以下に本発明による第1の実施例の形態を、射出成形機の型締装置に適用した図面に基づいて説明する。
まず、本発明による第1の実施例の形態である型締装置の構成について説明する。
図1は、本発明による第1の実施例の形態に係る型締装置11を開示している。
図1に示すように型締装置11は、主構成として固定盤13、4本のタイバー14a,14b,14c,14d、駆動装置である4つのタイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15d、移動盤16、型開閉用サーボモータ17、固定機構としての4つのハーフナット18a,18b,18c,18d、および制御装置20を備えている。
固定盤13は、前面に固定金型25が取り付けられている。ここで、固定盤13の前面とは、移動盤16と向き合う側の面のことである。固定盤13には、4本のタイバー14a,14b,14c,14dが進退自在に取り付けられている。
また、固定盤13の内部には、4本のタイバー14a,14b,14c,14dに一つずつ油圧型締シリンダ26a,26b,26c,26dが設けられている。
具体的には、4本のタイバー14a,14b,14c,14dには、各基端部にそれぞれピストン部27a,27b,27c,27dを有する。このピストン部27a,27b,27c,27dが各油圧型締シリンダ26a,26b,26c,26dに取り付けられている。
これにより、一つの油圧型締シリンダ26aの内部には、ピストン部27aを挟んで、型締側室28aと、型開側室29aの2つのシリンダ室が形成される。油圧型締シリンダ26b,26c,26dについても前記油圧型締シリンダ26aと同様である。
前記型締側室28aに作動油が供給されると、タイバー14aが後退し、前記型開側室29aに作動油が供給されると、タイバー14aは前進する。
ここで、タイバー14aの後退とは、タイバー14aが図1において移動盤16が固定盤13に接近する方向に移動することであり、タイバー14aの前進とは、タイバー14aが図1において移動盤16が固定盤13に離間する方向に移動することである。
前記型締側室28b,28c,28dと、前記型開側室29b,29c,29dについても同様に、各側室に作動油が供給されると、各々に対応するタイバー14b,14c,14dが前進または後退する。
また、タイバー14a,14b,14c,14dの外周面には各々鋸歯、ねじ山または環状溝からなる係合溝24a,24b,24c,24dが設けられている。
固定盤13の背面には、4本のタイバー14a,14b,14c,14dそれぞれに仕切り壁31a,31b,31c,31dが取り付けられている。ここで、固定盤13の背面とは、固定盤13の前面とは反対側にある面のことである。
タイバー14aのピストン部27aの基端部は、この仕切り壁31aを貫通し突出している。ピストン部27aの仕切り壁31aを貫通した部位の軸心部には、ナット部32aが取り付けられている。
ナット部32aはボールねじ33aの一部を構成している。また、仕切り壁31b,31c,31dについても、同様にナット32b,32c,32d、ボールねじ33b,33c,33dが構成されている。
仕切り壁31aにおいて、油圧型締シリンダ26aが取り付けられた面とは反対側の面に、位置決めボックス34aが取り付けられている。
位置決めボックス34aの背面には、ピストン部27aと同軸上に軸受36aが取り付けられている。
ここで、位置決めボックス34aの背面とは、図1において仕切り壁31aに取り付けられている面に対して反対側の面のことである。
軸受36aには、ボールねじ33aのねじ軸37aが回動自在に支持されている。仕切り壁31b,31c,31dについても、同様である。
ねじ軸37aの先端部には、ねじ部22aが設けられている。このねじ部22aがナット部32aに螺合している。
ねじ軸37aの基端部は、位置決めボックス34aの背面から突出している。その突出部には、従動プーリ38aが取り付けられている。
位置決めボックス34aの外部には、タイバー駆動用サーボモータ15aが取り付けられている。
タイバー駆動用サーボモータ15aには駆動プーリ39aが設けられている。駆動プーリ39aと従動プーリ38aとの間にはタイミングベルト41aが掛け渡されている。
従動プーリ38b,38c,38d、駆動プーリ39b,39c,39d、タイミングベルト41b,41c,41dについても同様である。
従って、タイバー駆動用サーボモータ15aが駆動すると、駆動プーリ39a、従動プーリ38aを介して、ボールねじ33aのねじ軸37aが回転する。
ねじ軸37aの回転運動は、ナット部32aを介してピストン部27aの直線運動に変換される。
即ちタイバー駆動用サーボモータ15aを駆動することで、タイバー14aを進退することができる。これは、タイバー14b,14c,14dについても同様である。
移動盤16は、4本のタイバー14a,14b,14c,14dを介して固定盤13と対面するように設けられている。
移動盤16は、タイバー14a,14b,14c,14dに沿って、固定盤13に対し接近または離間する方向に進退自在である。
移動盤16の前面には、移動金型42が設けられている。ここで移動盤16の前面とは、固定盤13と向き合う面のことである。
移動金型42は、移動盤の前面に取り付けられ、固定金型25と対向している。移動金型42と固定金型25との型面が接することにより、固定金型25と移動金型42との間にキャビティ43が形成される。
移動盤16の側面には、ナット部45が固定されている。型開閉用サーボモータ17は、図示しないブラケットを介して固定盤13に取り付けられている。
型開閉用サーボモータ17の回転軸には、ねじ軸47が取り付けられている。ねじ軸47はねじ部21を有する。ねじ部21は、ナット部45に螺合している。このねじ軸47とナット部45によりボールねじ48が構成されている。
従って、型開閉用サーボモータ17を駆動すると、ねじ軸47が回転する。ねじ軸47の回転運動は、ナット部45を介して移動盤16の直線運動に変換される。
即ち、型開閉用サーボモータ17を駆動することにより、移動盤16を進退させることができる。これにより移動金型42が固定金型25に対して接近または離間するため、型開閉動作をすることができる。
移動盤16の背面には、ハーフナット18a,18b,18c,18dが取り付けられている。
ハーフナット18aは、タイバー14aの係合溝24aに係脱する。ハーフナット18aは、開閉シリンダ51によって径方向に駆動される。
ハーフナット18aが係合溝24aと噛み合う方向に駆動された時、移動盤16の一部がタイバー14aによって固定される。
ハーフナット18aが係合溝24aから離脱する方向に駆動された時、タイバー14aによる移動盤16の一部の固定が解除される。
また、ハーフナット18b,18c,18dについても同様である。移動盤16は通常4本のタイバー14a,14b,14c,14dとの固定が解除されると、4本のタイバー14a,14b,14c,14dに沿って移動可能となる。
