従来より、接着剤や塗料、その他各種の液剤を対象物に噴き付けて塗布するためのものとしてスプレーガンが広く用いられている。このスプレーガンとして、液剤をエアの噴出流によって霧化してスプレー塗布するエアスプレーガンや、液剤をこれに加えた圧力で霧状に噴出させて、対象物にスプレー塗布するエアレスタイプのスプレーガンが知られている。かかるスプレーガンとしては、ニードル弁を有しており、そのニードル弁により液剤の液量を調節する形のものが一般に用いられている。
詳しくは、従来のスプレーガンは、液剤の吐出口を先端に有する筒状のノズルと、ノズルの内部に挿通されたニードル弁とを備えており、ノズルには内周側に固定側の絞り部が設けられている。一方、ニードル弁には、絞り部との間に液剤を通す隙間が形成されている。そして、ニードル弁の後退移動により隙間が拡大変化せしめられる一方、前進移動により隙間が狭小変化せしめられる。これにより、隙間を通って吐出口に到る液剤の液量を変化させる可動側絞り部としての弁部が先端側に設けられている。このように、ニードル弁の進退移動により吐出口からの液剤の液量を調節すると共に、吐出口から吐出した液剤に対しエア噴出口から噴き出した圧縮エアを衝突させることにより、或いは液剤に加えた圧力により液剤を霧化することにより、これを対象物にスプレー塗布し得るようにされている。
図14(a)〜(c)には、この種のスプレーガンのうち、エアの噴出流で液剤を霧化してスプレー塗布するエアスプレーガンの一例における要部が具体的に示されている。図14(a)には、エアスプレーガンのノズル200が示されており、ノズル200とニードル弁210との間に断面円環形状の液通路202が形成されている。また、ノズル200は先端に液剤を吐出する円形の吐出口204を有しており、そしてこの吐出口204に続く後側に断面円形の雌テーパ面206を有している。雌テーパ面206は、先端側の一部にて固定側の絞り部208を形成している。ニードル弁210は断面円形の細い軸状(針状)の部材で、先端部が雄テーパ形状の弁部212とされており、この弁部212の外周面が先端に向かって小径化する雄テーパ面214とされている。
ニードル弁210はノズル200の中心軸上で軸方向(図14中左右方向)に移動可能とされており、前進移動によって弁部212と弁座部としての上記の固定側の絞り部208との間の断面円環形状の隙間が径方向で狭小変化せしめられる。そして、前進端で弁部212、詳しくは雄テーパ面214を絞り部208に対し軸方向に当てることにより、その径方向の隙間が全周に亘ってゼロとされる。即ち、吐出口204に到る液通路202が遮断されて、閉止され得る。また、ニードル弁210の後退移動により弁部212と絞り部208との間に断面円環形状の隙間が形成されて、且つ引続くニードル弁210の後退移動によりその隙間が径方向で拡大変化せしめられる。そして、その隙間の大小変化により、隙間を通る液剤の液量が変化せしめられる。即ち、吐出口204から吐出される液剤の液量が変化せしめられる。ここで、ノズル200における先端の外周には、所定距離を隔ててキャップ216が設けられており、このキャップ216とノズル200との間にエア噴出口220を有するエア通路218が形成されている。
このエアスプレーガンでは、エア噴出口220からのエアの噴出流によって吐出口204から液剤が吸い出される。即ち、吐出口204から液剤が吐出される。更に、その吐出された液剤に対する圧縮エアの衝突により液剤が微粒化して霧化される。そして、図15において模式的に示されているように、霧化された液剤の微粒子が、エアの噴出流に乗って対象物にスプレー塗布される。なお、図15における図示の例は、後述の小さな対象物Wに対して液剤をスプレー塗布する場合の例を示している。
ここにおいて、ニードル弁210の前進端で弁部212をノズル200の絞り部208に軸方向に当てて、液通路202を閉止する従来のエアスプレーガン222では、液通路202の閉止時に、絞り部208及び弁部212の寸法公差によって、弁部212と絞り部208との間に微小な隙間を生ぜしめてしまう問題がある。例えば、特開2008−12403号公報(特許文献1)に、従来のエアスプレーガンにおけるこのような問題が指摘されている。また、実公平6−46523号公報(特許文献2)には、液通路202の閉止時に、液剤に含まれた繊維を噛み込んでしまうことで、弁部212と絞り部208との間に微小な間隙を生ぜしめてしまう問題が指摘されている。
また、何れも金属で構成されているノズル200の絞り部208とニードル弁210の弁部212とが、液通路202の閉止時に当たることによって、或いは液通路202の開閉時に擦れを生じることによって、それら絞り部208および弁部212に偏摩耗や傷を発生させて、液通路202の閉止時に絞り部208と弁部212との間に微小な隙間を生ぜしめてしまう問題がある。例えば、特開2003−62490号公報(特許文献3)にこのような問題が指摘されている。
而して、そのような隙間が生じると、そこから液剤の漏出が生じる。漏出した液剤は、吐出口204で固まって吐出口204を部分的に塞いだり、或いは漏出した液剤が垂れて固まり、図16(a)に示されているようにエア噴出口220の一部を塞いだりしてしまう。特に、液剤が溶剤に微細な固形分粒子を分散させたものである場合には、固形分の粒子が塊を生じ易いために、上記の現象が生じ易い。そのような状態になると、液剤のスプレー塗布の方向が、図16(b)に示されているように、予定された正規の塗布の方向から偏った方向に不規則にずれて、本来の方向とは異なった方向に液剤がスプレー塗布されてしまう。その結果、例えば小さな形状の対象物Wに対して液剤をスプレー塗布するような場合、対象物Wの塗布面への液剤の塗布量が不足してしまう。
更に、従来のエアスプレーガンの場合、以上の他にも次のような問題が生じていた。例えば、小さな対象物Wに対して液剤をスプレー塗布する場合、液剤の適正な塗布量は微小量となる。この場合、適正な微小量の液剤を塗布するための、ノズル200の絞り部208と、ニードル弁210の弁部212との間の隙間は、図14(b),(c)に示されているように極めて微小な隙間(例えば0.06mm程度)となる。
このような微小な隙間の下で液剤をスプレー塗布した場合、その微小な隙間が液剤にて詰まりを生じ易い。而して、そのような詰まりを生じた下で液剤を塗布すると、対象物Wに対し液剤を良好にスプレー塗布することができない。そこで、止む無くニードル弁210を後退させ、絞り部208と弁部212との間の隙間を拡大して、液剤をスプレー塗布せざるを得ない。
ところがこの場合、対象物Wに対して液剤を近くからスプレー塗布すると、対象物Wに対して液剤が過剰に塗布されることとなり、その結果塗布ムラを生じたり、或いは対象物Wに塗布された液剤が液垂れを生じる等の不都合を生じる。これを防ぐためにはエアスプレーガンと対象物Wとの間の距離を大きく取って、対象物Wに対する液剤の塗布位置を遠ざけることが必要となる。
この場合、エアスプレーガンからの液剤の噴霧流が対象物Wに届くまでに大きく拡がってしまう。即ち、液剤の噴霧範囲が不必要に大きく拡がってしまう。そのために、対象物Wに塗布されないまま対象物Wを通過して飛散してしまう液剤の量が多くなってしまい、対象物Wに当ることなく拡がり、飛散した液剤はそのまま液剤ロスとなって歩留りを大きく低下させてしまう。そして、そのことが液剤に要するコストを増大させてしまう。
