JP5615571B2 - 生分解性を有する樹脂フィルム積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、生分解性を有する樹脂フィルム用いた生分解性を有する樹脂フィルム積層体に関するものである。さらに、詳細には、紙基材と貼り合わせる場合の溶融押出し加工における密着性に優れた生分解性の樹脂フィルム用いた樹脂フィルム積層体であって、紙基材に、接着剤及びアンカーコート剤を用いることなく溶融押出し加工における密着性を有する生分解性の樹脂フィルムが積層された、生分解性を有する樹脂フィルム積層体に関するものである。
本発明による生分解性を有する樹脂フィルムは、廃棄処理が簡単で、埋立て等の環境問題の解決に役立てることができる。このため、環境問題に貢献する各種日用品用資材、包装容器、包装資材として使用することができる。本発明による積層体、特に紙基材と貼り合わせた樹脂フィルムとの積層体の用途例として、ティーバッグに連結された吊り下げ糸に取り付けられる小片であるタブ(以下、タブ材と呼ぶ)が挙げられる。タブ材に関しては従来、生分解性を有しないプラスチック材料を貼り合わせた構成であったために、ティーバッグ使用後の分別処理に手間がかかっていた。タブ材を、生分解を有する材質に変えることができれば、吊り下げ糸及びティーバッグ本体の全てを、生分解を有する材料で構成できる。このことによって、石油由来の材料の使用量を削減できることに加えて、使用後はそのまま生分解性の廃棄物となることから廃棄を容易にすることができる。
また、本発明による生分解性を有する樹脂フィルム積層体は、同様に環境問題に貢献する各種の機能性フィルム、光学用フィルム、農業用フィルムなどとしても使用することができる。
なお、本発明における、生分解性を有することの意味は、一般的に生分解性が有ると言われている程度の生分解性を有していることを指すのであって、地中に埋めた後に分解率50%になるのに必要とされる日数などで、厳密に規定したものではない。
植物や微生物といった生物由来の原料や石油由来の原料からなる樹脂で、生分解性の機能を有するプラスチックは、一般に「生分解性プラスチック(またはグリーンプラ)」と呼ばれている。この材料は通常の使用状況では一般のプラスチックと同様に使用できるが、使用後は土壌や水中の微生物の働きにより分解して、最終的に水と二酸化炭素に分解される。生分解性プラスチックの利用は、石油由来の材料の使用量を削減できる他、環境中の二酸化炭素を増やさないことから環境に負荷を与えないため、地球温暖化を防止する観点からも注目されている。
近年、大量生産に適していて安価であった従来の生分解性を有しない合成樹脂を用いた各種製品の大量使用、大量廃棄が世界的に行われており、それに伴う地球環境への影響が深刻な問題となっている。このため、自然界に投棄されたとしても自然に分解される性質を有した、生分解性プラスチックを用いた成型品、及びフィルムを利用することへの関心が高まっている。
例えば、包装用資材の分野においては、紙に生分解性ラミネート材を貼り付けた包装用紙箱が開示されている(特許文献1を参照)。
また、生分解性の樹脂を押出加工適性に優れたものとした生分解性ブレンド樹脂が開示されている(特許文献2を参照)。
特許文献1には、ポリ乳酸系重合体からなる生分解性ラミネート材を厚紙に貼り付けている箱体形成片を用いた包装用紙箱が開示されている。この包装用紙箱は、埋め立て廃棄等によっても、環境に与える影響が小さいとしている。
また、特許文献2には、生分解性樹脂60〜97重量%と、ポリオレフィン3〜40重量%とをブレンドしてなる生分解性ブレンド樹脂が示されている。ここで、ポレオレフィンとしては、ポリエチレン、コモノマーを10重量%以上のエチレン共重合体とすることで、押出加工適性や層間接着強度に優れた生分解性ブレンド樹脂が得られるとしている。
特開2005−029218号公報 特開2005−068232号公報
しかし、特許文献1に開示されている技術では、接着剤を用いて厚紙に生分解性ラミネート材を貼り付けていることから、接着剤を溶解させるための溶剤が必要となるので環境負荷が高まると共に、接着剤そのものが生分解の性質を有していないので、たとえ、生分解性ラミネート材を使用したとしても、完全には生分解されないという問題があった。
また、特許文献2に開示されている生分解性ブレンド樹脂は、生分解性樹脂と、一般的に化学合成された生分解性を有しないポレオレフィンとを混ぜ合わせたブレンド樹脂であって、実施例によると、20重量%の生分解性を有しないポレオレフィンを含むことから、生分解性の性能が低下するという問題があった。
このように、従来技術においては、完全な生分解性能を維持したままで、基材との接着性を改善して、例えば、紙基材などへの実用的な接着強度が得られるようなラミネートが容易となるようにした生分解性を有する樹脂フィルム、及び、このような生分解性を有する樹脂フィルムを積層してなる積層体は、知られていなかった。
