JP2004224870A - 生分解性樹脂からなるフィルム・シート及びその製造方法 - Google Patents

生分解性樹脂からなるフィルム・シート及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】1,コンポスト中で良好な分解速度を有し、
2.低温(−20℃)でも伸びを示す柔軟性を有し、
3.ヒートシール性が経時によって変化しない
生分解性のフィルムを得る。
【課題を解決するための手段】乳酸ポリマー(A)40重量%〜60重量%および生分解性を有する芳香族ポリエステル(B)60重量%〜40重量%からなる樹脂組成物(AA)からなり
1)フィルム厚みが10〜500μm
2)−20℃での伸びが50%以上
3)ヒートシール開始温度が130℃以下
であることを特徴とするフィルム・シート

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性、透明性等の物性が改良された、生分解性の樹脂組成物からなるフィルムに関する。更に詳しくは柔軟性、ヒートシール性に優れた生分解性のフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、レジ袋、ゴミ袋、包装袋、土嚢袋、農業用マルチフィルムは、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等汎用樹脂から製造される。これら汎用樹脂製のフィルムは、安価で強度があり、長持ちする特徴がある一方、自然環境下で殆ど分解されないために、使用後の埋設処理した場合は半永久的に残留したり、投棄された場合は環境問題を引き起こす等の問題を抱えている。
【0003】
これに対し、熱可塑性樹脂で生分解性を有する樹脂として、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、及び脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸から誘導される脂肪族ポリエステル等が開発されている。これらのポリマーは、動物の体内で数カ月から1年以内に100%生分解し、又は、土壌や海水中に置かれた場合、湿った環境下では数週間で分解を始め、約1年から数年で消滅する。さらに、分解生成物は、人体に無害な乳酸と二酸化炭素と水になる特性を有している。
【0004】
特にポリ乳酸は、近年、原料のL−乳酸が発酵法により大量かつ安価に製造されるようになってきた事や、堆肥(コンポスト)中での分解速度が速く、カビに対する抵抗性、食品に対する耐着臭性や耐着色性等、優れた特徴を有することより、その利用分野の拡大が期待されている。
【0005】
しかしながらポリ乳酸は剛性が高いため、フィルムや包装材料等の柔軟性が要求される用途には適切な樹脂とは言い難い。一般に、樹脂を軟質化する技術として 可塑剤の添加 軟質なポリマーのブレンド 等の方法が挙げられる。
【0006】
可塑剤を添加する方法では、比較的少量の添加量(10−20重量%程度)で十分な柔軟性を付与できるがポリ乳酸のガラス転移温度が低下し、通常の環境温度でもポリ乳酸成分の結晶化が進行し、その結果、硬くなり、ヒートシール温度条件が変化する等の物性変化を生じたり、可塑剤がブリードするなどの問題があるなど、実用化するには実質上幾つかの問題がある。
【0007】
一方、軟質ポリマーをブレンドする方法では、生分解性を有する軟質ポリマーに限定され、例えばポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンカーボネート、変性ポリブチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート及びそれらのコポリマーや混合物等がその例として挙げられ、既に特開平8−245866号公報、特開平9−111107号公報、特許公報 第3182077号公報に開示されている。更にはポリ乳酸に脂肪族ポリエステル及び可塑剤を混合する方法が公表特許 WO99/45067号公報に開示されている(特許文献1〜4)。
【0008】
しかしながら、生分解性を有する軟質ポリマーの混合する方法では、ポリ乳酸への柔軟性の付与効果はあまり効果的ではなく、少量の添加量(10−40重量%程度)では十分な柔軟性を付与できない。例えば、常温では良く伸びる柔軟な物性を示すが、低温では殆ど伸びを示さなく、少しの衝撃で裂けたり、破れたりする等の問題がある。軟質ポリマーの添加量を増やし乳酸ポリマーの含有量が少なくする事が考えられるが、柔軟性は発現するもののコンポスト中での分解速度が極端に遅くなり、例えばコンポスト袋として使用する場合は、コンポストを攪拌する機器に絡みつき取扱いが悪くなる問題がある。
【0009】
また、生分解性を有する軟質ポリマーと可塑剤を混合する方法では、ポリ乳酸成分が50重量%以上でも十分な柔軟性を付与でき、コンポスト中の分解速度も速いが、経時変化によって可塑剤がブリードしたり結晶化が進行したりするため、フィルムの物性が変化しヒートシール性が変化するなどの問題が生じる場合がある。
【0010】
この様に、ポリ乳酸を多く含む組成物では、一般的な軟質化方法(可塑剤の添加や柔軟なポリマーのブレンド)では、十分な柔軟性、コンポスト中の速やかな分解性、安定なヒートシール性を付与する事は困難である。
