JP5604793B2 - 撥水撥油膜の形成方法 - Google Patents
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Description
特に、滑り軸受等のように、摺動面を有する摺動部材を備えた装置においては、シールを使用しないで済むような、高い撥水撥油性を有する摺動部材が要求されている。
特許文献1には、固体物品の表面を超撥水処理するために用いるコーティング溶液として、アルコール、テトラアルコキシシラン、平均粒径が5〜20nmである疎水性シリカ微粒子、および水を含むコーティング溶液が記載されている。
ハロゲンアルコキシ金属塩の場合は、ハロゲンとして塩素が好ましく、アルキル部分がメチル、エチル、プロピル、ブチル基であることが好ましく、アルコキシ金属塩の金属種としては、シリコン、チタン、アルミニウムが好ましい。
第一の溶液の組成の一例を具体的に述べると、アルコキシ金属塩が1質量%以上10質量%以下、水と塩酸の合計が1質量%以上20質量%以下、アルコールが30質量%以上95質量%以下、金属酸化物の微粒子が0.1質量%以上5質量%以下であって、塩酸によりpHが6以下に調整されているものである。
前記第二の溶液および第四の溶液は、アルカリ金属塩(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)の水溶液であることが好ましく、特に、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。また、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等も使用できる。また、各種のpH緩衝剤を併用してもよい。また、必要に応じ、炭素数1〜6の低級アルキルアルコールと水との混合溶媒で作成してもよい。水およびこれらの成分は、純度が高いことが望ましい。
前記第三の溶液に含まれるフッ素含有有機化合物は、フッ素系界面活性剤、フッ素系カップリング剤、およびフッ素系ポリマーのいずれか、もしくはこれらの混合物であることが好ましい。
具体的には、1H,1H,2H,2H,−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリクロロシラン−3−ヘプタフルオロイソプロポキシプロピルトリクロロシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロドデシルトリエトキシシラン、3−トリフルオロアセトキシプロピルトリメトキシシラン等が使用できる。
第一の溶液に接触させる方法としては、浸漬法、スプレー法、スピンコート法等の手法が使用できる。浸漬法においては、被成膜部材表面の粗さの奥まで第一の溶液がいきわたるように、超音波を使用したり、溶液中で被成膜部材を動かしたり、あるいは、大気圧よりも減圧する等の方法を併用することもできる。また、特に、第一の溶液に金属の微粒子が含まれている場合は、微粒子が溶液中に均一に分散するように、攪拌しながら浸漬を行うことが好ましい。
第一の溶液との接触を所定の方法で所定時間行った後、速やかに、第二の溶液と接触させることが好ましい。第二の溶液と接触させる前に、付着した液を取り除く工程を設けても良い。付着した液を取り除く方法としては、遠心力を用いて液切りする方法、清浄エアーや不活性ガスを使用して液切りする方法等が使用できる。清拭等の、直接表面に固形物が接触する可能性のある方法は好ましくない。
第二の溶液と接触させた後の被成膜部材を、すみやかに第2工程の最初の工程である第三の溶液と接触させてもよいが、第二の溶液との接触後に乾燥工程を設けることが好ましい。第二の溶液との接触により、被成膜部材の表面に強固な金属酸化物層が形成されているため、一旦乾燥させることで、被成膜部材の表面に金属酸化物層をよりいっそう強固に固着させることができる。ただし、乾燥する前には、付着した第二の溶液を取り除くことが好ましい。第二の溶液を取り除く方法としては、アルコール等による洗浄、あるいは、遠心力を用いて液切りする方法、清浄エアーや不活性ガスを用いて液切りする方法等が使用できる。これらの方法で、付着した第二の溶液を取り除いた後、乾燥させるため、加熱することも可能である。好ましくは、50〜100℃程度の温度で数分から数時間保持する。