本発明は、上記に鑑みて成されたものである。すなわち本発明の目的は、基材との密着性、特に、紙基材と貼り合わせる場合の溶融押出し加工における密着性に優れた生分解性の樹脂フィルム用いた樹脂フィルム積層体であって、紙基材に、接着剤及びアンカーコート剤を用いることなく溶融押出し加工における密着性を有する生分解性の樹脂フィルムが積層された、生分解性を有する樹脂フィルム積層体を提供することを課題とする。
本発明者らは、柔軟性や成形加工性に劣る植物由来の原料からなる生分解性を有するポリ乳酸系樹脂に対して、ポリ乳酸系樹脂よりも弾性率(粘度)の低い柔軟性に富んだ石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂をブレンドすることで、フィルム自体の弾性率を変えることができ、紙基材との溶融押出し加工における密着性を発現させられることを見出した。
また、ポリ乳酸系樹脂に対して適量の石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂をブレンドした結果、フィルム自体の弾性率が下がったことで紙基材との溶融押出し加工における密着性が改善され、紙基材の表面の凹凸に溶融樹脂が入り込みやすくなって、その結果、実用的な接着(剥離)強度に達する積層体を作製することができた。
本発明では上記課題を解決するために、柔軟性や成形加工性に劣る植物由来の原料からなる生分解性を有するポリ乳酸系樹脂に対して、柔軟性に富んだ石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂をブレンドすることによって、基材との溶融押出し加工における密着性を向上させる生分解性を有する樹脂フィルムを得るものである。
特に紙基材と貼り合わせる場合の溶融押出し加工における密着性に優れた生分解性の樹脂フィルムを積層してなる生分解性を有する樹脂フィルム積層体を得ることができる。
上記課題を解決するために、本発明は、紙基材の少なくとも片面に、前記紙基材に対する溶融押出し加工における密着性を、接着剤及びアンカーコート剤を用いることなく有し、かつ、生分解性を有する樹脂フィルムが積層されてなり、前記紙基材の表面には、コロナ放電処理あるいはフレーム処理が施されてなり、該生分解性を有する樹脂フィルムは、石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂が25〜98重量%、植物由来の原料からなるポリ乳酸系樹脂が75〜2重量%、合計100重量%の割合で含まれるブレンド樹脂からなり、前記石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂は、1,4−ブタンジオールとアジピン酸とテレフタル酸の共重合体であるポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)であり、前記生分解性を有する樹脂フィルムが、25℃、1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が90〜1300MPaであることを特徴とする生分解性を有する樹脂フィルム積層体を提供する。
また、前記生分解性の樹脂フィルムが、25℃、1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が90〜1300MPaであることが好ましい。
また、下記の接着(剥離)強度の測定方法で測定された前記樹脂フィルム積層体の接着(剥離)強度が、樹脂フィルム厚みが30μmの場合、1.5N/25.4mm以上であることが好ましい。
・接着(剥離)強度の測定方法:JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法に準じた。前記生分解性を有する樹脂フィルム積層体(樹脂フィルム厚みは30μm)を用いて、25.4mm幅の短冊形状の試験片を作製し、引張り速度5mm/minで接着(剥離)強度を測定する。
また、前記紙基材の表面にはコロナ放電処理、あるいはフレーム処理が施されていることが好ましい。
また、前記紙基材の表面に、前記生分解性を有する樹脂フィルムが押出しラミネートにより積層されてなることが好ましい。
上記の本発明によれば、柔軟性や成形加工性に劣る植物由来の原料からなる生分解性を有するポリ乳酸系樹脂に、柔軟性に富んだ石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂をブレンドしているため、植物由来の原料からなる生分解性を有するポリ乳酸系樹脂の物性を改善して、基材との密着性、特に紙基材と貼り合わせる場合の溶融押出し加工における密着性に優れた生分解性の樹脂フィルムとすることができる。
