まず、本発明による第1の実施例の形態である型締装置の構成について説明する。
図1は、本発明による第1の実施例の形態に係る型締装置11を開示している。
図1に示すように、型締装置11は、固定盤13、タイバー14、第1の駆動装置としてのタイバー用サーボモータ15、移動盤16、第2の駆動装置としての型開閉用サーボモータ17、固定機構としてのハーフナット18、および制御装置20を備えている。
固定盤13は、前面に固定金型25が取り付けられている。ここで、固定盤13の前面とは、移動盤16と向き合う側の面のことである。
また、固定盤13は、内部に油圧型締シリンダ26が設けられている。固定盤13には、タイバー14が進退自在に取り付けられている。
具体的には、タイバー14は、基端部にピストン部27を有する。このピストン部27が油圧型締シリンダ26に取り付けられている。
これにより、油圧型締シリンダ26の内部には、ピストン部27を挟んで、型締側室28と、型開側室29の2つのシリンダ室が形成される。
型締側室28に作動油が供給されると、タイバー14が後退する。型開側室29に作動油を供給すると、タイバー14が前進する。
ここで、タイバー14の後退とは、タイバー14が図1において移動盤16が固定盤13に接近する方向に移動することであり、タイバー14の前進とは、タイバー14が図1において移動盤16が固定盤13に離間する方向に移動することである。
またタイバー14の外周面には鋸歯、ねじ山または環状溝からなる係合溝14aが設けられている。
固定盤13は、背面に仕切り壁31が取り付けられている。ここで、固定盤13の背面とは、固定盤13の前面とは反対側にある面のことである。
ピストン部27の基端部27aは、この仕切り壁31を貫通して突出している。ピストン部27の仕切り壁31を貫通した部位の軸心部には、ナット部32が取り付けられている。
ナット部32はボールねじ33の一部を構成している。ボールねじ33は送りねじである。
仕切り壁31において、油圧型締シリンダ26が取り付けられた面とは反対側の面には、位置決めボックス34が取り付けられている。
位置決めボックス34の背面には、ピストン部27と同軸上に軸受36が取り付けられている。
ここで、位置決めボックス34の背面とは、仕切り壁31に取り付けられている面に対して位置決めボックス34とは反対側にある面のことである。
軸受36には、ボールねじ33のねじ軸37が回動自在に支持されている。ねじ軸37の先端部には、ねじ部37aが設けられている。このねじ部37aがナット部32に螺合している。
ねじ軸37の基端部は、位置決めボックス34の背面から突出している。この突出部には、従動プーリ38が取り付けられている。
位置決めボックス34の外部には、タイバー用サーボモータ15が取り付けられている。
タイバー用サーボモータ15には駆動プーリ39が設けられている。駆動プーリ39と従動プーリ38との間にはタイミングベルト41が掛け渡されている。
従って、タイバー用サーボモータ15が駆動すると、駆動プーリ39や従動プーリ38を介して、ボールねじ33のねじ軸37が回転する。
ねじ軸37の回転運動は、ナット部32を介してピストン部27の直線運動に変換される。即ち、タイバー用サーボモータ15を駆動することで、タイバー14を進退させることができる。
移動盤16は、タイバー14を介して固定盤13と対面するように設けられている。移動盤16は、タイバー14に沿って、固定盤13に対して近接または離間する方向に進退自在である。
また、移動盤16は、前面に移動金型42が設けられている。移動盤16の前面とは、固定盤13と向き合う面のことである。
移動金型42は、移動盤16の前面に取り付けられ、固定金型25に対向している。固定金型25と移動金型42との型面が接することにより、固定金型25と移動金型42との間に、キャビティ43が形成される。
また移動盤16の側面には、ナット部45が固定されている。型開閉用サーボモータ17は、図示しないブラケットを介して固定盤13に取り付けられる。
