図1は、本発明の実施の形態に係るドライブレコーダシステムの第1実施例を示すブロック図である。本実施例のドライブレコーダシステムは、事故前後の情報を記録するドライブレコーダを備えたガソリンエンジン車または電気自動車またはガソリンエンジンとモーターを併用するいわゆるハイブリッドタ車のいずれかである車両2を中心とするものであるが、さらに信号機4、および給油/給電スタンド6と共同するシステムを構成している。
車両2は、車両全体を制御するコンピュータからなる車両制御部8を有し、車両の運転者による操作部10の操作に応じて、車両機能部12を制御する。この車両制御部8の機能は記憶部14に格納されたソフトウエアによって実行される。記憶部14は、さらに両全体の制御に必要な種々のデータを一時的に格納する。また、車両制御部8は、表示部16を制御し、操作部10の操作に必要なGUI表示を行うとともに制御結果の表示を行う。なお、車両制御部8は時計部18を有し、種々の機能においてこの時計部8の時刻情報が利用される。また、後述のようにこの時計部18の時刻は外部の時刻情報により適宜正しい時刻に自動修正される。
GPS部20は、GPSシステムに基づいて衛星および最寄の放送局より車両2の絶対位置情報である緯度、経度、および高度の情報を得て車両制御部8に送る。カーナビゲーション機能部22は、車両制御部8経由で得られるGPS部20からの絶対位置情報を処理し、地図上での車両2の位置を表示部16に表示する。車両2は、さらに車両近距離通信部24を備えており、後述のように、信号機4および給油/給電スタンド6に接近したとき、これらとの間で電波または光により情報の授受を行う。
次にドライブレコーダに関する構成を、必要に応じ上記の構成とも関連づけて説明する。カメラ26およびマイク28には、車両が運行状態にあるとき常時車両前方等の画像および周囲の音が入力される。なお、運行状態とは実際に走行している場合だけでなく信号待ちで一時停車している状態など、車両の走行に伴って交通事故が発生する可能性のある状態全てを含む。この状況にあるかどうかをチェックするためにカメラ26で撮影された画像に基づく画像処理によって動体の有無が検知され、エンジンを停止しても、その後画像中に動体が検知されていない状態が所定時間続くことが確認されない限りカメラ26およびマイク28への画像および音の入力が継続される。
車両制御部8は20秒程度の容量の不揮発性バッファメモリを備えており、カメラ26およびマイク28から入力された画像および音の情報を先入れ先出し(FIFO)で記憶する。つまり最新20秒の情報が常時上書き記憶され続ける。そして、加速度検知部30が衝突などによる大きな加速度変化を検知したときまたは操作部10により手動操作があったとき、カメラ26およびマイク28が破壊されずに情報入力が継続していれば、その時点からさらに10秒程度のバッファメモリへの記憶を続ける。これによってバッファメモリには、加速度変化の検知または手動操作の時点の前後それぞれ10秒程度の画像および音情報が最終的に保持される。この前後10秒程度の画像および音情報は、車両制御部8によって所定の処理が行われた後、デジタル圧縮動画情報として車両の異なる部分に設けられた第一記録部32および第二記録部34にそれぞれ記録されるよう構成する。第一記録部32および第二記録部34はそれぞれ不揮発メモリで構成され、事故等によってこれらの記憶部への給電が断たれても記録が保持される。第一記録部32および第二記録部34はそれぞれデジタル圧縮動画情報10件分の容量を持っており、FIFOで上書きされていく。
第一記録部32は、例えば車両前部に設けられるとともに、第二記録部34は、例えば車両後部に設けられ、これらに同じ情報を記録するよう構成することによって、事故により万一その一方が破壊されても他方が生き残って記録可能となることを期待している。また、記録済みの情報についても、少なくとも一方には残ることを期待している。なお、ドライブレコーダ機能の大半が破壊された場合でも、不揮発性バッファメモリさえ無事ならば、事故前20秒程度の記録が残されることになる。
ここで、第一記録部32および第二記録部34に画像及び音情報をそれぞれ記録する際に車両制御部8によって行われる処理について説明する。この処理は、通常の音声つきデジタル圧縮動画情報を作成する処理に加え、この音声つきデジタル圧縮動画情報の改ざんやすり替えを防止して証拠力を高めるとともに、証拠としての情報をより豊富にするための処理を含んでいる。
信号機4は、証拠情報を豊富にするための構成であって、信号機制御部36は赤・青・黄の信号灯38を制御している。そして、信号機近距離通信部40は交差する道路のどちら向きの信号灯が今どの色であるかの情報を信号機4近辺に発信している。この信号機近距離通信部40は、信号機システム通信部42から得られる車両情報通信システムからの渋滞情報などを信号機4近辺に発信するための構成を兼用したものである。従って、これらの情報は信号機4のある交差点近辺に車両2が存在すれば車両近距離通信部24によって受信され、車両制御部8に送られる。これによって車両2が交差点を通過中または信号待ち停車中に加速度変化の検知または手動操作があったときには、車両2の進行方向の信号灯38の状態が情報として取得できる。このようにして、カメラ26の画角の限界やカメラ26と信号灯38の同期が原因で信号灯38の状態がカメラ26の画像からは得られない場合であっても、加速度変化の検知または手動操作(以下その代表的な場合として「事故発生」と称する)に至るまでの信号灯38の状況を把握することができるようになる。方位検知部44は、事故発生の直前に車が向いていた方向を検出するもので、上記の信号機4からの情報との組合せで事故発生時に車両2に信号無視があったかどうかの証拠を提供するものである。
車両制御部8は、速度計46の速度情報を受け、これを不揮発性バッファメモリにおける20秒程度分の容量にFIFOで順次上書き記録していく。これによって、事故発生時の速度と制限速度との関係および事故発生前20秒程度の間のブレーキ操作履歴などを把握することが可能となる。このような事故発生時の速度情報やブレーキ操作履歴は、上記の事故発生時の進行方向の信号灯情報、時計18からの事故発生時刻情報、ならびにGPS部20からの事故発生地点情報とともに電子透かし処理部48に送られ、電子透かしデータとして扱われる。なお、ブレーキなどの操作情報は、上記のように速度情報から間接的に把握できる他、操作部10から直接車両操作部8に送ることもできるので、これらの操作情履歴も不揮発性バッファメモリにFIFOで順次上書き記録することもできる。
電子透かし処理部48にはバッファメモリに一時記憶されている事故発生前後それぞれ10秒程度の画像および音情報が送られ、上記の速度情報、ブレーキ操作履歴、信号灯情報、時刻情報、地点情報よりなる電子透かしデータが埋め込まれる。なお、この埋め込みの際には、記憶部14に保持されている電子透かし処理キー情報が設定されて用いられる。このようにして電子透かし処理キー情報を用いて電子透かしデータが埋め込まれた画像および音情報は、車両制御部8に戻されてデジタル圧縮され、それぞれ第一記録部32および第二記録部34に送られる。以上のように、事故発生前後それぞれ10秒程度の画像および音情報には電子透かし処理キー情報を用いて事故発生に関連する電子透かし情報が埋め込まれているので、画像情報および音情報を改ざんすることは困難となる。また、電子透かし情報自体もこれらを抽出することによって事故発生時点の証拠情報が豊富になる。
以上、ドライブレコーダ機能については、その制御が車両制御部8で行われるよう説明したが、全ての機能を車両制御部8に負担させる代わりに、ドライブレコーダ機能を担当する専用の制御部を別に設け、機能を分担させてもよい。この場合も、ドライブレコーダ専用制御部は車両制御部8と連携し、全体として上記に説明したような機能を実行する。
また、万一の事故が起こったときにドライブレコーダに情報が記録されていないことを防ぎ、記録の信頼性を高めるため、上記のドライブレコーダ機能を達成する構成部分は車両2の所有者にはアクセスできない部分に納められており、車検等の際に資格のある者だけがアクセスできる。またカメラ26やマイク28と車両制御部8を結ぶケーブル等も車両2の所有者には見えない部分に納められる。ドライブレコーダ機能を車両2に後から追加する場合であっても、その取り付けは資格のある者に限られ、ケーブル等も車両2の所有者が勝手に取り外すことができないよう設置される。さらに、誤ってこれらのケーブルが切断される等してドライブレコーダ機能が損なわれたときには、車外表示部50がこれを車両2の外部に表示し、この表示が警察に発見されたときには交通違反となる。
一方で、車両2を始動させる毎にドライブレコーダ機能の初期チェックが行われ、正常である旨の表示を表示部16に行う。これに代えてアナウンスによりチェック結果が正常である旨を通知するようにしてもよく、また両者を併用してもよい。交通事故は本来起こってはならないことであり、安全運転者にとっては実際、何年も何事も起こらない可能性が高い。この間、ドライブレコーダが働く機会は一度もないことになるが、上記のように構成することにより、日常的に機能が正常であることが確認でき、万一の場合に情報が記録されないような事態を未然に防止できる。
給油/給電スタンド6は、給油または給電のためにスタンドに立ち寄った車両との交信を行うためのスタンド近距離通信部52を備えている。スタンド制御部54はスタンドシステム通信部56から車両2のID情報及び車両2に適用すべき最新の電子透かし処理キー情報を取得している。この最新の電子透かし処理キー情報はスタンド近距離通信部52と車両近距離通信部24の交信により車両2に伝えられ、車両制御部8経由で記憶部14に送られて旧い電子透かし処理キー情報を更新する。このような電子透かし処理キー情報の更新はドライブレコーダによる画像および音情報の改ざんやすり替えを防止するためのものであり、各車両の電子透かし処理キー情報の更新履歴はそれぞれドライブレコーダ管理センターに個別に登録されているので、万一電子透かし処理キー情報が漏洩したとしても、期限切れの電子透かし処理キーで作成したデジタル画像情報は真正の記録とは認められない。なお、この電子透かし処理キー情報の更新は信号機4から頻繁に行うよう構成してもよい。
給油/給電部58は、給油/給電部ライン60を介して車両2の給油/給電部口62に給油/給電を行う。このとき、車両2が電気自動車またはハイブリッド車であった場合は、給油/給電部ライン60を介した電力線通信(PLC)により、電子透かし処理キー情報をスタンド制御部54から車両制御部8に伝達することができる。
なお、上記のように本発明の第1実施例におけるドライブレコーダ情報は車両2の所有者自身が変更することができないものであるが、所有者がパスワードを入力することにより、車両制御部8のカードスロットに挿入したメモリカードにコピーして取り出しするのは自由である。従ってこのようにして取り出したデータを自身の携帯電話やパソコンで見ることは可能である。
また、図1では、車両2が給油/給電スタンド6との近距離通信によって電子透かし処理キー情報の更新を行う場合を図示しているが、このような電子透かし処理キー情報の更新はこのような場合に限るものではない。例えば、「給油/給電スタンド6」を「道路通行料自動徴収システム(ETC)6」と読替えるとともにその内部構成52、54および56における「スタンド」を「ETC」に読替えれば、ETC6を通過する毎に電子透かし処理キー情報の更新を行う形でも本発明が実施できることが理解できる。この場合、車両2における車両近距離通信部24とETC6におけるETC近距離通信部52が電子透かし処理キー情報の交信にも兼用されることになる。
なお、上記のETC6のように車両2との契約関係に基づいて近距離通信を行うよう構成され、個人情報管理がしっかりと行われているようなシステムの近距離通信部を兼用する場合は、さらに次のような情報交信を行うことも可能である。つまり、第一記録部32または第二記録部34に何らかのドライブレコーダ情報が記録されている場合にはこれが自動的に車両近距離通信部24からETC近距離通信部52に自動送信され、これがさらにETCシステム通信部56からETCの管理センターに転送されるよう構成することができる。但し、このような転送を自動的に行うかどうかは予め運転者の同意を得ることを条件とし、同意すれば高速道路料金を割り引く等のインセンティブをつける。これによって、運転者の同意の下にひき逃げや当て逃げの証拠がETCの管理センターに蓄積されることになるので、運転者の安全運転への自覚を高めることも可能となる。
図2は、図1の第1実施例における車両2の車両制御部8の機能を示す基本フローチャートである。このフローは車両2が走行可能状態になることによってスタートする。具体的には、ガソリンエンジン車の場合はイグニションのオン、ハイブリッド車や電気自動車では走行準備スイッチのオンによって走行可能状態となり、フローがスタートする。なお、走行可能状態とは実際に走行している状態も含む。フローがスタートすると、まずステップS2でドライブレコーダ機能を含む車両機能を初期チェックする。この処理は、チェック結果の表示またはアナウンスによる通知を含む。