制御装置20は、配線53を介してタイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dと、型開閉用サーボモータ17に接続されている。
制御装置20はこの配線53を介してタイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dと型開閉用サーボモータ17に制御信号を伝達する。
従って、タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dと、型開閉用サーボモータ17は、制御装置20によって制御されている。
ここから、本発明に特に関わる第1の実施例の形態での型締装置の構成について説明する。
制御装置20は、コアバック時、4つのタイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dにそれぞれ別々の指令値または目標値を与えることで、タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dを各々個別に駆動させ、それによりタイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dそれぞれに対応したタイバー14a,14b,14c,14dを各々個別に動作させる。
そして、タイバー14a,14b,14c,14dを介して移動盤16を後退させる。
ここで、移動盤16の後退とは、図1において固定盤13に対し離間する方向に移動することである。また、移動盤16の前進とは、図1において固定盤13に対し接近する方向に移動することである。
また、制御装置20は、図示しないコアバック用設定装置や図示しない表示器や図示しないブザーや図示しないパトライトなどのランプを合わせ持っている。
コアバック用設定装置には、コアバック時の各タイバーの動作速度と、コアバック時の各タイバーの動作力と、コアバック時の各タイバー位置の補正量と、コアバック時の動作量と、コアバックの開始位置とを設定項目として設けている。
さらに、制御装置20は、図示しない主記憶装置または補助記憶装置または中央演算処理装置を有しており、コアバック用設定装置で設定する設定値など射出成形サイクルを行うために必要な全ての設定データ(この設定データにはコアバック時の各タイバーの動作量に対する補正量やその補正の範囲を表すデータを含んでいる)を図示しない主記憶装置または補助記憶装置に格納し、保存することができる。
そして、保存されたデータは図示しない主記憶装置または補助記憶装置から容易に呼び出すことができる。
さらに、制御装置20の図示しない主記憶装置または補助記憶装置には、設定データだけでなく、射出成形サイクル動作中に測定される測定データや良品データとして取り込んだデータも格納でき、保存することができる。
また、制御装置20の図示しない主記憶装置または補助記憶装置に保存された設定データや測定データや良品データは、制御装置20に設けられた図示しない表示器で数値データのまま、または波形など変換された形で表示されることができる。
以上までが本発明に特に関わる第1の実施例の形態での型締装置の構成についての説明である。
次に、本発明による第1の実施例の形態での型締装置の制御方法の構成について説明する。
射出成形で作られる成形品は射出成形サイクルS78を行うことにより成形される。
具体的には、まず、射出成形サイクルS78に入る準備として、固定金型25及び移動金型42の金型取付作業S70及び型厚調整作業S71を行う。
そして、図2に示すように型締工程S72、射出工程S73、コアバック工程S74、保圧及び冷却工程S75、型開き工程S76、製品取出工程S77を順に繰り返すことで、射出成形サイクルS78となる。
ただし、型締工程S72において、型を閉める動作を電動駆動等油圧以外の駆動装置で行い、型を締め上げる動作を油圧駆動で行う装置に関しては、型締工程S72の中で、型閉動作、型締動作と分けて行わせる場合がある。
また、コアバック工程S74は、コアバックの性質上射出工程S73の後に行われるが、応用として、コアバック工程S74を射出工程S73の前に行う方法、つまり型締後、金型寸開動作をさせ、その次に射出を行い、再度型締をした後、保圧及び冷却以後の動作をし、射出成形サイクルS78を成すというコアバック工程S74と圧縮型締工程S79を含む制御方法もある。
ここで、圧縮型締工程とは、圧縮型締動作を行う工程のことである。
具体的には、図3に示すようにまず、射出成形サイクルS78に入る準備として、固定金型25及び移動金型42の金型取付作業S70及び型厚調整作業S71を行う。
そして、型締工程S72、コアバック工程S74、射出工程S73、圧縮型締工程S79、保圧及び冷却工程S75、型開き工程S76、製品取出工程S77を順に繰り返すことで、射出成形サイクルS78となる。
ここで、本発明に特に関わる第1の実施例の形態での型締装置の制御方法の構成について説明する。
ここでは、コアバック工程S74に着目して図4を用いて説明する。まず、図4に示すようにコアバック工程S74の準備として、型厚調整作業S71後にコアバック条件S80を設定する。
コアバック条件S80とは、コアバックをどのような動作にするかを定めるものであり、この実施例の形態ではコアバック時の各タイバーの動作速度と、コアバック時の各タイバーの動作力と、コアバック時の各タイバー位置の補正量と、コアバック時の動作量と、コアバックの開始位置を設定することができる。
そして、コアバック工程S74では、コアバック開始S81から、このコアバック条件S80に基づいて金型寸開動作S82を行い、コアバック完了S83で終了するという動作を射出成形サイクルS78毎に行う。
以上までが本発明に特に関わる第1の実施例の形態での型締装置の制御方法の構成についての説明である。
次に、本発明による第1の実施例の形態での作用について説明する。
具体的には、以下で型締装置11を用いて説明する。
まず、予め移動盤16の金型取り付け面の平行度と、固定盤13の金型取り付け面の平行度と、固定金型25の固定盤13と向き合う面とその背面の面の平行度と、移動金型42の移動盤16と向きあう面とその背面の面の平行度とを測定しておく。
次に、固定金型25及び移動金型42の金型取付作業S70及び型厚調整作業S71を行う。
具体的には、型開閉用サーボモータ17を駆動して、移動盤16を型閉限まで移動させ、固定金型25及び移動金型42を取り付ける。
ここで、型閉限とは、固定金型25と移動金型42をそれぞれ固定盤13と移動盤16に取り付けた状態で、固定金型25の型面と移動金型42の型面とが接する位置のことである。
次に、開閉シリンダ51を用いてハーフナット18aをタイバー14aの係合溝24aに係合させる。同様に、ハーフナット18b,18c,18dについてもタイバー14b,14c,14dの係合溝24b,24c,24dと係合させる。