この改善された基材との密着性、特に紙基材と貼り合わせる場合の溶融押出し加工における密着性に優れた生分解性の樹脂フィルムを使用することにより、紙基材に接着剤及びアンカーコート剤を用いないで溶融押出し加工における密着性を有する生分解性の樹脂フィルムを積層することできる。
このため、接着剤及びアンカーコート剤を用いないので、溶剤を蒸発、乾燥させることにより発生するVOC(揮発性有機化合物)の環境対策が不要となる。
また、本発明の生分解性を有する樹脂フィルム積層体では、接着剤及びアンカーコート剤を用いないので、有機溶剤を用いないことから、溶剤を乾燥除去するための乾燥炉を必要とせず、環境対策及び省エネルギーの点から環境負荷を低減できる。さらに、本発明による生分解性を有する樹脂フィルム積層体を内面層に用いて包装容器を作製すれば、残留溶剤及び内容品への汚染源となりうる、接着剤及びアンカーコート剤由来の低分子成分の発生が伴わないことから、包装体内に充填されている内容物へのコンタミの影響を低減できる。
以下、好適な実施の形態について、本発明を説明する。
本発明に係わる生分解性を有する樹脂フィルムは、基材との密着性、特に紙基材と貼り合わせる場合の溶融押出し加工における密着性に優れた生分解性の樹脂フィルムであって、該生分解性の樹脂フィルムは、石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂が25〜98重量%と、植物由来の原料からなるポリ乳酸系樹脂が75〜2重量%とを、合計100重量%の割合で混合したブレンド樹脂からなる。
本発明に使用する生分解性を有する樹脂は、廃棄物処理に際し、土中に埋めておくだけでバクテリア、酵素などの生化学活性物質の作用によって最終的に水と二酸化炭素に分解される樹脂であり、植物や微生物といった生物由来の原料からなる樹脂と石油由来の原料からなる樹脂の2種類がある。
(石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂)
石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂は、主に石油系の原料から合成されるポリカプロラクタムやポリコハク酸ブチレンなどの脂肪族ポリエステルである。
脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステルとしては、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸の中からそれぞれ1種類又は2種類以上を選んで縮合するか、あるいは必要に応じてイソシアネート化合物などの架橋剤を用いて架橋重合させ、分子量を増大させて所望の高分子として得られる重合体が挙げられる。
ここで、脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。
また、脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、スベリン酸、セバシン酸などが挙げられる。
また、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などを挙げることができる。
また、芳香族−脂肪族ポリエステルとしては、脂肪族鎖の間に芳香環を導入することによって結晶性を低下させたものを用いることができる。芳香族−脂肪族ポリエステルは、例えば、芳香族ジカルボン酸と、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールとを縮合して得られる。芳香族−脂肪族ポリエステルの代表的なものとしては、テトラメチレンアジペートとテレフタレートの共重合体、1,4−ブタンジオールとアジピン酸とテレフタル酸の共重合体であるポリブチレンアジペートテレフタレートなどが挙げられる。
また、市販されている石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂としては、例えば、ポリカプロラクトン系樹脂を成分とする、ダイセル化学工業(株)製の生分解性樹脂(商品名:セルグリーンP−H)、グリコールとジカルボン酸の脱水重縮合反応で得られる脂肪族ポリエステルであるポリブチレンサクシネートやポリブチレンサクシネート・アジペートを成分とする、昭和高分子(株)製の生分解性樹脂(商品名:ビオノーレ)、1,4−ブタンジオールとアジピン酸とテレフタル酸の共重合体であるポリブチレンアジペートテレフタレートである、BASF社製の生分解性樹脂(商品名:Ecoflex)などがあり、一般に入手可能である。
(植物由来の原料からなるポリ乳酸系樹脂)
