JP2011158738A - 光学機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】像振れ補正装置においてベース部材やシフト部材に対するボールの押圧による耐久性の低下を防止する。
【解決手段】光学機器は、光学素子L3を保持してシフト可能なシフト部材22と、シフト部材をシフトさせるアクチュエータ24p,28pと、ベース部材21とシフト部材との間に配置され、ベース部材に形成された凹部21aの内側面よりも内側の転動範囲にて転動しながらシフト部材のシフトをガイドするボール20と、ベース部材とシフト部材との間にボールを挟み込む付勢力を作用させる付勢手段24p,29pと、アクチュエータを制御するコントローラ105とを有する。コントローラは、1又は複数回のボールリセット制御において、リセット位置が変化するように、シフト部材を順次シフトさせる方向の順序またはシフト部材をシフト中心に向けて最後にシフトさせる方向を変更する。
【選択図】図1
【解決手段】光学機器は、光学素子L3を保持してシフト可能なシフト部材22と、シフト部材をシフトさせるアクチュエータ24p,28pと、ベース部材21とシフト部材との間に配置され、ベース部材に形成された凹部21aの内側面よりも内側の転動範囲にて転動しながらシフト部材のシフトをガイドするボール20と、ベース部材とシフト部材との間にボールを挟み込む付勢力を作用させる付勢手段24p,29pと、アクチュエータを制御するコントローラ105とを有する。コントローラは、1又は複数回のボールリセット制御において、リセット位置が変化するように、シフト部材を順次シフトさせる方向の順序またはシフト部材をシフト中心に向けて最後にシフトさせる方向を変更する。
【選択図】図1
Description
本発明は、光学素子を光軸に直交する方向にシフトさせて像振れを補正する機能を備えた光学機器に関する。
カメラ、交換レンズ、双眼鏡等の光学機器には、手振れ等の機器振れを振れセンサにより検出し、検出結果に応じてレンズ等の像振れ補正用光学素子を光軸に直交する方向にシフトさせることで像振れを抑制(補正)する像振れ補正装置が搭載されているものがある。
特許文献1にて開示された像振れ補正装置では、ベース部材と振れ補正用光学素子を保持して該ベース部材に対してシフトするシフト部材との間にボールを配置し、該ボールの転動によってシフト部材をベース部材に対して光軸に直交する方向にガイドする。ボールは、ベース部材とシフト部材のうち少なくもと一方に形成された凹部の内側に配置され、該凹部の内側面に当接しない範囲で該凹部の底面上で転動することで、シフト部材のシフトに伴って大きな摩擦(底面に対する滑り摩擦)が発生しないようになっている。
また、特許文献1の像振れ補正装置では、電源投入時や電源遮断時等の適当なタイミングにて、シフト部材を互いに異なる方向に順次シフトさせてボールを凹部の内側面の互いに異なる位置に順次当接させる。これにより、ボールを凹部の底面の中心又はその近傍であるリセット位置に移動させ、その後の振れ補正のためのシフト部材のシフト中にボールが凹部の内側面に当接することで該ボールが凹部の底面に対して滑り移動しないようにしている。このような動作を、ボール初期化又はボールリセットという。
特許文献1にて開示された像振れ補正装置では、ベース部材と振れ補正用光学素子を保持して該ベース部材に対してシフトするシフト部材との間にボールを配置し、該ボールの転動によってシフト部材をベース部材に対して光軸に直交する方向にガイドする。ボールは、ベース部材とシフト部材のうち少なくもと一方に形成された凹部の内側に配置され、該凹部の内側面に当接しない範囲で該凹部の底面上で転動することで、シフト部材のシフトに伴って大きな摩擦(底面に対する滑り摩擦)が発生しないようになっている。
また、特許文献1の像振れ補正装置では、電源投入時や電源遮断時等の適当なタイミングにて、シフト部材を互いに異なる方向に順次シフトさせてボールを凹部の内側面の互いに異なる位置に順次当接させる。これにより、ボールを凹部の底面の中心又はその近傍であるリセット位置に移動させ、その後の振れ補正のためのシフト部材のシフト中にボールが凹部の内側面に当接することで該ボールが凹部の底面に対して滑り移動しないようにしている。このような動作を、ボール初期化又はボールリセットという。
上記のようなボールガイドタイプの像振れ補正装置では、ベース部材とシフト部材との間に、バネ力や磁力によってボールを挟み込む方向に付勢力を作用させてベース部材とボールとシフト部材の光軸方向での当接状態を維持している。しかしながら、ボールリセットが行われた後に長時間、振れ補正動作が行われないと、上記付勢力によってボールがベース部材やシフト部材におけるボール受け面(凹部の底面や該底面に対向する面)に押圧され続け、この結果、受け面に凹みが生じるおそれがある。このような凹みは、シフト部材の駆動特性を変化させ、像振れ補正性能を低下させる。
本発明は、ボールガイドタイプの像振れ補正装置におけるベース部材やシフト部材に対するボールの押圧による耐久性の低下を防止できるようにした光学機器を提供する。
本発明の一側面としての光学機器は、像振れ補正用の光学素子を含む光学系と、ベース部材と、該光学素子を保持し、ベース部材に対して光学系の光軸に直交する方向にシフト可能なシフト部材と、該シフト部材をシフトさせるアクチュエータと、ベース部材とシフト部材との間に配置され、ベース部材とシフト部材のうち少なくとも一方に形成された凹部の内側面よりも内側の転動範囲にて転動しながらベース部材に対するシフト部材のシフトをガイドするボールと、ベース部材とシフト部材との間にボールを挟み込む付勢力を作用させる付勢手段と、アクチュエータの動作を制御するコントローラとを有する。コントローラは、シフト部材を互いに異なる方向に順次シフトさせることによってボールを凹部の内側面における互いに異なる位置に順次当接させた後、シフト部材をシフト中心に戻すことで転動範囲内のリセット位置に移動させるようにアクチュエータを動作させるボールリセット制御を行う。そして、コントローラは、1又は複数回のボールリセット制御において、リセット位置が変化するように、シフト部材を順次シフトさせる方向の順序またはシフト部材をシフト中心に向けて最後にシフトさせる方向を変更することを特徴とする。
本発明によれば、1又は複数回のボールリセット制御において自動的にボールのリセット位置が変更される。このため、上記付勢力によってボールがベース部材やシフト部材における同じリセット位置に押圧されることを回避でき、この結果、ベース部材やシフト部材にボールの押圧による凹み等の変形や摩耗が生じることを防止できる。すなわち、該凹みに起因した像振れ補正性能の低下を回避でき、高い像振れ補正性能を維持することができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図2および図3には、本発明の実施例1である光学機器としての撮像装置(ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等)のレンズ鏡筒部の構成を示している。
L1は固定の第1レンズユニット、L2は光軸方向に移動して変倍を行う第2レンズユニットである。L3は光軸に直交する方向(ピッチ方向およびヨー方向)にシフトして像振れ補正を行う像振れ補正用光学素子としての第3レンズユニット(シフトレンズユニット)である。L4は光軸方向に移動して焦点調節を行う第4レンズユニットである。
1は第1レンズユニットL1を保持する固定筒、2は第2レンズユニットをL2保持する第2移動枠である。3は第3レンズユニットL3をピッチ方向およびヨー方向にシフト像振れ補正装置としてのシフトユニットである。4は第4レンズユニットL4を保持する第4移動枠である。
5はCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子が固定される後部固定筒である。固定枠1と後部固定筒5はビスによって結合される。シフトユニット3は、後部固定筒5に固定される。
8、9、10、11はガイドバーであり、固定筒1と後部固定筒5とによって保持されている。ガイドバー8、9は、第2移動枠2を光軸方向に移動可能に支持し、ガイドバー10、11は、第4移動枠4を光軸方向に移動可能に支持する。
12は第1〜第4レンズユニットL1〜L4により構成される撮影光学系を通過する光量を変化させる絞りユニットであり、2枚の絞り羽根を互いに逆方向に移動させることで開口径を変化させる。