次いでステップS4でカメラ26およびマイク28からの情報に基づき画像と音の記録が行われる。また、ステップS6では、その時点におけるGPS部20からのGPS情報、速度計46からの速度情報、方位検知部44からの進行方向情報、時計18からの時刻情報および操作部10よりの操作情報をそれぞれ取得してステップS8に至る。
ステップS8では、車両近距離通信部24に信号機灯4からの信号灯情報が着信しているかどうかのチェックが行われる。そして車両が交差点に差しかかっていて信号灯情報の着信がある場合にはステップS10に進み、信号灯情報を取得してステップS12に移行する。なお、信号機4は車両2にとっての進行方向およびこれに直行する方向の両者についてそれぞれ信号灯38がどのような状態にあるかの情報を発信しており、ステップS10では、車両近距離通信部24により、これらの情報をすべてそのまま取得する。一方、車両が交差点に差しかかっていないか、または交差点にさしかかっていているが信号機に信号灯情報発信機能がなく、この結果信号等情報の着信がない場合には、ステップS8から直接ステップS12に移行する。
ステップS12では、ステップS4、ステップS6およびステップS10で得られる情報を車両制御部8内の不揮発性バッファメモリにおける20秒程度分の容量にFIFOで上書き記録する。その詳細は後述する。ステップS12においてその時点で得られた情報の記録が終わるとステップS14に移行し、車両近距離通信部24による通信相手が通信可能距離範囲に存在して近距離通信が可能かどうかのチェックが行われる。なお、ステップS14では、電力線通信(PLC)により通信が可能かどうかも併せてチェックしている。この場合の通信相手とは、例えば給油/給電スタンド6またはETC6であるが、信号機4についても信号灯情報受信以外の通信が可能であれば、この場合の通信相手に該当する。
ステップS14で近距離通信または電力線通信が可能と判断されたときはステップS16に進み、近距離通信または電力線通信による情報交信処理を行ってステップS18に移行する。この場合のステップS16での情報交信処理の内容は、具体的には電子透かし処理キー情報の更新情報の受信であるが、この他、既に述べたように第一記録部32または第二記録部34に記録されているドライブレコーダ情報の送信もステップS16での情報交信処理に該当する。これらの詳細は後述する。なお、ステップS14で近距離通信または電力線通信のいずれも可能ではないと判断されれば直接ステップS18に移行する。
ステップS18では、操作部10による手動操作または加速度検知部30による所定以上の加速度変化検知があったかどうかのチェックが行われる。ここで、所定以上の加速度変化とは正面衝突のような同一方向での急減速、衝突による進行方向の変化等の車両走行中の加速度変化が含まれるが、車両2自身が停止中であったとしても他車両に衝突された場合の衝撃なども含まれる。
ステップS18で手動操作または所定以上の加速度変化が検出されたときはステップS20に進み、記憶部14から車両2として最新の電子透かし処理キーを読出す。そしてステップS22で種々の電子透かしデータを電子透かし処理キーに基づいて動画の画像/音情報に埋め込む電子透かし処理を行う。そしてステップS24に進み、電子透かしが埋め込まれた画像/音情報を圧縮し、第一記録部32および第二記録部34に記録する処理を行い、ステップ26に移行する。なお、ステップS18で手動操作および所定以上の加速度変化のいずれも検出されないときは直接ステップS26に移行する。上記のステップS22およびステップS24の詳細については、それぞれ後述する。
ステップS26では車両2が走行可能状態であるかどうかチェックし、該当すればステップS4に戻る。一方、イグニションのオフまたは走行準備スイッチのオフによって走行準備状態でなくなっているときはステップS28に進み、カメラ26で取得される画像に基づいて画像中に動体が含まれているどうかの検知を行う。そして動体が検知されれば、ステップS4に戻る。動体が検知されるということは、自分の動力はオフになっているが車両2が惰性または坂道下降によって走行している状態にあるか、または、車両2自身は停止しているが周囲を車両が走行していて車両2が道路の中にあることを意味し、車両2はまだ安全な状態にはないからである。
一方、ステップ28で動体が検出されない場合はステップ30に進み、動体を検出しない状態が所定時間以上続いているかどうかをチェックする。そしてまだ所定時間に達していない場合はステップ4に戻る。事故直後の場合や、車両2が道路中に停止しているがたまたま周囲を車両が走行していない場合は、動体が検出されないことがあるからである。以上のようにして、ステップ26からステップ30のいずれかからステップ4に戻ったときには、ステップ4の画像/音記録からの処理が行われ、以下、ステップ30で所定時間以上動体が無検知で車両2が安全な場所に停止していると看做されるまではステップS4からステップS30が繰り返される。そして、画像/音情報ならびに所定情報の取得、およびそのFIFO記録が継続され、その間所定以上の加速度が検知される毎に電子透かしが埋め込まれた画像/音情報の圧縮データの記録が行われていく。一方、ステップS30で所定時間以上動体が無検知であることが検知されるとステップS32に進み、動画/音記録および諸情報取得を停止してフローを終了する。
図3は、図2のステップS22における電子透かし処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS42で記憶部14から車両2のIDデータを読み出す。このIDは後述のように、電子透かしデータとして使用されるとともに、現在車両2に適用されている電子透かし処理キーのバージョンを特定するデータとしても利用される。つまり、どのバージョンの電子透かし処理キーが現在車両2に適用されているかはドライブレコーダ管理センターに個別に登録されているので、読み出した車両2のIDを付加することにより、登録された真正の電子透かし処理キーによって電子透かしが埋め込まれた画像/音情報の圧縮データであることの証とすることができる。
次いで、ステップS44では、図2のステップS20で読み出された電子透かし処理キーが電子透かし処理部48に設定される。次にステップS46では、加速度変化検知後に車両制御部8の不揮発性バッファメモリが破壊されず無事に残っているかどうかのチェックが行われる。そして無事ならばステップS48に進み、加速度変化検知時のGPS情報および時刻情報がバッファメモリから抽出される。さらにステップS50では、加速度変化検知時の進行方向情報をバッファメモリから抽出してステップS52に進む。
ステップS52では、バッファメモリ中に信号灯情報が存在するかどうかチェックする。信号灯情報があるということは加速度変化検知時点近辺に車両2が交差点近辺にあったことを意味するのでステップS54に進み、加速度変化検知時までの信号灯情報を抽出する。そしてステップS56では、ステップS50で抽出された進行方向情報を参照して加速度変化検知時までの進行方向の信号灯情報を選別してステップS58に移行する。一方、ステップS52でバッファメモリ中に信号灯情報が存在しないと判断されたときは直接ステップS58に移行する。
ステップS58では、加速度変化検知時までのバッファメモリ内の全速度情報履歴が取り出され、ステップS60でこれらをもとにブレーキ操作の様子を分析してステップS62に進む。以上のようにステップS56およびステップS58の時点で取り出すバッファメモリのデータとしては加速度検知時点前20秒のデータが利用できる。これに対し、画像および音情報については、カメラ26およびマイク28の機能が無事であるかぎり加速度変化検知後もFIFO記録が継続されるので、加速度検知時点前20秒から10秒のデータは加速度検知後10秒のデータで上書きされて消失する。
ステップS62では、加速度変化検知後にカメラ26およびマイク28の機能が破壊されず無事に残っているかどうかのチェックが行われる。そして、いずれか一方でも無事ならばステップS64に進む。カメラ26およびマイク28の機能のいずれか一方でも無事ならば加速度変化検知後でも少なくともそのいずれかから情報が送り続けられているのでバッファメモリへのFIFO記録が継続されている。そこでステップS64では加速度変化検知後に設定されている所定時間(10秒程度)の録画および録音が終了したかどうかチェックして終了を待つ。そして所定時間が経過し、録画および録音が終了するとステップS66に進む。一方、ステップS62で、カメラ26およびマイク28の機能がいずれも破壊され、もはや加速度変化検知後の情報を送りえない状態であることが検知されたときは、直ちにステップS66に移行する。この場合は画像および音情報についてもバッファメモリ内の情報は加速度変化検知前20秒のデータとなる。
ステップS66では、ステップS42、ステップS48、ステップS56およびステップS60で得られた諸情報を埋め込むべき電子透かしデータに変換する。そして、ステップS68で、バッファメモリ内の全ての画像情報および音情報を取り出してステップS70に移行する。ステップS70では、ステップS66およびステップS68で得られた情報に基づき、ステップS44での設定に従って、電子透かしデータの画像および音情報への埋め込み処理を行ってこれが完了するとフローを終了する。なお、ステップS46においてバッファメモリが破壊されていることが検知された場合は、直ちにフローを終了する。
図4は、図2のステップS12におけるバッファメモリFIFO記録処理による記録のタイムチャートである。時間軸は図の左から右に流れて現在に至っている。時計18からは車両制御部8の不揮発性バッファメモリに記憶される各情報にタイムスタンプとして貼り付けるための時刻情報72が刻々出力される。また、カメラ26からは画像情報74が、マイク28からは音情報76がそれぞれ刻々出力される。不揮発性バッファメモリは20秒間の記憶容量を持っており、現在を基準として示した画像/音FIFO容量78は20秒前から現在までの画像と音を連続して記憶している。また、15秒前を基準として示した画像/音FIFO容量80は35秒前から15秒前までの画像と音を連続して記憶していたことになる。
つまり、15秒前を基準として示した画像/音FIFO容量80から出発して考えると、15秒前から現在までに順次入力される新しい画像情報74および音情報76が、35秒前から20秒前までの画像情報74および音情報76を刻々古いものから順に置き換えていく。この結果、現在を基準として示した画像/音FIFO容量78では、画像/音FIFO容量80の時点で記憶されていた35秒前から20秒前までの画像情報74および音情報76が捨てられ、15秒前から現在までの画像情報74および音情報76に置き換わっている。
図4におけるドライプレコードは、方位検知部44からの進行方向情報82からわかるように、南に向いていた車両が時刻t4の時点で西に向きを変えたものである。この様子は、GPS情報84からより詳細にわかり、南下移動してきた車両がほぼ15秒の時点で一時停止し、再発進して回転した後、西行移動となっている。これは、後述するように、信号で一時停車して右折待ちをした後、発信して右折したことに対応する。なお、図4では簡単のためGPS情報84を概略で示したが、実際には緯度、軽度、高度等の数値で車両の位置情報が示される。上記の車両状況を速度計46からの速度情報86で見ると、定速走行していた車両が一時減速して再加速し、その後減速して停止して再発進して加速している。なお、図4では簡単のため速度情報86を概略で示したが、実際には時速等の数値で情報が示される。以上の進行方向情報82、GPS情報84および速度情報86は、それぞれ連続して刻々不揮発性バッファメモリに入力され、画像情報74および音情報76と同様にして時刻情報が貼り付けられてFIFOで最新の20秒間の情報に順次置き換わっていく。
画像情報74は、車両制御部8で刻々画像処理され、カメラ26で撮像される進行方向画像から信号灯画像が抽出されないかどうかチェックする。このチェックは信号灯の光強度が画像の中で一際強いことを手がかりの一つとして行われる。図4の信号画像抽出情報88では、進行方向に信号灯があることを示す画像信号画像抽出信号Dが得られている。このようにして信号画像が抽出されると車両近距離通信部24において信号灯からの電波を受信するための感度が上げられる。
一方、GPS情報84は、地図情報の中に信号灯の位置情報を持っており、その地図内の車両位置もわかるので、両者の情報より車両の進行方向の所定範囲内にある信号位置を抽出する。図4の信号位置抽出情報90では信号位置抽出信号S1およびS2がそれぞれ対応する時間帯において得られている。このようにしてGPS情報84において信号位置が抽出された場合においても、車両近距離通信部24において信号灯からの電波を受信するための感度が上げられる。
