JP5605190B2 - 駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置 - Google Patents

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本発明は、駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置、特に、駐車ブレーキの制御技術に関する。
従来、ブレーキペダルの踏み操作により液圧マスタシリンダに発生した液圧やアキュムレータに蓄圧された液圧を各車輪のホイールシリンダに供給することにより常用制動力を発生させる液圧式作動機構を含む液圧式ディスクブレーキが知られている。この液圧式ディスクブレーキは、車輪と共に回転するディスクロータに液圧により推進するピストンを介して摩擦パッドを押圧して常用制動力を発生させている。また、電気モータによりナット等の押圧部材を移動させることによりホイールシリンダのピストンに推力を与えて、同様に摩擦パッドをディスクロータに押圧させて常用制動力を発生させる機械式作動機構を含む電気式ディスクブレーキが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、電気式ディスクブレーキを駐車ブレーキとして利用すると共に、この電気式ディスクブレーキと液圧式ディスクブレーキとを組み合わせたパーキングブレーキ付きのディスクブレーキが知られている(例えば、特許文献2参照)。このディスクブレーキにおいては、液圧式作動機構によって推進するピストンを機械式作動機構によっても推進可能に構成している。
ところで、液圧式ディスクブレーキの液圧経路に気泡が混入してしまう場合がある。例えば、液圧マスタシリンダや液圧アクチュエータの交換や修理を行った場合やホイールシリンダを含むキャリパの交換や修理を行った場合に気泡が作動液に混入することがある。液圧経路内に気泡が存在する場合、液圧ロスが生じてブレーキフィーリングが損なわれる場合がある。このような場合は、液圧経路内の作動液を加圧することにより気泡をホイールシリンダ内に移動させた後、ホイールシリンダの上部、すなわちキャリパの上部に設けられたブリーダバルブから気泡の混じった作動液を排出することにより液圧経路内の気泡の排除を行っていた。
特開2004−251336号公報 特開2008−064314号公報
ブリーダバルブから気泡の混じった作動液を抜き取る場合、気泡がホイールシリンダの内壁面等に付着し難いようにホイールシリンダの内部は凹凸が少ない構造にすることが望ましい。しかし、上述したような電気式ディスクブレーキと液圧式ディスクブレーキとを組み合わせた構造の場合、作動液が満たされるホイールシリンダの内部に駐車制動力を発生させる時にピストンを押圧するナットを含むねじ機構が存在することがある。ナットによりピストンを推進させるためにはナットのピストン側の端面が電気モータによって回転するねじ部材の端面より突出した状態で使用されることになる。その結果、ねじ部材のねじ山と螺合しないナットのねじ山部分が生じて、そのねじ山部分に気泡が溜まることがある。特にねじ山の間に溜まった気泡は作動液の加圧による衝撃力を付与してもそこから離脱させ難い。つまり、気泡がブリーダバルブの位置まで移動せずにブリーダバルブからの気泡排除が容易にできないという問題があった。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ホイールシリンダ内部、特にねじ機構に残留した気泡を排除することができる駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置は、ホイールシリンダ内に配置されたピストンを作動液の供給により推進させて摩擦部材を車輪と共に回転するディスクロータに押圧することにより常用制動力を発生させる常用制動部と、前記ピストンをねじ機構によりナット部材を推進させて前記摩擦部材を前記ディスクロータに押圧することにより駐車制動力を発生させる駐車制動部とを含むディスクブレーキ機構と、前記駐車制動部の駆動を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記駐車制動部により前記駐車制動力を発生させる通常制動モードと、前記駐車制動部に残留する気泡を排除する気泡排除モードと、を切替制御可能であり、前記通常制動モードにおいては、前記ねじ機構の前記ディスクロータ側端部が前記ナット部材のディスクロータ側端部から突出しないように前記ねじ機構を制御し、前記気泡排除モードにおいては、前記ねじ機構の前記ディスクロータ側端部が前記ナット部材の前記ディスクロータ側端部から突出するように前記ねじ機構を制御する。
この態様によると、気泡排気モードでは、ねじ機構のディスクロータ側端部がナット部材のディスクロータ側端部から突出することにより、ナット部材のねじ山は全てねじ機構のねじ山と螺合することになる。つまり、ナット部材のねじ山に気泡が残留していた場合、その気泡は螺合によってナット部材の外部に押し出されホイールシリンダの上方部分に移動しやすくなる。その結果、ブリーダバルブからの気泡排出を容易に行うことができる。また、ナット部材やねじ機構にグリス等の粘性体が塗布され、その中に気泡が残留していた場合でも、螺合によってその気泡が潰され、同様にそこから排除することができる。
前記制御部は、前記気泡排除モードにおいて前記ナット部材が所定回数進退するように前記ねじ機構を制御してもよい。ナット部材が所定回数、好ましくは複数回進退移動することにより、ねじ山部分に残留していた気泡の確実性を向上することができる。
前記ナット部材がディスクロータ側から離間する方向に移動するときに当接する当接部を有してもよい。前記制御部は、前記気泡排除モードにおいて前記ナット部材が前記当接部に最初に当接した以降は前記ナット部材が前記当接部と当接しない範囲で所定回数進退するように前記ねじ機構を制御してもよい。当接部はホイールシリンダにおいて、ディスクロータが存在する側とは逆側の端面としてもよいし、ホイールシリンダの内壁面の一部やねじ機構の一部に設けてもよい。ナット部材は、当接部に一度当接した以降は、当接部と当接しないディスクロータ側の範囲で所定回数進退する。その結果、当接部への複数回の接触が防止され、ねじ機構の駆動源への負荷が低減できると共に、接触音が繰り返し生じることを抑制できる。また、当接部への当接によりナット部材の進退移動の基準位置を定めることができるので、別途専用のセンサを設けることなくナット部材の位置検出が可能となりコスト低減に寄与できる。