13は第4レンズユニットL4を光軸方向に移動させて焦点調節動作を行わせるフォーカスモータである。フォーカスモータ13は、回転するロータと同軸のリードスクリュー13aを有している。リードスクリュー13aには、第4移動枠4に取り付けられたラック4aが噛み合っている。ロータの回転により、ラック4aを介して第4移動枠4と第4レンズユニットL4が光軸方向に移動する
14は第2レンズユニットL2を光軸方向に移動させて変倍動作を行わせるためのズームモータである。ズームモータ14は、回転するロータと同軸のリードスクリュー14aを有している。リードスクリュー14aには、第2移動枠2に取り付けられたラック2aが噛み合っている。ロータの回転により、ラック2aを介して第2移動枠2と第2レンズユニットL2が光軸方向に移動する。
ねじりコイルバネ2bは、第2移動枠2、ガイドバー8、9、ラック2aおよびリードスクリュー14aを互いのガタを除去する方向に付勢している。また、ねじりコイルバネ4bは、第4移動枠4、ガイドバー10、11、ラック4aおよびリードスクリュー13aを互いのガタを除去する方向に付勢している。
ズームモータ14とフォーカスモータ13はそれぞれ、後部固定筒5にビスで固定される。
15は第2移動枠2に形成された遮光部2cの光軸方向への移動を光学的に検出するズームリセットセンサであり、第2レンズユニットL2が基準位置(リセット位置)に位置していることを検出する。
16は第4移動枠4に形成された遮光部4cの光軸方向への移動を光学的に検出するフォーカスリセットセンサであり、第4レンズユニットL4が基準位置(リセット位置)に位置していることを検出する。
図10には、上記レンズ鏡筒を搭載した撮像装置の電気的構成を示している。図10において、図2および図3中に示した構成要素については、図2および図3中で使用した符号と同一の符号を付して説明に代える。
12aは絞りユニット12の駆動源である絞りモータであり、ステッピングモータ等が用いられる。
108は絞りエンコーダであり、絞りモータ12a内に設けられたホール素子によって、該絞りモータ12aのロータとステータの回転位置関係、つまりは絞りモータ12aの回転量を検出する。
105は撮像装置全体の動作の制御を司る、CPU等からなるコントロール回路(コントローラ)である。101はカメラ信号処理回路であり、撮像素子113からの出力に対して増幅処理やガンマ補正処理等の信号処理を行うことで、映像信号を生成する。映像信号は、AEゲート102およびAFゲート103に供給される。AEゲート102およびAFゲート103はそれぞれ、露出制御およびピント合わせのために最適な信号の取り出し範囲を全画面の映像信号の中から設定する。
104は映像信号からAF(オートフォーカス)のためのAF評価値信号を生成するAF信号処理回路である。コントロール回路105は、AF評価値信号が最大となる位置に第4レンズユニットL4を移動させるよう、フォーカスモータ駆動回路111を通じてフォーカスモータ13を動作させる。
また、コントロール回路105は、不図示のズームスイッチがユーザにより操作されると、その操作方向に応じてズームモータ駆動回路112を通じてズームモータ14を動作させる。これにより、第2レンズユニットL2が移動して変倍が行われる。このとき、コントロール回路105は、内部メモリに格納したズームトラッキングデータを用いて変倍に伴う像面変動を補正するようフォーカスモータ駆動回路111およびフォーカスモータ13通じて第4レンズユニットL4を移動させる。
114、115はそれぞれ、ピッチ方向およびヨー方向の振れ(角度変化)を検出する、振動ジャイロ等により構成された振れセンサとしてのピッチ方向角度センサおよびヨー方向角度センサである。コントロール回路105はこれら角度センサ114、115からの出力とピッチ方向およびヨー方向位置センサ118,119からの信号に基づいて、シフトユニット3における第3レンズユニットL3をシフト駆動を制御する。ピッチ方向およびヨー方向位置センサ118,119については後述する。
次に、図4および図5を用いて、シフトユニット3の構成について説明する。本実施例のシフトユニット3は、いわゆるボールガイドタイプの像振れ補正装置である。なお、図4は、シフトユニット3を前方(図3と同方向)から見て分解して示している。また、図5は、ピッチ方向駆動部を拡大して示している。
第3レンズユニットL3は、シフト枠(シフト部材)22によって保持されている。シフト枠22は、シフトベース(ベース部材)21に対してピッチ方向(垂直方向)およびヨー方向(水平方向)にシフト可能である。シフト枠22は、ピッチ方向アクチュエータによってピッチ方向にシフトされ、ヨー方向アクチュエータによってヨー方向にシフトされる。すなわち、シフト枠22および第3レンズユニットL3は、これらピッチ方向およびヨー方向アクチュエータよって光軸に直交する面内でシフト駆動される。
コントロール回路105は、角度センサ114、115からの出力とシフト枠22のピッチ方向およびヨー方向での位置を検出するピッチ方向およびヨー方向位置センサ118、119からの信号を取り込む。そして、コントロール回路105は、これら角度センサ114、115からの出力と位置センサ118、119からの信号とに基づいて、ピッチ方向およびヨー方向アクチュエータの動作を制御する。
ピッチ方向アクチュエータおよびピッチ方向位置センサ118と、ヨー方向アクチュエータおよびヨー方向位置センサ119は互いに90度の角度をなすように配置されているが、アクチュエータとしての構成および位置センサとしての構成は同じである。このため、以下では、主としてピッチ方向での構成について符号にpを付して説明し、ヨー方向の構成には符号にyを付すことで説明に代える。
24pは駆動用マグネットであり、シフトベース21によって保持される。23pはヨークであり、該ヨーク23pには、駆動用マグネット24pが磁気によって吸着する。ヨーク23pは、駆動用マグネット24pの磁気回路を形成する。
30は押さえ板である。押さえ板30は、シフトベース21にビスにより固定され、駆動用マグネット24pおよびヨーク23pのシフトベース21からの脱落を防止する。
20はシフトベース21とシフト枠22との間に配置されたボールであり、光軸に直交する面内における光軸回りの3箇所に3つ配置されている。これらボール20は、シフトベース21に形成された凹部(以下、ボールホルダという)21a、21b、21c内にて保持(収容)される。各ボールは、各ボールホルダにおける内側面に相当する光軸方向に平行な面(以下、単に内側面という)よりも内側の転動範囲において、該ボールホルダの底面に相当する光軸に直交する面(以下、単に底面という)上で転動する。
ボール20は、ステンレス鋼球等、その近傍に配置された駆動用マグネット24に吸引されない材質により形成されることが好ましい。
本実施例では、シフトベース21におけるボール受け面(各ボールホルダの底面)とシフト枠22におけるボール受け面(光軸に直交する面)との間にてボール20をある程度の力で挟み付ける。この挟み付けるための力は、駆動用マグネット24pとシフト枠22に保持された後ヨーク29pとの間に作用する磁気吸引力によって発生させる。すなわち、駆動用マグネット24pと後ヨーク29pが付勢手段を構成する。
そして、このような磁気吸着力によってボール20を挟み付けると、各ボール20は、各ボールホルダの底面とシフト枠22のボール受け面に対して押圧状態にて当接する。
次に、シフト枠22(第3レンズユニットL3)をシフト駆動するアクチュエータ(ピッチ方向アクチュエータ)について説明する。
駆動用マグネット24pは、図5に示すように、光軸AXLから放射方向に2極着磁されている。ヨーク23pは、駆動用マグネット24pの光軸方向前側の磁束を閉じる。ヨーク23pは、駆動用マグネット24pに吸着されてい固定されている。
28pはシフト枠22に接着により固定されたコイルである。29pは駆動用マグネット24pの光軸方向前側の磁束を閉じるヨークである。ヨーク29pは、コイル28pを挟んでマグネット24pとは反対側に配置され、シフト枠22により保持されている。これら駆動用マグネット24p、ヨーク23p、29pおよびコイル28pによって磁気回路が形成されている。