なお、特許文献3には、ニードル弁の前進端でニードル弁の弁部をノズルの絞り部に軸方向に当てて液通路を閉止する際に寸法公差等により漏洩が生じる問題を解決することを狙いとして、ノズル側にOリング(78)を保持させておき、ニードル弁の前進端でそのOリング(78)に対しニードル弁の弁部を当てて、ノズル側の絞り部とニードル弁の弁部とによる閉止に加えてOリングと弁部とによる閉止、即ち2重の閉止(2重のシール)を行うようになした点が開示されている。しかしながらこの特許文献3では、Oリング(78)に対しニードル弁の弁部を当てるようにしているため、液剤の塗布量が微小量のときにOリング(78)の撓み量が塗布量に影響を及ぼすので、液剤を微小量でスプレー塗布する際の液量調節の精度が低下してしまうという問題があった。
以上、エアスプレーガンを例として説明したが、液圧式のエアレスタイプのスプレーガンにおいても同様の問題が内在する。
本発明は以上のような事情を背景とし、ニードル弁の前進端で液通路を閉止したときに液通路を良好に遮断し得て液漏れを生ぜしめず、尚且つ液剤を微小量でスプレー噴霧する際にも精度高く液量の調節を行うことのできるスプレーガンを提供することを課題としてなされたものである。
而して本発明の第一の態様は、液剤の吐出口を先端に有する筒状のノズルと、該ノズルの内部に挿通されたニードル弁とを有し、該ノズルには内周側に固定側の絞り部が設けられる一方、該ニードル弁には、該固定側絞り部との間に前記液剤を通す隙間を形成し、該ニードル弁の後退移動により該隙間を拡大変化させ、前進移動により該隙間を狭小変化させることで、該隙間を通って前記吐出口に到る前記液剤の液量を変化させる可動側絞り部としての弁部が先端側に設けられており、該吐出口から吐出した前記液剤を霧化し、対象物にスプレー塗布するスプレーガンにおいて、前記固定側絞り部を前記弁部に対して軸方向に当接しない位置である、該弁部全体に対して径方向外側の位置に配置して、該固定側絞り部と該弁部とで前記隙間を径方向に形成せしめる一方、前記ニードル弁の前進移動時に、前記ノズルと該ニードル弁との間で弾性シール部材を軸方向に当接及び弾性変形させることによって、前記吐出口に向かう前記液剤の液通路を前記弁部の上流側で閉止する閉止部を設けるとともに、前記ノズルにおける先端部の内周側に、前記弁部を軸方向に挿入させる、前記吐出口を先端に有するノズル孔を設けて、該ノズル孔の後端側の部位にて前記固定側絞り部を構成し、且つ該ノズル孔は、該固定側絞り部を含む少なくとも後側部分を全周に亘り軸方向にストレート形状をなす雌嵌合部とするとともに、前記ニードル弁の前記弁部の後側には、全周に亘り軸方向にストレート形状をなして該雌嵌合部に嵌合する雄嵌合部を設けて、それら雌嵌合部と雄嵌合部とでストレート嵌合部を構成し、且つ該ストレート嵌合部は、前記ニードル弁の前進移動時に前記弾性シール部材が前記ノズルと該ニードル弁との間に当接される前に、且つ前記弁部が前記固定側絞り部との間の隙間を最小隙間とする位置に到った後に、前記雄嵌合部を前記雌嵌合部に挿入させて嵌合し、その嵌合状態を、該弾性シール部材が該ノズルと該ニードル弁との間に当接して弾性変形するに到るまで保持するものとなしてあることを特徴とする。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るスプレーガンにおいて、前記ニードル弁の前進移動時に、前記閉止部の前記弾性シール部材が前記ノズルと該ニードル弁との間に当接し且つ設定量弾性変形したところで前記ニードル弁の前進移動を停止させ、該弾性シール部材を変位規制するストッパ機構が設けてあるものである。
本発明の第三の態様は、前記第二の態様に係るスプレーガンにおいて、前記ストッパ機構が、前記ニードル弁の前記雄嵌合部より後側で径方向外方に立ち上る可動側当り部と、該可動側当り部に対して軸方向に対向する状態に前記ノズルに設けられ、該可動側当り部と当接する固定側当り部とで構成してあるものである。
本発明の第四の態様は、前記第一〜三の何れかの一つの態様に係るスプレーガンにおいて、前記弾性シール部材が前記ニードル弁に外挿されており、該ニードル弁の外周面と前記ノズルの内周面とにおいて、互いに軸方向で対向する可動側当接面と固定側当接面とが設けられており、該可動側当接面と該固定側当接面との間で該弾性シール部材を軸方向で挟んで当接及び弾性変形させるものである。
本発明の第五の態様は、前記第一〜四の何れかの一つの態様に係るスプレーガンにおいて、前記ニードル弁の前記弁部が、先端側に進むに連れて前記固定側絞り部からの径方向の離間距離を連続的に増大させる形状の傾斜面を周方向の少なくとも1個所に有する先細り形状をなし、該傾斜面と該固定側絞り部との間に前記隙間の全体を形成するものとなしてあるものである。
本発明の第六の態様は、前記第五の態様に係るスプレーガンにおいて、前記ニードル弁において前記先細り形状とされた前記弁部の軸直角方向の断面が弓形とされており、前記傾斜面が軸方向視で該弓形断面の弦の部分に位置しているものである。
本発明の第七の態様は、前記第一〜四の何れかの一つの態様に係るスプレーガンにおいて、前記ニードル弁の前記弁部が、先端側に進むに連れて溝深さを連続的に増大させる溝を周方向の少なくとも1個所に有しており、該溝と前記固定側絞り部との間に前記隙間の全体を形成するものとなしてあるものである。
発明の作用・効果
以上のように本発明は、ニードル弁の前進移動時に、ノズルとニードル弁との間で弾性シール部材を、軸方向に当接及び弾性変形させることによって、吐出口に向う液剤の液通路を弁部の上流側で閉止する閉止部を設けたものである。
即ち、本発明は、従来のスプレーガンのようにニードル弁の弁部を相手側(ノズル側)へ直接に当てることで液通路を遮断して閉止するのではなく、弁部とは離れた弁部の上流側で弾性シール部材を軸方向に当接及び弾性変形させることで液通路を遮断して閉止するようになしたものである。
従って、本発明によれば、ニードル弁の前進端で弁部や絞り部に生じた傷等によりそれらの間に隙間が生じ、液通路が閉止状態にあるにも拘らずその隙間から液漏れして、その液漏れにより液剤の吐出口や、必要に応じて設けられるエア噴出口が部分的に塞がれてしまうといった問題を解決することができる。
ところで、かくの如き弁部から上流側へ離れた位置に配された弾性シール部材を採用するに際しては、弁部と絞り部とによる液量調節を、従来のスプレーガンのようにノズルにおける雌テーパ面の一部から成る絞り部と、ニードル弁の雄テーパ形状の弁部との間に隙間を形成して且つその隙間をニードル弁の進退移動により大小変化させることで行うようになした場合、以下の6段落で説明するように、液量調節を行うことができない領域が生じてしまう。
すなわち、ニードル弁の進退移動に伴って軸方向および径方向に対向する絞り部と弁部とで、それらの間の隙間を大小変化させて流量調節する場合、閉止部における弾性シール部材が軸方向で対向する両当接面に当接して挟まれた時点で、それら弁部と絞り部との間に一定以上の隙間が生じるようにしておかなければならない。