【0011】
【特許文献1】特開平8−245866号公報
【0012】
【特許文献2】特開平9−111107号公報
【0013】
【特許文献3】特許公報 第3182077号公報
【0014】
【特許文献4】公表特許 WO99/45067号公報。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した幾つかの問題に対し、
1,コンポスト中で良好な分解速度を有し、
2.低温(−20℃)でも伸びを示す柔軟性を有し、
3.ヒートシール性が経時によって変化しない
生分解性のフィルムを得ることを目的とした。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するため、鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち本発明は
乳酸ポリマー(A)40重量%〜60重量%および生分解性を有する芳香族ポリエステル(B)60重量%〜40重量%からなる樹脂組成物(AA)からなり(ここで(A)と(B)の合計は100重量%)
1)フィルム厚みが10〜500μm
2)−20℃での伸びが50%以上
3)ヒートシール開始温度が130℃以下
であることを特徴とするフィルム・シート。
乳酸ポリマー(A)
本発明において使用する乳酸ポリマー(A)としては、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸またはそれらの混合物、または乳酸の環状二量体であるラクタイドを原料とし、脱水重縮合や開環重合によって得られるポリマーである。L−乳酸から得られるポリ乳酸の場合、D−乳酸比率は1%〜20%、好ましくは5%〜18%、より好ましくは7%〜15%、最も好ましくは10%〜15%が良い。D乳酸比率が少ないと環境条件下で結晶化が進行し易くなるため、フィルムが硬く脆くなったり、ヒートシール性が経時によって変化する場合がある。
【0017】
また、乳酸ポリマーの製造方法としては、例えば、
▲1▼乳酸又は乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸の混合物を原料として、直接脱水重縮合する方法(例えば米国特許5,310,865号に示されている製造方法)
▲2▼乳酸の環状二量体(ラクタイド)を溶融重合する開環重合法(例えば米国特許2,758,987号に開示されている製造方法)
▲3▼乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸の環状二量体、例えばラクタイドやグリコライドとε−カプロラクトンを、触媒の存在下、溶融重合する開環重合法(例えば米国特許4,057,537号に開示されている製造方法)
▲4▼乳酸、脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸の混合物を、直接脱水重縮合する方法(例えば米国特許5,428,126号に開示されている製造方法)
▲5▼ポリ乳酸と脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸とのポリマーを、有機溶媒存在下に縮合する方法(例えば欧州特許公報0712880 A2号に開示されている製造方法)
▲6▼乳酸を触媒の存在下、脱水重縮合反応を行う事によりポリエステル重合体を製造するに際し、少なくとも一部の工程で固相重合を行う方法
等を挙げることができるが、その製造方法には特に限定されない。また少量のトリメチロールプロパン、グリセリンのような脂肪族多価アルコール、ブタンテトラカルボン酸のような脂肪族多塩基酸、多糖類等のような多価アルコール類を共存させて共重合させても良く、またジイソシアネート化合物等のような結合剤(高分子鎖延長剤)を用いて分子量を上げてもよい。
【0018】
生分解性を有する芳香族ポリエステル(B)
生分解性を有する芳香族ポリエステルとしては、後述する芳香族二塩基酸と脂肪族二塩基酸、脂肪族二価アルコール、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を種々組み合わせて製造できる生分解性を有する芳香族ポリエステルであり、例えば、変性ポリブチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、またはそれらの混合物が挙げられ、JIS K7126の試験方法で測定した弾性率が1000Mpa以下であれば何ら制限はなく用いる事ができる。その弾性率は、好ましくは1〜750Mpa、より好ましくは1〜500Mpa、最も好ましくは1〜300Mpaが良い。弾性率が1000Mpaより大きいと、ポリ乳酸に添加した時の軟質化効果が少なく低温での伸びを発現しない場合がある。
【0019】
好ましい変性ポリブチレンテレフタレートとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレートアジペート等が挙げられ、好ましい変性ポリエチレンテレフタレートとしては例えばポリエチレンテレフタレートアジペート等が挙げられる。。
【0020】
