以下、本発明のエアバッグの収納装置の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
図7ないし図9において、10はエアバッグ装置であり、このエアバッグ装置10は、自動車などの車両の運転席の乗員の前方に配置されたハンドルとしてのステアリングホイールの乗員側に装着されている。
ステアリングホイールは、例えば円環状のリム部を備え、通常傾斜した状態で備えられる図示しない操縦装置としてのステアリングシャフトに装着されるものであるが、以下、エアバッグ装置10側を乗員側、正面側あるいは後側、ステアリングシャフト側を車体側、背面側あるいは前側とし、このステアリングシャフトに沿った前後方向を軸方向とし、その他、このステアリングホイールが備えられる車体の直進方向を基準として、前後方向及び上下方向などの方向を説明する。
そして、エアバッグ装置10は、ケース体としてのベースプレートであるバックプレート13と、このバックプレート13に取り付けられたインフレータ14、図示しないエアバッグ、カバー体としてのエアバッグカバー16、図示しないリテーナ、及び、バックプレート13に組み付けられた取付機構18などを備えている。そして、バックプレート13と、エアバッグカバー16とにより、エアバッグの収納装置19が構成されている。
バックプレート13は、ホーン機構のホーンプレートを兼ねたもので、例えばガラス繊維を35%程度含んだナイロン6−6(ポリアミド樹脂)などの合成樹脂にて一体に射出成形され、エアバッグカバー16よりも剛性が大きく設定されている。そして、このバックプレート13は、図5及び図6に示すように、ケース本体としての基板部21と、この基板部21の表面すなわち上面側の周辺部の全体に亘って正面側に突設された筒状の収納壁部としての立壁部22とを備えている。
基板部21は、左右両側の上側に一方及び他方の側辺部24,25を有し、これら側辺部24,25の上側にこれら側辺部24,25と連続する第1の端辺部としての上辺部26を有し、側辺部24,25の下側に第2の端辺部としての下辺部27を有し、かつ、この下辺部27と各側辺部24,25とを連結する左右両側の下側に一方及び他方の連結側辺部としての傾斜辺部28,29を備える、ほぼ左右対称な六角形状に形成されている。また、この基板部21は、下辺部27が上辺部26よりも左右幅方向に短く、傾斜辺部28,29がそれぞれ側辺部24,25から下辺部27へと傾斜している。さらに、この基板部21の中央部には、インフレータ取付部31が設けられ、このインフレータ取付部31には、円孔状のインフレータ取付孔32と、このインフレータ取付孔32を囲んで設けられた4カ所の取付孔33とが形成されている。また、この基板部21のインフレータ取付部31の表面側、すなわち立壁部22が突出する後面には、バックプレート13を補強する多数のリブ部34が縦横に形成されている。さらに、この基板部21のインフレータ取付部31の背面側すなわち前面側には、図1及び図2に示すように、インフレータ取付孔32及び取付孔33の周囲に亘って、接点用の金属板36がインサート成形等により一体的に配置されている。この金属板36は、例えば0.5mm程度の薄板状であり、基板部21よりも薄く、この基板部21の剛性向上にはほぼ寄与しないものである。そして、この金属板36は、3箇所にホーンスイッチの可動接点37が固着されている。
また、図5及び図6に示すように、立壁部22は、基板部21の各側辺部24,25に対応する左右両側の上側に一方及び他方の側板部41,42を有し、基板部21の上辺部26に対応する上側に第1の端板部としての上板部43を有し、基板部21の下辺部27に対応する下側に第2の端板部としての下板部44を有し、かつ、基板部21の傾斜辺部28,29に対応する左右両側の下側に一方及び他方の連結側板部としての傾斜板部45,46を有する、略六角形筒状に形成されている。そして、各側板部41,42と上板部43とが連続する部分、各側板部41,42と各傾斜板部45,46とが連続する部分、及び、各傾斜板部45,46と下板部44とが連続する部分に、それぞれケース体屈曲部としての第1ないし第6のケース体屈曲部である第1ないし第6の屈曲板部51,52,53,54,55,56が形成されている。さらに、立壁部22の外部には、エアバッグカバー16(図1)を係合保持するための複数のフック部57及び複数の係合受け部58がそれぞれ設けられている。
