以下、本発明に係る像振れ補正装置、レンズ鏡筒、撮像装置および携帯情報端末の実施例を、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明に係る像振れ補正装置が組み込まれたレンズ鏡筒の例を、図21を参照しながら説明する。図21は、沈胴型レンズ鏡筒の例であって、撮影レンズが撮像装置本体に収納されている状態を示している。図21において、符号47はカメラなどの撮像装置のボディなどに固定される円筒形状の固定部材を示す。固定部材47の内周側には、レンズ駆動機構44が組み込まれている。レンズ駆動機構44は、例えば、モータによって回転駆動されて固定部材47に対して進退する回転筒、この回転筒とともに光軸方向に直進する直進筒、レンズ保持枠およびシャッタ機構43などを備えている。上記直進筒には光軸方向の直進溝が形成され、上記回転筒の内周壁面にはカム溝形成されている。上記レンズ保持枠およびシャッタ機構43にはカムフォロワが設けられていて、これらのカムフォロワが上記直進溝を貫いて上記カム溝に嵌合している。上記レンズ保持枠によって撮影レンズ42が保持されている。
図21に示されている収納状態において、撮像装置の電源スイッチがオンされると、上記回転筒が回転駆動され、この回転筒が光軸方向に繰り出されるとともに、直進筒も光軸方向に直線状に繰り出される。回転筒のカム溝と直進筒の直進溝との交差位置が光軸方向に移動し、この交差位置にカムフォロワが嵌まっているレンズ保持枠およびシャッタ機構43が繰り出される。レンズ保持枠には撮影レンズ42が嵌められているため、レンズ保持枠とともに撮影レンズ42も繰り出され、撮影可能な態勢に至る。撮影レンズ系の構成によっては、上記繰り出し動作に伴い、撮影レンズ42の後方に別のレンズが進出する方式のものもある。さらに、周知のとおり、回転筒の回転によってレンズ系の焦点距離が連続的に変化するズームレンズもある。レンズ系の構成、レンズ駆動機構の構成は周知のもので差支えないから、詳細な説明は省略する。
上記レンズ鏡筒の後部には、ベース37、後ろヨーク40、撮像素子固定枠45などを有してなる像振れ補正装置が組み込まれている。この像振れ補正装置は、像振れ検知信号によって撮像素子固定枠45の位置を撮像素子とともに制御することによって像振れを補正する方式である。以下、その具体例を説明する。
図1ないし図20は、像振れ補正装置の第1実施例を示す。図1ないし図20において、固定部であるベース37は、このベース部材37と板状の後ろヨーク40との間に可動部である可動枠1を挟み込み、可動枠1を撮影光軸に対し直交する面内において移動可能に支持している。可動枠1は、「撮像素子保持部」としてCCDなどの撮像素子3を一体的に保持した撮像素子固定枠45を、後で説明する角度(傾き)調整機構を介して一体的に保持している。ベース37には窓孔が形成され、この窓孔内に、可動枠1、撮像素子固定枠45および撮像素子3など多くの部品が位置している。上記後ろヨーク40は、適宜数の位置決め孔54を有し、これらの位置決め孔54をベース37の位置決め突起に嵌めることにより、ベース37に位置決めされて、また、ベース37との間に可動枠5を挟み込むようにして取り付けられている。なお、図1において、符号Oは光軸を示している。図1において右側が被写体側である。
撮像素子固定枠45は、回転規制部材70から一体に立ち上がった垂直方向の中間軸9に沿って移動可能であり、回転規制部材70はベース37に固定されている水平方向の軸48,49に沿って移動可能である。したがって、撮像素子固定枠45およびこれによって保持されている撮像素子3は、互いに直交する2軸方向に移動することができる。また、磁気吸引力を利用した光軸方向の位置規制機構が組み込まれて、撮像素子3の光軸方向の位置ずれが防止されている。以下、撮像素子固定枠45の2軸方向への駆動機構および撮像素子3の回転防止機構、光軸方向の位置規制機構について具体的に説明する。
図1ないし図3に示すように、可動枠1の下端部には回転規制部材70が配置されている。回転規制部材70は図3に示すように横長の本体部分を有し、本体部分の長さ方向の両端部にそれぞれスリット状の軸支部71,72が形成され、軸支部71の近傍には垂直方向の軸孔73が形成されている。軸支部71,72は、ベース37の窓孔の下部に固定された水平方向軸48,49を受け入れて、回転規制部材70の水平方向の移動をガイドするものである。回転規制部材70の軸支部71,72には軸受部材7(図17参照)が嵌め込まれかつ接着によって固着されている。各軸受部材7は図17に示すような板状の小片で、解放溝状の軸受部が形成され、この軸受部と回転規制部材70の一面とで水平方向軸48,49を挟み込むことにより、水平方向軸48,49に沿って回転規制部材70が移動できるようになっている。回転規制部材70は「第1方向移動部」となっている。