蓋し、閉止部で液通路を十分にシールして閉止するためには、弾性シール部材が当接面間に当接して挟まれてからも、これを弾性変形させなければならず、そのためには弾性シール部材が当接面間に挟まれてからもニードル弁を所定ストローク前進移動させる必要があるが、弾性シール部材が両当接面に当った時点で、弁部と絞り部との間に一定以上の隙間が生じておらず、絞り部と弁部との間の隙間が最小隙間になっていると、ニードル弁が前進移動しようとした途端に弁部が絞り部に軸方向で当ってしまい、それ以上ニードル弁を前進移動させることができず、従って弾性シール部材を弾性変形させることができないからである。そのために、弾性シール部材が両当接面に当接した時点で、弁部と絞り部との間に一定以上の隙間を確保しておくことが必要となる。
ところが、弁部と絞り部との間に確保した上記の一定以上の隙間は、弾性シール部材が両当接面に当接した後には液量調節のための隙間として用いることができない。蓋し、弾性シール部材が両当接面に当接した後は、弁部の上流側で液通路がそれらにより、即ち閉止部により閉止されているからである。従って、その間にニードル弁の前進移動により絞り部と弁部との間の隙間が狭小変化しても、そのことによって液量調節はなされず、弾性シール部材が両当接面に当たってからのニードル弁の前進移動の領域が液量調節を行うことができない領域となる。
以上は、ニードル弁が前進移動する場合であるが、ニードル弁が後退移動する場合においても事情は同様である。即ち、ニードル弁の後退移動に伴って絞り部と弁部との間の隙間が拡大変化しても、弾性シール部材が両当接面に接触状態にある限り、詳しくは弾性シール部材が弾性変形状態から形状復元し且つ当接面から離間する直前までは、弁部の移動による液量調節はなされない。
また、弾性シール部材が当接面から離れたとしても、弾性シール部材と当接面との間の隙間が、弁部と絞り部との間の隙間よりも大きくなるまでの間、液量は実質的に弾性シール部材と当接面との間の隙間によって定まってしまい、従ってその間も弁部と絞り部との隙間の変化による液量調節はなされないこととなる。
この点はニードル弁が前進移動する場合においても同様で、弾性シール部材と当接面との間の隙間が、弁部と絞り部との間の隙間よりも小となった領域においては、弁部と絞り部との間の隙間による液量調節はなされない。以上の問題は、弁部が絞り部に対して軸方向に当接及び離間して、絞り部と弁部との間の隙間を開閉させることに伴う、該隙間の大小変化に起因して生ずる。
ここにおいて、本発明では、以上の7段落に記載の如き事情に鑑みて、絞り部を弁部に対して軸方向で当接することのない構造とした。即ち、弁部全体に対して径方向外側に位置する状態に絞り部を配置して、絞り部と弁部とで隙間を径方向に形成せしめるようにしている。これにより、弁部は、その長さ方向の何れの部位においても絞り部に対して挿し入れられ得る構造とされることから、弁部と絞り部とが軸方向の相対移動に対して相互に直接に当接することが回避される。
なお、絞り部と弁部との間の径方向の隙間は、例えば弁部の周方向の少なくとも一部を先端側に向って先細り形状としておくことで形成することができる。そして、その径方向の隙間は、ニードル弁の後退移動により拡大変化する一方、前進移動により狭小変化する。このようにすれば、弁部が絞り部との間の径方向の隙間を最小隙間とする位置で、弾性シール部材を両当接面に当接させたとしても、引続きニードル弁を前進移動させることができて、そのニードル弁の前進移動により弾性シール部材を当接面間で弾性変形させることができる。
ただし、そのことだけでは、未だ弁部と絞り部とで液量調節することのできない領域を無くすことはできない。弁部が絞り部との間に最大隙間を形成する位置から、最小隙間を形成する位置に到るまでの全範囲で、弁部と絞り部とで液量調節を成し得るようにするためには、弁部が絞り部との間に最小隙間を形成する位置に到った後に、弾性シール部材を両当接面に当接させ、且つ弁部が絞り部との間に最小隙間を形成する位置に到ってから、弾性シール部材が両当接面に当接して更に弾性変形するまでの間、絞り部の径方向内側に隙間を実質的に生じないようにすることが求められる。
ここにおいて、本発明では、ノズル先端部の内周側に設けたノズル孔の後端側の部位にて上記の絞り部を構成するとともに、その絞り部を含むノズル孔の少なくとも後側部分を軸方向にストレート形状に延びる雌嵌合部とする一方、ニードル弁の弁部の後側に、同じく軸方向にストレート形状に延びて雌嵌合部に嵌合する雄嵌合部を設けて、それら雌嵌合部と雄嵌合部とでストレート嵌合部を構成した。そして、そのストレート嵌合部を、ニードル弁の前進移動時に弾性シール部材が両当接面に当接する前に、且つ弁部が絞り部との間の隙間を最小隙間とする位置に到った後に、雄嵌合部を雌嵌合部に挿入させて嵌合し、その嵌合状態を、弾性シール部材が当接面に当接して弾性変形するに到るまで保持するものとなした。
それ故、本発明では、雌嵌合部と雄嵌合部とを嵌合させることで、それらの間の隙間を実質的にゼロとすることが可能である。即ち、絞り部の径方向内側の隙間を実質的にゼロとすることができる。而して、それら雌嵌合部と雄嵌合部との嵌合は、弁部が絞り部との間の隙間を最小隙間とする位置に到った後、弾性シール部材が両当接面に当接して弾性変形するに到るまで保持される。
すなわち、本発明では、ニードル弁の前進移動時において、弁部が絞り部との間の隙間を最小隙間とする位置に到った後に、雌嵌合部と雄嵌合部との嵌合により絞り部の内側の隙間を実質ゼロに保つことができる。その後において、弾性シール部材が軸方向の両当接面に当接し且つ軸方向に挟まれて弾性変形することから、弁部が絞り部との間に最大隙間を形成する位置から最小隙間を形成する位置に到る全範囲に亘って、隙間の大小変化により支障無く良好に液量調節を行うことができると共に、弾性シール部材の両当接面への当接及び弾性変形にて液通路を良好にシール状態に遮断して閉止することができる。
従って、本発明によれば、ニードル弁の前進端で液漏れを防ぎつつ良好に液通路を閉止することができて、液通路を閉止したにも拘らずニードル弁における弁部と絞り部との間に生じた微小な隙間によって液剤が漏出してしまうのを防ぐことができる。これにより、漏出した液剤が固まることによってスプレー塗布が良好に行えなくなる問題を解決することができる。しかも、弁部と絞り部とによって、液通路を通じ吐出口に到る液剤の液量を精度高く調節制御することができる。
なお、本発明では、上記ノズル孔を吐出口に向って先細のテーパ内周面形状等とすることも可能であるが、好適には、かかるノズル孔を吐出口に到るまで全周に亘り軸方向にストレート形状となしておくことができる。
また、本発明の前記第二の態様に従う構造とされたスプレーガンにおいては、ニードル弁の前進移動時に、閉止部の弾性シール部材がノズルとニードル弁との間に当接し且つ設定量弾性変形したところでニードル弁の前進移動を停止させ、弾性シール部材を変位規制するストッパ機構が設けられていることから、弾性シール部材の過度の変形を防ぐことができて、弾性シール部材の耐久性を高めることができる。
