JP5613878B2 - 水分散型樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、感熱紙等の保存性の低い記録材料を保護するために用いる表面コート用として好適な水分散型樹脂組成物に関する。
感熱記録は、感熱記録材料の感熱記録層表面に直接接触させたサーマルヘッド等の発熱素子に電流を流し、感熱記録材料上の染料前駆体と顕色剤とを瞬時に熱溶融反応させることで、染料を発色させて画像を得ている。該反応は可逆反応であるために、各種油脂類、可塑剤、溶剤類等の薬品によって容易に溶解するため逆反応が起こり易い。そのため、感熱記録により記録されたものは、ハンドクリームやその他の化粧品類、または油脂類の付着した手で触れた場合や、可塑剤を含むプラスチック製品や水性ペン、油性ペン等のインキ等、有機溶剤含有の製品、革製品等に接触した状態で置かれた場合に記録画像が消えてしまう等、日常生活における画像保存性および耐薬品性の点で問題がある。
また、感熱記録は、感熱記録層表面に、発熱素子であるサーマルヘッドを直接接触させ、サーマルヘッドで該記録層表面を擦りながら印画(印字)されるため、サーマルヘッド表面が物理的に摩耗したり、溶融した記録層中の成分がサーマルヘッドに付着し、汚れとしてサーマルヘッドに堆積することがある。さらに、感熱記録材料を構成する成分によるサーマルヘッドの腐食等により、サーマルヘッド自体の寿命を短くしてしまうこともある。
上記の問題点を解決するために様々な手段が検討されてきた。画像保存性および耐薬品性改善の目的では、例えば、特許文献1および2に、記録層上に保護層を形成し、画像表面を物理的に遮蔽する、いわゆるオーバーコートタイプの技術が開示されている。しかし、保護層を設けた場合でも、油脂類や可塑剤は徐々に浸透するため、時間の経過とともに画像の褪色が進むことは避けられず、結果的に、上記オーバーコートタイプの利用は、使用が短期間な用途に限定されてしまう。
また、保護層を構成する成分として、ポリビニルアルコールや澱粉等の水溶性高分子等が主成分として用いられており、これらに耐水性を付与するため、グリオキザール等の架橋剤を使用することが提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。しかしながら、その効果は未だ不充分である。
この他、特許文献5には、疎水性樹脂エマルションを保護層に用いて、耐水性を付与させる技術も開示されている。しかし、上記エマルション(特に、アクリルエマルション)自身の耐熱性が不充分なために、ヘッド粕やスティッキング性等の印字性に支障をきたす。また、ハイシェアでの粘度が低いため、所望の塗布量が得られない等の問題を抱えている。
一方、サーマルヘッドの汚れ防止の方法として、溶融した染料、顕色剤、増感剤等の物質を記録層の材料側に、吸収、保持させるべく、記録層や下塗り層に吸油性の高い顔料を用いたものが特許文献6に示されている。また、サーマルヘッドの腐食防止の方法としては、特許文献7〜9に、感熱記録材料を構成する成分に含まれる、ヘッド腐食発生の原因となり易いイオン(Na+、K+等)の含有量を抑制することが提案されている。しかしながら、これらの提案では、保護層にアクリル樹脂を用いた場合のイオン対策について、具体的な記述がなく、充分なものではなかった。
特開昭48−30437号公報 特開昭48−31958号公報 特開平8−230324号公報 特開平9−164763号公報 特開平1−196389号公報 特開平2−153106号公報 特開平5−162443号公報 特開平2−220583号公報 特開平4−325285号公報
従って本発明の目的は、感熱紙等の保存性の低い記録材料の表面コート剤として好適な水分散型樹脂組成物であって、耐水性、耐溶剤性、耐可塑剤性、耐熱性等、画像の保存安定性および耐薬品性に優れた保護層を形成することができる水分散型樹脂組成物を提供することである。
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体aと水酸基含有単量体bとを含む不飽和単量体を重合してなるアクリル系樹脂100質量部と、水可溶性澱粉20〜500質量部とを含有し、上記アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)がTg>10℃であり、上記水可溶性澱粉は、濃度が60質量%以下20質量%以上の水溶液であり、かつ、該水溶液の粘度が、3,000(mPa・s/50℃)以下であり、これらを含む水分散型樹脂組成物の最低造膜温度(MFT)がMFT<60℃であり、かつ、上記Tgと上記MFTとが、Tg−MFT>0℃の関係式を満たすことを特徴とする水分散型樹脂組成物を提供する。
特には、前記樹脂組成物は、ナトリウム塩、カリウム塩の金属塩または塩酸塩からなる化合物を使用することなく製造されてなることが好ましい。また、上記不飽和単量体が、さらに、芳香族単量体および/または脂環式単量体からなる環状単量体cを含むこと;上記本発明に用いる水可溶性澱粉としては、酵素変性澱粉、α化澱粉、焙焼デキストリンおよび澱粉誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明によれば、感熱紙等の保存性の低い記録材料の表面コート剤として好適な水分散型樹脂組成物であって、耐水性、耐溶剤性、耐可塑剤性、耐熱性等、画像の保存安定性および耐薬品性に優れたコート層を形成することができる水分散型樹脂組成物が提供される。
次に発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明の特許請求の範囲および明細書における「(メタ)アクリル」という用語は、「アクリル」および「メタクリル」の双方を意味し、また、「(メタ)アクリレート」という用語は、「アクリレート」および「メタクリレート」の双方を意味する。
