方位センサ101は、情報表示装置100を搭載した移動体が方位変化した量(以下「方位変化量」という)を測位する機能を有する。たとえば、方位センサ101は、ジャイロスコープ(いわゆる「ジャイロセンサ」)により角速度を検出して、この角速度から移動体の方位変化量を測位する。たとえば、この場合、方位センサ101は、角速度が所定値以上となったときから、その後に角速度が所定値未満となるまでの方位変化量を測位する。
また、方位センサ101には、いわゆる「電子コンパス」を用いてもよい。電子コンパスについては公知の技術であるため詳細な説明は省略するが、電子コンパスは2つの磁気センサにより地磁気による磁束密度を測定することで方位を割り出すことができる。この場合、たとえば、方位センサ101は、移動体の進行方向の方位を複数のタイミングにおいてそれぞれ割り出して、割り出された方位に基づき、方位変化量を測位することができる。
通路データ取得部102は、通路データを取得する機能を有する。ここで、通路データとは、ノードおよびリンクからなり、移動体が移動可能な通路をあらわすデータとすることができる。具体的に、通路データは、一般道路(たとえば国道、県道)をあらわすデータや、私道(たとえば駐車場内の通路、施設内の通路)をあらわすデータとすることができる。
たとえば、通路データ取得部102は、地図データが記憶された記憶部110と接続される。ここで、地図データは、上記の通路データと、施設やその他地形(山、川、土地)に関するフィーチャを用いて描画される画像データとを含むデータとすることができる。地図データは、施設の名称や住所などを示す文字データなどを含んでいてもよい。通路データ取得部102は、記憶部110に記憶された地図データから、移動体を中心として所定範囲内の通路をあらわすデータを取得することができる。
表示部103は、通路データ取得部102によって取得された通路データがあらわすいずれかの通路上に移動体を表示する機能を有する。さらに、表示部103は、方位センサ101によって測位された方位変化量に応じて、通路上の移動体を当該通路に沿って移動させて表示することができる。
具体的に、表示部103は、所定量の方位変化量があるごとに、予め設定された一定の距離ずつ、移動体を通路に沿って進行方向に移動させて表示する。また、表示部103は、方位変化量と、予め設定された移動体の最小回転半径とに基づいて算出された移動体の移動量に相当する距離、移動体を通路に沿って移動させて表示してもよい。
さらに、表示部103は、移動体の方位変化がなくなったときには、他の通路上に移動体を移動させて表示することもできる。たとえば、移動体が方位変化中に移動していた通路を第1通路とし、この第1通路上で移動体の方位変化がなくなると、表示部103は、第1通路とは異なる第2通路上に移動体を表示する。ここで、第2通路は、方位変化がなくなった際の、移動体から所定範囲内に位置して移動体の進行方向と略同方向へ伸びる通路とすることができる。
さらに、表示部103は、第2通路の存在の有無に応じて、その後の表示を異なるようにしてもよい。たとえば、第2通路が存在するときには、上記のように方位変化がなくなると、表示部103は、第1通路とは異なる第2通路上に移動体を表示する。第2通路が存在しないときには、方位変化前の位置および方位で新たな方位変化があるまで移動体を表示する。また、情報表示装置100は、方位変化が終了した際の位置および方位で新たな方位変化があるまで移動体を表示してもよい。
たとえば、表示部103は、図1に示すように表示制御部104と接続されて、表示制御部104による表示制御にしたがって上記の表示をおこなう。この場合、表示制御部104は、方位変化量や通路データに基づいて、方位変化量に応じて通路上の移動体が通路に沿って移動するように表示させるなど、表示部103が上記の表示をおこなうように表示制御する。
また、図1に示すように、情報表示装置100は、設定部105と、決定部106とを備えてもよい。ここで、設定部105は、第2通路が複数存在する場合に、候補位置を設定する機能を有する。たとえば、設定部105は、通路データ取得部102により取得された通路データに基づいて、第2通路とする条件(上記を参照)を満たす通路が複数存在するかを判定する。そして、第2通路とする条件を満たす通路が複数存在するときには、これらの通路上の予め設定された位置を、候補位置として設定する。
決定部106は、設定部105によって設定された候補位置のうちのいずれか一つを、移動体を表示するための位置(以下「正位置」という)として決定する機能を有する。たとえば、決定部106は、通路データと、それぞれの候補位置が設定された後の方位変化量とに基づいて、正位置を決定する。具体的に、たとえば、決定部106は、候補位置が設定された後の方位変化により移動体の進行方向となる方向と略同方向へ伸びる第3通路と接続された第2通路上の候補位置を正位置として決定する。この場合、表示部103は、決定部106によって決定された正位置上に移動体を表示する。