図4の92、94、96および98は、車両近距離通信部24が受信できた信号灯情報であり、それぞれ東行車両用、西行車両用、南行車両用および北行車両用の信号がどの色で点灯しているかを示している。例えば、時刻t1とt2の間の時間帯で受信できた信号灯情報において、東西方向は赤、南北方向は青である。車両は南下移動しているので進行方向は青であり、この信号は定速で通過している。なお、この信号の存在はGPS情報84から抽出した信号位置抽出信号S1によって予め検知されており、信号灯情報受信前に、受信感度が上げられている。なお、この領域においては画像情報からは信号画像が抽出されていない。
一方、時刻t3とt5の間の時間帯で受信できた信号灯情報では、t3時点で東西方向は赤、南北方向は青である。しかし、車両はこの信号のある交差点を右折するため、減速して停止し、時差信号制御によって北行信号98が黄から赤に変わった結果、対向車線の流れが止まったのを見て南行信号が青の状態で右折している。なお、この信号灯の存在はGPS情報84から抽出した信号位置抽出信号S2によって予め検知されており、さらに画像情報88から抽出した信号画像抽出信号Dによっても信号灯の存在が予め検知されており、この場合は信号画像抽出信号Dの方が早いので、これによって信号灯情報受信前に、受信感度が上げられている。
ウインカ操作情報100における右折信号およびブレーキ操作情報102におけるブレーキ信号B1およびB2は、それぞれ車両を右折させるに際して行われた操作履歴を示す。このように、図4の履歴では、車両がt1からt2の時間帯において正規に交差点を通過し、t3からt5の時間帯において正規に右折を行ったことがわかる。なお、信号灯情報は東西南北すべて受信されるのでこれだけでは正規な通行かどうかがわからないが、進行方向情報82との組合せによりその判断が可能となる。ヘッドライト情報104はヘッドライトの点灯状況を示し、図4は例えば夜間運行の場合であって、通常点灯状態にあるが、交差点で右折待ちの停車中、車幅灯の点灯状態は保ったままヘッドライトは消灯(または減光)している状態を示す。このようなヘッドライトの点灯状態もドライブレコーダの履歴としてFIFO記録される。なお、ヘッドライトの点灯消灯についてはドライブレコーダ機能と連動して自動制御することも可能であるが、これについては後述する。
以上の信号画像抽出情報88、信号位置抽出情報90、信号灯情報92、94、96および98、ウインカ操作情報100、およびブレーキ捜査情報102は、ある状況が生じたときのみ存在する情報であり、連続して刻々発生するものではない。従ってこれらの情報は、同種の情報がユニットとして発生した時点で一番古いユニットのものが消去されるごとくFIFOで発生した不揮発性バッファメモリに記録される。なお、これらの情報にも時刻情報が貼り付けられる。具体的に言うと、例えば、不揮発性バッファメモリに記憶されたt1からt2の一つのユニットの信号灯情報は、例えばt3からt5の一つのユニットの信号灯情報が発生したとき、ユニット単位でまとめて新しいものに置き換わっていく。これによって、これらの情報のための記憶領域に意味のない情報が記憶されることを防止する。
図5は、図2のステップS12におけるバッファメモリFIFO記録処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートするとステップS82で各情報への時刻情報貼付けの準備が行われる。そしてステップS84、S86、S88およびS90において、それぞれ連続的に発生する情報である画像/音情報、速度情報、進行方向情報およびGPS情報がリアルタイムのFIFOで不揮発性バッファメモリに記憶される。
次いで、ステップS92では最新のGPS情報の分析が行われ、次いでステップS94で車両位置の進行方向所定距離以内に信号灯位置が抽出されるかどうかチェックする。ステップS94でGPS信号位置が抽出されなければステップS96に進み、最新の画像情報の分析が行われ、車両位置の進行方向に信号灯の画像が抽出されるかどうかチェックする。そして信号灯画像が抽出されるとステップS100に移行する。また、ステップS94でGPS信号位置が検出されたときは直接ステップS100に移行する。ステップS100では車両近距離通信部24が信号灯情報を受信中かどうかチェックし、受信中でなければステップS102に進んで近距離通信部の受信感度をアップさせ、ステップS104に移行する。なお、ステップS98で信号灯画像抽出がなければ、ステップS94およびステップS98のいずれでも信号灯の予備検出ができなかったことを意味するので、感度アップをせずにステップS104に移行する。またステップS100で信号灯情報を受信中のときは、既に感度アップが行われた結果であるかまたは感度アップをするまでもなく信号灯情報が受信できていることを意味するので、この場合も感度アップをせずにステップS104に移行する。
ステップS104では、信号灯情報が受信されるかどうかチェックし、受信されていればステップS106に進み、受信した信号灯情報をユニット単位のFIFOで不揮発性バッファメモリに記憶し、ステップS108に移行する。なお、ステップS104で信号灯情報が得られなかった時は直接ステップS108に移行する。
ステップS108では、ウインカ操作やブレーキ操作などの操作情報が検出されるかどうかチェックし、検出があればステップS110に進み、検出した操作情報毎にそれぞれユニット単位のFIFOで不揮発性バッファメモリに記憶してフローを終了する。なお、ステップS108で操作情報が得られなかった時は直ちにフローを終了する。
図6は、図2のステップS24における圧縮記録処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートするとステップS122で、車両制御部8の不揮発性バッファメモリが破壊されずに無事かどうかのチェックが行われる。そして無事であればステップS124に進み、第一記録部32が破壊されずに無事かどうかのチェックが行われる。そして無事であればステップS126に進み、第一記録部32への情報転送を許可状態としてステップS128に移行する。一方、ステップS124で第一記録部32が無事でなかったときはステップS130に進み、異常状態にあることを報知する信号を出力してステップS128へ移行する。このとき当然ながら第一記録部への情報転送は許可されない。
ステップS128では、第二記録部34が破壊されずに無事かどうかのチェックが行われる。そして無事であればステップS132に進み、第二記録部34への情報転送を許可状態としてステップS134に移行する。一方、ステップS128で第一記録部32が無事でなかったときはステップS136に進み、異常状態にあることを報知する信号を出力してステップS134へ移行する。このとき当然ながら第二記録部34への情報転送は許可されない。
ステップS134では、上記の経過を経て、第一記録部32および第二記録部34の少なくとも一方への転送が許可状態となっているかどうかチェックする。そして許可状態が確認できればステップS136に進んで、電子透かし処理済みのデータを圧縮処理する。次いで、ステップS138で第一記録部32への転送が許可されているかどうかチェックし、許可されていればステップS140に進む。ステップS140では、ステップS136で圧縮処理されたデータをデータ単位のFIFOで第一記録部32に記録し、ステップS142に移行する。なお、ステップS138で第一記録部32への転送許可が検出できない時は直接ステップS142に移行する。
ステップS142では、第二記録部34への転送が許可されているかどうかチェックし、許可されていればステップS144に進む。ステップS144では、ステップS136で圧縮処理されたデータをデータ単位のFIFOで第二記録部34に記録し、フローを終了する。なお、ステップS142で第二記録部34への転送許可が検出できない時は直ちにフローを終了する。また、ステップS122で不揮発性バッファメモリが破壊されて無事でないときは、以後の機能は無意味なので、直ちにフローを終了する。さらに、ステップS134で第一記録部32および第二記録部34のいずれも転送許可状態でないことが検出されたときも、データ圧縮処理以後の処理は無意味なので直ちにフローを終了する。
図7は、図2のステップS2における初期機能チェック処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS152で通常車両機能のチェックを行う。次いでステップS154に進み、ドライブレコーダ関連部をつなぐ情報ラインが断線していないかどうかチェックする。そして断線がなければステップS156以下のドライブレコーダ関連各部の種々のチェックに入る。すなわち、ステップS156のGPS部チェック、ステップS158の近距離通信部チェック、ステップS160の操作部チェック、ステップS162の速度計チェック、ステップS164の方位検知部チェック、ステップS166の加速度検知部チェック、ステップS168のカメラおよびマイクのチェックなどの情報取得部分のチェックが順次行われる。
さらに、ステップS170では不揮発性バッファメモリのチェックを行って、上記種々の情報取得部分からの情報を正しくFIFOで蓄積できるかどうか確認する。さらに、ステップS172では車外表示部172をチェックし車両外部との連携が取れるかどうか確認する。また、ステップS174の電子透かし処理部チェック、ステップS176の第一記憶部チェックおよびステップS178の第二記憶部チェック近距離通信部チェックを行って、事故発生時等の動作を確認し、ステップS180に移行する。
ステップS180では、以上のチェックの結果が全て正常であるかどうかチェックし、正常ならばステップS182に進んで正常である旨のアナウンスおよび表示を行ってフローを終了する。これによって、日常的に機能が正常であることが確認でき、万一の場合にドライブレコーダが機能しないような事態を未然に防止できる。一方、ステップS180で何らかの異常が発見された時はステップS184に進み、該当する異常状況をアナウンスするとともにその表示を行い、フローを終了する。なお、ステップS154で断線が発見されたときは以後のチェックが正しく行われる保証がないので直ちにステップS184に移行し、断線のアナウンスと表示を行ってフローを終了する。
図8は、図2のステップS16における情報交信処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、まずステップS192において、車両2と給油/給電スタンド6またはETC6との間で車両IDの認証を行い、OKであることを確認してステップS194に進む。ステップS194では、記憶部14に保持されている電子透かし処理キーのバージョンチェックを行いステップS196で更新の必要な新規の電子透かしキーが給油/給電スタンド6またはETC6側にあるかどうかチェックする。
ステップS196で更新すべき新規の電子透かしキーがあることが確認されるとステップS198に進み、その新電子透かし処理キーを給油/給電スタンド6またはETC6から受信する。次いでステップS200で、記憶部14の電子透かし処理キーを受信した新電子透かし処理キーに更新する。そしてステップS202で電子透かし処理キー更新済の報告を給油/給電スタンド6またはETC6に送信してステップS204に移行する。一方ステップS196で更新すべき新規の電子透かしキーがあることが確認されない場合は、直接ステップS204に移行する。
ステップ204では、第一記録部32または第二記録部34のドライブレコーダ情報を送信して蓄積管理してもらうための情報保管契約をETCの管理センター等を締結しているかどうかチェックする。そして、ステップS204においてこのような契約情報が記憶部14に記憶されていることが確認されるとステップS206に進み、未送信の圧縮データが第一記録部32または第二記録部34にあるかどうかチェックする。そして該当するデータがあればステップS208に進み、これをETC6等に送信してフローを終了する。なおステップS204で情報保管契約が確認できない場合、またはステップS206で未送信の圧縮データがない場合は直ちにフローを終了する。さらに、ステップS192において車両IDの認証ができない場合も直ちにフローを終了する。
図9は、本発明の実施の形態に係るドライブレコーダシステムの第2実施例における車両制御部8の機能を示す基本フローチャートである。第2実施例は基本的には図1の第1実施例と共通の構成であるが、第1実施例における第一記録部32がデジタル圧縮動画情報10件分の容量であるのに対し、第2実施例における第一記録部32の記録容量は、デジタル圧縮動画情報10件分のFIFO容量に加え、信号灯情報を含むデジタル圧縮動画情報1000件分の累積記録容量を持っている。第二記録部34については、第2実施例でもデジタル圧縮動画情報10件分のFIFO容量のみでよいが、これをより容量の大きいもので構成することは任意である。