またこれらのポリエステルは、ジイソシアネート等の結合剤によってポリマー鎖が延長されたものであってもよく、また少量のトリメチロールプロパン、グリセリンのような脂肪族多価アルコール、ブタンテトラカルボン酸のような脂肪族多塩基酸、多糖類等のような多価アルコール類を共存させて、共重合されたものでもよい。
【0021】
芳香族ポリエステル(B)の製造方法としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートの製造方法と同様な方法を用いることもでき、その方法は限定されない。
【0022】
本発明では、特にポリブチレンテレフタレートアジペート(エコフレックス、商品名、BASF(株)社製)は既に市販されており安価に容易に入手可能で、更には乳酸ポリマーへの柔軟性付与効果が高く好ましい。
【0023】
本発明で示す芳香族脂肪族二塩基酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸などが挙げられる。本発明で示す脂肪族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等を挙げることができ、さらに、脂肪族ヒドロキシカルボン酸の環状エステル、例えば、グリコール酸の二量体であるグリコライドや6−ヒドロキシカプロン酸の環状エステルであるε−カプロラクトンを挙げることができる。これらは、単独で又は二種以上組合せて使用することができる。
【0024】
本発明で示す脂肪族二価アルコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ一ル、1,4−ベンゼンジメタノール等が挙げられる。これらは、単独で又は二種以上の組合せて使用することができる。
【0025】
本発明で示す脂肪族二塩基酸の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、フェニルコハク酸、1,4−フェニレンジ酢酸等が挙げられる。これらは、単独で又は二種以上の組合せて使用することができる。
【0026】
乳酸ポリマー(A)及びポリエステル(B)の重量平均分子量(Mw)や分子量分布は、実質的に成形加工が可能であれば特に制限されない。本発明で使用する乳酸ポリマー(A)及びポリエステル(B)の重量平均分子量は、実質的に充分な機械物性を示すものであれば特に制限されないが、一般的には、重量平均分子量(Mw)で、6〜100万が好ましく、8〜50万が更に好ましく、10〜30万が最も好ましい。一般的には、重量平均分子量(Mw)が6万より小さい場合、樹脂組成物を成形加工して得られた成形体の機械物性が十分でなかったり、逆に分子量が100万を越える場合、成形加工時の溶融粘度が極端に高くなり取扱い困難となったり、製造上不経済となったりする場合がある。
【0027】
樹脂組成物(AA)
樹脂組成物(AA)は乳酸ポリマー(A)40重量%〜60重量%、好ましくは45〜60重量%、より好ましくは50〜55重量%、生分解性を有する芳香族ポリエステル(B)が60重量%〜40重量%、好ましくは55〜40重量%、より好ましくは45〜50量%からなる。乳酸ポリマー(A)の含有量が60重量%より多くなると硬く脆くなったり低温での伸び率が発現しなくなる場合がある。逆に40重量%より少なくなると、柔軟性は有するもののコンポスト中での分解速度が極端に遅くなり、例えばコンポスト袋として使用する場合は、コンポストを攪拌する機器に絡みつき取扱いが悪くなる等の問題が発生する場合がある。
【0028】
樹脂組成物(AA)は以下のように製造される。すなわち 乳酸ポリマー(A)と生分解性を有する芳香族ポリエステル(B)のペレット あるいはその他の添加剤を直接混合し押出し成形してもよく、予め一軸 又は二軸の押出し機で溶融混練し造粒した後に押出し成形してもよい。予め一軸 又は二軸の押出し機で溶融混練した後押出し成形する方が柔軟性などの物性が安定するので好ましい。
【0029】
本発明で示すフィルムは、フィルムの耐ブロッキング性や滑性を付与するために、耐ブロッキング剤や滑剤を添加するのが好適である。
本発明で示す耐ブロッキング剤としては、SiO2、CaCO3、タルク、クレー、カオリン、カオリンクレー、マイカ、酸化亜鉛などの無機化合物が挙げられ、好ましくはSiO2、CaCO3が良い。これらは一種又は二種以上の混合物として用いる事もできる。
【0030】
また、その粒径は0.05μm〜20μm、好ましくは0.1μm〜15μm、より好ましくは0.5μm〜10μm、最も好ましくは1μm〜5μmがよい。0.05μmより小さいと耐ブロッキング効果が発現しない場合があり、逆に20μmより大きいとフィルムの引張強度が低下する場合がある。
【0031】
耐ブロッキング剤の添加量は、樹脂組成物100重量部に対し0.05〜10重量部であり、好ましくは0.5〜7重量部、より好ましくは1〜5重量部である。その添加量は、目的とするTダイ押出し成形やインフレーション成形時の成形性や得られたフィルムの耐ブロッキング性、フィルムの滑性が良好となる最適量が適宜選択される。
【0032】