フック部57は、立壁部22からこの立壁部22に対して垂直(法線)状に外方へと突出する突出部61と、この突出部61の先端から立壁部22の突出方向と反対方向、すなわち前方向に向けて突出するフック本体部62とを一体に有する、L字状に形成されている。そして、突出部61及びフック本体部62と立壁部22との間の部分に、エアバッグカバー16と係合する係合部としてのポケット部63(図3(b))が区画形成されている。さらに、突出部61の外面は、フック本体部62側、すなわち前側へと傾斜しており、立壁部22の外面からフック本体部62の外面へと滑らかに連続している。
そして、フック部57は、上板部43に第1ないし第4のフック部57a,57b,57c,57dが設定され、両側板部41,42から両傾斜板部45,46及び下板部44に亘って、第5ないし第10のフック部57e,57f,57g,57h,57i,57jが設定され、かつ、下板部44に第11のフック部57kが設定されている。
第1ないし第4のフック部57a〜57dは、左右幅方向に互いにほぼ等間隔に離間されており、第1及び第4のフック部57a,57dが第1及び第2の屈曲板部51,52の近傍に配置されている。
また、第5ないし第7のフック部57e〜57g、及び、第8ないし第10のフック部57h〜57jは、それぞれ上下方向に互いにほぼ等間隔に離間されており、第5及び第8のフック部57e,57hは、それぞれ第3及び第4の屈曲板部53,54の近傍に配置され、第7及び第10のフック部57g,57jは、それぞれ第5及び第6の屈曲板部55,56の近傍に配置されている。さらに、第11のフック部57kは、下板部44の略中央部に位置している。
また、係合受け部58は、本実施の形態では立壁部22のフック部57よりも基端側すなわち前端側の位置に、基板部21に亘って凹設されており、図3(a)に示すように、立壁部22に対して略平行、すなわち前後方向に沿って形成されている面状の壁面部としての縦面部65と、この縦面部65の後端部からこの縦面部65に対して交差(直交)する方向に沿って面状に形成された係合面部66と、これら縦面部65と係合面部66との側部に連続する一方及び他方の側面部67,68とにより区画されている。したがって、係合受け部58は、前方に向けて開口している。さらに、係合受け部58は、図1、図2、図4、図7及び図8などに示すように、上板部43に第1ないし第3の係合受け部58a,58b,58cが設定され、傾斜板部45,46に第4ないし第7の係合受け部58d,58e,58f,58gが設定されている。
第1ないし第3の係合受け部58a〜58cは、左右幅方向に互いにほぼ等間隔に離間されており、第1ないし第4のフック部57a〜57dの間にそれぞれ位置している。すなわち、立壁部22の上板部43において、フック部57と係合受け部58とが、基板部21に対する立壁部22の突出方向である前後方向と交差(直交)する方向である左右方向に沿って交互に並んで列状に配置されており、その列の端部である両側部に第1及び第4のフック部57a,57dが位置している。
同様に、第4及び第5の係合受け部58d,58e、及び、第6及び第7の係合受け部58f,58gは、それぞれ上下方向に互いにほぼ等間隔に離間されており、第5ないし第7のフック部57e〜57g間、及び、第8ないし第10のフック部57h〜57j間にそれぞれ位置している。すなわち、立壁部22の側板部41,42から傾斜板部45,46に亘って、フック部57と係合受け部58とが、基板部21に対する立壁部22の突出方向である前後方向と交差(直交)する方向である上下方向に沿って交互に並んで列状に配置されており、それらの列の端部に第5及び第7のフック部57e,57gと、第8及び第10のフック部57h,57jとが位置している。
また、インフレータ14は、円盤状のインフレータ本体部14aと、このインフレータ本体部14aから外周側に突設されたフランジ部14bとを備えている。また、インフレータ本体部14aの周囲には、図示しないガス噴射口が設けられ、フランジ部14bには、図示しない取付孔が4カ所に設けられている。また、インフレータ本体部14aの底部には、制御装置に接続されるコネクタ14cが設けられている。
また、エアバッグは、例えば、2枚の基布の外周部同士を縫い合わせ、扁平な袋状に形成されているとともに、一方の基布の中央部に、バックプレート13のインフレータ取付部31と同様に、円孔状のインフレータ取付孔と、このインフレータ取付孔を囲んで設けられた4カ所の取付孔とが形成されている。
また、エアバッグカバー16は、絶縁性を有する樹脂にて一体に形成され、ステアリングホイールの一部の正面側を覆うカバー本体としての表板部71と、この表板部71の背面側である前面側から角筒状に下方へと突設された取付壁部としての取付板部72とを備えている。なお、図1ないし図4において、エアバッグカバー16は、構成を明確にするために表板部71を省略して描いている。