型開閉用サーボモータ17の回転軸には、ねじ軸47が取り付けられている。ねじ軸47はねじ部47aを有する。ねじ部47aは、ナット部45に螺合している。
このねじ軸47とナット部45によりボールねじ48が構成される。ボールねじ48は送りねじである。
従って、型開閉用サーボモータ17を駆動すると、ねじ軸47が回転する。ねじ軸47の回転運動は、ナット部45を介して移動盤16の直線運動に変換される。
即ち、型開閉用サーボモータ17を駆動することで、移動盤16を進退させることができる。これにより移動金型42が固定金型25に対して接近または離間するため、型開閉動作をすることができる。
移動盤16の背面には、ハーフナット18が取り付けられている。ハーフナット18は、タイバー14の係合溝14aに係脱する。ハーフナット18は、開閉シリンダ51によって径方向に駆動される。
ハーフナット18が係合溝14aと噛み合う方向に駆動された時、移動盤16がタイバー14に固定される。
ただし、移動盤16はハーフナット18と係合溝14aとの噛み合わせ余裕、即ちハーフナット18と係合溝14aとの噛み合わせに対する遊びについてはタイバー14に固定されていても移動可能である。
また、ハーフナット18が係合溝14aから離脱する方向に駆動された時、移動盤16とタイバー14との固定が解除される。
移動盤16とタイバー14との固定が解除されると、移動盤16がタイバー14に沿って移動可能となる。
制御装置20は、配線53を介してタイバー用サーボモータ15と型開閉用サーボモータ17とに接続されている。
制御装置20は、この配線53を介してタイバー用サーボモータ15と型開閉用サーボモータ17に制御信号を伝達する。
これにより制御装置20は、タイバー用サーボモータ15と型開閉用サーボモータ17とを制御する。
ここから、本発明に特に関わる第1の実施例の形態での型締装置の構成について説明する。
制御装置20は、コアバック時、タイバー用サーボモータ15を駆動して、タイバー14を前進させる。それとともに、制御装置20は、型開閉用サーボモータを駆動して、移動盤16を後退させる。
また、制御装置20は、圧縮型締動作時、タイバー用サーボモータ15を駆動して、タイバー14を後退させる。それとともに、制御装置20は、型開閉用サーボモータを駆動して、移動盤16を前進させる。
ここで、移動盤16の後退とは、図1において固定盤13に対し離間する方向に移動することである。また、移動盤16の前進とは、図1において固定盤13に対し接近する方向に移動することである。
以上までが本発明に特に関わる第1の実施例の形態での型締装置の構成についての説明である。
次に、本発明による第1の実施例の形態での型締装置の制御方法の構成について説明する。
射出成形で作られる成形品は射出成形サイクルS108を行うことにより成形される。
具体的には、まず、射出成形サイクルS108に入る準備として、固定金型25及び移動金型42の金型取付作業S100及び型厚調整作業S101を行う。
そして、図2に示すように型締工程S102、射出工程S103、コアバック工程S104、保圧及び冷却工程S105、型開き工程S106、製品取出工程S107を順に繰り返すことで、射出成形サイクルS108を成す。
ただし、型締工程S102において、型を閉める動作を電動駆動等油圧以外の駆動装置で行い、型を締め上げる動作を油圧駆動で行う装置に関しては、型締工程S102の中で、型閉動作、型締動作と分けて行わせる場合がある。
また、コアバック工程S104は、コアバックの性質上射出工程S103の後に行われるが、応用として、コアバック工程S104を射出工程S103の前に行う方法、つまり型締後、金型寸開動作をさせ、その次に射出を行い、再度型締をした後、保圧及び冷却以後の動作をし、射出成形サイクルS108を成すというコアバック工程S104と圧縮型締工程S109を含む制御方法もある。
ここで、圧縮型締工程とは、圧縮型締動作を行う工程のことである。
また、圧縮型締動作とは、コアバックの動作とは逆で、金型や材料に応じて型閉限から適切な量だけ開いた金型のキャビティ内に材料を射出充填し、その射出充填された材料の大部分が溶融状態の内に、適切な量だけ開いていた金型を型締めする(金型を寸締させる)動作のことをいう。