また、本発明の前記第三の態様では、前記第二の態様に係るスプレーガンにおいて、ニードル弁の雄嵌合部より後側で径方向外方に立ち上る可動側当り部と、該可動側当り部に対して軸方向に対向する状態でノズルに設けられ、可動側当り部と当接する固定側当り部とによって、ストッパ機構が構成されていることから、ニードル弁のノズルに対する前進側への移動端が確実に制限され得て、例えば弾性シール部材の過度な弾性変形等も防止され得る。よって、可動側当り部と固定側当り部との両当接面に対して弾性シール部材を確実に当接させて挟圧状態で弾性変形させることが可能になる。
ここで可動側当り部は、弾性シール部材がニードル弁の側に設けられている場合において、弾性シール部材よりも後側に設けておくこともできるが、弾性シール部材よりも前側に設けておくことが望ましい。
また、本発明の第四の態様では、前記第一〜三の何れかの一つの態様に係るスプレーガンにおいて、弾性シール部材がニードル弁に外挿されており、ニードル弁の外周面とノズルの内周面とにおいて、弾性シール部材を軸方向で挟んで当接及び弾性変形させる可動側当接面と固定側当接面とが設けられていることから、可動側当接面と固定側当接面との対向面間に配される弾性シール部材を、ニードル弁への外挿状態で安定して保持させることができると共に、ニードル弁の前進作動に際して、可動側当接面と固定側当接面との両当接面に対して弾性シール部材を径方向で精度良く位置決めさせて両当接面へ確実に当接させることで、弾性シール部材を確実に挟んで弾性変形させることが可能になる。
また、本発明の第五の態様では、前記第一〜四の何れかの一つの態様に係るスプレーガンにおいて、ニードル弁の弁部が、先端側に進むに連れて前記絞り部からの径方向の離間距離を連続的に増大させる形状の、軸方向視で該弁部の幅方向の一端から他端に亘る平坦な傾斜面を周方向の少なくとも1個所に有する先細り形状をなし、該傾斜面と前記絞り部との間に前記隙間の全体を形成するものとなしてあることから、塗料が吐出される隙間の全面積に対する当該隙間の径方向寸法を大きく確保することが可能になる。
すなわち、図14に示した従来のスプレーガンの場合、ニードル弁210における雄テーパ形状の弁部212とノズル200の雌テーパ面206、具体的には絞り部208との間に全周に亘って略一定大きさで延びる環状の隙間を形成する。そのために、液剤の吐出量を決定する隙間の全面積(横断面の全面積)がある程度あったとしても、弁部212と絞り部208との間の径方向の隙間寸法は小さくなる。
しかるに、本態様では、絞り部と弁部との間の隙間が周方向で1個所や2箇所或いは数カ所に限定的に形成されるため、隙間の全面積を図14に示した従来のスプレーガンのそれと同じとしたとき、隙間自体の径方向寸法を大きくすることができる。なお、弁部の周上における隙間の数は、より好適には1箇所とされ、それによって、隙間の全面積に対する隙間自体の径方向寸法を一層大きくすることが可能になる。
而して、隙間を大きくすることにより、隙間で液剤が詰まり難くなり、隙間に液剤が詰まることによって液剤を良好にスプレー塗布できなくなるといった従来の問題を解決することができる。また、隙間の大きさを図14に示した従来のスプレーガンのそれと同じとしたときには、隙間の全面積を少なくすることができる。これにより、液剤の吐出量(噴霧量)を少なくすることができる。
従って、例えば小さな対象物に対して液剤をスプレー塗布する場合、スプレーガンの位置を従来よりも対象物に近づけて、至近距離から液剤を対象物にスプレー塗布することが可能となる。その場合には、スプレー噴霧された液剤が対象物に到達するまでの噴霧流の拡がりを小さくできて、効果的に液剤を対象物に対してスプレー塗布することができる。また、液剤の飛散を可及的に少なくし得て、液剤のロスを少なく抑えることができることから、歩留り率を向上させ得て、液剤に要するコストを低減することができる。
本発明の第六の態様では、前記第五の態様に係るスプレーガンにおいて、ニードル弁の弁部が断面弓形とされて、傾斜面が軸方向視で弦方向に延びる平坦面とされていることから、例えば軸方向視において湾曲や屈曲等した傾斜面を採用した場合に比して、ニードル弁の弁部を容易に加工して製造することができると共に、塗料が吐出される隙間の形状が単純化されて液剤の詰まりも一層効果的に防止され得る。
一方、本発明の第七の態様では、前記第一〜四の何れかの一つの態様に係るスプレーガンにおいて、ニードル弁の弁部が、先端側に進むに連れて溝深さを連続的に増大させる溝を周方向の少なくとも1個所に有しており、該溝と前記絞り部との間に前記隙間の全体を形成するものとなしてあることから、液剤の吐出口における隙間の全面積を同一としたとき、隙間の径方向寸法をより一層効果的に大きくすることができる。この場合において、弁部の溝は、横断面V字状、U字状、またはその他の凹状の各種形状となしておくことができる。
なお、本態様においては、例えば溝形状を、先端側に進むに連れて溝幅が漸次大となる形状となしておくこともできる。また、弁部の周上における溝の数は、より好適には1箇所とされ、それによって、隙間の全面積に対する隙間自体の径方向寸法(溝深さ寸法)を一層大きくすることが可能になる。
次に、本発明を、液剤をスプレー塗布するエアスプレーガンに適用した場合の実施形態を図面に基づいて以下に詳しく説明する。
図1には、本発明の第一の実施形態としてのエアスプレーガン(以下単にスプレーガンとする)10が示されている。より詳細には、スプレーガン10は、本体部12の先端にキャップ14が装着されて構成されている。
図2(a)には、ニードル弁装置15の主要構成部材を成す筒状のノズル16が示されており、このノズル16には内部に細い軸状(針状)をなすニードル弁20(図2(b)参照)が挿通されている。そして、ノズル16とニードル弁20との間には、液剤タンク等から供給された液剤を流通させる液通路24が形成されている。なお、液通路24の一方の端部は、液供給口22を介して本体部12の外周面に開口していると共に、他方の端部は、本体部12の先端において外部に開口している。これにより、液通路24を流通した液剤は、液通路24の先端の吐出口18から外部に吐出せしめられる。なお、ニードル弁装置15は、ノズル16、ニードル弁20およびこれらに備えられた各種機能部にて構成されている。
一方、ノズル16の外周には、エア供給口28から供給されたエアを流通させるエア通路26が形成されている。なお、エア供給口28は、本体部12の外周面に開口していると共に、エア通路26に連通されている。そして、エア通路26を流通したエアは、図2(a)に示されているようにキャップ14の先端とノズル16の先端との間に形成されたエア噴出口30から外部に噴出される。
本実施形態のスプレーガン10では、コンプレッサにより圧縮されたエアがエア噴出口30から図1中の左向きに噴出され、そしてそのエア噴出によって生じる負圧により、吐出口18から液剤が吸い出される。即ち、吐出口18から液剤が吐出される。そして、その吐出した液剤に対して、エア噴出口30から噴出した圧縮エアが衝突することにより液剤が微粒化せしめられて霧化し、これによりエアの噴出流に乗せて対象物にスプレー塗布することが可能とされている。
