JP5604961B2 - ポリマーエマルションの製造方法、および水性インクジェット記録液 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリマーエマルションの製造方法、および水性インクジェット記録液に関する。
インクジェット記録方式は、近年高解像度化、高性能化が進み、従来の染料インキから、優れた耐水性、耐候性を有する顔料インキへの期待が高まり、種々検討されている。
しかし、顔料は、水に溶解しないので、分散を安定に保つためのバインダー樹脂を用いないと、水性インクジェット記録液中の顔料の分散状態を保つことはできず、ヘッドで目詰まりするという問題があった。また、顔料自体には記録紙およびOHPシートへの定着性が無いので、定着剤としてのバインダー樹脂を用いないと、印刷物として求められる光学濃度(以下OD値という)、耐磨耗性、耐水性も満足することはできなかった。即ち、顔料タイプの水性インクジェット記録液には、耐目詰まり性、吐出安定性、OD値、耐磨耗性、耐水性等の観点から、バインダー樹脂が必要である。
特許文献1には、水、着色剤及びアクリルシリコン系樹脂微粒子を含有するインク組成物が開示されている。
特許文献2には、水、着色剤、加水分解性シリル基を含まないシリコーン変性アクリル樹脂を含有する記録用インクが開示されている。
特許文献3には、ラジカル反応性乳化剤の存在下に、アルコキシシリル基を有するエチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を、水中でラジカル重合してなるエマルションと、顔料と、水性媒体とを含有するインクジェット記録液が記載されている。
上記特許文献にそれぞれ記載されるインクジェット記録液は、バインダー樹脂を全く用いないものに比べれば、それなりの効果は認められる。
しかし、様々な分野でインクジェット記録方式の利用が拡大する近年、OD値や耐磨耗性に対する要求も厳しさを増し、上記特許文献に記載される従来のインクジェット記録液はいずれもそれらの厳しい要求を満足できるものではなかった。
特開平9−235499号公報 特開2006−282986号公報 特開2002−294105号公報
本発明は、得られたポリマーエマルションに含まれる粗大粒子を大幅に低減できるポリマーエマルションの製造方法の提供、およびそのポリマーエマルションを用いて、ノズルでの目詰まりを大幅に低減することで安定な吐出を実現し、さらに吐出後に要求される物性、特に優れたOD値、耐磨耗性を実現できる水性インクジェット記録液の提供を目的とする。
本発明者らは、ポリマーエマルションの製造方法を検討し、ポリマーエマルション中の粗大粒子の有無、そしてその含有量により、これを用いたインクジェット記録液から形成される印字物のOD値及び耐磨耗性に大きな影響を及ぼすことを見いだした。
即ち、第1の発明は、カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a1)0.1〜5重量%、
アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)0.1〜20重量%、
その他のラジカル重合性不飽和モノマー(a3)、
前記モノマー(a1)〜(a3)の合計100重量部に対して、0.1重量部以上5重量部未満の乳化剤、及び水を含有し、
個数カウント法によるモノマー液滴の体積平均粒子径が0.5〜10μmのモノマープレエマルションを、
水と、乳化剤と、過硫酸塩およびターシャリーブチルハイドロパーオキサイドから選択される水性重合開始剤とを含有し、前記モノマープレエマルションは含有しない重合場に、滴下し(但し、乳化剤の合計量は0.1重量部よりも多く、5重量部以下)、
ラジカル重合することを特徴とする、
動的光散乱法によるポリマーのD50粒子径が100〜150nmであり、個数カウント法では、不揮発分濃度0.1%換算におけるポリマーエマルション中の1.5μm以上の超粗大粒子数が5.0×105個/cm3以下のポリマーエマルションの製造方法に関する。
そして、第2の発明は、さらに動的光散乱法では、粒子径が0.5μm以上の粗大粒子が観察されないことを特徴とする上記発明のポリマーエマルションの製造方法に関する。
さらに、第3の発明は、上記発明の製造方法により製造されたポリマーエマルションと、顔料とを含有することを特徴とする水性インクジェット記録液に関する。
本発明のポリマーエマルションの製造方法により得られたポリマーエマルションは粗大粒子を大幅に低減できた。そしてそのポリマーエマルションを用いた水性インクジェット記録液は、ノズルでの目詰まりを大幅に低減することで安定な吐出を実現し、さらに吐出後に要求される物性、特に優れたOD値、耐磨耗性を実現できた。このような優れた特性を有するポリマーエマルションの製造方法の提供ができた。
本発明のポリマーエマルションの製造方法により製造されたポリマーエマルションは、「マイクロトラックUPA150」(Leeds & Northrup社製)を用いた動的光散乱法によるD50粒子径の値は、100〜150nmであることが重要である。ポリマーのD50粒子径が、100nm未満だと、チクソ性が大きくなりすぎるので、例えばインクジェット記録液に用いる場合は適していない。一方、ポリマーのD50粒子径が、150nmを超えると粒子径の大きいポリマーの割合が増える。このようなポリマーエマルションを用いたインクジェット記録液からは、OD値の低く、耐摩耗性の劣る印刷物しか得られない。ここで本発明における「D50粒子径」とは、動的光散乱法により得られる粒径分布曲線の体積分布累積量の50%に相当する粒子径である。具体的にはポリマーエマルションを不揮発分0.01〜0.1%程度に希釈し、「マイクロトラックUPA150」を用い、D50粒子径を求めることができる。
また、次に述べるようにポリマーエマルションは、0.5μm(=500nm)以上の粗大粒子も含み得る。しかし、D50粒子径が100〜150nmのポリマーエマルションの場合、粗大粒子の割合が根本的に少ない。
また本発明のポリマーエマルションの製造方法により製造されたポリマーエマルションは、動的光散乱法によるマイクロトラックUPA150を用いた測定によれば0.5μm以上の粗大粒子は観察されないことが好ましい。一方、動的光散乱法はその測定下限が0.5μmである。それ以上の大きな粒子径を測定好適範囲とする個数カウント法においても、0.5μm以上の粗大粒子は観察されないことが好ましい。しかし、0.5μm以上の粗大粒子の存在が確認される場合は、具体的にはポリマーエマルションを、0.5μm以上の粒子の総数が5000個/cm3程度になるよう、不揮発分が40%程度のポリマーエマルションを不揮発分0.001〜0.05%程度になるように蒸留水で希釈し、「Accusizer」(米国PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)により、粗大粒子の存在を確認することができる。本発明の製造方法により製造されたポリマーエマルションは、上記不揮発分範囲で測定し、不揮発分を0.1%換算した場合に、1.5μm以上の粗大粒子数は5.0×105個/cm3以下であり、3.0×105個/cm3以下であることが好ましく、最も目指すべきは0個である。
動的光散乱法によるD50粒子径が100〜150nmであっても、個数カウント法による0.1%換算時の1.5μm以上の超粗大粒子数が5.0×105個/cm3よりも多い場合、このようなポリマーエマルションを例えばインクジェット記録液に用いた場合、OD値が低く、耐摩耗性の劣る印刷物しか得られない。