さらに、図1に示すように、情報表示装置100は、位置測位部107と、判断部108とを備えてもよい。ここで、位置測位部107は、移動体の現在位置を特定するための情報(以下「位置情報」という)を外部から受信し、当該位置情報に基づいて、移動体の現在位置を測位する機能を有する。たとえば、位置測位部107は、GPS衛星から電波(以下「GPSシグナル」という)を受信し、移動体の現在位置を測位する。
判断部108は、位置測位部107によって測位された移動体の現在位置の信頼性の高低を判断する機能を有する。具体的に、判断部108は、情報表示装置100と外部(たとえばGPS衛星)との通信状況により、位置測位部107により測位された現在位置の信頼性の高低を判断する。たとえば、判断部108は、GPSシグナルの強度(以下「シグナルレベル」という)が所定の閾値以上であるかを判断する。そして、シグナルレベルが、所定値以上のときに信頼性が高く、所定値未満のときに信頼性が低いと判断する。
また、判断部108は、GPS衛星に関する仰角や補足衛星数の変化量などに基づき、信頼性の高低を判断してもよい。さらに、判断部108は、移動体が施設内の通路に位置して、シグナルレベルが所定の閾値未満であったり、GPS衛星の補足数が所定数以下だったりした場合に、移動体が施設内へ入場したと判断し、位置測位部107によって測位された移動体の現在位置の信頼性が低いと判断してもよい。
位置測位部107および判断部108を備えた場合、表示部103は、判断部108による判断結果に応じて、移動体を、位置測位部107により測位された現在位置に表示したり、方位変化量に基づき表示したりする。たとえば、この場合、表示制御部104は、信頼性が高いと判断されれば、位置測位部107により測位された位置上に移動体を表示させる。一方、信頼性が低いと判断されれば、方位変化量に応じて移動体を表示させる。
図2に示すように、情報表示装置100は、まず、方位センサ101により方位変化量を測位する(ステップS201)。つぎに、通路データ取得部102により通路データを取得し(ステップS202)、表示部103により通路に沿って移動体を移動させて表示して(ステップS203)、一連の処理を終了する。
以上に説明したように、本実施の形態の情報表示装置100は、方位変化量に応じて、移動中の移動体を通路に沿って移動させることができる。これにより、たとえば、GPSシグナルが弱く、正確な現在位置が測位できない場合などであっても、情報表示装置100は方位変化量を取得することができれば、移動体の現在位置を更新して、当該位置上に移動体を表示することができるので、移動体の現在位置に対する誤差を低減することができる。
そして、情報表示装置100は、方位変化発生後に方位変化がなくなると、方位変化中に移動していた第1通路とは異なる第2通路上に移動体を表示することができる。これにより、情報表示装置100は、方位変化中の移動体の現在位置に対する精度が低くても、通路ごとに移動体の現在位置合わせをおこなうことができ、移動体の現在位置に対する誤差を低減することができる。
また、情報表示装置100は、測位された現在位置の信頼性の高低を判断し、信頼性が低いときには方位変化量に応じて移動体を表示するようにした。これにより、情報表示装置100は、正確な(信頼性の高い)現在位置や方位が測位されているときは測位された現在位置をそのまま用い、正確な現在位置や方位が測位されていないときは方位変化量に応じて移動体の現在位置を更新して、当該位置上に移動体を表示することができるので、移動体の現在位置に対する誤差を低減することができる。
このように、情報表示装置100は、外部との通信状況が悪く、外部からの情報に基づき測位された現在位置の信頼性が低い場合であっても、移動体の現在位置に対する誤差を低減させておくことができるので、たとえば、屋内の施設(たとえば屋内駐車場)から退場した後も、移動体が実際に位置する道路上に適切なマップマッチングをおこなうことができる。
つぎに、前述した実施の形態にかかる情報表示装置100の実施例について説明する。本実施例は、前述した実施の形態にかかる情報表示装置100を、車両(二輪・四輪を含む)に搭載されるナビゲーション装置に適用した場合の例である。
(ナビゲーション装置のハードウェア構成)