図9のフローは基本的には図2のフローと共通であり、同一のステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。図9のフローが図2のフローと異なる部分は太字で示したステップであり、これらを概説すると、図2では、ステップS18で手動操作または所定以上の加速度が検出されてからステップS22の電子透かし処理およびステップS24の圧縮記録処理に入っているのに対し、図9では、得られた情報をステップS210でバッファに入力した後、直ちにステップS212の電子透かし処理キー読出し以下の処理に入り、常時第一記録部32および第二記録部34に圧縮データを転送する。これによって複数の記録部によって不揮発性バッファメモリの情報が常時バックアップされることになり、事故等の際に、車両制御部8の不揮発性バッファメモリ、第一記録部32および第二記録部34のいずれかが破壊を免れて残る確立が高まる。また、信号灯情報を含むデジタル圧縮動画情報が累積記録されるので、車両2の交差点通過履歴が1000件分残される。この交差点通過履歴の処理については後述する。
以下、図9において図2と異なるステップを具体的に説明する。上記のようにステップS210ではバッファメモリに得られた情報を入力するが、図2のステップS12が20秒間の容量を持つ不揮発性メモリへのFIFO記録処理であったのに対し、ステップS210は後の処理のために得られたデータを一旦バッファメモリに入力する処理となっている。なお、ステップS210においてはさらに図5のステップS94からステップS102におけるような信号灯受信のための近距離通信部感度調節が行われる。この調節は、ステップS8において信号灯情報が着信しなかった場合でもGPS情報または画像処理により信号灯への接近が検出されたとき受信感度をアップさせて次にステップS8に至った時に受信を容易にするものである。次いで、ステップS212で電子透かし処理キーを読出し、ステップS214ではこの処理キーに基づいて種々の電子透かしデータを動画の画像/音情報に埋め込む電子透かし処理を行う。さらにステップS216に進み、電子透かしが埋め込まれた画像/音情報を圧縮し、第一記録部32および第二記録部34に記録する処理を行い、ステップ218に移行する。
ステップS218では、車両近距離通信部24による通信相手が通信可能距離範囲に存在して近距離通信が可能かどうかのチェックが行われる。なお、ステップS218でも、電力線通信(PLC)により通信が可能かどうか併せてチェックしている。この場合の通信相手とは、例えば給油/給電スタンド6またはETC6であるが、信号機4についても信号灯情報受信以外の通信が可能であれば、この場合の通信相手に該当する。
ステップS218で近距離通信または電力線通信が可能と判断されたときはステップS220に進み、近距離通信または電力線通信による情報交信処理を行ってステップS222に移行する。この場合のステップS220での情報交信処理の内容は、電子透かし処理キー情報の更新情報の受信および第一記録部32に記録されているドライブレコーダ情報の送信である。これらの詳細は後述する。なお、ステップS218で近距離通信または電力線通信のいずれも可能ではないと判断されれば直接ステップS222に移行する。
ステップS222では、加速度検知部30による所定以上の加速度変化検知があったかどうかのチェックが行われる。ここで、所定以上の加速度変化とは、図2のステップS18と同様、正面衝突のような同一方向での急減速、衝突による進行方向の変化等の車両走行中の加速度変化、および車両2自身が停止中の際の他車両の衝突衝撃などが含まれる。ステップS222で所定以上の加速度変化が検出されないときはステップS26に進む。ステップS26以下については図2と同様であるので説明は省略する。一方、ステップS222で所定以上の加速度変化が検出されたときはステップS224に移行し、第一記録部32および第二記録部34の更新を停止してフローを終了する。
図10は、図9のステップS216における圧縮記録処理の詳細を示すフローチャートである。図10のフローは太字で示したステップを除き、基本的には図6のフローと共通である。従って同一のステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。図10のフローでは、ステップS138で第一記録部32への転送が許可状態になっていることが検出されてステップS140でデータ単位のFIFO記録を行った後ステップS232で、記録したデータに信号灯情報が含まれているかどうかチェックする。
ステップS138においてデータに信号灯情報が含まれていることが検出されたときは、ステップS234に進み、第一記録部32における1000件分の累積記録容量部分にこの信号灯情報を含むデジタル圧縮動画データを累積記録し、ステップS142に進む。このように、信号灯情報を含むデジタル圧縮動画データについてはそのデータの記録後10件以上の新しいデータが到来してもFIFOで破棄されず、1000件の容量が満杯にならないかぎり、累積記録して保存される。なお、ステップS138において第一記録部への転送が許可状態になっていることの検出ができないときは直接ステップS142に至る。ステップS142以下の動作は図6と共通なので説明を省略する。
図11は、図9のステップS220における情報交換処理の詳細を示すフローチャートである。図11のフローは太字で示したステップを除き、基本的には図8のフローと共通である。従って同一のステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。図11のフローでは、ステップS208で未送信圧縮データの送信を行った後ステップS242に進み、送信データステップS208で送信したデータが信号灯情報を含むデータであったかどうかチェックする。そして該当すればステップS244に進み、送信済みデータを第一記録部32における1000件分の累積記録容量部分から消去してステップS246に移行する。第一記録部32の累積記録部分はFIFOによる古いデータの破棄は行わないので、このようにして送信済後においてデータを消去し、容量を空ける。一方ステップS242において信号灯情報を含むデータの送信が検出されなければ直接ステップS246に進む。また、図11では、ステップS206で未送信圧縮データがない場合でもフローを終了せずステップS246に進む。
ステップS208において車両2から送信される交差点通過履歴データは、ETC近距離通信部52に自動送信され、これがさらにETCシステム通信部56からETCの管理センターに転送される。ETCの管理センターでは、契約者の長年の交差点通過データを分析し、所定期間内における所定レベル以上の順法通過実績が確認できるとその期間についての「優良運転者証明」を発行する。ステップS246ではこのような「優良運転者証明」がETCの管理センターに準備されているかどうかチェックし、該当すればステップS248に進んで「優良運転者証明」を受信してフローを終了する。この「優良運転者証明」は車両2の記憶部14に保存され、交差点での取り締まりにおける軽微な違反行為の情状酌量要素となる。従って、常々交差点の順法通行の実績を重ねていくことへのインセンティブが高まり、交通事故を未然に防止する効果が期待できる。一方、ステップS246で、まだ実績がなく「優良運転者証明」が発行される状況に至っていないことが確認されると、直ちにフローを終了する。
図12は、図9のステップS214における電子透かし処理の詳細を示すフローチャートである。このフローは、基本的には図3のフローと同様のものであるが、処理の対象がFIFO記録されている20秒間の走行データではなく、処理の最小単位としてバッファに入力されている走行データである。フローがスタートすると、ステップS252で記憶部14から車両2のIDデータを読み出す。
次いで、ステップS254では、図9のステップS212で読み出された電子透かし処理キーが電子透かし処理部48に設定される。次にステップS256では、車両制御部8の不揮発性バッファメモリが無事かどうかのチェックが行われる。事故などによってバッファメモリが破壊されていれば以後の処理は意味がないからである。ステップS256でバッファメモリが無事であることが確認されるとステップS258に進み、バッファメモリ内のGPS情報および時刻情報が読み出される。さらにステップS260では、バッファメモリ内の進行方向情報を読み出してステップS262に進む。
ステップS262では、バッファメモリ中に信号灯情報が存在するかどうかチェックする。信号灯情報があるということは処理対象データ取得時に車両2が交差点近辺にあったことを意味するのでステップS264に進み、バッファメモリ内の信号灯情報を抽出する。そしてステップS266では、ステップS260で読み出された各時刻の進行方向情報を参照して各時刻における進行方向の信号灯情報を選別してステップS268に移行する。一方、ステップS262でバッファメモリ中に信号灯情報が存在しないと判断されたときは直接ステップS268に移行する。
ステップS268では、バッファメモリ内の速度情報が読み出されるとともに、ステップS270ではブレーキ操作情報等の操作情報を読み出す。次いでステップS272では、ステップS252、ステップS258、ステップS260、ステップS266、ステップS268およびステップS270で得られた諸情報にステップS258で得られた時刻情報を付加して埋め込むべき電子透かしデータに変換する。そして、ステップS274で、バッファメモリ内の画像情報および音情報を読み出して取り出してステップS276に移行する。ステップS276では、ステップS272およびステップS274で得られた情報に基づき、ステップS254での設定に従って、画像および音情報への電子透かしデータ埋め込み処理を行ってこれが完了するとフローを終了する。なお、ステップS256においてバッファメモリが無事であることが検知されない場合は、直ちにフローを終了する。
なお、上記第1実施例と第2実施例は、ハード的には第一記録部32の記録容量が異なっているだけなので、必ずしも両者を別々の車両として構成する必要はない。たとえば第一記録部32の記録容量が大きい第2実施例をベースにして第1実施例の機能も可能なよう構成し、第1実施例の機能を「イベント記録モード」、第2実施例における機能を「連続記録モード」として一台の車両において両モードを任意に選択可能とすることも可能である。
本発明の上記種々の特長の実施は、以上の実施例に限るものではない。例えば図3のステップSステップS56又はステップ図12のステップS266では、車両の進行方向情報に基づき、各方向の信号灯情報の中から進行方向の信号灯情報を選別している。しかしながらこれに換えて、例えば図5のバッファメモリFIFO記録処理の段階において、ステップS104において信号灯情報されたことが検出された段階でステップS88で記録されている進行方向情報に基づいて進行方向の信号灯情報の選別を済ませ、ステップS106では、選別された進行方向の信号灯情報をユニット単位でFIFO記録するようにしてもよい。
図13は、本発明の実施の形態に係るドライブレコーダシステムの第3実施例を示すブロック図である。第3実施例は基本的には図1の第1実施例と同様の構成なので、共通する部分には同一の番号を付し、特に必要のない限り説明は省略する。また、図13では、図1におけるよりも詳細に構成が図示されている部分があるが、これらは第1実施例においても備えられているものであり、特に断らない限り、第3実施例のみに備えられている特有の構成ではない。図13では、簡単のため図1の給油/給電スタンド6の図示を省略しているが、第3実施例も同様の構成を持っている。
図13では、車両制御部8の不揮発性バッファメモリ202が図示されているとともに、操作部10のブレーキ204が図示されているが、これらは既に第1、第2実施例において言及してきた構成である。また、表示部16には表示パネル206およびスピーカ208が図示されているが、表示部16の機能に関連してアナウンスによる報知を行ってもよいことは既に説明したとおりであり、スピーカ208はこのようなアナウンスによる報知機能を担うものである。なお、図13では画像処理圧縮部210が図示されているが、これは、図1では車両制御部8が負担していた機能を分担する専用機能部である。従って、第3実施例では、今まで説明してきたフローにおける画像処理および圧縮機能は、車両制御部8と連携して画像処理圧縮部210により実行される。
図13では、さらに、車両機能部12における車両2のランプ関連の構成の詳細が図示されており、ブレーキランプ212および、ウインカ214は既にのべたブレーキ操作またはウインカ操作を行ったときに点灯または点滅するものである。車両機能部12にはさらにヘッドライト216および車幅灯218が図示されている。図13の第3実施例はさらに照度センサ220を備えており、これによって外部の明るさが測定され、夕闇がせまったことや車両がトンネルに入ったことなどが検知される。第3実施例は、このような照度センサ220とドライブレコーダシステムとの連携により、ヘッドライト216や車幅灯218の自動制御を行う機能を備えているものであるが、以下、これについて説明する。
図14は、図13の第3実施例における車両制御部8の機能を示す基本フローチャートである。その内容は、基本的には図9のフローチャートと共通であり、同一のステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。図14のフローが図9のフローと異なる部分は上記のヘッドライト216や車幅灯218の自動制御を行う機能が付加されていることであり、太字で示したステップがそれに該当する。また、ステップS282の電子透かし関連処理/圧縮記録処理は、図9のステップS210からステップS216をまとめて図示したものであり、その内容は図9と共通である。
