため、サブマスター20Bを押圧する際に、真空引きしながら樹脂4Aを充填してもよい。さらに、図示しないが、サブマスター20Bの凹部24に対して樹脂4Aを充填し、充填した樹脂4Aに対して上方からガラス基板3を押圧しながら樹脂4Aを硬化させる構成としてもよい。
樹脂4Aが硬化すると、レンズ部4が形成される。
次いで、図8(e)に示す通り、サブマスター20Bをレンズ部4から離型する。離型後、レンズ部4に対してポストキュアし加熱硬化させる。ポストキュアは、例えば150℃、1時間行う。
さらに、図8(f)に示す通り、成形体6Cのガラス基板3に対してスペーサー7を載置する。詳しくは、ガラス基板3の上面又はスペーサー7の下面に接着剤(図示しない)を塗布し、ガラス基板3に対してスペーサー7を載置する。
次いで、図5(h)と同様の手順で成形体6Cのレンズ部4及びスペーサー7の表面に反射防止膜9を形成する。ここでも、反射防止膜9の形成と同時にポストキュアを行って、上述のポストキュア工程を省略してもよい。
図8(g)に示す通り、スペーサー7を接着した状態で成形体6B及び成形体6Cを上下反転させる。反転させた状態のまま、成形体6Bのガラス基板3上にさらに樹脂4Aを塗布し、樹脂4Aが塗布されたガラス基板3に対しサブマスター20Bを上方から押圧することによって樹脂4Aを硬化させる。
樹脂4Aの硬化に当たっては、上述の図5(f)と同様に、樹脂4Aが光硬化性樹脂であるので、上述したようにサブマスター20Bの上方から光源52を照射することによって硬化させる。
レンズ部4を形成する場合も同様に、樹脂4Aへの気泡混入を防止するため、サブマスター20Bを押圧する際に、真空引きしながら樹脂4Aを充填してもよい。さらに、図示しないが、サブマスター20Bの凹部24に対して樹脂4Aを充填し、充填した樹脂4Aに対して上方からガラス基板3を押圧しながら樹脂4Aを硬化させる構成としてもよい。
樹脂4Aが硬化すると、レンズ部4が形成される。
次いで、図8(h)に示す通り、サブマスター20Bをレンズ部4から離型する。離型後、レンズ部4に対してポストキュアし加熱硬化させる。ポストキュアは、例えば150℃、1時間行う。
最後に、図5(h)と同様の手順で成形体6Bのレンズ部4の表面に反射防止膜9を形成する。ここでも、反射防止膜9の形成と同時にポストキュアを行って、上述のポストキュア工程を省略してもよい。
以上のようにして、ウエハレンズ1Bに対してウエハレンズ1Cがスペーサー7を介して積層されてなるウエハレンズ集合体100が製造される。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上記第1の実施形態では、2枚のウエハレンズを積層させてなるウエハレンズ集合体100を製造する場合について説明したが、3枚以上のウエハレンズを積層させてウエハレンズ集合体を製造する場合も同様の手順で製造することができる。
例えば、図6(d)のように2枚のウエハレンズ1,1Bを積層させてなるウエハレンズ集合体100を製造後、図6(a)と同様の成形体(第1成形体)6Bを成形しておく。そして、図6(a)〜図6(d)と同様の手順で、ウエハレンズ集合体100に対して成形体6Bを接合した後、成形体6Bの上面にレンズ部4を形成する。これらの工程(図6(a)〜(d))を繰り返すことによって3枚以上のウエハレンズを積層させてなるウエハレンズ集合体を製造することができる。この場合も、常に、成形体6Bの一方の面が平坦面であるから、この平坦面を真空チャック装置260の吸引面260Aで吸引保持することによって平面度の高い状態で接合することができる。
また、第2の実施形態において、図7(b)の状態から上下反転させるとしたが、反転させなくても良い。この場合、サブマスター20Bに樹脂4Aを充填しておき、この樹脂4A上にガラス基板3と樹脂5Aを充填したサブマスター20を載置して、その後、図7(d)と同様に光照射する。又は、はじめにサブマスター20の凹部24が上面となるようにサブマスター20を配置し、このサブマスター20に樹脂5Aを充填する(図7(a)の上下反転した状態)。次いで、光照射して樹脂5Aを硬化する(図7(b)の上下反転した状態)。その後、図7(c)と同様にしてガラス基板3上に樹脂4Aを塗布し、樹脂4Aを硬化させる。