本発明の水分散型樹脂組成物は、特定のアクリル系樹脂と、水可溶性澱粉とを含む水分散型樹脂組成物であり、上記アクリル系樹脂のガラス転移温度(以下、Tgと記載)と水分散型樹脂組成物の最低造膜温度(以下、MFTと記載)との関係に特徴がある。なお、「アクリル系樹脂」とは、アクリル樹脂とスチレン−アクリル樹脂の総称である。
本発明で用いるアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体a(以下、単に単量体aという)と水酸基含有単量体b(以下、単に単量体bという)とを含む不飽和単量体を重合することにより得られる。また、必要に応じて後述する環状単量体cを重合させてもよい。
上記単量体aは、アルキルエステル基のアルキル基の炭素数1〜4のものが好ましい。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独でもあるいは組み合わせてもよい。
上記単量体bとして、水酸基を含有する単量体を用いる。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール、ε−カプロラクトン変性アクリルモノマー等の水酸基含有単量体が挙げられる。
アクリル系樹脂の重合に際しては、さらに、芳香族単量体および/または脂環式単量体から選ばれる環状単量体c(以下、単に単量体cという)を共重合することが可能である。芳香族単量体とは、構造中に芳香族基を含む単量体であり、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。また脂環式単量体とは、構造中に脂環基を含む単量体であり、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記単量体cの使用量としては、上記アクリル系樹脂を構成する不飽和単量体の合計を100質量%としたときに、5〜65質量%であることが好ましい。
上記単量体aおよび単量体b、必要に応じて単量体cを含む不飽和単量体を重合してなるアクリル系樹脂は、水酸基価が4mgKOH/g以上であることが好ましく、より好ましくは、20mgKOH/g以上であり、さらに好ましくは40〜150mgKOH/gである。上記水酸基価が4mgKOH/g未満であると、耐水化剤を使用したときに充分な耐水性が得られない。一方、水酸基価が150mgKOH/gを超えると耐水性、耐可塑剤性等が著しく低下する。上記の水酸基価とするには、上記単量体bの使用量を、アクリル系樹脂を構成する不飽和単量体の合計100質量%に対して、1〜35質量%とすることが好ましい。
上記アクリル系樹脂の重合に際しては、分子量を調整する目的で、連鎖移動剤の存在下で行ってもよい。該連鎖移動剤としては、メルカプト基を有する化合物が挙げられ、具体的には、例えば、ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、チオグリコール酸−2−エチルへキシル、2−メチル−5−tert−ブチルチオフェノール、メルカプトエタノール、チオグリセロール、メルカプト酢酸(チオグリコール酸)、メルカプトプロピオネート、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。該連鎖移動剤の使用量としては、上記アクリル系樹脂を構成する不飽和単量体の合計を100質量%としたときに、0.01〜5.0質量%であることが好ましい。
また、本発明の効果の範囲内であれば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有単量体を共重合することも可能であるが、使用量の増加と共に感熱紙等の記録材料の表面の地肌を、変色させてしまう傾向があるため、使用量には注意する必要がある。該カルボキシル基含有単量体の使用量は、アクリル系樹脂を構成する不飽和単量体の合計100質量%に対して、15質量%以下とすることが好ましい。
この変色の原因について、発明者らは以下のように考えている。すなわち、本発明の好適な反応形態である乳化重合は、水系で重合が行われるため、水に対し溶解性の高いカルボキシル基含有単量体は、溶解性の低い単量体に比べて水に溶解しやすいため、その分重合の際に水溶性開始剤のラジカル攻撃を受け易くなる。結果、重合物が低重合度化し易くなるものと考えられる。ゆえに、溶解性の高い単量体を多く用いた場合には、低分子量のオリゴマーを生じ易くなり、この低分子量オリゴマーが感熱紙表面の地肌汚れの原因となるものと推論している。そのため、本発明のアクリル系樹脂に使用する場合には、水への溶解性、主モノマーとの共重合性等を考慮して、メタクリル酸を用いる方が、アクリル酸を用いた場合に比べ、より好ましい。
また、上記アクリル系樹脂の重合に際しては、その他、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等を、本発明の効果の範囲内で、共重合させることも可能である。これらの単量体を共重合することによって、特に、耐溶剤性、耐可塑剤性、耐熱性等に優れた本発明の水分散型樹脂組成物を得ることが可能となる。
また、上記アクリル系樹脂の重合に際しては、カルボニル基含有単量体、加水分解性シリル基含有単量体、グリシジル基含有単量体、種々の多官能ビニル系単量体等の重合性不飽和基を有する架橋性単量体を、本発明の効果の範囲内で共重合させることも可能である。