回転規制部材70の上記軸孔73には垂直方向の中間軸9の下端寄りの部分が摺動可能に嵌まっている。中間軸9の下端部は可動枠1の下端一隅部の軸固定部に軸固定部材8によって固定されている。軸固定部材8は図16に示すような板状の小片で、一端部に軸孔を有し、他端部は可動枠1への嵌合固定部となっている。この嵌合固定部が可動枠1の上記軸固定部に嵌められ、接着によって可動枠1に固定されている。軸固定部材8の上記軸孔に中間軸9の下端部が嵌められ一体に固着されている。このようにして可動枠1から中間軸9が立ち上がり、この中間軸9は上記のように回転規制部材70の軸孔73を貫通し、可動枠1の一面側に形成された溝に嵌まって可動枠1の上端部にまで至っている。中間軸9の上端部は、可動枠1の上端部において、図10、図18に示す軸固定部材25の介在のもとに可動枠1に固着されている。軸固定部材25は板状の小片で、一端部に軸孔を有し、他端部が可動枠1に嵌められ接着によって可動枠1に固着されている。軸固定部材25の上記軸孔に中間軸9の上端部が嵌まり、中間軸9は可動枠1に一体に取り付けられている。中間軸9は、可動枠1を水平方向軸48,49に直交する第2の方向に移動可能に案内する「第2方向ガイド部」となっている。
図1、図2に示すように、回転規制部材70は可動枠1の下端部寄りの位置において、可動枠1とベース37との間に位置し、水平方向軸48,49にガイドされて水平方向に移動することができる。回転規制部材70が水平方向に移動すると、回転規制部材70を垂直方向に貫通している中間軸9も水平方向に移動し、中間軸9に沿ってガイドされる可動枠1も水平方向に移動するようになっている。したがって、ベース37に対して可動枠1は水平方向にも垂直方向にも移動することができ、可動枠1に取り付けられている撮像素子固定枠45および撮像素子固定枠45で支持されている撮像素子3は、光軸に直交する平面内において、水平方向および垂直方向に移動することができる。回転規制部材70および中間軸9、水平方向軸48,49は、撮像素子3が光軸の周りに回転することを規制する回転規制機構を構成している。
可動枠1が水平方向の軸と垂直方向の軸によってガイドされる構造のみでは、可動枠1の光軸方向の位置が、ガタなどによって変動してしまう可能性がある。そこで、以下に述べるような磁気吸引力を利用した、光軸方向の位置規制機構が組み込まれている。ベース37の可動枠1との対向面の3か所に、非磁性材からなるボール受け板38、39、41が設けられ、これらのボール受け板の位置に磁性材からなる同じ直径の球状部材すなわちボール58、59、61が配置されている。可動枠1には上記ボール受け板38,39に対向する位置にボール移動規制部5、16が形成され、回転規制部材70にはボール受け板41に対向する位置にボール移動規制部10が形成されている。これらのボール移動規制部は、上記各ボール58、59、61の直径よりも大きい窓状の孔からなる。回転規制部材70のボール移動規制部10は、回転規制部材70の本体部分から図3において下方に、したがって光軸から離れる方向に張り出した部分に形成されている。
図10は、撮像素子固定枠45と回転規制部材70とが最も接近した状態を示している。図10に示すように、3つのボール位置規制部の中心を直線で結んだ三角形の中に、後で説明する四角錐形の受け孔88が配置されている。受け穴88は、この受け穴88に中心位置矯正係止レバー85のピン86が当接することによって撮像素子固定枠45を定位置で位置決めするために設けられている。受け穴88を上記三角形の中に配置することで、上記ピン86が受け穴88に当接することによって可動枠1を係止する際に安定して係止することができる。また、上記三角形の中に受け穴88を配置するに当たり、ボール移動規制部10を光軸方向から見て半径方向外側に張り出した部分に形成することによって、受け穴88を配置することができる範囲を広げることができる。なお、本実施例では、ボール移動規制部とボールとのセットを3つ設けているが、少なくとも3つ以上であれば良い。ボール移動規制部とボールとのセットが4つ以上の場合には、ボール移動規制部の中心を直線で結んで形成される最も大きい多角形の中に、受け孔88を配置すると良い。
このようにして3か所に設けられた磁気吸引力による光軸方向の位置規制機構のより詳細な構成を、図19、図20を参照しながら説明する。図19は、ボール58、ボール移動規制部5からなる光軸方向の位置規制機構を示しているが、ボール59、ボール移動規制部16からなる光軸方向の位置規制機構も同じ構成である。図19において、ベース37の前記ボール受け板38は、ベース37の面に固定された非磁性板からなり、この受け板38の裏側にマグネット76が固定されている。このマグネット76と磁性材からなるボール58に磁気吸引力が生じる。可動枠1のボール移動規制部5には磁性板78が固着され、この磁性板78にボール58が当接するようになっている。マグネット76と磁性材からなるボール58に磁気吸引力が生じ、かつ、ボール58と磁性板78との間にも磁気吸引力が生じる。この磁気吸引力によってボール58はボール受け板38に、可動枠1はボール58に常時接していて、可動枠1の光軸方向の位置ずれが防止される。また、ボール58の転動によって、ベース37に対する可動枠1の光軸に直交する面内での相対移動が許容される。上記磁気吸引力が強すぎると、ベース37に対し可動枠1が移動するときの抵抗が大きくなるので、適切な磁気吸引力になるように、非磁性板からなるボール受け板38の厚さを調整するとよい。