なお、ポリマーエマルションの不揮発分は、乾燥重量法により求めることができる。具体的には、得られたポリマーエマルションの一部を測り取り、150℃、20分間乾燥させ、下記式により不揮発分を乾燥重量法により求めることができる。
不揮発分(重量%)=(乾燥後のポリマーの重量/乾燥前のポリマーエマルションの重量)×100
そして、このような動的光散乱法及び個数カウント法による粒度分布状況のポリマーエマルションを得るためには以下の製造方法が必要である。
カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a1)0.1〜5重量%、アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)0.1〜20重量%、その他のラジカル重合性不飽和モノマー(a3)、
前記モノマー(a1)〜(a3)の合計100重量部に対して、0.1〜5重量部未満の乳化剤、及び水を含有し、
個数カウント法によるモノマー液滴の体積平均粒子径が0.5〜10μmのモノマープレエマルションを得、
水、乳化剤及び水性重合開始剤を含有し、前記モノマープレエマルションは含有しない重合場に、前記モノマープレエマルションを滴下し、
ラジカル重合することにより、動的光散乱法及び個数カウント法による粒度分布状況が、上記の条件を満たすポリマーエマルションを得ることができる。
モノマー(a1)について説明する。
カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a1)は、親水性に富むモノマーであり、モノマープレエマルションの分散安定性及びポリマーエマルションの分散安定性に多大な影響を及ぼす。カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a1)は、ラジカル重合に供されるモノマー(a1)〜(a3)の合計を100重量%とした場合、0.1〜5重量%使用することが重要であり、0.5〜2.5重量%使用することが好ましい。0.1重量%以下ではモノマープレエマルションの分散安定性及びポリマーエマルションの分散安定性が悪く、重合時の安定性も悪く、均一で滑らかなポリマーエマルションを得ることができない。かろうじてポリマーエマルションを得ることができたとしても、ポリマーエマルションの粘度が時間の経過とともに変化してしまう。一方、カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a1)を5重量%よりも多く使用した場合、例えばインクジェット記録液として用いた場合に印刷物の耐水性が悪くなる。
カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和モノマーとして(a1)は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、2−メタクリロイルプロピオン酸などを挙げる事ができる。
モノマー(a2)について説明する。
アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)は、ラジカル重合に供されるモノマー(a1)〜(a3)の合計を100重量%とした場合、0.1〜20重量%用いることが重要である。0.1重量%よりも少ないと、動的光散乱法及び個数カウント法による、形成されたポリマーエマルションの粒度分布状況が上記の条件を満たしたとしても、OD値が低いばかりでなく、印刷物の耐摩耗性が著しく劣る。アルコキシシリル基の多くは、ポリマーエマルション形成時に加水分解し、ポリマー粒子の内部架橋形成に寄与するものと考えられる。また、アルコキシシリル基の一部は、ポリマー粒子同士の粒子間架橋形成やポリマーと顔料との粒子間架橋形成にも寄与するものと考えられる。従って、アルコキシシリル基が少なすぎると、粒子内架橋も粒子間架橋も少なくなる。その結果、OD値が低いばかりでなく、印刷物の耐摩耗性が著しく劣るものと考察される。
一方、アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)を20重量%よりも過量に含むラジカル重合性不飽和モノマーを用いてポリマーエマルションを形成しようとしても、アルコキシシリル基を有するエチレン性不飽和単量体は疎水性に富むので、重合が困難となる。また、アルコキシシリル基を有するエチレン性不飽和単量体は架橋成分であるため、重合安定性を低下する成分でもある。このため、通常の乳化重合では、架橋成分を20重量%以上含む場合、重合中に粒子同士が凝集してしまい、安定なポリマーエマルションは得られない。
このようなアルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等があげられる。
モノマー(a3)について説明する。
モノマー(a3)としては、例えば、アクリル酸メチル[−8℃(ホモポリマーのTg(以下同様))]、アクリル酸エチル(−20℃)、アクリル酸ブチル(−45℃)、アクリル酸−2−エチルヘキシル等(−55℃)のアクリル酸エステル類;
メタクリル酸メチル(100℃)、メタクリル酸エチル(65℃)、メタクリル酸ブチル(20℃)、メタクリル酸2−エチルヘキシル(−10℃)、メタクリル酸シクロヘキシル(66℃)等のメタクリル酸エステル類;
酢酸ビニル(30℃)、第3級カルボン酸ビニル等のビニルエステル類;
ビニルピロリドンの如き複素環式ビニル化合物;
エチレン、プロピレン等の如きα−オレフィン類;
ブタジエンの如きジエン類;
グリシジルメタクリレート(41℃),アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;
ジメチルアミノエチルメタクリレート(18℃)等のアミノ基含有モノマー;
アクリルアミド(150℃)等のカルボン酸アミド基含有モノマー;
アクリロニトリル(96℃)等のシアノ基含有単量体;
スチレン(100℃)、ジビニルベンゼン等のビニル単量体;
などを挙げる事ができる。
ポリマーエマルションの製造方法についてより詳細に説明する。
まず上記のモノマー(a1)〜(a3)と、前記モノマー(a1)〜(a3)の合計100重量部に対して0.1以上5重量部未満の乳化剤と、水との混合物から、個数カウント法によるモノマー液滴の体積平均粒子径が0.5〜10μmのモノマープレエマルションを得ることが重要である。
乳化重合は、重合に供されたモノマーがモノマー液滴から水中にごく微量ずつ溶解し、水中で重合が進行する。つまり、乳化重合の重合場は、モノマー液滴中ではなく、水相で発生した乳化剤からなるミセルである。従って、均一な組成、粒度分布のポリマーエマルションを得るためには、重合に供されたモノマーの水への溶解を円滑且つ一定にすることが肝要である。
アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)は、疎水性に富む難水溶性のモノマーである。このような疎水性に富む難水溶性のモノマー(a2)を均一に且つ確実に重合させるためには、モノマー液滴から難水溶性のモノマー(a2)を速やかに水に溶解させることが必要である。