カルボニル基含有単量体としては、例えば、アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のケト基を含有するモノマーが挙げられる。これらのうち、ジアセトン(メタ)アクリルアミドが好適である。このようなカルボニル基含有モノマーを用いる場合には、水分散型樹脂組成物中に架橋助剤としてヒドラジン系化合物を添加して、塗膜形成時に架橋構造が形成されるようにする必要がある。
上記ヒドラジン系化合物としては、例えば、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の2〜18個の炭素原子を有する飽和脂肪族カルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等のモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;フタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、ピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジドまたはテトラヒドラジド;ニトリルトリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジンまたはヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラート)と反応させて得られるポリヒドラジド;炭酸ジヒドラジド、ビスセミカルバジド;ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートまたはそれより誘導されるポリイソシアネート化合物に、ヒドラジン化合物や上記例示のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多官能セミカルバジド等が挙げられる。
加水分解性シリル基含有単量体としては、例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を含有する単量体が挙げられる。具体的には、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(以下、KBM−503と記載する場合がある)が挙げられる。
また、グリシジル基含有単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能ビニル系単量体としては、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のジビニル化合物が挙げられ、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等も挙げられる。
上記架橋性単量体は1種または2種以上を用いることができる。その使用量としては、上記アクリル系樹脂を構成する不飽和単量体の合計を100質量%としたときに、0.1〜5.0質量%であることが好ましい。上記架橋性単量体の中でも、特に、カルボニル基含有単量体、加水分解性シリル基含有単量体が、得られる塗膜の耐水性、耐溶剤性等の向上効果の点から好ましい。
上記アクリル系樹脂のTgは、Foxの計算式により求められる値である。上記方法により算出されるアクリル系樹脂のTgは、Tg>10℃を満たす必要がある。好ましくは、Tg>20℃であり、より好ましくはTg>30℃である。上記アクリル系樹脂のTgが10℃以下であると、耐熱性および耐可塑剤性の低下が著しい。上記アクリル系樹脂のTgは、使用するアクリル系樹脂を構成する不飽和単量体の選択によって、本発明に規定するTgとすることができ、上記Tgを満たすものであれば、アクリル系樹脂の重量平均分子量(GPC測定、標準ポリスチレン換算)は、任意の値をとることができる。
本発明の組成物の特徴は、上記アクリル系樹脂100質量部と、特定の粘度の水可溶性澱粉20〜500質量部とを含むことが特徴である。「水可溶性澱粉」とは、常温で、イオン交換水に溶解することができる澱粉をいう。本発明で用いる水可溶性澱粉は、酵素変性澱粉、α化澱粉、焙焼デキストリンおよび澱粉誘導体からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。より好ましくは、酵素変性澱粉で、マルトデキストリンと総称されているものを用いるとよい。これは、精製澱粉を純度の高い酵素(アミラーゼ)を用いて高温液化法等により加水分解しデキストリン化させ、脱臭、脱色および脱イオン処理等の精製の後、噴霧乾燥し球状の白色粉末として製品化したものである。なお、α化澱粉とは、澱粉中の糖鎖間の水素結合が破壊され糖鎖間が自由になった状態の澱粉をいう。また、焙焼デキストリンは、焙焼度合いによって、白色デキストリンと黄色デキストリンとに分かれ、白色デキストリンをさらに加水分解したものが、黄色デキストリンである。白色デキストリンとしては、例えば、D−グルコース、低分子オリゴサッカライド等が挙げられる。また、澱粉誘導体としては、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、架橋澱粉等が挙げられる。
上記水可溶性澱粉としては、濃度が60質量%以下20質量%以上の水溶液で、かつ、該水溶液の粘度が、3,000(mPa・s/50℃)以下のものを使用することが好ましい。さらには50質量%水溶液とし、その粘度が、1,000(mPa・s/50℃)以下であるものを使用することがより好ましい。これは、粘度が3,000(mPa・s/50℃)を超える澱粉水溶液を乳化重合に使用すると、前記アクリル系樹脂を構成する不飽和単量体bの重合反応中に粕が発生し、重合液の粘度も上昇してしまい、重合安定性が劣るためである。また、濃度が20質量%未満のときも同様に、重合液の増粘傾向があり、粘度制御のために水での低固形分化が必要になる。このため高固形分の水分散型樹脂組成物が得られず含水率が増大し、加熱乾燥時間が長くなり、感熱紙等の記録材料の感熱層への不要な熱ストレスが大きくなるので好ましくない。