前記制御部は、前記気泡排除モードにおいて前記ナット部材を前記ディスクロータから離間する方向に移動させるときの前記ねじ機構を駆動する駆動電流値の変化が所定態様となった場合、前記ナット部材が前記当接部と当接しない範囲で進退駆動するように前記ねじ機構を制御してもよい。ナット部材が当接部に接触すると駆動源のトルクが高まり駆動電流値が高まる。その変化に基づきナット部材と当接部との当接を容易に検出できる。なお、ナット部材が静止状態から動き出す場合にもトルクが高まる。すなわち駆動電流値が高くなるが、この場合とナット部材の当接とを識別できるように当接時の駆動電流値の変動パターンを予め試験等により取得しておくことが望ましい。
前記制御部は、前記気泡排除モードにおいて前記ナット部材を前記ディスクロータから離間する方向に移動させる場合、前記ナット部材を間欠駆動により移動させるように前記ねじ機構を制御してもよい。この態様によれば、高速でナット部材が当接部に接触することが抑制可能となり、接触時の部材同士の噛み込みを抑制できる。なお、間欠駆動は、離間する方向へのナット部材の移動の最初の段階から行ってもよいし、最初に所定量連続移動させた後、途中から間欠駆動に切り替えるようにしてもよい。この場合、ナット部材を進退作動させるまでの時間を短縮できて、気泡排除作業を迅速にできる。
本発明によれば、ホイールシリンダ内部、特にねじ機構に残留した気泡を排除することが可能になり、ホイールシリンダに残留する気泡を容易に排出できる駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置が提供できる。
実施の形態に係る駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置を備える車両の概略構成を説明する説明図である。 実施の形態に係る駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置のキャリパの内部構造を説明する概略構造図である。 実施の形態に係る駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置の駐車制動部の通常制御モードにおけるナット部材の移動状態を説明する説明図である。 実施の形態に係る駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置の駐車制動部の気泡排除モードにおけるナット部材の移動状態を説明する説明図である。 実施の形態に係る駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置の気泡排除モードにおける制御信号と駆動電流値の推移を説明する説明図である。 実施の形態に係る駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置の気泡排除モードにおいてナット部材が当接部に当接するまでの制御信号と駆動電流値の推移の他の例を説明する説明図である。 実施の形態に係る駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置の気泡排除モードを用いてパッド交換が可能であることを説明する説明図である。 実施の形態に係る駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置の制御切り替えを説明するフローチャートである。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態(以下、実施形態という)にかかる駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置を備える車両10の全体構成を示す図である。
車両10は、車体12の右前に設けられた右前輪14a、車体12の左前に設けられた左前輪14b、車体12の右後ろに設けられた右後輪14c、および車体12の左後ろに設けられた左後輪14d(以下、総称する場合は「車輪14」という)を備える。なお、右前輪14aおよび左前輪14bを総称して「前輪14a、14b」と呼び、右後輪14cおよび左後輪14dを総称して「後輪14c、14d」と呼ぶ。各車輪14は、タイヤ、ホイールおよびディスクロータを含んで構成される。また、制動力を発生させるブレーキ装置20a、ブレーキ装置20b、ブレーキ装置20c、およびブレーキ装置20d(以下、総称する場合は「ブレーキ装置20」という)は、それぞれ右前輪14a、左前輪14b、右後輪14c、および左後輪14dに設けられる。
本実施形態の場合、ブレーキ装置20は、前輪用と後輪用とで異なる構成を有する。具体的には、前輪用のブレーキ装置20a、20bは液圧により主として車両10を減速または停止させるための常用制動力を発生させる常用制動部を備えるディスクブレーキ機構で構成される。一方、後輪用のブレーキ装置20c、20dは、常用制動部に加えて主として車両10の停止状態を維持するための駐車制動力を発生させる駐車制動部を備える複合型のディスクブレーキ機構で構成される。つまり、図1は、駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置が後輪のみに搭載される。なお、他の実施例においては、前輪用及び後輪用のブレーキ装置20として駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置を採用してもよい。
本実施形態において搭載された駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置は、ディスクブレーキ機構と、常用制動部用及び駐車制動部用の制御部として機能するECU(電子制御装置)100とで構成される。ディスクブレーキ機構は、摩擦部材として機能するブレーキパッド、ホイールシリンダ、ピストン等で構成されるキャリパを含む。また、ピストンを液圧で推進させるための常用制動部、ピストンをナット部材で推進させる駐車制動部で構成される。なお、前輪に搭載されるディスクブレーキ装置のディスクブレーキ機構はキャリパと常用制動部を含み、後輪用のディスクブレーキ装置を制御するECU100によって制御される。なお、以下の説明において、ECU100は後輪の駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置を制御する場合を主として説明し、前輪のディスクブレーキ装置の制御については、駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置の常用制動力の発生制御と同じなのでその説明を省略する。