被成膜部材は第三の溶液と接触させた後に第四の溶液と接触させる。この第2の工程における第三の溶液および第四の溶液との接触方法と、第三の溶液との接触から第四の溶液との接触への移行方法、温度、時間等の条件は、第一の溶液との接触から第二の溶液との接触への移行方法および条件と同様である。
本発明はまた、本発明の方法により撥水撥油被膜が形成されている撥水撥油性部材を提供する。
本発明はまた、内輪の外周面に嵌合させる環状部を有するスリンガと、外輪の内周面に嵌合させる環状部を有する芯金に、スリンガに摺接させるリップ部を有する弾性部材が固定されたシールと、からなり、前記スリンガの環状部の内輪の外周面に対する嵌合面および前記芯金の環状部の外輪の内周面に対する嵌合面の少なくともいずれかに、本発明の方法で撥水撥油被膜が形成されていることを特徴とするシール装置を提供する。
2 外輪
3 永久磁石
4 磁性流体
10 内側部材
1a 第1の部材(ハブ輪)
1b 第2の部材(内輪)
11b 内輪軌道
11 内輪
12 ハブ
13 フランジ
20 外側部材
21 外輪
21a 軌道溝
21b 軌道溝
22a 懸架装置(車体側部材)を固定するボルト穴
22 フランジ
30 玉(転動体)
40 保持器
5 第1のシール
6 第2のシール
7 スリンガ
8 車輪側部材
[第1実施形態]
この実施形態では、表面が平滑な金属板を被成膜部材として使用し、金属酸化物の微粒子を含まない第一の溶液を使用する。金属板としては、熱処理を施して硬さをHRC60に調整した高炭素クロム鋼(SUJ2)を用いた。金属板の大きさは、40mm×50mm×厚さ1mmである。この金属板の被成膜表面は、あらかじめラップ加工(超仕上げ加工)とバフ研磨により平均表面粗さ(Ra)を0.001μmにしてある。この金属板を、第一の溶液に接触させる直前にメタノールで超音波洗浄して乾燥させた。
第二の溶液として、pH12の水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
第三の溶液として、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシランを16.0質量%の割合で含有し、エタノールを78.5質量%の割合で含有し、pHが1〜8の各値になるように塩酸または水酸化ナトリウムを加えた水溶液を調製した。
金属板に付着した第一の溶液および第三の溶液が、第二の溶液および第四の溶液に混入することも考慮して、第二の溶液および第四の溶液は、1枚の金属板を処理するために500ml以上用意した。
第二の溶液として、純水とエタノールからなり、pHが6〜14の各値になるように塩酸または水酸化ナトリウムを加えた水溶液を調製した。
第四の溶液は、第二の溶液と同様にして調製したpH6〜14の水溶液である。
これらの溶液を用いた以外は全て上記と同じ方法で、同じ金属板に対する処理を行い、同じ方法で接触角を測定した。その結果を表2に示す。
No.3-2では、pH3.0の第三の溶液に上記と同じ方法で同じ金属板を接触させた後、第四の溶液に接触させないで、上記と同じ後処理を行った。そして、形成された膜の接触角を同じ方法で測定した。
No.3-4では、pH1.0の第三の溶液に上記と同じ方法で同じ金属板を接触させた後、第四の溶液に接触させないで、上記と同じ後処理を行った。そして、形成された膜の接触角を同じ方法で測定した。
これらの結果を表3に示す。
[第2実施形態]
この実施形態では、表面が平滑な金属板を被成膜部材として使用し、金属酸化物の微粒子を含む第一の溶液を使用する。金属板としては、熱処理を施して硬さをHRC60に調整した高炭素クロム鋼(SUJ2)を用いた。金属板の大きさは、40mm×50mm×厚さ1mmである。この金属板の被成膜表面は、あらかじめラップ加工(超仕上げ加工)とバフ研磨により平均表面粗さ(Ra)を0.001μmにしてある。この金属板を、第一の溶液に接触させる直前にメタノールで超音波洗浄して乾燥させた。
No. 4−2では、テトラエトキシシランを6.8質量%の割合で含有し、エタノールを87.8質量%の割合で含有し、平均一次粒径が40nmのチタニア微粒子を2.0質量%の割合で含有し、pHが3.0になるように塩酸と水を加えた水溶液を調製した。