上記、水可溶性澱粉の使用量(固形分)は、上記アクリル系樹脂100質量部に対して、20〜500質量部である。より好ましくは、50〜200質量部である。上記水可溶性澱粉の使用量が20質量部未満であると、重合安定性が悪化し、さらに造膜性および耐可塑剤性が低下し、緻密な保護層が得られない。一方、使用量が500質量部を超えると、耐水性が著しく低下する。
一般的に、水分散型樹脂組成物においては、固形分を高く設計することで、含水率を低下することができる。そして、水分散型樹脂組成物の含水率を低下させれば、感熱紙上に保護層を構成する成分として使用した場合、塗工後の加熱乾燥時間を短くすることができ、感熱紙等の記録材料の感熱層への不要な熱ストレスが低減することができる。しかしながら、保護層を構成する成分として、ポリビニルアルコール(以下、PVAという)等の水溶性高分子類は、固形分に対する粘度依存性が高く、高固形とすると高粘度傾向となりやすく、塗工作業性が悪化するといった問題があった。
また、一般的に感熱紙上に保護層を構成する成分として使用する表面コート剤は、塗工時の粘度を1,000(mPa・s/25℃)以下とすることが好ましい。これは、粘度が1,000(mPa・s/25℃)を超えるものを塗工すると、塗工性が悪く、均一なコーティングが困難となる場合があるためである。従来のPVA系の表面コート剤は、固形分を10質量%以下に希釈しないと、粘度を1,000(mPa・s/25℃)以下にすることができないものが多かったが、本発明の水分散型樹脂組成物は、固形分を40質量%〜50質量%と高くした場合でも、粘度を1,000(mPa・s/25℃)以下にすることができる。すなわち、本発明の水分散型樹脂組成物は、高固形かつ低粘度の両立を実現することができるため、従来のPVA系の表面コート剤の問題点であった塗工作業性を大きく改善することが可能となった。特には、本発明の水分散型樹脂組成物は、その固形分を40質量%〜50質量%とすることにより、表面コート剤に使用した際に、優れた塗工作業性を発揮する。一方、50質量%を超えると著しく粘度が上昇し、良好な塗工性が損なわれる場合があるため好ましくない。
さらに、本発明の水分散型樹脂組成物は、特に、PVA系の表面コート剤と併用することにより、該コート剤の粘性改質および高固形分化が可能となり、取り扱い性や塗工作業性が改善できるため好ましい。
また、本発明の水分散型樹脂組成物のMFTは、MFT<60℃を満たす必要がある。好ましくは、MFT<30℃であり、より好ましくは、MFT<15℃である。上記MFTが60℃以上であると、塗工液の乾燥時(60℃)に水分散型樹脂組成物のエマルション粒子の最密充填後の粒子変形、融着、拡散等の造膜過程が充分に行われず、クラック等の発生により良好な造膜性が得られにくく、皮膜のバリヤー性の低下を助長する。なお、上記MFTは、JISK6804の規定に準じて測定した値をいう。
ここで、一般的な乳化重合で得られる水分散型樹脂組成物のMFTは、アクリル系樹脂分のTgより高くなるため、Tg−MFTはマイナス値となる。Tgの方がMFTよりも低くなると、水分散型樹脂組成物から形成した皮膜の強度が充分でなくなり、水分散型樹脂組成物を感熱記録材料の表面コート剤として使用した際のバリヤー性が劣ってしまう。しかしながら、本発明において水分散型樹脂組成物の成分として水可溶性澱粉を用いることで、Tg−MFTの値をプラスにすることができるため、より緻密な皮膜の形成が可能となり、ゆえに、表面コート剤として使用した際に高いバリヤー性を得ることが可能となった。
すなわち、上記アクリル系樹脂のTgおよび水分散型樹脂組成物のMFTの関係は、Tg−MFT>0℃を満たす必要がある。より好ましくは、Tg−MFT>15℃であり、さらに好ましくは、Tg−MFT>30℃である。上述の通り、Tg−MFTの値が0℃以下であると、上記樹脂組成物を用いて皮膜を形成した際に、緻密な皮膜を得ることができないため、表面コート剤としてバリヤー性に劣る。
また、本発明の水分散型樹脂組成物は、その製造時にナトリウム塩、カリウム塩等の金属塩または塩酸塩からなる化合物を使用することなく製造されたものであることが好ましい。これらの化合物は、水分散型樹脂組成物中では、ナトリウムイオンやカリウムイオンとなる。このため、水分散型樹脂組成物を記録材料の表面コートに用いた場合に、感熱記録に使用されるサーマルヘッドを腐食させる原因となることが懸念されるからである。本発明の水分散型樹脂組成物は、前記したように、記録材料の表面コートに最適な高固形かつ低粘度の両立を実現できると同時に、ヘッド腐食の原因となり易い上記化合物を使用しないで製造することができるため、このような形態とすれば、サーマルヘッドの腐食防止、ひいてはサーマルヘッドの長寿命化に資するものとできる。
本発明では、水分散型樹脂組成物を製造する際に、乳化剤として界面活性剤を用いることができるが、該界面活性剤は、ナトリウム塩、カリウム塩等の金属塩タイプの界面活性剤を除く、界面活性剤であることが好ましい。上記の要件を満たせば、従来公知の陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等、如何なるものも用いることができる。例えば、−SO3NH4基、−OSO2NH4基、あるいはエチレンオキサイド鎖の中から選ばれた少なくとも1種の親水基を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的な陰イオン性界面活性剤としては、ニューコール707SF、ニューコール714SF、ニューコール723SF、ニューコール740SF(共に商品名、日本乳化剤(株)製)等が挙げられる。また具体的な非イオン性界面活性剤としては、ニューコール707、ニューコール710、ニューコール714、ニューコール723、ニューコール740、ニューコール780(共に商品名、日本乳化剤(株)製)等が挙げられる。