トウモロコシなどの植物に含まれるデンプンを発酵させて作られる乳酸を重合して製造される植物由来の原料からなるポリ乳酸系樹脂は、種々の点で優れているが、成形加工性に乏しく、柔軟性がないため非常にもろく、その上可撓性に劣るためフィルムやシートに加工する材料としてはまったく不向きである。
そこで、このポリ乳酸系プラスチックに適当な可塑剤、例えば、アジピン酸ジイソブチル、フタル酸ジオクチル等を添加することが考えられていて、柔軟性が充分に改善されるが、高温時の耐熱性が不足しているため、季節によって物性が著しく変化し、高温での使用が困難であるという問題もある。
ポリ乳酸系樹脂とは、植物に含まれるデンプンの発酵によって作られるモノマーであるL−乳酸及び/またはD−乳酸を主な構成成分として、これらを重合させてつくられるポリマーであるが、これら乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。他のモノマー単位としては、グリコール化合物、ヒドロキシカルボン酸などである。
また、グリコール化合物としては、エチレングリコール、ブロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
また、ヒドロキシカルボン酸としては、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などが挙げる。
ポリ乳酸樹脂の融点は、好ましくは120℃以上であるが、特に制限されるものではない。また、ポリ乳酸樹脂の分子量は、好ましくは5万〜50万であるが、特に制限されるものではない。重量平均分子量が50万を超えると、溶融時の粘度が高すぎてしまい溶融押出が困難となる場合があるので好ましくない。
また、市販されている植物由来の原料からなるポリ乳酸系樹脂としては、三井化学(株)製ポリ乳酸(商品名:レイシア・LACEA)、トヨタ自動車(株)製ポリ乳酸(商品名:トヨタエコプラスチックU'z)、NatureWorks社製ポリ乳酸(商品名:NatureWorks)、ユニチカ(株)製ポリ乳酸(商品名:テラマック・TERRAMAC)、DIC(株)製ポリ乳酸(商品名:プラメート)、東レ(株)製のポリ乳酸(商品名:エコディア)などがあり、一般に入手可能である。
本発明に使用される紙基材は、一般的なクラフト紙、上質紙、上質コート紙、中質コート紙、カップ用紙、アート紙、セミグラシン紙、グラシン紙、模造紙、コピー用紙、新聞用紙などが使用可能であって特に制限はない。
紙基材の厚みは、特に制限はないが、厚くなり過ぎるとロール状に巻けないので取扱い性に劣ることから、紙基材の厚みが5〜500μmであることが好ましい。
また、紙基材の、生分解性を有する樹脂フィルムが積層される表面に、印刷層が形成されていても、本発明に関わる生分解性の樹脂フィルムを積層することが可能である。
(コロナ放電処理)
コロナ放電による表面改質の処理は、高周波電源電圧を用いて大気中にコロナ放電を発生させ、それに伴って発生する電子やイオンを樹脂フィルムの表面に照射し、樹脂フィルムの表面に官能基を付加することによって樹脂フィルムの表面改質を行うものである。
コロナ放電による表面改質の処理では、コロナ放電処理した紙基材の表面が酸化され、紙基材の表面において、紙繊維の主鎖や側鎖に、カルボニル基(>CO)やカルボキシル基(−COOH)などの酸素官能基が主として形成すると考えられる。紙の場合は処理することで、紙の油脂分を取り除く、表面繊維を焼き切る、コロナ放電による酸化作用がおこる、などの改質機構により、より接着性が向上する。
貯蔵弾性率の測定、接着(剥離)強度の測定は、次の方法にて実施した。
(貯蔵弾性率の測定)
生分解性を有する樹脂フィルム(厚み30μm)を5mm幅に切り取り、サンプルを作製した。このサンプルを固体粘弾性装置(TAインスツルメント社;装置名 RMA-III)にて線形領域内のひずみを与え、周波数1Hzの条件で動的粘弾性試験を行った。温度範囲は−100℃〜+150℃とし、昇温速度3℃/minの条件により測定を行い、室温25℃のE’値を読み取った。
(接着(剥離)強度測定方法)
・接着(剥離)強度の測定方法:JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法に準じた。前記生分解性を有する樹脂フィルム積層体(樹脂フィルム厚みは30μm)を用いて、25.4mm幅の短冊形状の試験片を作製し、引張り速度5mm/minで接着(剥離)強度を測定した。
(実施例1)