これらの第一の溶液は、先ず、エタノールに各微粒子を加えて密封防爆型ホモジナイザーで攪拌分散させた後に、テトラエトキシシランと塩酸と水を加えることで調製した。
第三の溶液として、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシランを16.0質量%の割合で含有し、エタノールを78.5質量%の割合で含有し、pHが3.0になるように塩酸を加えた水溶液を調製した。
第四の溶液は、第二の溶液と同様にして調製したpH12の水酸化ナトリウム水溶液である。
前述の乾燥を行った直後の金属板を第一の溶液(約25℃)に大気圧下で30分間浸漬した。浸漬中は、緩やかに第一の溶液を攪拌した。30分間の浸漬後、金属板を引き上げて、速やかに第二の溶液に(約25℃)大気圧下で30分間浸漬した。浸漬中は、緩やかに第二の溶液を攪拌した。30分間の浸漬後、金属板を引き上げてエタノールですすいだ後、エタノールで超音波洗浄を行った。その後、約80℃のクリーンオーブンで30分間乾燥を行った。この段階で、金属板の表面に金属酸化物層が形成されている。
また、形成された撥水撥油膜の表面積率比は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて未処理金属板と成膜後の金属板の両方について実表面積を測定して、両者の比率を算出することで得た。その結果を表4に示す。
この実施形態では、被成膜部材として、40mm×50mm×厚さ1mmのステンレス鋼板(SUS304)の平均表面粗さ(Ra)を、ラップ加工(超仕上げ加工)とバフ研磨により0.001μmとした後、さらに、下記の表面加工により0.01μm〜0.5μmに調整したもの(No. 5−1〜5−5)と、20mm×80mm×厚さ1mmの板ガラスを洗浄したもの(No. 5−6)を使用した。
水溶液Aは、テトラエトキシシランを6.1質量%の割合で含有し、エタノールを87.8質量%の割合で含有し、平均一次粒径が30nmのシリカ微粒子を1.0質量%の割合で含有し、pHが3.0になるように塩酸と水を加えた水溶液である。
水溶液Bは、平均一次粒径が30nmのシリカ微粒子を2.0質量%の割合で含有し、pHが3.0になるように塩酸と水を加えた水溶液である。
第二の溶液として、pH12の水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
第三の溶液として、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシランを16.0質量%の割合で含有し、エタノールを78.5質量%の割合で含有し、pHが3.0になるように塩酸を加えた水溶液を調製した。
これらの溶液を用い、前述の加工がなされた各被成膜部材に対して第2実施形態と同じ方法で処理を行い、撥水撥油膜を形成した。ただし、No. 5−1と5−4では第一の溶液として溶液Aを使用し、No. 5−6では第一の溶液として溶液Bを使用し、No. 5−2、5−3、5−5では第一の溶液として溶液Cを使用した。
図1は、摺動面を有する部材の一例である滑り軸受を示す図であって、上側から見た上面図(a)と、そのA−A断面図(b)と、滑り軸受を下側から見た下面図(c)とからなる。
この滑り軸受は、永久磁石3の磁力により、磁性流体4が内輪1と永久磁石3との隙間部に保持されるとともに、撥水撥油膜の撥油作用により、シールを設けなくても磁性流体4が外部へ漏れ出すことが防止される。また、磁性流体4が内輪1の撥水撥油膜面を滑るため、粘性(粘度)が高い磁性流体4を使用しても、この滑り軸受は低トルクで回転可能である。よって、この滑り軸受は、粘性(粘度)の高い磁性流体4を使用することで、スムーズな回転を確保しながら、シールを設けなくても磁性流体4を漏洩しないようにできる。なお、必要であればシールを設けてもよい。
図2は、本発明の転がり軸受の一実施形態である、ユニット化された車輪支持用軸受(ハブユニット軸受)の一例を示す断面図である。このハブユニット軸受は、内側部材10と、外側部材20と、玉(転動体)30と、保持器40と、第1のシール5と、第2のシール6と、スリンガ7とで構成され、玉30が転動する軌道を二列備えている。
図3に示すように、スリンガ7は、内輪軌道11bが形成されている第2の部材(内輪)1bの外周面100に嵌合する環状部71と、その軸方向一端に形成された外向きフランジ部72とからなる。
