JP5617428B2 - 高硬度鋼加工用小径ドリル - Google Patents
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Description
特許文献1には、超硬素材のドリルに付随する、ねじれ、曲げ剛性不足の問題、切り屑排出性の問題、溶着及び切れ刃の欠損の問題、切削力増加の問題、外周マージン部の摩耗の問題を解決することを目的としたドリルが提案されている。しかしながら、この提案のドリルの刃径も、その実施例から明らかなように、発明の対象は10mm程度と太いものである。
特許文献2には、高硬度材の深穴加工用ロングドリルとして、切り屑の排出性能を確保して折損強度を確保する目的から、ウェブの厚さをドリル先端部からシャンク側に変化させる形状のものが提案されている。この提案が発明の対象とする刃径は、その実施例から明らかなようにせいぜい6mm程度と太いものである。
特許文献3には、高硬度材の深穴加工を目的としたドリル加工の方法であって、首下部分の軸方向先端部の一部のみに切れ刃に連続して切り屑排出溝を設けたドリルで、加工穴に対してドリルを出し入れして切り屑を排出するステップ加工の方法が提案されている。
本出願人においても、これらの用途にも適用できるドリルとして、ドリル切削の穴位置確保と切り屑の排出性を極めて高め、穴刃径に対する穴長さとの比が50倍を超えて、かつ小径であっても穴加工が可能なマイクロステップ加工の概念を提案している。特許文献4はその一例である。
従って、本発明の目的は、HRC45以上の高硬度鋼に穴径が1mm以下の穴あけ加工を行う際にチッピングや欠けなどの発生を抑制して安定した穴あけ加工が可能な長寿命の小径ドリルを提供することにある。
以下、本発明を適宜「本発明のドリル」ともいう。また、「刃部の先端」とは本発明のドリルの先端をいい、「工具中心」とは本発明のドリルの軸方向をいう。
本発明において、望ましくはHRC45〜72と規定したのは、HRC45未満のものは本発明の対象外であり、HRC72超のものは工業生産が困難だからである。
SKD11(H)に代表される高硬度鋼は焼入れ後HRC60前後の硬さになるうえ、溶着しやすいという問題があった。以下、鋼種名の次に記載の(H)は焼入れ焼き戻しされた状態を示す。しかし、本発明のドリルを使用し1mm以下の穴径の穴あけ加工を行うと、生成した切り屑を切れ刃からスムーズに剥がすことができ、生成した切り屑を溝にスムーズに流すことができる。
これにより、本発明のドリルは、従来のドリルと比べて高硬度鋼を長寿命に加工することが可能である。さらに、本発明のドリルの先端部における素材をCBNなどにすることで、大幅に工具寿命を向上することができ、例えば一般的な超硬素材のドリルに比べて10倍以上の寿命を実現することも可能である。
本発明のドリルによれば、HRC60前後のSKD11(H)であっても、加工深さが10D程度では100穴前後の寿命が得られ、加工深さが30D程度でも50穴程度の穴あけ加工が可能となる。
本発明のドリルによれば、CBNの範囲を先端から0.05mm以上0.3mm未満にすることにより、逃げ面摩耗の進行に伴う切削トルクの上昇時においても、CBNと超硬素材の一体焼結部に掛かるねじれ応力を極力少なくすることができ、長時間に渡って安定して加工できるようになる。さらにCBNの先端部における、切り屑の滞留及び、溝部への溶着を抑制し、切り屑排出性を向上することで切り屑詰まりが原因による折損の発生を抑制することが可能になる。特に、CBNは素材特性として超硬と比較して硬度は高く、摩耗の進行を抑制する効果を有しているが、一方で脆くカケや折損が生じやすいため、突発的な折損を生じやすい。つまり、本発明により先端部をCBNで形成した場合における特有の問題を解決したといえる。
図1はドリル先端に超硬質工具材料を接合した本発明のドリルの一実施例の正面図である。図1はドリル先端部を立方晶窒化硼素(CBN)として、このドリル先端部を超硬合金製の首部4に接合したタイプのものであり、接合面は拡散接合またはロウ付けが施されている。
本発明において、ドリル先端部とは、ドリル1又は31の先端よりシャンク3に向かってその軸方向におけるドリル刃径Dの80%以内で、かつ少なくとも中心側切れ刃を含む範囲をいう。