具体的には、図3に示すようにまず、射出成形サイクルS108に入る準備として、固定金型25及び移動金型42の金型取付作業S100及び型厚調整作業S101を行う。
そして、型締工程S102、コアバック工程S104、射出工程S103、圧縮型締工程S109、保圧及び冷却工程S105、型開き工程S106、製品取出工程S107を順に繰り返すことで、射出成形サイクルS108を成す。
次に、本発明による第1の実施例の形態での作用について説明する。
具体的には、以下で型締装置11を用いて説明する。
まず固定金型25及び移動金型42の金型取付作業S100及び型厚調整作業S101を行う。
具体的には、まず型開閉用サーボモータ17を駆動して、移動盤16を型閉限まで移動させ、固定金型25及び移動金型42を取り付ける。
ここで、型閉限とは、固定金型25と移動金型42をそれぞれ固定盤13と移動盤16に取り付けた状態で、固定金型25の型面と移動金型42の型面とが接する位置のことである。
次に開閉シリンダ51を用いてハーフナット18をタイバー14の係合溝14aに係合させる。これにより移動盤16がタイバー14に固定されることになる。
この時、ハーフナット18とタイバー14との間には、図4で示すように、歯の前後に隙間が生じることになる。
その際、ハーフナット18とタイバー14の係合溝14aとが図4で示すように適正に噛み合っていれば良い。しかし、双方のピッチのずれ等によって、ハーフナット18と係合溝14aとが適正に噛み合わない場合がある。
この場合には、タイバー用サーボモータ15を駆動してタイバー14を微動前進または微動後退させる。これにより移動盤16とタイバー14との固定位置を調節し、ハーフナット18と係合溝14aとを適正に噛み合わせる。
この時、タイバー14の位置をタイバー用サーボモータ15の内部にある図示しない位置センサによって読み取り、その位置を記憶させる。
そしてその後の型締工程S102における型閉動作では、タイバー14が常にこの記憶した位置にあるように、タイバー用サーボモータ15の駆動が制御される。以上により型厚調整作業S101が完了する。
その後、制御装置20にコアバックの動作量を設定する。具体的には、製品の設計と材料から必要なコアバックの動作量を算出し、その算出した値を制御装置20に入力する。
次に、射出成形サイクルS108に入り、始めに型締工程S102を行う。
まず型締工程S102の中の型閉動作を行う。
具体的には、移動盤16とタイバー14とを型厚調整作業S101時に記憶した位置まで移動させる。ハーフナット18をタイバー14の係合溝14aに係合させ、移動盤16をタイバー14に固定する。
型閉動作後、型締動作を行う。型締動作では、油圧型締シリンダ26の型締側室28に作動油を供給し、タイバー14を後退させる。
そして、図5に示すようにタイバー14の係合溝14aがハーフナット18と接することで、移動盤16がタイバー14に従って移動する。これにより移動金型42と固定金型25とが型締めされる。
型締動作後、射出工程S103に入る。射出工程S103では、移動金型42と固定金型25とが型締された状態で、射出ノズルから材料を射出し、材料がキャビティ43に充填される。材料の一例は溶融樹脂である。
以上までの作用は従来の発明の範囲内である。
次に、本発明に特に関わる第1の実施例の形態での1つ目の作用について説明する。
材料に発泡材が混合されている場合には、キャビティ43内で発泡材の発泡を促進することが望ましい。
また、射出圧力により金型が寸開してしまい、移動盤16と固定盤13とが平行にならなくなってしまうことがある。
そのため、ここでコアバック工程S104を行う。
コアバック工程S104は、通常、制御装置20によりタイバー用サーボモータ15を駆動することにより行われる。
即ち制御装置20によりタイバー用サーボモータ15を駆動し、ボールねじ33およびタイバー14を介して、移動盤16を後退させる。