ステップS282で圧縮記録処理が終了するとステップS284の通常運行関連処理に進む。ここでは、操作部10の操作や車両2への負荷や加速度変化に応じた通常運行に関する処理が行われる。そしてこれらの処理が終了するとステップS286のランプ制御処理に入る。その詳細は後述する。次いでステップS218に進むが、以下の処理は図9と同様である。なお、車両が走行可能状態である限り、ステップS26からステップS4に戻ってフローが繰り返され、その都度ステップS282からステップS286を経由するので、これらのステップでは最新の状況変化に応じた処理が実効される。ランプ制御処理も同様であって、フローの繰返しに伴ってステップS286に至る毎に、その時点の照度センサ220とドライブレコーダシステムの状況変化に即応し、ヘッドライト214や車幅灯216の点灯や消灯についての自動制御が行われる。
図15は、図14のステップS286におけるランプ制御処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS292において、車両2のランプ関連の制御について操作部10によって自動制御設定がされているかどうかチェックする。そして自動制御設定であればステップS294に進み、照度センサ220によって検知される車外の明るさが中照度限界以下かどうかチェックする。中照度限界とは夕刻において、車幅灯218を点灯させたほうが安全上適切であると判断される限界の照度である。ステップSで中照度限界以下であることが検出されるとステップS296に進み車幅灯218を自動点灯させてステップS298に進む。
ステップS298では、照度センサ220によって検知される車外の明るさが低照度限界以下かどうかチェックする。低照度限界とは夜間またはトンネル進入等の状態であって、車幅灯218に加えヘッドライト216も点灯させるべきであると判断される限界の照度である。これに該当すると判断された場合はステップS300に進む。
ステップS300では、車両2が停車中か否かをチェックし、停車中でなければ走行中であることを意味するのでステップS302に進み、直ちにヘッドライト点灯を指示してフローを終了する。上記のように図15のランプ制御処理が終了すると図14のステップS218以下に進み、車両が走行可能状態である限りフローが繰り返されて、その都度ステップS286に至り、図15のフローが再スタートする。従って、短時間の間に図15のフローが繰返し機能し、照度センサ220とドライブレコーダシステムの状況変化に即応し、例えばヘッドライト214を消灯すべき状態にないかどうかや消灯後に再点灯させるべき状態にないかどうかをチェックして自動制御する。次にステップS300以下の機能に基づいてこのような制御を説明する。
ステップS300で停車中であることが検出されるとステップS304に進み、ドライブレコーダ機能において車両近距離通信部24が信号灯情報を取得しているかどうかチェックする。そして取得があればステップS306に進み、その情報を流用するとともにステップS308でドライブレコーダ機能における方位検知部44の情報を流用してステップS310に移行する。ステップS310では、これらの情報の流用により車両進行方向の信号灯の色がわかるのでそれが赤かどうかチェックする。
ステップS310で進行方向の信号灯が赤であることが検知されるとステップS312に進み、ブレーキ204が操作中であるかどうかチェックする。そして操作中であればステップS314に進んでブレーキ操作により車両が停止してから所定時間(例えば2秒)が経過したかどうかチェックする。これに該当すればステップS316に進み、ヘッドライト消灯を指示してフローを終了する。すなわち、進行方向の信号が赤でブレーキを踏んで停車し、2秒程度経過して運転者が交差点でのエチケットとしてヘッドライトを消灯したいと感じたころに自動的にヘッドライトの消灯が指示される。なお、この場合、停車後初めてステップS316に至ったのであれば、以前にステップS302によりヘッドライトが点灯状態にあるので、消灯指示が実行される。これに対し、既にステップS316によってヘッドライト消灯が指示され、その状態が継続していてフローの繰返しにより再びステップS316に至ったのであれば、ヘッドライトの消灯が継続されることになる。
一方、ステップS304で信号灯情報が取得されていないときは、停車中であってもステップS302に進んでヘッドライト点灯が指示される。この場合も、以前にステップS302によりヘッドライトが点灯状態にあればヘッドライトの点灯が継続されることになる。これは、例えば信号灯のないところで車両2が停車したとき少なくともエチケット上はヘッドライトを消灯する必要がないので、運転者の意向に任せて自動消灯は控えることを意味する。一方、以前にステップS316によりヘッドライトが消灯状態にあってステップS304経由でステップS302に至った時はヘッドライトの点灯が実行されるが、これは、何らかの事情により信号灯の情報が得られなくなったときには運行上の安全のためヘッドライトの自動消灯を中止するのが適当だからである。
また、ステップS310で信号灯情報が赤でないときは、停車中であってもステップS302に進んでヘッドライト点灯が指示される。この場合も、以前にステップS302によりヘッドライトが点灯状態にあればヘッドライトの点灯が継続される。これは、車両が停止したとしても信号灯が赤でない場合はヘッドライトを自動消灯するのが不適当だからである。一方、以前にステップS316によりヘッドライトが消灯状態にあってステップS310経由でステップS302に至った時はヘッドライトの点灯が実行されるが、これは、信号が赤から青に変わった場合に該当し、その場合は、運転者のブレーキ操作の如何にかかわらず運行上の安全のためヘッドライトを点灯させることが適当だからである。運転者が信号の変化に気づくのが遅れ、ブレーキ操作を解除しなかった場合でも、信号灯の変化により対向車が発信している可能性があり、ヘッドライトの消灯が継続することは危険だからである。
さらに、ステップS312でブレーキ操作中でなければ、進行方向信号灯が赤であってもステップS302に進んでヘッドライト点灯が指示される。この場合も、以前にステップS302によりヘッドライトが点灯状態にあればヘッドライトの点灯が継続される。これは、信号灯が赤であってもブレーキ操作が行われていなければヘッドライトを自動消灯するのは危険と考えられるからである。一方、以前にステップS316によりヘッドライトが消灯状態にあってステップS312経由でステップS302に至った時はヘッドライトの点灯が実行されるが、これも、進行方向信号が赤であるにもかかわらずブレーキ操作が中止されたときは車両が発信する可能性があり、ヘッドライトを速やかに点灯させることが適当だからである。
ブレーキ操作中であっても、ステップS314でブレーキ操作により車両が停止してから所定時間(例えば2秒)が経過していなければステップS302に進んでヘッドライト点灯が指示される。この場合も、以前にステップS302によりヘッドライトが点灯状態にあればヘッドライトの点灯が継続される。これは、ブレーキ操作があっても、その後間を置かずに信号灯が赤から青に変わる可能性があり、ブレーキ操作直後に間髪を入れずヘッドライトの消灯を指示するのは適当でないからである。上記ステップS312においてブレーキ操作中止直後にステップS302に進んでヘッドライト点灯を指示する場合とは対照的である。なお、以前にステップS316によりヘッドライトが消灯状態にあってステップS314経由でステップS302に至る場合というのは存在しない。
ステップS292において、車両2のランプ関連の制御について操作部10による自動制御設定が検出されなかった時はステップS318に移行し、手動制御処理が行われる。これは手動でランプ関連の点灯または消灯操作があったときこれに応じる処理である。そしてステップS320において、ヘッドライト216の自動消灯モードが設定されているかどうかがチェックされる。自動消灯モードとは手動でヘッドライトを点灯させた場合でも交差点等におけるエチケットのための自動消灯を行うモードである。そしてこのモードが設定されていなければ直ちにフローを終了する。一方、ステップS320において自動消灯モードが設定されていることが検出されたときはステップS322に進み、操作部10がヘッドライト点灯位置にセットされているかどうかチェックする。そして点灯位置にセットされていなければ、直ちにフローを終了する。
これに対し、ステップS322で操作部10がヘッドライト点灯位置にセットされていることが検出された場合はステップS300に移行し、以下、自動制御設定がされている場合と同様の信号灯設置場所における停車時のヘッドライト自動消灯制御が行われる。そして、自動消灯された場合は、再度ステップ292からステップS322を経由してステップS300に戻り、ステップS300以下の条件に従って自動的に点灯状態に復帰する。このように第3実施例では、明るさに応じたヘッドライトの自動制御を行わない場合でも、交差点等におけるエチケットのための自動消灯を行うことができる。
なお、ステップS294において車外の照度が中照度限界以下であることが検出されなかったときは日中の戸外での運行と考えられるので、ステップS324に進んで車幅灯218の消灯を指示し、次いでステップS326でヘッドライト216の消灯を指示してフローを終了する。また、ステップS298において車外の照度が低照度限界以下であることが検出されなかったときはステップS326に移行してヘッドライト216の消灯を指示し、フローを終了する。この場合、ステップS296において指示された車幅灯218の点灯は維持される。なお、以上の場合において、車幅灯218またはヘッドライト216が点灯していた場合は指示に応じて消灯が実行されるが、これらがすでに消灯しているときは、消灯指示に応答してそれら消灯状態が継続される。
図16は、図14のステップS286におけるランプ制御処理の他の例の詳細を示すフローチャートである。図16のフローは太字で示したステップを除き、基本的には図15のフローと共通である。従って同一のステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。図16のフローでは、ステップS300に至って停車中であることが検出されたとき、ヘッドライトを点灯または消灯させる指示を出す処理が図15と異なっているので、この点について説明する。
ステップS300で停車中であることが検出されるとステップS322に進み、ブレーキ204が操作中であるかどうかチェックする。そして操作中であればステップS334に進んでブレーキ操作により車両が停止してから所定時間(例えば2秒)が経過したかどうかチェックする。これに該当すればステップS336に移行して停車中のGPS情報の分析が行われ、次いでステップS94で停車位置にGPSの信号灯位置が抽出されるかどうかチェックする。そして検出があれば信号待ちのために所定時間以上停車していると看做してステップS316に移行し、ヘッドライト消灯を指示する。
一方、ステップS338でGPSによる信号灯位置の抽出ができなかった場合は、ステップS340に進み、不揮発バッファメモリ202にFIFO記録されている停車直線の画像情報を分析し、ステップS342で停車直前の車両位置の進行方向に信号灯の画像が抽出されるかどうかチェックする。そして信号灯画像が抽出されると、運転者がその信号を見て停車し、信号の変わるのを待って所定時間以上停車を続けていると看做してステップS316に移行し、ヘッドライト消灯を指示する。
なお、ステップS332でブレーキ操作中でない場合、または、ブレーキ操作停止後所定時間経過していない場合はステップS302に移行してヘッドライト点灯指示を行う。また、ステップS342で信号灯画像が抽出できなかったときは、停車が信号待ちであることが確認できないのでステップS302に移行し、ヘッドライト点灯指示を行う。
図16のフローも、図14のフローがステップS26からステップS4に戻ることによって繰り返されるが、ステップS316の指示によるヘッドライト消灯状態で再度ステップS332に至り、ブレーキ操作が解除されたことが検出されればステップS302に移行し、ヘッドライトが再点灯する。また、以前ステップS334に至った時は所定時間が経過しておらず、その結果ステップS302の指示によるヘッドライト点灯状態となり、その後再度ステップS334に至ってブレーキ操作停止後所定時間経過が検出されたときはステップS336移行に進み、信号灯の検出があればステップS316の指示によるヘッドライト消灯となることもある。