コイル28pに電流を流すと、駆動用マグネット24pとコイル28pに発生する磁力線相互の反発によるローレンツ力が、駆動用マグネット24pの着磁境界に対して直交する方向に発生し、シフト枠22を光軸に直交する方向(ピッチ方向)に移動させる。このようなアクチュエータは、ボイスコイルモータとも称される。
そして、このように構成されたピッチ方向アクチュエータとヨー方向アクチュエータによって、シフト枠22を互いに直交するピッチ方向およびヨー方向にシフト駆動することができる。ピッチ方向へのシフトとヨー方向へのシフトの合成によって、シフト枠22を光軸に直交する面における所定範囲(後述するシフトベース21のメカ二カル端に当接する位置までの範囲)内で自由にシフトさせることができる。
ピッチ方向およびヨー方向にシフトする際にシフト枠22が受ける摩擦力は、ボール20がボールホルダの内側面に当接しない限り、ボール20とシフト枠22のボール受け面との間およびボール20とボールホルダの底面との間に発生する転がり摩擦のみである。このため、シフト枠22は光軸方向に変位することなくガイドされながらスムーズにピッチ方向およびヨー方向にシフトすることができ、微小なシフト量制御も可能となる。
次に、シフト枠22のピッチ方向でのシフト位置を検出するピッチ方向位置センサ118について説明する。前述したように、ヨー方向位置センサ119の構成も同様である。
27pは磁束密度の変化に応じて変化する電気信号を出力するホール素子であり、フレキシブルプリントケーブル(以下、FPCという)26に半田付けされている。FPC26は、シフトベース21に対して位置決めされた上で固定されている。また、FPC押さえ金具25をビスでシフトベース21に固定することによって、FPC26の浮きが防止され、かつホール素子27pの位置ずれが防止される。
一方、シフト枠22は、位置検出用マグネット19pを保持している。位置検出用マグネット19pは、シフト枠22に形成されたマグネット保持用の凹部に圧入されている。位置検出用マグネット19pは、駆動用マグネット24pと同様に、光軸AXLから放射方向に2極着磁されている。
シフト枠22がピッチ方向にシフトすると、マグネット19pからの磁束密度の変化がホール素子27pによって検出され、ホール素子27pから該磁束密度の変化に対応した電気信号が出力される。コントロール回路105は、ホール素子27pからの電気信号に基づいてシフト枠22のピッチ方向での位置を検出する。
次に、シフト枠22を第3レンズユニットL3の光軸位置が撮影光学系の光軸位置(以下、シフト中心という)に一致する位置(初期位置)にシフトさせるための動作、すなわちシフト枠22のリセット動作について説明する。図1(a)には、シフトユニット3を光軸方向から見て示している。
シフトベース21には、ピッチ方向のメカ二カル端21d、21eと、ヨー方向のメカ端21f、21gとが設けられている。ピッチ方向のメカニカル端(シフト端)21d、21eは、シフト中心から互いに同じ距離だけ離れた位置に設けられている。また、ヨー方向のメカニカル端(シフト端)21f、21gも、シフト中心から互いに同じ距離だけ離れた位置に設けられている。
コントロール回路105は、ピッチ方向アクチュエータを動作させてシフト枠22をピッチ方向のメカニカル端21d、21eに当接する位置までそれぞれシフトさせる。そして、このときのピッチ方向位置センサによる検出位置間の中心位置をピッチ方向でのシフト中心に設定する。
ヨー方向に関しても、コントロール回路105は、ヨー方向アクチュエータを動作させてシフト枠22をヨー方向のメカニカル端21f、21gに当接する位置までそれぞれシフトさせる。そして、このときのヨー方向位置センサによる検出位置間の中心位置をヨー方向でのシフト中心に設定する。
このようにして設定されたピッチ方向およびヨー方向でのシフト中心に対して、ピッチ方向およびヨー方向位置センサによる検出位置が一致するようにシフト枠22をシフトさせることで、シフト枠22をシフト中心に位置および保持することができる。
次に、シフト枠22のリセット動作に伴って行われるボールリセット動作(コントロール回路105によるボールリセット制御)について説明する。
ボール20は、シフト枠22が移動すると、シフト枠22のボール受け面とボールホルダ21aの底面との間に転がり摩擦を発生させながらシフト枠22と同じ方向に転動する。このときのボール20の中心の移動量は、シフト枠22のシフト量の半分である。
コントロール回路105は、ピッチ方向およびヨー方向アクチュエータの動作の制御を通じて、シフト枠22を互いに異なる方向に順次シフトさせ、それぞれの方向のメカニカル端に当接させる。これにより、ボール20は、ボールホルダ21aの互いに対向する2つの内側面(言い換えれば、矩形枠状に形成された1つの内側面における互いに異なる位置)に順次当接して上記転動範囲内におけるボールリセット位置に移動する。
従来では、矩形のボールホルダ21aにおいて互いに対向する2つの内側面間の距離(言い換えれば、矩形枠状の1つの内側面における互いに対向する位置間の距離:以下、ボールホルダ21aの一辺の長さという)を、以下のように設定していた。すなわち、ピッチ方向とヨー方向のそれぞれにおいて、シフト枠22aの一方のメカニカル端(例えば、21d)に当接する位置から他方のメカニカル端(例えば、21e)に当接する位置までのシフト量の半分と、ボール20の直径φとを加算した値に設定していた。つまり、シフト中心から各メカニカル端までのシフト枠22のシフト量をaとしたとき、ボールホルダ21aの一辺の長さcを、
c=a+φ
と設定していた(図1(b)の大きい方の矩形枠を参照)。
ボール20がボールホルダ21aの内側面に当接した後、シフト枠22がメカニカル端に到達するまで、ボールホルダ21aに対するボール20の移動は阻止され、シフト枠22のボール受け面がボール20に対して滑る。シフト枠22がメカニカル端からシフト中心までシフトすると、ボール20はそれまで当接していたボールホルダ21aの内側面から離れて、ボールホルダ21aの中心まで転動する。
従来においては、シフト枠22のシフト量はシフトユニット3の径方向での大型化を抑えるために、像振れ補正に必要なシフト中心からのシフト量をbとしたときに、aがbよりわずかに大きくなるように設定しているに過ぎなかった(a≒b)。
また、ボールリセット後の像振れ補正動作によって、シフト枠22がシフト中心に戻ったときのボール20の位置がボールホルダ21aの中心から大きくずれないように、ボールホルダ21aの一辺の長さcを、
c≧b+φ
と設定していた。これにより、シフト枠22がシフト中心に位置する間は、ボール20はボールホルダ21aの中心付近に常に保持される。
しかし、前述した磁気吸引力(付勢力)によって、シフト枠22はボール20をシフトベース21との間で挟み込む方向に付勢されている。このため、ボール20がボールホルダ21aの中心付近に保持された状態が長時間続いたり頻繁に生じたりすることで、シフト枠22のボール受け面やボールホルダ21aの底面にボール20の押圧による凹みが形成されたり摩耗が生じたりする。また、ボール20自体の摩耗や打痕の発生も懸念される。これら凹みや摩耗等により像振れ補正性能が低下する。
そこで、本実施例では、第1に、ボールホルダ21aの寸法を以下のように設定する。また、第2に、1又は複数回のボールリセット制御ごとに、図6に示すようにシフト枠22を順次シフトさせる方向の順序を変更することで、ボールリセット制御によるボールホルダ21a内でのボール20の中心の最終的な位置(ボールリセット位置)を変化させる。
まず、本実施例におけるボールホルダ21aの寸法について説明する。シフト枠22のシフト中心から各メカニカル端までのシフト量をaとし、像振れ補正に必要なシフト枠22のシフト中心からのシフト量をbとするとき、
a>b
である。
そして、ボール20の直径をφとするとき、ボールホルダ21aの一辺の長さcを、
c=a/2+b/2+φ
と設定する(図1(b)の小さい方の矩形枠を参照)。
シフト枠22のリセット動作については前述した通りであり、該リセット動作によってシフト枠22をシフト中心に位置させることができる。ただし、本実施例では、先に述べたように、1又は複数回のボールリセット制御ごとに、図6(a)〜(d)に示すようにシフト枠22を順次シフトさせる方向の順序、言い換えればシフト枠22を順次当接させるメカニカル端の順序を変更する。具体的には、該順序をランダムに設定する。