そのためには、モノマー液滴の体積平均粒子径が0.5〜10μmのモノマープレエマルションを用いることが重要であり、0.5〜5μmのモノマープレエマルションを用いることがより好ましい。モノマープレエマルション中のモノマー液滴の体積平均粒子径が10μmより大きいと、アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)が、モノマー液滴から水中へ溶解しにくくなる。その結果、ラジカル重合性不飽和モノマー(a2)がポリマー粒子の形成に確実に利用されず、取り残され、個数カウント法による1.5μm以上の超粗大粒子や凝集物を生成させてしまう恐れがある。
このような粒度状態のモノマープレエマルションは、例えばバッチ式ホモミキサー、超音波式乳化機、高圧式ホモジナイザー等を用い、撹拌スピード、周波数、圧力等を適宜調節することにより形成することができる。
なお、モノマープレエマルションの粒子径が小さいほど、モノマー液滴から水へのモノマーの溶解速度は大きくなるので好ましい。しかし、体積平均粒子径が0.5μmよりも小さなモノマープレエマルションを得ることは、前記装置を使っても一般に困難である。
従って、前記したように、本発明におけるモノマープレエマルションの個数カウント法による体積平均粒子径は、0.5〜10μmであることが重要である。
なお、モノマープレエマルションの体積平均粒子径は、ポリマーエマルションの粗大粒子確認の場合と同様に、モノマー濃度が0.001〜0.05%程度になるように蒸留水で希釈し、「Accusizer」(米国PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)により、求めることができる。
モノマープレエマルションを構成する乳化剤について説明する。乳化剤は、前記モノマー(a1)〜(a3)の合計100重量部に対して、0.1重量部以上5重量部未満が重要であり、1重量部以上3重量部以下がより好ましい。乳化剤量が5重量部以上の場合、印刷物の耐水性が低下する。一方、乳化剤量が0.1重量部未満の場合、モノマープレエマルションの分散状態を安定に保つことができない。
本発明では、乳化剤として、アニオン乳化剤を単独で使用することもできるし、アニオン乳化剤とノニオン乳化剤とを併用することもできる。
また、乳化剤は、ラジカル重合性の官能基を有する反応性乳化剤であってもよいし、ラジカル重合性の官能基を有さない非反応性乳化剤であってもよいし、あるいは両者を併用することもできる。印刷物の耐水性を向上するという点で、ラジカル重合性の官能基を有する反応性乳化剤を使用する事が好ましい。
本発明において用いられる乳化剤のうち、反応性乳化剤としては、分子内にラジカル重合可能な不飽和2重結合を1個以上有するアニオン性またはノニオン性の乳化剤であり、例えばスルホコハク酸エステル系乳化剤、アルキルフェノールエーテル系乳化剤がある。
本発明において用いられる乳化剤のうち、非反応性乳化剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアニオン系非反応性乳化剤;
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;
ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルなどのポリオキシ多環フェニルエーテル類;
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系非反応性乳化剤などが挙げられる。これらの乳化剤は単独で用いてもよく、複数種併用することも可能である。
本発明のポリマーエマルションの製造方法では、水、乳化剤及び水性重合性開始剤を含有し、前記モノマープレエマルションを含有しない重合場に、前記モノマープレエマルションを滴下し、ラジカル重合することが重要である。
多量の水及び滴下用のモノマープレエマルションの一部を反応容器に入れ、ここに残りの滴下用のモノマープレエマルション及び重合開始剤を加えたり、多量の水、重合開始剤及び滴下用のモノマープレエマルションの一部を反応容器に入れ、ここに残りの滴下用のモノマープレエマルションを加えたりする手法は、ポリマーエマルションの製造に当たって、日常的には選択される方法ではある。
しかし、本発明のように難水溶性のアルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)を用いる場合、モノマー液滴から水に溶解したモノマー(a2)は、重合場に供給された後、重合場にできるだけ滞留することなく速やかに重合させ、モノマー(a2)を消費することが重要である。つまり、モノマー(a2)の溶解、モノマー(a2)の速やかな重合による消滅が、モノマー(a2)のさらなる溶解を促し、重合反応を円滑に進行させることができる。
従って、本発明の場合、モノマープレエマルションを反応容器に存在させないことが重要である。仮にモノマープレエマルションの一部が反応容器に存在すると、モノマープレエマルションの残りを滴下槽から滴下しても、最初に存在していたモノマー中の難水溶性モノマー(a2)が重合により消費されるまで、滴下により供給されたモノマー中の難水溶性モノマー(a2)が重合場に滞留し、超粗大粒子や凝集物の発生原因となる。
なお、本発明でいう、水と乳化剤と水性重合開始剤とを含有する重合場とは、モノマープレエマルション中のモノマーが重合する際に、前記三者が存在することを意味する。つまり、加熱手段と冷却手段とを具備する反応容器に水と乳化剤と水性重合開始剤とを入れ、モノマープレエマルションをここに滴下する方法の他、前記と同様の反応容器に水と乳化剤とを入れ、この反応容器にモノマープレエマルションと水性重合開始剤とを別個の滴下槽からそれぞれ滴下する方法でもよいし、前記と同様の反応容器に水と乳化剤とを入れ、この反応容器に水性重合開始剤を含むモノマープレエマルションを滴下する方法でもよい。
反応容器に入れる乳化剤としては、モノマープレエマルションを得る際に例示したものと同様のものを例示できる。
モノマープレエマルションを構成する乳化剤と反応容器に入れる乳化剤の合計量は、モノマー(a1)〜(a3)の合計100重量部に対して、0.1重量部よりも多く5重量部以下であることが重要である。合計の乳化剤量が5重量部よりも多いと、印刷物の耐水性が低下する。一方、合計の乳化剤量が0.1重量部以下であるとポリマーエマルションの分散状態を安定に保つことができない。
本発明において用いることができる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましい。具体的には例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩が挙げられる。
また、重合開始剤として、レドックス開始剤も好ましい。具体的には、過酸化物系開始剤と還元剤の組み合わせが有効である。過酸化物系開始剤としては、例えばパーブチルH(ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド)、パーブチルO(ターシャリーブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート)、キュメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイドが挙げられる。還元剤としては、例えば、エルビットN(イソアスコルビン酸ナトリウム)、L−アスコルビン酸(ビタミンC)、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム(SMBS)、次亜硫酸ナトリウム(ハイドロサルファイト)が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、乳化重合に使用するモノマーの合計100重量部に対し0.1〜1重量部であることが好ましく、0.2〜0.8重量部がより好ましい。即ち、1重量部よりも多い量を用いると耐水性の低下をきたす傾向にあり、また0.1重量部未満の量であると重合安定性に問題が生じ易い。