まず、図3を用いて、本実施例のナビゲーション装置のハードウェア構成について説明する。図3は、本実施例のナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3に示すように、ナビゲーション装置300は、CPU(Central Processing Unit)301と、ROM(Read Only Memory)302と、RAM(Random Access Memory)303と、磁気ディスクドライブ304と、磁気ディスク305と、光ディスクドライブ306と、光ディスク307と、音声I/F(Interface)308と、スピーカ309と、入力デバイス310と、映像I/F311と、ディスプレイ312と、通信I/F313と、GPSユニット314と、各種センサ315と、を備えている。また、各構成部301〜315はバス320によってそれぞれ接続されている。
CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302には、ブートプログラム、現在位置特定プログラム、表示プログラムなどの各種プログラムが記録されている。なお、これらのプログラムは、ROM302に限らず、後述する磁気ディスク305や光ディスク307などの不揮発性の記録媒体に記録されていてもよい。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。
CPU301は、RAM303をワークエリアとして使用しながら、ROM302などに記録された各種プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。なお、各種プログラムを実行することによって得られる処理結果は、たとえば、RAM303に一時的に記録され、必要に応じて読み出される。また、上記の処理結果は、磁気ディスク305や光ディスク307などの不揮発性メモリに記録されることとしてもよい。
現在位置特定プログラムは、たとえば、後述するGPSユニット314や各種センサ315の出力情報に基づいて、ナビゲーション装置300(自車両)の現在位置を特定させる。現在位置特定プログラムを実行することによって特定された現在位置は、たとえば、後述する表示プログラムの実行時などに利用される。
表示プログラムは、映像I/F311によって磁気ディスク305または光ディスク307から読み出された地図データ、現在位置特定プログラムを実行することによって取得された現在位置などを利用して、地図や、アイコン(たとえば自車両の現在位置を示すための自車両アイコン)・ウインドウといった各種画像をディスプレイ312に表示させる。たとえば、表示プログラムは、自車両の現在位置周辺の地図上に自車両アイコンを重層した画像をディスプレイ312に表示させる。
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305には、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータが記録される。磁気ディスク305としては、たとえば、HD(Hard Disk)やFD(Flexible Disk)を用いることができる。
光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータの読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307としては、たとえば、CD(Compact Disc)、DVDを用いることができる。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を用いることもできる。また、この着脱可能な記録媒体は、光ディスク307のほか、MO(Magneto Optical Disk)、メモリカードなどであってもよい。
磁気ディスク305または光ディスク307に記録される情報の一例として、現在位置の特定、経路探索や経路誘導などに用いる地図データが挙げられる。前述したように、地図データは、ノードおよびリンクからなり、移動体が移動可能な通路をあらわす通路データや、施設やその他地形(山、川、土地)に関するフィーチャを用いて描画される画像データを含むデータとすることができる。地図データは、施設の名称や住所などを示す文字データなどを含んでいてもよい。
これらのデータがあらわす画像はディスプレイ312の表示画面において2次元または3次元に描画される。通路データには、たとえば、各リンクについての長さ(距離)、道幅、進行方向、道路種別(高速道路、有料道路、一般道路、私道)など、各リンクに対応する通路の属性を示す情報が含まれている。