上記のような図15または図16のランプ制御処理の詳細は車両2の設計思想によりいずれか一方のみを採用することも可能であるが、両者を一台の車両2に備えておき、運転者の判断でいずれか一方を予め選択しておけるように構成してもよい。なお、図15または図16におけるステップS316ではヘッドライトを消灯させる指示が行われているが、本発明の実施はヘッドライトの消灯に限るものではなく、ヘッドライトの減光、または前方の照射を和らげるための照射方向の変更であってもよい。このようなエチケットのためのヘッドライトの消灯、減光および照射方向の変更等について、本発明では「点灯中のヘッドライトの状態変化」と総称するものとする。なお、この場合、図15または図16のステップS302において行われるヘッドライトの「点灯」とは通常走行中のヘッドライトの点灯を意味するものとする。
図17は、図13の第3実施例における操作部10の要部斜視図および機能説明図である。図17(A)は、操作部10における車両2のランプ関連の制御に関する設定操作部を示し、ウインカ操作レバー302はこれを上下させることにより、左または右のウインカを点滅させる。ウインカ操作レバー302の先端には、ランプ制御設定ダイヤル304が設けられており、これを回転させて指標306をOFF位置308、ON(S)位置310、ON(H)位置312およびAUTO位置314のいずれかに合わせることによりランプ制御設定が可能となっている。図17(B)は各位置の機能を示す機能説明図であり、各機能の標準設定の内容とともに機能のカスタム設定が可能なことを示している。カスタム設定は、別に設けられた操作部10の設定ボタンと表示パネル206によるGUIにより変更および選択可能である。
まず、標準設定について説明すると、図17(A)の指標306を、OFF位置308に合わせた場合、ヘッドライト216および車幅灯218が全てオフとなる。また、ON(S)位置310およびON(H)位置312は手動制御位置であり、指標306をON(S)位置310に合わせた場合は、車幅灯218のみがオンとなる。一方、指標306をON(H)位置312に合わせた場合はヘッドライト216および車幅灯218の両者がオンとなる。AUTO位置314は全自動制御位置であり、指標306をAUTO位置314に合わせた時は、図15または図16に示したような車外の明るさに応じたヘッドライト216の自動点灯および自動消灯、ならびに信号灯設置場所における停車/発進時のヘッドライト216の自動消灯および自動再点灯の制御が行われる。この配置により、手動によるON(S)位置310とON(H)位置312の手動切換えはランプ制御設定ダイヤル304の一ステップの回転で可能になるとともに、AUTO位置314への設定のままで信号灯設置場所におけるヘッドライト216の消灯および再点灯の制御が可能となる。
図17(B)のカスタムAは、AUTO位置314において、車外の明るさに応じたヘッドライト216の自動点灯および自動消灯のみが行われる在来の機能設定であり、運転者が望む場合にはこのような設定も可能となっている。ここで、注意すべきは、AUTO位置314がON(H)位置312を挟んでON(S)位置310の反対側に設けられていることである。従って、指標306をAUTO位置314に合わせている状態において信号灯設置場所に至り、手動でヘッドライトを消灯しようとすれば、AUTO位置314からがON(H)位置312を経由してON(S)位置310までランプ制御設定ダイヤル304を二ステップ回転させる必要があり、誤ってOFF位置308まで回しきってしまう恐れもある。また、手動再点灯の際AUTO位置314に戻すにはON(S)位置310からランプ制御設定ダイヤル304を再度二ステップ回転させる必要がある。このため信号灯設置場所で停止したときに手動でこまめにヘッドライトを消灯する習慣のある運転者にとっては、AUTO位置314が利用しにくい設定となる。これに対し、標準設定では、上記のようにAUTO位置314に設定したままで、車外の明るさおよび信号灯に応じたヘッドライト216の自動消灯および自動再点灯の制御が可能となる。
図17(B)のカスタムBは、ON(H)位置312以外の機能は標準設定と同様である。カスタムBにおけるON(H)位置312では、車外の明るさに応じたヘッドライト216の自動制御はせず、基本的に手動のヘッドライトオン機能とする。しかしながら、これに加え、信号灯設置場所における停車/発進時のヘッドライト216の自動消灯および自動再点灯についてはAUTO位置と同様の自動機能とする。従って、何らかの理由により手動でヘッドライト216の消灯および点灯操作をしようとすれば、ON(H)位置312とON(S)位置310の間でランプ制御設定ダイヤル304を一ステップ回転だけ回転させればよく、さらに、信号灯設置場所でのヘッドライト216の消灯および再点灯についてはAUTO位置314に指標306を合わせた場合と同様、操作の必要がないものとなる。これは、図15、または図16のステップS320からステップS322を経由してステップS300に至る機能に該当する。このように、カスタムBでは、点灯が自動的に行われたか手動でおこなわれたかに係らず、信号灯の存在の検出に基づいて通常点灯中のヘッドライトの状態を自動的に変化させる。
図18は、本発明の実施の形態に係るドライブレコーダシステムの第4実施例を示すブロック図である。第4実施例では、特にドライブレコーダに記録される車両2の走行状況と燃費との関係を把握する構成について詳細に説明される。第4実施例は、ブロック構成としては、図1を援用する第2実施例、ならびに図13に示される第3実施例と同様であり、共通する部分には同一の番号を付すとおもに、特に必要のない限り説明は省略する。また、図18では、図13の第3実施例と同様にして、図1におけるよりも詳細に構成が図示されている部分があるが、これらは第1実施例や第2実施例のブロック構成においても備えられているものであり、特に断らない限り、第4実施例のブロックのみに備えられている特有の構成ではない。また、図14では、簡単のため図1の給油/給電スタンド6の図示を省略しているが、第3実施例と同様にして、第4実施例も同様の構成を持っている。
図18の第4実施例では、その機能の説明に必要ないくつかのブロックが図18中に追加されている。まず、操作部10はブレーキ204だけでなく、ハンドル402およびアクセル404が図示されている。さらに、車両の走行情報を検知する検知部として傾斜検知部406が追加されている。この傾斜検知部406は車両2が平地走行中であるか、または登坂中であるか、または下坂中であるかを検知するものであり、その検知結果は燃費に関係する走行情報となる。
車両機能部12のランプ系408は、図13のブレーキランプ212、ウインカ214、ヘッドライト216および車幅灯218をまとめて図示したものであり、その構成は図13と同じである。図18の車両機能部12はさらに、エンジン410へのガソリン噴射状況および速度計46がモニタする走行メカ412の速度から瞬間燃費を算出する瞬間燃費計414を有する。
さらに図18では、信号灯4の制御および信号灯4を介して車両2と通信しているサーバ416が図示されている。サーバ416は、サーバ制御部420の制御に基づいてインターネット422を介し信号機システム通信部42と通信するサーバ通信部424を有する。サーバ制御部420は、信号機4の系統点灯を制御するとともに、既に説明したように信号機4を介して車両2に渋滞情報などを伝達する。さらに、サーバ制御部420は、図1の給油/給電スタンド6のスタンド制御部54(またはこれを読替えたETC6のETC制御部54)と同様にして、信号機4を介して電子透かし処理キー情報や「優良運転者証明」を車両2に伝達することができる。なお、信号機システム通信部42とサーバ通信部424との通信はインターネット422に限るものではなく、専用回線を介して行うことも可能である。
図19は、図18の第4実施例における車両制御部8の機能を示す基本フローチャートである。その内容は、基本的には図14のフローチャートと共通であり、同一のステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。図19のフローが図9のフローと異なる部分は、ドライブレコーダに記録される車両2の走行状況と燃費との関係を示すドライブ解析およびその結果のドライバーへの告知に関する部分であり、太字で示したステップがそれに該当する。
図2、図9、図14と同様にして、イグニションのオンまたは走行準備スイッチのオンによってフローがスタートすると、まずステップS352でドライブレコーダ機能を含む車両機能を初期チェックする。この処理は、図2、図9、図14のステップS2と同様のものであり、チェック結果の表示またはアナウンスによる通知を含む。ステップS352では、さらに車両2の走行状況と燃費との関係を示すドライブ解析の結果の告知処理が行われる。これは、車両2の運転の始業時点においてそれまでに解析が完了して記憶されているドライブ解析結果があればこれを告知するものであるが、その詳細については後述する。ステップS352の処理が終了するとステップS4に進むことは、図2、図9、図14と同様である。
ステップS4においてカメラ26およびマイク28からの情報に基づく画像と音の記録が行われてステップS354に進む。ステップS354は図2、図9、図14のステップS6と同様にしてその時点におけるGPS部20からのGPS情報、方位検知部44からの進行方向情報、時計18からの時刻情報および操作部10よりの操作情報をそれぞれ取得するものであるが、走行情報としては、速度計46からの速度情報の他、加速度検知部30からの加速度(カーブ走行時や方向転換時の角加速度も含む)および傾斜検知部406からの車両2の傾斜情報も取得する。さらにステップS354では瞬間燃費計414からの燃費情報も取得する。
次いで、ステップS356では、ステップS354で取得された各種の情報に基づく車両2の走行状況と燃費との関係を解析するためのドライブ解析処理を行ってステップS8に移行する。ステップS356の詳細は後述する。図19では、図14と同様のステップS10とステップS210の間にステップS358およびステップS360が挿入されている。ステップS358は、ステップS354で得られた各種の情報にステップS10で得られた信号灯情報を加味して車両2の走行状況と燃費との関係を解析するためのドライブ解析処理を行う。その詳細はステップS356と一括して後述する。また、ステップS360は、車両外からの情報受信およびステップS354およびステップS10で得られた各種の情報(必要に応じてステップS358における解析結果)の車両外への送信を行うための情報交信処理である。ここにステップS358およびステップS360が置かれている理由は、これらの機能をステップS8における信号灯情報着信によってトリガーし、信号灯4を介してサーバ416と通信するためである。
図19では、図14と同様にして、ステップS284の通常運行関係処理が終わるとステップS362のランプ制御処理に入る。図19のステップS362では、さらにここで解析告知処理を行う。これは、ランプ制御処理において停車時にヘッドライトを消灯する際、ドライブ解析結果があればこれを告知するためであるが、その詳細についてはステップS352の解析告知処理の詳細とも関連させて後述する。運転開始後のドライブ解析結果の告知は車両走行中にこれを行うと煩わしいばかりか危険ですらあるので、このように信号待ち中など運転に支障のないタイミングを図って実行する。
図19におけるステップS220は、図14と同様の情報交換処理であるが、図14で述べた情報交換の他、ステップS354およびステップS10で得られた各種の情報(および必要に応じてステップS356またはステップS358における解析結果)のサーバ416への送信を行う。図19においてここにステップS220が存在する意義は、ステップS354およびステップS10で得られた各種の情報(および必要に応じてドライブ解析結果)の送信をステップS218における通信可能状態検知によってトリガーし、信号灯4以外の手段によってもサーバ416との通信を行えることである。
図19に図示されているステップS364は、図14におけるステップS26からステップS30の各ステップでチェックしている内容を簡単のため「停止条件」としてまとめたものであり、チェックしている内容は図14と全く同じである。図14と同様にして走行可能状態でなく(ステップS26のチェックに該当)、かつ動体検知もなく(ステップS28のチェックに該当)、かつ所定時間無検知が継続すると停止条件に該当することとなり、ステップS366に移行する。ステップS366は、図14のステップS32と同様、動画/音記録および諸情報取得を停止するものであるが、ステップS366ではさらにドライブ解析結果があればこれを告知するものである。これは、車両を停止して運転を終了する際においてドライバーへの告知を行うためのものであるが、その詳細は、ステップS352の詳細説明に関連して後述する。ステップS366の処理が終わると図19のフローは終了する。