次に、ボール61、回転規制部材70のボール移動規制部10からなる光軸方向の位置規制機構について説明する。図20において、ベース37の前記ボール受け板41は、ベース37の面に固定された非磁性板からなり、この受け板41の裏側にマグネット79が固定されている。このマグネット79と磁性材からなるボール61に磁気吸引力が生じる。回転規制部材70にはボール受け板41との対向位置に窓孔状のボール移動規制部10が形成されていて、ボール移動規制部10がボール61の周囲を、空間的余裕をもってすなわち適宜の間隔をおいて囲んでいる。ボール移動規制部10の厚さはボール61の直径よりも小さく、ボール61の一部がボール移動規制部10から突出している。ボール移動規制部10から突出しているボール61は、ボール移動規制部10に対向して可動枠1に埋め込まれた磁性板80に当接するようになっている。マグネット79とボール61に磁気吸引力が生じ、かつ、ボール61と磁性板80との間にも磁気吸引力が生じる。この磁気吸引力によってボール61はボール受け板41に、可動枠1はボール61に常時接していて、可動枠1の光軸方向の位置ずれが防止される。また、ボール61の転動によって、ベース37に対する可動枠1の光軸に直交する面内での相対移動が許容される。上記磁気吸引力が強すぎると、ベース37に対し可動枠1が移動するときの抵抗が大きくなるので、適切な磁気吸引力になるように、非磁性板からなるボール受け板41の厚さを調整するとよい。
マグネット76によって、ボールと磁性板78は、マグネットの磁力が最も大きい位置(光軸に垂直な平面内での位置)に引き寄せられる。この状態が初期位置となるように、中心位置矯正係止レバー85の突起86と受け穴88との位置を調整することで、中心位置矯正係止レバー85が可動枠1を初期位置に係止するための力量を減らすことができる。
ベース37には、前記窓孔の上縁部に沿って水平方向に長い垂直駆動マグネット51が固着され、上記窓孔の一方の側縁部に沿って垂直方向に長い水平駆動マグネット52が固着されている(図1参照)。ベース37にも、垂直駆動マグネット51に対向して垂直駆動マグネット62が、水平駆動マグネット52に対向して水平駆動マグネット63が固着されている(図2参照)。垂直駆動マグネット51、62は上下方向に分極して着磁され、水平駆動マグネット52、63は水平方向に分極して着磁されている。また、相対向するマグネットは異極同士が対向し、相対向するマグネット間に磁界が形成されている。後ろヨーク40は磁性板からなり、相対向する上記駆動マグネットで形成される磁気回路の磁気抵抗を低減している。また、ベース37側の上記マグネット51,52は、ベース37に固定されたヨーク82,83にそれぞれ固定され、プラスチックなどの非磁性体からなるベース37であっても上記磁気回路の磁気抵抗を低減している。
可動枠1には、垂直駆動マグネット51、62の双方に対向してすなわちマグネット51、62に挟まれて垂直駆動コイル4が一体に取り付けられている。垂直駆動コイル4は垂直駆動マグネット51、62に対応して水平方向に長い長方形状に導線が巻かれていて、水平方向の導線部分によって垂直方向の推力が発生するようになっている。可動枠1にはまた、水平駆動マグネット52、63に対向してすなわちマグネット52,63に挟まれて水平駆動コイル15が取り付けられている。水平駆動コイル15は水平駆動マグネット52、63と対向しかつ水平駆動マグネット52、63に対応して垂直方向に長い長方形状に導線が巻かれていて、垂直方向の導線部分によって水平方向の推力が発生するようになっている。
垂直駆動コイル4への通電を制御することにより可動枠1が垂直方向に移動し、水平駆動コイル15への通電を制御することによって可動枠1が水平方向に移動する。可動枠1の移動範囲は、前記3個のボール移動規制部5、10、16内でボール58,59,61が移動することができる範囲内に規制される。上記各駆動コイルとこれらに対向するマグネットで、撮像素子保持部に付勢力を与える駆動部を構成している。
後ろヨーク40の可動枠1との対向面には上下に分極した垂直位置検出用マグネット65(図2参照)が固着され、可動枠1には垂直位置検出用マグネット65と対向する位置に垂直位置検出磁気センサ66(図1参照)が取り付けられている。また、後ろヨーク40の可動枠1との対向面には左右に分極した水平位置検出用マグネット67(図2参照)が固着され、可動枠1には水平位置検出用マグネット67と対向する位置に水平位置検出磁気センサ68(図1参照)が取り付けられている。磁気センサ66,68は、例えばホール素子からなる。上記垂直駆動コイル4、水平駆動コイル15への通電制御は、図示されない加速度センサなどによる手振れ検出信号に基づき、上記磁気センサ66,68の出力により検出される可動枠1の位置を勘案しながら行われる。