このようなハブユニット軸受では、第2のシール6が設けてある側からの泥水などの侵入が問題となるが、水の侵入経路は、第2のシール6のリップ部62a〜62cとスリンガ7との間であることは少なく、スリンガ7の環状部71と第2の部材1bの外周面100との嵌合部や、第2のシール6の環状部61bと外側部材20の内周面200との嵌合部であることが多い。
この実施形態では、スリンガ7の全面と第2のシール6の環状部61bの外周面に下記の方法で撥水撥油膜を形成し、その浸水防止効果を調べた。スリンガ7および第2のシール6の環状部61bはSUS304製で表面が不動態化処理されたものである。スリンガ7および第2のシール6の環状部61bの平均表面粗さ(Ra)は0.001μm〜1μmの範囲内である。また、撥水撥油膜を形成する前に、スリンガ7についてはエタノールで超音波洗浄を行い、第2のシール6の環状部61bの外周面はエタノールで拭くことで清浄化した。
第2のシール6については、環状部61bの外周面に、下記の溶液イ(25℃)をスプレー法で塗布した後、pH12の水酸化ナトリウム水溶液(25℃)をスプレー法で塗布した。次に、エタノールですすぎ、120℃で30分間乾燥させた。これにより、環状部61bの外周面に撥水撥油膜が形成された。
1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシランを16.0質量%の割合で含有し、エタノールを78.5質量%の割合で含有し、pHが6.0になるように塩酸を加えた水溶液。
1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシランを16.0質量%の割合で含有し、エタノールを78.5質量%の割合で含有し、pHが3.0になるように塩酸を加えた水溶液。
次に、乾燥後のスリンガ7を、室温(約25℃)まで自然冷却した後、前記溶液ロ(25℃)に大気圧下で30分間浸漬した。次に、pH12の水酸化ナトリウム水溶液(25℃)に大気圧下で30分間浸漬した。次に、エタノールですすぎ、120℃で30分間乾燥させた。この段階で、金属酸化物層の上に撥水撥油層が形成されている。
次に、乾燥後のシール6を、室温(約25℃)まで自然冷却した後、環状部61bの外周面に、前記溶液ロ(25℃)をスプレー法で塗布した後、pH12の水酸化ナトリウム水溶液(25℃)をスプレー法で塗布した。次に、エタノールですすぎ、120℃で30分間乾燥させた。この段階で、金属酸化物層の上に撥水撥油層が形成されている。
テトラエトキシシランを6.1質量%の割合で含有し、エタノールを87.8質量%の割合で含有し、pHが3になるように塩酸を加えた水溶液。
サンプルNo. 6−4では、溶液ハに代えて下記の溶液ニを用いた以外はNo. 6−3と同じ方法で、スリンガ7の全面および第2のシール6の環状部61bの外周面に対する処理を行った。これにより、スリンガ7の表面および環状部61bの外周面に、金属酸化物層を介して撥水撥油層が形成された。
テトラエトキシシランを6.1質量%の割合で含有し、エタノールを87.8質量%の割合で含有し、平均一次粒径が30nmのシリカ微粒子を1.0質量%の割合で含有し、pHが3.0になるように塩酸と水を加えた水溶液。
サンプルNo. 6−5では、溶液ハに代えて下記の溶液ホを用いた以外はNo. 6−3と同じ方法で、スリンガ7の全面および第2のシール6の環状部61bの外周面に対する処理を行った。これにより、スリンガ7の表面および環状部61bの外周面に、金属酸化物層を介して撥水撥油層が形成された。
テトラエトキシシランを6.1質量%の割合で含有し、エタノールを87.8質量%の割合で含有し、一次粒径が5〜50nmのチタニア微粒子を1.0質量%の割合で含有し、pHが3.0になるように塩酸と水を加えた水溶液。
サンプルNo. 6−6では、溶液ハに代えて下記の溶液ヘを用いた以外はNo. 6−3と同じ方法で、スリンガ7の全面および第2のシール6の環状部61bの外周面に対する処理を行った。これにより、スリンガ7の表面および環状部61bの外周面に、金属酸化物層を介して撥水撥油層が形成された。