また前記界面活性剤としては、重合可能なエチレン性不飽和基を有する反応性界面活性剤であることがより好ましい。具体的には、ラテムルPD−104、ラテムルPD−105、ラテムルPD−420、ラテムルPD−430、ラテムルPD−430S、ラテムルPD−450(共に商品名、花王(株)製)、アクアロンHS−10、アクアロンKH−05、アクアロンKH−10、アクアロンRN−05、アクアロンRN−10、アクアロンRN−20(共に商品名、第一工業製薬(株)製)、アデカリアソープSE−10N、アデカリアソープSR−10、アデカリアソープSR−20、アデカリアソープSR−3025、アデカリアソープER−10、アデカリアソープER−20、アデカリアソープER−30、アデカリアソープER−40(共に商品名、(株)ADEKA製)、アントックスMS−60(商品名、日本乳化剤(株)製)等が挙げられる。これらの反応性界面活性剤は、単独で用いても併用してもよく、または従来公知の一般的な界面活性剤と併用してもよい。
上記界面活性剤の使用量は、使用するアクリル系樹脂を構成する不飽和単量体100質量部に対して、純分で0.1〜5質量部が好ましい。上記界面活性剤の使用量が純分で0.1質量部未満であると、得られる樹脂組成物の重合安定性に劣り、一方、使用量が純分で5質量部を超えると、得られた樹脂組成物を表面コート剤として使用した際の、表面コートの耐久性、サーマルヘッドへの防汚性や、感熱記録材料の耐水性に劣るので好ましくない。
本発明で用いるアクリル系樹脂は、主に乳化重合により製造することができる。上記乳化重合としては、1段重合方法、多段重合方法、またはこれらの組み合わせによる方法がある。具体的には、前記アクリル系樹脂を合成するための単量体の混合物(以下、単に単量体混合物という)と、少なくとも水、界面活性剤および重合開始剤を反応容器に一括で仕込み、乳化重合を行う方法、単量体混合物を、少なくとも水、界面活性剤および重合開始剤を仕込んだ反応容器に滴下しながら乳化重合を行う方法、単量体混合物をあらかじめ水および界面活性剤と共に乳化したものを、水と必要に応じて、界面活性剤や重合開始剤を仕込んだ反応容器に滴下して乳化重合を行う方法、およびこれらの組み合わせによる方法がある。本発明の表面コート用水分散型樹脂組成物は、これらのいずれの方法を用いても製造することができる。
本発明の樹脂組成物の製造に使用できる重合開始剤として、ナトリウム塩、カリウム塩等の金属塩または塩酸塩からなる重合開始剤を使用することは、この樹脂組成物に直接触れるサーマルヘッドの腐食性を促進するため好ましくない。従って、過硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩過酸化物、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の有機過酸化物等を使用することが好ましい。重合開始剤の使用量は、アクリル系樹脂を構成する不飽和単量体100質量部あたり0.1〜1.0質量部が好ましい。上記重合開始剤は、重合の各段階で用いることができ、各段階で所定量を添加して、重合反応を行わせることができる。
本発明の水分散型樹脂組成物は、特に感熱紙等の感熱記録材料の表面コート剤として優れており、本発明の水分散型樹脂組成物を用いて表面コートをした感熱紙は、耐水性、耐溶剤性、耐可塑剤性、耐熱性等、画像の保存安定性および耐薬品性に優れたものとなる。
また、上記表面コート剤を用いて、感熱記録材料の保護層を形成することができる。上記保護層には、本発明の水分散型樹脂組成物を表面コート剤として含むほか、顔料、バインダー、滑剤、耐水化剤等を、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で併用することができる。
上記顔料としては、カオリン、焼成カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム等の無機顔料やポリスチレン、ポリエチレン、ナイロン、尿素−ホルマリン樹脂等の微粉末の有機顔料が挙げられる。保護層に用いられる顔料としては、サーマルヘッドの磨耗性を考慮すると水酸化アルミニウムやカオリンが好ましい。また、上記バインダーとしては、公知の水溶性高分子、例えば澱粉、カゼイン、セルロース、ポリビニルアルコール等が使用される。
上記滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ワックス類、シリコーン樹脂類等が挙げられる。また、耐水化剤としては、グリオキザール、メチロール化メラミン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ケトン−アルデヒド樹脂、ホウ砂、ホウ酸、ミョウバン、金属キレート系化合物、エポキシ系化合物等が挙げられる。
本発明の水分散型樹脂組成物を塗工する際には、バーコーター、ロッドコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、カレンダーコーター、グラビアコーター、サイズプレスコーター等の各種塗工装置を使用することができる。本発明の水分散型樹脂組成物の基材に対する塗工量は、基材の性状、塗工品の用途等に応じて適宜調整されるが、例えば感熱紙等のオーバーコート剤として用いる場合は、通常1〜5g/cm2程度である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。また、以下において、「部」あるいは「%」とあるのは、質量基準である。