具体的には、まずタイバー用サーボモータ15を駆動して、タイバー14を前進させる。
そして、図6に示すようにタイバー14の係合溝14aがハーフナット18と接することで、移動盤16がタイバー14に従って移動する。
このとき、ハーフナット18とタイバー14の係合溝14aとの間には隙間gが生じることになる。
即ち、もしこの状態でタイバー用サーボモータ15を停止すると、移動盤16は慣性力に従い、最大で隙間gだけ余分に移動してしまうことになる。
そこで、制御装置20は、コアバック工程S104の開始時からタイバー用サーボモータ15を駆動するとともに、型開閉用サーボモータ17も駆動する。
型開閉用サーボモータ17の駆動方向は、ボールねじ48を介して、移動盤16を後退させる方向である。
具体的には、図5に示される型締状態時のタイバー14の係合溝14aとハーフナット18との接し状態から、タイバー用サーボモータ15と型開閉用サーボモータ17をともに移動盤16が後退する方向に駆動させ、タイバー14を前進、移動盤16を後退させる。
この時、型開閉用サーボモータ17は、フィードバック制御により移動盤16の後退がタイバー14の前進と同期するように駆動される。
即ち、図5に示される型締状態時のタイバー14の係合溝14aとハーフナット18との接し状態を維持したまま、移動盤16を後退させる。
以上までが本発明に特に関わる第1の実施例の形態での1つ目の作用の説明である。
その後、保圧及び冷却工程S105を経て、成形品が成形される。そして、最後に型開き工程S106及び製品取出工程S107を行い、成形品を取り出すことで、射出成形の1サイクルが完了する。以後、この射出成形の1サイクルを繰り返すことで、射出成形サイクルS108となる。
次に、本発明に特に関わる第1の実施例の形態での2つ目の作用について説明する。
ここでは、本発明による第1の実施例の形態での型締装置の制御方法の構成のところで、応用として述べたコアバック工程S104と圧縮型締工程S109を含む制御方法を用いた場合の作用について説明する。
ここでの説明は、上記のコアバック工程S104を含む射出成形サイクルS108に対して、射出工程S103とコアバック工程S104の順番を入れ換え、コアバック工程S104の後、射出工程S103を行い、その後、圧縮型締工程S109を行う制御方法であるため、作用内容が上記と重複する部分が多い。
そのため、重複する作用内容については上記のコアバック工程S104を含む射出成形サイクルS108の説明を参照することとし、詳しい説明を省略する。
型締工程S102までは上記の作用と同様であるため、詳しい説明を省略する。型締工程S102の後、コアバック工程S104を行う。コアバック工程S104の作用は、上記のコアバック工程S104の作用と同様であるため、詳しい説明を省略する。
次に、金型が寸開している状態で、射出工程S103を行う。射出工程S103の作用に関しても、型締状態ではなく、金型が寸開している状態であることを除き上記の射出工程S103の作用と同様であるため、詳しい説明を省略する。
そして、射出工程S103の実行と同時もしくは射出工程S103の実行後、圧縮型締工程S109を行う。ただし、この圧縮型締工程S109は、少なくとも射出工程S103を実行して射出充填された材料の大部分が溶融状態にある間に必ず実行される。
この圧縮型締工程S109の作用手順は上記のコアバック工程S104と同様であるため、詳しい説明を省略する。
しかし、圧縮型締工程S109の作用自体は上記のコアバック工程S104の時とは逆方向つまり型を締める方向にタイバー用サーボモータ15と型開閉用サーボモータ17を駆動させ、タイバー14を後退、移動盤16を前進させることで、型締を行う。
この時、型開閉用サーボモータ17は、フィードバック制御により移動盤16の前進がタイバー14の後退と同期するように駆動される。
その後、保圧及び冷却工程S105、型開き工程S106、製品取出工程S107を順番に行い、成形品を取り出すことで、射出成形の1サイクルが完了する。そして、1サイクルを繰り返すことで射出成形サイクルS108となる。