ECU100には、常用制動力の発生を制御する液圧ブレーキアクチュエータ28と駐車制動力の発生を制御する電動モータ30が接続されている。電動モータ30は、電動ブレーキアクチュエータとして機能する。常用制動力及び駐車制動力の発生メカニズムは後述する。なお、ECU100は、駐車制動部により駐車制動力を発生させる通常制動モードと、駐車制動部に残留する気泡を排除する気泡排除モードと、を切替制御することができる。通常制動モードと気泡排除モードの詳細は後述する。ECU100には、電動駐車ブレーキスイッチ18、センサ類32、イグニッションスイッチ34、ディスプレイ36およびブレーキ装置20の制御モードを切り替える診断ツール38を接続することのできるコネクタ等が接続されている。
ECU100は、CPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、マイクロコンピュータによる演算を行う演算ユニット、各種の処理プログラムを記憶するROM、一時的にデータやプログラムを記憶してデータ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、データを記憶する記憶装置、および各種信号の送受信を行うための入出力ポート等を有する。このECU100は、センサ類32、イグニッションスイッチ34、あるいは他の電子機器類などから送られてくるデータに基づいて、液圧ブレーキアクチュエータ28、電動モータ30、ディスプレイ36、あるいは図示しない他の車両機器類を制御する。
電動駐車ブレーキスイッチ18は、運転者等が駐車ブレーキの作動や解除を指示するスイッチであり、運転者等によって操作可能な運転席周囲の位置に配置され、入力された駐車ブレーキのON/OFFに関する信号をECU100に供給する。なお、電動駐車ブレーキスイッチ18は、駐車制動部を気泡排除モードで動作させるときのトリガを出力するスイッチとしても機能する。
センサ類32は、各種の状態量を検出して検出結果をECU100に送信するセンサ類全般を含むものである。本実施形態のセンサ類32は、シフトセレクトスイッチの状態を検出するシフト位置センサ、車両10の周辺の状態を検出する周囲状態検出センサ、車両10の車速を検出する車速センサ等を含む。
イグニッションスイッチ34は、イグニッションのONまたはOFFを検出し、ECU100にイグニッションのON/OFFに関する信号を供給する。ディスプレイ36は、ECU100から供給された情報を運転者に表示する。例えば、ブレーキ装置20の気泡排除モードや後述するパッド交換モード等の作動状態やパッド交換の手順を表示することができる。なお、ディスプレイ36に代えて、スピーカを設けて同様な情報を運転者等に提供してもよい。イグニッションスイッチ34がONされると、本実施形態に係るECU100が起動するものとしてもよい。また、ECU100は、イグニッションスイッチ34の状態に拘わらず、電動駐車ブレーキスイッチ18の操作時やブレーキペダルの操作時に起動するものとしてもよい。
診断ツール38は、例えばハンディタイプの端末装置で、ECU100に接続されたメンテナンスツール接続用のコネクタに接続することにより、メンテナンスを実行するための信号を入力できる。本実施形態の場合、診断ツール38は、駐車制動部の電動モータ30を駐車制動力を発生させる通常制御モードで動作させるか気泡排除モードで動作させるかを決定するモード切替信号を出力する。また、本実施形態の診断ツール38は、電動モータ30を用いて摩擦パッドの交換作業を容易にするためのパッド交換モードへ切り替えるモード切替信号も出力するように構成されている。
図2は、実施形態に係る駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置のキャリパの内部構造を説明する概略構造図である。なお、後輪14c、14dのブレーキ装置20c、20dのキャリパ200の基本的構造は同じである。
本実施形態のキャリパ200は、キャリパ自身を車体側に固定するための車体固定マウント(不図示)に取り付けられ、ディスクロータ206に押圧され制動力を発生するブレーキパッド202と、ブレーキパッド202を押圧するために押圧手段として機能するシリンダ部204とで構成されている。車輪と共に回転するディスクロータ206は図2に示すように、一対のブレーキパッド202の間に存在する。ディスクロータ206の側面206a、206bは摩擦摺動面を構成し、一対のブレーキパッド202がディスクロータ206を挟んで対向配置される。このブレーキパッド202は、ディスクロータ206の側面206a、206bと直接接触する摩擦材208と、この摩擦材208の裏側、すなわちディスクロータ206と接触しない側を支持するパッド裏金210によって構成されている。
キャリパ200は、図2において左右方向に変位可能に車体固定マウントを介して車体側に取り付けられている。キャリパ200のシリンダ部204には、有底の穴212が穿設されており、この穴212には、ピストン214が摺動可能に嵌挿されている。穴212の底にはポート216が設けられ、液圧配管218を介してマスターシリンダ等の液圧源(不図示)側に接続されている。運転者がブレーキペダルを操作すると液圧源から作動液であるブレーキフルードがポート216内に流入し、ピストン214を駆動するようになっている。
ここで、まずキャリパ200が常用制動力を発生させる常用制動部として機能する場合を説明する。ブレーキフルードがポート216内に流入すると、ピストン214が図2に示す非動作状態から矢印M方向、すなわちピストン214がパッド裏金210aを押圧する方向に摺動し、パッド裏金210aを介して摩擦材208aをディスクロータ206の側面206aに押圧する。摩擦材208aがディスクロータ206に押圧されると、ピストン214は摺動を停止する。ピストン214が摺動を停止した後も、ブレーキフルードがポート216内に流入すれば穴212内の液圧がさらに上昇する。その結果、液圧はシリンダ部204を構成するシリンダハウジング204aを矢印N方向に押圧する。その結果、液圧の上昇に伴って、シリンダハウジング204aが矢印N方向に変位する。
シリンダハウジング204aの非シリンダ形成側には爪部220が形成されており、シリンダハウジング204aの矢印N方向への変位に伴って、爪部220がパッド裏金210bを介して摩擦材208bをディスクロータ206の側面206bに押圧する。したがって、ディスクロータ206を一対の摩擦材208a,208bにより押圧挟持する状態となり、ディスクロータ206を効率的に制動させる常用制動力を発生することが可能となる。なお、ここまでの説明は、ブレーキ装置20a、20bにも共通する。