これにより移動盤16は4本のタイバー14a,14b,14c,14dにより固定される。この時、図5で示すようにハーフナット18aとタイバー14aの係合溝24aとの間に隙間が生じることがある。
その際、図5で示すようにハーフナット18aとタイバー14aの係合溝24aとが適正に噛み合っていれば良い。しかし、双方のピッチのずれ等により、ハーフナット18aと係合溝24aが適正に噛み合わない場合がある。
この場合には、タイバー駆動用サーボモータ15aを駆動して、タイバー14aを微動前進させる。これにより移動盤16とタイバー14aとの固定位置を調節し、ハーフナット18aと係合溝24aを適正に噛み合わせる。
この時、タイバー14aの位置をタイバー駆動用サーボモータ15aの内部にある図示しない位置センサによって読み取り、その位置を記憶させる。
そしてその後の型締工程S72における型閉動作では、タイバー14aが常にこの記憶した位置にあるように、タイバー駆動用サーボモータ15aの駆動が制御される。
また、ハーフナット18bとタイバー14bの係合溝24b,ハーフナット18cとタイバー14cの係合溝24c,ハーフナット18dとタイバー14dの係合溝24dについても上記と同様である。これで、型厚調整作業S71が完了である。
以上までの作用は従来の発明の範囲内である。
次に、本発明に特に関わる第1の実施例の形態での1つ目の作用について説明する。
コアバック用設定装置に、予め測定した移動盤16の金型取り付け面の平行度や、固定盤13の金型取り付け面の平行度や、固定金型25の固定盤13と向き合う面とその背面の面の平行度や、移動金型42の移動盤16と向きあう面とその背面の面の平行度や、キャビティ43の形状や、発泡材の膨張速度や、発泡材の膨張力や、射出圧力を考慮して、コアバック時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作速度と、コアバック時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作力と、コアバック時の各タイバー14a,14b,14c,14dの位置の補正量と、コアバック時の動作量と、コアバックの開始位置とを入力する。
この設定値は発泡材による膨張速度の違いや、発泡材による膨張力の違いや、射出圧力の違いや、予め測定した移動盤16の金型取り付け面の平行度や、固定盤13の金型取り付け面の平行度や、固定金型25の固定盤13と向き合う面とその背面の面の平行度や、移動金型42の移動盤16と向きあう面とその背面の面の平行度に違いがあるため、キャビティ43の形状や、材料や、射出圧力や、予め測定した上記記載の面の平行度に合わせて変更される。
以上までが本発明に特に関わる第1の実施例の形態での1つ目の作用の説明である。
その後、射出成形サイクルS78に入り、始めに型締工程S72を行う。型締工程S72は、従来の発明の範囲のため、簡潔に記載する。
まず、型締工程S72の中の型閉動作を行う。
具体的には、型開閉用サーボモータ17と4つのタイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dを駆動して、移動盤16と4本のタイバー14a,14b,14c,14dを型厚調整作業S71時に記憶した位置まで移動させる。
次に、各ハーフナット18a,18b、18c、18dを各タイバー14a,14b,14c,14dの係合溝24a,24b,24c,24dに係合させ、移動盤16を各タイバー14a,14b,14c,14dに固定する。
型閉動作後、型締動作を行う。具体的には、油圧シリンダ26aの型締側室28aに作動油が供給され、タイバー14aを後退させる。
そして、図6に示すようにタイバー14aの係合溝24aがハーフナット18aと接することで、移動盤16がタイバー14aに従って移動する。タイバー14b,14c,14dについても同様に動作させる。これにより移動金型42と固定金型25とが型締めされる。
次に射出工程S73を行う。射出工程S73は、従来の発明の範囲のため、簡潔に記載する。
射出工程S73では、移動金型42と固定金型25とが型締された状態で、射出ノズルから材料を射出する。これにより、材料がキャビティ43に充填される。材料の一例は溶解樹脂である。
次に、本発明に特に関わる第1の実施例の形態での2つ目の作用について説明する。
材料に発泡材が混合されている場合には、キャビティ43内で発泡材の発泡を促進することが望ましい。
また、射出圧力により金型が寸開してしまい、移動金型42と固定金型25との接する面が平行にならなくなってしまうことがある。
そのため、ここでコアバック工程S74を行う。
コアバック工程S74では、制御装置20により各タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dを各々個別に駆動し、各タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dそれぞれに対応した各タイバー14a,14b,14c,14dを各々個別に動作させ、移動盤16を後退させる。
具体的には、まずタイバー駆動用サーボモータ15aを駆動し、ボールねじ33aを介してタイバー14aを前進させる。そして、図7に示すようにタイバー14aの係合溝24aがハーフナット18aと接することにより移動盤16がタイバー14aに従って移動する。これは、各タイバー14b,14c,14dについても同様である。
この時、各タイバー14a,14b,14c,14dは、コアバック用設定装置で定めたコアバック時の各々の動作速度と、コアバック時の各々の動作力で各々個別に動作し、各タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dの内部にある図示しない位置センサの読取値により、コアバック時の動作量とコアバック時の各タイバー14a,14b,14c,14d各々のタイバー位置の補正量とを合わせた量だけ各々移動する。
例えば、コアバック時の動作量を20[mm]と設定し、タイバー14aに対するコアバック時の動作速度を1.0[mm/s]、タイバー14bに対するコアバック時の動作速度を1.5[mm/s]、タイバー14cに対するコアバック時の動作速度を2.0[mm/s]、タイバー14dに対するコアバック時の動作速度を0.5[mm/s]と設定する。
タイバー14aに対するコアバック時の動作力を50[kN]、タイバー14bに対するコアバック時の動作力を70[kN]、タイバー14cに対するコアバック時の動作力を60[kN]、タイバー14dに対するコアバック時の動作力を40[kN]と設定する。
タイバー14aに対するコアバック時のタイバー位置の補正量を0.5[mm]、タイバー14bに対するコアバック時のタイバー位置の補正量を1.0[mm]、タイバー14cに対するコアバック時のタイバー位置の補正量を0[mm]、タイバー14dに対するコアバック時のタイバー位置の補正量を−0.5[mm]と設定する。