(実施例に使用する乳化液1〜14の調製)
スチレン20部、ブチルアクリレート40部、アクリロニトリル10部、メチルメタクリレート25部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5部、ニューコール707SF(日本乳化剤(株)製 アンモニウム塩型)1部、イオン交換水49部を攪拌することで乳化液1を調製した。同様にして、表1に記載のモノマー組成および架橋性単量体、乳化剤を用いて、乳化液2〜14を調製した。表中の略語は、下記の通りである。
Figure 0005613878
ST:スチレン
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
BMA:ブチルメタクリレート
EA:エチルアクリレート
AN:アクリロニトリル
MMA:メチルメタクリレート
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
2HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
2HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
DAP:ジアリルフタレート
KBM−503:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
DAAM:ジアセトンアクリルアミド
ニューコール707SF:日本乳化剤(株)製 アニオン性乳化剤(アンモニウム塩型)
ラテムルPD−104(花王(株)製 反応性アニオン乳化剤(アンモニウム塩型))
(比較例に使用する乳化液15〜28の調製)
スチレン40部、2−エチルヘキシルアクリレート50部、アクリル酸1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート9部、ニューコール707SN(日本乳化剤(株)製 ナトリウム塩型)1部、イオン交換水49部を攪拌することで乳化液15を調製した。同様にして、表2に記載のモノマー組成および架橋性単量体、乳化剤を用いて、乳化液16〜28を調製した。
Figure 0005613878
(水可溶性澱粉の調製)
<水可溶性澱粉A液>
澱粉Aとして、日澱化学(株)製の酵素変性澱粉アミコールNo.6−Hを、イオン交換水に溶解して、50%水溶液の粘度が175(mPa・s/50℃)である水可溶性澱粉A液を得た。
<水可溶性澱粉B液>
澱粉Bとして、日澱化学(株)製の酵素変性澱粉アミコールNo.1を、イオン交換水に溶解して、30%水溶液の粘度が7(mPa・s/50℃)である水可溶性澱粉B液を得た。
<水可溶性澱粉C液>
日澱化学(株)製の酵素変性澱粉アミコールNo.1(澱粉B)を、イオン交換水に溶解して、40%水溶液の粘度が13(mPa・s/50℃)である水可溶性澱粉C液を得た。
<水可溶性澱粉D液>
日澱化学(株)製の酵素変性澱粉アミコールNo.1(澱粉B)を、イオン交換水に溶解して、50%水溶液の粘度が40(mPa・s/50℃)である水可溶性澱粉D液を得た。
<水可溶性澱粉E液>
日澱化学(株)製の酵素変性澱粉アミコールNo.1(澱粉B)を、イオン交換水に溶解して、60%水溶液の粘度が175(mPa・s/50℃)である水可溶性澱粉E液を得た。
<水可溶性澱粉F液>
日澱化学(株)製の酵素変性澱粉アミコールNo.1(澱粉B)を、イオン交換水に溶解して、75%水溶液の粘度が3,800(mPa・s/50℃)である水可溶性澱粉F液を得た。
<水可溶性澱粉G液>
澱粉Gとして、日澱化学(株)製の酵素変性澱粉アミコールNo.7−Hを、イオン交換水に溶解して、50%水溶液の粘度が625(mPa・s/50℃)である水可溶性澱粉G液を得た。
<水可溶性澱粉H液>
澱粉Hとして、日澱化学(株)製の焙焼デキストリンの赤玉デキストリンNo.102Mを、イオン交換水に溶解して、50%水溶液の粘度が105(mPa・s/50℃)である水可溶性澱粉H液を得た。
<水可溶性澱粉I液>
澱粉Iとして、日澱化学(株)製の酵素変性澱粉のペノンPKWを、イオン交換水で溶解して、50%水溶液の粘度が3,200(mPa・s/50℃)である水可溶性澱粉I液を得た。
<加熱溶解型澱粉J液>
澱粉Jとして、日本食品化工(株)製の加熱溶解型澱粉に類する酸化澱粉である日食MS#3600をイオン交換水にて、80℃で加熱溶解させることにより、30%水溶液の粘度が11,000(mPa・s/50℃)である加熱溶解型澱粉J液を得た。なお、澱粉Jは、水可溶性澱粉ではなく、50%水溶液では粘度が高く溶解性不充分であったため、30%水溶液として調製した。
<加熱溶解型澱粉K液>
澱粉Kとして、日澱化学(株)製の加熱溶解型澱粉に類するグラフト化澱粉であるペトロサイズL−2Bをイオン交換水にて、80℃で加熱溶解させることにより、25%水溶液の粘度が55,000(mPa・s/50℃)である加熱溶解型澱粉K液を得た。澱粉Kは、水可溶性澱粉ではなく、50%水溶液では粘度が高く溶解性不充分であったため、25%水溶液として調製した。
(水分散樹脂組成物の合成)
<実施例1〜3>