次に、キャリパ200が駐車制動部として機能する場合の構成を説明する。ピストン214は、図2に示すように断面形状が例えばカップ状に形成され、そのカップ内部にナット部材222が配置されている。このナット部材222は、ねじ機構224を構成する棒ねじ部材224aと螺合しており棒ねじ部材224aの回転により、矢印M,N方向に移動可能になっている。棒ねじ部材224aの一端は、シリンダ部204の穴212の底部から突出してシリンダハウジング204a内に配置された減速ギア224bと接合されている。減速ギア224bは、電動モータ30の出力軸に固定された駆動ギア224cと噛合している。従って、電動モータ30が回転駆動された場合、電動モータ30の回転速度は、駆動ギア224c、減速ギア224b、棒ねじ部材224a、ナット部材222のギア比で定まる減速比で減速される。そして、ナット部材222を棒ねじ部材224aの軸方向に電動モータ30の駆動に応じた速度及び移動量で進退させることができる。なお、棒ねじ部材224aが穴212の底部から導出されている部分には、適切なシール構造が設けられ、シリンダ部204内部のブレーキフルードが漏れ出さないような構造になっている。同様に、シリンダ部204とピストン214との間にはもリング状のシール部材226が配置され、ブレーキフルードが漏れ出さないような構造になっている。シール部材226は、ピストン214に対するブレーキフルードやナット部材222による押圧力が解除された場合に、ピストン214を矢印N方向に押し戻す付勢力を発生する機能も有している。ピストン214がシール部材226によって矢印N方向に押し戻されることにより、ディスクロータ206が回転を始めた場合に、その回転力によりピストン214の拘束のないブレーキパッド202を側面206a、206bから容易に離反させて、回転時のブレーキパッド202の引き摺りを抑制している。
図3(a)、図3(b)は駐車制動部のナット部材222の移動状態を説明する説明図である。なお、図3(a)、図3(b)は、ナット部材222の移動状態を説明するために駐車制動部を構成する主要部材のみを簡略的に示す説明図である。
図3(a)は、ナット部材222が通常制御モードにおいて駐車制動力を発生させている状態を示している。
運転者が電動駐車ブレーキスイッチ18を操作して駐車ブレーキをONした場合、ECU100は電動モータ30を例えば正転方向に回転駆動する。電動モータ30の回転駆動は、各ギアの減速比で定まる速度とトルクでナット部材222を推進してピストン214を矢印Mで示す押圧方向に移動させる。その結果、ピストン214は摩擦材208aのパッド裏金210aをブレーキフルードで押圧されたときと同じように押圧する。また、ナット部材222による押圧を継続させることでシリンダハウジング204aを矢印N方向に移動させ、爪部220(図2参照)がパッド裏金210bを介して摩擦材208bを押圧して、ディスクロータ206に対して制動力を発生する。つまり、ナット部材222及びねじ機構224の協働により駐車制動力が発生できる。ECU100は、ナット部材222の押圧により電動モータ30の駆動電流値が所定の閾値を超えた場合に、十分な駐車制動力が発生できたと見なし、駆動電流の供給を停止する。電動モータ30は駆動電流の供給が停止した後も停止時の状態を維持するので、ナット部材222も停止位置を維持し、駐車制動力の発生を維持する。
図3(b)は、通常制御モードにおいてナット部材222が駐車制動力を解除している状態を示している。
運転者が電動駐車ブレーキスイッチ18を操作して駐車ブレーキをOFFした場合、ECU100は、電動モータ30を駐車制動力を発生させた場合と逆転方向に回転駆動する。ナット部材222はピストン214の押圧方向とは逆の離反方向に移動させられる。その結果、ディスクロータ206の拘束は解除され、ディスクロータ206が回転可能な状態である非駐車制動状態となる。なお、図3(b)に示すように、通常制御モードの場合、ナット部材222の矢印N方向への移動は、ピストン214がブレーキパッド202のパッド裏金210aから離間した後、ブレーキパッド202がディスクロータ206に引き摺られることなく回転できる程度の最小限のリリース設定値Aだけ移動するようにしている。このようにリリース設定値Aを最小限の値とすることで、次回電動駐車ブレーキスイッチ18が操作され、駐車ブレーキをONする場合、ナット部材222の少ない移動距離で駐車制動力が発生できるので、迅速な制御ができると共に、電動モータ30による電力消費を最小限にすることができる。
図4(a)〜図4(c)は、本実施形態の駐車制動部の気泡排除モードにおけるナット部材222の移動状態を説明する説明図である。
上述したように、ナット部材222はねじ機構224によりピストン214の押圧方向に推進することによりブレーキパッド202のパッド裏金210aを介して摩擦材208aをディスクロータ206に押しつける。ところで、摩擦材208aは、制動回数に応じて摩耗して押圧方向の厚みが薄くなる。従って、通常制御モードにおいて迅速に駐車制動力を発生させるためには、摩耗量に応じてナット部材222の停止位置もディスクロータ206側にシフトするようにECU100はナット部材222の位置を管理する。従って、通常制動モードにおいては、ねじ機構224の棒ねじ部材224aのディスクロータ206側端部がナット部材222のディスクロータ206側端部から突出しないようにねじ機構224が制御される。その結果、図4(a)に示すように、ナット部材222のねじ部と棒ねじ部材224aのねじ部が螺合していない非螺合部分Pが形成されることになる。キャリパ200、液圧ブレーキアクチュエータ28、マスターシリンダ等の液圧経路へブレーキフルードを注入は真空充填で実施されるので、基本的には液圧経路内に空気の混入はない。しかし、液圧経路を構成する部品の交換やメンテナンス時に液圧経路内に空気が混入してしまう可能性はある。液圧経路内に空気(気泡)が存在すると、気泡部分で液圧ロスが生じてブレーキフィーリングが低下してしまう場合がある。キャリパ200内に混入した空気は前述したようにブリーダバルブから排出することができる。しかし、キャリパ200内にナット部材222が存在する場合、図4(a)の部分拡大図で示すように、ナット部材222の内周面側に形成されたねじ山に気泡Qが溜まってしまう場合がある。ねじ山のような狭域部に気泡Q溜まった場合、通常ブリーダバルブからの気泡排出時に行うようなブレーキフルードの流動や加圧衝撃等ではナット部材222から気泡Qを離脱させられない場合があった。
