JP5610670B2 - 防風通聖散配合製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、防風通聖散特有の不快な風味が低減された防風通聖散配合製剤、防風通聖散の風味改善方法及び風味改善剤に関する。
漢方薬配合製剤は、一般に、配合されている各漢方薬特有の不快な風味を有し、飲みにくい医薬品とされている。
漢方薬配合製剤において漢方薬特有の不快な風味を低減し服用感を改善する方法としては、たとえば特許文献1および2に記載されているように、多くの場合、甘味剤の配合による苦味のマスキングにとどまっている。
しかし、甘味剤の配合は、カロリーの増加を招くため、特に肥満症の予防および改善を目的に使用される防風通聖散に対しての使用は好ましいものではない。
そこで、甘味剤配合以外の方法で、防風通聖散特有の不快な風味を低減し、服用感を改善する方法が求められている。
特許第2508555号公報 特開平9−110708号公報
本発明は、防風通聖散特有の不快な風味が低減されて、服用感が改善されてなる防風通聖散配合製剤を提供することを目的とする。また、本発明は防風通聖散の風味改善方法及び風味改善剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねていたところ、防風通聖散にカルニチンを添加することで、防風通聖散を服用した際に感じる特有の刺激感、苦味、後味の悪さなどの不快な風味が低減され、さらに爽やかさが付与され飲みやすくなることを見出した。特に、本発明者らは、防風通聖散にカルニチン類を添加することで、防風通聖散単体の服用後に持続する後味の悪さが低減ないし解消されてあと引き感が改善されることを見出した。
本発明は上記知見に基づきさらに検討を重ねた結果完成されたものであり、下記に掲げるものである。
項1.防風通聖散とカルニチン類とを含有することを特徴とする、防風通聖散配合製剤。項2.カルニチン類が、カルニチン、カルニチンの塩及びカルニチン類縁化合物からなる群より選択される少なくとも1種である、項1に記載の防風通聖散配合製剤。
項3.製剤中の防風通聖散とカルニチン類の配合比(乾燥重量比)が、防風通聖散の乾燥エキス含量に換算して、防風通聖散100重量部に対してカルニチン類1.5〜50重量部である、項1または2に記載の防風通聖散配合製剤。
項4.防風通聖散とカルニチン類とを併用することを特徴とする、防風通聖散のあと引き感改善方法。
項5.防風通聖散とカルニチン類とを併用することを特徴とする、防風通聖散の風味改善方法。
項6.カルニチン類を有効成分とする、防風通聖散のあと引き感改善剤。
項7.カルニチン類を有効成分とする、防風通聖散の風味改善剤。
本発明によれば、カルニチン類を配合することで、防風通聖散特有の不快な風味が低減され、しかも爽やかな服用感が付与されることにより、風味が改善された防風通聖散配合製剤を提供することができる。
具体的には、例えば、本発明によれば、カルニチン類を配合することで、防風通聖散単体の服用後に感じられる持続する後味の悪さが低減ないし解消されてあと引き感が改善された防風通聖散配合製剤を提供することができる。
一般に、漢方薬は長期間継続して服用することが要求される医薬品であるが、本発明の防風通聖散配合製剤は、あと引き感をはじめとする種々の風味が改善されており飲みやすいため、かかる継続的服用を無理なく実施でき、服薬コンプライアンスを高めるという点でも有用な製剤である。
(I)防風通聖散配合製剤
本発明の防風通聖散配合製剤は、防風通聖散及びカルニチン類を含有することを特徴とする。以下、本発明の構成について詳細に説明する。
1.防風通聖散
本発明において防風通聖散の植物原料としては、具体的には、例えばマオウ(Ephedra sinica Stapf,Ephedra intermedia Schrenk et C.A. Meyer,Ephedra equisetina Bunge)、カンゾウ(Glycyrrhiza uralensis Fischer,Glycyrrhiza glabra Linne)、ショウキョウ(Zingiber officinale Roscoe)、ケイガイ(Schizonepeta tenuifolia Briquet)、レンギョウ(Forsythia suspense Vahl, Forsythia viridissima Lindley)、トウキ(Angelica acutiloba Kitagawa, Angelica acutiloba Kitagawa var. sugiyamae Hikino)、シャクヤク(Paeonia lactiflora Pallas)、センキュウ(Cnidium