本発明のドリルの刃径Dは1mm以下であり、0.01〜1mmとするのが好ましく、0.1〜1.0mmとするのがより好ましい。刃径Dが1mm超では本発明の有利な効果を奏する必要性が消失し、刃径Dが0.01mm未満のものは工業生産が困難である。
刃部2と首部4の長さの合計が首下長7であり、刃部32と首部4の長さの合計が首下長37である。前記刃部2、32には所定のねじれ角を有する溝5、35がそれぞれ形成されており、溝5の長さすなわち溝長6若しくは溝35の長さすなわち溝長36は軸方向長さとして1Dないし5Dの範囲で設けることが望ましい。溝長6、36が1D未満であると切り屑の適正な排出効果を得づらい。逆に本発明のドリルの切削対象はHRC45以上の高硬度鋼なので、切り屑は小さくカールする傾向にあり、溝長6、36は5Dを超える必要はない。この溝長6、36の制限により首部4の剛性を向上させ、刃径Dが1mm以下という小径であるにもかかわらず、ドリルの折損を回避しながら、回転安定性にも優れたドリル加工が可能となる。
図4において、本発明のドリル1の先端部は立方晶窒化硼素(CBN)であり、接合面Fで拡散接合またはロウ付けにより超硬合金と接合されている。図4では、ドリル1の先端部において、工具中心20と平行な直線を基準としたときの先端側のねじれ角14と、工具中心20を基準としたときのシャンク側のねじれ角15が異なることを示している。また、図4においてドリル1の先端側のねじれ角14は工具中心20を基準として−5°〜15°の範囲に設ける。この条件により、高硬度鋼の切削において、欠けやチッピングが生じることが無く、安定して加工できるようになる。
また、図4においてドリル1のリーディングエッジ16における刃部の先端側のねじれ角を形成した範囲17は、前記刃部の先端からシャンク側に向かってその軸方向における刃径Dの80%以内であるとともに、前記刃部の先端側のねじれ角を形成した部分におけるシャンク側の軸方向端が前記溝の先端側の軸方向端よりシャンク側に突出した構造になっていることが必要である。これにより、切れ刃が生成した切り屑を溝5まで排出しやすくなる。
図5において、本発明のドリル1の先端部は立方晶窒化硼素(CBN)であり、接合面Fで拡散接合またはロウ付けにより超硬合金と接合されている。また、図5において、ドリル先端部には中心側ギャッシュ8及び外周側ギャッシュ9が形成されている。また、中心側切れ刃10と、外周側切れ刃11は共に同じねじれ角となるように中心側ギャッシュ8及び外周側ギャッシュ9を形成する。中心側切れ刃10を、外周側切れ刃11と同じねじれ角にするには、外周側切れ刃11を形成するギャッシュ面を成形した砥石を使用し、工具軸心からの砥石の傾きを外周側切れ刃11を形成するギャッシュ面を成形したときと同じとして、工具軸心の位相のみを変えて加工すればよい。これにより、中心側から外周側の全ての切れ刃において、同等の切れ刃剛性、切れ味を有した刃形にすることができる。
図10に示すように、工具回転方向19に対して、切り屑の離れる方向13は、中心側切れ刃10と外周側切れ刃11で異なる。そのためドリルが工具回転方向19の方向に回転することで、中心側切れ刃10は切り屑を内側に巻き込む形になってしまい、中心側で生成する切り屑が外側に流れずに中心側切れ刃10の付近で詰まってしまう。これらの要因により、高硬度鋼の安定した加工ができなくなってしまう。一方で、本発明のドリルを用いて同様に切削した後の外観を撮影した写真を図11に示す。図11中、右下のスケールは1目盛りが20μmである。本発明のドリルの場合、切り屑が中心から外側に向けて離れやすくなり、切り屑溶着の発生が少なく、安定して加工できている。
図16は本発明のドリルの先端をCBNにし、更に、中心側切れ刃及び外周側切れ刃の合計の軸方向長さよりもCBNの範囲23の軸方向長さを小さくした場合の一例を示す図である。図16に示すように、CBNの範囲23の軸方向長さを、中心側切れ刃及び外周側切れ刃の合計の軸方向長さ26よりも小さくした場合には、最も摩耗が進行しやすい外周コーナ部が超硬合金で形成されるため、切れ刃の摩耗形態が不安定になる。特に60HRC以上の高硬度材を切削したとき、CBNによる切れ刃の摩耗に対して超硬合金の摩耗は大きく進行する。これにより、CBNを工具素材にしたことによるメリットは少なくなり、早期に寿命に達してしまう。よって、CBNの範囲23は、中心側切れ刃及び外周側切れ刃の合計の軸方向長さ26と同じか、もしくは大きくすることが望ましい。これにより、超硬合金に比べて大幅に寿命を向上することができる。