そこで、本実施形態では、駐車制動部を気泡排除モードで作動させることにより気泡Qをナット部材222から排除する。図4(b)は、本実施形態の駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置における気泡排除モード時のナット部材222の移動状態を示している。駐車制動力を発生する通常制御モードから気泡をナット部材222から排出する気泡排除モードへの切り替えは、例えば電動駐車ブレーキスイッチ18の特定操作によって行うことができる。例えば、電動駐車ブレーキスイッチ18のOFF側を5秒以上長押しすることにより切り替えることができる。また、通常制御モードに復帰させる場合は、例えば電動駐車ブレーキスイッチ18のON側を5秒以上長押しすることにより行うことができる。なお、通常制御モードへの復帰は、例えば、気泡排除モードへの切り替えが行われたあと、5分で自動的に実行されるようにしてもよい。この場合、気泡排除モードのまま放置されることが防止できる。また、ECU100はモード状態をディスプレイ36等を用いて作業者に通知するようにしてもよい。この場合、作業者はモード状態の把握が容易になる。また、診断ツール38をECU100のコネクタに接続して、診断ツール38のモード切替スイッチを操作することによっても切り替えられる。この場合、診断ツール38上のディスプレイにモード状態等を表示してもよい。
気泡排除モードにおいて、ECU100は、ねじ機構224の棒ねじ部材224aのディスクロータ206側端部がナット部材222のディスクロータ206側端部から突出するようにねじ機構224を制御する。つまり、ナット部材222のねじ部と棒ねじ部材224aのねじ部とが完全に螺合するようになる。ねじ部の螺合によりナット部材222のねじ山に付着したいて気泡Qはナット部材222の端面から排出され、ピストン214側へ抜け、さらにシリンダ部204の上方のブリーダバルブの方へ移動可能となる。この状態になれば、従来のブリーダバルブを用いた気泡の排除作業と同様に、気泡を含むブレーキフルードをブリーダバルブから排出することにより気泡Qの排除が容易にできる。
図4(b)の場合、ナット部材222をシリンダ部204の穴212の底まで移動させている例を示している。この場合、シリンダ部204の穴212の底をナット部材222がディスクロータ206側から離間する方向に移動するときに当接する当接部228として機能させている。このように、当接部228を設けることにより、気泡排除モードにおけるナット部材222の作動基準位置を定めることができる。つまり、ナット部材222が当接部228に当接する位置まで移動することで、確実に気泡Qの排出動作ができたことが保証できる。なお、この場合、ナット部材222を矢印N方向に移動させるための電動モータ30の制御を正確に行う必要はない。例えば、ナット部材222が穴212の底に当接したことにより、例えば電動モータ30の駆動電流値の変化が所定態様になった場合に、当接したと見なして電動モータ30の駆動を停止するようにできる。この場合、電動モータ30を含むねじ機構224やナット部材222にナット部材222の位置を検出するためのセンサを設ける必要がなく、部品点数やコスト削減に寄与できる。当接部228は、穴212の底としてもよいし、穴212の底やその周辺にナット部材222が当接する突起部を別途設けて当接部228としてもよい。また、棒ねじ部材224aの一部に当接部228を設けてもよい。
別の実施例では、ナット部材222を穴212の底に当接するまで移動させなくてもよい。前述したように、ナット部材222のねじ部の全体が棒ねじ部材224aのねじ部と螺合すれば気泡Qの排出は達成できる。この場合、ナット部材222を所定位置で停止させるために、ナット部材222の位置や電動モータ30の回転状態を検出するセンサを設けてもよい。
また、図4(b)のようなナット部材222の矢印N方向へのリリース駆動と、図4(c)のようなナット部材222の矢印M方向へのロック駆動を連続して行うことにより気泡排出を行ってもよい。図4(b)のリリース駆動によりナット部材222の内側のねじ山に付着していた気泡Qはナット部材222から排出される。ただし、ピストン214がカップ形状なので、その内部に排出した気泡が残留してしまう場合がある。ピストン214の内周面とナット部材222の外周面との間は、図2に示すようにナット部材222の移動がスムーズに行えるように隙間が形成されている。従って、基本的にはピストン214のカップ形状の内部はブレーキフルードの加圧による流動がある。つまり、気泡をピストン214の内部から排出させることが可能であるが、ブレーキフルードの加圧操作が複数回必要になる場合がある。
そこで、本実施形態においては、図4(c)のようなナット部材222のロック駆動により、ピストン214のカップ形状内部のブレーキフルードを強制的に流動させてピストン214内部から効率的に排出させる。気泡はブレーキフルードと共に移動するので、シリンダ部204の最高位置に設けられたブリーダバルブの位置まで移動可能となり、ブリーダバルブからの気泡排出作業が迅速にできる。
なお、ナット部材222のねじ部や棒ねじ部材224aのねじ部には、潤滑剤としてグリースが塗布されている場合があり、そのグリース内に気泡Qが内包されている場合がある。本実施形態の場合、ナット部材222のねじ部の全体を棒ねじ部材224aのねじ部と螺合させることにより、グリース内の気泡Qを潰して排出させることができる。
図4(c)のようにナット部材222をロック駆動させてピストン214に当接させて、さらにブレーキパッド202を押圧させることにより、ナット部材222がロック位置に移動したことを電動モータ30の駆動電流値の変化で検出することができる。ECU100は、駆動電流値の変化が所定の閾値を超えた場合、ナット部材222のロック駆動による移動が完了したと見なし、ロック駆動用の駆動電流の出力を停止する。なお、気泡排除が終了した場合、ナット部材222は、図4(c)に示すロック位置から通常制御モードにおけるリリース位置に移動した状態(図3(b))で停止するようにECU100はねじ機構224を制御する。
また、別の実施例においては、気泡排除モードにおけるナット部材222のリリース駆動/ロック駆動による進退移動を所定回数、好ましくは複数回行ってもよい。この場合、図4(b)と図4(c)の状態を交互に繰り返すことになる。また、ナット部材222のねじ部の全体が棒ねじ部材224aのねじ部と螺合した状態を維持したまま、棒ねじ部材224aの中央付近で進退移動させてもよい。このように、所定回数の進退移動を繰り返すことによりナット部材222のねじ山に残留した気泡Qやねじ部に塗布されたグリース内の気泡を効果的かつ迅速に排出することが可能になり気泡排除信頼性が向上できる。