可動枠1には撮像素子3を保持した撮像素子固定枠45が取り付けられるが、撮像素子3の撮像面を光軸に対して精度よく正対させる必要があるため、可動枠1と撮像素子固定枠45との間に角度調整機構が介在している。角度調整機構は、撮像素子3の傾き調整機構ということもできる。以下、角度調整機構について説明する。図10ないし図15において、撮像素子3および上記磁気センサ66,68はフレキシブル回路基板14に実装された状態で撮像素子固定枠45に嵌められ固定されている。撮像素子固定枠45は可動枠1に対し3点で当接している。1点は位置不変の支点であり、他の2点が位置可変となっていて、この位置可変の2点を調整することによって、撮像素子固定枠45と可動枠1との当接する点の高さを変更し、撮像素子保持部の角度調整を行うようになっている。
図14、図15に示すように、撮像素子固定枠45は横長の長方形の枠形になっていて、この枠内に上記撮像素子3を受け入れて固定している。可動枠1には上記撮像素子固定枠45を受け入れる窓孔が形成されている。撮像素子固定枠45の長手方向一端部外側には、上下方向の中心位置に、支点となりかつ先端が半球形の突起455(図15参照)が形成されている。可動枠1の窓孔の一側縁部には四角形状の突片が一体成形されていて、この突片には、上記突起455と対向する位置に円錐形状の受け穴111が形成されている(図14参照)。この受け穴111に撮像素子固定枠45の突起455の先端が嵌まり、受け穴111と突起455の接点を支点として撮像素子固定枠45を煽ることができるようになっている。これによって、光軸に対する撮像素子3の傾きを調整することができる。
受け穴111と突起455の嵌まり合いを維持しながら角度調整を可能にするために、撮像素子固定枠45の一端部が板ばね17によって可動枠1に引き付けられている。板ばね17は長さ方向の両端部が同じ方向にほぼ90度に折り曲げられ、この折り曲げ部にそれぞれ係合孔171,172が形成され、全体的に緩やかに湾曲している。撮像素子固定枠45の一端部には外側に向かって突出部が形成され、この突出部の上下に、上記係合孔171,172を嵌める係合突起453,454が形成されている。板ばね17は長手方向を上下方向にして移動枠1の前記窓孔の一側部に挿入され、その係合孔171,172を撮像素子固定枠45の係合突起453,454に嵌められている。板ばね17は、可動枠1の上記受け穴111が設けられている突出部を、撮像素子固定枠45との間で挟み込むようにして撮像素子固定枠45を引き付け、上記受け穴111と突起455の嵌まり合いを維持するようになっている。
撮像素子固定枠45には、上記突起455形成側とは反対側の上下に、撮像素子固定枠45から一体に延びたアームの先端部にカムフォロワ451,452が形成されている。可動枠1には、カムフォロワ451,452とほぼ対向する位置にカム部材33,29が取り付けられ、後で説明するばね50の付勢力でカムフォロワ451,452がカム部材33,29のカム面に当接している。カム部材33,29は撮像素子固定枠45との対向面に形成された軸孔に回転可能に、かつ、回転位置を任意に調整可能に取り付けられていて、撮像素子固定枠45との対向面が螺旋状のカム面、すなわち軸方向の高さが連続的に変化するカム面になっている。
可動枠1には、上記カム部材33,29取り付け側の端部において、かつ、上下方向中間部において、外方に伸びたばね掛け74が一体に形成され、このばね掛け74には、ばね50が掛けられている。ばね50は線ばねで、その中央部が円形の巻き回し部になっていてこの巻き回し部が上記ばね掛け74に嵌められている。ばね50の一端部501は直線的に伸びているのに対し、ばね50の他端部502は前記撮像素子3の受光面と平行な面内において斜めに折り曲げられている。撮像素子固定枠45には、ばね50の一端部501を受け入れる溝455とばね50の他端部502を受け入れる溝456が形成されている。これらの溝455,456は、撮像素子固定枠45の一端部上下から一体に伸びた前記アームのカムフォロワ451,452形成面とは反対面に形成されている。したがって、撮像素子固定枠45のカムフォロワ451,452形成側は、ばね50の付勢力で可動枠1側に向かって押し付けられ、カムフォロワ451,452がカム部材33,29のカム面に当接することによって上記付勢力による撮像素子固定枠45の移動が規制されている。
このようにして、前記受け穴111と突起455の接点と、カムフォロワ451,452とカム部材33,29の接点とを結ぶ線がほぼ二等辺三角形をなしている。カム部材33,29の回転位置をドライバなどで調整すると、受け穴111と突起455の接点を支点として撮像素子固定枠45および撮像素子固定枠45に固定されている撮像素子3の傾きを調整することができる。カム部材33,29の片方を調整すれば撮像素子固定枠45の上下方向の傾きを調整することができ、カム部材33,29の両方を同じ向きに調整すれば撮像素子固定枠45の左右方向の傾きを調整することができる。撮像素子3の受光面が光軸に対して精度良く正対するように、カム部材33,29を調整する。
撮影のために撮像装置の電源スイッチをオンしたとき、あるいは、像振れ防止装置のスイッチをオンしたとき、撮像素子固定枠45が中立点から偏った位置にあるとすると、像振れ補正開始時の補正移動方向によっては大きなストロークが必要になって迅速な像振れ補正ができなくなる。そこで、以下に述べるような中心位置矯正機構が設けられている。