図6(a)は、シフト枠22がピッチ方向にてシフト中心→メカニカル端21e→メカニカル端21d→シフト中心とシフトされ、ヨー方向にてシフト中心→メカニカル端21g→メカニカル端21f→シフト中心とシフトされたときのボールリセット位置を示す。
図6(b)は、シフト枠22がピッチ方向にてシフト中心→メカニカル端21d→メカニカル端21e→シフト中心とシフトされ、ヨー方向にてシフト中心→メカニカル端21g→メカニカル端21f→シフト中心とシフトされたときのボールリセット位置を示す。
図6(c)は、シフト枠22がピッチ方向にてシフト中心→メカニカル端21e→メカニカル端21d→シフト中心とシフトされ、ヨー方向にてシフト中心→メカニカル端21f→メカニカル端21g→シフト中心とシフトされたときのボールリセット位置を示す。
図6(d)は、シフト枠22がピッチ方向にてシフト中心→メカニカル端21d→メカニカル端21e→シフト中心とシフトされ、ヨー方向にてシフト中心→メカニカル端21f→メカニカル端21g→シフト中心とシフトされたときのボールリセット位置を示す。
本実施例のボールホルダ21aの一辺の長さc(=a/2+b/2+φ)は、従来の一辺の長さc(=a+φ)より小さい。
このため、本実施例では、例えば図6(a)、(c)に示すように、ピッチ方向においてシフト枠22を当接させるメカニカル端の順序をメカニカル端21e→メカニカル端21dとし、メカニカル端21dからシフト枠22をシフト中心に戻す。これにより、ボールリセット位置は、ボールホルダ21aにおけるメカニカル端21e側の内側面からメカニカル端21d側にa/2だけシフトした位置となる。
また、図6(b)、(d)に示すように、ピッチ方向においてシフト枠22を当接させるメカニカル端の順序をメカニカル端21d→メカニカル端21eとし、メカニカル端21eからシフト枠22をシフト中心に戻す。これにより、ボールリセット位置は、ボールホルダ21aにおけるメカニカル端21d側の内側面からメカニカル端21e側にa/2だけシフトした位置となる。
また、図6(a)、(b)に示すように、ヨー方向においてシフト枠22を当接させるメカニカル端の順序をメカニカル端21g→メカニカル端21fとし、メカニカル端21fからシフト枠22をシフト中心に戻す。これにより、ボールリセット位置は、ボールホルダ21aにおけるメカニカル端21g側の内側面からメカニカル端21f側にa/2だけシフトした位置となる。
さらに、図6(c)、(d)に示すように、ヨー方向においてシフト枠22を当接させるメカニカル端の順序をメカニカル端21f→メカニカル端21gとし、メカニカル端21gからシフト枠22をシフト中心に戻す。これにより、ボールリセット位置は、ボールホルダ21aにおけるメカニカル端21f側の内側面からメカニカル端21g側にa/2だけシフトした位置となる。
L1は固定の第1レンズユニット、L2は光軸方向に移動して変倍を行う第2レンズユニットである。L3は光軸に直交する方向(ピッチ方向およびヨー方向)にシフトして像振れ補正を行う像振れ補正用光学素子としての第3レンズユニット(シフトレンズユニット)である。L4は光軸方向に移動して焦点調節を行う第4レンズユニットである。
1は第1レンズユニットL1を保持する固定筒、2は第2レンズユニットをL2保持する第2移動枠である。3は第3レンズユニットL3をピッチ方向およびヨー方向にシフト像振れ補正装置としてのシフトユニットである。4は第4レンズユニットL4を保持する第4移動枠である。
5はCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子が固定される後部固定筒である。固定枠1と後部固定筒5はビスによって結合される。シフトユニット3は、後部固定筒5に固定される。
8、9、10、11はガイドバーであり、固定筒1と後部固定筒5とによって保持されている。ガイドバー8、9は、第2移動枠2を光軸方向に移動可能に支持し、ガイドバー10、11は、第4移動枠4を光軸方向に移動可能に支持する。
12は第1〜第4レンズユニットL1〜L4により構成される撮影光学系を通過する光量を変化させる絞りユニットであり、2枚の絞り羽根を互いに逆方向に移動させることで開口径を変化させる。
13は第4レンズユニットL4を光軸方向に移動させて焦点調節動作を行わせるフォーカスモータである。フォーカスモータ13は、回転するロータと同軸のリードスクリュー13aを有している。リードスクリュー13aには、第4移動枠4に取り付けられたラック4aが噛み合っている。ロータの回転により、ラック4aを介して第4移動枠4と第4レンズユニットL4が光軸方向に移動する
14は第2レンズユニットL2を光軸方向に移動させて変倍動作を行わせるためのズームモータである。ズームモータ14は、回転するロータと同軸のリードスクリュー14aを有している。リードスクリュー14aには、第2移動枠2に取り付けられたラック2aが噛み合っている。ロータの回転により、ラック2aを介して第2移動枠2と第2レンズユニットL2が光軸方向に移動する。
ねじりコイルバネ2bは、第2移動枠2、ガイドバー8、9、ラック2aおよびリードスクリュー14aを互いのガタを除去する方向に付勢している。また、ねじりコイルバネ4bは、第4移動枠4、ガイドバー10、11、ラック4aおよびリードスクリュー13aを互いのガタを除去する方向に付勢している。
ズームモータ14とフォーカスモータ13はそれぞれ、後部固定筒5にビスで固定される。
15は第2移動枠2に形成された遮光部2cの光軸方向への移動を光学的に検出するズームリセットセンサであり、第2レンズユニットL2が基準位置(リセット位置)に位置していることを検出する。
16は第4移動枠4に形成された遮光部4cの光軸方向への移動を光学的に検出するフォーカスリセットセンサであり、第4レンズユニットL4が基準位置(リセット位置)に位置していることを検出する。
図10には、上記レンズ鏡筒を搭載した撮像装置の電気的構成を示している。図10において、図2および図3中に示した構成要素については、図2および図3中で使用した符号と同一の符号を付して説明に代える。
12aは絞りユニット12の駆動源である絞りモータであり、ステッピングモータ等が用いられる。
108は絞りエンコーダであり、絞りモータ12a内に設けられたホール素子によって、該絞りモータ12aのロータとステータの回転位置関係、つまりは絞りモータ12aの回転量を検出する。
105は撮像装置全体の動作の制御を司る、CPU等からなるコントロール回路(コントローラ)である。101はカメラ信号処理回路であり、撮像素子113からの出力に対して増幅処理やガンマ補正処理等の信号処理を行うことで、映像信号を生成する。映像信号は、AEゲート102およびAFゲート103に供給される。AEゲート102およびAFゲート103はそれぞれ、露出制御およびピント合わせのために最適な信号の取り出し範囲を全画面の映像信号の中から設定する。
104は映像信号からAF(オートフォーカス)のためのAF評価値信号を生成するAF信号処理回路である。コントロール回路105は、AF評価値信号が最大となる位置に第4レンズユニットL4を移動させるよう、フォーカスモータ駆動回路111を通じてフォーカスモータ13を動作させる。
また、コントロール回路105は、不図示のズームスイッチがユーザにより操作されると、その操作方向に応じてズームモータ駆動回路112を通じてズームモータ14を動作させる。これにより、第2レンズユニットL2が移動して変倍が行われる。このとき、コントロール回路105は、内部メモリに格納したズームトラッキングデータを用いて変倍に伴う像面変動を補正するようフォーカスモータ駆動回路111およびフォーカスモータ13通じて第4レンズユニットL4を移動させる。
114、115はそれぞれ、ピッチ方向およびヨー方向の振れ(角度変化)を検出する、振動ジャイロ等により構成された振れセンサとしてのピッチ方向角度センサおよびヨー方向角度センサである。コントロール回路105はこれら角度センサ114、115からの出力とピッチ方向およびヨー方向位置センサ118,119からの信号に基づいて、シフトユニット3における第3レンズユニットL3をシフト駆動を制御する。ピッチ方向およびヨー方向位置センサ118,119については後述する。
次に、図4および図5を用いて、シフトユニット3の構成について説明する。本実施例のシフトユニット3は、いわゆるボールガイドタイプの像振れ補正装置である。なお、図4は、シフトユニット3を前方(図3と同方向)から見て分解して示している。また、図5は、ピッチ方向駆動部を拡大して示している。