表板部71の背面側である前面側には、取付板部72の外方において、図示しない補強用のリブが多数形成されている。また、この表板部71の前面側には、ステアリングホイール側に固定される図示しない固定部が形成されている。さらに、この表板部71の前面には、取付板部72に囲まれた位置に、厚さ寸法の小さい溝状のテアラインが例えば正面視で略H字状に形成されており、エアバッグの膨張時にこのテアラインに沿って開裂して展開するように構成されている。
また、取付板部72は、収納装置19を構成した状態でバックプレート13の立壁部22の外方に位置するもので、この立壁部22の外形に沿って形成されている。すなわち、この取付板部72は、左右両側の上側に一方及び他方の取付側板部74,75を有し、上側に第1の取付端板部としての上側取付端板部76を有し、下側に第2の取付端板部としての下側取付端板部77を有し、かつ、左右両側の下側に一方及び他方の取付連結側板部としての取付傾斜板部78,79を有する、略六角形筒状に形成されている。そして、各取付側板部74,75と上側取付端板部76とが連続する部分、各取付側板部74,75と各取付傾斜板部78,79とが連続する部分、及び、各取付傾斜板部78,79と下側取付端板部77とが連続する部分に、それぞれ屈曲部としての第1ないし第6の屈曲部81,82,83,84,85,86が形成されている。さらに、取付板部72には、バックプレート13と係合するための複数の開口部87及び複数の係止突起88がそれぞれ設けられている。
各開口部87は、取付板部72を貫通して形成された四角形状の貫通孔であり、前側に位置する一の縁部91(図3(b))に、対応する各フック部57が係合されることで、エアバッグ膨張時の取付板部72の外方への広がりを防止する係合構造を構成する。また、各開口部87は、取付板部72の突出方向である前後方向のほぼ中間の位置に配置されている。
そして、開口部87は、上側取付端板部76に第1ないし第4の開口部87a,87b,87c,87dが設定され、両取付側板部74,75から両取付傾斜板部78,79及び下側取付端板部77に亘って、第5ないし第10の開口部87e,87f,87g,87h,87i,87jが設定され、かつ、下側取付端板部77に第11の開口部87kが設定されている。
第1ないし第4の開口部87a〜87dは、左右幅方向に互いにほぼ等間隔に離間されており、第1及び第4の開口部87a,87dが第1及び第2の屈曲部81,82の近傍に配置されている。
また、第5ないし第7の開口部87e〜87g、及び、第8ないし第10の開口部87h〜87jは、それぞれ上下方向に互いにほぼ等間隔に離間されており、第5及び第8の開口部87e,87hは、それぞれ第3及び第4の屈曲部83,84の近傍に配置され、第7及び第10の開口部87g,87jは、それぞれ第5及び第6の屈曲部85,86の近傍に配置されている。さらに、第11の開口部87kは、下側取付端板部77の略中央部に位置している。
また、各係止突起88は、各係合受け部58に係合されることで、エアバッグ展開時にエアバッグカバー16をバックプレート13に確実に保持し、エアバッグの展開力を保持する固定構造を構成するもので、開口部87よりも取付板部72の先端側、本実施の形態では取付板部72の先端部である前端部の内縁部から内方へと、この取付板部72に対して垂直(法線)状に内方へと、アンダー形状として突出して形成されている。さらに、各係止突起88は、先端の外面である前面が先端へと徐々に上方に向けて傾斜状に形成されている。したがって、各係止突起88は、先端ほど厚みが小さくなる爪状に形成されている。また、各係止突起88は、後側に、係合受け部58の係合面部66に対して面状に当接して係合される平面状の係合部93が形成されている。
さらに、係止突起88は、図1、図2、図4、図7及び図8などに示すように、上側取付端板部76に第1ないし第3の係止突起88a,88b,88cが設定され、取付傾斜板部78,79に第4ないし第7の係止突起88d,88e,88f,88gが設定されている。
第1ないし第3の係止突起88a〜88cは、左右幅方向に互いにほぼ等間隔に離間されており、第1ないし第4の開口部87a〜87dの間にそれぞれ位置している。すなわち、取付板部72の上側取付端板部76において、開口部87と係止突起88とが、表板部71に対する取付板部72の突出方向である前後方向と交差(直交)する方向である左右方向に沿って交互に並んで列状に配置されており、その列の端部である両側部に第1及び第4の開口部87a,87dが位置している。
