JP5612481B2 - 気管切除術用チューブ組立体のチューブ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は,シャフトと,該シャフトの一端部に取り付られている端部結合部とを有するチューブに関する。
チューブは,医療用及び非医療用の多くの用途において使用されている。例えば,気管切開術用チューブ組立体は,通常,外側チューブと,外側チューブ内で取外し可能な取付部品である内側チューブ又はカニューレとを備えている。組立体を通る通路の分泌物による閉塞を確実に防止するため,内側チューブは定期的に取り外し交換しなければならない。これにより,外側チューブを頻繁に取外す必要性を回避するものである。
内側チューブには多くの問題点がある。なぜなら,組立体中での流体流動抵抗を制限するため,壁厚を薄肉化させ,かつ外側チューブと密着させなければならないからである。しかも,座屈や屈曲なしに外側チューブ中に挿入するに十分な剛性がなければならない。内側カニューレに特に適する素材は,PTFE又は延伸PTFE(ePTFE)である。内側カニューレへのかかる材料の使用は,国際公開パンフレットWO94/01156号及び同WO2004/101048号に記載がある。タイコヘルスケア社が販売するFlextraチューブはePTFE製である。かかる素材は多くの利点を有するが,信頼できる低コストの方法で,カニューレのシャフトの装置端部にハブや端部結合部を確実に取り付けるのが難しい。また,端部結合部を取付けにくい他のチューブも存在する。
本発明の課題は,代替的なチューブ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の一実施態様は,上記で特定した種類のチューブにおいて,シャフトがその一端部に近接したシャフト壁を貫通して形成した開口部を有し,円筒状内側部品が前記一端部内の開口部の内側に沿って延在し,別の外側部品がシャフト外側で前記開口部の外側に沿って延在し,外側部品及び内側部品間に前記開口部を通して素材を延在させて,外側部品及び内側部品を,前記開口部を通して結合していることを特徴とするものである。
外側部品及び内側部品間に延在する素材は,前記開口部から流出した外側部品又は内側部品の素材であることが好ましい。外側部品は前記一端部までインサート成形されていることが好ましい。内側部品及び外側部品は熱可塑性素材製であることが好ましい。シャフトは,ePTFEなどのPTFE材料製であることが好ましい。円筒状内側部品が挿入されているシャフトの前記一端部に拡径領域を形成するようにシャフトが据え込まれていてもよい。チューブは,気管切除術用チューブ組立体の内側チューブであってもよい。
本発明の他の実施態様は,前述の請求項のいずれか一項に記載の内側チューブと,気管切除術用外側チューブとを備える組立体を提供するものである。
本発明の更なる実施態様は,円筒状シャフトを供給する工程と,一端部に近接したシャフトの壁を貫通した開口部を形成する工程と,各々シャフトの内側と外側で前記開口部に沿って延在している別の内側部品及び円筒状外側部品を供給する工程と,相互に結合するように,内側部品及び円筒状外側部品間へ前記開口部に沿って素材を延在させる工程とを備える,チューブの製造方法を提供するものである。
本発明の第四の実施態様は,円筒状のシャフトを供給する工程と,一端部に近接したシャフトの壁を貫通した開口部を形成する工程と,前記開口部の内側端部に沿って延在している円筒状内側部品をシャフトの前記一端部に挿入する工程と,外側部材の素材が前記開口部から流出し内側部品と結合するように,シャフトの前記一端部の外側に円筒状外側部品をインサート成形する工程とを備える,チューブの製造方法を提供するものである。
シャフトの素材は,内側部材及び外側部材の素材とは異なることが好ましい。シャフトはPTFE材料製であることが好ましく,内側部材及び外側チューブ部材は同一の熱可塑性素材製であることが好ましい。
本発明に係る内側カニューレを有する気管切除術用組立体と,その製造方法を,以下の添付図面を参照して例示として説明する。
組立体の概略図である。 内側カニューレの斜視図である。 内側カニューレの装置端部の拡大縦断面図である。 端部結合部の据え付け及び取り付け前の内側カニューレのシャフトの側面図である。 内側カニューレの端部結合部を形成するための挿入体の斜視図である。 内側カニューレの装置端部上の端部結合部の部分切取斜視図である。
まず,図1によれば,気管切除術用チューブ組立体は,外側チューブ1と,通常の方法で定期的に交換できるように外側チューブから取外し可能な内側チューブ又はカニューレ3とを備える。
外側チューブ1は全体的に定型的であり,直線状か,又は,患者端区画11と後部又は装置端区画12が直角曲げ部区画13によって接続されたシャフト10を有する。代替的な外側チューブは全長にわたり平滑曲線状であってもよく,又は,本来直線形状であって高度に柔軟で補強されていてもよい。シーリングカフ14は患者端15近くでシャフト10を囲設している。膨張ライン16と,結合した膨張度表示バルーン及び連結器17を経て,カフをシーリング時に膨張させ,着脱時に収縮させることができる。後端部18に,外側チューブ1は,患者首周部に組立体を固定するテープ(図示せず)を付けるフランジ19を有する。ハブ20がフランジ19の装置端から突出しており,その装置端によってチューブ1と気体導通できるようになっている。使用時,チューブ1は外科手術で作った首の気管切除術開口に沿って延在し,チューブ1の患者端15が気管内に位置する。気体流をチューブ穴に沿うものに限定するため,カフ14を膨張させてチューブ外側と気管壁間にシールを形成する。チューブ1の装置端18は気管切除術の外側に延在する。