さらに、本体部12にはガイド部材32が取り付けられている。このガイド部材32は、ニードル弁20の移動をガイドするものであり、全体として円筒状をなしている。そして、ガイド部材32は、中心部のガイド孔34にニードル弁20を挿通させた状態で、本体部12にねじ結合にて取り付けられている。詳しくは、このガイド部材32の外周面には雄ねじが設けられており、その雄ねじが本体部12に設けられた雌ねじに対してねじ結合されている。
また、ガイド部材32の前方(図1中の左方)において、ガイド部材32と本体部12の間にはOリング36が配設されている。このOリング36がガイド部材32によって弾性圧縮されることにより、ニードル弁20の外周面と本体部12との間が気密にシール可能とされている。かかるOリング36によるシールによって、液通路24の液剤が後方(図1中の右方)へと漏出するのが防止される。
更にまた、ニードル弁20の後端には大径をなすピストン38が設けられており、このピストン38が、ピストン38およびニードル弁20を前方に付勢する金属製の圧縮コイルスプリング40と共に、本体部12の後方に設けられた収容室42内に収容されている。更に、このピストン38には外周面において周方向に延びる環状のOリング溝44が設けられており、このOリング溝44内には弾性を有するOリング46が保持されている。そして、このOリング46によって、ピストン38の外周と収容室42の壁部との間が気密にシールされている。
さらに、ピストン38の後方にはストッパ48が設けられており、ピストン38の後端面(図1中の右方の面)に設けられた当接部50に当接することでピストン38の後退量、即ちニードル弁20の全開時の開弁量が規定される。ここではストッパ48は雄ねじ部材から成っており、ストッパ48は収容室42の壁部を貫通する雌ねじ孔51に螺合され、その螺合位置を変えることで、ニードル弁20の全開時の開弁量が調節され得る。
また、ストッパ48の後端部には調節操作部52が設けられている。この調節操作部52は、雄ねじ部材から成るストッパ48の後端部に対して接着や溶着等の手段により固着されており、これらが一体的に回転して、ストッパ48によるストッパ位置をダイヤル式に位置調節するようにされている。この調節操作部52を回転操作することで、ストッパ48が収容室42の壁部上を前後移動せしめられて、これにより、ピストン38の後退に対するストッパ位置が前後方向(図1中の左右方向)に位置調節される。即ち、ニードル弁20の全開時の開弁量が調節される。
この実施形態のスプレーガン10では、先ず、液剤タンクから液供給口22を介して液通路24内に液剤を供給する。そして、コンプレッサからの圧縮エアをエア供給口28を介してエア通路26内に供給すると、その圧縮エアによってピストン38が図1中右向きに一杯まで、即ち当接部50が予め設定されたストッパ48に当接する位置まで後退移動させられる。ここにおいて、ピストン38およびニードル弁20が所定量後退すると同時に、図2(a)に示されている吐出口18が所定量開放状態とされる。そして、スプレーガン10に対してエアを供給すると同時に液通路24の吐出口18から液剤が吐出される。その際、エア噴出口30からエアが噴出されることにより、液剤が霧化してスプレー噴霧される。一方、エアの供給を停止することにより、スプリング40で前方へ付勢されたピストン38およびニードル弁20が前進移動して、吐出口18および液通路24が閉止される。これにより、スプレーガン10によるスプレー噴霧を停止する。
また、図2(a)に示されているように、ノズル16の先端側には、外周面が雄テーパ面54、内周面が雌テーパ面56をなすテーパ形状部58が設けられている。更に、このテーパ形状部58よりも先端側にはノズル孔60が設けられており、断面(横断面)が円形をなして全周に亘り軸方向(ノズル16の中心軸線の延びる方向)に略同径でストレート形状に延びている。このノズル孔60の先端に前述の吐出口18が形成されており、かかるノズル孔60に対して、後述の弁部68が軸方向に挿入される。そして、このノズル孔60の後端部(図2(a)中の右端部)が、ニードル弁20における弁部68との間に液量を調節するための隙間を形成する固定側の絞り部62とされている。ここで、ノズル孔60は、その全体が後述するストレート嵌合部82における雌嵌合部とされている。
ノズル16には、図3(a),(b)にも示されているようにノズル孔60の後端から径方向外方に直角(ノズル16の中心軸線と直交方向)に立ち上る固定側当り部64が設けられている。更に、この固定側当り部64から更に後方(図3中の右側)の位置に、後述するOリング78を当接させる当接面66が、同じく径方向に直角に立ち上る形態で設けられている。なお、これら固定側当り部64、当接面66の働きについては後に詳述する。
一方、ニードル弁20は、細い軸状のニードル本体67の先端部に弁部68を有しており、ニードル本体67と弁部68との間に、断面円形で且つ全周に亘り軸方向にストレート形状で延びる雄嵌合部70が設けられている。この弁部68は、本実施形態では周方向の1個所、具体的には図3中の上部の1個所に、先端側に進むに連れて図3中の下方に移行する平坦な傾斜面72が設けられている。本実施形態では、この傾斜面72により弁部68と絞り部62との径方向の離隔距離が連続的に増大するようにされている。従って、本実施形態の弁部68は、先端側に進むに連れて薄肉となる先細形状とされている。なお、絞り部62は、弁部68に対して、軸方向に当接しない位置、且つ径方向外側の位置に形成されている。
ここで、傾斜面72は、図4(a),(b)の左側に示されているように軸方向視において弁部68の幅方向の一端から他端に到るまで設けられており、弁部68の断面が弓形とされて傾斜面72が軸方向視で弦方向に延びる平坦面とされている。これにより、ノズル孔60への弁部68の挿入状態で絞り部62との間に略三日月状ないし半月状の隙間S1を径方向に形成している。かかる弁部60と絞り部62との間に形成される隙間を通じて、液通路24中の液剤が外部に噴出され得る。本実施形態では、かかる隙間が、全体として傾斜面72と絞り部62との間に形成されている。また、弁部68の先端面は軸方向に垂直な平坦面をなしている。なお、弁部68は傾斜面72を除いた部分において、ノズル孔60への挿入状態で、かかるノズル孔60の周面と嵌合状態となる。
上記雄嵌合部70は、ノズル孔60にて形成される雌嵌合部内部に挿入されて、雌嵌合部と嵌合する部分で、この雄嵌合部70の外径は、雌嵌合部、即ちノズル孔60の内径と実質同径とされており、ノズル孔60との間、詳しくは絞り部62との間に実質的に隙間を生じないものとされている。
ニードル弁20にはまた、上記の弁部68及び雄嵌合部70の更に後側の位置(図2(a)中右側の位置)に、径方向外方に直角に立ち上る可動側当り部74が設けられている。更に、この可動側当り部74の後側にはOリング溝76が設けられていて、そこに弾性シール部材としてのOリング78が保持されている。なお、Oリング溝76におけるニードル弁20の軸方向後側の周壁面(図2(a)中、符号76を示す引出線の引出面)は、ノズル16の内周面に設けられた固定側の当接面66に対して軸方向で対向位置せしめられた可動側の当接面を、ニードル弁20の外周面において構成している。そして、これら固定側の当接面66と可動側の当接面(Oリング溝76の一方の側壁面)との間にOリング78が、ニードル弁20に外挿状態で保持されて配置されており、後述するように、ニードル弁20の前進側への移動に際して、固定側と可動側の各当り部64,74が当たる前に、固定側の当接面66と可動側の当接面とに対してOリング78が当接して軸方向で挟まれて、両当接面により圧縮されて弾性変形せしめられるようになっている。