以上までが本発明に特に関わる第1の実施例の形態での2つ目の作用の説明である。
次に、本発明による第1の実施例の形態での型締装置の効果について説明する。
本発明による第1の実施例の形態での型締装置によれば、コアバック時、型開閉用サーボモータ17を駆動させることにより、移動盤16自身を直接後退移動させることができるため、材料の発泡力や射出圧力で移動盤16が移動してしまうことを抑制することができる。
従って、コアバックにおける移動盤16の動作完了位置の精度を向上させることができる。
また、コアバック工程S104の開始直後から、タイバー14を前進させ、かつタイバー14の前進と同期するように移動盤16自身を後退させるため、タイバー14の係合溝14aとハーフナット18との間にある噛み合わせの余裕に伴うタイバーが動作しても移動盤自身は動作しない時間や、コアバックの動作完了位置でタイバーを停止させても移動盤自身が持つ慣性力に従って移動盤が移動を続けてしまう時間、所謂空転時間を無くすことができ、コアバック工程S104を従来よりも短時間で完了することができる。
また、圧縮型締工程S109の開始直後から、タイバー14を後退させ、かつタイバー14の後退と同期するように移動盤16自身を前進させるため、前記と同様、空転時間を無くすことができ、圧縮型締工程S109を従来よりも短時間で完了することができる。
従って、成形サイクルに係る時間を短縮することができる。
また、本発明は射出発泡成形を行う射出成形機や射出圧縮成形を行う射出成形機や、射出プレス成形を行う射出成形機に利用することができる。
次に、本発明による第1の実施例の形態での型締装置の制御方法の効果について説明する。
本発明による第1の実施例の形態での型締装置の制御方法によれば、コアバック時、型開閉用サーボモータ17を駆動させることにより、移動盤16自身を直接後退移動させることができるため、材料の発泡力や射出圧力で移動盤16が移動してしまうことを抑制することができる。
従って、コアバックにおける移動盤16の動作完了位置の精度を向上させることができる。
また、コアバック工程S104の開始直後から、タイバー14を前進させ、かつタイバー14の前進と同期するように移動盤16自身を後退させるため、タイバー14の係合溝14aとハーフナット18との間にある噛み合わせの余裕に伴うタイバーが動作しても移動盤自身は動作しない時間や、コアバックの動作完了位置でタイバーを停止させても移動盤自身が持つ慣性力に従って移動盤が移動を続けてしまう時間、所謂空転時間を無くすことができ、コアバック工程S104を従来よりも短時間で完了することができる。
また、圧縮型締工程S109の開始直後から、タイバー14を後退させ、かつタイバー14の後退と同期するように移動盤16自身を前進させるため、前記と同様、空転時間を無くすことができ、圧縮型締工程S109を従来よりも短時間で完了することができる。
従って、成形サイクルに係る時間を短縮することができる。
また、本発明は射出発泡成形を行う射出成形機や射出圧縮成形を行う射出成形機や、射出プレス成形を行う射出成形機に利用することができる。
本発明による第2の実施例の形態に係る型締装置61を、図7及び図2から図6を用いて説明する。
まず、本発明による第2の実施例の形態での型締装置の構成について説明する。なお第1の実施例の形態に係る型締装置11と同じ機能を有する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
本発明による第2の実施例の形態に係る型締装置61は、タイバー用サーボモータに代えて、コアバック専用のコアバック用サーボモータを有する。
図7に示すように、型締装置61は、固定盤13、タイバー75、第1の駆動装置としてのコアバック用サーボモータ62、移動盤16、第2の駆動装置としての型開閉用サーボモータ17、固定機構としてのハーフナット18、および制御装置63を備える。
固定盤13は、内部に油圧型締シリンダ26が設けられている。固定盤13には、タイバー14が進退自在に取り付けられている。