又、本発明で示す滑剤としては、流動パラフィン、ポエチレンワックス等の炭化水素類、ステアリン酸などの脂肪酸類、オキシ酸類、脂肪族アルコールエステル類、脂肪族多価アルコールエステル類、脂肪族ポリグリコールエステル類、脂肪族(多価)アルコール類、ポリグリコール類、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸類、「10889の化学商品(1989年、化学工業日報社、東京都中央区日本橋浜町)」の389頁右欄〜391頁左欄に記載の「脂肪族アミド」等が挙げられる。
【0033】
脂肪族カルボン酸アミドの具体例としては、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族モノカルボン酸アミド類;N−オレイルパルミチン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミドのようなN−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、へキサメチレンビスステアリン酸アミド、へキサメチレンビスベヘニン酸アミド、へキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族ビスカルボン酸アミド類;N,N′−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N′−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N′−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N′−ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N′−ジステアリルテレフ夕ル酸アミドのようなN−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド類;N−ブチル−N′−ステアリル尿素、N−プロピル−N′−ステアリル尿素、N−ステアリル−N′−ステアリル尿素、N−フェニル−N′−ステアリル尿素、キシリレンビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素、ヘキサメチレンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスラウリル尿素のようなN−置換尿素類が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。
【0034】
これらの中でも特に、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドが安価且つ効果的で好ましい。
【0035】
滑剤の添加量は、樹脂組成物100重量部に対し0.05〜10重量部であり、好ましくは0.2〜5重量部であり、より好ましくは0.2〜2重量部である。その添加量は、耐ブロッキング剤と同様に、目的とするTダイ押出し成形やインフレーション成形時の成形性や得られたフィルムの耐ブロッキング性、フィルムの滑性が良好となる最適量が適宜選択される。
【0036】
本発明で用いる乳酸ポリマーには、目的(例えば成形性、二次加工性、分解性、引張強度、耐熱性、保存安定性、耐候性等の向上)に応じて各種添加剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、無機添加剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、天然物)等を添加することができる。
【0037】
フィルムの成形方法
本発明で示すフィルムは、乳酸ポリマー(A)とポリエステル(B)のペレットあるいはその他の添加剤を混合し押出し成形してもよく、予め一軸 又は二軸の押出し機で溶融混練した後押出し成形してもよい。
本発明で用いられる押出機は、公知のものを使用することができ、スクリューのタイプについても同様である。ダルメージタイプ等のスクリューを使用すると混練効果が上がり樹脂同士が良好に混練されるため、本発明ではより好適に用いる事ができる。
【0038】
フィルムの成形方法としては、通常の空冷インフレーション成形、空冷2段冷却インフレーション成形、高速インフレーション成形、水冷インフレーション成形等のインフレーション成形、Tダイフィルム成形、熱成形などが挙げられるが、特にコンポスト袋などの袋状のフィルムを製造する場合はインフレーション成形が容易且つ安価で好ましい。
インフレーション成形時の押出し条件としては、樹脂温度160−190℃でダイス孔 0.5〜3mmで成形できる。またブローアップ比(BR)は、1.5〜5.0、好ましくは1.7〜4.5、より好ましくは2.0−4.0が良い。BRが1.5より小さいと非効率的で成形も安定にできなくなる場合があり、逆に5.0より大きいと成形時にバブルが安定し難く成形できなくなる場合がある。
【0039】
フィルム
本発明で示すフィルムの厚みは、用途によっても異なるが、一般的に10〜500μm、好ましくは20〜200μm、より好ましくは20〜100μmである。−20℃でのフィルムの伸び率は50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは100%以上で、引裂強度は、800N/cm以上、好ましくは1000N/cm以上、より好ましくは1200N/cm以上である。