このOリング78は、ノズル16側の上記の当接面66と協働して、液通路24を弁部68および雄嵌合部70の上流側(図2(a)中の右側)で閉止する閉止部80を構成する。即ち、ニードル弁20の前進時にOリング78が当接面66に当接し且つ弾性変形することによって、液通路24をシール状態に遮断して、これを閉止する。なお、上記の雄嵌合部70は、ノズル孔60から成る雌嵌合部と共にストレート嵌合部82を構成している。
この実施形態では、ニードル弁20の前進移動時において、弁部68が絞り部62との間の隙間S1を最小隙間とする位置に到った後に、具体的には傾斜面72の図2(a)中右端が絞り部62に対して径方向に対向する位置に到った後に、且つニードル弁20側のOリング78がノズル16側の当接面66に当接する前に、雄嵌合部70が雌嵌合部をなすノズル孔60内に挿入して嵌合する。そして、その嵌合状態を、Oリング78が当接面66に当接し、更に弾性変形して所定変形量に達するまで保持する。このときの所定変形量は、後述の設定弾性変形量であっても良いし、これよりも少ない変形量であっても良い。弁部68、雄嵌合部70、雌嵌合部をなすノズル孔60、Oリング78及び当接面66の位置及び形状がそのように予め定められている。そして、Oリング78が弾性変形して、その変形量が予め設定した弾性変形量に達したところで、ニードル弁20側の可動側当り部74が、ノズル16側の固定側当り部64に軸方向に当たって、そこでニードル弁20の更なる前進移動がストッパ作用により停止される。即ち、本実施形態では、ニードル弁20の前進移動を停止させて、且つOリング78のそれ以上の変位を規制するストッパ機構が、可動側当り部74および固定側当り部64により構成されている。
この実施形態では、図3(a),(b)に示されているようにニードル弁20の進退移動に伴って弁部68が、絞り部62における図3中の下方を左右方向に進退移動することで、弁部68と絞り部62との間の径方向の隙間S1が大小変化せしめられる。具体的には、ニードル弁20の後退移動により隙間S1が拡大変化せしめられる。一方、ニードル弁20の前進移動により隙間S1が狭小変化せしめられる。即ち、ニードル弁20の先端の弁部68が、可動側の絞り部として機能している。これにより、隙間S1を通って吐出口18に到る液剤の液量を大小変化させて、調節可能としている。
図4(a)には、弁部68の後端、即ち傾斜面72の後端が絞り部62に対して後方(図4中の右方)に位置した状態が示されている。この状態からニードル弁20の前進移動に伴って、弁部68が図4中の左向きに前進移動すると、図4(b)に示されるように、あるところで弁部68の後端(傾斜面72の後端)が絞り部62に対して最も接近した位置に到って、弁部68が絞り部62との間の隙間S1を最小隙間とする。なお、かかる最小隙間はゼロより僅かに大きいものとする。
このとき、ニードル弁20の雄嵌合部70の前端と絞り部62との間の距離L1は、図4(a)に示されている状態に比べて小となり、また、ニードル弁20に保持されたOリング78とノズル16側の当接面66との間の隙間S2も、図4(a)に示されている状態に比べて小となる。更に、図4(b)に示されている状態において、Oリング78と当接面66との間の隙間S2は、雄嵌合部70の前端と絞り部62との間の距離L1よりも大きい。
その後、弁部68が更に前進移動すると、図5(a)に示されているように弁部68の後端が絞り部62を通過して、その直後に雄嵌合部70がノズル孔60から成る雌嵌合部の後端に嵌合した状態となる。この時点でもOリング78と当接面66との間には隙間S2が生じている。即ち、Oリング78が当接面66に当接する前に、雄嵌合部70が雌嵌合部に嵌合するに到る。そして、雄嵌合部70がノズル孔60から成る雌嵌合部に嵌合するに到って、絞り部62の径方向内側の隙間S1は実質的にゼロの状態となる。
要するに、Oリング78と当接面66との間に隙間S2が生じている状態で、先ず雄嵌合部70と雌嵌合部との嵌合により、絞り部62の径方向内側の隙間S1が実質的に無くなる。そして、弁部68の更なる前進移動によって、図5(b)に示されているようにOリング78が当接面66に当接するに到る。従って、この時点でOリング78と当接面66との間の隙間S2はゼロとなる。但し、この時点ではOリング78と当接面66とによるシールは未だ十分とはいえない。その後、弁部68が更に前進移動すると、これに伴ってOリング78が弾性変形し、当接面66に対する密着力を高める。雄嵌合部70とノズル孔60から成る雌嵌合部との嵌合はこの間も保持されており、絞り部62の径方向内側の隙間は依然として実質的にゼロの状態に保たれる。
そして、図5(c)に示されているように、弁部68が更に前進移動することにより、Oリング78が予め設定した変形量まで弾性変形せしめられる。本実施形態では、Oリング78が設定した変形量、例えば図5(c)中の左右方向における撓み量が0.15mmまで弾性変形したところで、ニードル弁20側の可動側当り部74が、ノズル16側の固定側当り部64に軸方向に当たり、ここにおいてニードル弁20、即ち弁部68の前進移動が停止する。そして、この時点で液通路24が、弁部68とは異なった位置の上流側で、Oリング78と当接面66とにより十分なシール状態で閉止される。
以上はニードル弁20が前進移動する際の動きであるが、ニードル弁20が後退移動する際には上記とは逆の動きとなる。
以上のような本実施形態では、弁部68と絞り部62との間の隙間S1が、周方向の1個所だけに限定され、集約される形となるため、隙間S1の全面積(横断面の面積)を図14に示した従来のスプレーガンのそれと同じとしたとき、周方向1個所の隙間を大きくすることができる。因みに、図6には、本実施形態のスプレーガンにおいて生じる隙間S1と、比較例として、図14に示した従来構造のスプレーガンにおいて生じる隙間S1とが、それぞれ示されている。
図6(a)に示されているように、比較例のものでは、雄テーパ形状の弁部212とノズル200の雌テーパ面206、具体的には絞り部208との間に全周に亘って環状の隙間S1が形成されるため、液剤の吐出量を決定する隙間S1の全面積(横断面の全面積)がある程度あったとしても、弁部212と絞り部208との間の周方向1個所における隙間は小となる。これに対して、図6(b)に示されているように、本実施形態では、その隙間S1が周方向の1個所に集約されるため、隙間S1の全面積を同じとしたときに、周方向1個所における隙間を大きく確保することができる。
一例として従来のスプレーガンでは、例えば液剤を吐出量a(mg/s)で吐出をするために必要な隙間S1が最大で0.062mmであったのが、本実施形態では吐出量a(mg/s)で液剤を吐出する際の隙間S1を最大で0.146mmとすることができる。即ち、本実施形態では、実質的に同じ吐出量で液剤を吐出する際の隙間の大きさが、比較例に比べて2.4倍ほど大きく確保することができる。