officinale Makino)、サンシン(Gardenia jasminoides Ellis)、ハッカ(Mentha arvensis Linne var. piperascens Malinvaud)、ボウフウ(Saposhnikovia divaricata Schischkin)、ダイオウ(Rheum palmatum Linne, Rheum tanguticum Maximowicz, Rheum officinable Baillon, Rheum coreanum Nakaiまたはそれらの種間雑種)、ビャクジュツ(Atractylodes japonica Koidzumi ex Kitamura, Atractylodes ovata De Candolle)、キキョウ(Platycodon grandiflorum A. De Candolle)、オウゴン(Scutellariae baicalensis Georgi)、ボウショウ(芒硝:硫酸ナトリウム)、カッセキ(滑石:天然含水ケイ酸アルミニウムおよび二酸化ケイ素含有物)およびセッコウ(石膏:含水硫酸カルシウム)である。
これらの植物原料は、日本薬局方に準じて使用部位が規定されている。本発明において使用し得る防風通聖散の調製は、「一般用漢方処方の手引き」(厚生省薬務局監修、日薬連漢方専門委員会編集、薬業時報社発行)に準じて行い得る。
たとえば「一般用漢方処方の手引き」によれば、その成分及び分量は、トウキ1.2(重量部、以下同じ)、シャクヤク1.2、センキュウ1.2、サンシシ1.2、レンギョウ1.2、ハッカ1.2、ショウキョウ1.2、ケイガイ1.2、ボウフウ1.2、マオウ1.2、ダイオウ1.5、ボウショウ1.5、ビャクジュツ2.0、キキョウ2.0、オウゴン2.0、カンゾウ2.0、セッコウ2〜3、カッセキ3〜5とされており、原則として、これを、その20倍重量(従って560〜620重量部)の湯で抽出した後、1/2容量になるまで濃縮し、固形分を除いたもの(抽出液)が用いられる。
なお、書簡によっては、上記成分中、ビャクジュツを含まないもの(例えば「経験漢方処方分量集」、大塚敬節・矢数道明監集、医道の日本社発行)や、オウゴンを含まないもの(例えば「続漢方あれこれ」大阪読売新聞社編、浪速社発行)や、上記分量中、1.2をすべて1.5としているもの(例えば「明解漢方処方」、西岡一夫、高橋真太郎共著、浪速社発行)など、成分や成分比が多少異なるものもある。また、防風通聖散エキスの作り方として、ボウショウ以外の上記各成分に水400重量部を加え、200重量部まで煎じて、かすを除き、次いでボウショウを加えるとしているもの(例えば「和漢薬ハンドブック」、久保道徳、森山健三共著、保育社発行)のように、作り方が上記と多少異なるものもある。本発明の防風通聖散には、これらの差異は特に制限されず、いずれもが包含される。
本発明において使用される防風通聖散には、漢方生薬調査会により定められた「漢方製剤の基本的取扱い方針」に規定されるように、現在繁用されている漢方関係の書簡に記載されている漢方処方(生薬配合物)やこれらの漢方処方から得られるエキス及びエキス末が包含される。すなわち、本発明において防風通聖散は、得られたエキス(エキス形態)を使用してもよく、エキスを常法により製剤化した、いわゆるエキス末(エキス末形態)を使用してもよい。通常、エキスを常法により製剤化したエキス末形態としての防風通聖散がむしろ便宜に使用される。
かかるエキス末の製造方法としては、例えば、上記各成分の混合物に対し、約10〜20倍量の水を加え、80〜100℃程度で1〜3時間程度撹拌抽出し、温時遠心分離もしくは、ろ過して抽出液を得、これを減圧下に濃縮し、スプレードライ法により乾燥エキス末とするか、或いはエキスの濃度を高めた軟エキスに適当な吸着剤(例えば無水ケイ酸、デンプン等)を加えて吸着エキス末とする方法が挙げられる。
本発明に使用可能な防風通聖散エキス末は、前述のとおり製造することが可能であるが、例えば、防風通聖散乾燥エキスA、防風通聖散乾燥エキスAM、防風通聖散乾燥エキスEおよび防風通聖散乾燥エキスEM(いずれも日本粉末株式会社製)ならびに防風通聖散料乾燥エキス−Cおよび防風通聖散料乾燥エキス−F(いずれもアルプス薬品工業株式会社製)等の商品が知られており、商業的に入手することもできる。
2.カルニチン類