一般的にCBNは超硬合金などの素材と共にホットプレス工法を用いて接合する。ここでCBNの素材を製造するためのホットプレス工法とは、焼結して成形された超硬合金の素材の上に、CBNの粒子とCBNの粒子同士を結合するバインダーとを混ぜ合わせた混合粉末を載せた後、前記混合粉末の上面から均一に圧力をかけた状態で真空炉の中で高温度に加熱して焼結する製造方法である。しかしながら、CBNと超硬合金の一体焼結面(界面部)の強度はCBN、または超硬合金単体の一部と比較して低くなりやすい。特に、ホットプレス工法による接合時における圧力が前記素材の中で不均一になるなど、CBNと超硬合金の一体焼結面の強度が前記素材の部位によってバラツキが生じることがある。このような状態で製造されたCBN−超硬合金の接合素材を用いて本発明に係る小径のドリルを製作し切削を行ったとき、切削トルクの上昇に伴う折損が発生する確率は更に高くなってしまう。図17の上側には図1に示す本発明のドリル1における刃部2、首部4付近の拡大図を示す。図17の下側には本発明のドリルを用いて切削した場合に生じる応力の分布をグラフで示す。このグラフから、本発明のドリル1の先端からの距離(位置)Xと、切削時に、図4、5における接合面Fを介して接合されたCBNと超硬合金との一体焼結部に掛かるねじれ応力の大きさYとの関係が分かる。穴あけ加工においては切削時に生じる切削トルクにより、工具回転方向とは反対に工具本体(ドリル1)が抵抗を受ける。前記グラフは、この抵抗による、各部における前記ねじれ応力の大きさY(相対値)を矢印の大きさで示したものである。前記ねじれ応力の大きさYは、首部4のシャンク3側が最も大きく、刃部2の先端側に向かって徐々に小さくなることが分かった。従って、CBNと超硬合金との一体焼結面の位置が首部4のシャンク側にあると折損は生じやすくなり、逆に刃部2の先端側に位置すると折損の発生が生じにくくなる。
ここで、CBNの範囲を刃部の先端から0.05mm以上0.3mm未満に設計する場合において、現在のCBNの製造技術ではいくつかの課題があるが、次のような方法で製造すれば、生産性を極端に低下することなく、また製造コストを極端に向上させることなく製造できる。
現在の課題として、ホットプレス工法ではCBNの厚みは1mm程度までしか薄く製造できない。また、同時にCBNと超硬合金の素材の厚みは、ホットプレス工法を実施する際にひずみが生じるために均一になりにくいという問題がある。例えば、直径約φ30mmのCBNの場合は部位によって0.1mm〜0.2mm程度でCBNの厚みの違いが生じることもある。
そこで、本発明のドリルの製造においては、ホットプレス後にワイヤーカットにて必要な素材径に切り出して、CBN−超硬合金の接合素材の厚みを整えるようにした。かかる工夫により、刃部の研磨工程の生産性を極力落とさずに製造するというメリットも得られた。こうして新規で高性能な本発明のドリルを開発することができた。
なお、以下の試料番号は従来例、比較例、本発明、参考例を含めて、通し番号で付与されている。
従来例1、従来例2、従来例3との対比で、本発明4の適正な形状の確認のために以下の試料の作製、テスト及び評価を行った。ドリルは、これらすべてが刃径が0.5mm、刃数が2枚刃、シャンク径が3mmの超硬合金を母材とするソリッドドリルである。従来例1は特許文献2に記載のドリル、従来例2は特許文献4に記載のドリル、従来例3は特許文献1に記載のドリルである。図12は特許文献1に記載のドリルを示す図である。図12に示すように、従来例3として用いる特許文献1に記載のドリルには側壁面22が設けられている。従来例1、従来例2、本発明4には側壁面22は設けられていない。従来例1、従来例2、従来例3及び本発明4は、切れ刃の逃げ角を5°で一定として、それぞれ溝長、先端側のねじれ角、シャンク側のねじれ角、側壁面の有無、中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度を変えて作製し、テストに供した。このとき、従来例2と本発明4は溝長よりシャンク側に2mmの位置から、首部の首径を0.48mmとした円筒部を設けており、この円筒部の長さを刃部の先端から10.5mmまで形成した。また、本発明4の刃部の先端側のねじれ角を形成した範囲は、刃部の先端から刃径の80%以内とした。