上記した製造方法により得られたポリマーエマルションは、1.5μm以上の超粗大粒子の含有量が全く存在しない、または存在した場合でも極めて少ないものである。
本発明でポリマーエマルションは、揮発性塩基化合物で中和して使用することが好ましい。揮発性塩基化合物としては、アンモニア;アミン類として、モノエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、メチルプロパノールアミンなどが使用される。これらは単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明のポリマーエマルションには、本発明の目的、効果を損なわない範囲で親水性の有機溶剤も必要に応じて使用することができる。
本発明の水性インクジェット記録液は、バインダー樹脂として上記の製造方法により製造されたポリマーエマルションと、顔料とを含有することが好ましい。
本発明において使用される顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機顔料、有機顔料のいずれであってもよい。耐光性に優れる顔料が好ましい。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックなどが好ましい。
無機顔料の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用のもの、カラー用のもの、などが挙げられる。これらは、1 種単独で使用してもよいし、2 種以上を併用してもよい。黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類から選ばれる。
有機顔料としては、フタロシアニン系、キナクリドン系、キナクリドンキノン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、ジケトピロロピロール系、ペリレン系、ペリノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、アントラキノン系、ピランスロン系、アンスアンスロン系、フラバンスロン系、インダンスロン系および金属錯系等の縮合多環系顔料、ベンズイミダゾロン系、不溶性アゾ系、縮合アゾ系、溶性アゾ系の有機顔料から選ばれる。
フタロシアニン系顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、16,C.I.ピグメントグリーン7、36等がある。
キナクリドン系顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット19、42、C.I.ピグメントレッド122、192,202、206、207、209、C.I.ピグメントオレンジ48、49等がある。
イソインドリノン系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー109、110、173、C.I.ピグメントオレンジ61等がある。
イソインドリン系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー139、185、C.I.ピグメントオレンジ66、69、C.I.ピグメントレッド260、C.I.ピグメントブラウン38等がある。
キノフタロン系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー138がある。
ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメントレッド254、255、264、272、C.I.ピグメントオレンジ71、73等がある。
ベンズイミダゾロン系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー120、151、154、156、175、180、181、194、C.I.ピグメントオレンジ36、60、62、72、C.I.ピグメントレッド171、175、176、185、208、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントブラウン25等がある。
不溶性アゾ系顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、21、22、23、31、32、37、38、41、95、111、112、114、119、136、146、147、148、150、164、170、184、187、188、210、212、213、222、223、238、245、253、256、258、261、266、267、268、269、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、6、13、15、16、22、24、34、38、44、C.I.ピグメントバイオレット13、25、44、50、C.I.ピグメントブラウン1、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、5、6、10、12、13、14、17、49、55、60、63、65、73、74、75、81、83、87、90、97、98、106、111、113、114、116、121、124、126、127、130、136、152、165、167、170、171、172、174、176、188、C.I.ピグメントブルー25等がある。
縮合アゾ系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー93、94、95、128、166、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントレッド144、166、214、220、221、242、248、262、C.I.ピグメントブラウン23、41、42等がある。
ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド123、149、178、179、190、224、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントブラック31、32等がある。
ペリノン系顔料としてはC.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントレッド194、バットレッド14等がある。
インジゴ系顔料としては、C.I.ピグメントブルー63、73015:X等がある。
チオインジゴ系顔料としては、C.I.ピグメントレッド88、181等がある。
ジオキサジン系顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット23、37等がある。
アンスラキノン系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー99、108、123、147、193、199、C.I.ピグメントレッド83、89、177等がある。
