JP5610990B2 - 多段圧延機の圧延方法及び多段圧延機の制御装置 - Google Patents

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本発明は、多段圧延機にて圧延材の尾端部を圧延するに際し最適な多段圧延機の圧延方法及び多段圧延機の制御装置に関する。
従来より、複数の圧延スタンドを有する多段圧延機にて圧延材を圧延することは一般的に行われている。圧延材の尾端部を圧延する場合、定常状態で圧延しているときとは異なり、例えば、板厚温度や張力などが大きく変化するため、特許文献1に示すように定常状態での圧延方法とは異なる様々な制御方法が考えられている。
特許文献1では、圧延材の尾端部が通過する際に最尾端位置が圧延スタンドを通過する時の通過スタンドの1つ下流のスタンドでの圧延材の位置を記憶し、その位置が板厚計に到達する時点を後段ロール速度などを利用して推定し、推定結果をもとに板厚計の計測データを記憶し、この操作をスタンド毎に行い、記憶された計測データをもとに板厚増加量を演算し、演算された結果を次の圧延材の板厚制御に用いている。
特開2000−334511号公報
特許文献1の技術では、圧延材の板厚制御系を重視しているため、圧延材の板厚は行うことができるものの、ある圧延スタンドにて圧延材の通板安定性が悪くなる場合がある。特に、圧延スタンドにおける荷重制約を考慮していないため、圧延材の通板安定性の悪化が顕著なものになりやすい。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、圧延材の尾端部の圧延を行うに際して、通板安定性を実現できる荷重上限値を求め、この荷重上限値を超えないように尾端部の圧延を行うことにより、圧延材の通材安定性に優れた多段圧延機の圧延方法及び多段圧延機の制御装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、複数の圧延スタンドを備えた多段圧延機にて圧延材を圧延する方法において、前記圧延材を圧延したときの圧延実績値を記憶し、この圧延実績値に基づいて通板安定性を実現できる荷重上限値を予め求めておき、この荷重上限値を超えないように前記圧延材の尾端部の圧延を行う点にある。
例えば、圧延の最後である尾端部においては、定常部分よりも温度が下がり易く硬くなる傾向にある。この状態で定常部と同じような制御を行うと圧延スタンドにかかる荷重が増大して、圧延材の通板性が悪くなる。そこで、発明者らは、圧延スタンドにおいて設備的な荷重の上限値ではなく、通板性を悪化させない荷重の上限値を設定して、圧延材の尾端部の圧延を行うことを見出した。即ち、圧延スタンドにおいて設備的な荷重の上限値を満たしつつも通板性を悪化させないような荷重によって圧延材の尾端部における圧延を行うこととしている。
前記圧延材の尾端部の圧延を行うに際しては、前記尾端部の圧延開始時の圧延実績値をロックオンしておき、ロックオンした圧延実績値と現状の圧延実績値とを基に前記荷重上限値を超えないような板厚変化量を求め、この板厚変化量を当該尾端部の圧延を行う圧延スタンドに適用して圧延を行うことが好ましい。
前記圧延実績値から圧延ロールのロール撓み量を求め、求めたロール撓み量を用いて前記荷重上限値を求めることが好ましい。
前記荷重上限値を超えない圧延スタンドのチューニング率を求め、このチューニング率を調整することで圧延材の尾端部の圧延を行うことが好ましい。
本発明の他の技術的手段は、圧延材を圧延する圧延スタンドを備えた多段圧延機を制御する制御装置において、前記圧延材を圧延したときの圧延実績値を記憶するデータベースと、このデータベースに記憶された圧延実績値を用いて通板安定性を実現できる荷重上限値を求めると共に、前記荷重上限値を超えないように尾端部の圧延を行えるよう圧延条件を算出する演算部と、前記演算部が算出した圧延条件圧延スタンドに適用する制御部とを備えている点にある。
なお、本発明に係る多段圧延機の圧延方法の最も好ましい形態は、複数の圧延スタンドを備えた多段圧延機にて圧延材を圧延する方法において、前記圧延材を圧延したときの圧延実績値を記憶し、記憶した圧延実績値のうち、圧延トラブルなく圧延材の通板が行われた圧延実績値から圧延ロールの撓み量を求め、求めた圧延ロールの撓み量の最大値から通板安定性を実現できる荷重上限値を予め求めておき、この荷重上限値を超えないように前記圧延材の尾端部の圧延を行うものであって、前記圧延材の尾端部の圧延を行うに際しては、前記尾端部の圧延開始時の圧延実績値をロックオンしておき、ロックオンした圧延実績値と現状の圧延実績値とを基に前記荷重上限値を超えないような板厚変化量を求め、この板厚変化量を当該尾端部の圧延を行う圧延スタンドに適用して圧延を行うことを特徴とする。