石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂(BAFS株式会社製の銘柄「ECOFLEX」)を98重量%と、植物由来の原料からなるポリ乳酸系樹脂(東レ株式会社製の銘柄「エコディア」)を2重量%とを、合計100重量%の割合で混合し、株式会社東洋精機製作所製の混練装置(ラボプラストミル)にて温度250℃で溶融混練した後ペレット化した樹脂を、紙基材として用意した紀州製紙(株)製「紀州上質紙」104.7g/mに押出しラミネート工法(溶融押出し樹脂温度260℃、ラインスピード30m/min)による貼り合わせ加工を実施して、押出し厚みが30μmからなる実施例1の生分解性を有する樹脂フィルム及び生分解性を有する樹脂フィルム積層体を得た。
得られた実施例1の生分解性を有する樹脂フィルムについて、貯蔵弾性率を測定した。
また、得られた実施例1の生分解性を有する樹脂フィルム積層体について、紙基材との接着(剥離)強度を測定した。
(実施例2)
石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂と植物由来の原料からなるポリ乳酸系樹脂との混合比率を55:45とした以外は、実施例1と同様に行い、押出し厚みが30μmからなる実施例2の生分解性を有する樹脂フィルム及び生分解性を有する樹脂フィルム積層体を得た。
得られた実施例2の生分解性を有する樹脂フィルムについて、貯蔵弾性率を測定した。
また、得られた実施例2の生分解性を有する樹脂フィルム積層体について、紙基材との接着(剥離)強度を測定した。
(実施例3)
石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂と植物由来の原料からなるポリ乳酸系樹脂との混合比率を25:75とした以外は、実施例1と同様に行い、押出し厚みが30μmからなる実施例3の生分解性を有する樹脂フィルム及び生分解性を有する樹脂フィルム積層体を得た。
得られた実施例3の生分解性を有する樹脂フィルムについて、貯蔵弾性率を測定した。
また、得られた実施例3の生分解性を有する樹脂フィルム積層体について、紙基材との接着(剥離)強度を測定した。
(実施例4)
石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂と植物由来の原料からなるポリ乳酸系樹脂との混合比率を55:45、紙基材を東京製紙(株)製「カップ用紙」300.0g/mとした以外は、実施例1と同様に行い、押出し厚みが30μmからなる実施例4の生分解性を有する樹脂フィルム及び生分解性を有する樹脂フィルム積層体を得た。
得られた実施例4の生分解性を有する樹脂フィルムについて、貯蔵弾性率を測定した。
また、得られた実施例4の生分解性を有する樹脂フィルム積層体について、紙基材との接着(剥離)強度を測定した。
(比較例1)
石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂と植物由来の原料からなるポリ乳酸系樹脂との混合比率を20:80とした以外は、実施例1と同様に行い、押出し厚みが30μmからなる比較例1の生分解性を有する樹脂フィルム及び生分解性を有する樹脂フィルム積層体を得た。
得られた比較例1の生分解性を有する樹脂フィルムについて、貯蔵弾性率を測定した。
また、得られた比較例1の生分解性を有する樹脂フィルム積層体について、紙基材との接着(剥離)強度を測定した。
(比較例2)
植物由来の原料からなるポリ乳酸系樹脂(東レ株式会社製の銘柄「エコディア」)を100重量%とした以外は、実施例1と同様に行い、押出し厚みが30μmからなる比較例2の生分解性を有する樹脂フィルム及び生分解性を有する樹脂フィルム積層体を得た。
得られた比較例2の生分解性を有する樹脂フィルムについて、貯蔵弾性率を測定した。
また、得られた比較例2の生分解性を有する樹脂フィルム積層体について、紙基材との接着(剥離)強度を測定した。
(比較例3)
石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂(BAFS株式会社製の銘柄「ECOFLEX」)を100重量%とした以外は、実施例1と同様に行い、押出し厚みが30μmからなる比較例3の生分解性を有する樹脂フィルム及び生分解性を有する樹脂フィルム積層体を得た。
得られた比較例3の生分解性を有する樹脂フィルムについて、貯蔵弾性率を測定した。
また、得られた比較例3の生分解性を有する樹脂フィルム積層体について、紙基材との接着(剥離)強度を測定した。
上記のようにして得られた実施例1〜4及び比較例1〜3の、生分解性を有する樹脂フィルム及び生分解性を有する樹脂フィルム積層体について、得られた試験結果を、表1に示した。
Figure 0005615571
表1は、生分解性を有する樹脂フィルム、及び生分解性を有する樹脂フィルム積層体について、実施例1〜4及び比較例1〜3に関して得られた試験結果である。