図5は、気泡排除モードにおける制御信号と駆動電流値の推移を説明する説明図である。具体的には、ECU100に提供される気泡排除モードを示すモード切替信号、スタート/ストップトリガの状態、電動モータ30の駆動電流値の変化を説明する説明図である。
気泡排除モードであることを示すモード切替信号300は、例えば電動駐車ブレーキスイッチ18のOFF側を5秒以上長押しすることによりONされる。なお、電動駐車ブレーキスイッチ18の長押しによるモード切替は、ECU100に例えば、速度センサからの信号が車両停止を示し、シフト位置センサからの信号が「Pレンジ」であること示し、周囲状態検出センサのうち傾斜センサからの信号が車両が平坦路に存在する旨を示す場合に有効にすることが望ましい。いずれかの条件が満たされない場合、ECU100は、ディスプレイ36等によりモード切替の条件が満たされていないことを提示し、条件が満たされた後に再試行するように促してもよい。モード切替後、さらに電動駐車ブレーキスイッチ18のOFF側を押下すると、気泡排出駆動スタートのトリガ302がECU100に供給される。そして、ECU100は、所定のパターンで電動モータ30に対して駆動電流が供給されるように駆動信号を出力する。図5の場合、ECU100は、ナット部材222を図4(a)の状態から図4(b)の状態に複数回の間欠のリリース駆動により移動させる例を示す。つまり、ナット部材222を少しずつ間欠駆動させることにより、ナット部材222の端面とピストン214の穴212の底と当接した時の衝撃力を軽減して、ナット部材222が穴212の底に噛み込まれてしむことを防止している。なお、ナット部材222が穴212の底に噛み込まれた場合、電動モータ30の駆動によりナット部材222と共にピストン214が回転してしまい、シール部材226の摩耗や破損を招きブレーキフルードの漏れの原因になる場合がある。ナット部材222の間欠駆動は、このような不具合も効果的に回避できる。
前述したように、ナット部材222が穴212の底に設定された当接部228に当接すると駆動電流値が図5中に符号Fで示すように上昇する。ECU100はこの上昇を検出してナット部材222が当接部228に当接したと見なす。図5は、駆動電流値が予め定めた閾値を超えた場合にナット部材222が当接部228に当接したと見なす例である。ECU100は、ナット部材222が当接部228に当接したことを検出すると、リリース駆動からロック駆動に電動モータ30の駆動を切り替える。図5の場合、所定時間のロック駆動をまず行う。つまり、ナット部材222をピストン214の穴212の底(当接部228)から十分に離間させる。この一連のリリース/ロック駆動Y1により気泡排出を行いつつ、さらに確実な気泡排出を行うための往復移動の基準位置にナット部材222を移動させる。そして、この位置を基準にして、気泡排出のためにロック駆動とリリース駆動を所定回行う。図5の場合、3回のリリース/ロック駆動Z1〜Z3を実施する例である。ECU100は、リリース/ロック駆動Y1による基準位置を学習しており、リリース/ロック駆動Z1〜Z3においてナット部材222は当接部228に接触することがない。従って、接触音や噛み込みなどの不具合は発生させない。気泡排出のためにロック駆動とリリース駆動は、作業者が電動駐車ブレーキスイッチ18のON/OFF操作を繰り返すことにより実施してもよいし、予め定められ回数が実施されるようにしてもよい。
作業者が気泡排出が完了したと判断した場合、電動駐車ブレーキスイッチ18をON操作することにより、気泡排出駆動ストップのトリガ304がECU100に供給される。ECU100は、電動モータ30にロック駆動用の駆動信号を供給する(ロック駆動306)。その結果、ナット部材222は図4(c)の位置に移動する。そしてECU100は、最後に図3(b)に示すようにロック位置から通常制御モードにおけるリリース位置に移動した状態で停止するようにねじ機構224を制御する。なお、気泡排出駆動ストップのトリガ304は、気泡排出のためにロック駆動とリリース駆動が所定回数実行された後に自動的にECU100において発生するようにしてもよい。この場合、気泡排除作業が毎回同じ回数実施され作業信頼性を向上できる。気泡排除モードを終了させる場合、作業者は、電動駐車ブレーキスイッチ18のON側を5秒以上長押しすることにより通常制御モードに復帰させられる。
図6(a)、(b)は、気泡排除モードにおいてナット部材222が当接部228に当接するまでの制御信号と駆動電流値の推移の他の例を説明する説明図である。
図6(a)は、気泡排除モードにおいて、ナット部材222が自動的に当接部228との当接位置まで移動する例である。ECU100は、気泡排除モードを示すモード切替信号300を受け取り、続いて気泡排出駆動スタートのトリガ302を受け取った場合、まず、ナット部材222を連続駆動により長距離移動させる。この場合の長距離移動の距離は、予め試験等により確認しておいたナット部材222と当接部228とが接触しない範囲内で定める。続いて、ECU100は、長距離移動より短い短距離を個々の移動量とする間欠駆動を実行する。この間欠駆動によりナット部材222を当接部228に当接するまで移動させる。間欠駆動の場合、移動速度が小さくナット部材222が当接部228に当接するときの衝撃力が軽減可能でナット部材222の当接部228への噛み込みを効果的に防止できる。なお、この場合もECU100は、電動モータ30の駆動電流値の変化によってナット部材222と当接部228の当接を検出する。ただし、図6(a)の例の場合、最初の連続移動のスタート時に大きな駆動電流が流れ、当接時の駆動電流値より大きくなってしまう場合がある。従って、ECU100は、駆動電流値の変化が所定態様となった場合に、ナット部材222が当接部228と当接したと見なすようにしている。例えば、電動モータ30の駆動の最初からではなく、間欠駆動が開始された後に所定の閾値を超えた場合に当接した見なすようにしている。その後は、図5で説明したように、ナット部材222が当接部228と当接しない範囲で進退駆動するようにねじ機構224を制御する。このような長距離移動の連続駆動と、短距離移動の間欠駆動を組み合わせることで、気泡排除モードにおけるナット部材222の移動を迅速に行い、気泡排出の作業時間を短縮すると共に、ナット部材222の当接部228への噛み込み等の不都合を防止できる。