なお、本発明に係る多段圧延機の制御装置の最も好ましい形態は、圧延材を圧延する圧延スタンドを備えた多段圧延機を制御する制御装置において、前記圧延材を圧延したときの圧延実績値を記憶するデータベースと、このデータベースに記憶された圧延実績値のうち、圧延トラブルなく圧延材の通板が行われた圧延実績値から圧延ロールの撓み量を求め、求めた圧延ロールの撓み量の最大値から通板安定性を実現できる荷重上限値を求めると共に、前記荷重上限値を超えないように尾端部の圧延を行えるよう圧延条件を算出する演算部と、前記演算部が算出した圧延条件を圧延スタンドに適用する制御部とを備えており、前記演算部が、前記圧延材の尾端部の圧延を行うに際しては、前記尾端部の圧延開始時の圧延実績値をロックオンしておき、ロックオンした圧延実績値と現状の圧延実績値とを基に前記荷重上限値を超えないような板厚変化量を求めるものとされ、前記制御部が、求めた板厚変化量を当該尾端部の圧延を行う圧延スタンドに適用するものとされていることを特徴とする。
本発明によれば、圧延材の尾端部の圧延を行うに際して、通板安定性を実現できる荷重上限値を求め、この荷重上限値を超えないように尾端部の圧延を行っているため、圧延材の通材安定性を確保しつつ圧延を行うことができる。
本発明の実施形態に係る多段圧延機の全体構成を示す図である。 制御部で行われる処理を示すフローチャートである。 圧延材の尾端部の制御を開始するタイミングを説明する説明図である。 本発明の圧延方法を用いたシミュレーション結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態を、図を基に説明する。
図1は、本実施形態の多段圧延機(熱間連続圧延機)を模式的に示した図である。なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1に示す通り、多段圧延機1は、複数の圧延スタンド2と、コイル巻き取り機3と、圧延スタンド2を制御する制御装置4を備える。
圧延スタンド2は、圧延材8を圧下するための一対の圧延ロール5と、この圧延ロール5をバックアップするバックアップロール6とを備えている。また、各圧延スタンド2には、圧延荷重(圧下荷重)を測定する荷重計7(例えば、ロードセル)が設けられている。各圧延スタンド2の圧延荷重は板厚制御系10(制御部)を有する制御装置4に送られ、制御装置4では板厚計による圧延材の実績値、ゲージメータ式による計算値或いは荷重計の偏差に応じて圧延スタンド2のギャップ操作量を演算して、そのギャップ操作量に基づいて圧延スタンド2を制御する。
この多段圧延機1においては、圧延材8は、複数の圧延スタンド2を通ることによって
圧延ロール5で圧延されて、所望の板厚、板幅、板クラウンとなり、コイル巻き取り機3で巻き取られ次工程へと搬送される。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明では、圧延材8の尾端部8aの圧延を行うに際して、圧延スタンド2の設備的な荷重の上限値(圧延荷重の設備上限値)を求めて圧延を行うのではなく、圧延材8の通板安定性が良い荷重の上限値(以降、荷重上限値という)を予め求め、この荷重上限値を超えないように圧延材8の圧延を行うことを特徴としている。なお、圧延材8の尾端部8aの圧延を行うときは、荷重上限値は設備上限値よりも小さく(荷重上限値<設備上限値)なる。
具体的には、圧延材8の尾端部8aを圧延したときの圧延実績値を記憶し、この圧延実績値に基づいて通板安定性を実現できる荷重上限値を予め求めておき、この荷重上限値を超えないように圧延材8の尾端部8aの圧延を行うこととしている。荷重上限値を求めたり、圧延制御は、制御装置4(例えば、プロセスコンピュータ)により行う。
制御装置4は、制御部(板厚制御系)10と、データベース11と、演算部12とを備えている。データベース11は、過去の圧延実績を記憶するものであって、例えば、過去の圧延荷重の実績データ、圧延ロールの熱膨張のデータ、圧延ロールの摩耗データ、圧延材の板厚、板幅、強度など様々な圧延実績が保存されている。