なお、本実施例では地図データを磁気ディスク305または光ディスク307に記録するようにしたが、これらに限るものではない。地図データは、ナビゲーション装置300のハードウェアと一体に設けられているものに限って記録されているものではなく、ナビゲーション装置300の外部に設けられていてもよい。この場合、ナビゲーション装置300は、たとえば、通信I/F313を通じて、ネットワークを介して地図データを取得する。取得された地図データはRAM303や磁気ディスク305などに記録され、必要に応じて読み出される。
音声I/F308は、音声出力用のスピーカ309に接続される。スピーカ309からは音声が出力される。入力デバイス310は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス310は、利用者によって選択されたキーに対応する信号を装置内部へ入力する。
映像I/F311は、ディスプレイ312と接続される。映像I/F311は、具体的には、たとえば、ディスプレイ312全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ312を表示制御する制御ICなどによって構成される。
ディスプレイ312には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ312としては、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
通信I/F313は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300とCPU301とのインターフェースとして機能する。通信I/F313は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU301とのインターフェースとしても機能する。また、通信I/F313は、テレビ放送やラジオ放送を受信する。
通信網には、LAN、WAN、公衆回線網や携帯電話網などがある。具体的には、通信I/F313は、たとえば、FMチューナー、VICS/ビーコンレシーバ、無線ナビゲーション装置、およびその他のナビゲーション装置300によって構成され、VICSセンターから配信される渋滞や交通規制などの道路交通情報を取得する。
GPSユニット314は、GPS衛星からのGPSシグナルを受信し、車両の現在位置を測位する。GPSユニット314により測位された現在位置は、後述する各種センサ315の出力値とともに、CPU301による車両の現在位置の特定に際して利用される。
各種センサ315は、角速度センサ(いわゆる「ジャイロセンサ」)など、車両(またはナビゲーション装置300)の挙動を計測するための情報を出力する。各種センサ315の出力値は、CPU301による車両(またはナビゲーション装置300)の現在位置の特定や、方位変化量の測定などに利用される。また、各種センサ315には、車速センサや加速度センサなどを含んでもよい。たとえば、車両(またはナビゲーション装置300)が加速度センサによって自己の相対位置を検出し、GPSユニット314による測位結果と組み合わせて現在位置を特定する構成である場合、立体駐車場のような場所ではGPSシグナルを測位できないうえに、駐車場内の通路の傾斜による影響を受けて加速度センサからの出力に対する誤差が大きくなる。このような場合、加速度センサからの出力を使用せずに本実施例におけるナビゲーション装置300がおこなう処理を適用することが有効である。
なお、たとえば、図1に示した実施の形態にかかる情報表示装置100の方位センサ101は各種センサ315とCPU301とROM302とによって、通路データ取得部102はCPU301と磁気ディスクドライブ304と磁気ディスク305とによって、表示部103はディスプレイ312によって、表示制御部104はCPU301とROM302とによって、それぞれの機能を実現することができる。
(ナビゲーション装置がおこなう処理)
つぎに、ナビゲーション装置300がおこなう処理の内容について説明する。図4は、本実施例のナビゲーション装置がおこなう処理の内容を示すフローチャートである。たとえば、ナビゲーション装置300は、ナビゲーション装置300へ電源の供給が開始されたときに図4に示す処理を開始する。
図4に示すように、ナビゲーション装置300は、まず、GPSユニット314によりGPS衛星からGPSシグナルを受信できるかを判断する(ステップS401)。GPSシグナルを受信できる場合には(ステップS401:Yes)、GPSシグナルを受信して(ステップS402)、自車両の現在位置および方位(自車両の進行方向)を測位する(ステップS403)。GPSシグナルを受信できない場合には(ステップS401:No)、ステップS404へ移行する。