同様に、第4及び第5の係止突起88d,88e、及び、第6及び第7の係止突起88f,88gは、上下方向にそれぞれ互いにほぼ等間隔に離間されており、第5ないし第7の開口部87e〜87g間、及び、第8ないし第10の開口部87h〜87j間にそれぞれ位置している。すなわち、取付板部72の取付側板部74,75から取付傾斜板部78,79に亘って、開口部87と係止突起88とが、表板部71に対する取付板部72の突出方向である前後方向と交差(直交)する方向である上下方向に沿って交互に並んで列状に配置されており、それらの列の端部に第5及び第7の開口部87e,87gと、第8及び第10の開口部87h,87jとが位置している。
また、リテーナは、金属板などにて形成されたリテーナ基部(図示せず)と、このリテーナ基部に固定された4本の取付ボルト96とを備えている。そして、リテーナ基部は、中央部に、円孔状のインフレータ取付孔が形成されている。また、取付ボルト96は、インフレータ取付孔を囲んで背面側に突設され、それぞれナット97が螺合されるようになっている。
また、取付機構18は、エアバッグ装置10をステアリングホイールに進退可能に取り付けるもので、バックプレート13の下板部44(下辺部27)の部分に対応して備えられた下部取付機構101と、バックプレート13の両側板部41,42(両側辺部24,25)の部分に対応して備えられた側部取付機構102とを備えている。そして、これら下部取付機構101及び側部取付機構102は、それぞれ、バックプレート13の一部を覆って絶縁性を有する樹脂にて一体的に形成されており、ワンタッチワイヤーとも呼ばれるワイヤー105と、コイルスプリング106とがそれぞれ取り付けられている。
ワイヤー105は、ワンタッチワイヤーとも呼び得るもので、エアバッグ装置10をステアリングホイールの芯金に着脱可能に固定するものであり、弾性変形可能な線材にてU字状に湾曲形成されている。また、このワイヤー105は、押動操作可能に案内されており、両端が下部取付機構101及び側部取付機構102から露出した状態で保持されているとともに、両端の中間部が下部取付機構101及び側部取付機構102に切り欠き形成された切欠開口部107から露出している。各側部取付機構102の切欠開口部107は、エアバッグカバー16の取付板部72の取付側板部74,75の先端部である前端部に切り欠き形成された切欠部108(図1)を介して外方に露出している。
また、コイルスプリング106は、エアバッグ装置10をステアリングホイールに対して正面側に付勢するためのものであり、下部取付機構101及び側部取付機構102に背面側に向けて突設された付勢手段装着部109に保持されている。
そして、このエアバッグ装置10は、バックプレート13に、ワイヤー105及びコイルスプリング106を装着して取付機構18を構成するとともに、インフレータ14、エアバッグ、エアバッグカバー16、リテーナなどを取り付けて構成される。
また、エアバッグの内側にリテーナを挿入し、このリテーナの取付ボルト96を取付孔から引き出した状態で、エアバッグを所定の形状に折り畳む。さらに、折り畳んだエアバッグに被せたエアバッグカバー16に対して、バックプレート13を挿入する。すなわち、バックプレート13の立壁部22をエアバッグカバー16の取付板部72の内側へと差し込む。
このとき、エアバッグカバー16の係止突起88(係止突起88a〜88g)がバックプレート13の立壁部22の外面を摺接することにより、係止突起88(係止突起88a〜88g)の取付板部72からの突出寸法分、取付板部72が外方へと撓んで押し広げられる。この状態でさらにバックプレート13をエアバッグカバー16側へと押し込むことで、取付板部72の内面を外面が摺動したフック部57(フック部57a〜57k)のフック本体部62の先端がそれぞれ開口部87(開口部87a〜87k)の一の縁部91を通り過ぎる位置となると、フック部57(フック部57a〜57k)が開口部87に挿入されることでエアバッグカバー16の取付板部72が内方へと復帰変形し、係止突起88(係止突起88a〜88g)が係合受け部58(係合受け部58a〜58g)に挿入される。さらに、バックプレート13を挿入方向に対して正規位置へと、突出部61とフック本体部62の先端との間の距離寸法、すなわちオーバーストロークS(図3(b))だけ戻すことで、フック本体部62が開口部87(開口部87a〜87k)の一の縁部91に係合してポケット部63内に一の縁部91が位置する。この状態で、係止突起88(係止突起88a〜88g)の係合部93がバックプレート13の係合受け部58(係合受け部58a〜58g)の係合面部66に当接支持されることで、係止突起88が係合受け部58に係合される。すなわち、バックプレート13をエアバッグカバー16に対して挿入して押し込むだけで、これらエアバッグカバー16とバックプレート13とがワンタッチで直接取り付け固定される(スナップイン)。