本発明においてカルニチン類としては、カルニチン、カルニチンの塩及びカルニチン類縁化合物からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。カルニチンの塩としては、薬学的に許容されるものであれば限定されず、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等の金属塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の無機酸塩や、酒石酸、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩等の有機酸塩が挙げられる。カルニチン類縁化合物としては、薬学的に許容されるものであれば限定されず、アセチルカルニチン、プロピオニルカルニチン等のアセチルカルニチン等が挙げられる。
本発明においてカルニチン類としては限定されないが、好ましくはカルニチンの塩、より好ましくは、カルニチンの塩酸塩(塩化カルニチン)、酒石酸塩、フマル酸塩、さらに好ましくはカルニチンの塩酸塩が挙げられる。
これらのカルニチン類は、単独で使用してもよく、また複数組み合わせて使用してもよい。
3.防風通聖散及びカルニチン類の配合比
本発明の防風通聖散配合製剤における防風通聖散とカルニチン類の配合比は、防風通聖散特有の不快な風味が低減され、飲みやすくなるかぎり限定されず、特にあと引き感が改善されるかぎり限定されない。後述する試験例に示すように、防風通聖散の不快な風味、特にあと引き感は併用するカルニチン類の量に依存して改善されることから、防風通聖散の乾燥エキスの量に換算して、防風通聖散100重量部に対してカルニチン類が少なくとも1.5重量部、好ましくは3重量部、さらに好ましくは7.5重量部の割合で用いられる。
また、カルニチン類の配合量の上限も特に限定されないが、カルニチン類の配合比が一定に達すると防風通聖散の不快な風味の改善効果、特にあと引き感の改善効果はそれ以上向上しない点から、防風通聖散100重量部に対するカルニチン類の配合比の上限は、50重量部、好ましくは30重量部である。また、カルニチン類は酸味が強く、従ってカルニチン類の配合比が大きすぎると酸味が強くなりすぎるなどの点から、防風通聖散100重量部に対するカルニチン類の配合比の上限は、より好ましくは25重量部、さらに好ましくは20重量部である。
例えば、カルニチン類としてカルニチンを用いる場合も前述と同様にして配合比は特に限定されないが、カルニチンの下限は、防風通聖散の乾燥エキスの量に換算して、防風通聖散100重量部に対して少なくとも1.5重量部、好ましくは3重量部、さらに好ましくは7.5重量部である。また、カルニチンの上限も同様に特に限定されないが、防風通聖散の乾燥エキスの量に換算して、防風通聖散100重量部に対して50重量部、好ましくは30重量部、より好ましくは25重量部、さらに好ましくは20重量部、特に好ましくは15重量部である。
また、本発明の製剤中の防風通聖散の配合割合も、防風通聖散特有の不快な風味が低減され、飲みやすくなるかぎり特に限定されないが、特にあと引き感が改善されるかぎり限定されないが、防風通聖散の乾燥エキスの量に換算して、5〜95重量%、より好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは30〜80重量%である。
本発明の製剤中のカルニチン類の配合割合についても、防風通聖散特有の不快な風味が低減され、飲みやすくなるかぎり特に限定されず、特にあと引き感が改善されるかぎり限定されず、防風通聖散に対して前記比率で配合すればよい。
かかる範囲でカルニチン類を用いることで、防風通聖散特有の不快な風味を顕著に低減することができ、また、あと引き感を改善することができる。
4.防風通聖散配合製剤の形態及び製剤に含有可能なその他の成分
本発明の防風通聖散配合製剤の形態としては、経口投与形態であれば限定されず、液剤(シロップ等を含む)等の液状製剤(懸濁剤含む)や、錠剤、丸剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)等の固形製剤のいずれでもよい。
本発明の製剤を液状製剤の形態とする場合、凍結保存することもでき、また凍結乾燥等により水分を除去して保存してもよい。凍結乾燥製剤やドライシロップ等は、使用時に滅菌水等を加え、再度溶解して使用される。