図1乃至図10において、ベース37の下部には中心位置矯正係止レバー85が取り付けられている。中心位置矯正係止レバー85の基端部は図示されない駆動機構と連係していて、この駆動機構が作動することにより、中心位置矯正係止レバー85は姿勢を変えることなくベース37の面に対し接近および離脱するように構成されている。中心位置矯正係止レバー85は可動枠1の面と平行に斜め方向に立ち上がっていて、その先端部にはピン86が可動枠1に向かい突出して取り付けられている。可動枠1には、上記ピン86と対向する位置に四角錐形の受け孔88が形成されている。受け孔88は撮像素子固定枠45の移動範囲と同じかそれよりも広い範囲に広がっていて、撮像素子固定枠45がどの位置にあっても上記ピン86を受け入れることができるようになっている。中心位置矯正係止レバー85と、図示されない駆動機構は、撮像素子固定枠45と当接する時は撮像素子固定枠45が移動しないように係止する係止部としても機能する。
中心位置矯正係止レバー85は、撮像装置の電源スイッチがオフになったときあるいは、像振れ補正機構の動作がオフになったとき、図示されないモータなどを含む駆動機構によってベース37に向かって近づく向き(光軸方向において被写体に向かう向き)に駆動される。この動作(係止動作)によって上記ピン86が上記受け孔88に嵌まり、ピン86が受け孔88の斜面に当接することによって生じる分力で撮像素子固定枠45が移動させられ、ピン86が受け孔88の底部に至ることによって、撮像素子固定枠45が定位置で、すなわち移動範囲の中心位置で停止する。この状態では、中心位置矯正係止レバー85が撮像素子固定枠45を係止しており、撮像素子固定枠45は移動しない。
中心位置矯正係止レバー85は、撮像装置の電源スイッチがオンになったときあるいは、像振れ補正機構の動作がオンになったとき、図示されないモータなどを含む駆動機構によってベース37から離れる向き(光軸方向において被写体から離れる向き)に駆動される。この動作(係止解除動作)によって、ピン86と受け孔88とが当接しなくなり、撮像素子固定枠45は移動可能な状態になる。なお、この係止解除動作が行われるのと同時、あるいは、この係止解除動作が行われるより前に、コイルに電流を流すことにより撮像素子固定枠の位置を初期位置に位置させるよう制御しても良い。
以上説明した実施例によれば、撮像素子3を固定した撮像素子固定枠45および可動枠1は、光軸方向の位置をボールによって規制された状態のまま、光軸に垂直な平面内で移動するので、ガイド軸とガイド軸の支持部との間の摩擦は、光軸に垂直な平面内での可動部の回転を規制することによる摩擦だけで済み、ガイド軸とガイド軸の支持部との間の光軸方向の摩擦は少ない。よって、可動枠1の作動に必要な力量を低減することができる。
以上説明した実施例は、要するに、可動枠1が移動するときボールの転がり抵抗のみがかかるようにして可動枠が軽快に動くようにするとともに、ボールに磁気吸引力を作用させて可動枠1のがたつき防止を図った像振れ補正装置において、可動枠1の回転防止機構と光軸方向の位置規制機構を分離したことを特徴としている。これによって可動枠1の移動に要する力量を低減し、像振れ補正装置で消費される電力を軽減し、電源電池の寿命を長くすることができる。
撮像素子をレンズ光軸に直交する面内で移動させることにより像振れを補正する像振れ補正装置において、固定部、複数の球状部材および可動部を相互に磁気吸引力で吸着することにより、撮像素子保持部の光軸方向の位置規制手段を備えているため、撮像素子の光軸方向の位置を安定に維持することができる。上記可動部とともに一方向に移動し、この移動方向に対し直交する方向には移動せず、可動部の回転を規制する回転規制部材を備えているため、可動部がこの移動方向に対し直交する方向に移動するときの力量を低減することができ、像振れ補正装置で消費される電力の軽減および電源電池の長寿命化を図ることができる。
また、回転規制部材に設けられている球状部材移動規制部を、回転規制部材の本体部分に形成すれば、光軸方向から見た球状部材移動規制部の半径方向外側への張り出しを抑制することができ、像振れ補正装置の小型化を図ることができ、像振れ補正装置を備えたレンズ鏡筒、撮像装置および携帯情報端末の小型化を図ることができる。
次に、図22乃至図26に示す第2の実施例について説明する。第1の実施例でも第2の実施例でも、3箇所に設けたガタつき防止機構のうちの一つは、ボール移動規制部が回転規制部材70に設けられている。第1の実施例では、図1乃至図3などからわかるように、回転規制部材70に設けられているボール移動規制部10が、回転規制部材70の本体部分よりも図において下方に、すなわち光軸を中心とした半径方向外側に張り出した位置に設けられ、このボール移動規制部10に対応した位置にボール受け板41などが配置されている。3箇所の光軸方向の位置規制機構を互いに遠ざけることにより、撮像素子固定枠45を安定に支持するためである。しかし、このような構成にすると、光軸方向から見た像振れ補正装置の面積が大きくなる難点がある。第2の実施例では、かかる難点を解消している。なお、第2の実施例の構成のほとんどは第1の実施例の構成と同じであるから、同じ構成部分および同じ機能部分には共通の符号を付した。