ピランスロン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド216、226、C.I.ピグメントオレンジ40、51等がある。
アンスアンスロン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントバイオレット31、バットオレンジ3等がある。
フラバンスロン系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー24、バットイエロー1等がある。
インダンスロン系顔料としては、C.I.ピグメントブルー60、64、バットブルー4等がある。
金属錯体系顔料としては、C.I.ピグメントグリーン10、C.I.ピグメントイエロー117、129、150、153、177、179、257、271、C.I.ピグメントオレンジ59、65、68等がある。
ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメントレッド254、255、264、272、C.I.ピグメントオレンジ71、73等がある。
なお本発明において、所期の物性を達成できる場合は、染料を用いることもできる。
本発明の水性インクジェット記録液中の顔料粒子の平均一次粒径は、5〜1000nmが好ましく、更に好ましくは5〜150nmである。顔料の粒径を調整するため、粗製顔料または顔料品位の顔料をソルトミリング、ソルベントミリング等の湿式粉砕又は乾式粉砕して、予め微細化処理したものを用いることが好ましい。予め微細化処理したものを、以下、本発明では、水性顔料分散体という。
ソルトミリングとは、有機顔料と水溶性の無機塩からなる混合物に少量の水溶性の溶剤を加え,水冷等で30〜65℃に温度制御しながらニーダー等の混練機により混合物を強く混練した後、粉砕混合物を水中に投入し、水溶性の無機塩および水溶性の溶剤を溶解、除去するものである。
水溶性の無機塩は、有機顔料の磨砕助剤として加えるものであり、有機顔料の2〜20重量倍、好ましくは3〜10重量倍を使用する。水溶性の無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等がある。水溶性の溶剤は、粘結および結晶防止のために加えるものであり、混合物中の水溶性の溶剤の量は、有機顔料の0.5〜5重量倍、好ましくは0.5〜3重量倍を使用する。水溶性の溶剤としては、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびそれらのモノアルキルエーテル等がある。
本発明では、アニオン性基含有顔料誘導体の存在下に顔料を微細化処理してなる表面処理顔料を用いることもできる。
前記表面処理顔料は、スルホン基、カルボキシ基、燐酸基等のアニオン性基を顔料表面に含有するものである。アニオン性基の導入方法としては、顔料の原料にアニオン性基を導入し、顔料化する方法、顔料の表面に表面処理反応を介してアニオン性基を導入する方法、該顔料と類似骨格を持つ化合物にアニオン性基を導入した顔料誘導体により顔料粒子を表面処理する方法があげられるが、安定性の面から、該顔料と類似骨格を持つ化合物にアニオン性基を導入した顔料誘導体により顔料粒子を表面処理する方法が好ましい。
また、本発明では、顔料として、酸化処理により、カーボンブラック表面にカルボキシ基等のアニオン性基を導入してなるものを用いることもできる。
本発明で用いる水性顔料分散体は、アニオン性基を有する表面処理顔料を水酸化アルカリ金属、アンモニア又は有機アミンによりpHが7〜11、好ましくは8〜10とした水に分散処理することにより得られる。使用する水は、2価以上の金属イオンを含まない精製水、純水またはこれに準ずる水を使用する。
また、水性顔料分散体は、分散工程を介することにより、さらに微細な顔料分散体とすることができる。分散工程に使用する分散機としては、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノーミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」)等を用いることができる。分散機としてメディアを使うものには、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、スチレンビーズを用いることができる。
本発明の水性インクジェット記録液は、水性インクジェット記録液100重量%中に、本発明のポリマーエマルション由来のポリマーを0.1〜20重量%含むことが好ましく、0.5〜10重量%含むことがより好ましい。乳化剤や重合開始剤の量が重合に使用されるモノマーに比して相対的に少なく、モノマーはそのほとんどが重合し、ポリマーを形成していると仮定できるので、ポリマーエマルション中のポリマー量は、ポリマーエマルションの不揮発分に近似する。水性インクジェット記録液中のポリマーが少なすぎると、紙等に対する定着性が低下したり、耐水性が低下したりする。また、水性インクジェット記録液中のポリマーが多すぎると、水性インクジェット記録液として要求される吐出安定性を損ない易く、ノズルが目詰まりし易くなる。
本発明の水性インクジェット記録液は、水性インクジェット記録液100重量%中に、顔料を0.5〜10重量%含むことが好ましく、2〜8重量%含むことがより好ましい。顔料が少なすぎると、印刷物(印字物)の濃度が低下する。また、顔料が多すぎると記録液として要求される吐出安定性を損ない易く、ノズルが目詰まりし易くなる。
本発明の水性インクジェット記録液には、表面張力調整用、紙への浸透性の調整用として、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の界面活性剤や高分子界面活性剤をさらに加えることができる。
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸フォルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル等が例示できる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、フッ素系、シリコーン系等の非イオン性界面活性剤が例示できる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩等が例示できる。両イオン性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、ホスファジルコリン等が例示できる。
高分子界面活性剤としては、アクリル系水溶性樹脂、スチレン/アクリル系水溶性樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリアミド樹脂等が例示できる。
界面活性剤は、必要に応じてアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、高分子界面活性剤等の2種以上を併用しても良い。
本発明の水性インクジェット記録液に使用する水系媒体としては、水、水と混和可能な有機溶媒およびそれらの混合物を表し、水としては、金属イオン等を除去したイオン交換水ないし蒸留水を、水性インクジェット記録液の49〜95重量%の範囲で用いられる。