第3レンズユニットL3は、シフト枠(シフト部材)22によって保持されている。シフト枠22は、シフトベース(ベース部材)21に対してピッチ方向(垂直方向)およびヨー方向(水平方向)にシフト可能である。シフト枠22は、ピッチ方向アクチュエータによってピッチ方向にシフトされ、ヨー方向アクチュエータによってヨー方向にシフトされる。すなわち、シフト枠22および第3レンズユニットL3は、これらピッチ方向およびヨー方向アクチュエータよって光軸に直交する面内でシフト駆動される。
コントロール回路105は、角度センサ114、115からの出力とシフト枠22のピッチ方向およびヨー方向での位置を検出するピッチ方向およびヨー方向位置センサ118、119からの信号を取り込む。そして、コントロール回路105は、これら角度センサ114、115からの出力と位置センサ118、119からの信号とに基づいて、ピッチ方向およびヨー方向アクチュエータの動作を制御する。
ピッチ方向アクチュエータおよびピッチ方向位置センサ118と、ヨー方向アクチュエータおよびヨー方向位置センサ119は互いに90度の角度をなすように配置されているが、アクチュエータとしての構成および位置センサとしての構成は同じである。このため、以下では、主としてピッチ方向での構成について符号にpを付して説明し、ヨー方向の構成には符号にyを付すことで説明に代える。
24pは駆動用マグネットであり、シフトベース21によって保持される。23pはヨークであり、該ヨーク23pには、駆動用マグネット24pが磁気によって吸着する。ヨーク23pは、駆動用マグネット24pの磁気回路を形成する。
30は押さえ板である。押さえ板30は、シフトベース21にビスにより固定され、駆動用マグネット24pおよびヨーク23pのシフトベース21からの脱落を防止する。
20はシフトベース21とシフト枠22との間に配置されたボールであり、光軸に直交する面内における光軸回りの3箇所に3つ配置されている。これらボール20は、シフトベース21に形成された凹部(以下、ボールホルダという)21a、21b、21c内にて保持(収容)される。各ボールは、各ボールホルダにおける内側面に相当する光軸方向に平行な面(以下、単に内側面という)よりも内側の転動範囲において、該ボールホルダの底面に相当する光軸に直交する面(以下、単に底面という)上で転動する。
ボール20は、ステンレス鋼球等、その近傍に配置された駆動用マグネット24に吸引されない材質により形成されることが好ましい。
本実施例では、シフトベース21におけるボール受け面(各ボールホルダの底面)とシフト枠22におけるボール受け面(光軸に直交する面)との間にてボール20をある程度の力で挟み付ける。この挟み付けるための力は、駆動用マグネット24pとシフト枠22に保持された後ヨーク29pとの間に作用する磁気吸引力によって発生させる。すなわち、駆動用マグネット24pと後ヨーク29pが付勢手段を構成する。
そして、このような磁気吸着力によってボール20を挟み付けると、各ボール20は、各ボールホルダの底面とシフト枠22のボール受け面に対して押圧状態にて当接する。
次に、シフト枠22(第3レンズユニットL3)をシフト駆動するアクチュエータ(ピッチ方向アクチュエータ)について説明する。
駆動用マグネット24pは、図5に示すように、光軸AXLから放射方向に2極着磁されている。ヨーク23pは、駆動用マグネット24pの光軸方向前側の磁束を閉じる。ヨーク23pは、駆動用マグネット24pに吸着されてい固定されている。
28pはシフト枠22に接着により固定されたコイルである。29pは駆動用マグネット24pの光軸方向前側の磁束を閉じるヨークである。ヨーク29pは、コイル28pを挟んでマグネット24pとは反対側に配置され、シフト枠22により保持されている。これら駆動用マグネット24p、ヨーク23p、29pおよびコイル28pによって磁気回路が形成されている。
コイル28pに電流を流すと、駆動用マグネット24pとコイル28pに発生する磁力線相互の反発によるローレンツ力が、駆動用マグネット24pの着磁境界に対して直交する方向に発生し、シフト枠22を光軸に直交する方向(ピッチ方向)に移動させる。このようなアクチュエータは、ボイスコイルモータとも称される。
そして、このように構成されたピッチ方向アクチュエータとヨー方向アクチュエータによって、シフト枠22を互いに直交するピッチ方向およびヨー方向にシフト駆動することができる。ピッチ方向へのシフトとヨー方向へのシフトの合成によって、シフト枠22を光軸に直交する面における所定範囲(後述するシフトベース21のメカ二カル端に当接する位置までの範囲)内で自由にシフトさせることができる。
ピッチ方向およびヨー方向にシフトする際にシフト枠22が受ける摩擦力は、ボール20がボールホルダの内側面に当接しない限り、ボール20とシフト枠22のボール受け面との間およびボール20とボールホルダの底面との間に発生する転がり摩擦のみである。このため、シフト枠22は光軸方向に変位することなくガイドされながらスムーズにピッチ方向およびヨー方向にシフトすることができ、微小なシフト量制御も可能となる。
次に、シフト枠22のピッチ方向でのシフト位置を検出するピッチ方向位置センサ118について説明する。前述したように、ヨー方向位置センサ119の構成も同様である。
27pは磁束密度の変化に応じて変化する電気信号を出力するホール素子であり、フレキシブルプリントケーブル(以下、FPCという)26に半田付けされている。FPC26は、シフトベース21に対して位置決めされた上で固定されている。また、FPC押さえ金具25をビスでシフトベース21に固定することによって、FPC26の浮きが防止され、かつホール素子27pの位置ずれが防止される。
一方、シフト枠22は、位置検出用マグネット19pを保持している。位置検出用マグネット19pは、シフト枠22に形成されたマグネット保持用の凹部に圧入されている。位置検出用マグネット19pは、駆動用マグネット24pと同様に、光軸AXLから放射方向に2極着磁されている。
シフト枠22がピッチ方向にシフトすると、マグネット19pからの磁束密度の変化がホール素子27pによって検出され、ホール素子27pから該磁束密度の変化に対応した電気信号が出力される。コントロール回路105は、ホール素子27pからの電気信号に基づいてシフト枠22のピッチ方向での位置を検出する。
次に、シフト枠22を第3レンズユニットL3の光軸位置が撮影光学系の光軸位置(以下、シフト中心という)に一致する位置(初期位置)にシフトさせるための動作、すなわちシフト枠22のリセット動作について説明する。図1(a)には、シフトユニット3を光軸方向から見て示している。
シフトベース21には、ピッチ方向のメカ二カル端21d、21eと、ヨー方向のメカ端21f、21gとが設けられている。ピッチ方向のメカニカル端(シフト端)21d、21eは、シフト中心から互いに同じ距離だけ離れた位置に設けられている。また、ヨー方向のメカニカル端(シフト端)21f、21gも、シフト中心から互いに同じ距離だけ離れた位置に設けられている。
コントロール回路105は、ピッチ方向アクチュエータを動作させてシフト枠22をピッチ方向のメカニカル端21d、21eに当接する位置までそれぞれシフトさせる。そして、このときのピッチ方向位置センサによる検出位置間の中心位置をピッチ方向でのシフト中心に設定する。
ヨー方向に関しても、コントロール回路105は、ヨー方向アクチュエータを動作させてシフト枠22をヨー方向のメカニカル端21f、21gに当接する位置までそれぞれシフトさせる。そして、このときのヨー方向位置センサによる検出位置間の中心位置をヨー方向でのシフト中心に設定する。
このようにして設定されたピッチ方向およびヨー方向でのシフト中心に対して、ピッチ方向およびヨー方向位置センサによる検出位置が一致するようにシフト枠22をシフトさせることで、シフト枠22をシフト中心に位置および保持することができる。
次に、シフト枠22のリセット動作に伴って行われるボールリセット動作(コントロール回路105によるボールリセット制御)について説明する。
ボール20は、シフト枠22が移動すると、シフト枠22のボール受け面とボールホルダ21aの底面との間に転がり摩擦を発生させながらシフト枠22と同じ方向に転動する。このときのボール20の中心の移動量は、シフト枠22のシフト量の半分である。