すると、コアバック工程S74ではタイバー14aは1.0[mm/s]の動作速度、50[kN]の動作力となるように制御されながら、20.5[mm]前進する。
タイバー14bは1.5[mm/s]の動作速度、70[kN]の動作力となるように制御されながら、21.0[mm]前進する。
タイバー14cは2.0[mm/s]の動作速度、60[kN]の動作力となるように制御されながら、20.0[mm]前進する。
タイバー14dは0.5[mm/s]の動作速度、40[kN]の動作力となるように制御されながら、19.5[mm]前進する。
これにより移動盤16を所定の位置まで後退させる。また、その時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作速度や動作力は、フィードバック制御され、設定値と等しくなるように補正しながら制御される。
この時、各タイバー14a,14b,14c,14dの動作速度や動作力の測定については、各々の動作速度や各々の動作力が得られればよいため、各タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dの内部にある図示しない速度センサや各タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dの内部にある図示しない力センサを用いて測定をして求めるだけでなく、各タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dの内部にある図示しない位置センサや各タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dの内部にある図示しない速度センサを用いて測定し、さらに演算を行うことにより求めてもよい。
そして、その際の演算とは、図示しないアナログ回路による微分器を用いた演算や、図示しないディジタル回路(ハードウェアによるもの)による微分器を用いた演算や、制御装置20が有する図示しない中央演算処理装置または主記憶装置または補助記憶装置を用いて、差分による演算や、ディジタル回路(ソフトウェアによるもの)による微分器(微分フィルターともいう)を用いた演算や、状態推定器を用いた演算というものが挙げられる。
以上までが本発明に特に関わる第1の実施例の形態での2つ目の作用の説明である。
その後、保圧及び冷却工程S75を経て、成形品が成形される。そして、最後に型開き工程S76及び製品取出工程S77を行い、成形品を取り出すことで、射出成形の1サイクルが完了する。以後、この射出成形の1サイクルを繰り返すことで、射出成形サイクルS78となる。
また、ここで、本発明に特に関わる第1の実施例の形態での3つ目の作用について説明する。
コアバック時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作量は、各タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dの内部にある図示しない位置センサで測定され、その測定値は制御装置20が有する図示しない主記憶装置または補助記憶装置に格納され、各タイバー14a,14b,14c,14dの動作量の測定データとして保存される。
そして、各タイバー14a,14b,14c,14dそれぞれに対して、設定されたコアバック時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作量つまりコアバック時の動作量と各タイバー14a,14b,14c,14d各々のタイバー位置の補正量とを合わせた量と、各タイバー14a,14b,14c,14dの動作量の測定データとの誤差を取り、次サイクルのコアバック工程S74時、その誤差を無くすようにフィードバック制御による補正をかける。
ただ、そのフィードバック制御による補正には、制御装置20が有する図示しない主記憶装置または補助記憶装置に格納された設定データにより補正できる範囲が定められており、設定されたコアバック時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作量と、各タイバー14a,14b,14c,14dの動作量の測定データとの誤差がその補正できる範囲を超えた場合には、制御装置20が有する図示しない表示器に機械異常として表示し、制御装置20が有する図示しないブザーにより異常を知らせる音を発し、制御装置20が有する図示しないパトライトなどのランプで異常を知らせるランプを点灯または点滅させ、自動的にその異常が発生した時の射出成形サイクルの完了でその射出成形サイクルを停止させるように制御される。
さらに、コアバック時の各タイバー14a,14b,14c,14dのタイバー位置の補正量やコアバック時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作速度やコアバック時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作力やコアバック時の動作量やコアバックの開始位置は材料(発泡材も含む)や取り付ける金型や射出圧力により設定が都度変更される。
その設定変更は、その都度一から設定するだけでなく、一度設定したものをデータとして制御装置20が有する図示しない主記憶装置または補助記憶装置に保存しておき、その保存データを呼び出すことで設定変更することもできる。
また、制御装置20が有する図示しない主記憶装置または補助記憶装置に保存されたコアバック工程S74時観測したデータの内、良品となった時のデータを呼び出すことで上記の設定を変更することもできる。
また、ここで、本発明による第1の実施例の形態での型締装置の制御方法の構成のところで、応用として述べたコアバック工程S74と圧縮型締工程S79を含む制御方法を用いた場合の作用について説明する。
ここでの説明は、上記のコアバック工程S74を含む射出成形サイクルS78に対して、射出工程S73とコアバック工程S74の順番を入れ換え、コアバック工程S74の後、射出工程S73を行い、その後、圧縮型締工程S79を行う制御方法であるため、作用内容が上記と重複する部分が多い。
そのため、重複する作用内容については上記のコアバック工程S74を含む射出成形サイクルS78の説明を参照することとして、詳しい説明を省略する。
型締工程S72までは上記の作用と同様であるため、詳しい説明を省略する。型締工程S72の後、コアバック工程S74を行う。コアバック工程S74の作用は、上記のコアバック工程S74の作用と同様あるため、詳しい説明を省略する。
次に、金型が寸開している状態で、射出工程S73を行う。射出工程S73の作用に関しても、型締状態ではなく、金型が寸開している状態であることを除き上記の射出工程S73の作用と同様であるため、詳しい説明を省略する。
そして、射出工程S73の実行と同時もしくは射出工程S73の実行後、圧縮型締工程S79を行う。ただし、この圧縮型締工程S79は、少なくとも射出工程S73を実行して射出充填された材料の大部分が溶融状態にある間に必ず実行される。