この後、リテーナの取付ボルト96を取付孔33に挿入しながら、これらエアバッグ、リテーナ、及びエアバッグカバー16をバックプレート13に組み合わせる。
さらに、バックプレート13の背面側に突出した取付ボルト96に取付孔を挿入しながら、バックプレート13の背面側からインフレータ14を組み合わせ、取付ボルト96にナット97を螺合して締め付ける。この状態で、インフレータ14のガス噴射口を設けたインフレータ本体部14aの正面側の部分がインフレータ取付孔32からエアバッグの内側に挿入され、エアバッグ装置10が構成される。
そして、エアバッグ装置10は、ステアリングホイールに正面側から押し込むと、取付機構18の各ワイヤー105にステアリングホイール側の係合部が係合し、両側及び下側の3カ所でエアバッグ装置10がステアリングホイールに係合して抜け止め支持されるように、ワンタッチで取り付けられる。
さらに、電気的な配線を行うことにより、エアバッグ装置10を備えたステアリングホイールがステアリングシャフトに取り付けられた状態で構成される。
そして、このように構成されたステアリングホイールは、運転席の乗員がリム部を把持して回動することにより、走行時の操作が行われる。また、乗員が押動部を兼ねたエアバッグ装置10のエアバッグカバー16をコイルスプリング106の付勢力に抗して押動することにより、電気的導通が生じ、車体側のホーン装置が吹鳴される。
また、例えば車両の正面衝突などの際は、インフレータ14からエアバッグの内部にガスが急速に噴射されて、折り畳まれて収納されたエアバッグが急激に膨張する。すると、このエアバッグの膨張の圧力により、エアバッグカバー16の一部がテアラインに沿って開裂してエアバッグの突出口が形成され、この突出口からエアバッグが突出して乗員の前方で膨張展開し、乗員を拘束して保護する。
このとき、エアバッグカバー16の開口部87(開口部87a〜87k)に対して、このエアバッグカバー16の内方に位置するバックプレート13の立壁部22に突設したフック部57(フック部57a〜57k)が係合していることにより、エアバッグの膨張時のバックプレート13に対するエアバッグカバー16の取付板部72の外方への広がりが規制される。また、エアバッグカバー16の係止突起88(係止突起88a〜88g)の係合部93が、バックプレート13の係合受け部58(係合受け部58a〜58g)の係合面部66に当接していることにより、バックプレート13に対するエアバッグカバー16の前後方向の位置が規制され、エアバッグの展開時にエアバッグカバー16をバックプレート13側(ステアリングホイール側)に強固に保持する。
このように、上記第1の実施の形態によれば、立壁部22の少なくとも一部が取付板部72に対して内方に位置するようにエアバッグカバー16に対してバックプレート13を挿入すると、係止突起88(係止突起88a〜88g)と立壁部22との当接により取付板部72が外方へと押し広げられ、フック部57(フック部57a〜57k)が取付板部72に引っ掛かることなくバックプレート13がエアバッグカバー16に挿入され、これらフック部57(フック部57a〜57k)がエアバッグカバー16の開口部87(開口部87a〜87k)の一の縁部91に係合した後、係止突起88(係止突起88a〜88g)がバックプレート13の係合受け部58(係合受け部58a〜58g)に固定される。すなわち、開口部87(開口部87a〜87k)に対してフック部57(フック部57a〜57k)が係合して取付板部72を規制する方向と、係止突起88(係止突起88a〜88g)の係合受け部58(係合受け部58a〜58g)への係合時の挿入方向とがそれぞれ同方向(内方向)となる。このため、例えば立壁部22あるいは取付板部72を波状に変形させることなく、エアバッグカバー16に対してバックプレート13を挿入するだけでこれらエアバッグカバー16とバックプレート13とを容易に直接取り付けでき、この取り付けの作業性を向上できる。
したがって、エアバッグカバー16とバックプレート13との固定に別部品が不要となり、安価に構成できる。
さらに、フック部57(フック部57a〜57k)は、基板部21に対する立壁部22の突出方向と反対方向に向けて突出しているので、立壁部22を先端側からエアバッグカバー16に挿入する際にフック部57(フック部57a〜57k)が取付板部72の先端に引っ掛かることがない。