つぎに、ナビゲーション装置300は、現在位置が測位できたかを判断する(ステップS404)。現在位置が測位できなかった場合には(ステップS404:No)、ステップS407へ移行する。現在位置が測位できた場合には(ステップS404:Yes)、測位した現在位置の信頼性を判断する信頼性判断処理をおこなう(ステップS405)。
信頼性判断処理において、たとえば、ナビゲーション装置300は、現在位置を測位した際に用いたGPSシグナルのシグナルレベルにより、測位された現在位置の信頼性の高低を判断する。この場合、シグナルレベルが所定の閾値以上であれば信頼性が高いと判断し、閾値未満であれば信頼性が低いと判断する。ここで、所定の閾値はナビゲーション装置300の製造者により予め設定されている。
また、複数のGPS衛星から複数のGPSシグナルを受信している際に、ナビゲーション装置300は、それぞれのGPSシグナルのシグナルレベルの平均値により信頼性の高低を判断してもよい。また、ナビゲーション装置300は、ナビゲーション装置300に対する仰角などが所定条件を満たすGPS衛星からのGPSシグナルのシグナルレベルの平均値により信頼性の高低を判断してもよい。
さらに、ナビゲーション装置300は、通路データを参照して自車両が移動中の通路の属性により信頼性の高低を判断してもよい。このとき、たとえば、ナビゲーション装置300は、自車両が移動中の通路の属性が、屋内の通路(たとえば施設内の通路)である場合には信頼性が低いと判断し、屋外の通路(たとえば一般道路)である場合には信頼性が高いと判断する。また、ナビゲーション装置300は、シグナルレベルと、自車両が移動中の通路の属性との双方を用いて信頼性の高低を判断してもよい。
つぎに、ナビゲーション装置300は、信頼性判断処理の処理結果に基づき、測位された現在位置の信頼性が低いかを判断する(ステップS406)。信頼性が低い場合には(ステップS406:Yes)、方位変化量から現在位置を算出する現在位置算出処理をおこなって(ステップS407)、ステップS408へ移行する。現在位置算出処理の処理内容は図5を用いて説明する。信頼性が高い場合には(ステップS406:No)、そのままステップS408へ移行する。
つぎに、ナビゲーション装置300は、測位された現在位置または算出された現在位置を自車両の現在位置として更新する(ステップS408)。このとき、ナビゲーション装置300は、現在位置をRAM303などに記憶する。そして、ナビゲーション装置300は、ディスプレイ312の表示画面上に、地図データに基づき現在位置周辺の地図を表示させたり、現在位置に自車両(自車両アイコン)を表示させたりする表示制御処理をおこなって(ステップS409)、ステップS401へ復帰し、上記の処理を繰り返す。
(現在位置算出処理)
つぎに、図4のステップS407に示した現在位置算出処理の処理内容について説明する。図5は、現在位置算出処理の処理内容を示すフローチャートである。図5に示すように、現在位置算出処理において、ナビゲーション装置300は、まず、各種センサ315の出力値に基づき、方位変化量を取得する(ステップS501)。また、ステップS501では、前回処理時に得られた自車両の方位と、現在の自車両の方位とから、方位変化量を算出することで取得してもよい。
方位変化量を取得すると、ナビゲーション装置300は、方位変化があったか(たとえば方位変化量>0であるか)を判断する(ステップS502)。また、ステップS502において、ナビゲーション装置300は、予め設定された所定の閾値以上の方位変化量がなかった場合には、方位変化がなかったと判断するようにしてもよい。このとき、所定の閾値はナビゲーション装置300の製造者により予め設定される。
ステップS502において、方位変化があった場合には(ステップS502:Yes)、ナビゲーション装置300は、方位変化量から自車両の移動量を算出する移動量算出処理をおこなう(ステップS503)。移動量算出処理において移動量を算出するためにナビゲーション装置300がおこなう処理の内容については図6〜図8を用いて後述する。
移動量を算出すると、更新前の現在位置(前回処理時に得られた現在位置)と、ステップS503で算出された移動量とから新たな現在位置を算出し(ステップS504)、移動中であることを示す移動中フラグをONに設定して(ステップS505)、現在位置算出処理を終了して、図4のステップS408へ移行する。
一方、ステップS502において、方位変化がない場合(ステップS502:No)、ナビゲーション装置300は、移動中フラグがONに設定されているかを判断する(ステップS506)。移動中フラグがONでなければ(ステップS506:No)、現在位置算出処理を終了して、図4のステップS408へ移行する。