演算部12は、データベース11に保存された圧延実績を用いて通板安定性を実現できる荷重上限値を求め、この荷重上限値を超えないように尾端部8aの圧延を行えるよう圧延条件を算出する。制御部10は、圧延条件を圧延スタンド2に適用して圧延スタンド2の制御を行うものである。
図2は、制御装置4にて実行される処理を示したフローチャートである。このフローチャートを参照して、制御装置4の動作と、本発明の多段圧延機の圧延方法を説明する。
以下の説明では、制御装置4では、PI制御によるフィードバック制御が実行されるものとする。また、下記に示す演算は演算部12で行い、圧延条件を決定した後の圧延材8の制御は、制御部10が圧延スタンドに指令を出力することによって行うものとする。
さらに、通板安定性は、ロール撓み量に影響されることからことから、ロール撓み量によって通板性が悪くならない荷重上限値を求めることとして説明を行う。
板厚制御を行うにあたって、圧延スタンド2のギャップを小さくする(圧下を締め込む)ことによって圧延荷重が増加し、圧延ロールのロール撓み量が増加して形状が悪くなって通板性が悪化することがある。形状悪化を発生させないロール撓み量を用いて後述するように荷重上限値を求めて、この荷重上限値を超えない制御を行うこととしている。
まず、データベース11に、式(1)に示すように、形状悪化をしなかったときの圧延荷重の実績データ、圧延ロールの熱膨張のデータ、圧延ロールの摩耗データなどの圧延実績値を保存(格納)する(S1)。
ここで、形状悪化がなかった(圧延トラブルなく圧延材8の通板が行われた)圧延材8の圧延実績値(実績データ)を、式(2)に示すように、圧延ロールの撓み量に置き換えて整理する。式(2)において、σは、荷重値(圧延荷重)を圧延ロールの撓み量に変換するための変数であり、圧延理論式などを用いて得られる数値である。この変換は、演算部12などで行うことが好ましい。
式(2)で表されたFijの最大値は、板形状が悪化しない(板形状不良ではない)圧延ロールの撓み量と見なすことができ、このFijの最大値が圧延ロールの撓み量の上限値となる。ここで、荷重上限値は、圧延ロールの撓み量が最大となったときの圧延荷重の実績値を採用してもよいし、後述するように圧延ロールの撓み量の最大値を用いて求めても良い。この荷重上限値は各圧延スタンド毎に得られることができる。
なお、式(2)で求められる圧延ロールの撓み量の度数分布を求め、累積頻度が95%以上となっている撓み量を上限値として採用することが好ましい。
次に、圧延材8を多段圧延機に通す前における圧延材8の板厚、板幅、強度などの圧延条件もデータベース11に格納する(S2)。具体的には、各圧延スタンド毎の圧延材8の板厚、板幅、強度などの圧延条件を収集しておく。
そして、圧延条件に基づいて圧延材8の尾端部8aを制御するための板厚制御ゲインを式(3)を用いて計算する(S3)。ΔSi(t)は、圧延材8の尾端部8aにおける板厚変化量である。
上述したように、圧延材8の尾端部8aを制御する制御値を求めるにあたっては、板形状が悪化しない、即ち、通板性が悪くならならないようにする必要があり、式(4)に示される評価関数及び制約条件を満たすように制御値を決定する。式(4)の評価関数、制約条件を満たす最適化計算は、シュミレーションや圧延モデルを用いて行うことが好ましい。
式(4)に示すように、Pmaxiは、データベース11の圧延実績値により抽出された各圧延スタンド毎の荷重上限値である。荷重上限値Pmaxiは、圧延ロールの撓み量の最大値から式(5)により求める。つまり、圧延実績値から圧延ロールのロール撓み量を求め、求めたロール撓み量を用いて荷重上限値を求める。
S1〜S3によって、各圧延スタンドでの圧延材8の尾端部8aにおける制御量(制御ゲイン)、チューニング率αiを求める。
次に、本発明では、各圧延スタンドに圧延材8を導入することによって圧延を行うが、圧延材8の尾端部8aの圧延では、まず、圧延材8の尾端部8aの制御を開始するタイミングを決定する。図3(a)、(b)に示すように、例えば、i番目の圧延スタンドで圧延材8の尾端部8aの圧延を行うには、1つ前(1つ上流側)のi−1番目の圧延スタンドから圧延材8の尾端部8aが抜けた瞬間や圧延材8がi−1番目の圧延スタンドから抜ける直前を開始タイミングとする。
