JP5606886B2 - 工具経路作成方法及び工具経路作成装置 - Google Patents
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Description
この例では、加工に使用する工具の半径をrとし、幅dは、工具の半径rよりも大きく、かつ、工具の直径2rよりも小さく設定されている。塗りつぶしの効率を考慮して、加工領域Aの中心線を通る経路p1からp3までの工具経路を設定した場合、工具のR形状による削り残しR(斜線部分)が生じる。そのため、削り残しRを除去する経路p4からp7までの工具経路を設定しなければならず、削り残しRのための工具の重複動作が必要となって加工効率が低下する。
この特許文献1に記載された処理方法では、図14に示すように、距離hに対応するはみ出し量を設定することになるが、この場合でも図13と同様に加工領域Aの内側に帯状の削り残しが生じることになり、図12のような加工領域を加工する場合には、加工時間の短縮にはつながらない。
本発明に係る工具経路作成装置は、所望の形状データに基づいて除去加工するための工具経路を作成する工具経路作成装置であって、所望の形状データ及び工具経路の作成に必要なパラメータを入力する入力部と、入力された前記形状データ及び前記パラメータを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されたデータに基づいて加工領域を決定して工具経路を作成する処理部とを備え、前記処理部は、加工領域の幅dが工具の加工半径rに対して、nr<d<2nr (n=1,2)に設定されている場合に、加工領域の輪郭から(2nr−d)/2の距離だけ外側に間隔を空けて輪郭線を設定する設定手段と、設定された前記輪郭線のうちの2つの輪郭線の交点を含む加工半径rの加工円が内接できない非接触部分を特定する特定手段と、特定された前記非接触部分に対応して、前記2つの輪郭線のいずれか一方の前記交点を含む部分を前記加工円が内接可能な曲線に形状変換する変換手段と、形状変換された前記輪郭線に前記加工円が内接するように工具経路を作成する作成手段と、を備えていることを特徴とする。
まず、図1に示すように、所望の形状データに基づいて被加工物の加工領域Aが設定される。この例では、図12に示す例と同一の加工領域Aが設定されており、加工領域Aの幅はdである。また、工具の加工範囲は、加工半径rの加工円Cに設定される。ここで、幅d及び加工半径rの関係は以下のとおりである。
r<d<2r
すなわち、幅dは、加工円Cの加工半径rよりも大きく、かつ、加工直径2rよりも小さく設定されている。設定された加工領域Aに対して、図2に示すように、加工領域Aの外側の輪郭に沿って以下に示す距離tだけ間隔を空けて輪郭線Lを設定する。距離tは、以下の式で表される。
t=(2r−d)/2
すなわち、加工直径2rと幅dとの差の半分だけ加工領域Aの外側の輪郭から外側にずらして輪郭線Lを設定することで、加工領域Aの幅方向の中心線と加工円Cの中心を合致させた状態に設定することができる。
そして、図4に示すように、特定された非接触部分L1及びL2に対応して加工円Cが内接可能な曲線L1’及びL2’に形状変換を行う。この例では、曲線L1’及びL2’は、曲率半径r1の円弧の形状に変換されており、曲率半径r1は加工半径r以上の値に設定されている。曲率半径を加工半径以上とすることで、形状変換された円弧内に加工円Cが内接できるようになり、非接触部分をなくすことができる。図4の例では、図面の上側に突出するように形状変換しているが、左右両側又は斜め上側に突出するように形状変換してもよく、非接触部分がなく加工円が内接可能な曲線であれば特に限定されない。
2r<D<4r
すなわち、加工領域Bの幅Dは、加工円Cの加工直径2rよりも大きく、かつ、加工直径の2倍4rよりも小さく設定される。設定された加工領域Bに対して、図7に示すように、加工領域Bの外側の輪郭に沿って幅方向に距離uだけ間隔を空けて輪郭線Lを設定する。距離uは、以下の式で表される。
u=(4r−D)/2