図20は、図19のステップS356およびステップS358におけるドライブ解析処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートするとステップS372で前回の評価確定後、評価単位となる走行距離(例えば5キロ)に達しているかどうかをチェックする。そして評価単位走行距離に達していればステップS374に進み、現在の評価ファイルを確定する。評価ファイルとは、図19のステップS354およびステップS10で得られる諸情報および図20のステップS378で更新されるデータを評価単位走行距離分蓄積したものである。さらに、ステップS376で次の単位評価走行距離用の新評価ファイルを作成してステップS378に移行する。一方、ステップS372で評価単位走行距離に到達していなければ直接ステップS378に移行する。このようにして、ステップS372で評価単位走行距離到達が検出されるとステップS378以下のデータの更新は新評価ファイルに対して行われるとともに、ステップS372で評価単位走行距離到達が検出されない場合は、ステップS378以下のデータの更新は現評価ファイルに対して行われることになる。
ステップS378では、評価ファイルに蓄積されている燃費計情報にステップS354で新たに得られた燃費計情報を加味して平均燃費を計算し直し、評価ファイルの平均燃費データを更新する。ついでステップS380では、平地を定速走行中以外の状態における燃費データを評価ファイルから抽出する。これは、平地定速度走行状態の燃費は比較的ドライブテクニックに影響されないのでそれ以外の走行状態における燃費データを抽出して分析するためである。そして、次のステップS382において、まず抽出した燃費データ中に新規に取得された発進時の燃費データがあるかどうかチェックする。
ステップS382で新規発進燃費データが検出されないときはステップS384に進み、ステップS380で抽出した燃費データ中に新規に取得された平地加速時の燃費データがあるかどうかチェックする。ステップS384で新規平地加速燃費データが検出されないときはステップS386に進み、ステップS380で抽出した燃費データ中に新規に取得された登坂中の燃費データがあるかどうかチェックする。登坂中かどうかは図18の傾斜検知部406からの情報により判断される。ステップS386で新規登坂燃費データが検出されないときはステップS388に進み、ステップS380で抽出した燃費データ中に新規に取得された平地減速時の燃費データがあるかどうかチェックする。ステップS388で新規平地原則燃費データが検出されないときはステップS390に進み、ステップS380で抽出した燃費データ中に新規に取得された下坂中の燃費データがあるかどうかチェックする。下坂中かどうかについても、図18の傾斜検知部406からの情報により判断される。
ステップS390で新規下坂中の燃費データが新規取得燃費データ中にあることが検出された場合はステップS392に進み、エンジンブレーキ状態発生データを下坂中の燃費データと関連付けて更新する。次いでステップS392では、ブレーキ操作データを下坂中の燃費データと関連付けて更新し、ステップS396に移行する。なお、ステップS392およびステップS394は該当するデータが発生するものと看做して設けられているが、該当するデータがなければ結果的に直接ステップS396に移行することになる。
一方、ステップS382で発進時の新規燃費データがあることが検出されたとき、またはステップS384で平地加速中の新規燃費データあることが検出された時、またはステップS386で登坂中の新規燃費データがあることが検出された時はいずれもステップS398に移行し、アクセル操作データをそれぞれ対応する燃費データと関連付けて更新してステップS396に移行する。また、ステップS388で平地減速中の新規燃費データがあることが検出されたときは、ステップS394に進み、ブレーキ操作データを平地減速中の燃費データと関連付けて更新してステップS396に移行する。さらに、ステップS390で下坂中の燃費データが新規取得燃費データ中にあることが検出されない場合は直接ステップS396に移行する。
ステップS396では、ステップS380で抽出した燃費データ中に新規に取得されたカーブ走行は方向転換による角加速度発生中の燃費データがあるかどうかチェックする。各加速度の発生は加速度検知部30により検知される。ステップS396で角加速度発生中の新規燃費データがあることが検出されたときは、ステップS400に進み、ハンドル操作データを角加速度発生中の燃費データと関連付けて更新してステップS402に移行する。一方、ステップS396で角加速度発生中の燃費データが新規取得燃費データ中にあることが検出されない場合は直接ステップS402に移行する。ステップS402では、以上の操作や状況において実際に発生した加速度データをその状況における燃費データと関連付けて更新し、ステップS404に移行する。ステップS404は以上の処理に基づいてドライブ解析データを作成する処理であるがその詳細は後述する。ステップS404のドライブ解析データ作成処理の後、フローは終了する。
図21は、図20のステップS404におけるドライブ解析データ作成処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートするとステップS412で更新平均燃費をドライブ解析データとして上書記憶する。この更新平均燃費は図20のステップS378で得られたものである。次いでステップS414において更新した平均燃費が同車種平均よりも低いかどうかチェックする。この同車種平均燃費は、車両2を含む多数の同車種から集結される燃費データに基づいて図18のサーバ416が算出し車両2にフィードバックされたものである。車両2の平均燃費が同車種平均より低い場合はステップS416に進み、告知のための「燃費低下」を解析データとして上書記憶してステップS418に移行する。一方、車両2の平均燃費が同車種平均を上回る場合は直接ステップS418に移行する。
ステップS418では、図20のステップS374によって新規に確定された評価ファイルがあるかどうかチェックする。これは新規確定評価ファイルに累積された例えば5キロの所定走行距離分の諸情報に基づいて、ステップS418以下のドライブ解析を行う必要があるかどうかを見るためである。ドライブ解析の必要な新規確定評価ファイルがある場合はステップS420に進み、図20のステップS382からステップS390でチェックされるそれぞれの状況およびステップS396でチェックされる角加速度の有無の組合せによって分類される平地定速度走行以外の各状況についての累積燃費データが平均燃費に寄与する率をそれぞれ算出する。これは燃費の低下への寄与が大きい状況の抽出とその状況における運転操作の分析を行うためである。
ステップS420において各状況累積燃費データの平均燃費に対する寄与率が算出されるとステップS422に進み、平地定速度走行以外の各状況の寄与率の合計がサーバに集結している全ての車両のデータによってもとめられた統計による平均を上回っているかどうかチェックする。平地定速度走行以外の各状況の燃費の平均燃費に対する寄与率の合計が大きいということは、全走行状況に占める平地定速度走行の割合がそれだけ少ないことを意味する。従って、寄与率合計が統計平均より大きい時はステップS424に進み、告知のための「定速運転奨励」を解析データとして上書記憶してステップS426に移行する。一方、寄与率合計が統計平均より小さい時は、定速運転状況の割合が多いエコ運転であることを意味するので直接ステップS426に移行する。
ステップS426では、各状況についての累積燃費データのうち平均燃費に対する個別の寄与率が所定以上(例えば5%以上)のものがあるかどうかチェックする。これは累積燃費データの寄与率が高い個々の状況につきステップS428以下において個別にドライブ分析を行うためである。ステップS426において該当するものがあれば、まずステップS428でその累積燃費データを個別に抽出する。次いでステップS430に進み、抽出された該当累積燃費が同車種平均より低いかどうかチェックし、該当すればさらにステップS432において、その状況下での該当操作データの適正度が同車種平均より低いかどうかチェックする。そしてこれに該当する場合はステップS434に進み、告知のための「該当操作改善」を解析データとして上書記憶してステップS436に移行する。ここで上書記憶される解析データは、例えば「急ブレーキの回数が標準以上です。早めの判断を心がけましょう。」、「急加速が多く燃費が悪くなっています。」などのアナウンス又は表示データである。一方、ステップS430で該当燃費が同車種平均より良好な場合、または、ステップS432において該当操作データの適正度が同車種平均より良好な場合は、運転者に対する新たな勧告はないので直接ステップS436に移行する。
ステップS436では、今回分析した評価ファイルにおける操作データの適正度が前回分析した評価ファイルよりも向上しているかどうかチェックし、該当すればステップS438で告知のための「該当操作向上賞賛激励」を解析データとして上書記憶してステップS440に移行する。一方、前評価ファイルよりの向上が認められなければ直接ステップS440に移行する。また、ステップS418で新規確定ファイルが検出されない場合は、以後の分析は不要なので直接ステップS440に移行する。ステップS440では、自車の平均燃費がサーバ416にデータをアップしている全車両による絶対燃費ランキングおよびそのうちの同社種内燃費ランキング中においてどこに位置づけられるかの評価を更新し、フローを終了する。
平均燃費のみによるランキングは単位走行距離単位での解析は不要なので、ステップS412において刻々更新される平均燃費の上書記憶に基づいてステップS440におけるランキングの更新も刻々行うことが可能である。これは、ステップS414およびS416を通じて行われる「燃費低下」の解析データ上書記憶についても同様である。なお、ステップS416、S424および434でそれぞれ上書記憶されたドライブ解析データは、後述する種々のタイミングにおいて運転者に告知される。
図22は、図19のステップS352における初期機能チェック処理/解析告知処理の詳細を示すフローチャートである。図22において、フロースタート後のステップS452からステップS462は、図7の初期チェック処理の詳細フローにおける全ステップ(ステップS152からステップS184)と共通である。なお、図22のステップS456における「各部チェック」は、図7におけるステップS154からステップS178までのチェックをまとめて図示したものである。図7ではステップS182の正常アナウンス/表示またはステップS184の異常アナウンスでフローを終了しているが、図22ではステップS460の正常アナウンス/表示またはステップS462の異常アナウンスの後にステップS464からステップS482の解析告知処理が続いている。これらの解析告知処理は、図22では運転開始時点において解析告知を行うために初期機能チェック処理の後に置かれているが、後述のように信号での停車時または運転終了時の告知の際において同様のフローが実行される。
図22における解析告知処理では、図19のステップS360またはステップS220において新たに受信した統計データがあるかどうかが、まずステップS464においてチェックされる。受信がなければステップS466に進み、図21のフローによって新規に上書記憶されたドライブ解析データがあるかどうかチェックされる。そして該当する新規上書記憶ドライブ解析データがあればステップS468に進む。これは、新規受信データはないが図20のフローによって評価ファイルが新規データで更新され、これに基づいてドライブ解析データが新規上書きされている場合に相当する。また、ステップS464で新規受信統計データがあることが検出された場合は、直接ステップS468に進む。これは、評価ファイルの更新の有無にかかわらず、比較相手の統計データが新規に受信されたことによりこれとの比較を通じてドライブ解析データが上書記憶されていると考えられるからである。なお、ステップS466で新規上書記憶ドライブ解析データがない場合は、特に告知すべき新情報はないので直ちにフローを終了する。
ステップS468では、全てのドライブ解析データを呼出す。このとき呼出されるのは新規上書記憶されたものだけでなく記憶されているデータすべてである。出されたドライブ解析データは全てドライバーへの告知を必要とするものである。次いで、ステップS470で呼出されたドライブ解析データのうち所定の告知優先ルール(例えば燃費改善効果順、緊急度順など)に基づいて最優先のドライブ解析データを一つ選択する。そしてステップS472においてそのドライブ解析データについて告知拒否設定がされているかどうかチェックする。告知拒否設定が検知されなければステップS474に進み、告知中止操作が所定回数以上行われているかどうかチェックする。
ステップS474で告知中止操作が所定回数以上行われたことの検知がなければステップS476に進み、選択されたドライブ解析データに基づく告知アナウンスと表示の開始を指示する。そしてステップS478で告知アナウンスが終了したかどうかチェックし、終了していなければ次のステップS480でアナウンスを強制的に自動停止させる信号が入ったかどうかをチェックする。強制停止信号が検知されなければステップS482に進み、告知中止操作がドライバーにより手動で行われたかどうかチェックする。そして告知中止操作の検知がなければフローはステップS478に戻り、以下、これらの検知がない限りステップS478からステップS482を繰り返し、選択されたドライブ解析データに基づく告知アナウンスと表示を継続する。