また,図2〜4を参照すると,内側チューブ又はカニューレ3はシャフト30と装置端結合部31を備える。内側カニューレ3は約194mm長であり,長手方向の主部に沿ったシャフト30の外径は約9mm,内径は約8mmである。使用時,カニューレ3は,外側チューブ1の穴内で密着的な滑動結合部として延在し,カニューレの患者端32は外側チューブの患者端15と実質的に同じレベルで延在し,端部結合部31が外側チューブのハブ20内に位置する。
シャフト30はePTFE製であり,押出しストック筒状体を所定長さに切断して製作する。シャフト30の性質は柔軟であり,挿入する際,屈曲なしにすぐに外側チューブ1の形状に一致させうる。シャフト素材は非常に摩擦係数が低いので,外側チューブ1に密着的な滑動結合部としてすぐに挿入でき,シャフト30に座屈を引き起こすような過剰な軸方向の圧縮力を発生させない。シャフトの装置端34から5mm離れた位置に,互いに直径方向で向き合うシャフトの壁を貫通した直径約3mmの2つの円形開口部又は穴33を穿孔する。かかる開口部33の目的は,後に詳述する。該穴33を備えるシャフト30の後部又は装置端を,拡径領域30’を形成するように,外向きに据え付ける。
カニューレ3上の装置端結合部31はシャフト30の素材とは違う素材,特に,低密度ポリエチレン(LDPE)のような低融点の流動可能な熱可塑性素材で製作されている。ポリオレフィンやポリウレタンのような他の熱可塑性素材も使用できる。外観的には,端部結合部31は段階状付形部があり,その内部で結合する外側チューブ1上のハブ20の内側表面と一致する。拡径フランジ35が,結合部31の後端部に向かって,外向きに突き出ており,ハブ20の後端部と隣接して内側カニューレ3の挿入程度を制限するようにその寸法は選択される。また,内側カニューレの取外しを容易にするため,米国特許第4817598号に記載されたようなヒンジ付き引き開けリング状体36を端部結合部31は備える。結合部41作成に用いたLDPEは,リング状体36の柔軟なヒンジ形成に,特に好適である。
確実な方法で,装置端結合部31とシャフト30の素材を互いに結合し得ないので,代わりに機械的仕組みで相互に接合する。簡潔に述べると,装置端結合部31は,予造挿入体にインサート成形した外側部品を接合して形成する。図5に示した挿入体又は内側部品40は,LDPEを成型した円筒状予造部品であり,約12.5mm長であり,シャフト30の拡径領域30’の長さとほぼ等しい。挿入体40は,平滑で連続した内側表面又は穴部41がある円形区画を有し,約2.5°の角度でテーパーが付けてあり,後方に向け直径が拡大する。また,挿入体は,外にもテーパーが付けてあり,前方端部43に近接した歯又は戻り止め42が形成されている。後端部44に,挿入体40は外向きに突出したフランジ45を有する。シャフト端部内へ挿入体を押し込むため,前端43での挿入体40外径は,シャフト30の据付領域30’の内径と等しい。挿入体及びシャフトを連通する穴部が平滑で連続的になるように,挿入体40の内径はシャフト主部径と同一である。シャフト30の後端部34に隣接するフランジ45まで,挿入体40を拡径領域30’内に十分に押し込む。十分に挿入した場合,挿入部40は,シャフト30内の2つの開口部33の内側表面に沿って延在する。戻り止め42によりシャフト内での挿入体40の保持性が改善される。挿入体は1以上の戻り止めを有することができ,戻り止めは環状の必要はなく,挿入体の周りに別個の戻り止めを置くことができる。
図6に最も明確に示したように,シャフト30の後端部34と挿入体40を型枠(図示せず)に挿入し,外側のチューブ状要素又は部品46をシャフト30は上にインサート成形して,端部結合部31を完成させる。かかる外側部材46は,挿入体40上の戻り止め42直後の位置からシャフト30中の開口部33の前方まで延在し,これらの外側端を共に外側部材が被覆する。外観的には,外側部品46が,引き開けリング状体36を持つ端部結合部31の外観形状を規定する。外側部品46は,フランジ45の外側湾曲面及び後端部表面に沿ってインサート成形され,フランジと結合し,外側部材とシャフト30間に捕捉される。また,インサート成形した外側部材46の素材47も,成型操作中にシャフト30中の二箇所の開口部33の中に流入し,開口部によって晒された挿入体40の外側表面と結合する。インサート成形した外側部品46の素材47が硬化した場合,外側部品はフランジ45と開口部33の両方で挿入体40と密接に確実に結合することが理解できる。このように,2つの異なる素材間のいかなる結合の必要性なしに,端部結合部31を持つシャフト30を確実に固定する。内側カニューレは予造されているため,かかるインサート成形の間,シャフトを支える手助けをする。