コントロール回路105は、ピッチ方向およびヨー方向アクチュエータの動作の制御を通じて、シフト枠22を互いに異なる方向に順次シフトさせ、それぞれの方向のメカニカル端に当接させる。これにより、ボール20は、ボールホルダ21aの互いに対向する2つの内側面(言い換えれば、矩形枠状に形成された1つの内側面における互いに異なる位置)に順次当接して上記転動範囲内におけるボールリセット位置に移動する。
従来では、矩形のボールホルダ21aにおいて互いに対向する2つの内側面間の距離(言い換えれば、矩形枠状の1つの内側面における互いに対向する位置間の距離:以下、ボールホルダ21aの一辺の長さという)を、以下のように設定していた。すなわち、ピッチ方向とヨー方向のそれぞれにおいて、シフト枠22aの一方のメカニカル端(例えば、21d)に当接する位置から他方のメカニカル端(例えば、21e)に当接する位置までのシフト量の半分と、ボール20の直径φとを加算した値に設定していた。つまり、シフト中心から各メカニカル端までのシフト枠22のシフト量をaとしたとき、ボールホルダ21aの一辺の長さcを、
c=a+φ
と設定していた(図1(b)の大きい方の矩形枠を参照)。
ボール20がボールホルダ21aの内側面に当接した後、シフト枠22がメカニカル端に到達するまで、ボールホルダ21aに対するボール20の移動は阻止され、シフト枠22のボール受け面がボール20に対して滑る。シフト枠22がメカニカル端からシフト中心までシフトすると、ボール20はそれまで当接していたボールホルダ21aの内側面から離れて、ボールホルダ21aの中心まで転動する。
従来においては、シフト枠22のシフト量はシフトユニット3の径方向での大型化を抑えるために、像振れ補正に必要なシフト中心からのシフト量をbとしたときに、aがbよりわずかに大きくなるように設定しているに過ぎなかった(a≒b)。
また、ボールリセット後の像振れ補正動作によって、シフト枠22がシフト中心に戻ったときのボール20の位置がボールホルダ21aの中心から大きくずれないように、ボールホルダ21aの一辺の長さcを、
c≧b+φ
と設定していた。これにより、シフト枠22がシフト中心に位置する間は、ボール20はボールホルダ21aの中心付近に常に保持される。
しかし、前述した磁気吸引力(付勢力)によって、シフト枠22はボール20をシフトベース21との間で挟み込む方向に付勢されている。このため、ボール20がボールホルダ21aの中心付近に保持された状態が長時間続いたり頻繁に生じたりすることで、シフト枠22のボール受け面やボールホルダ21aの底面にボール20の押圧による凹みが形成されたり摩耗が生じたりする。また、ボール20自体の摩耗や打痕の発生も懸念される。これら凹みや摩耗等により像振れ補正性能が低下する。
そこで、本実施例では、第1に、ボールホルダ21aの寸法を以下のように設定する。また、第2に、1又は複数回のボールリセット制御ごとに、図6に示すようにシフト枠22を順次シフトさせる方向の順序を変更することで、ボールリセット制御によるボールホルダ21a内でのボール20の中心の最終的な位置(ボールリセット位置)を変化させる。
まず、本実施例におけるボールホルダ21aの寸法について説明する。シフト枠22のシフト中心から各メカニカル端までのシフト量をaとし、像振れ補正に必要なシフト枠22のシフト中心からのシフト量をbとするとき、
a>b
である。
そして、ボール20の直径をφとするとき、ボールホルダ21aの一辺の長さcを、
c=a/2+b/2+φ
と設定する(図1(b)の小さい方の矩形枠を参照)。
シフト枠22のリセット動作については前述した通りであり、該リセット動作によってシフト枠22をシフト中心に位置させることができる。ただし、本実施例では、先に述べたように、1又は複数回のボールリセット制御ごとに、図6(a)〜(d)に示すようにシフト枠22を順次シフトさせる方向の順序、言い換えればシフト枠22を順次当接させるメカニカル端の順序を変更する。具体的には、該順序をランダムに設定する。
図6(a)は、シフト枠22がピッチ方向にてシフト中心→メカニカル端21e→メカニカル端21d→シフト中心とシフトされ、ヨー方向にてシフト中心→メカニカル端21g→メカニカル端21f→シフト中心とシフトされたときのボールリセット位置を示す。
図6(b)は、シフト枠22がピッチ方向にてシフト中心→メカニカル端21d→メカニカル端21e→シフト中心とシフトされ、ヨー方向にてシフト中心→メカニカル端21g→メカニカル端21f→シフト中心とシフトされたときのボールリセット位置を示す。
図6(c)は、シフト枠22がピッチ方向にてシフト中心→メカニカル端21e→メカニカル端21d→シフト中心とシフトされ、ヨー方向にてシフト中心→メカニカル端21f→メカニカル端21g→シフト中心とシフトされたときのボールリセット位置を示す。
図6(d)は、シフト枠22がピッチ方向にてシフト中心→メカニカル端21d→メカニカル端21e→シフト中心とシフトされ、ヨー方向にてシフト中心→メカニカル端21f→メカニカル端21g→シフト中心とシフトされたときのボールリセット位置を示す。
本実施例のボールホルダ21aの一辺の長さc(=a/2+b/2+φ)は、従来の一辺の長さc(=a+φ)より小さい。
このため、本実施例では、例えば図6(a)、(c)に示すように、ピッチ方向においてシフト枠22を当接させるメカニカル端の順序をメカニカル端21e→メカニカル端21dとし、メカニカル端21dからシフト枠22をシフト中心に戻す。これにより、ボールリセット位置は、ボールホルダ21aにおけるメカニカル端21e側の内側面からメカニカル端21d側にa/2だけシフトした位置となる。
また、図6(b)、(d)に示すように、ピッチ方向においてシフト枠22を当接させるメカニカル端の順序をメカニカル端21d→メカニカル端21eとし、メカニカル端21eからシフト枠22をシフト中心に戻す。これにより、ボールリセット位置は、ボールホルダ21aにおけるメカニカル端21d側の内側面からメカニカル端21e側にa/2だけシフトした位置となる。
また、図6(a)、(b)に示すように、ヨー方向においてシフト枠22を当接させるメカニカル端の順序をメカニカル端21g→メカニカル端21fとし、メカニカル端21fからシフト枠22をシフト中心に戻す。これにより、ボールリセット位置は、ボールホルダ21aにおけるメカニカル端21g側の内側面からメカニカル端21f側にa/2だけシフトした位置となる。
さらに、図6(c)、(d)に示すように、ヨー方向においてシフト枠22を当接させるメカニカル端の順序をメカニカル端21f→メカニカル端21gとし、メカニカル端21gからシフト枠22をシフト中心に戻す。これにより、ボールリセット位置は、ボールホルダ21aにおけるメカニカル端21f側の内側面からメカニカル端21g側にa/2だけシフトした位置となる。
このようにして、シフト枠22を順次シフトさせる方向(シフト枠22を順次当接させるメカニカル端)の順序を変更することで、ボールリセット位置を少なくとも4箇所の間で変化させることができる。この結果、長期間にわたって又は頻繁に同一位置にボール20がリセットされることによるシフト枠22のボール受け面やボールホルダ21aの底面での凹みや摩耗の発生や、ボール20自体の摩耗等の発生が回避される。したがって、シフトユニット3の耐久性を向上させることができ、高い像振れ補正性能を維持することができる。
なお、「1又は複数回のボールリセット制御ごとに順序を変更する」には、毎回又は所定の複数回のボールリセット制御ごとに上記順序のランダム設定を行う場合を含む。また、毎回のボールリセット制御ごとに上記順序をランダム設定した結果、1回ごとに該順序が変更された場合や、複数回の間同じ順序が維持された後に変更された場合を含む。
図7のフローチャートには、コントロール回路105がコンピュータプログラムに従って実行するボールリセット制御の手順を示す。
Step0では、コントロール回路105は、ボールリセット制御のスタート命令を生成すべき所定タイミングが到来したか否かを判定する。ここにいう所定タイミングは、例えば携帯タイプのカメラのように使用時間が短い撮像装置(光学機器)においては電源投入時や電源遮断時が好ましい。また、設置タイプの監視カメラのように常時電源が投入されて長時間使用される撮像装置(光学機器)では、定期的な所定時間ごとのタイミングが好ましい。所定タイミングが到来した場合はStep1に進み、そうでない場合はStep0での判定を繰り返す。