また、実施例4以外は、紙基材に紀州製紙(株)製「紀州上質紙」を使用し、生分解性を有する樹脂を押出しラミネート工法(溶融押出し樹脂温度260℃、ラインスピード30m/min)による加工を実施して、押出し厚みが30μmからなる生分解性を有する樹脂フィルム積層体を作製したものである。
また、実施例4は、紙基材に東京製紙(株)製「カップ用紙」を使用し、コロナ放電処理しないで生分解性を有する樹脂を押出しラミネート工法(溶融押出し樹脂温度260℃、ラインスピード30m/min)による加工を実施して、押出し厚みが30μmからなる生分解性を有するフィルム積層体を作製したものである。
本発明に係わる実施例1〜4の生分解性を有する樹脂フィルムにおいて、石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂が25〜98重量%と、植物由来の原料からなるポリ乳酸系樹脂が75〜2重量%とを、合計100重量%の割合で混合したブレンド樹脂を使用することで、コロナ放電処理をしないでも紙基材などへの溶融押出し加工において実用的な接着強度が得られることがわかった。
また、比較例1及び比較例2の生分解性を有する樹脂フィルム積層体では、紙基材と生分解性を有する樹脂フィルムとの接着強度が0.5(N/25.4mm)以下と低い値であるので、包装容器などに使用することができないことから使用用途が限定される。
また、石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂を100重量%とし、植物由来の原料からなるポリ乳酸系樹脂が全く含まれていない比較例3の積層体は、紙基材との接着強度は十分であったが、押出しラミネートの工程での加工不具合(接着が良すぎて樹脂がロールに取られてしまう)や巻取り加工品にブロッキングが発生するという問題があった。
本発明によれば、接着剤及びアンカーコート剤を用いることなく基材との密着性、特に紙基材と貼り合わせる場合の溶融押出し加工における密着性に優れた生分解性の樹脂フィルム用いて作製した生分解性を有する樹脂フィルム積層体を得ることができる。特に紙基材と貼り合わせた生分解性を有する樹脂フィルム積層体は完全な生分解性を有する積層体となり、環境負荷低減及び易廃棄性が付与される。
また、本発明による生分解性を有する樹脂フィルム積層体を内面層に用いて包装容器を作製すれば、残留溶剤及び内容品への汚染源となりうる、接着剤及びアンカーコート剤由来の低分子成分の発生が伴わないことから、包装容器内に充填されている内容物へのコンタミを防いで、成分への悪影響を抑制することもできる。
また、本発明による生分解性を有する樹脂フィルム積層体は、日用雑貨品、文房具、包装資材、包装容器などの各種用途に使用できる。

Claims (3)

  1. 紙基材の少なくとも片面に、前記紙基材に対する溶融押出し加工における密着性を、接着剤及びアンカーコート剤を用いることなく有し、かつ、生分解性を有する樹脂フィルムが積層されてなり、前記紙基材の表面には、コロナ放電処理あるいはフレーム処理が施されてなり、該生分解性を有する樹脂フィルムは、石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂が25〜98重量%、植物由来の原料からなるポリ乳酸系樹脂が75〜2重量%、合計100重量%の割合で含まれるブレンド樹脂からなり、前記石油由来の原料からなる生分解性を有する樹脂は、1,4−ブタンジオールとアジピン酸とテレフタル酸の共重合体であるポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)であり、前記生分解性を有する樹脂フィルムが、25℃、1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が90〜1300MPaであることを特徴とする生分解性を有する樹脂フィルム積層体。
  2. 下記の接着(剥離)強度の測定方法で測定された前記樹脂フィルム積層体の接着(剥離)強度が、樹脂フィルム厚みが30μmの場合、1.5N/25.4mm以上である請求項1に記載の生分解性を有する樹脂フィルム積層体。
    ・接着(剥離)強度の測定方法:JIS K 6854−1「接着剤 はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に規定された測定方法に準じた。前記生分解性を有する樹脂フィルム積層体(樹脂フィルム厚みは30μm)を用いて、25.4mm幅の短冊形状の試験片を作製し、引張り速度5mm/minで接着(剥離)強度を測定する。
  3. 前記紙基材の表面に、前記生分解性を有する樹脂フィルムが押出しラミネート工法により積層されてなる請求項1又は2に記載の生分解性を有する樹脂フィルム積層体。
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