移動中フラグがONであれば(ステップS506:Yes)、移動中の通路より先の通路上の所定位置を現在位置として決定し(ステップS507)、移動中フラグをOFFに設定して(ステップS508)、現在位置算出処理を終了し、図4のステップS408へ移行する。
(移動量算出処理における移動量の具体的な算出例−その1)
つぎに、図5のステップS503で示した移動量算出処理における移動量の具体的な算出例について説明する。図6は、移動量算出処理における移動量の具体的な算出例を示す説明図(その1)である。たとえば、ナビゲーション装置300は、ナビゲーション装置300の製造者などにより、方位変化量が所定量となるごとに、一定の距離分、移動量を増加させるように設定されている。ここでは、方位変化量がθa[°]増加するごとに、d[m]、移動量が増加するように設定されている。
図6において、方位変化が発生する前の自車両(ナビゲーション装置300を搭載した車両)の現在位置を、通路600a上の位置601とする。また、このとき、自車両の進行方向は、通路600aに平行となる方向である。その後、方位変化量がθa[°]となると、ナビゲーション装置300は、位置601から通路600aに沿って、d[m]移動させた位置602を新たな自車両の現在位置とする。このとき、たとえば、ナビゲーション装置300は、通路600aに沿って、方位変化が発生する直前の自車両の進行方向と略同方向へ(図示の例では通路600aに平行となる方向へ)d[m]移動させた位置602を新たな自車両の現在位置とする。
上記と同様に、方位変化量がθa×2[°]となると、ナビゲーション装置300は、位置601から通路600aに沿って、d×2[m]移動させた位置603を新たな自車両の現在位置とする。
また、図5のステップS507で示したように、ナビゲーション装置300は、自車両に方位変化が発生した後に方位変化がなくなると、他の通路上へ自車両の現在位置を移動させることができる。たとえば、図6において、位置603で自車両の方位変化がなくなると、ナビゲーション装置300は、位置603から所定範囲H内に存在する通路で、方位変化がなくなった際の自車両の進行方向と略同方向に伸びる通路600b上の位置604を自車両の新たな現在位置とする。
なお、ナビゲーション装置300は、自車両が方位変化している間は、ステップS409において、方位変化量を積算した方向が自車両の進行方向となるように(図6の位置602での矢印602a、位置603での矢印603aに示す方向)自車両アイコンをディスプレイ312の表示画面上に表示させる。これにより、方位変化に伴って自車両が移動していることを利用者は認識することができる。また、他の態様としては、ナビゲーション装置300は、自車両が方位変化している間は、ステップS409において、通路600aに進行する方向(図6の位置601での矢印601aに示す方向)の自車両アイコンをディスプレイ312の表示画面上に表示させてもよい。この場合、通路上を直進するように自車両アイコンが表示されるため、実際の車両の移動に近い自然な表示になる。
(移動量算出処理における移動量の具体的な算出例−その2)
図7は、移動量算出処理における移動量の具体的な算出例を示す説明図(その2)である。たとえば、ナビゲーション装置300は、利用者などによりナビゲーション装置300を搭載した車両の最小回転半径の値の設定を受け付けておく。ここでは、ナビゲーション装置300を搭載した車両の最小回転半径がr[m]として設定されている。
このとき、ナビゲーション装置300を搭載した自車両が1[°]方位変化したとすると、その間に車両が移動した移動量Da[m]は、Da[m]=r[m]×2(直径:最小回転半径×2)×π/360[°]×1[°]となる。このため、ナビゲーション装置300は、方位変化量がθ[°]となったときの移動量をD[m]とすると、D[m]=r×2[m]×π/360[°]×θ[°]として算出する。
図7において、方位変化が発生する前の自車両の現在位置を、通路700上の位置701とする。また、このとき、自車両の進行方向は、通路700に平行となる方向である。その後、方位変化量がθ[°]となると、ナビゲーション装置300は、位置701から通路700に沿って、上記のように算出された移動量Dに相当する距離分、移動させた位置702を新たな現在位置とする。
また、ナビゲーション装置300は、方位変化量がθ[°]となったときの移動量DをD[m]=r[m]×2×π/360[°]×θ[°]×kとして算出してもよい。ここで、kは、方位変化量がθh[°]となったときに、自車両が進行方向に向かって実際に移動した移動量(以下「実移動量」という)に一層と近似させるための任意の補正値とすることができる。kの値は、ナビゲーション装置300の製造者などにより予め設定されている。