ステップS482で告知中止操作が検出されるとステップS484に移行し、告知中止操作回数を更新してステップS486に移行し、選択されたドライブ解析データに基づく告知を停止する。ステップS484で更新された告知中止操作回数は次回の告知処理においてステップS474で用いられる。また、ステップS478で告知アナウンスが終了したとき、およびステップS480で強制停止信号が検出されたときはいずれも直接ステップS486に移行し告知を停止する。ステップS480によって検知される強制停止信号は、例えば車両2の発信操作に連動して自動的に発生させられるものであり、ドライバーの走行操作を妨げないための配慮となっている。
ステップS486で告知が停止されるとステップS488に移行する。また、ステップS472で告知拒否設定が検知されたとき、ステップS474で告知中止操作が所定回数以上であることが検知されたときは選択されたドライブ解析データに基づく告知の処理に入ることなく直接ステップS488に移行する。以上のようにして、ドライバーにとって告知が煩わしい場合にこれを行わないための種々の措置が講じられる。ステップS474について補足すると、このステップはステップS482およびステップS484と協同し、所定回数(例えば3回)の告知中止操作が行われると以後同一のドライブ解析データに基づくアナウンスおよび表示が自動的に控えられるようにしている。
ステップS488では、ステップS470によってまだ選択されていないドライブ解析データがあるかどうかチェックする。そして未選択データがあることが検知されるとフローはステップS470に戻り、未選択データの中から次の最優先ドライブ解析データを一つ選択する。以下、上記と同様にしてステップS472からステップS488が実行され、ステップS488で未選択データが検知されなくなるまで順次一つずつドライブ解析データを選択してステップS470からステップS488を実行する。そしてステップS488で未選択データがないことが検知されるとフローを終了する。なお、上記の動作の中で、車両2の発進があり、強制停止信号が発生すると、それ以後の全てのドライブ解析データについては、ステップS476で告知アナウンス/表示を開始する指示が行われてもステップS480からステップS486に進んで直ちに告知停止の指示が出るので、見かけ上、告知が一切行われずにフローが終了する。
図23は、図19のランプ制御処理/解析告知処理の詳細を示すフローチャートである。図23は基本的には図15のランプ制御処理の詳細を示すフローチャートと共通であり、同一のステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。図23のフローが図15のフローと異なる部分は、図23に太字で示したステップである。すなわち第一の相違点は、ステップS314とステップS316の間に解析告知指示を行うステップS492が挿入されていることである。また、第二の相違点は、ステップS300とステップS302の間に、告知中かどうかをチェックするためのステップS494および告知中の場合に強制停止信号を発生するステップS496が挿入されていることである。
図23は、このような構成であるので、ステップS300で停車中であることが検知され、且つステップS304で信号灯情報が取得されてステップS310で進行方向が赤であることが確認され、なおかつステップS312でブレーキ操作が検出されてステップS314でブレーキ操作停止後所定時間経過が確認されたとき、ステップS492で解析告知の指示が行われる。これは、ステップS316においてヘッドライト消灯指示を行うための条件と共通である。このようにして、信号待ちで停止していることが確認され、走行操作に支障がない場合に解析告知処理が行われる。ステップS492で指示された解析告知の具体的なないようは、図22のステップS464からステップS488と同様である。
また、ステップS300で停車中でないことが検知されるとステップS494に進み、解析告知中かどうかのチェックが行われるとともに、告知中であればステップS496に進んで告知を自動的に強制停止するための強制停止信号を発生させてステップS302に以降する。解析告知中でなければステップS494から直接ステップS302に進むので、図15と同様の動作となる。図23のステップS496で発生させられる強制停止信号は、図22のステップS480で検知されるので、ステップS492において開始された解析告知処理はステップS496に応じて強制的に停止させられることになる。このようにして、図23の動作によれば、信号待ち状態に入ったときに告知が開始されるとともに信号が青になって車両2が発進するとき自動的に告知が停止させられる。
図24は、図19のステップS360およびステップS220における情報交信処理の詳細を示すフローチャートである。図24は図11のステップS192からステップS248にさらに機能を付け加えたものである。具体的に言うと、図24のフローがスタートするとステップS502において、車両2とサーバ416との間で車両IDの認証を行い、OKであることを確認してステップS504に進む。これは、図11のステップS192と同様の機能である。また、図24のステップS504は、図11のステップS194からステップS202における処理を電子透かし処理キー更新処理としてまとめたものである。同様に、図24のステップS506は、図11のステップS204からステップS244における処理を圧縮データ送信管理処理としてまとめたものである。さらに、図24のステップS508は図11のステップS246およびステップS248における処理を「優良運転者証明」受信処理としてまとめたものである。
図24は、ステップS508の「優良運転者照明」受信処理の後にさらに処理が続き、ステップS510で未送信の確定評価ファイルの有無をチェックする。そして該当する評価ファイルがあればステップS512に進み、これをサーバ416に送信してステップS514に移行する。また、ステップS512で該当する評価ファイルがなければ直接ステップS514に移行する。ステップS514では、サーバ416から未受信の最新の統計平均データの有無をサーバ416との交信によりチェックする。そして該当する未受信統計平均データがあればステップS516に進み、これをサーバ416から受信してステップS518に移行する。また、ステップS514で該当する統計平均データがなければ直接ステップS518に移行する。
ステップS518では、サーバ416から未受信の絶対燃費ランキングデータの有無をサーバ416との交信によりチェックする。そして該当する未受信の最新の絶対燃費ランキングデータがあればステップS520に進み、これをサーバ416から受信してステップS524に移行する。また、ステップS518で該当する絶対燃費ランキングデータがなければ直接ステップS524に移行する。ステップS524では、サーバ416から未受信の同一車種内燃費ランキングデータの有無をサーバ416との交信によりチェックする。そして該当する未受信の最新の同一車種内燃費ランキングデータがあればステップS526に進み、これをサーバ416から受信してステップS528に移行する。また、ステップS524で該当する同一車種内燃費ランキングデータがなければ直接ステップS528に移行する。
ステップS528では、サーバ416から未受信の車種別平均燃費ランキングデータの有無をサーバ416との交信によりチェックする。そして該当する未受信の最新の車種別平均燃費ランキングデータがあればステップS530に進み、これをサーバ416から受信してステップS532に移行する。また、ステップS528で該当する車種別平均燃費ランキングデータがなければ直接ステップS532に移行する。ここで受信するデータは車両2自体とは直接関係がないが、平均で見た車種別の燃費がわかるので次の車両購入の情報となるとともに単なる好奇心に照らしても興味ある情報となる。
ステップS532では、サーバ416から未受信の解析処理ソフトの有無をサーバ416との交信によりチェックする。そして該当する未受信の解析処理ソフトの最新バージョンがあればステップS534に進み、これをサーバ416から受信するとともに車両制御部8をこの最新バージョンで更新してフローを終了する。また、ステップS532で該当する解析処理ソフトがなければ直ちにフローを終了する。なお、ステップS502において車両IDの認証ができない場合も直ちにフローを終了する。
図25は、図18の第4実施例におけるサーバ制御部420の機能を示す基本フローチャートである。その内容は、車両2との交信およびそのための各種データの準備に関するものなので、今までのべた車両制御部8の機能を示すフローチャートと対応させて理解するのが好ましい。図25のフローはいずれかの車両からアクセスがあるとスタートする。フローがスタートすると、ステップS542において、まずアクセスしてきた車両との交信によりその車両IDの認証を行い、OKであることを確認してステップS544に進む。これは、図24の車両制御部側のフローではステップS502に対応する。
ステップS544では、ステップS542における認証データに基づいてアクセスしてきた車両2の車種を特定する。この車種特定はサーバ制御部420内での統計処理に必要なものである。次いで、ステップS546で、アクセスしてきた車両2に未受信状態にある電子透かし処理キーの新バージョンがあるかどうかを車両2との交信によりチェックする。そして該当する未受信の電子透かし処理キーの最新バージョンがあればステップS548に進み、これを車両2に送信してステップS550に移行する。また、ステップS546で該当する電子透かし処理キーの最新バージョンがなければ直接ステップS550に移行する。
ステップS546では、アクセスしてきた車両2から新規の圧縮データを受信したかどうかチェックする。そして圧縮データを受信していればステップS552に進み、これをサーバ416内に補間してステップS554に移行する。また、ステップS546で圧縮データの受信がなければ直接ステップS554に移行する。ステップS554では、アクセスしてきた車両2に未受信状態にある「優良運転者証明」があるかどうかを車両2との交信によりチェックする。そして該当する未受信の最新「優良運転者証明」があればステップS556に進み、これを車両2に送信してステップS558に移行する。また、ステップS554で該当する「優良運転者証明」がなければ直接ステップS558に移行する。
ステップS558では、アクセスしてきた車両2から新規の確定評価ファイルを受信したかどうかチェックする。そして確定評価ファイルを新規に受信していればステップS560に進み、確定評価ファイルの情報を加味して統計平均データを更新する。さらにステップS562では、確定評価ファイルの情報を加味して絶対燃費ランキングデータを更新する。次いでステップS564では、確定評価ファイルの情報を加味して統計平均データを更新する。またステップS566では、確定評価ファイルの情報を加味して車種別平均燃費ランキングデータを更新する。
以上のような種々のデータの更新を行った後、ステップS568に進み、これらの更新された統計データを含め、車両2に未送信の種々の統計的データがあればこれを車両2に送信してステップS570に至る。なお、ステップS558において確定評価ファイルを新規に受信していなければ直接ステップS570に移行する。ステップS570では、車両2に未送信の解析処理ソフトの新バージョンの有無を車両2との交信によりチェックする。そして該当する未送信の解析処理ソフトの最新バージョンがあればステップS572に進み、これを車両2に送信する。また、ステップS570で該当する未送信の解析処理ソフトの新バージョンがなければ直ちにフローを終了する。なお、ステップS542において車両IDの認証ができない場合も直ちにフローを終了する。
上記の種々の特徴の実施は、上記の実施例に限るものではなく、他の実施態様においても適宜実施可能である。例えば、図21ではステップS420において、平地定速度走行以外の各状況についての累積燃費データが平均燃費に寄与する率をそれぞれ算出し、ステップS422でこれらの寄与率の合計を求めることにより平地定速度走行状態とそれ以外の状態を区分しその比率を求めている。これと同様の結果は、平地定速走行状態についての累積燃費データが平均燃費に寄与する率を算出することで平地定速度走行状態とそれ以外の状態を区分し、その比率を求めることによっても得ることができる。この場合は、ステップS420をステップS426の直前に置くとともに、ステップS420の位置に「平地定速走行状態累積燃費データの対平均燃費寄与率算出」とのステップを置き、ステップS422を「平地定速走行状態寄与率<統計平均?」とのステップに置き換えることになる。
また、上記実施例で「ランキング」と称するものは、社会全体の車の中における自車の位置付けを意味するので、狭義に全何台中の第何位という表現に限るものではない。例えば、燃費のランキングの場合、燃費を10のランクに分け、自社がどのランクに位置するかの表現をとってもよい。また、社会全体の車の燃費分布を表示し、自車がこの分布のどこに位置するのかを示す表現をとってもよい。