【0040】
フィルムのヒートシール開始温度は、130℃以下である。ここでヒートシール開始温度とは、ヒートシール強度が8.0N/15mm以上となる最低ヒートシール温度のことである。
【0041】
二次加工性
本発明で示すフィルム・シートは、さらに延伸加工、ブロー加工、真空成形、真空圧空成形などの二次加工性も優れ、容器、トレーなどの成形品を得る事もできる。
【0042】
用途
上記のような方法により成形されたフィルムは、透明性と剛性とのバランスに優れ、ヒートシール性、ホットタック性、耐熱性を有している。本発明に係る樹脂組成物は、溶融流動性に優れ、すなわち成形性に優れており、柔軟性および機械特性特に引張特性、引裂強度に優れたフィルム等の成形体を提供することができる。
また、本発明に樹脂組成物は、熱安定性および高速成形性に優れ、しかも、低温ヒートシール性およびシールの安定性に優れるとともに、滑性、耐ブロッキング性等を有していて取扱い性、および自動充填包装時における高速充填適性に優れたフィルムを提供することができる。
【0043】
本発明に係る樹脂組成物からなるフィルムは、規格袋、重袋、ラップフィルム、熱収縮フィルム、ラミ原反、砂糖袋、油物包装袋、水物包装袋、食品包装用等の各種包装用フィルム、輸液バッグ、農業用資材等に好適である。また、このフィルムをナイロン、ポリエステル等の基材と貼り合わせて、多層フィルムとして用いることもできる。
【0044】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明の技術範囲を超えない限り、これに限定されるものではない。
【0045】
▲1▼ フィルムの物性(伸び率、弾性率)
フィルムの引張試験は、JIS K7126に準じて行い、引裂強度は JIS K7128 に準じて行い、突刺強度は、φ50mmのフィルムに1/4inch Rの金属棒を突刺した時の最大抵抗値を求めた。
【0046】
▲2▼ ヒートシール性
フィルムのヒートシール性の評価は、JIS Z1707に準じて実施し、130℃でのシール強度を測定した。また製膜直後と23℃/1ケ月保管後のフィルムの130℃でのシール強度を比較し、ヒートシール性の安定性を評価した。
【0047】
▲3▼ コンポスト中での分解性
厚み30μmの10cm*10cmのフィルムを、温度58℃、水分量60%の堆肥中に埋設し、経時変化を観察した。
評価方法
◎:7日以内に分解消滅
○:8−14日で分解消滅
△:15−25日で分解消滅
× :26−40日で分解消滅。
【0048】
【実施例1】
乳酸ポリマー(A)としてLACEA H−440(商品名、三井化学(株)製、D−乳酸含有量 4wt%)と生分解性を有する芳香族ポリエステル(B)としてエコフレックス(商品名、BASF(株)製)、AB剤としてサイリシア530(商品名,富士シリシア(株)製、平均粒子径 2.7μm)、滑剤としてエルカ酸アミドを重量比で50/46/3/1で混合し、ニ軸押出し機にて押出し機設定温度160〜210℃で溶融融混練しペレット化した。得られたペレットを60℃で5時間乾燥した後、30mmのインフレーション成形機(ダイス径50mm)にて、設定温度160〜180℃、ブローアップ比(BR)は2.7、の条件下でインフレーション成形した。得られたフィルムの物性、ヒートシール性、コンポスト中での生分解性を測定した結果を表−1に示す。
【0049】
【実施例2〜5】及び
【比較例1〜4】
乳酸ポリマー(A)、生分解性を有する芳香族ポリエステル(B)、AB剤、滑剤の種類と量、及びインフレ成形時のブローンアップ比を変えた他は実施例1と同様な方法で行った。得られたフィルムの物性(厚み、23℃での伸び率、弾性率、−20℃での伸び率、製膜直後及び1ケ月後のヒートシール強度を表−1、2に示す。
【0050】
【表−1】
Figure 2004224870
【0051】
【表−2】
Figure 2004224870

Claims (2)

  1. 乳酸ポリマー(A)40重量%〜60重量%および生分解性を有する芳香族ポリエステル(B)60重量%〜40重量%からなる樹脂組成物(AA)からなり
    1)フィルム厚みが10〜500μm
    2)−20℃での伸び率が50%以上
    3)ヒートシール開始温度が130℃以下
    であることを特徴とするフィルム・シート
  2. 予め一軸 又は二軸の押出し機で溶融混練した後押出し成形することを特徴とする請求項1に記載のフィルム・シートの製造方法
JP2003012850A 2003-01-21 2003-01-21 生分解性樹脂からなるフィルム・シート及びその製造方法 Pending JP2004224870A (ja)

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JP2011184599A (ja) * 2010-03-09 2011-09-22 Fujimori Kogyo Co Ltd 生分解性を有する樹脂フィルム、及び生分解性を有する樹脂フィルム積層体

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