この圧縮型締工程S79の作用手順は上記のコアバック工程S74と同様であるため、詳しい説明を省略する。しかし、圧縮型締工程S79の作用自体は上記のコアバック工程S74の時とは逆方向つまり型を締める方向に各々のタイバー14a,14b,14c,14dを個別に動作させ、それにより移動盤16を前進させることで、型締を行う。
その後、上記のように保圧及び冷却工程S75、型開き工程S76、製品取出工程S77を順番に行い、成形品を取り出すことで、射出成形の1サイクルが完了する。そして、1サイクルを繰り返すことで射出成形サイクルS78となる。
また、コアバック工程S74や圧縮型締工程S79に関わる測定やフィードバック制御による補正や設定変更については、上記のコアバック工程S74に関わる測定やフィードバック制御による補正や設定変更と同様である。
以上までが本発明に特に関わる第1の実施例の形態での3つ目の作用の説明である。
次に、本発明による第1の実施例の形態での型締装置の効果について説明する。
本発明による第1の実施例の形態での型締装置によれば、コアバック時または圧縮型締時、各タイバー14a,14b,14c,14dが各々の目標値または指令値に従って個別に動作するため、発泡材の膨張速度や射出圧力に合わせて金型寸開動作または圧縮型締動作を制御することができる。
これにより、簡単な形状を成す成形品だけでなく、複雑な形状を成す成形品も容易に製造することができる。
また、経年劣化等による移動盤16の前面に平行度が出ていなくても、コアバック時または圧縮型締時、各タイバー位置を微調整することで平行度を補正することができ、移動金型42と固定金型25とがキャビティ43を成す面、即ち移動金型42と固定金型25とが接する面を平行に保つことができる。
さらに、同様に移動金型42または固定金型25において、経年劣化により移動金型42および固定金型25の前面または背面の平行度が出ていなくても、コアバック時または圧縮型締時、各タイバー位置を微調整することで移動金型42と固定金型25とが接する面を平行に保つことができる。
これにより、移動盤または固定盤の金型を取り付ける面の面精度や金型の面精度に関わらず、厚さが均一な成形品を製造することができる。
また、以上より本発明は射出発泡成形を行う射出成形機や射出圧縮成形を行う射出成形機や、射出プレス成形を行う射出成形機に利用することができる。
そして、コアバック時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作量がその動作量の補正範囲を超えた時、自動的にその時点での射出成形サイクルの完了をもって射出成形サイクルを停止するように制御するようにすれば、経年劣化等により移動盤16の前面や固定盤13の前面や移動金型42および固定金型25の前面または背面に許容範囲を超えた過度の傾きまたは凹凸または窪みが出た場合でも、その時点までの射出成形サイクルで自動的に射出成形サイクルが停止するように制御することができるため、射出成形機による安全性を高めることができる。
また、その時、制御装置20が有する図示しない表示器に機械異常として表示し、制御装置20が有する図示しないブザーにより異常を知らせる音を発し、制御装置20が有する図示しないパトライトなどのランプで異常を知らせるランプを点灯または点滅するように制御するようにすれば、射出成形機が異常であることを周知に知らせることでき、それが射出成形機の故障の早期発見することができる。
これにより、射出成形機の故障による射出成形機の射出成形サイクルの停止時間を低減することができ、中長期的な観測で単位時間当たりの成形品の生産数を向上させることができる。
次に、本発明による第1の実施例の形態での型締装置の制御方法の効果について説明する。
本発明による第1の実施例の形態での型締装置の制御方法によれば、コアバック時または圧縮型締時、各タイバー14a,14b,14c,14dが各々の目標値または指令値に従って個別に動作するため、発泡材の膨張速度や射出圧力に合わせて金型寸開動作または圧縮型締動作を制御することができる。
これにより、簡単な形状を成す成形品だけでなく、複雑な形状を成す成形品も容易に製造することができる。
また、経年劣化等による移動盤16の前面に平行度が出ていなくても、コアバック時または圧縮型締時、各タイバー位置を微調整することで平行度を補正することができ、移動金型42と固定金型25とがキャビティ43を成す面、即ち移動金型42と固定金型25とが接する面を平行に保つことができる。
さらに、同様に移動金型42または固定金型25において、経年劣化により移動金型42および固定金型25の前面または背面の平行度が出ていなくても、コアバック時または圧縮型締時、各タイバー位置を微調整することで移動金型42と固定金型25とが接する面を平行に保つことができる。
これにより、移動盤または固定盤の金型を取り付ける面の面精度や金型の面精度に関わらず、厚さが均一な成形品を製造することができる。
また、以上より本発明は射出発泡成形を行う射出成形機や射出圧縮成形を行う射出成形機や、射出プレス成形を行う射出成形機に利用することができる。
そして、コアバック時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作量がその動作量の補正範囲を超えた時、自動的にその時点での射出成形サイクルの完了をもって射出成形サイクルを停止するように制御するようにすれば、経年劣化等により移動盤16の前面や固定盤13の前面や移動金型42および固定金型25の前面または背面に許容範囲を超えた過度の傾きまたは凹凸または窪みが出た場合でも、その時点までの射出成形サイクルで自動的に射出成形サイクルが停止するように制御することができるため、射出成形機による安全性を高めることができる。
また、その時、制御装置20が有する図示しない表示器に機械異常として表示し、制御装置20が有する図示しないブザーにより異常を知らせる音を発し、制御装置20が有する図示しないパトライトなどのランプで異常を知らせるランプを点灯または点滅するように制御するようにすれば、射出成形機が異常であることを周知に知らせることでき、それが射出成形機の故障の早期発見することができる。
これにより、射出成形機の故障による射出成形機の射出成形サイクルの停止時間を低減することができ、中長期的な観測で単位時間当たりの成形品の生産数を向上させることができる。
次に本発明による第2の実施例の形態について説明する。
本発明による第2の実施例の形態は、構成や作用において、本発明による第1の実施例の形態と同様なところがある。従って、本発明による第1の実施例の形態と同様な部分の構成や作用の説明については、本発明による第1の実施例の形態のところを参照することとし、詳しい説明を省略する。
まず、本発明による第2の実施例の形態での型締装置の構成について説明する。本発明による第2の実施例の形態での型締装置の構成は、制御装置20に関わる構成以外本発明による第1の実施例の形態での型締装置の構成と同様である。