評価方法として、1穴加工後の工具状態を観察し、欠け、チッピング及び異常な摩耗が発生せず、なおかつ溶着が付着していないものを「良好」とした。1穴加工後に欠け、チッピングもしくは異常な摩耗が発生したものは、その工具状態を記載した。
各試料の仕様及び切削テストの結果を表1に示す。
本発明のドリルの内、本発明4を基本形状にして、切れ刃の逃げ角を5°、シャンク側のねじれ角を25°、中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度を230°に揃えて、先端側のねじれ角の最適範囲を確認するために以下の試料の作製、テスト及び評価を行った。ドリル材質は先端部の母材をCBNとして超硬合金に接合したものとし、比較例5、本発明6、本発明7、本発明8、本発明9、本発明10、本発明11、本発明12、比較例13でそれぞれ先端側のねじれ角を変えたものを製作し、切削テストに供した。評価は実施例1にて、1穴加工後の確認により結果が明らかであったので、切削テスト条件、評価方法は実施例1と同様とした。
各試料の仕様及び切削テストの結果を表2に示す。
本発明のドリルの内、本発明4を基本形状にして、先端側のねじれ角を0°、切れ刃の逃げ角を5°、中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度を230°に揃えて、シャンク側のねじれ角の最適範囲を確認するために以下の試料の作製、テスト及び評価を行った。ドリル材質は先端部の母材をCBNとして超硬合金に接合したものとし、比較例14、本発明15、本発明16、本発明17、本発明18、比較例19、比較例20でシャンク側のねじれ角を10°乃至40°まで変えたものを製作し切削テストに供した。切削テスト条件、評価方法は実施例1と同様とした。
各試料の仕様及び切削テストの結果を表3に示す。
本発明のドリルの内、本発明4を基本形状にして、先端側のねじれ角を0°、シャンク側のねじれ角を25°、中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度を230°に揃えて、切れ刃の逃げ角の最適範囲を確認するために以下の試料の作製、テスト及び評価を行った。ドリル材質は先端部の母材をCBNとして超硬合金に接合したものとし、比較例21、本発明22、本発明23、本発明24、比較例25、比較例26として、切れ刃の逃げ角を1°乃至12°まで変えたものを製作しテストに供した。切削テスト条件、評価方法は実施例1と同様とした。
各試料の仕様及び切削テストの結果を表4に示す。
中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度の最適範囲を確認するために以下の試料の作製、テスト及び評価を行った。前記中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度以外は本発明23と同じ形状に揃え、ドリル材質は先端部の母材をCBNとして超硬合金に接合したものとし、比較例27、比較例28、本発明29、本発明30、本発明31、本発明32、比較例33、比較例34として、中心側の切れ刃と外周側の切れ刃のなす角度を変えたものを製作し、切削テストに供した。切削テスト条件、評価方法は実施例1と同様とした。
各試料の仕様及び切削テストの結果を表5に示す。
刃部の先端側のねじれ角を形成した範囲以外は本発明31と同じ形状にして、ドリル材質は先端部の母材をCBNとして超硬合金に接合したものとし、本発明35、本発明36、本発明37、参考例38、参考例39として、刃部の先端側のねじれ角を形成した範囲を変えたものを製作し、テストに供した。切削テスト条件、評価方法は実施例1と同様とした。
各試料の仕様及び切削テストの結果を表6に示す。
従来例3及び本発明31のドリルをそれぞれ用いて、浅い穴の穴あけ加工における性能評価を行った。ここで、従来例3のドリルは、上記のとおり、側壁面が設けられている。従来例3及び本発明31のドリルは、いずれも、刃径が0.5mm、刃数が2枚刃、シャンク径が3mmの超硬合金を母材とするソリッドドリルである。