また、開口部87(開口部87a〜87j)と係止突起88(係止突起88a〜88g)とを、表板部71に対する取付板部72の突出方向と交差(直交)する方向に沿って交互に取付板部72に配置するとともに、フック部57(フック部57a〜57j)と係合受け部58(係合受け部58a〜58g)とを、基板部21に対する立壁部22の突出方向と交差(直交)する方向に沿って交互に立壁部22に配置さすることにより、立壁部22の少なくとも一部が取付板部72に対して内方に位置するようにエアバッグカバー16に対してバックプレート13を挿入した際、係止突起88(係止突起88a〜88g)によって取付板部72を押し広げる位置の近傍、具体的にはそれら位置の間に開口部87(開口部87a〜87j)及びフック部57(フック部57a〜57j)が位置する。したがって、フック部57(フック部57a〜57j)が取付板部72により引っ掛かりにくくなって、エアバッグカバー16に対してバックプレート13をより挿入しやすくなり、エアバッグカバー16とバックプレート13とをより容易に取り付けできる。しかも、開口部87(開口部87a〜87j)とフック部57(フック部57a〜57j)との係合構造と、係止突起88(係止突起88a〜88g)と係合受け部58(係合受け部58a〜58g)との固定構造とが交互に形成されるため、バックプレート13とエアバッグカバー16とを、互いにより強固に固定できる。
さらに、各係止突起88(係止突起88a〜88g)を、開口部87(開口部87a〜87j)間に配置し、各係合受け部58(係合受け部58a〜58g)を、フック部57(フック部57a〜57j)間に配置することにより、係止突起88(係止突起88a〜88g)と開口部87(87a〜87j)との列の両端(両サイド)に開口部87(開口部87a,87d,87e,87g,87h,87j)が位置し、係合受け部58(係合受け部58a〜58g)とフック部57(フック部57a〜57j)との列の両端(両サイド)にフック部57(フック部57a,57d,57e,57g,57h,57j)が位置する。そのため、開口部87(開口部87a,87d,87e,87g,87h,87j)とフック部57(フック部57a,57d,57e,57g,57h,57j)との係合構造が係止突起88(係止突起88a〜88g)と係合受け部58(係合受け部58a〜58g)との固定構造の端部に位置する。この結果、開口部87(開口部87a,87d,87e,87g,87h,87j)とフック部57(フック部57a,57d,57e,57g,57h,57j)との係合構造によって、エアバッグ膨張時の内圧(展開1次圧)による取付板部72の外方への変形(膨張)を抑制して、この変形に起因する係止突起88(係止突起88a〜88g)と係合受け部58(係合受け部58a〜58g)との係合の外れを確実に抑制でき、バックプレート13とエアバッグカバー16とを互いにより強固に固定できる。したがって、エアバッグの展開力を確実に保持できるとともに、エアバッグの展開に起因するバックプレート13の変形を抑制できる。
特に、(六角形)筒状の取付板部72の屈曲部83,84,85,86近傍に開口部87(開口部87e,87h,87g,87j)を配置することにより、開口部87(開口部87e,87h,87g,87j)とフック部57(フック部57e,57h,57g,57j)との係合構造を取付板部72の屈曲部83,84,85,86近傍に位置させることができる。したがって、エアバッグ膨張時の内圧(展開1次圧)による取付板部72の外方への変形(膨張)をより確実に抑制して、この変形に起因する係止突起88(係止突起88a〜88g)と係合受け部58(係合受け部58a〜58g)との係合の外れをより確実に抑制でき、バックプレート13とエアバッグカバー16とを互いにより強固に固定できる。したがって、エアバッグの展開力をより確実に保持できるとともに、エアバッグの展開に起因するバックプレート13の変形をより確実に抑制できる。
しかも、バックプレート13には、補強用のリブ部34を形成しているので、エアバッグの展開に起因するバックプレート13の変形をより確実に抑制できる。
次に、第2の実施の形態を図10を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、各フック部57の突出部61に、フック本体部62の突出方向と反対方向である後方向に向けて、規制部115が一体に突設されているものである。