すなわち、加工直径の2倍4rと幅Dとの差の半分だけ加工領域Bの外側の輪郭から外側にずらして輪郭線Lを設定することで、加工領域Bの幅方向において輪郭線Lの間に加工円Cが2つ内接した状態で配列することができる。なお、この例では、加工領域Bの左側に段差が形成されるため、輪郭線Lは加工領域Bに沿って設定する。
このように工具経路を設定することで、図16及び図17に示すような削り残しR及びSは発生せずに工具を動作させることができ、重複動作や回避動作といった無駄な動作もないため加工時間を短縮することができる。
工具経路作成装置は、工具経路を作成する処理部100、形状データ及びパラメータを入力する入力部101、入力された形状データ及びパラメータを記憶する記憶部102、NC装置等にデータを出力する出力部103、処理されたデータを表示する表示部104、及び、工具経路データに基づいて工具の動作をシミュレートするシミュレータ部105を備えている。この工具経路作成装置の各部の機能は、必要なプログラムをパソコン等のコンピュータに読み込ませて実現することができる。
具体的には、加工領域の輪郭から所定距離だけ外側に間隔を空けて輪郭線を設定する設定部100a、設定部100aで設定された輪郭線のうち半径rの加工円が内接できない非接触部分を特定する特定部100b、特定部100bで特定された非接触部分に対応して加工円か内接可能な曲線に形状変換する変換部100c、変換部100cで形状変換された輪郭線に加工円が内接するように工具経路を作成する作成部100dを備えている。
nr<d<2nr (n=1,2)
に設定されている場合に加工領域の輪郭から(2nr−d)/2の距離だけ間隔を空けて輪郭線を設定する。
本実施形態では、以上のように削除加工をする場合に、前もって工具の経路を無駄のない経路に設定し、かつ工具と被加工物との干渉等をチェックしてから実際の除去加工を行うため、効率よく確実に除去加工を行うことができる。
Claims (4)
- 所望の形状データに基づいて除去加工するための工具経路を作成する工具経路作成方法であって、
加工領域の幅dが工具の加工半径rに対して、
nr<d<2nr (n=1,2)
に設定されている場合に、加工領域の輪郭から(2nr−d)/2の距離だけ外側に間隔を空けて輪郭線を設定する工程と、設定された前記輪郭線のうちの2つの輪郭線の交点を含む加工半径rの加工円が内接できない非接触部分を特定する工程と、特定された前記非接触部分に対応して、前記2つの輪郭線のいずれか一方の前記交点を含む部分を前記加工円が内接可能な曲線に形状変換する工程と、形状変換された前記輪郭線に前記加工円が内接するように工具経路を作成する工程と、を有することを特徴とする工具経路作成方法。 - 前記曲線は、曲率半径がr以上の円弧であることを特徴とする請求項1に記載された工具経路作成方法。
- 所望の形状データに基づいて除去加工するための工具経路を作成する工具経路作成装置であって、
所望の形状データ及び工具経路の作成に必要なパラメータを入力する入力部と、入力された前記形状データ及び前記パラメータを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されたデータに基づいて加工領域を決定して工具経路を作成する処理部とを備え、
前記処理部は、加工領域の幅dが工具の加工半径rに対して、
nr<d<2nr (n=1,2)
に設定されている場合に、加工領域の輪郭から(2nr−d)/2の距離だけ外側に間隔を空けて輪郭線を設定する設定手段と、設定された前記輪郭線のうちの2つの輪郭線の交点を含む加工半径rの加工円が内接できない非接触部分を特定する特定手段と、特定された前記非接触部分に対応して、前記2つの輪郭線のいずれか一方の前記交点を含む部分を前記加工円が内接可能な曲線に形状変換する変換手段と、形状変換された前記輪郭線に前記加工円が内接するように工具経路を作成する作成手段と、を備えていることを特徴とする工具経路作成装置。 - 前記変換手段は、前記非接触部分に対応して曲率半径がr以上の円弧に形状変換することを特徴とする請求項3に記載された工具経路作成装置。
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