以上のように、本実施形態では、隙間S1の全面積を図14に示した従来のスプレーガンと同じとしたときに、周方向1個所における隙間を大きくすることができて、従って、かかる隙間で液剤が詰まり難くなる。それ故、微小な隙間に液剤が詰まることによって液剤を良好にスプレー塗布できなくなるといった従来の問題を解決することができる。また、周方向1個所における隙間の大きさを、従来のスプレーガンと同じとしたときには、隙間S1の全面積を少なくすることができる。これにより、液剤の吐出量(噴霧量)を少なくすることができる。
図7には、本実施形態のスプレーガン10において弁部68の開度を変化させたとき、即ち隙間S1の大きさを変化させたときの、弁部68の開度と液剤の吐出量との関係を示すグラフが、比較例としての図14に示す従来構造のスプレーガンと比較して示されている。グラフ中、縦軸は液剤の吐出量を、また横軸は弁部68の開度、詳しくはその開度を変化させる、図1に示したダイヤル式の調節操作部52の回転量を示している。なお、グラフ中の横軸の数字は、調節操作部52を16分の1回転させたときを1として、調節操作部52の相対的な回転量を表している。即ち、回転量が多ければ数字は大となり、従って弁部68の開度は大となる。
図7に示されているように、比較例では例えば約a(mg/s)の量で液剤を吐出するのに必要なニードル弁の後退量、つまり調節操作部の回転量が6辺りであるのに対し、本実施形態のスプレーガン10では、同じ吐出量の約a(mg/s)の液剤を吐出するために必要なニードル弁20の後退量、つまり調節操作部52の回転量が18辺りと数値が大きくなっている。因みに、このときの比較例における隙間S1が図6(a)に示した0.062mmであると共に、本実施形態における隙間S1が図6(b)に示した0.146mmであり、先に述べたように、本実施形態の隙間S1は、比較例に比べて約2.4倍となっていた。
比較例のスプレーガンにおいて、この隙間の大きさは許容可能な下限であり、これ以上隙間S1を小さくすると液詰まりを起してしまうおそれがある。そのため、従来のスプレーガンの場合には、これ以上の大きな隙間の下で液剤を塗布せざるを得なかった。従って、この場合には吐出量a(mg/s)よりも過剰な領域、即ち図7中A′で示される領域で液剤を塗布せざるを得なかった。
しかるに本実施形態の場合には、隙間S1が比較例に比べて大きく、そのためにa(mg/s)よりも少ない液量で液剤を塗布することが可能である。即ち、図7に示される領域Aで液剤をスプレー塗布することが可能である。
以上のように、本実施形態によれば、隙間S1を大きくできることによって液剤の吐出量(噴霧量)を少なくできて、従って例えば小さな対象物に対して液剤をスプレー塗布する場合、スプレーガンの位置を対象物に近づけて、至近距離から液剤を対象物に対しスプレー塗布することが可能となる。その場合には、スプレー噴霧された液剤が対象物に到達するまでの噴霧流の拡がりを小さくできて、液剤を対象物に対して効果的にスプレー塗布することができる。また、液剤の飛散を可及的に少なくし得て、液剤のロスを少なく抑えることができる。更に、対象物に対して近い位置で適正且つ少量の液剤をスプレー塗布できるので、従来のように対象物に近い位置で過剰量の液剤をスプレー塗布した場合に生ずる塗りムラや、対象物に付着した液剤が液垂れを生じるといった問題を解決することができる。
また、図7からも明らかなように、本実施形態のスプレーガン10では、吐出量の変化の曲線が比較例に比べてなだらかである。これにより、比較例として示す従来のスプレーガンの場合、ニードル弁の位置の僅かな違いによって液量が大きく変化してしまうのに対し、本実施形態のスプレーガン10では、ニードル弁20の位置が変化しても液量が大きく変化せず、従って液剤の液量コントロールがし易い特徴を有する。
本実施形態はまた、ニードル弁20に保持させた弾性シール部材としてのOリング78を、ノズル16側の当接面66に軸方向に当接及び弾性変形させることによって、吐出口18に向かう液剤の液通路24を弁部68の上流側で閉止する閉止部80を設けている点を他の大きな特徴としている。かかる本実施形態によれば、従来のスプレーガンで生じていた問題、具体的にはニードル弁の前進端で弁部や絞り部に生じた傷等によりそれらの間に隙間が生じ、液通路が閉止状態にあるにも拘らずその隙間から液漏れして、その液漏れにより液剤の吐出口やエア噴出口が部分的に塞がれてしまうといった問題を解決することができる。
尤も、このような閉止部を、図14に示した従来構造のスプレーガンに設けるといったことも考えられる。但し、実際には、従来構造のスプレーガンの場合、そのような閉止部を設けることは難しい。図8(a),(b)および図9(a)〜(c)は、その理由を明らかにするために示した比較例のスプレーガンにおける連続した説明図である。図8(a),(b)に示されているように、弁部212の上流側に閉止部80Aを設け、そのOリング78Aと当接面66Aとの当接により液通路202を閉止する場合、ニードル弁210の前進移動に伴って、Oリング78Aが当接面66Aに当接した時点で、弁部212と絞り部208との間に一定以上の大きさの隙間S1が生じるようにしておかないといけない。
蓋し、閉止部80Aで液通路202を十分にシールして閉止するためには、Oリング78Aが当接面66Aに当接してからも、これを弾性変形させなければならず、そのためにはOリング78Aが当接面66Aに当ってからもニードル弁210を所定ストローク前進移動させる必要がある。しかしながら、比較例の場合、図9(b)に示されているように、Oリング78Aが当接面66Aに当った時点で、弁部212と絞り部208との間には僅かな隙間S1しか生じておらず、例えば絞り部208と弁部212との間の隙間S1が最小隙間になっていると、ニードル弁210が前進移動しようとした途端に弁部212が絞り部208に軸方向に当ってしまい、それ以上ニードル弁210を前進移動させることができないからである。従って、Oリング78Aを弾性変形させることができない。そのために、Oリング78Aが当接面66Aに当接した時点で、弁部212と絞り部208との間に一定以上の隙間S1を確保しておくことが必要となる。
ところが、弁部212と絞り部208との間に確保した上記の一定以上の隙間S1は、Oリング78Aが当接面66Aに当接した後には液量調節のための隙間として用いることができない。蓋し、Oリング78Aが当接面66Aに当接した後は、弁部212の上流側で液通路202がそれらにより、即ち閉止部80Aにより閉止されているからである。従って、その間にニードル弁210の前進移動により絞り部208と弁部212との間の隙間S1が狭小変化しても、そのことによって液量調節はなされず、Oリング78Aが当接面66Aに当ってからのニードル弁210の前進移動の領域が液量調節を行うことができない領域となる。
以上はニードル弁210が前進移動する場合であるが、ニードル弁210が後退移動する場合においても事情は同様で、図9(c)に示される状態からニードル弁210の後退移動に伴って絞り部208と弁部212との間の隙間S1が拡大変化しても、Oリング78Aが当接面66Aに接触状態にある限り、詳しくはOリング78Aが弾性変形状態から形状復元し且つ当接面66Aから離間する直前までは、弁部212の移動による液量調節はなされない。