テトラエトキシシランを6.1質量%の割合で含有し、エタノールを87.8質量%の割合で含有し、一次粒径が5〜60nmのアルミナ微粒子を0.8質量%の割合で含有し、pHが3.0になるように塩酸と水を加えた水溶液。
サンプルNo. 6−7では、スリンガ7を下記の溶液ト(25℃)に大気圧下で30分間浸漬した後、120℃で30分間乾燥させた。第2のシール6については、環状部61bの外周面に、下記の溶液ト(25℃)をスプレー法で塗布した後、120℃で30分間乾燥させた。これにより、スリンガ7の表面および環状部61bの外周面に、フッ素系界面活性剤からなる被膜が形成された。
フッ素系界面活性剤である、日本メクトロン(株)製のパーフルオロアルキル−エチルアクリレート共重合体「ノックスガードST−430」を、エタノールで0.5質量%に希釈した溶液。
サンプルNo. 6−8として、スリンガ7および第2のシール6の環状部61bに対する被膜の形成を行わないものを用意した。
この結果から、本発明の方法で撥水撥油膜が形成されたサンプルNo. 6−1〜6−6のスリンガ7および第2のシール6が取り付けられている軸受は、従来のフッ素系界面活性剤からなる被膜が形成されたサンプルNo. 6−7と被膜が形成されていないサンプルNo. 6−8のスリンガ7および第2のシール6が取り付けられている軸受と比較して、浸水量を少なくできることが分かる。特に、金属酸化物の微粒子を含む第一の溶液を使用して金属酸化物層の形成を行い、この金属酸化物層を介して撥水撥油層が形成されているサンプルNo. 6−4〜6−6では、浸水量を極めて少なくすることができる。
Claims (10)
- 被成膜部材の表面に撥水撥油膜を形成する方法であって、
被成膜部材を、水と少なくとも1種のアルコキシ金属塩とを必須成分とし、pHが6以下である第一の溶液に接触させた後、第一の溶液との接触が解除された前記被成膜部材を、pH11〜13のアルカリ性溶液である第二の溶液と接触させることにより、前記被成膜部材の表面に金属酸化物層を形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記被成膜部材を、フッ素含有有機化合物を含み、pHが6以下の溶液である第三の溶液と接触させた後、第三の溶液との接触が解除された前記被成膜部材を、pH9〜14のアルカリ性溶液である第四の溶液と接触させることにより、前記金属酸化物層の上に撥水撥油層を形成する第2の工程と、
を含む撥水撥油膜の形成方法。 - 前記第一の溶液は、アルコキシ金属塩として、金属種がシリコン、チタン、もしくはアルミニウムで、アルキル部分の炭素数が1〜6の低級アルキルであるテトラアルキルアルコキシ金属塩、またはテトラハロゲンアルコキシ金属塩を含有する請求項1記載の撥水撥油膜の形成方法。
- 前記第一の溶液または前記第三の溶液は、炭素数1〜6の低級アルコールを更に含む請求項1記載の撥水撥油膜の形成方法。
- 前記第一の溶液は、平均粒径が1nm以上200nm以下である金属酸化物微粒子を0.1以上5.0重量%以下の割合で含有する請求項1記載の撥水撥油膜の形成方法。
- 前記第二の溶液または前記第四の溶液はアルカリ金属塩の水溶液である請求項1記載の撥水撥油膜の形成方法。
- 前記第三の溶液に含まれるフッ素含有有機化合物が、フッ素系界面活性剤、フッ素系カップリング剤、およびフッ素系ポリマーのいずれかである請求項1記載の撥水撥油膜の形成方法。
- 被成膜部材の表面に撥水撥油膜を形成する方法であって、
被成膜部材を、シリコン、チタン、またはアルミニウムを含有するフッ素系カップリング剤と、水と、炭素数1〜6の低級アルコールと、を含有し、pHが6以下である液体に接触させる工程と、
前記工程の後に、前記液体との接触が解除された前記被成膜部材を、アルカリ金属塩を含有し、pHが11〜13である溶液に接触させる工程と、
を含む撥水撥油膜の形成方法。 - 平均表面粗さ(Ra)が0.001μm以上4μm以下である被成膜面に対して前記第1の工程を行う請求項1または7に記載された撥水撥油膜の形成方法。
- 表面積率が1.1以上の被成膜面に対して前記第1の工程を行う請求項1または7に記載された撥水撥油膜の形成方法。
- 前記被成膜部材は無機系材料からなる請求項1または7に記載された撥水撥油膜の形成方法。
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