本発明に用いるテトラサイクリン系抗生物質は、抗菌スペクトルの広い静菌性抗生物質である。テトラサイクリン系抗生物質として、種々の化合物が製造されており、たとえば、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメチルクロルテトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、クロルテトラサイクリン等が挙げられる。テトラサイクリン系抗生物質は塩の形態であってもよく、当該塩としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩;ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩が挙げられる。本発明においては、これらより1種または2種以上を選択して用いる。
本発明に用いるテトラサイクリン系抗生物質は市販品を用いてもよく、あるいは公知技術に従って製造したものを用いてもよいが、市販品を用いるのが便利である。
本発明においては、テトラサイクリン系抗生物質として、クロルテトラサイクリン、テトラサイクリンおよびオキシテトラサイクリン、ならびにそれらの塩よりなる群から1種または2種以上を選択して用いることが好ましく、クロルテトラサイクリン塩酸塩、テトラサイクリン塩酸塩およびオキシテトラサイクリン塩酸塩よりなる群から選択した1種または2種以上を用いることが特に好ましい。
本発明の工業用殺菌組成物は、上記のテトラサイクリン系抗生物質に加えて、イソチアゾリン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ハロアセチレン系化合物およびテトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物よりなる群から選択した1種または2種以上の抗菌性化合物を併用してなる。前記抗菌性化合物を併用することにより、抗菌スペクトルが拡大し、かつ抗菌活性が相乗的に上昇する。
イソチアゾリン系化合物は、次の式(1)で示される。
[式中、R1は水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、R2およびR3は同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。]
式(1)中、R1で示される「置換されていてもよい炭化水素基の炭化水素基」としては、炭素数1〜20の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜14の炭化水素基がより好ましく、たとえば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基およびアリール基等が挙げられる。
アルキル基としては、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、1−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、1−プロピルペンチル、1,1−ジメチルヘキシル、1−エチル−1−メチルペンチル、1,1−ジエチルブチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル等の炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
アルケニル基としては、たとえば、エテニル(ビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−へキセニル、2−へキセニル、3−へキセニル、4−へキセニル、5−へキセニル等の炭素数2〜6のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基としては、たとえば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−へキシニル、2−へキシニル、3−へキシニル、4−へキシニル、5−へキシニル等の炭素数2〜6のアルキニル基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。
アリール基としては、たとえば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル等の炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
R1で示される「置換されていてもよい炭化水素基の置換基」としては、水酸基;塩素、フッ素、臭素およびヨウ素のハロゲン原子;シアノ基;アミノ基;カルボキシル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フェノキシ等の炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜10のアリールオキシ基;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ等の炭素数1〜4のアルキルチオ基;フェニルチオ等の炭素数6〜20のアリールチオ基などが挙げられる。当該置換基は同一または異なっていてもよく、1〜5個、好ましくは1〜3個が置換していてもよい。
R1で示される「置換されていてもよい炭化水素基」としては、無置換の炭化水素基が好ましく、その中でもアルキル基またはシクロアルキル基が好ましい。当該アルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、およびn−オクチル、イソオクチル、1−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、1−プロピルペンチル、1,1−ジメチルヘキシル、1−エチル−1−メチルペンチル、1,1−ジエチルブチル、2−エチルヘキシル等の炭素数8のアルキル基がより好ましく、メチル、エチル、n−ブチル、n−オクチルがさらに好ましい。シクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、シクロヘキシルがより好ましい。
R1としては、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、およびn−オクチル、イソオクチル、sec−オクチル(1−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、1−プロピルペンチル等)、tert−オクチル(1,1−ジメチルヘキシル、1−エチル−1−メチルペンチル、1,1−ジエチルブチル等)、2−エチルヘキシル等の炭素数8のアルキル基がさらに好ましく、メチル、エチル、n−ブチル、n−オクチルが特に好ましい。
式(1)中、R2またはR3で示されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられ、これらの中でも塩素原子が好ましい。
また、R2またはR3で示される「置換されていてもよい炭化水素基」としては、上記したR1で示される「置換されていてもよい炭化水素基」と同様のものが挙げられ、中でも無置換の炭化水素基が好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