具体的には、i−1番目の圧延スタンドでの圧延材8の長さをトラッキング機能により計算し、圧延材8の残りの長さを計算する。そして、式(6)に示すように、圧延材8の残りの長さが尾端部8aの抜けタイミングを判断する長さとなったときに、開始タイミングとする。
なお、どの時点にて圧延材8の尾端部8aの制御を行うか、即ち、尾端部8aの制御を開始する残りの長さの判断基準(閾値)は、実績データから決定することが好ましい。
開始タイミングの時刻をt0とし、時刻t0における圧延荷重、圧下位置(どの圧延スタンドであるか)を、式(7)に示すようにロックオンし、その値(圧延実績値)をデータベース11に保存する(S5)。即ち、S4、S6では、圧延材8の尾端部8aの圧延を行うに際し、尾端部8aの圧延開始時の圧延実績値をロックオンする。なお、式(7)におけるPlock-iは、圧延荷重のロックオン値であり、Slock-iは、圧延材8の板厚のロ
ックオン値である。
そして、ロックオンしたときの圧延実績値を用いて、圧延を行うための圧延条件を求める(S6)。具体的には、上述したように求めた圧延材8の尾端部8aにおける制御ゲイン、チューニング率αi、ロックオンの圧延実績値を用いて、式(8)に示す計算式にて、板厚変化量(ΔS)を求める。つまり、式(8)に示すように、ロックオンした圧延実績値と現状の圧延実績値とを基に荷重上限値を超えないような板厚変化量を求める。
なお、式(7)は圧下位置と圧延荷重を用いて板厚推定値を行うものであり、絶対値AGC機能を表したものである。
次に、圧延材8の尾端部8aが当該尾端部8aの圧延を行っているi番目の圧延スタンドから抜けたか否かを求める(S7)。具体的には、圧延スタンドから尾端部8aが抜けたタイミングは、式(9)に示すように、当該圧延スタンドにかかる圧延荷重Piを逐次検出しておき、圧延荷重が式(9)に示す閾値以下となったときに、圧延材8が尾端部8aから抜けたと判断することが好ましい。なお、圧延材8の尾端部8aの圧延を行っている圧延スタンドから尾端部8aが抜けていない場合は、サンプリング時間毎に前の処理(S6)に戻り、繰り返し尾端部8aの圧延を行う。
i番目の圧延スタンドでの圧延材8の尾端部8aの圧延が終了すると、このi番目の圧延スタンドでの圧延条件、板厚変化量(ΔS)、圧下荷重変化量ΔPi(t)を用いて、次の圧延スタンド(i+1番目の圧延スタンド)のチューニング率を調整する。例えば、圧延シュミレータで演算された結果(圧延モデルにて演算した結果)、ΔSsi(t)、ΔPsi(t)と、板厚変化量(ΔS)、圧下荷重変化量ΔPi(t)とから式(10)
を用いてチューニング率を決定する(S8)。
そして、調整したi+1番目の圧延スタンドでのチューニング率を用いて、当業者常法通り、板厚制御系によって圧延条件を求めて、板厚制御を行う(S9)。なお、各圧延スタンドを尾端部8aが抜ける度に上述した演算を行って、尾端部8aが抜けた圧延スタンド以降(後段の圧延スタンド)にも上述した圧延材8の尾端部8aの制御を行う。
なお、上述したように、荷重上限値を超えないように圧延材8の尾端部8aの圧延を行った場合でも、最終圧延後の圧延材8の板厚を確保することは必要であることから、上流側の圧延スタンド2において圧延を行う際に予め圧延材8の板厚を小さくしておき、最終圧延時に圧延材8の板厚が目標値に達するように制御することが好ましい。
図4は、本発明の多段圧延機の圧延方法及び多段圧延機の制御装置にて尾端部8aの圧延を行った結果を示している。即ち、図4では、多段圧延機により圧延材8の尾端部8aが圧延された従来手法による結果と本発明による最終の圧延スタンド出側の板厚変化(あるいは偏差)を示している。
図4に示すように、従来手法では、板厚変化量に注目すると上流側の圧延スタンドにて尾端部8aが抜けた際に、圧延状態が急激に変化するため板厚偏差が増加してしまう。各圧延スタンドから尾端部8aが抜ける度に圧延状態が急激に変化するため、最終の圧延スタンド出側の板厚においては、尾端部8aの開始時点から最尾端部8aにかけて徐々に(階段状に)板厚偏差が増加してしまう。具体的には、従来手法では、板厚偏差が1.00から1.08程度になる。