図6(b)は、作業者が手動操作によりナット部材222を当接部228に向けリリース駆動する例である。ECU100は、気泡排除モードを示すモード切替信号300を受け取り、続いて作業者の電動駐車ブレーキスイッチ18のOFF側押下による気泡排出駆動スタートのトリガ302を受け取った場合、まず、ナット部材222を所定の第1移動距離だけ当接部228に向けて移動させるための駆動信号を出力する。この場合、図6(a)に示す長距離移動より短いが間欠駆動時の短距離移動よりは長い中距離で移動させるようにしてもよい。さらに作業者の電動駐車ブレーキスイッチ18のOFF側押下によるトリガ302を受け取った場合、ECU100は、ナット部材222を第1移動距離だけ移動させるための駆動信号を再出力する。図6(b)の場合、第1移動距離の移動を2回行った場合、次にトリガ302を受け取った場合、それ以降の移動量は、第1移動距離より短い第2移動距離になるようにECU100は電動モータ30の駆動信号を出力する。つまり、図6(a)の場合と同様に、初めは、比較的長い距離移動させておき、その後は短い距離で移動させて、ナット部材222の移動の迅速化と当接部228との当接時の衝撃軽減を実現している。なお、図6(b)の場合、5回目のトリガ302に対応する第2移動距離の移動によりナット部材222と当接部228が当接したことを示す駆動電流値の上昇が示されている。従って、6回目のトリガ302が作業者によって入力されたとしてもECU100は電動モータ30をリリース方向へ駆動する駆動信号は出力しない。つまり、ナット部材222と当接部228の当接以降は、リリース方向へナット部材222を移動させるトリガ302の入力は無効化される。なお、図6(b)のように、電動駐車ブレーキスイッチ18を複数回操作してナット部材222を当接部228の方向に移動させる場合、電動駐車ブレーキスイッチ18の押下時間に拘わらず、ナット部材222は定められた長さの移動がなされるようにECU100から駆動信号が出力されるようにすることが望ましい。
摩擦材208は、使用が進むに連れて押圧方向の厚みが薄くなる。その一方で、ECU100は、摩擦材208が摩耗して薄くなった場合でも十分な駐車制動力を従前通りに迅速に発生できるように、駐車制動力の発生状態からのリリース位置を自動調整するようになっている。従って、図6(a)における長距離移動の距離や図6(b)における第1移動距離は、摩擦材208の摩耗状態に応じて変化させることが望ましい。または、図6(a)における短距離移動の回数や図6(b)における第2移動距離の移動回数を調整して摩擦材208の厚みの変化に対応してもよい。
ところで、本実施形態の気泡排除モードにおけるナット部材222のリリース駆動を用いて、ブレーキパッド202の交換作業を容易に行うことができる。図7(a)、図7(b)は、本実施形態に係る駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置の気泡排除モードを用いてパッド交換が可能であることを説明する説明図である。
前述したように、ブレーキパッド202のパッド裏金210は、使用時間が長くなると摩耗により薄くなるので摩耗が交換推奨領域に達した場合、迅速に交換することが望ましい。前述したように、ナット部材222は駐車制動力を迅速に発生できるようにパッド裏金210の摩耗に状態に応じてディスクロータ206側に前進した位置をリリース位置に設定するようにECU100が制御している。従って、図7(a)に示すように、交換前のブレーキパッド202aを用いた通常制御モードにおいて、ナット部材222がリリース位置に退避している状態で、摩耗したブレーキパッド202aは容易に取り外せる。しかしながら、駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置の場合、ナット部材222がピストン214のリリース方向への移動を妨げるため、ピストン214により新しく厚みのあるブレーキパッド202bを装着位置に嵌め込むことができない。
そこで、図7(b)に示すように、ナット部材222を当接部228へ向けて移動させることにより、ピストン214のリリース方向への移動を許容し、厚みのあるブレーキパッド202bの装着位置への嵌め込みを可能にしている。このようにナット部材222を移動させるモードを「パッド交換モード」という。なお、図7(b)の場合、気泡排除モードと同様に、ナット部材222をシリンダ部204の穴212の底の当接部228に当接する位置まで移動させる例を示しているが、必ずしも当接位置まで移動させる必要はない。当接位置まで移動させることにより気泡排除モードと同様に、ナット部材222の位置を電動モータ30の駆動電流値の変化で検出することができるので、ナット部材222の位置検出のための構成を簡略化できる。従って、センサ等によりナット部材222の移動位置を検出できる場合は、新たなブレーキパッド202bを嵌め込める隙間を確保できる程度にピストン214が移動できる位置までナット部材222を移動させればよい。
通常制御モードからパッド交換モードに移行させる場合も、例えば電動駐車ブレーキスイッチ18の長押し操作によって行うことができる。例えば、電動駐車ブレーキスイッチ18のOFF側を5秒以上長押した後、5秒以上間隔をおいて再度電動駐車ブレーキスイッチ18のOFF側を5秒以上長押しすることにより実行できる。この場合も電動駐車ブレーキスイッチ18の長押しによるモード切替は、ECU100に例えば、速度センサからの信号が車両停止を示し、シフト位置センサからの信号が「Pレンジ」であること示し、周囲状態検出センサのうち傾斜センサからの信号が車両が平坦路に存在する旨を示す場合に有効にすることが望ましい。パッド交換モードに移行した後は、例えば、図6(a)に示す自動リリースまたは、図6(b)に示す手動リリースによりナット部材222を移動させることができる。このように、パッド交換モードによりナット部材222をリリース方向に移動させることより駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置におけるブレーキパッド202の交換を容易に実施することができる。なお、ブレーキパッド202bの嵌め込み完了後は、電動駐車ブレーキスイッチ18のON側を押下することにより、ECU100は、ナット部材222を介してピストン214がブレーキパッド202bを押圧する適切な位置にナット部材222を移動させる。ECU100はさらに、その押圧位置を基準として、駐車制動力の要求時に迅速に制動力を発生できる位置にナット部材222が位置するように所定量リリース方向にナット部材222を移動させる。パッド交換モードから通常制御モードへの復帰は、例えば電動駐車ブレーキスイッチ18のON側を5秒以上長押した後、5秒以上間隔をおいて再度電動駐車ブレーキスイッチ18のON側を5秒以上長押しすることにより実行できる。