(移動量算出処理における移動量の具体的な算出例−その3)
図8は、移動量算出処理における移動量の具体的な算出例を示す説明図(その3)である。通路データにおいて各通路に対応する各リンクは直線であらわされており、ナビゲーション装置300は、各リンクの両端座標から各リンクの長さ、つまり、各通路の長さを算出することができる。ここでは、図8に示すように、自車両が移動中の通路800aの長さをL[m]とする。
また、通路800aは通路800bと接続点800c(ノード)で接続されており、通路800a(のリンク)と通路800b(のリンク)とがなす角の角度がθbとなっている。このとき、ナビゲーション装置300は、方位変化量がθ[°]となったときの移動量をD[m]とすると、D[m]=L[m]×θ[°]/(180−θb)[°]として算出する。
図8において、方位変化が発生する前の自車両の現在位置を、通路800a上の位置801とする。また、このとき、自車両の進行方向は、通路800aに平行となる方向である。その後、方位変化が発生すると、通路800aの延長上に、方位が変化する方向と同方向の通路(図8では通路800b)が存在するか判断する。そして、該当する通路が存在する場合に、方位変化量がθ[°]となると、ナビゲーション装置300は、位置801から通路800aに沿って、上記のように算出された移動量Dに相当する距離分、移動させた位置802を新たな現在位置とする。
(移動先の通路の候補が複数存在する場合)
前述したように、ナビゲーション装置300は、自車両に方位変化が発生した後に方位変化がなくなると、方位変化中に自車両が移動していた通路上から、他の通路上へ自車両の現在位置を移動させることができる。ここで、ナビゲーション装置300は、方位変化がなくなった際の位置から所定範囲内に存在する通路で、方位変化がなくなった際の自車両の進行方向と略同方向に伸びる通路上へ自車両の現在位置を移動させるが、このような通路が複数存在する場合も考えられる。
図9は、移動先の通路の候補が複数存在する場合にナビゲーション装置がおこなう処理の概要を示す説明図である。図9において、自車両は通路900a上の位置901から方位変化を開始したとする。その後、ナビゲーション装置300は、自車両の方位変化量の増加にしたがって、位置902→位置903と、自車両の現在位置を更新していく。そして、位置903で自車両の方位変化がなくなったとする。
この場合、方位変化がなくなった際の位置903から所定範囲H内に存在し、方位変化がなくなった際の自車両の進行方向(図中の符号Aで示す矢印の方向)と略同方向に伸びる通路は、通路900bおよび通路900cの2つの通路がある。このとき、ナビゲーション装置300は、通路900bおよび通路900c上の所定位置に、候補位置を設定する。ここでは、通路900b上の位置904と、通路900c上の位置905とを候補位置として設定している。それぞれの通路上のどこに候補位置を設定するかは、ナビゲーション装置300の製造者などにより予め定められている。なお、ディスプレイ312の表示画面上には、候補位置904、905は表示されていない。この場合、例えば位置903を自車両の位置として表示する。
このように、複数の候補位置が設定された場合、ナビゲーション装置300は、候補位置が設定された後に方位変化した方位により、どの候補位置を自車両の現在位置として採用するかを決定する。たとえば、図9に示す例では、候補位置を設定後に、図9中符号Bで示すような方位変化があったとする。この場合、ナビゲーション装置300は、候補位置904を現在位置として採用し(正位置)、その後、この位置904から、方位変化量に応じて上記で説明したように現在位置を更新していく。すなわち、位置904を正位置として採用した時点で、その位置を自車両の位置としてディスプレイ312の表示画面上に自車両アイコンを表示する。
また、以上に説明した例では、ナビゲーション装置300は、自車両に方位変化が発生すると、その時点での自車両の現在位置から、方位変化量に応じて現在位置を更新していくことにしたが、これに限らない。図10は、方位変化開始時の自車両の現在位置を示す説明図である。
図10において、方位変化が発生する前の自車両の現在位置を、通路1000a上の位置1001とする。ここで、通路1000aは通路1000bと接続点1000cで接続されており、通路1000a(のリンク)と通路1000b(のリンク)とがなす角の角度がθcとなっている。