この規制部115は、前後方向に沿って直線リブ状に形成されており、各フック部57を各開口部87に係合させた際に、各開口部87の一の縁部91に対向する後側の縁部である他の縁部117に当接するように構成されている。
また、各開口部87の他の縁部117の後側の位置には、補強用の補強リブ部118が前後方向に沿って直線状に形成されている。この補強リブ部118は、取付板部72の外面に一体に形成されている。
そして、折り畳んだエアバッグに被せたエアバッグカバー16に対して、バックプレート13を挿入すると、エアバッグカバー16の係止突起88(係止突起88a〜88g)がバックプレート13の立壁部22の外面を摺接することにより、係止突起88(係止突起88a〜88g)の取付板部72からの突出寸法分、取付板部72が外方へと撓んで押し広げられ、取付板部72の内面を外面が摺動したフック部57(フック部57a〜57k)のフック本体部62の先端がそれぞれ開口部87(開口部87a〜87k)の一の縁部91を通り過ぎる位置となると、フック部57(フック部57a〜57k)が開口部87に挿入されることでエアバッグカバー16の取付板部72が内方へと復帰変形し、係止突起88(係止突起88a〜88g)が係合受け部58(係合受け部58a〜58g)に挿入される。さらに、バックプレート13を挿入方向に対して正規位置へと、突出部61とフック本体部62の先端との間の距離寸法、すなわちオーバーストロークSだけ戻す際に、フック本体部62が開口部87(開口部87a〜87k)の一の縁部91に係合してポケット部63内に一の縁部91が位置するとともに、規制部115が開口部87の他の縁部117に当接する。この状態で、係止突起88(係止突起88a〜88g)の係合部93がバックプレート13の係合受け部58(係合受け部58a〜58g)の係合面部66に当接支持されることで、係止突起88が係合受け部58に係合される。
このように、バックプレート13の立壁部22の外部に突設した規制部115が、エアバッグカバー16とバックプレート13との取り付けの際にフック部57(フック部57a〜57k)が係合する開口部87(開口部87a〜87g)の一の縁部91と対向する他の縁部117に当接して、バックプレート13とともにフック部57(フック部57a〜57k)が開口部87(開口部87a〜87g)内で一の縁部91から離間される後方向へと移動することを規制する。そのため、開口部87(開口部87a〜87g)の一の縁部91へのフック部57(フック部57a〜57k)の係合をより確実に保持でき、バックプレート13とエアバッグカバー16とを、互いにより強固に固定できる。
次に、第3の実施の形態を図11ないし図14を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第3の実施の形態は、上記第2の実施の形態のバックプレート13のフック部57の一部に代えて、図11ないし図14に示すように、舌片状の係合片部121を備えるものである。
係合片部121は、バックプレート13の立壁部22からこの立壁部22に対して垂直(法線)状に外方へと突出する係合突出部122と、この係合突出部122の先端から立壁部22の突出方向と同方向、すなわち後方向に向けて突出する係合片123とを一体に有する、L字状に形成されている。すなわち、この係合片部121は、フック部57の突出方向と反対方向に向けて突出している。
また、エアバッグカバー16の取付板部72には、開口部87に代えて、係合片部121に対応する位置に、挿入開口部125が形成されている。この挿入開口部125は、取付板部72の先端側である前端側に四角形状に切り欠き形成されている。さらに、エアバッグカバー16の取付板部72には、挿入開口部125の後方、すなわち取付板部72の基端側の位置に、角孔状のカバー開口部126が取付板部72を貫通して形成されている。したがって、取付板部72の挿入開口部125とカバー開口部126との間の部分が、前後方向に弾性的に変形可能な変形可能部127となっている。
そして、本実施の形態において、立壁部22には、例えばフック部57e,57h,57kに代えて、第1ないし第3の係合片部121a,121b,121cが設けられている。すなわち、第1の係合片部121aは、第3の屈曲部83近傍に位置し、第2の係合片部121bは、第4の屈曲部84近傍に位置し、第3の係合片部121cは、下板部44の中央部に位置している。
また、取付板部72には、例えば開口部87e,87h,87kに代えて、第1ないし第3の挿入開口部125a,125b,125cが形成され、これら挿入開口部125a,125b,125cの後方に、第1ないし第3のカバー開口部126a,126b,126cが形成され、これら挿入開口部125a,125b,125cとカバー開口部126a,126b,126cとの間に、第1ないし第3の変形可能部127a,127b,127cが形成されている。