本発明の水性インクジェット記録液において用いられる水性溶剤とは、水と混和可能な有機溶剤であり、インクジェット用記録液としてのノズル部分での乾燥、記録液の固化を防止し、安定な記録液の噴射およびノズルでの経時の乾燥を防止するものであり、単独ないし混合して水性インクジェット記録液の1〜50重量%、好ましくは2〜25重量%の範囲で用いられる。
水性溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ケトンアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、N−メチル−2−ピロリドン、2,4,6−ヘキサントリオール、テトラフルフリルアルコール、4−メトキシ−4メチルペンタノン等を例示できる。また、記録液の乾燥を速める目的においては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類も用いることができる。
本発明の水性インクジェット記録液には、必要に応じてさらに下記の様な種々の添加剤を用いることができる。
水性インクジェット記録液の被印刷体が紙のような浸透性のある材料のときは、紙への水性インクジェット記録液の浸透を早め見掛けの乾燥性を早くするため浸透剤を加えることができる。
浸透剤としては、水性溶剤で例示したジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル、アルキレングリコール、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル。ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等を用いることができる。これらは、水性インクジェット記録液の0〜5重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲で用いられる。浸透剤は上記使用量で十分な効果があり、これよりも多いと印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こし好ましくない。
防腐剤は、水性インクジェット記録液への黴や細菌の発生を防止する目的で添加し、防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩等が用いられる。これらは、水性インクジェット記録液中に0.05〜1.0重量%の範囲で含まれることが好ましい。
キレート剤は、水性インクジェット記録液中の金属イオンを封鎖するものであり、ノズル部での金属の析出や水性インクジェット記録液中での不溶解性物の析出等を防止するものであり、エチレンジアミンテトラアセティックアシッド、エチレンジアミンテトラアセティックアシッドのナトリウム塩、エチレンジアミンテトラアセティックアシッドのジアンモニウム塩、エチレンジアミンテトラアセティックアシッドのテトラアンモニウム塩等が用いられる。これらは、水性インクジェット記録液中に0.005〜0.5重量%の範囲で用いられる。
また、水性インクジェット記録液のpHを調整し、水性インクジェット記録液の安定または記録装置中の記録液配管との安定性を得るため、アミン、無機塩、アンモニア等のpH調整剤、リン酸等の緩衝液を用いることができる。
また、水性インクジェット記録液の吐出時あるいは配管内部での循環、移動、または水性インクジェット記録液の製造時の泡の発生を防止するため消泡剤を添加することもできる。
本発明の水性インクジェット記録液は、水性顔料分散体およびポリマーエマルションを水性媒体中に分散し、適宜水で希釈、他の添加剤を混合することにより製造できる。分散は、ディスパー、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて行うことができる。また、混合攪拌は通常の羽を用いた攪拌機による攪拌の他、高速の分散機、乳化機等により行うことができる。
得られた水性インクジェット記録液は、希釈の前または後に、孔径0.65μm以下のフィルター、さらには孔径0.45μm以下のフィルターにて十分濾過することが好ましい。フィルター濾過に先立ち遠心分離による濾過を行うこともでき、これにより、フィルター濾過における目詰まりを少なくし、フィルター交換を少なくできる。
水性インクジェット記録液は、記録装置の方式にもよるが、粘度0.8〜15cps(25℃)の液体として調整することが好ましい。表面張力は、25〜73dyn/cmに調整することが好ましい。pHは、特に制約されないが7〜10の弱アルカリ性が好ましい。
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の「部」及び「%」はいずれも重量に基づく値である。
[実施例1]
<ポリマーエマルション>
モノマー(a1)としてアクリル酸1.2部と、モノマー(a2)としてサイラエース210(ビニルトリメトキシシラン、チッソ(株)製)6部と、モノマー(a3)としてメタクリル酸メチル40.5部と、アクリル酸2−エチルヘキシル51.3部と、アクリルアミド1.0部、乳化剤としてアクアロンKH−20(第一工業製薬(株)製の反応性乳化剤)1.5部と、イオン交換水53.1部との混合物をバッチ式ホモミキサーで乳化することにより、モノマープレエマルションを調製し、滴下槽に入れた。
なお、測定精度を保つために、0.5μm以上の粒子が5000個/cm3程度になるように、モノマー濃度60%程度のモノマープレエマルションを、蒸留水を用いて希釈した。モノマー濃度が0.002%程度の希釈液について、米国PARTICLE SIZING SYSTEMS社製Accusizerを用い、モノマープレエマルションの個数カウント法による体積平均粒子径を求めたところ、3.0μmであった。
還流冷却器、攪拌機、温度計、窒素導入管、原料投入口を具備する容積2Lの4つ口フラスコを反応容器とし、該反応容器にイオン交換水89.4部を入れ、窒素を導入しつつ攪拌しながら、液温を60℃に温めた。次いで、反応容器中に、アルキルフェノールエーテル系の反応性乳化剤としてアクアロンKH−20を0.5部添加し、同時に5%過硫酸アンモニウム(以後、「APS」と略す)水溶液6部(過硫酸アンモニウムとしては、0.3部)を添加した。
反応容器に5%APS水溶液を添加してから10分後に、滴下槽から上記モノマープレエマルションは5時間かけて連続的に滴下し、別の滴下槽から5%APS水溶液6部(過硫酸アンモニウムとしては、0.3部)を5時間かけて断続的に滴下した。この間反応容器内は70℃に保った。
滴下終了後、3時間、70℃に保ち、熟成を行った。その後、冷却を開始し、50℃まで冷却したところでアンモニア水を添加し、180メッシュのポリエステル製の濾布で濾過した。濾布に残った凝集物を150℃で20分間乾燥した。モノマー、乳化剤及び重合開始剤の量を基準に凝集量(重量%)を求めたところ、0.1重量%であった。
濾過後のポリマーエマルションの一部を量り取り、150℃で20分間乾燥させて、不揮発分濃度を求めたところ39.5%であった。また、前記ポリマーエマルションは、pH8、粘度50mPa・sであった。
0.5μ以上の粒子数が5000個/cm3程度が装置上の測定限界なので、そのような範囲になるように、濾過後のポリマーエマルションを不揮発分濃度0.002%に希釈し、マイクロトラックUPA150(Leeds&Northrup社製)を用い、動的光散乱法によるD50粒子径を測定したところ、130nmであった。