Step1では、コントロール回路105は、ピッチ方向におけるシフト枠22をシフトさせて当接させるメカニカル端21d、21eの順序(つまりは、メカニカル端21dの方向とメカニカル端21eの方向の順序)をランダムに設定する。
次にStep2では、コントロール回路105は、Step1で設定した順序にて、ピッチ方向でのシフト枠22のシフト駆動(ピッチ方向アクチュエータの動作の制御)を行う。
次にStep3では、コントロール回路105は、ヨー方向におけるシフト枠22をシフトさせて当接させるメカニカル端21f、21gの順序(つまりは、メカニカル端21fの方向とメカニカル端21gの方向の順序)をランダムに設定する。
次にStep4では、コントロール回路105は、Step3で設定した順序にて、ヨー方向でのシフト枠22のシフト駆動(ヨー方向アクチュエータの動作の制御)を行う。
そして、Step5で、コントロール回路105は、ボールリセット制御を終了する。
なお、本実施例では、シフト枠22をシフトさせる方向の順序又はシフト枠22を当接させるメカニカル端の順序をランダムに設定する場合について説明した。しかし、該順序を、ランダムではなく、所定の規則に従って変更するようにしてもよい。この場合、「1又は複数回のボールリセット制御ごとに順序を変更する」には、毎回又は所定の複数回のボールリセット制御ごとに上記順序を所定の規則に従って変更することを意味する。
また、本実施例では、ボールリセット動作においてシフト枠22を各メカニカル端に当接する位置までシフトさせる場合について説明したが、必ずしもメカニカル端までシフトさせる必要はない。つまり、シフト枠22がシフト中心に位置したことを検出できれば、ボール20がシフトベース21のボールホルダ21aの内側面に当接してシフト枠22に対して滑る位置までシフトさせればよい。
なお、「1又は複数回のボールリセット制御ごとに順序を変更する」には、毎回又は所定の複数回のボールリセット制御ごとに上記順序のランダム設定を行う場合を含む。また、毎回のボールリセット制御ごとに上記順序をランダム設定した結果、1回ごとに該順序が変更された場合や、複数回の間同じ順序が維持された後に変更された場合を含む。
図7のフローチャートには、コントロール回路105がコンピュータプログラムに従って実行するボールリセット制御の手順を示す。
Step0では、コントロール回路105は、ボールリセット制御のスタート命令を生成すべき所定タイミングが到来したか否かを判定する。ここにいう所定タイミングは、例えば携帯タイプのカメラのように使用時間が短い撮像装置(光学機器)においては電源投入時や電源遮断時が好ましい。また、設置タイプの監視カメラのように常時電源が投入されて長時間使用される撮像装置(光学機器)では、定期的な所定時間ごとのタイミングが好ましい。所定タイミングが到来した場合はStep1に進み、そうでない場合はStep0での判定を繰り返す。
Step1では、コントロール回路105は、ピッチ方向におけるシフト枠22をシフトさせて当接させるメカニカル端21d、21eの順序(つまりは、メカニカル端21dの方向とメカニカル端21eの方向の順序)をランダムに設定する。
次にStep2では、コントロール回路105は、Step1で設定した順序にて、ピッチ方向でのシフト枠22のシフト駆動(ピッチ方向アクチュエータの動作の制御)を行う。
次にStep3では、コントロール回路105は、ヨー方向におけるシフト枠22をシフトさせて当接させるメカニカル端21f、21gの順序(つまりは、メカニカル端21fの方向とメカニカル端21gの方向の順序)をランダムに設定する。
次にStep4では、コントロール回路105は、Step3で設定した順序にて、ヨー方向でのシフト枠22のシフト駆動(ヨー方向アクチュエータの動作の制御)を行う。
そして、Step5で、コントロール回路105は、ボールリセット制御を終了する。
なお、本実施例では、シフト枠22をシフトさせる方向の順序又はシフト枠22を当接させるメカニカル端の順序をランダムに設定する場合について説明した。しかし、該順序を、ランダムではなく、所定の規則に従って変更するようにしてもよい。この場合、「1又は複数回のボールリセット制御ごとに順序を変更する」には、毎回又は所定の複数回のボールリセット制御ごとに上記順序を所定の規則に従って変更することを意味する。
また、本実施例では、ボールリセット動作においてシフト枠22を各メカニカル端に当接する位置までシフトさせる場合について説明したが、必ずしもメカニカル端までシフトさせる必要はない。つまり、シフト枠22がシフト中心に位置したことを検出できれば、ボール20がシフトベース21のボールホルダ21aの内側面に当接してシフト枠22に対して滑る位置までシフトさせればよい。
本発明の実施例2では、ボールリセット動作を、シフト枠22をシフト中心に移動させるシフト枠リセット動作から分けて行う例について説明する。このようにボールリセット動作をシフト枠リセット動作とは分けて行うことで、ボールリセット位置をより細かく調整できる。本実施例におけるシフト枠リセット動作は、撮像装置の電源投入時にのみ行う。撮像装置(レンズ鏡筒部)およびシフトユニットの構成は、実施例1と同じである。
本実施例において、シフト枠22のシフト中心から各メカニカル端へのシフト量をaとし、像振れ補正に必要なシフト枠22のシフト中心からのシフト量をbとし、ボール20の位置調整のためのシフト枠22のシフト量をdとするとき、
a>d>b
とする。
そして、ボールリセット動作(ボールリセット制御)を行うごとに、dの量をランダムに設定することにより、実施例1にて説明した4箇所のボールリセット位置のいずれかにボール20を移動させることができる。
図8のフローチャートには、コントロール回路105がコンピュータプログラムに従って、シフト枠リセット動作後に実行するボールリセット制御の手順を示す。
Step10では、コントロール回路105は、ボールリセット制御のスタート命令を生成すべき所定タイミングが到来したか否かを判定する。ここにいう所定タイミングは、実施例1のStep0にて説明した通りである。所定タイミングが到来した場合はStep11に進み、そうでない場合はStep10での判定を繰り返す。
Step11では、コントロール回路105は、ピッチ方向におけるシフト枠22をシフトさせる方向の順序(メカニカル端21dの方向とメカニカル端21eの方向の順序)と上述したdの量をそれぞれランダムに設定する。
次にStep12では、コントロール回路105は、Step11で設定した順序にて、ピッチ方向でのシフト枠22のシフト駆動(ピッチ方向アクチュエータの動作の制御)を行う。このときのシフト中心からのシフト量はdである。
次にStep13では、コントロール回路105は、ヨー方向におけるシフト枠22をシフトさせる方向の順序(メカニカル端21fの方向とメカニカル端21gの方向の順序)と上述したdの量をそれぞれランダムに設定する。
次にStep14では、コントロール回路105は、Step13で設定した順序にて、ヨー方向でのシフト枠22のシフト駆動(ヨー方向アクチュエータの動作の制御)を行う。このときのシフト中心からのシフト量はdである。
そして、Step15で、コントロール回路105は、ボールリセット制御を終了する。
本実施例において、シフト枠22のシフト中心から各メカニカル端へのシフト量をaとし、像振れ補正に必要なシフト枠22のシフト中心からのシフト量をbとし、ボール20の位置調整のためのシフト枠22のシフト量をdとするとき、
a>d>b
とする。
そして、ボールリセット動作(ボールリセット制御)を行うごとに、dの量をランダムに設定することにより、実施例1にて説明した4箇所のボールリセット位置のいずれかにボール20を移動させることができる。
図8のフローチャートには、コントロール回路105がコンピュータプログラムに従って、シフト枠リセット動作後に実行するボールリセット制御の手順を示す。
Step10では、コントロール回路105は、ボールリセット制御のスタート命令を生成すべき所定タイミングが到来したか否かを判定する。ここにいう所定タイミングは、実施例1のStep0にて説明した通りである。所定タイミングが到来した場合はStep11に進み、そうでない場合はStep10での判定を繰り返す。
Step11では、コントロール回路105は、ピッチ方向におけるシフト枠22をシフトさせる方向の順序(メカニカル端21dの方向とメカニカル端21eの方向の順序)と上述したdの量をそれぞれランダムに設定する。