評価方法は実施例1と同様とした。各試料の仕様及び切削テストの結果を表7に示す。
本発明のドリルの工具寿命を評価するため、本発明8、本発明9、本発明29、本発明30と同じ形状及びドリル材質のドリルを用いて、寿命に至るまで穴あけテストを行った。
各試料の仕様及び切削テストの結果を表8に示す。
さらに高アスペクト比の穴あけ加工を行う際の本発明の工具寿命を評価するため、実施例8と同じく本発明8、本発明9、本発明29、本発明30と同じ形状及びドリル材質のドリルを用いて穴あけテストを行った。
各試料の仕様及び切削テストの結果を表9に示す。
次に、本発明40乃至45において、刃部の先端部におけるCBNの先端からの範囲を変えた場合の安定性を評価するため、先端からのCBNの範囲を変えて穴あけテストを行った。本発明40乃至45は先端からのCBNの範囲をそれぞれ0.12mm、0.25mm、0.3mm、0.5mm、0.75mm、0.9mmとし、その他の緒元を本発明29と同じ仕様とした。
次に、刃部の先端部におけるCBNの先端からの範囲を変えた場合の寿命を評価するため、実施例10と同じく本発明40乃至45を用いて穴あけテストを行った。
次に、刃部の先端部におけるCBNの先端からの範囲を変えた場合の安定性を評価するため、本発明40及び本発明43をそれぞれ3本ずつ用いて穴あけテストを行った。
次に、工具刃径を変えて刃部の先端部におけるCBNの先端からの範囲を変えた場合の寿命を評価するため、刃径が0.1mmである本発明46乃至50を用いて穴あけテストを行った。
次に、工具刃径を変えて刃部の先端部におけるCBNの先端からの範囲を変えた場合の寿命を評価するため、刃径が1mmである本発明51乃至55を用いて穴あけテストを行った。
2、32 刃部
3 シャンク
4 首部
5、35 溝
6、36 溝長
7、37 首下長
8 中心側ギャッシュ
9 外周側ギャッシュ
10 中心側切れ刃
11 外周側切れ刃
12 中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度
13 切り屑の離れる方向
14 先端側のねじれ角
15 シャンク側のねじれ角
16 リーディングエッジ
17 刃部の先端側のねじれ角を形成した範囲
18 切れ刃の逃げ角
19 工具回転方向
20 工具中心(ドリルの軸方向)
21 逃げ面
22 側壁面
23 CBNの範囲
24 CBN
25 切り屑
26 中心側切れ刃及び外周側切れ刃の合計の軸方向長さ
D 刃径
F 接合面
W 溶着
X 先端からの位置
Y ねじれ応力の大きさ
Claims (2)
- HRC45以上の高硬度鋼の穴あけを行う刃径1mm以下の刃部、首部及びシャンクを有し、前記刃部の先端側に切れ刃が形成され、前記切れ刃に沿って外周側と中心側にねじれ角が同じである2つのギャッシュが形成され、前記2つのギャッシュのシャンク側に溝が形成された小径ドリルであって、
前記刃部の先端側のねじれ角を形成した部分が前記刃部の先端からシャンク側の軸方向に向かって前記刃径の80%以内にあるとともに、前記刃部の先端側のねじれ角を形成した部分におけるシャンク側の軸方向端が前記溝の先端側の軸方向端よりシャンク側に突出した構造の超硬合金又は立方晶窒化硼素(CBN)からなり、
ねじれ角が前記刃部の先端側とシャンク側の2段で形成され、
前記刃部の先端側のねじれ角は工具中心と平行な直線を基準として−5°〜15°の範囲にあり、
シャンク側のねじれ角は工具中心を基準として20°〜30°の範囲にあり、
切れ刃の逃げ角は2°〜7°の範囲にあり、
前記2つのギャッシュのそれぞれの先端側端部に形成される中心側切れ刃と外周側切れ刃がなす角度を工具先端視において200°〜250°の範囲にしたことにより、外周側切れ刃及び中心側切れ刃が生成した切り屑が当該ドリルの中心側から外周側に向かって流れるようにしたことを特徴とする高硬度鋼加工用小径ドリル。 - 前記刃部の先端側のねじれ角を形成した部分が立方晶窒化硼素(CBN)で形成されており、その形成範囲は、前記刃部の先端から0.05mm以上0.3mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の高硬度鋼加工用小径ドリル。
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