温度計、攪拌機、滴下装置、還流冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して反応装置内の空気を窒素ガスに置換した。その後、この反応装置中に、イオン交換水30部および水可溶性澱粉A液を100部仕込み、完全に攪拌溶解させた。その後、反応装置内の温度を80℃に保ちながら、過硫酸アンモニウム1部を添加し、直ちに、前記乳化液1の滴下を開始し、4時間かけて全量を連続的に滴下した。滴下終了後、80℃で4時間熟成した後、室温にまで冷却した。その後、アンモニア水で中和、イオン交換水で調製することにより、固形分50%、粘度820(mPa・s/25℃)(B型粘度計)、pH7.0の水分散型樹脂組成物を得た(実施例1)。
同様にして、表1に記載の乳化液2と水可溶性澱粉B液を用いて乳化重合し、実施例2の水分散型樹脂組成物を得た。また、同様にして、表1に記載の乳化液3と水可溶性澱粉C液を用いて乳化重合し、実施例3の水分散型樹脂組成物を得た。結果を表3に示す。
<実施例4〜8および10〜12>
実施例4〜8および10〜12は、乳化剤として、ラテムルPD−104(花王(株)製、反応性アニオン乳化剤)を使用して作成した、表1に記載の乳化液4〜8および10〜12を用い、水可溶性澱粉A液、D液、E液を使用する以外は、実施例1と同様の方法により各々乳化重合し、冷却した後に、アンモニア水で中和、イオン交換水で調製することにより実施例4〜8および10〜12の水分散型樹脂組成物を得た。結果を表3に示す。
<実施例9>
実施例9は、表1に記載の乳化液9と水可溶性澱粉A液を用いて、実施例1と同様に乳化重合し、冷却した後に、アジピン酸ジヒドラジドの10%溶解液を20部加え、アンモニア水で中和、イオン交換水で調製することにより、実施例9の水分散型樹脂組成物を、固形分50%、粘度220(mPa・s/25℃)(B型粘度計)、pH7.0で得た。結果を表3に示す。
<実施例13>
実施例13は、表1に記載の乳化液13を用い、実施例1で使用した水可溶性澱粉A液の代わりに、水可溶性澱粉B液を使用する以外は、実施例1と同様の方法により乳化重合し、冷却した後に、アンモニア水で中和、イオン交換水で調製することにより、実施例13の水分散型樹脂組成物を、固形分40%、粘度125(mPa・s/25℃)(B型粘度計)、pH7.0で得た。結果を表3に示す。
<実施例14>
実施例14は、表1に記載の乳化液14を用い、実施例1で使用した水可溶性澱粉A液の代わりに、水可溶性澱粉G液を使用する以外は、実施例1と同様の方法により乳化重合し、冷却した後に、アンモニア水で中和、イオン交換水で調製することにより実施例14の水分散型樹脂組成物を、固形分40%、粘度600(mPa・s/25℃)(B型粘度計)、pH7.0で得た。結果を表3に示す。
<比較例1〜3>
比較例1〜3は、表2に記載の乳化液15〜17を用いて、実施例1で使用した水可溶性澱粉を使用しない以外は、実施例1と同様の方法により各々乳化重合し、冷却した後に、アンモニア水で中和、イオン交換水で調製することにより比較例1〜3の水分散型樹脂組成物を得た。結果を表4に示す。比較例1〜3では、水可溶性澱粉を使用していないため、重合安定性が不良で粕が発生した。
<比較例4〜6>
比較例4〜6は表2に記載の乳化液18〜20を用いて、実施例1で使用した水可溶性澱粉A液の代わりに、水可溶性澱粉H液を使用する以外は、実施例1と同様の方法により、各々乳化重合し、冷却した後に、アンモニア水で中和したが、粘度が高く、安定性が悪かったのでイオン交換水を多く配合し固形分を40%に調整することにより比較例4〜6の水分散型樹脂組成物を得た。結果を表4に示す。比較例4〜6では、使用する水可溶性澱粉が少ないため、重合安定性が不良で、粕が多く発生した。
<比較例7〜10>
比較例7は、表2に記載の乳化液21と水可溶性澱粉F液を用いて、実施例1と同様の方法により乳化重合し、水分散型樹脂組成物を調製した。また、同様にして、比較例8は乳化液22と水可溶性澱粉I液とを、比較例9は乳化液23と加熱溶解型澱粉J液とを、比較例10は乳化液24と加熱溶解型澱粉K液とを用いて、各々乳化重合し、水分散型樹脂組成物を調製した。しかしながら、水可溶性澱粉F液、水可溶性澱粉I液、加熱溶解型澱粉J液および加熱溶解型澱粉K液は、澱粉水溶液の粘度が、3,000(mPa・s/50℃)以下でないため、重合に使用した場合、重合安定性が不良となり、ゲル化してしまった。結果を表4に示す。
<比較例11〜14>
比較例11〜14は表2に記載の乳化液25〜28を用いて、実施例1で使用した水可溶性澱粉A液の代わりに、水可溶性澱粉H液を使用する以外は、実施例1と同様の方法により乳化重合した。冷却した後に、アンモニア水で中和、イオン交換水で調製することにより、比較例11〜14の水分散型樹脂組成物を得た。結果を表4に示す。
Figure 0005613878
Figure 0005613878
また、上記において、重合安定性は下記のとおり、重合により得られた水分散型樹脂組成物内に発生する粕の質量%で評価した。
<評価基準>
○:良(粕の発生0.05%未満)
△:やや不良(粕の発生0.05%以上、0.5%未満)
×:不良(粕の発生0.5%以上)
上記において、アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)の算出方法は、Foxの計算式により求めた値である。
また、上記において、水分散型樹脂組成物の最低造膜温度(MFT)の測定方法は、JISK6804に準じて測定した。すなわち、試料をステンレス板上に一面に広げ、低湿度下で乾燥し、厚さ0.1〜0.3mmの均一な連続被膜を形成し、被膜が白濁しない最低温度を最低造膜温度とした。成膜試験器は、YOSHIMITSU精機製の造膜試験装置(型番;MFT−1)を用いた。
また、上記において、アクリル系樹脂組成物の水酸基価および酸価は、下記の式1および2より算出した。
[式1]