図8は、本実施形態に係る駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置の制御切り替えを説明するフローチャートである。
イグニッションスイッチ34のONと共に制御状態に移行するECU100は、電動駐車ブレーキスイッチ18の操作に基づく操作信号を受け付けると(S100)、いずれのモードで電動モータ30を作動させるか決定する。例えば、電動駐車ブレーキスイッチ18の操作により提供される信号が気泡排除モードに移行する旨を示す信号でなく(S102のN)、パッド交換モードに移行する旨を示す信号でない場合(S104のN)、電動駐車ブレーキ(EPB)通常モードに移行する(S106)。この場合、ECU100は運転者の指示に従いナット部材222をロック/リリース駆動するように制御信号を出力する(S108)。つまり、ナット部材222は図3(a)、(b)に示すように作動する。その後、S100に戻り、次の操作信号の受付を待つ。
S104において、ECU100が電動駐車ブレーキスイッチ18の操作によりパッド交換モードに移行する旨を示す信号を受け取った場合(S104のY)、ECU100は制御状態をパッド交換モードに移行する(S110)。この場合、電動駐車ブレーキスイッチ18のスイッチ操作に従うリリース駆動によりナット部材222をリリース方向に移動させ、ブレーキパッド202bへの交換を可能とする。また、交換作業の終了後は、電動駐車ブレーキスイッチ18のスイッチ操作に従うロック駆動によりナット部材222をロック方向に移動させた後、通常制御モードでの作動が可能なリリース位置にナット部材222を復帰させる(S112)。その後、S100に戻り、次の操作信号の受付を待つ。
S102において、ECU100が電動駐車ブレーキスイッチ18の操作により気泡排除モードに移行する旨を示す信号を受け取った場合(S102のY)、ECU100は制御状態を気泡排除モードに移行する(S114)。この場合、ナット部材222と棒ねじ部材224aが螺合した状態でナット部材222を往復移動させ、ナット部材222のねじ山から気泡を排出させる(S116)。その後、S100に戻り、次の操作信号の受付を待つ。
なお、図7に示すフローチャートは一例であり、モードの切り替えによりナット部材222の作動状態を変更できるものであれば、他の手順により切り替えを行ってもよい。また、電動駐車ブレーキスイッチ18は、EPB通常モードのみの制御を実行するものとして、パッド交換モードや気泡排除モードへのモード切り替えやその後の操作は、診断ツール38からの入力によって行うようにしてもよい。
以上、本発明を上述の実施形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、実施形態や変形例の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。
14 車輪、 18 電動駐車ブレーキスイッチ、 20 ブレーキ装置、 28 液圧ブレーキアクチュエータ、 30 電動モータ、 100 ECU、 200 キャリパ、 202 ブレーキパッド、 204 シリンダ部、 206 ディスクロータ、 208 摩擦材、 214 ピストン、 222 ナット部材、 224 ねじ機構、 224a 棒ねじ部材、 228 当接部。

Claims (5)

  1. ホイールシリンダ内に配置されたピストンを作動液の供給により推進させて摩擦部材を車輪と共に回転するディスクロータに押圧することにより常用制動力を発生させる常用制動部と、前記ピストンをねじ機構によりナット部材を推進させて前記摩擦部材を前記ディスクロータに押圧することにより駐車制動力を発生させる駐車制動部とを含むディスクブレーキ機構と、
    前記駐車制動部の駆動を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記駐車制動部により前記駐車制動力を発生させる通常制動モードと、前記駐車制動部に残留する気泡を排除する気泡排除モードと、を切替制御可能であり、
    前記通常制動モードにおいては、前記ねじ機構の前記ディスクロータ側端部が前記ナット部材のディスクロータ側端部から突出しないように前記ねじ機構を制御し、前記気泡排除モードにおいては、前記ねじ機構の前記ディスクロータ側端部が前記ナット部材の前記ディスクロータ側端部から突出するように前記ねじ機構を制御することを特徴とする駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置。
  2. 前記制御部は、前記気泡排除モードにおいて前記ナット部材が所定回数進退するように前記ねじ機構を制御することを特徴とする請求項1記載の駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置。
  3. 前記ナット部材がディスクロータ側から離間する方向に移動するときに当接する当接部を有し、
    前記制御部は、前記気泡排除モードにおいて前記ナット部材が前記当接部に最初に当接した以降は前記ナット部材が前記当接部と当接しない範囲で所定回数進退するように前記ねじ機構を制御することを特徴とする請求項2記載の駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置。
  4. 前記制御部は、前記気泡排除モードにおいて前記ナット部材を前記ディスクロータから離間する方向に移動させるときの前記ねじ機構を駆動する駆動電流値の変化が所定態様となった場合、前記ナット部材が前記当接部と当接しない範囲で進退駆動するように前記ねじ機構を制御することを特徴とする請求項3に記載の駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置。
  5. 前記制御部は、前記気泡排除モードにおいて前記ナット部材を前記ディスクロータから離間する方向に移動させる場合、前記ナット部材を間欠駆動により移動させるように前記ねじ機構を制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の駐車ブレーキ兼用ディスクブレーキ装置。
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