本発明は,内側カニューレに限定されるわけでなく,医療用又は非医療用用途の他のチューブと共に使用でき,端部結合部と容易に結合しない素材でできた円筒状シャフトに対して特に利点がある。シャフト壁を貫通している2穴を提供することが好ましいが,本発明は,1穴のみ又は2を超える数の開口部にも適応しうる。予造した内側部品を用い,かつ,外側をインサート成形する代わりに,予造した外側部品を用い,かつ,内側部品を成型することで,端部結合部を提供できる。これらの部品の1つ又は他の素材によって内側部品と外側部品を相互に結合する代わりに,結合を形成するための異なる素材を用いることができる。例えば,予造された内側部品及び外側部品と,2つの部品を相互に結合するため開口部に添加する接着剤によって,端部結合部を提供できる。

Claims (13)

  1. 患者の体外に配置される一端部(34)及び患者の気管内に配置される他端部(32)を有するシャフト(30)を有し,
    前記シャフト(30)が前記一端部(34)に近接したシャフト(30)の壁を貫通して形成した開口部(33)を有し,
    円筒状内側部品(40)が前記一端部内の前記開口部(33)の内側に沿って延在し,
    別の外側部品(46)が前記シャフト(30)外側で前記開口部(33)の外側に沿って延在し,
    前記外側部品及び内側部品(46,40)間に前記開口部(33)を通して素材(47)を延在させて,前記外側部品(46)及び内側部品(40)を,前記開口部(33)を通して結合していることを特徴とする,気管切除術用チューブ組立体のチューブ。
  2. 前記外側部品及び内側部品(46,40)間に延在する素材(47)が,前記開口部(33)から流出した外側部品又は内側部品(46,40)の素材であることを特徴とする請求項1に記載の気管切除術用チューブ組立体のチューブ。
  3. 前記外側部品(46)が前記一端部(34)までインサート成形されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の気管切除術用チューブ組立体のチューブ。
  4. 前記内側部品及び外側部品(40及び46)は熱可塑性素材製であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の気管切除術用チューブ組立体のチューブ。
  5. 前記シャフト(30)がPTFE材料製であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の気管切除術用チューブ組立体のチューブ。
  6. 前記シャフト(30)がePTFE製であることを特徴とする請求項5に記載の気管切除術用チューブ組立体のチューブ。
  7. 円筒状内側部品(40)が挿入されているシャフトの前記一端部(34)に拡径領域(30’)を形成するようにシャフト(30)が据え込まれていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の気管切除術用チューブ組立体のチューブ。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の気管切除術用チューブ組立体のチューブ(3)と,
    該気管切除術用チューブ組立体のチューブ(3)が内部に挿入された気管切除術用外側チューブ(1)と,
    を備える,気管切除術用チューブ組立体。
  9. 患者の体外に配置される一端部(34)及び患者の気管内に配置される他端部(32)を有する円筒状シャフト(30)を供給する工程と,
    前記一端部(34)に近接したシャフトの壁を貫通した開口部(33)を形成する工程と,
    各々シャフトの内側と外側で前記開口部に沿って延在している別の円筒状の内側部品及び外側部品(40,46)を供給する工程と,
    相互に結合するように,円筒状の内側部品及び外側部品(40,46)間へ前記開口部(33)に沿って素材(47)を延在させる工程と,
    を備える,気管切除術用チューブ組立体のチューブ(3)の製造方法。
  10. 患者の体外に配置される一端部(34)及び患者の気管内に配置される他端部(32)を有する円筒状シャフト(30)を供給する工程と,
    前記一端部(34)に近接したシャフトの壁を貫通した開口部(33)を形成する工程と,
    前記開口部(33)の内側端部に沿って延在している円筒状内側部品(40)をシャフト(30)の前記一端部に挿入する工程と,
    外側部品(46)の素材(47)が前記開口部(33)から流出し内側部品(40)と結合するように,シャフトの前記一端部の外側に円筒状外側部品(46)をインサート成形する工程と,
    を備える,気管切除術用チューブ組立体のチューブ(3)の製造方法。
  11. 前記シャフト(30)の素材が,前記内側部品及び外側部品(40及び46)の素材とは異なることを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記シャフト(30)がPTFE製であり,前記内側部品及び外側部品(40及び46)が同一の熱可塑性素材製であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法によって製造された気管切除術用チューブ組立体のチューブ。
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