そのため、ここでは本発明による第1の実施例の形態での型締装置の構成と違っている制御装置20に関わる構成について説明し、それ以外については本発明による第1の実施例の形態での型締装置の構成のところを参照することとし、詳しい説明を省略する。
制御装置20は、配線53を介してタイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dと、型開閉用サーボモータ17に接続されている。
制御装置20はこの配線53を介してタイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dと型開閉用サーボモータ17に制御信号を伝達する。
従って、タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dと、型開閉用サーボモータ17は、制御装置20によって制御されている。
制御装置20は、圧縮型締動作時、4つのタイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dにそれぞれ別々の指令値または目標値を与えることで、タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dを各々個別に駆動させ、それによりタイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dそれぞれに対応したタイバー14a,14b,14c,14dを各々個別に動作させる。
そして、タイバー14a,14b,14c,14dを介して移動盤16を前進させる。
ここで、移動盤16の前進とは、図1において固定盤13に対し接近する方向に移動することである。
また、制御装置20は、図示しない圧縮型締動作用の設定装置や図示しない表示器や図示しないブザーや図示しないパトライトなどのランプを合わせ持っている。
圧縮型締動作用の設定装置には、圧縮型締動作時の各タイバーの動作速度と、圧縮型締動作時の各タイバーの動作力と、圧縮型締動作時の各タイバー位置の補正量と、圧縮型締動作時の動作量とを設定項目として設けている。
さらに、制御装置20は、図示しない主記憶装置または補助記憶装置または中央演算処理装置を有しており、圧縮型締動作用の設定装置で設定する設定値など射出成形サイクルを行うために必要な全ての設定データ(この設定データには圧縮型締動作時の各タイバーの動作量に対する補正量やその補正の範囲を表すデータを含んでいる)を図示しない主記憶装置または補助記憶装置に格納し、保存することができる。
そして、保存されたデータは図示しない主記憶装置または補助記憶装置から容易に呼び出すことができる。
さらに、制御装置20の図示しない主記憶装置または補助記憶装置には、設定データだけでなく、射出成形サイクル動作中に測定される測定データや良品データとして取り込んだデータも格納でき、保存することができる。
また、制御装置20の図示しない主記憶装置または補助記憶装置に保存された設定データや測定データや良品データは、制御装置20に設けられた図示しない表示器で数値データのまま、または波形など変換された形で表示されることができる。
次に、本発明による第2の実施例の形態での型締装置の制御方法の構成について説明する。なお、本発明による第1の実施例の形態での型締装置の制御方法の構成と同じ機能を有するものについては、同一の符号を持って詳しい説明を省略する。
まず、図8に示すように射出成形サイクルS78に入る準備として、金型取付作業S70及び型閉調整作業S91を行う。
そして、型閉工程S92、射出工程S93、圧縮型締工程S94、保圧及び冷却工程S75、型開き工程S76、製品取出工程S77を順に繰り返すことで、射出成形サイクルS78となる。
ただし、型閉調整作業S91とは、圧縮型締動作の開始位置で、各タイバー14a,14b,14c,14dの係合溝24a,24b,24c,24dとハーフナット18a,18b,18c,18dとの噛み合わせを適正にさせる作業のことである。
ここで、圧縮型締工程S94に着目して図9を用いて説明する。まず、圧縮型締工程S94の準備として、金型取付作業S70の前または型閉調整作業S91の前または型閉調整作業S91後に圧縮型締条件S95を設定する。
圧縮型締条件S95とは、圧縮型締動作をどのような動作にするかを定めるものであり、この実施例の形態では圧縮型締動作時の各タイバーの動作速度と、圧縮型締動作時の各タイバーの動作力と、圧縮型締動作時の各タイバー位置の補正量と、圧縮型締動作時の動作量とを設定することができる。
ただし、圧縮型締条件S95の一つであり、圧縮型締動作の開始位置を表す圧縮型締動作の動作量については型閉調整作業S91の前に必ず設定する。
そして、圧縮型締工程S94では、圧縮型締動作開始S96から、この圧縮型締条件S95に基づいて圧縮型締動作S97を行い、圧縮型締動作完了S98で終了するという動作を射出成形サイクルS78毎に行う。
次に、本発明による第2の実施例の形態での作用について説明する。ただし、作用の説明についても、構成の説明の時と同様、本発明による第1の実施例の形態での作用と違っている部分について説明し、本発明による第1の実施例の形態での作用の説明と同様な説明については詳しい説明を省略する。
まず、予め移動盤16の金型取り付け面の平行度と、固定盤13の金型取り付け面の平行度と、固定金型25の固定盤13と向き合う面とその背面の面の平行度と、移動金型42の移動盤16と向きあう面とその背面の面の平行度とを測定しておく。
次に圧縮型締条件S95の一つである圧縮型締動作の動作量を圧縮型締動作用の設定装置に入力する。この設定値は、キャビティ43の形状や、材料や、射出圧力に合わせて変更される。
次に、固定金型25及び移動金型42の金型取付作業S70を行う。具体的には、型開閉用サーボモータ17を駆動して、移動盤16を型閉限まで移動させ、固定金型25及び移動金型42を取り付ける。
ここで、型閉限とは、固定金型25と移動金型42をそれぞれ固定盤13と移動盤16に取り付けた状態で、固定金型25の型面と移動金型42の型面とが接する位置のことである。
次に、型閉調整作業S91を行う。具体的には、金型取付作業S70後、移動盤16を型閉限の位置から圧縮型締動作の動作量だけ移動させる。即ち移動盤16を圧縮型締動作の開始位置に移動させる。
その後、本発明による第1の実施例の形態での作用の時と同様に、各タイバー14a,14b,14c,14dの係合溝24a,24b,24c,24dと各ハーフナット18a,18b,18c,18dとの噛み合わせを適正なものにする。
この作用は、各タイバー14a,14b,14c,14dの係合溝24a,24b,24c,24dと各ハーフナット18a,18b,18c,18dとの噛み合わせを行う位置が型閉限であるか圧縮型締動作の開始位置であるかという違いだけで、具体的な作用は本発明による第1の実施例の形態での作用と同様のため、詳しい説明を省略する。