次にStep12では、コントロール回路105は、Step11で設定した順序にて、ピッチ方向でのシフト枠22のシフト駆動(ピッチ方向アクチュエータの動作の制御)を行う。このときのシフト中心からのシフト量はdである。
次にStep13では、コントロール回路105は、ヨー方向におけるシフト枠22をシフトさせる方向の順序(メカニカル端21fの方向とメカニカル端21gの方向の順序)と上述したdの量をそれぞれランダムに設定する。
次にStep14では、コントロール回路105は、Step13で設定した順序にて、ヨー方向でのシフト枠22のシフト駆動(ヨー方向アクチュエータの動作の制御)を行う。このときのシフト中心からのシフト量はdである。
そして、Step15で、コントロール回路105は、ボールリセット制御を終了する。
実施例1では、ボールホルダ21aが4つの内側面を有する矩形の凹部である場合について説明したが、凹部の形状は矩形でなくてもよい。また、実施例1では、ボールリセット動作におけるシフト枠22のシフト方向をピッチ方向やヨー方向とした場合について説明したが、シフト方向をピッチ方向およびヨー方向に対して斜めの方向であってもよい。本発明の実施例3では、これらの場合について説明する。
図9(a)には、ボールホルダ21aとしての凹部が、8つの内側面を有する八角形である場合を示している。さらに、図9(a)では、ボールリセット動作におけるシフト枠22のシフト方向をピッチ方向、ヨー方向およびこれらに対して45°の角度をなす斜めの方向とした場合を示している。
この場合、互いに対向する内側面間の距離cを実施例1にて説明したように、
c=a/2+b/2+φ
とすると、1又は複数回のボールリセット制御においてシフト枠22をシフトさせる方向の順序を変更することで、ボールリセット位置を8つの位置に変化させることができる。
このように、ボールホルダ21aの内周面の数が増えることで、選択可能なボールリセット位置の数を増やすことができ、耐久性のさらなる向上を図ることができる。
また、図9(b)には、ボールホルダ21aとしての凹部が、1つの連続した内側面を有する円形である場合を示している。該円形の直径(すなわち、内周面における互いに対向する位置間の距離)cは、
c=a/2+b/2+φ
である。
この場合、ボールリセット制御では、シフト枠22をシフト中心から直線的にシフトさせてボールホルダ21aの内側面にボール20を当接させる。その後、ボール20をボールホルダ21aの内側面に当接させたままシフト枠22を少なくとも1回転するようにシフトさせる。そして、シフト枠22を回転方向のいずれかの位置からシフト中心に直線的に戻す。これにより、ボールリセット位置は、ボールホルダ21aの内側面のうちボール20から最後に離れた位置からシフト枠22がシフト中心に向かってシフトする方向に沿った方向にa/2だけシフトした位置になる。
本実施例では、この最後にシフト中心に向かってシフト枠22をシフトさせる方向(言い換えれば、ボールホルダ21aの内側面のうちボール20から最後に離れる位置)を、1又は複数回のボールリセット制御において変更する。これにより、ボールリセット位置を多数の位置に変化させることができる。
ボールリセット位置が存在する範囲は、ボールホルダ21aの中心と中心が一致する直径a/2−b/2+φの円形の範囲である。
上記実施例1〜3では、シフトベース21にのみ凹部としてのボールホルダ21aが形成された場合について説明したが、凹部はシフトベース(ベース部材)およびシフト枠(シフト部材)のうち少なくとも一方に形成されていればよい。
また、上記実施例1〜3では、レンズ鏡筒がカメラ本体に一体的に設けられた撮像装置について説明した。しかし、本発明のレンズ鏡筒は、カメラ本体に対して着脱可能な交換レンズや、像振れ補正機能を有する双眼鏡等の観察機器といった光学機器にも適用することができる。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
耐久性の高い像振れ補正装置を備えたカメラ等の光学機器を提供できる。
L3 第3レンズユニット
3 シフトユニット
21 シフトベース
22 シフト枠
24 駆動用マグネット
28 コイル
105 コントロール回路
3 シフトユニット
21 シフトベース
22 シフト枠
24 駆動用マグネット
28 コイル
105 コントロール回路
Claims (3)
- 像振れ補正用の光学素子を含む光学系と、
ベース部材と、
前記光学素子を保持し、前記ベース部材に対して前記光学系の光軸に直交する方向にシフト可能なシフト部材と、
該シフト部材をシフトさせるアクチュエータと、
前記ベース部材と前記シフト部材との間に配置され、前記ベース部材と前記シフト部材のうち少なくとも一方に形成された凹部の内側面よりも内側の転動範囲にて転動しながら前記ベース部材に対する前記シフト部材のシフトをガイドするボールと、
前記ベース部材と前記シフト部材との間に前記ボールを挟み込む付勢力を作用させる付勢手段と、
前記アクチュエータの動作を制御するコントローラとを有し、
前記コントローラは、前記シフト部材を互いに異なる方向に順次シフトさせることによって前記ボールを前記凹部の前記内側面における互いに異なる位置に順次当接させた後、前記シフト部材をシフト中心に戻すことで、該ボールを前記転動範囲内のリセット位置に移動するように前記アクチュエータを動作させるボールリセット制御を行い、
前記コントローラは、1又は複数回の前記ボールリセット制御ごとに、前記リセット位置が変化するように前記シフト部材を順次シフトさせる方向の順序または前記シフト部材を前記シフト中心に向けて最後にシフトさせる方向を変更することを特徴とする光学機器。 - 前記コントローラは、前記1又は複数回のボールリセット制御ごとに、前記シフト部材を順次シフトさせる方向の順序または前記シフト部材を最後にシフトさせる方向をランダムに設定することを特徴とする請求項1に記載の光学機器。
- 前記シフト部材の前記シフト中心から前記ベース部材に対するメカニカルなシフト端までのシフト量をaとし、前記シフト部材が前記シフト端よりも内側において像振れ補正のためにシフトする前記シフト中心からのシフト量をbとし、前記ボールの直径をφとするとき、前記凹部の前記内側面における互いに対向する位置間の距離が、
a/2+b/2+φ
であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010020899A JP2011158738A (ja) | 2010-02-02 | 2010-02-02 | 光学機器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010020899A JP2011158738A (ja) | 2010-02-02 | 2010-02-02 | 光学機器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011158738A true JP2011158738A (ja) | 2011-08-18 |
Family
ID=44590718
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010020899A Pending JP2011158738A (ja) | 2010-02-02 | 2010-02-02 | 光学機器 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2011158738A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014235378A (ja) * | 2013-06-04 | 2014-12-15 | オリンパスイメージング株式会社 | ブレ補正装置 |
-
2010
- 2010-02-02 JP JP2010020899A patent/JP2011158738A/ja active Pending
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JP2014235378A (ja) * | 2013-06-04 | 2014-12-15 | オリンパスイメージング株式会社 | ブレ補正装置 |
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