第2の実施例では、第1の実施例における回転規制部材70のように、回転規制部材70に、ボール移動規制部10を設けるための張り出し部を外側に向かって設けるのではなく、図26に示すように水平方向に長い本体部分のみからなる形にし、これに窓孔状の貫通孔からなるボール移動規制部10を形成している。回転規制部材70は、第1の実施例における回転規制部材70と同様に、両端部に前記水平方向軸48,49を受け入れる軸支持部71,72を有し、軸支持部71近傍において垂直方向の中間軸9の下端寄りの位置を一体に保持している。上記ボール移動規制部10内には磁性材からなるボール61が配置され、前記ベース37には上記ボール移動規制部10に対向する位置に受け板41およびその裏面側にマグネットが固定され、前記可動枠1にはボール移動規制部10に対向する位置に磁性板80が固定されている。このようにしてボール61と受け板41、ボール61と磁性板80が上記マグネットによる磁気吸引力で相互に吸着され、ベース37と可動枠1相互の光軸方向のがたつきが防止され、また、可動枠1の移動範囲がボール移動規制部10によって規制されている。図22では、垂直方向を矢印Yで、水平方向を矢印Xで示している。以上説明した構成以外は第1の実施例の構成と同じであるから、説明は省略する。
第2の実施例によれば、回転規制部材70の本体部分にボール移動規制部10を設けたため、像振れ補正装置を光軸方向から見たとき、ボール移動規制部10が半径方向外側に向かって広がることを回避することができ、像振れ補正装置の一層の小型化を図ることができる。
ところで、像振れ補正装置が組み込まれている撮像装置などにおいては、コンパクト化を図るために、撮像素子と、この撮像素子が出力する画像データを処理する制御装置との間をフレキシブル回路基板(以下「FPC」という)で電気的に接続している。FPCは僅かな隙間にも、また曲がりくねった隙間にも配置することができ、装置のコンパクト化に有効だからである。FPCは、一端が撮像素子に接続され、他端が制御装置に接続され、途中が折り曲げられているのが普通である。ところが、撮像素子を移動させて像振れを補正する方式では、像振れ補正によって撮像素子が移動するため、撮像素子が移動するたびに、FPCの反力によって、光軸周りの回転力、光軸に垂直な方向の回転力が撮像素子およびこれを保持する可動枠に加わる。この可動枠は、移動を可能にするために、ガイド部材などとの間に所定のガタが付与されている。
そのため、上記可動枠が所定の可動範囲の限界付近にある場合、FPCの反力によって可動枠が光軸に対し垂直な方向に回転し、固定部に対する可動枠の当接位置すなわち移動限界位置が定まらない。図46はこれを図解したもので、光軸Oに対して垂直な方向の軸(図46では紙面に垂直をなす方向の軸)を中心に可動部材が回転した状態を示していて、可動部材の平坦な一端面110が固定部の平坦な当接面120に当接することを想定している。可動枠の移動方向は、矢印で示すように当接面120に対して直角方向である。可動部材が回転することなくその平坦な端面が当接面120に当接すれば何ら問題はない。しかし、FPCの反力によって図46に示すように可動部材が角度θだけ回転したとすると、可動部材の端面の角が当接面120に当たり、設計上の当接位置Aに対して実際の当接位置Bがずれ、設計上の可動範囲と実際の可動範囲が異なることになる。結果的には、位置検出器の誤差が発生し、制御装置に誤った命令を出すことになって像振れ補正の精度が劣化する。
上記FPCの反力によって可動枠を光軸周りに回転させる力も働く。可動枠が光軸周りに回転しようとする力が働いているとき固定部の当接面に当接すると、可動枠を移動可能に支持しているガイド軸などに大きな回転モーメントが加わり、経時的に軸や軸受が変形し、摩擦抵抗の増加によって像振れ補正精度が劣化する可能性がある。
レンズを動かすことによって像振れ補正を行う方式において、レンズ移動枠の回転を規制するものは知られている(例えば、特許文献4参照)。しかし、レンズは、撮像素子の様に数十本以上の信号線で構成されたFPCを引きずりながら動くものではなく、例えば、アクチュエータを構成するコイルの線数本を引きずるにとどまり、FPCの反力は極めて小さいため回転をほとんど考慮する必要がなく、回転規制構造を付加することに特別の工夫は不要でそれほど困難なものではない。その点、本発明は撮像素子を移動させて像振れを補正する方式であるから、撮像素子の移動規制構造には、特許文献4記載の発明とは異なった、特有の工夫を施す必要がある。
以下に説明する第3実施例は、撮像素子を回転させようとする力を低減ないしはなくすためのストッパを備えていることを特徴とする。
第3実施例の構成を説明する前に、互いに直交する3軸について説明する。図27において、Z軸は撮影レンズの光軸であり、X軸とY軸は互いに直交するとともにZ軸にも直交する方向の軸である。X軸は前記実施例における水平方向軸48,49と同じ方向であり、Y軸は垂直方向の前記中間軸9と同じ方向である。X,Y方向の中心軸と光軸であるZ軸が交わる位置を、像振れ補正のための前記撮像素子保持部の原点とする。