この時、各タイバー14a,14b,14c,14dの位置を各タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dの内部にある図示しない位置センサによって読み取り、その位置を記憶させる。
次に、圧縮型締動作用の設定装置に、予め測定した移動盤16の金型取り付け面の平行度や、固定盤13の金型取り付け面の平行度や、固定金型25の固定盤13と向き合う面とその背面の面の平行度や、移動金型42の移動盤16と向きあう面とその背面の面の平行度や、キャビティ43の形状や、発泡材の膨張速度や、発泡材の膨張力や射出圧力を考慮して、圧縮型締動作時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作速度と、圧縮型締動作時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作力と、圧縮型締動作時の各タイバー14a,14b,14c,14dの位置の補正量とを入力する。
この設定値は射出圧力の違いや、発泡材による膨張速度の違いや、発泡材による膨張力の違いや、予め測定した移動盤16の金型取り付け面の平行度や、固定盤13の金型取り付け面の平行度や、固定金型25の固定盤13と向き合う面とその背面の面の平行度や、移動金型42の移動盤16と向きあう面とその背面の面の平行度に違いがあるため、キャビティ43の形状や、射出圧力や、材料や、予め測定した上記記載の面の平行度に合わせて変更される。
その後、射出成形サイクルS78に入り、始めに型閉工程S92を行う。型閉工程S92では、型開閉用サーボモータ17と4つのタイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dを駆動して、移動盤16と4本のタイバー14a,14b,14c,14dを型閉調整作業S91時に記憶した位置まで移動させる。
そして、各ハーフナット18a,18b、18c、18dを各タイバー14a,14b,14c,14dの係合溝24a,24b,24c,24dに係合させ、移動盤16を各タイバー14a,14b,14c,14dに固定する。
この時、移動盤16の金型取り付け面の平行度や、固定盤13の金型取り付け面の平行度や、固定金型25の固定盤13と向き合う面とその背面の面の平行度や、移動金型42の移動盤16と向きあう面とその背面の面の平行度に違いにより、移動金型42と固定金型25との接する面つまり移動金型42における固定金型25と接する面と固定金型25における移動金型42と接する面とが平行になっていない場合がある。
そのため、ここで圧縮型締動作の準備動作として、各タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dを各々個別に駆動し、各タイバー14a,14b,14c,14dを各タイバー14a,14b,14c,14d各々の圧縮型締動作時のタイバー位置の補正量の分だけ移動させ、移動金型42と固定金型25との接する面が平行になるようにする。
例えば、タイバー14aに対する圧縮型締動作時のタイバー位置の補正量を0.5[mm]、タイバー14bに対する圧縮型締動作時のタイバー位置の補正量を1.0[mm]、タイバー14cに対する圧縮型締動作時のタイバー位置の補正量を0.1[mm]、タイバー14dに対する圧縮型締動作時のタイバー位置の補正量を−0.5[mm]と設定する。
すると、ここではタイバー14aは0.5[mm]前進し、タイバー14b1.0[mm]前進し、タイバー14cは0.1[mm]前進し、タイバー14dは0.5[mm]後退する。これにより、移動金型42と固定金型25との接する面が平行になる。
ただし、各タイバー14a,14b,14c,14dの前進とは、各タイバー14a,14b,14c,14dが図1において移動盤16が固定盤13に離間する方向に移動することであり、各タイバー14a,14b,14c,14dの後退とは、各タイバー14a,14b,14c,14dが図1において移動盤16が固定盤13に接近する方向に移動することである。
次に射出工程S93を行う。射出工程S93では、移動盤16が設定された圧縮型締動作の開始位置にあり、かつ移動盤16が各タイバー14a,14b,14c,14dにより固定された状態で、射出ノズルから材料を射出する。これにより、材料がキャビティ43に充填される。材料の一例は溶解樹脂である。
次に圧縮型締工程S94を行う。この圧縮型締工程S94は、射出工程S93の実行後に実行される場合や、射出工程S93の実行と同時に実行される場合があるが、少なくとも射出工程S93を実行して射出充填された材料の大部分が溶融状態にある間に必ず実行される。
圧縮型締工程S94では、制御装置20により各タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dを各々個別に駆動し、各タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dそれぞれに対応した各タイバー14a,14b,14c,14dを各々個別に動作させ、移動盤16を前進させる。
具体的には、まずタイバー駆動用サーボモータ15aを駆動し、ボールねじ33aを介してタイバー14aを後退させる。そして、タイバー14aの係合溝24aが図6に示すような形でハーフナット18aと接することにより移動盤16がタイバー14aに従って移動する。これは、各タイバー14b,14c,14dについても同様である。
この時、各タイバー14a,14b,14c,14dは、圧縮型締動作用の設定装置で定めた圧縮型締動作時の各々の動作速度と、圧縮型締動作時の各々の動作力で各々個別に動作し、型閉限まで各々移動する。
例えば、タイバー14aに対する圧縮型締動作時の動作速度を1.0[mm/s]、タイバー14bに対する圧縮型締動作時の動作速度を1.5[mm/s]、タイバー14cに対する圧縮型締動作時の動作速度を2.0[mm/s]、タイバー14dに対する圧縮型締動作時の動作速度を0.5[mm/s]と設定する。
タイバー14aに対する圧縮型締動作時の動作力を50[kN]、タイバー14bに対する圧縮型締動作時の動作力を70[kN]、タイバー14cに対する圧縮型締動作時の動作力を60[kN]、タイバー14dに対する圧縮型締動作時の動作力を40[kN]と設定する。
すると、圧縮型締工程S94では、タイバー14aは1.0[mm/s]の動作速度、50[kN]の動作力となるように制御されながら、型閉限まで後退する。
タイバー14bは1.5[mm/s]の動作速度、70[kN]の動作力となるように制御されながら、型閉限まで後退する。
タイバー14cは2.0[mm/s]の動作速度、60[kN]の動作力となるように制御されながら、型閉限まで後退する。
タイバー14dは0.5[mm/s]の動作速度、40[kN]の動作力となるように制御されながら、型閉限まで後退する。