具体的には、タイバー14のピストン部27が、油圧型締シリンダ26に取り付けられている。
また油圧型締シリンダ26には、ピストン65が取り付けられている。ピストン65にはロッド66が取り付けられている。
固定盤13は、前面にコアバックボックス67が設けられている。コアバックボックス67の背面には、ピストン65と同軸上に軸受71が取り付けられている。
ここで、コアバックボックス67の背面とは、固定盤13に取り付けられている面である。
軸受71には、ボールねじ72のねじ軸73が回動自在に支持されている。ボールねじ72は送りねじである。
ねじ軸73の基端部は、ロッド66に回動自在に固定されている。ねじ軸73には従動プーリ74が取り付けられている。
コアバックボックス67にはタイバー75が進退自在に取り付けられている。具体的には、タイバー75の基端部がコアバックボックス67の前面を貫通し、コアバックボックス67内に突出している。
このタイバー75の基端部の軸心部には、ナット部76が取り付けられている。ナット部76はボールねじ72の一部を構成している。
ねじ軸73の先端部には、ねじ部73aが設けられている。このねじ部73aがナット部76に螺合している。
コアバックボックス67の外部には、コアバック用サーボモータ62が取り付けられている。コアバック用サーボモータ62には駆動プーリ77が設けられている。
駆動プーリ77と従動プーリ74との間にはタイミングベルト78が掛け渡されている。
従って、コアバック用サーボモータ62が駆動すると、ボールねじ72のねじ軸73が回転する。ねじ軸73の回転運動は、ナット部76を介してタイバー75の直線運動に変換される。
即ち、コアバック用サーボモータ62を駆動することによりタイバー75を進退させることができる。
移動盤16は、タイバー14及びイバー75を介して取り付けられている。移動盤16は、タイバー14及びタイバー75に沿って、固定盤13に対して接近または離間する方向に進退自在である。
またタイバー14及びタイバー75の外周面には、鋸歯、ねじ山、または環状溝からなる係合溝14a,75aがそれぞれ設けられている。
移動盤16の背面には、ハーフナット18が取り付けられている。ハーフナット18は、タイバー14の係合溝14aまたはタイバー75の係合溝75aと係脱する。
ハーフナット18は、開閉シリンダ51によって径方向に駆動される。
ハーフナット18が係合溝14a,75aと噛み合う方向に駆動された時、移動盤16がタイバー14及びタイバー75に固定される。
ただし、移動盤16はハーフナット18と係合溝14a,75aとの噛み合わせ余裕、即ちハーフナット18と係合溝14a,75aとの噛み合わせに対する遊びについてはタイバー14,75に固定されていても移動可能である。
ハーフナット18が係合溝14a,75aから離脱する方向に駆動された時、移動盤16とタイバー14,75との固定が解除される。
移動盤16とタイバー14,75との固定が解除されると、移動盤16がタイバー14,75に沿って移動可能となる。
制御装置63は、配線53を介してコアバック用サーボモータ62及び型開閉用サーボモータ17に接続されている。
制御装置63は、この配線53を介してコアバック用サーボモータ62及び型開閉用サーボモータ17とを制御する。
また、制御装置63は、コアバック時、コアバック用サーボモータ62を駆動して、タイバー14及びタイバー75を前進させる。それとともに、制御装置63は、型開閉用サーボモータ17を駆動して移動盤16を後退させる。
また、制御装置63は、圧縮型締時、コアバック用サーボモータ62を駆動して、タイバー14及びタイバー75を後退させる。それとともに、制御装置63は、型開閉用サーボモータ17を駆動して移動盤16を前進させる。
次に、本発明による第2の実施例の形態での型締装置の制御方法の構成について説明する。
本発明による第2の実施例の形態での型締装置の制御方法の構成は、本発明による第1の実施例の形態での型締装置の制御方法の構成と同様であるため、詳しい説明を省略する。
次に、本発明による第2の実施例の形態での作用について説明する。