一方、本発明では、上流側の圧延スタンドにて板形状を乱さない範囲、即ち、通板性の良い圧延を行うため、板厚制御が安定して稼働することになる。具体的には、本発明では、板厚偏差が1.00から1.05となり従来に比べて大幅に改善される。また、圧延シミュレータ(演算部12による計算)の誤差により尾端部8aの制御ゲインの計算に多少の誤差があったとしても、式(10)に示すように、その誤差を上流側の圧延スタンドでの圧延実績と圧延モデルでの結果とを比較して、後段スタンドの板厚制御におけるチューニング率を適正に調整しているため、上流側の圧延スタンドの板厚制御で抑制できなかった板厚偏差を後段の圧延スタンドの板厚制御で吸収することが可能であることが確認できる。
また、オフライン計算にて尾端部8aの階段状に発生する板厚誤差を板形状悪化しない範囲で最適化計算を行って制御ゲイン算出しているために、図5における本発明による制御結果では従来手法に見られるような階段状の板厚変化量は見られず、非定常部特有の要因による板厚変化や尾端部8aにおいて温度低下要因の強度変化による板厚変化のみが見られる。この結果、従来手法に比べて板厚精度の改善が実現できていることが確認できる。
したがって、本発明によれば、圧延材8を圧延したときの圧延実績値を記憶し、この圧延実績値に基づいて通板安定性を実現できる荷重上限値を予め求めておき、この荷重上限値を超えないように圧延材8の尾端部8aの圧延を行っているため、板厚制御系の安定化による通板安定化と板厚精度の向上を実現することができる。
詳しくは、圧延材8の尾端部8aの圧延を行うに際し、尾端部8aの圧延開始時の圧延実績値をロックオンしておき、ロックオンした圧延実績値と現状の圧延実績値とを基に前記荷重上限値を超えないような板厚変化量を求め、この板厚変化量を当該尾端部8aの圧延を行う圧延スタンドに適用して行っているため、上述した効果に加え、圧延材8の尾端部8aの制御が行いやすい。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、圧延条件、各種パラメータなどは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
1 多段圧延機
2 圧延スタンド
3 コイル巻き取り機
4 制御装置
5 圧延ロール
6 バックアップロール
7 荷重計
8 圧延材
8a 圧延材の尾端部
10 制御部
11 データベース
12 演算部

Claims (3)

  1. 複数の圧延スタンドを備えた多段圧延機にて圧延材を圧延する方法において、
    前記圧延材を圧延したときの圧延実績値を記憶し、記憶した圧延実績値のうち、圧延トラブルなく圧延材の通板が行われた圧延実績値から圧延ロールの撓み量を求め、求めた圧延ロールの撓み量の最大値から通板安定性を実現できる荷重上限値を予め求めておき、この荷重上限値を超えないように前記圧延材の尾端部の圧延を行うものであって、
    前記圧延材の尾端部の圧延を行うに際しては、前記尾端部の圧延開始時の圧延実績値をロックオンしておき、ロックオンした圧延実績値と現状の圧延実績値とを基に前記荷重上限値を超えないような板厚変化量を求め、この板厚変化量を当該尾端部の圧延を行う圧延スタンドに適用して圧延を行う
    ことを特徴とする多段圧延機の圧延方法。
  2. 前記荷重上限値を超えない圧延スタンドのチューニング率を求め、このチューニング率を調整することで圧延材の尾端部の圧延を行うことを特徴とする請求項1に記載の多段圧延機の圧延方法。
  3. 圧延材を圧延する圧延スタンドを備えた多段圧延機を制御する制御装置において、
    前記圧延材を圧延したときの圧延実績値を記憶するデータベースと、
    このデータベースに記憶された圧延実績値のうち、圧延トラブルなく圧延材の通板が行われた圧延実績値から圧延ロールの撓み量を求め、求めた圧延ロールの撓み量の最大値から通板安定性を実現できる荷重上限値を求めると共に、前記荷重上限値を超えないように尾端部の圧延を行えるよう圧延条件を算出する演算部と、
    前記演算部が算出した圧延条件圧延スタンドに適用する制御部とを備えており、
    前記演算部が、前記圧延材の尾端部の圧延を行うに際しては、前記尾端部の圧延開始時の圧延実績値をロックオンしておき、ロックオンした圧延実績値と現状の圧延実績値とを基に前記荷重上限値を超えないような板厚変化量を求めるものとされ、
    前記制御部が、求めた板厚変化量を当該尾端部の圧延を行う圧延スタンドに適用するものとされている
    ことを特徴とする多段圧延機の制御装置。
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