そして、折り畳んだエアバッグに被せたエアバッグカバー16に対して、バックプレート13を挿入すると、エアバッグカバー16の係止突起88(係止突起88a〜88g)がバックプレート13の立壁部22の外面を摺接することにより、係止突起88(係止突起88a〜88g)の取付板部72からの突出寸法分、取付板部72が外方へと撓んで押し広げられる。また、バックプレート13の係合片部121(係合片部121a〜121c)がエアバッグカバー16の挿入開口部125(挿入開口部125a〜125c)に挿入され、係合突出部122が変形可能部127(変形可能部127a〜127c)に当接する。この状態でさらにバックプレート13をエアバッグカバー16側へと押し込むことで、係合片部121(係合片部121a〜121c)が変形可能部127(変形可能部127a〜127c)を後方へと押圧し、図14の想像線に示すように、変形可能部127(変形可能部127a〜127c)が後方へと弾性的に変形する。そして、さらにバックプレート13をエアバッグカバー16側へと押し込むことで、取付板部72の内面を外面が摺動したフック部57(フック部57a〜57k)のフック本体部62の先端がそれぞれ開口部87(開口部87a〜87k)の一の縁部91を通り過ぎる位置となると、フック部57(フック部57a〜57k)が開口部87に挿入されることでエアバッグカバー16の取付板部72が内方へと復帰変形し、係止突起88(係止突起88a〜88g)が係合受け部58(係合受け部58a〜58g)に挿入される。このとき、変形可能部127(変形可能部127a〜127c)が弾性的に復帰変形することにより、バックプレート13を挿入方向に対して正規位置へと、突出部61とフック本体部62の先端との間の距離寸法、すなわちオーバーストロークSだけ押し戻すことで、フック本体部62が開口部87(開口部87a〜87k)の一の縁部91に係合してポケット部63内に一の縁部91が位置する。この状態で、係止突起88(係止突起88a〜88g)の係合部93がバックプレート13の係合受け部58(係合受け部58a〜58g)の係合面部66に当接支持されることで、係止突起88が係合受け部58に係合されるとともに、係合片部121(係合片部121a〜121c)が挿入開口部125(挿入開口部125a〜125c)の縁部、すなわち変形可能部127(変形可能部127a〜127c)に係合される。すなわち、バックプレート13をエアバッグカバー16に対して挿入して押し込むだけで、これらエアバッグカバー16とバックプレート13とがワンタッチで直接取り付け固定される(スナップイン)。
このように、上記第3の実施の形態によれば、バックプレート13の立壁部22に、基板部21に対する立壁部22に突出方向と同方向に向けて係合片部121(係合片部121a〜121c)を突出させるとともに、エアバッグカバー16の取付板部72に、係合片部121(係合片部121a〜121c)が挿入される挿入開口部125(挿入開口部125a〜125c)を形成するとともに、この挿入開口部125(挿入開口部125a〜125c)よりも取付板部72の基端側にカバー開口部126(カバー開口部126a〜126c)を形成し、これら挿入開口部125(挿入開口部125a〜125c)とカバー開口部126(カバー開口部126a〜126c)との間の位置を、表板部71に対する取付板部72の突出方向に沿って弾性変形可能な変形可能部127(変形可能部127a〜127c)とすることにより、バックプレート13をエアバッグカバー16に挿入する際に係合片部121(係合片部121a〜121c)との当接により変形した変形可能部127(変形可能部127a〜127c)が復帰変形することで、バックプレート13のオーバーストロークS分を構造的に戻すことができる。この結果、エアバッグカバー16に対してバックプレート13を挿入するだけでエアバッグカバー16とバックプレート13とをより容易に直接取り付けでき、この取り付けの作業性を向上できる。
なお、上記第3の実施の形態の係合片部121、挿入開口部125、カバー開口部126及び変形可能部127を、上記第1の実施の形態と組み合わせてもよい。
また、上記の各実施の形態において、ハンドルは、円環状のリム部を有するステアリングホイールとしたが、この構成に限られず、例えば上端部が連続していない円弧状のリム部を備えたハンドルに適用することもできる。
さらに、立壁部22及び取付板部72の形状は、六角形筒状以外でも任意に設定できる。