ここで、図2及び図3に示す金型取付作業S100、型厚調整作業S101、型締工程S102、射出工程S103、保圧および冷却工程S105、型開き工程S106、ならびに製品取出工程S107については、第1の実施例の形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
図2及び図3に示すコアバック工程S104では、制御装置63によりコアバック用サーボモータ62と型開閉用サーボモータ17をともに駆動することにより行う。
具体的には、コアバック用サーボモータ62を駆動させることで、タイバー14,75を前進させる。それとともに、型開閉用サーボモータ17を駆動させることで、移動盤16自身を後退させる。
この時、型開閉用サーボモータ17は、フィードバック制御により移動盤16の後退がタイバー14,75の前進と同期するように駆動される。
即ち、図5に示される型締状態時のタイバー14,75の係合溝14a,75aとハーフナット18との接し状態を維持したまま、移動盤16を後退させる。
また、図3に示す圧縮型締工程S109の作用手順は上記のコアバック工程S104と同様であるため、詳しい説明を省略する。
しかし、圧縮型締工程S109の作用自体は上記のコアバック工程S104の時とは逆方向つまり型を締める方向にコアバック用サーボモータ62と型開閉用サーボモータ17を駆動させ、タイバー14,75を後退、移動盤16を前進させることで、型締を行う。
この時、型開閉用サーボモータ17は、フィードバック制御により移動盤16の前進がタイバー14,75の後退と同期するように駆動される。
次に、本発明による第2の実施例の形態での型締装置の効果について説明する。
本発明による第2の実施例の形態での型締装置によれば、コアバック時、型開閉用サーボモータ17を駆動させることにより、移動盤16自身を直接後退移動させることができるため、材料の発泡力や射出圧力で移動盤16が移動してしまうことを抑制することができる。
従って、コアバックにおける移動盤16の動作完了位置の精度を向上させることができる。
また、コアバック及び圧縮型締動作に関しては、第1の実施例の形態と同様な理由により、コアバックや圧縮型締動作を従来よりも短時間で完了することができ、成形サイクルに係る時間を短縮することができる。
そして、本発明は射出発泡成形を行う射出成形機や射出圧縮成形を行う射出成形機や、射出プレス成形を行う射出成形機に利用することができる。
次に、本発明による第2の実施例の形態での型締装置の制御方法の効果について説明する。
本発明による第2の実施例の形態での型締装置の制御方法によれば、コアバック時、型開閉用サーボモータ17を駆動させることにより、移動盤16自身を直接後退移動させることができるため、材料の発泡力や射出圧力で移動盤16が移動してしまうことを抑制することができる。
従って、コアバックにおける移動盤16の動作完了位置の精度を向上させることができる。
また、コアバック及び圧縮型締動作に関しては、第1の実施例の形態と同様な理由により、コアバックや圧縮型締動作を従来よりも短時間で完了することができ、成形サイクルに係る時間を短縮することができる。
そして、本発明は射出発泡成形を行う射出成形機や射出圧縮成形を行う射出成形機や、射出プレス成形を行う射出成形機に利用することができる。
第1の実施例の形態と第2の実施例の形態において、第1の駆動装置または第2の駆動装置として、サーボモータを用いたが、駆動手段としては、特にサーボモータに限定する必要はなく、油圧式の駆動装置やリニアモータ等であってもよい。
また第1の実施例の形態と第2の実施例の形態において、タイバー用サーボモータまたはコアバック用サーボモータと、ボールねじとの間の動力伝達手段として、プーリとタイミングベルトを使用したが、動力伝達手段としては、特にプーリとタイミングベルトに限定する必要はなく、歯車によって動力伝達させてもよい。
またボールねじに限定されず、回転運動を直線運動に変換するものであれば、ねじまたは遊星ローラねじ等の送りねじ機構であってもよい。