図28、図29、図30において、前記撮像素子固定枠の介在のもとに撮像素子を一体的に保持する可動枠1(すなわち撮像素子保持部)には、カム部材29,33を装着するための基台100に、それぞれ外側に向けて凸部91が形成されている。これらの凸部91は、固定部であるベース37に形成されている平坦な壁面からなる受け面92に所定の間隔をおいて対向している。これらの凸部91と受け面92は、上記撮像素子保持部のX軸方向の一方側への移動限界を画するストッパを構成している。この二つのストッパは、図29に示すように、前記水平駆動マグネット52,63および水平駆動コイル15からなる水平方向の駆動部による駆動力の中心線95を挟んで両側に、かつ、駆動力の中心軸線95からの各距離a,bがほぼ等しくなる位置に設けられている。各凸部91は、光軸方向に湾曲していて、光軸方向に関しては受け面92に点接触するようになっている。
図28、図29、図30に示す第3実施例によれば、撮像素子保持部がX軸方向の一方側への移動限界に達すると、二つの凸部91が各受け面92に当接して撮像素子保持部の移動を規制する。撮像素子保持部の移動とともにFPC14に反力が生じて撮像素子保持部およびこれと実質一体の撮像素子に光軸に直交する方向の軸すなわちX軸またはY軸を中心とする回転モーメントが生ずる。しかし、各凸部91は、光軸方向に湾曲していて、光軸方向に関しては受け面92に点接触するようになっているため、上記回転モーメントによって凸部91の受け面92との対向位置が変動しても、X軸方向における受け面92に対する凸部91の接触位置が変動することはない。したがって、撮像素子保持部の位置検出誤差がなく、制御装置に誤った命令を出すこともないから、像振れ補正の精度が高まる。ちなみに、撮像素子保持部の位置検出は例えばホール素子などを用いて検出していて、この検出信号に基づいて、像振れ補正時の撮像素子保持部の移動量を制御している。
図47は、上記位置検出誤差がないことを模式的に示している。図47において上下方向がZ軸方向で、符号111は凸部を、120は受け面を示している。凸部111はZ軸方向に円弧を描いている。図47(a)はZ軸に直交する方向の軸を中心にして撮像素子保持部が回転した状態を、図47(b)は撮像素子保持部が回転していない状態を示している。いずれの状態においても凸部111と受け面120との当接位置は変わりがなく、図46について説明したような設計上の可動範囲と実際の可動範囲が異なることはなくなる。これによって像振れ補正の精度が低下することはなくなる。
図28、図29、図30に示す第3実施例では、水平方向の駆動部による駆動力の中心軸線95を挟んで両側に、かつ、駆動力の中心軸線95からほぼ等距離に凸部91が設けられているため、双方の凸部91が同時に受け部92に当たって位置規制され、位置規制による撮像素子保持部の回転量を少なくすることができる。これによって撮像素子保持部の位置検出誤差を少なくし、像振れ補正の精度を高めることができる。
なお、図30に示すように、撮像素子保持部としての移動枠1のY軸方向の全長をL1、上記双方の凸部91の中心のY軸方向の距離をL2としたとき、L2は、L1の1/4以上に設定する。L1がL1の1/4以上であることによって、凸部91を複数に分けたことによる上記の効果を有効に得ることができるからである。
図28乃至図30では、X軸方向一方側のストッパのみを示しているが、X軸方向他方側にもストッパが設けられている。他方側のストッパも、上記一方側のストッパと同様に構成することができるから、説明は省略する。
次に、第3実施例の各種変形例について説明する。
図31に示す変形例は、図28乃至図30に示す実施例における凸部と受け部を設ける位置を逆にしたものである。すなわち、凸部94を固定部としてのベース37側に形成し、撮像素子保持部としての可動枠1の前記基台100に受け部93を設けている。凸部94と受け部93からなるストッパは、図28乃至図30に示す実施例と同様にX軸方向一方側に二つ設けられ、X軸方向他方側にも二つ設けられている。各凸部94は光軸方向に湾曲して設けられている。
図31に示す例においても、図28乃至図30に示す実施例と同様の作用効果を奏する。
図28乃至図30に示す第3実施例のさらに別の変形例を図32乃至図35に示す。この変形例は、図28乃至図30に示す実施例における凸部の形状が異なるだけで、その他の構成は同じである。図31乃至図35において、凸部96は、光軸方向であるZ軸方向にもX軸方向にも湾曲している。Z軸方向の半径は大きく、X軸方向の半径は小さく、楕円形のボールの一部を切り取ったような形をしている。凸部96は、固定部であるベースに形成されている平坦な受け部92に対向している。
この変形例においても、図28乃至図30に示す実施例と同様の作用効果を奏する。
図28乃至図30に示す第3実施例のさらに別の変形例を図36乃至図38に示す。この変形例は、ストッパを構成する凸部97が半球形になっている点が図28乃至図30に示す実施例と異なるだけで、他の構成は同じである。この例における凸部97も光軸方向に湾曲している。この変形例においても、図28乃至図30に示す実施例と同様の作用効果を奏する。