位置1001において自車両に方位変化が発生すると、ナビゲーション装置300は、まず、所定位置1002を新たな自車両の現在位置とする。ここで、所定位置1002は、ナビゲーション装置300の製造者により予め設定された位置である。ナビゲーション装置300の製造者は、方位変化発生時の自車両の位置1001から、接続点1000cよりも所定距離l、手前となる位置が所定位置1002となるように設定しておく。
その後、ナビゲーション装置300は、所定位置1002から方位変化量に応じて現在位置を更新していく。たとえば、ここで、ナビゲーション装置300は、図6で示したように、方位変化量がθa[°]増加するごとに、d[m]、移動量が増加するように設定されている。
このとき、たとえば、所定距離lは、d×n[m]とされる。ここで、nは、n=(180−θc)/θaとなるような値とすると、ナビゲーション装置300は、自車両が180−θcだけ方位変化したときの自車両の現在位置を接続点1000c上とすることができる。このような所定位置1002を設定しておくことで、ナビゲーション装置300は、方位変化終了時の自車両の位置合わせを精度良くおこなうことができる。
以上に説明したように、本実施例のナビゲーション装置300によれば、方位変化量に応じて自車両の現在位置を更新して表示していくことができる。これにより、たとえば、GPSシグナルが弱く、正確な現在位置が測位できない場合などであっても、ナビゲーション装置300は方位変化量のみ取得することができれば、現在位置を更新することができるので、自車両の現在位置に対する誤差を低減することができる。
そして、ナビゲーション装置300は、方位変化発生後に方位変化がなくなると、自車両の現在位置を、方位変化中に移動していた通路の先の通路上に移動させるようにした。これにより、ナビゲーション装置300は、方位変化中に更新した自車両の現在位置の精度が低くても、通路ごとに自車両の現在位置合わせをおこなうことができ、自車両の現在位置に対する誤差を低減することができる。
また、ナビゲーション装置300は、移動先の通路とする条件を満たす通路が複数存在する場合には、それぞれの通路上に候補位置を設定し、候補位置設定後の方位変化により正位置を決定し、この正位置上に自車両を表示することができる。これにより、ナビゲーション装置300は、狭い範囲に複数の通路が入り組んだ屋内駐車場などにおいても、自車両の現在位置合わせをおこなうことができ、自車両の現在位置に対する誤差を低減することができる。
また、ナビゲーション装置300は、シグナルレベルなどに基づき、測位された現在位置の信頼性の高低を判断して、信頼性が低いときに、方位変化量に応じた現在位置の更新をおこなうようにした。これにより、ナビゲーション装置300は、正確な現在位置や方位が測位されているときは測位された現在位置をそのまま用い、正確な現在位置や方位が測位されていないときは方位変化量に応じて現在位置と方位を更新していくため、GPS衛星との通信状況に応じて、自車両の現在位置に対する誤差を低減することができる。
このように、ナビゲーション装置300は、GPSシグナルが弱い場合などであっても自車両の現在位置に対する誤差を低減させておくことで、たとえば、屋内の施設(たとえば屋内駐車場)から退場した後も、自車両が実際に位置する道路上に適切なマップマッチングをおこなうこともできる。
なお、以上で説明した実施例では、ナビゲーション装置300を車両に搭載されるナビゲーション装置として説明したが、これに限るものではない。たとえば、ナビゲーション装置300を、移動体端末(たとえば携帯電話)などに適用してもよい。
なお、以上で説明した実施例では、ナビゲーション装置300は、GPSシグナルを受信できない場合や、GPSシグナルに基づき測位された現在位置の信頼性が低い場合に現在位置算出処理をおこなっていたが、これに代えて、自車両が駐車場に位置すると判断した場合に現在位置算出処理をおこなってもよい。具体的には、ナビゲーション装置300は、地図データに基づいて自車両が駐車場に進入したか(自車両の現在位置が駐車場内となったか)判断し、進入したと判断した場合に当該処理に移行する。たとえば、ナビゲーション装置300が加速度センサによって自己の相対位置を検出する構成である場合、駐車場内では加速度センサを用いずに現在位置算出処理をおこなうことで自車両の現在位置に対する誤差を低減することができる。
なお、本実施の形態で説明した表示方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータ、ワークステーション、携帯端末装置(携帯電話)などのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な媒体であってもよい。