本発明の製剤を固形剤の形態とする場合、例えば、錠剤の場合であれば、担体として当該分野で従来公知のものを広く使用することができる。このような担体としては、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、ケイ酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、アルギン酸ナトリウム等の結合剤;乾燥デンプン、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、クロスポビドン、ポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤;ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン等保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。さらに錠剤は、必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。また、前記有効成分を含有する組成物を、ゼラチン、プルラン、デンプン、アラビアガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等を原料とする従来公知のカプセルに充填して、カプセル剤とすることができる。
また、丸剤の形態とする場合、担体として当該分野で従来公知のものを広く使用できる。その例としては、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
上記以外に、添加剤として、例えば、界面活性剤、吸収促進剤、吸着剤、充填剤、防腐剤、安定剤、乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節する塩を、得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択し使用することができる。
また、アミノ酸、ビタミン類、有機酸塩類等の他の活性成分を含有させても良い。他の活性成分としては、例えば、バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジン等のアミノ酸;ビタミンA1、ビタミンA2、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB6、ビタミンB1、ビタミンB2、アスコルビン酸、ニコチン酸アミド、ビオチン等のビタミン類;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩や、クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩等の有機酸塩類が挙げられる。
これらの形態はいずれも当該分野における通常の方法を用いて調製でき、例えば、錠剤は、防風通聖散、カルニチン類及びその他錠剤を得るために必要な賦形剤等を適宜添加し、よく混合分散させたのち打錠して得ることができる。また、散剤は、防風通聖散、カルニチン類及びその他散剤を得る為に必要な賦形剤等を適宜添加し、好適な方法にて混合、粉体化して得ることができる。
本発明の防風通聖散配合製剤の1日摂取量は、患者の状態や症状の程度によって適宜変更され得るが、大人一人(体重60kg)に対する1日あたりの投与量は、防風通聖散の乾燥エキス重量に換算して通常1〜10g程度、好ましくは1.5〜8g程度、より好ましくは1.5〜6g程度である。
また、本発明の防風通聖散配合製剤は、通常一日2〜3回に分けて経口投与の形態で用いられる。服用時刻は、特に限定されないが、食前または食間が好ましい。
本発明の防風通聖散配合製剤は、このように防風通聖散とカルニチン類とを含有するものであり、防風通聖散とカルニチン類とを併用することにより、防風通聖散単体で服用した場合と比較して特に防風通聖散特有のあと引き感が改善されており、その結果として防風通聖散特有の不快な風味が総合的に改善されている。
(II)あと引き感改善方法及び風味改善方法
本発明は、あと引き感改善方法及び風味改善方法を提供する。
本発明のあと引き感改善方法は、防風通聖散とカルニチン類とを併用することにより実施することができる。本発明のあと引き感改善方法によれば、防風通聖散におけるあと引き感を改善することができる。ここで、あと引き感の改善とは、防風通聖散服用後に持続する後味の悪さが低減ないし解消されることを意味する。
本発明の風味改善方法は、防風通聖散とカルニチン類とを併用することにより実施することができる。本発明の風味改善方法によれば、防風通聖散特有の不快な風味を総合的に改善することができる。
これらの方法において使用される防風通聖散及びカルニチン類の具体的な原料・材料およびそれらの配合比等は、前述の記載に従って適宜設定される。
(III)あと引き感改善剤及び風味改善剤
本発明は、あと引き感改善剤及び風味改善剤を提供する。
本発明のあと引き感改善剤はカルニチン類を有効成分とするものであり、防風通聖散におけるあと引き感を改善することができる。
本発明の風味改善剤はカルニチン類を有効成分とするものであり、防風通聖散特有の不快な風味を総合的に改善することができる。