図28乃至図30に示す第3実施例のさらに別の変形例を図39乃至図41に示す。この変形例は、ストッパを構成する凸部98が撮像素子保持部としての可動枠1の前記基台100の上端部において円筒形状に、かつ、円筒の中心軸線が光軸に直角をなして水平方向に形成されている点が図28乃至図30に示す実施例と異なる。他の構成は図28乃至図30に示す実施例と同じである。このような凸部98を形成することによって、撮像素子保持部の位置検出誤差をなくし、あるいは低減することができる。
上記作用効果を図48に模式的に示している。図48(a)は撮像素子保持部が回転した状態を、図48(b)は回転していない状態を示す。符号112は上記凸部98に相当する凸部を、120は凸部112と対向する受け面を示す。凸部112が撮像素子保持部とともに回転しても回転しなくても、凸部112と受け面120との当接位置は変わりがなく、図46について説明したような設計上の可動範囲と実際の可動範囲が異なることはなくなる。これによって像振れ補正の精度が低下することはなくなる。
図28乃至図30に示す第3実施例のさらに別の変形例を図42乃至図44に示す。この変形例は、ストッパを構成する凸部102が撮像素子保持部としての可動枠1の前記基台100の上端部において半球形状に、かつ、この凸部102形成面101の上端部のごく一部に形成されている点が図28乃至図30に示す実施例と異なるだけで、他の構成は同じである。この凸部102も図48について説明したとおりの作用効果を奏する。また、図42乃至図44に示す変形例においても、図28乃至図30に示す実施例と同様の作用効果を奏する。
図27乃至図44に示す実施例は、撮像素子保持部のX軸方向への移動限界を画するストッパの構成に関するものであったが、撮像素子保持部はY軸方向へも移動するものであるから、Y軸方向への移動限界を画するストッパを備えていることが望ましい。図45はY軸方向のストッパを構成する凸部の例を示す。図45において、撮像素子保持部としての可動枠1には、Y方向の両端部のそれぞれ2か所に、凸部105がY方向外側に向けて設けられている。Y方向両端部の2個の凸部105相互の距離は、前記X軸方向への可動枠1の移動を規制する凸部の配置例と同様に、可動枠1のX方向の全長の1/4よりも長くなっている。Y軸方向上端側の2つの凸部105は可動枠1のボール位置規制部5,15の外側面に、Y軸方向下端側の1つの凸部105はボール位置規制部10の外側面に、もう一つの凸部105は可動枠1の適宜の位置に設けられている。
上記各凸部105は、固定部としての前記ベース37に形成された平坦な受け面に対向し、凸部105が上記受け面に当たることによって、像振れ補正による可動枠1のY方向への移動限界を画するようになっている。
以上説明した図45に示す例においても、図27乃至図44に示す例について説明したような各種変形例と同様に変形することができる。例えば、凸部を固定部側に、受け面を可動枠1側に設けてもよい。また、凸部の形状を、前述の各種変形例のように、球面、楕円球面、円筒面などに変更してもよい。
図28乃至図30に示す第3実施例のさらに別の変形例を図49に示す。図49は像振れ補正装置を背面からみた様子を示している。この変形例では、可動枠1側にある前記ばね掛け74の先端が凸部201となっていて、固定部であるベース37には、受け面202が形成されている。この凸部201と受け面202が、撮像素子保持部の移動範囲を制限している。この凸部201と、凸部201に対向する平面からなる受け面202の組み合わせが、駆動力の中心線95の略延長上に設けられていて、前述のストッパを形成している。これにより駆動力によって発生するトルク(力量)を効率的に抑えることができる。可動枠1の回転を規制するための前記ストッパは、前述の実施例のように必ずしも駆動力の中心線95方向の両側にある必要はなく、駆動力の中心線95に1つ、さらに駆動力の中心線95以外の場所に最低2個所あれば可動枠1の回転を規制できる。以上説明した図45に示す例においても、図27乃至図44に示す例について説明したような各種変形例と同様に変形することができる。例えば、凸部201をベース37側に、受け面202を可動枠1側に設けてもよい。また、凸部の形状を、前述の各種変形例のように、球面、楕円球面、円筒面などに変更してもよい。その他の構成は図28乃至図30に示す実施例と同じである。
この変形例においても、図28乃至図30に示す実施例と同様の作用効果を奏する。
第3の実施例によれば、一端部が前記撮像素子に接続され他端部が制御部に接続されて前記撮像素子が出力する画像データを前記制御部に送信するFPCを備えたものにおいて、前記撮像素子保持部と前記固定部にそれぞれ凸部とこの凸部に対向する平面からなる受け面を形成して、前記固定部に対する前記撮像素子保持部の移動範囲を制限するように構成し、前記凸部は、光軸方向に湾曲させておけば、像振れ補正のための撮像素子の移動限界において撮像素子の移動を規制したとき、FPCの反力などによる撮像素子の回転を効果的に規制し、像振れ補正精度の低下を防ぐことができる。