別途、濾過後のポリマーエマルションを不揮発分濃度0.002%に希釈し、該希釈液について、米国PARTICLE SIZING SYSTEMS社製Accusizerを用い、個数カウント法による1.5μm以上の超粗大粒子数を測定した。不揮発分濃度0.1%に換算すると、ポリマーエマルション中における1.5μm以上の超粗大粒子数は1.0×105個/cm3であった。
<水性インクジェット記録液>
カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7):100部、イオン交換水:900mlをホモミキサーで攪拌し、顔料濃度10重量%の分散液を得た。
1000mlの4口フラスコに、撹拌羽、還流冷却器を装着し、上記方法で製造したカーボンブラックの分散液:125部、60%硝酸:250部、イオン交換水:125部を仕込み、撹拌しながら約110℃還流下、5時間酸化処理反応を行った後、水洗した。
次いで、逆浸透膜によって残留イオンを除去した後、苛性ソーダ水溶液にてpH9〜10に調整した。その後、粗大粒子除去するために、遠心分離を行って粗大粒子を取り除き、顔料含有率約20%、平均粒径約100nmのカーボンブラック水性分散体を得た。
不揮発分濃度約39.5%の上記ポリマーエマルション:18.8部、顔料含有率分20%の上記カーボンブラック分散体:37.5部、グリセリン:30部、サーフィノール465(エアプロダクツ社製):0.3部、サーフィノール104E(エアプロダクツ社製):0.1部、及びイオン交換水:13.4部をディスパーにより1000rpmで1分間攪拌・混合した後、若しくはディスパーにより攪拌・混合し、均一状態となったことを確認した。その後、5μmのメンブランフィルターで濾過し、続いて1μmのメンブランフィルターで濾過することにより水性インクジェット記録液を得た。得られた水性インクジェット記録液は、後述する方法によりOD値、耐磨耗性を評価した。
[実施例2〜7]
滴下槽に入れたモノマープレエマルションを構成するモノマー組成を表1に示す組成に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、ポリマーエマルションを得た。得られたポリマーエマルションを用い、実施例1と同様にして水性インクジェット記録液を得、同様に評価した。
[実施例8〜9]
滴下槽に入れたモノマープレエマルションを構成する乳化剤であるアクアロンKH−20の量を表1に示す量に変更したうえで、バッチ式ホモミキサーの撹拌条件を変更し、モノマープレエマルションのD50粒子径(体積平均粒子径)を実施例1の場合と同様にし、ポリマーエマルションを得た。得られたポリマーエマルションを用い、実施例1と同様にして水性インクジェット記録液を得、同様に評価した。
[実施例10〜11]
モノマープレエマルションを得る際のバッチ式ホモミキサーの回転数、及び回転時間を制御することで、該モノマープレエマルションの個数カウント法による体積平均粒子径を表1に示す値に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、ポリマーエマルションを得た。
得られたポリマーエマルションを用い、実施例1と同様にして水性インクジェット記録液を得、同様に評価した。
[実施例12〜13]
反応容器中に添加していたアクアロンKH−20の量を0.5部量から、0.6部(実施例12)、0.4部(実施例13)と変更した以外は実施例1と同様に行い、ポリマーエマルションを得た。
得られたポリマーエマルションを用い、実施例1と同様にして水性インクジェット記録液を得、同様に評価した。
[比較例1〜4]
滴下槽に入れたモノマープレエマルションを構成するモノマー組成を表1に示す組成に変更した。
アクリル酸を用いなかった比較例1、アクリル酸の量が多すぎた比較例2、サイラエース210(ビニルトリメトキシシラン)の量が多すぎた比較例4は、いずれも重合が安定して進行しなかったので、重合を途中で止めた。
サイラエース210(ビニルトリメトキシシラン)を用いなかった比較例3は、実施例1と同様にして、モノマープレエマルションを得、ポリマーエマルションを得た。得られたポリマーエマルションを用い、実施例1と同様にして水性インクジェット記録液を得、同様に評価した。
[比較例5]
滴下槽に入れたモノマープレエマルションを構成する乳化剤であるアクアロンKH−20の量を1.5部から0.01部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、モノマーエマルションを得ようとした。しかし、モノマーをエマルション化するための乳化剤量が不足しており、安定したモノマープレエマルションが得られなかったので、重合しなかった。
[比較例6]
滴下槽に入れたモノマープレエマルションを構成する乳化剤であるアクアロンKH−20の量を1.5部から、9.5部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、モノマープレエマルションを得、ポリマーエマルションを得た。得られたポリマーエマルションを用い、実施例1と同様にして水性インクジェット記録液を得、同様に評価した。
[比較例7]
モノマープレエマルションを得る際にバッチ式ホモミキサーの代わりに板羽根を用い、個数カウント法による体積平均粒子径が30μmのモノマープレエマルションを得、以下実施例1と同様の方法によりポリマーエマルションを得、得られたポリマーエマルションを用い、実施例1と同様にして水性インクジェット記録液を得、同様に評価した。
[比較例8〜9]
反応容器中に添加していたアクアロンKH−20の量を0.5部量から、1.5部(比較例8)、0.1部(比較例9)と変更した以外は実施例1と同様に行い、ポリマーエマルションを得、得られたポリマーエマルションを用い、実施例1と同様にして水性インクジェット記録液を得、同様に評価した。
[比較例10]
水及び乳化剤を入れた反応容器に、実施例1記載のモノマーエマルションのうち10重量%を加え、実施例1記載のモノマーエマルションのうち残りの90重量%を滴下槽に入れ、それ以外は実施例1と同様に行い、ポリマーエマルションを得、得られたポリマーエマルションを用い、実施例1と同様にして水性インクジェット記録液を得、同様に評価した。
1.OD値
上記実施例及び比較例で得られた水性インクジェット記録液から、下記の方法に従って塗工物を作製し、この塗工物の光学濃度(OD値)を求めた。
K Control Coarter(松尾産業製)を用い、K101バー #2 レッド/2μ(松尾産業製)にて、PPC(Xerox4024:Xerox製)、上質紙(ニューNPI上質紙:日本製紙製)、およびアート紙(特菱アート両面N:三菱製紙製)上に、上記水性インクジェット記録液をそれぞれ塗工し、乾燥することにより塗工物を得た。
上記塗工物の光学濃度(OD値)は、反射濃度計X−rite528 Spectrodensitometer(X−rite製)を用いて測定した。その結果を、表1及び表2に示す。なお、光学濃度(OD値)が高いものほど、記録液としての光学特性が優れる。
2.耐磨性試験
耐磨性試験は、上記実施例及び比較例で得られた水性インクジェット記録液に対して、上記と同様の方法に従って塗工物を作製し、この塗工物について以下の処理を行った後に評価した。
即ち、上記塗工物の塗工面を、AB−301 COLOR FASTNESS RUBBING TESTER(TESTER SANGYO CO.,LTD.製)を用いて、JIS染色堅ろう度試験用金巾3号にて50回擦った。その後、塗工面の劣化度合いから、塗工物の耐磨性を4段階で評価した。その結果を表1及び表2に示す。非常に良好なものを◎、良好なものを○、不良のものを△、非常に悪いものを×とした。