すなわち、本発明は、防風通聖散において不快なあと引き感を改善するという、カルニチン類の新たな用途を提供するものである。また、本発明は、防風通聖散において総合的な風味を改善するという、カルニチン類の新たな用途を提供するものである。
これらにおける防風通聖散及びカルニチン類の具体的な原料・材料およびそれらの配合比等は、前述の記載に従って適宜設定される。また、製剤の形態も前述の通りである。
本発明によれば、一般に飲みにくいとされている防風通聖散配合製剤において、服用時における不快感を軽減することができ、従って服用者の不快感や苦痛等を和らげることができる。特に、防風通聖散配合製剤において、あと引き感を改善することができる。
以下に試験例等を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
以下、本発明およびその効果を、試験例および実施例を用いてより明確に説明する。ただし、本発明はかかる試験例および実施例になんら制限されるものではない。なお、下記の実施例において特に言及しない場合は、「部」は重量部を、「%」は重量%を意味するものとする。
なお、下記の試験例および実施例ならびに比較例で用いた防風通聖散はエキス末形態であり、防風通聖散乾燥エキス末(トウキ1.2部、シャクヤク1.2部、センキュウ1.2部、サンシシ1.2部、レンギョウ1.2部、ハッカヨウ1.2部、ショウキョウ0.3部、ケイガイ1.2部、ボウフウ1.2部、マオウ1.2部、ダイオウ1.5部、ボウショウ(硫酸ナトリウム十水塩)1.5部、ビャクジュツ2.0部、キキョウ2.0部、オウゴン2.0部、カンゾウ2.0部、セッコウ2.0部、カッセキ3.0部より、水20部を用いて約100℃、1時間で抽出し、遠心分離して抽出液を得、減圧下濃縮してスプレードライを用いて乾燥したエキス)である。スプレードライによる乾燥は、抽出液を回転数10000rpmのアトマイザーに落下させ、150℃の空気の熱風を供給して行った。
また、カルニチン類として、DL−塩化カルニチン(金剛化学株式会社製)を用いた。
試験例1
前記防風通聖散とカルニチンを下記の表1に記載の配合比にて混合し、防風通聖散及びカルニチンからなる散剤を調製した(実施例1〜9)。防風通聖散のみからなる散剤を比較例とした。
Figure 0005610670
防風通聖散の味に対するカルニチンの影響について評価を行った。なお、味の評価は、味モニター者(味に敏感なパネラー)20名に、実施例1〜9及び比較例1で示される散剤1gずつを水で服用してもらい、防風通聖散乾燥エキス単独(比較例1)で服用したときの味(風味)、飲みやすさを3とした5段階での評価結果に基づいて行った。なお、評価「5」が防風通聖散独特の不快な風味が最も改善されている、最も飲みやすいことを示し、数値が小さくなるほど改善・飲みやすさの程度が低くなり、「1」が防風通聖散独特の不快な風味が最も悪化している、飲みにくいことを示している。
結果を表2に示す。結果は、計20名のパネラーの評価の平均値を示す。
Figure 0005610670
結果からわかるように、防風通聖散にカルニチンを併用した場合、防風通聖散特有の不快な風味が抑制され、飲みやすさ、いわゆる服用感が改善された。また、防風通聖散100重量部に対して1.5重量部以上で、カルニチン量依存的に防風通聖散特有の不快な風味が低減され、好ましくはカルニチン3重量部以上、さらに好ましくはカルニチン7.5重量部以上で一層顕著に改善された。また、特に飲みやすさは、防風通聖散100重量部に対するカルニチン類の配合比の上限が25重量部、好ましくは20重量部で一層顕著に改善された。
これらのカルニチンを使用した場合における前記総合的な風味の改善、飲みやすさの向上のなかでも特に、防風通聖散単体で服用した場合より防風通聖散特有の不快なあと引き感が改善され、さらに防風通聖散単体で服用した場合に感じられるピリピリとした刺激が低減され、爽やかになった。
処方例
以下、処方例を示す。
Figure 0005610670

Claims (3)

  1. 防風通聖散と塩化カルニチンとを含有し、防風通聖散と塩化カルニチンの配合比(乾燥重量比)が、防風通聖散の乾燥エキス含量に換算して、防風通聖散100重量部に対して塩化カルニチン7.5〜25重量部であることを特徴とする、防風通聖散配合製剤。
  2. 防風通聖散と塩化カルニチンとを併用することを特徴とする、防風通聖散のあと引き感改
    善方法。
  3. 塩化カルニチンを有効成分とする、防風通聖散のあと引き感改善剤。
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