これにより移動盤16を型閉限まで前進させる。また、その時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作速度や動作力は、フィードバック制御され、設定値と等しくなるように補正しながら制御される。
この時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作速度や動作力の測定については、本発明による第1の実施例の形態での作用と同様であるため、詳しい説明を省略する。
その後、本発明による第1の実施例の形態での作用と同様、保圧及び冷却工程S75、型開き工程S76、製品取出工程S77を順に行い、成形品を取り出すことで、射出成形の1サイクルが完了する。以後、この射出成形の1サイクルを繰り返すことで、射出成形サイクルS78となる。
また、ここで、圧縮型締動作時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作量は、各タイバー駆動用サーボモータ15a,15b,15c,15dの内部にある図示しない位置センサで測定され、その測定値は制御装置20が有する図示しない主記憶装置または補助記憶装置に格納され、各タイバー14a,14b,14c,14dの動作量の測定データとして保存される。
そして、各タイバー14a,14b,14c,14dそれぞれに対して、設定された圧縮型締動作時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作量つまり圧縮型締動作時の動作量と圧縮型締動作時の各タイバー14a,14b,14c,14d各々のタイバー位置の補正量とを合わせた量と、各タイバー14a,14b,14c,14dの動作量の測定データとの誤差を取り、次サイクルの圧縮型締動作の準備動作の段階で、その誤差を無くすようにフィードバック制御による補正をかける。
ただ、そのフィードバック制御による補正には、制御装置20が有する図示しない主記憶装置または補助記憶装置に格納された設定データにより補正できる範囲が定められており、設定された圧縮型締動作時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作量と、各タイバー14a,14b,14c,14dの動作量の測定データとの誤差がその補正できる範囲を超えた場合には、制御装置20が有する図示しない表示器に機械異常として表示し、制御装置20が有する図示しないブザーにより異常を知らせる音を発し、制御装置20が有する図示しないパトライトなどのランプで異常を知らせるランプを点灯または点滅させ、自動的にその異常が発生した時の射出成形サイクルの完了でその射出成形サイクルを停止させるように制御される。
さらに、圧縮型締動作時の各タイバー14a,14b,14c,14dのタイバー位置の補正量や圧縮型締動作時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作速度や圧縮型締動作時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作力や圧縮型締動作時の動作量は材料(発泡材も含む)や取り付ける金型や射出圧力により設定が都度変更される。
その設定変更は、その都度一から設定するだけでなく、一度設定したものをデータとして制御装置20が有する図示しない主記憶装置または補助記憶装置に保存しておき、その保存データを呼び出すことで設定変更することもできる。
また、制御装置20が有する図示しない主記憶装置または補助記憶装置に保存された圧縮型締工程S94時観測したデータの内、良品となった時のデータを呼び出すことで上記の設定を変更することもできる。
次に、本発明による第2の実施例の形態での型締装置に対する効果について説明する。
本発明による第2の実施例の形態での型締装置によれば、圧縮型締工程S94時や圧縮型締動作の準備動作時、各タイバー14a,14b,14c,14dが各々の目標値または指令値に従って個別に動作するため、射出圧力や発泡材の膨張速度に合わせて圧縮型締動作を制御することができる。
これにより、簡単な形状を成す成形品だけでなく、複雑な形状を成す成形品も容易に製造することができる。
また、移動金型42と固定金型25とが接する面に関しても、本発明による第1の実施例の形態と同様の理由によりその面を平行に保つことができるため、移動盤または固定盤の金型を取り付ける面の面精度や金型の面精度に関わらず、厚さが均一な成形品を製造することができる。
また、以上より本発明は射出発泡成形を行う射出成形機や射出圧縮成形を行う射出成形機や、射出プレス成形を行う射出成形機に利用することができる。
そして、圧縮型締動作時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作量がその動作量の補正範囲を超えた場合においても、本発明による第1の実施例の形態と同様の理由により、射出成形機による安全性を高めることや、射出成形機の故障の早期発見することができるため、射出成形機の故障による射出成形機の射出成形サイクルの停止時間を低減することができ、中長期的な観測で単位時間当たりの成形品の生産数を向上させることができる。
次に、本発明による第2の実施例の形態での型締装置の制御方法に対する効果について説明する。
本発明による第2の実施例の形態での型締装置の制御方法によれば、圧縮型締工程S94時や圧縮型締動作の準備動作時、各タイバー14a,14b,14c,14dが各々の目標値または指令値に従って個別に動作するため、射出圧力や発泡材の膨張速度に合わせて圧縮型締動作を制御することができる。
これにより、簡単な形状を成す成形品だけでなく、複雑な形状を成す成形品も容易に製造することができる。
また、移動金型42と固定金型25とが接する面に関しても、本発明による第1の実施例の形態と同様の理由によりその面を平行に保つことができるため、移動盤または固定盤の金型を取り付ける面の面精度や金型の面精度に関わらず、厚さが均一な成形品を製造することができる。
また、以上より本発明は射出発泡成形を行う射出成形機や射出圧縮成形を行う射出成形機や、射出プレス成形を行う射出成形機に利用することができる。
そして、圧縮型締動作時の各タイバー14a,14b,14c,14dの動作量がその動作量の補正範囲を超えた場合においても、本発明による第1の実施例の形態と同様の理由により、射出成形機による安全性を高めることや、射出成形機の故障の早期発見することができるため、射出成形機の故障による射出成形機の射出成形サイクルの停止時間を低減することができ、中長期的な観測で単位時間当たりの成形品の生産数を向上させることができる。
2つの本発明による実施例の形態に関して、タイバー駆動用サーボモータと、ボールねじとの間の動力伝達手段として、プーリとタイミングベルトを使用したが、動力伝達手段としては、特にプーリとタイミングベルトに限定する必要はなく、歯車等によって動力伝達させてもよい。
またボールねじに限定されず、回転運動を直線運動に変換するものであれば、ねじまたは遊星ローラねじ等の送りねじ機構であってもよい。