水酸基価(mgKOH/g)=(f×M1/Mw/M2×〔KOH〕×1,000)
f:水酸基含有単量体の水酸基の数
〔KOH〕:KOHの分子量
M1:水酸基含有単量体の質量(g)
M2:アクリル系樹脂分の合計質量(g)
Mw:水酸基含有単量体の分子量(数平均分子量)
[式2]
酸価(mgKOH/g)=(h×M1/Mw/M2×〔KOH〕×1,000)
h:カルボキシル基含有単量体のカルボキシル基の数
〔KOH〕:KOHの分子量
M1:カルボキシル基含有単量体の質量(g)
M2:アクリル系樹脂分の合計質量(g)
Mw:カルボキシル基含有単量体の分子量(数平均分子量)
(試料Aの作成)
実施例および比較例のそれぞれの水分散型樹脂組成物100部に対し、40%グリオキザール液15部、50%ステアリン酸亜鉛液20部を配合し、塗工液とする。該塗工液を、市販ワープロ用感熱紙にバーコーターで、塗工量が3g/m2・dryとなるように塗工し、直ちに60℃で1分間で乾燥した後、23℃×50%RH雰囲気中に7日間養生し、評価用試料Aを作成した。
(試料Bの作成)
実施例および比較例のそれぞれの水分散型樹脂組成物75部に対し、10%完全ケンカPVA(クラレ117)125部、50%顔料分散液(クレー)50部、40%グリオキザール液15部、50%ステアリン酸亜鉛液20部を配合し、塗工液とする以外は、上記と同様にして、評価用試料Bを作成した。
<試験方法>
1.耐水性1(耐ウェットラブ性)
上記の試料AおよびBを、それぞれ4cm×8cmに断裁し、150℃で5分間加熱処理し、発色させる。発色面に水をスポイトで1滴滴下し、指で(50回)こすり、塗膜の状態、および黒発色部の欠落度合いを目視にて評価した。結果は表5に示す。
<評価基準>
○:塗膜に変化がなく、欠落もなし。
△:塗膜にぬめり感はあり、欠落少ない。
×:塗膜が溶け出し、欠落多い。
2.耐水性2(耐水ブロッキング性)
上記の試料AおよびBを、それぞれ4cm×8cmに断裁した後、半分に折り曲げ、半面に水をスポイトで1滴滴下する。残り半面を折り重ね、荷重100gを加えて24時間静置する。その後、試料を剥がし、150℃で5分間加熱処理し発色させた後、黒発色部の欠落度合いを目視にて評価した。結果は表5に示す。
<評価基準>
○:欠落なし。
△:欠落、少ない。
×:欠落、多い。
3.耐熱性(耐スティッキング性)
上記の試料AおよびBを、アイトロンデータテック製サーマルページプリンターSP650IIにて印字し、印字音(スティッキング音)および印字状態(白飛び)を評価した。結果は表5に示す。
<評価基準>
(1)印字音評価
○:スティッキング音殆どなし。
△:スティッキング音、少ない。
×:スティッキング音、多い。
(2)白飛び評価
○:白飛び、なし。
△:白飛び、少ない。
×:白飛び、多い。
4.耐溶剤性(耐マジックインキ性)
上記の試料AおよびBに、黄色(アルコール系)および赤色(芳香族系)の2種類の油性マジックを塗って、感熱層部の発色の有無を目視にて評価した。結果は表5に示す。
<評価基準>
○:殆ど変化なし。
△:変色、少ない。
×:変色、多い。
5.耐可塑剤性
アイトロンデータテック製サーマルプリンターSP650IIにて印字発色した試料に、市販ラップフィルム(ダイヤラップ)を1枚重ね合わせ、23℃で荷重40g/cm2を加えて24時間静置する。処理後の黒発色部の濃度低下を目視にて評価した。結果は表5に示す。
<評価基準>
○:殆ど濃度低下なし。
△:濃度低下、少ない。
×:濃度低下、多い。
6.耐地肌汚れ性
上記の試料AおよびBを50℃、または、50℃×90%RH雰囲気中に24時間静置する。処理後の感熱紙表面の地肌汚れを目視にて評価した。結果は表5に示す。
<評価基準>
○:殆ど地肌汚れ、なし。
△:地肌汚れ、少ない。
×:地肌汚れ、多い。
Figure 0005613878
本発明によれば、感熱紙等の保存性の低い記録材料の表面コート剤として使用する水分散型樹脂組成物であって、耐水性、耐溶剤性、耐可塑剤性、耐熱性等、画像の保存安定性および耐薬品性に優れたコート層を形成することができる水分散型樹脂組成物を提供することができる。

Claims (4)

  1. (メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体aと水酸基含有単量体bとを含む不飽和単量体を重合してなるアクリル系樹脂100質量部と、水可溶性澱粉20〜500質量部とを含有し、
    上記アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)がTg>10℃であり、
    上記水可溶性澱粉は、濃度が60質量%以下20質量%以上の水溶液であり、かつ、該水溶液の粘度が、3,000(mPa・s/50℃)以下であり、
    これらを含む水分散型樹脂組成物の最低造膜温度(MFT)がMFT<60℃であり、かつ、上記Tgと上記MFTとが、Tg−MFT>0℃の関係式を満たすことを特徴とする水分散型樹脂組成物。
  2. ナトリウム塩、カリウム塩の金属塩または塩酸塩からなる化合物を使用することなく製造されてなる請求項1に記載の水分散型樹脂組成物。
  3. 前記不飽和単量体が、さらに、芳香族単量体および/または脂環式単量体から選ばれる環状単量体cを含む請求項1又は2に記載の水分散型樹脂組成物。
  4. 前記水可溶性澱粉が、酵素変性澱粉、α化澱粉、焙焼デキストリンおよび澱粉誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜のいずれか1項に記載の水分散型樹脂組成物。
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