Figure 0005604961
Figure 0005604961
比較例1は、モノマープレエマルションの粒度状態は適性ではあるが、アクリル酸を用いなかったので、重合中のポリマー粒子の安定性が低く、安定性を保つことができなかった。
一方、比較例2も、モノマープレエマルションの粒度状態は適性ではあるが、アクリル酸の量が多すぎたので、重合の際に生成したポリマーが親水性に富みすぎた結果、ポリマー粒子間表面の絡み合いが強くなりすぎ、安定した分散状態を維持できなかった。
比較例3は、モノマープレエマルション及びポリマーエマルションの粒度状態は適性ではあるが、アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)を全く用いないので、ポリマー粒子内架橋、ポリマー粒子間架橋のいずれも生じ得ない。その結果、ポリマーエマルションとしての性能が低く、インキの目止め性が低いためOD値は低下し、ポリマーの強靭度が低いため耐摩耗性は低下した。
一方、比較例4は、モノマープレエマルションの粒度状態は適性ではあるが、難水溶性のアルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)が多すぎる。アルコキシシリル基を有するエチレン性不飽和単量体(a2)は疎水性に富むので、水相における乳化剤ミセルへの供給が困難となり、重合が困難となる。さらに、アルコキシシリル基を有するエチレン性不飽和単量体(a2)は架橋成分であるため、重合安定性を低下する成分でもある。従って、このような架橋成分が過量だと、重合中に粒子同士が凝集してしまい、安定なポリマーエマルションは得られなくなる。
比較例5は、モノマープレエマルション用の乳化剤が少なすぎるので、モノマープレエマルション自体を得ることができなかった。
一方、比較例6は、モノマープレエマルション及びポリマーエマルションの粒度状態は適性ではあるが、モノマープレエマルション用の乳化剤が多すぎるので、インキ特性に悪影響を与え、水性インクジェット記録液としてのOD値、耐摩耗性の印字特性は劣る。
比較例7は、重合に用いたモノマープレエマルションの個数カウント法による体積平均粒子径が30μmと大きかったので、アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)が、モノマー液滴から水中へ溶解しにくくなる。その結果、ラジカル重合性不飽和モノマー(a2)がポリマー粒子の形成に確実に利用されず、取り残され、個数カウント法による1.5μm以上の超粗大粒子や凝集物を多数生成させてしまった。即ち、アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)の多くは、超粗大粒子や凝集物の生成に消費されてしまい、使用したアルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)のごく一部しかポリマーエマルションの生成に消費されないこととなる。ラジカル重合性不飽和モノマー(a2)が少ないポリマーエマルションを用いたインクジェット記録液からは、比較例3と同様に、耐摩耗性の劣る印刷物しか得られない。さらに、粗大粒子が多く存在するポリマーエマルションを用いたインクジェット記録液は、インキの目止め性能が低下するので、OD値も低くなる。また、粗大粒子が多く存在するポリマーエマルションを用いたインクジェット記録液は、粗大粒子の多さ故に、記録液としての性能が不均一になってしまい、耐摩耗性も劣る。
比較例8は、ポリマーエマルションの動的光散乱法によるD50粒子径が50nmと小さすぎる。このようなポリマーエマルションを用いたインクジェット記録液の粘度が非常に高いため、インクジェット記録液としての安定性に劣り、OD値が低く、耐摩耗性の劣る印刷物しか得られない。
一方、比較例9は、ポリマーエマルションの動的光散乱法によるD50粒子径が200nmであり、平均粒径約100nmのカーボンブラック水性分散体と比較して、ポリマーエマルションの粒子径が大きすぎる。その結果、前記ポリマーは、カーボンブラックに吸着することもできず、カーボンブラックの分散安定化に寄与するができない。このため、記録紙への定着にも寄与できないので、このようなポリマーエマルションを用いたインクジェット記録液からは、OD値が低く、耐摩耗性の劣る印刷物しか得られない。
比較例10は、実施例1と同じモノマープレエマルションを用いる場合であるが、反応容器に5%APS水溶液を添加する前に、モノマープレエマルション10部を反応容器に入れ、残りのモノマープレエマルションに5%APS水溶液を添加してから10分後に反応容器に滴下した場合である。
この場合、モノマープレエマルションの体積平均粒子径は小さく、モノマー液滴から難水溶性のモノマー(a2)を速やかに水に溶解させることは可能であり、モノマープレエマルションの体積平均粒子径が大きい場合と比較し、粗大粒子や凝集物の生成は少なくなると考えられる。しかし、粗大粒子発生の原因であるモノマープレエマルションが重号開始前に既に反応容器中に存在している。開始剤であるAPS水溶液を添加してからモノマープレエマルションを滴下するまでのわずか10分間では、反応容器に添加しておいたモノマープレエマルションが重合により全て消費されるには至らない。即ち、難水溶性のモノマー(a2)が滞留する状態の反応容器に、滴下槽から新たなモノマープレエマルションが供給されることになり、粗大粒子や凝集物を多く含むポリマーエマルションを生成することとなる。粗大粒子を多く含むポリマーエマルションを用いたインクジェット記録液は、インキの目止め性能が低下するので、OD値は低くなり。また、粗大粒子が多く存在するポリマーエマルションを用いたインクジェット記録液は、粗大粒子の多さ故に、記録液としての性能が不均一になってしまい、耐摩耗性も劣る。

Claims (2)

  1. カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a1)0.1〜5重量%、
    アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)0.1〜20重量%、
    その他のラジカル重合性不飽和モノマー(a3)、
    前記モノマー(a1)〜(a3)の合計100重量部に対して、0.1重量部以上5重量部未満の乳化剤、及び水を含有し、
    個数カウント法によるモノマー液滴の体積平均粒子径が0.5〜10μmのモノマープレエマルションを、
    水と、乳化剤と、過硫酸塩およびターシャリーブチルハイドロパーオキサイドから選択される水性重合開始剤とを含有し、前記モノマープレエマルションは含有しない重合場に、滴下し(但し、乳化剤の合計量は0.1重量部よりも多く、5重量部以下)、
    ラジカル重合することを特徴とする、
    動的光散乱法によるポリマーのD50粒子径が100〜150nmであり、個数カウント法では、不揮発分濃度0.1%換算におけるポリマーエマルション中の1.5μm以上の超粗大粒子数が5.0×105個/cm3以下のポリマーエマルションの製造方法。
  2. さらに動的光散乱法では、粒子径が0.5μm以上の粗大粒子が観察されないことを特徴とする請求項1記載のポリマーエマルションの製造方法。
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