また、Oリング78Aが当接面66Aから離れたとしても、Oリング78Aと当接面66Aとの間の隙間S2が、弁部212と絞り部208との間の隙間S1よりも小さい間、即ち図9(a)に示される状態では、液量は実質的にOリング78Aと当接面66Aとの間の隙間S2によって定まってしまい、従って、その間も弁部212と絞り部208との隙間S1の変化による液量調節はなされないこととなる。
この点はニードル弁210が前進移動する場合においても同様で、Oリング78Aと当接面66Aとの間の隙間S2が、図9(a),(b)に示されるように弁部212と絞り部208との間の隙間S1よりも小となった領域においては、弁部212と絞り部208との間の隙間S1による液量調節はなされない。以上の問題は、弁部212が絞り部208に対して軸方向に当接及び離間して、絞り部212と弁部208との間の隙間S1を開閉することに伴う、隙間S1の大小変化に起因して生ずる。
しかるに、本実施形態のスプレーガン10によれば、こうした問題を効果的に解消することができる。即ち、本実施形態では、ニードル弁20が前進移動する際には、Oリング78と当接面66とが当接する、要するにOリング78と当接面66との間の隙間S2がゼロとなる以前は、弁部68と絞り部62との径方向における隙間S1がS2より小さくされることから、かかる隙間S1による液剤の液量調節が実現される。また、ニードル弁20が後退移動する際においても、隙間S1がゼロより大きくなる前に、Oリング78と当接面66とが離隔して、即ちS2がゼロより大きくなり、その後はS1<S2とされることから、液剤の液量は隙間S1の大小変化に応じて調節され得る。
従って、本実施形態によれば、ニードル弁20の前進端で液漏れを防ぎつつ良好に液通路24を閉止することができて、液通路を閉止したにも拘らずニードル弁における弁部と絞り部との間に生じた微小な隙間から液剤が漏出するという不具合を防ぐことができる。従って、漏出した液剤が固まることによりスプレー塗布が良好に行えなくなる等の問題を解決することができる。しかも、弁部68と絞り部62とによって液通路24を通じ吐出口18に到る液剤の液量を精度高く調節制御することができる。
また、本実施形態では、ニードル弁20の雄嵌合部70より後側で径方向外方に立ち上る可動側当り部74と、ノズル16に設けられた固定側当り部64とで、Oリング78を変位規制するストッパ機構を構成していることから、Oリング78の過度の変形を防ぐことができ、Oリング78の耐久性を高めることができる。
図10(a),(b)は本発明の他の実施形態のスプレーガンが示されている。なお、以下の説明において、前記実施形態と同一の部材および部位には、図中に、前記実施形態と同一の符号を付すことにより、詳細な説明を省略する。この例は、図10(a)に示されているように、弁部84の全体を円錐形状として、絞り部62との間に全周に亘って隙間S1を径方向に生ぜしめるようになした例である。このようにした場合であっても、この実施形態ではニードル弁86(図10(b)参照)の前進端で閉止部80により液通路24を閉止するため、弁部84と絞り部62との間からの液漏れを効果的に防ぐことができる。なお、弁部84の形状は円錐形状の他、角錐形状や円錐台形状、角錐台形状等であっても良い。
図11(a),(b)は本発明の更に他の実施形態のスプレーガンが示されている。上記実施形態では、可動側当り部74をOリング78よりも前側の位置に設けているが、この実施形態では、図10の例のニードル弁86において、可動側当り部をOリング78よりも後側の位置に設けて、また、固定側当り部をこれに対応する位置に設けている。即ち、本実施形態では、ニードル弁88のニードル本体67における先端面の外周部分が可動側当り部90とされている一方、当接面66の後方且つ外周側に固定側当り部92が設けられている。
そして、図11(a)に示されているように、ニードル弁88のOリング78と当接面66が当接する場合には、雄嵌合部70と絞り部62の嵌合、および当接面66とOリング78との当接により液通路24が閉止される。一方、図11(b)に示されているように、ニードル弁88が後方に移動することにより、液通路24が開放される。また、前記第一の実施形態のように、可動側当り部90と固定側当り部92とにより、Oリング78の過度な変形を規制するストッパ機構が構成されている。かくの如き構造とされた本実施形態のスプレーガンにおいても、前記第一の実施形態と同様の効果が発揮され得る。
次に、図12(a),(b)には、本発明の更に他の実施形態のスプレーガンが示されている。本実施形態のニードル弁94は、前記第一の実施形態における軸状をなす弁部68に傾斜面72を設けるのに代えて断面U字状の溝96を設けた例である。ここで、溝96は弁部68の先端面で開口しており、また先端に向かって進むに連れて溝深さが連続的に深くなる形状となしてある。これにより、溝96と絞り部62との間に隙間の全体が形成されており、このようにすれば、図1〜図9に示した前記第一の実施形態に比べて、弁部68と絞り部62との間に形成される隙間S1の幅(図12(a)中、γ−γ断面図の左右方向寸法)を小さくすることができ、その分隙間S1の大きさ(図12(a)中、γ−γ断面図の上下方向寸法)をより大きくすることができる効果が得られる。
また、このようなU字状の溝96ではなく、図13(a),(b)に示されるように断面V字状の溝98を弁部68に設けることも可能であり、更にはそれ以外の断面形状を有する溝を弁部68に設けるといったことも可能である。なお、図13に示されている例では、V字状をなす溝98が先端に進むに連れて、溝深さを深くするのと併せて溝幅も幅広としている。
以上、本発明の実施形態を詳述したが、これらはあくまで一例示である。例えば、上記実施形態では何れも弾性シール部材としてOリングを用いているが、Oリング以外の他の形態の弾性シール部材を用いることも可能であるし、また場合によってOリング以外の他の弾性シール部材を、上記のようにニードル弁20側に設けるのではなくてノズル16側に設け、これに対応する当接面をニードル弁20側に設けるといったことも可能である。
また、本発明では、弁部68の形状を上記の例以外の他の様々な形状に形成することも可能である。
更にまた、上記実施形態は、本発明をエアスプレーガンに適用した例であるが、本発明はエアレスタイプの液圧式スプレーガン等に適用することも可能であるし、更に、本発明は様々な液剤をスプレー塗布するのに用いるスプレーガンに適用することが可能である。
また、前記実施形態では、弾性シール部材78が、ニードル弁20の外周面において軸方向での位置決め状態で保持されていたが、かかる弾性シール部材78は、例えばノズル16の内周面に嵌合溝を設けて嵌着保持させることなどにより、ノズル16によって位置決め状態で保持されていても良い。更にまた、ニードル弁20の外周面やノズル16の内周面において弾性シール部材78を軸方向で位置決めするための嵌合用の溝を設けることなく、弾性シール部材78を軸方向で移動可能に組み付けることも可能である。
その他、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。