R2およびR3としては、同一または異なって、それぞれ水素原子またはハロゲン原子が好ましく、水素原子または塩素原子がより好ましい。
イソチアゾリン系化合物の具体例としては、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−シクロヘキシル−4−イソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。これらのうち、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンが好ましく、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。上記イソチアゾリン系化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ベンゾイソチアゾリン系化合物は、次の式(2)で示される。
[式中、A1環は置換されていてもよいベンゼン環を示し、Yは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。]
式(2)中、A1環で示される「置換されていてもよいベンゼン環」の置換基としては、上記したR1で示される「置換されていてもよい炭化水素基」の置換基と同様のものを挙げることができ、中でも、ハロゲン原子;およびメチル、エチル、プロピル、ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。これらの置換基は同一または異なっていてもよく、ベンゼン環に1〜4個、好ましくは1個または2個置換されていてもよい。なお、A1環で示される「置換されていてもよいベンゼン環」としては、無置換のベンゼン環が好ましい。
式(2)中、Yで示される「置換されていてもよい炭化水素基」としては、上記したR1で示される「置換されていてもよい炭化水素基」と同様のものが挙げられ、中でも無置換の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基(特にn−ブチル)が特に好ましい。
Yとしては、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基(特にn−ブチル)が特に好ましい。
ベンゾイソチアゾリン系化合物の好適な具体例としては、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。上記ベンゾイソチアゾリン系化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ベンゾイミダゾール系化合物は、次の式(3)で示される。
[式中、A2環は置換されていてもよいベンゼン環を示し、Zは−NHCOOR4(式中、R4は水素原子またはアルキル基を示す。)で示される基または置換されていてもよい5または6員の含窒素複素環基を示す。]
式(3)中、A2環で示される「置換されていてもよいベンゼン環」の置換基としては、上記したR1で示される「置換されていてもよい炭化水素基」の置換基と同様のものを挙げることができ、中でも、ハロゲン原子、およびメチル、エチル、プロピル、ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。これらの置換基は同一または異なっていてもよく、ベンゼン環に1〜4個、好ましくは1個または2個置換していてもよい。なお、A2環で示される「置換されていてもよいベンゼン環」としては、置換されていないベンゼン環が好ましい。
式(3)中、Zで示される−NHCOOR4において、R4で示されるアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−へキシル、n−ヘプチルおよびn−オクチル等の炭素数1〜8のアルキル基が挙げられ、それらのうち、メチル、エチル、n−プロピル等の炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。
また式(3)中、Zで示される「置換されていてもよい5または6員の含窒素複素環基」としては、1〜4個の窒素原子を環構成原子として含有するか、或いは1〜2個の窒素原子に加えて、酸素原子および硫黄原子から選ばれた1個のヘテロ原子を環構成原子として含有する5または6員環の単環式複素環基や、この5または6員の含窒素複素環にベンゼン環または5員環が縮合した縮合複素環基が挙げられる。5または6員の含窒素単環式複素環基としては、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル等のピリジル基;2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル等のチアゾリル基;3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル等のイソチアゾリル基;1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル等のイミダゾリル基;1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル等のピロリル基;2−ピロリニル、3−ピロリニル等のピロリニル基;フラザニル基;1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル等のピロリジニル基;2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、5−イミダゾリジニル等のイミダゾリジニル基;1−ピラゾリジニル等のピラゾリジニル基;5−ピラゾリル等のピラゾリル基;2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル等のオキサゾリル基;3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル等のイソオキサゾリル基;1H−テトラゾリル、2H−テトラゾリル等のテトラゾリル基;2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ピリミジル等のピリミジル基;3−ピリダジニル、4−ピリダジニル等のピリダジニル基;2−ピラジニル、3−ピラジニル等のピラジニル基;1,2−チアジン−3−イル、1,2−チアジン−4−イル、1,3−チアジン−2−イル、1,3−チアジン−4−イル、1,4−チアジン−2−イル、1,4−チアジン−3−イル等のチアジニル基;1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、3−ピペラジニル等のピペラジニル基;1,2,3−チアジアジン−4−イル、1,2,3−チアジアジン−5−イル、1,2,3−チアジアジン−6−イル、1,2,4−チアジアジン−3−イル、1,3,4−チアジアジン−2−イル等のチアジアジニル基;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,2,3−オキサジアゾール−4−イル、1,2,3−オキサジアゾール−5−イル等のオキサジアゾリル基;1,2,3−チアジアゾール−4−イル、1,2,3−チアジアゾール−5−イル等のチアジアゾリル基;1,2,3−トリアゾール−4−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル等のトリアゾリル基;2−チオモルホリニル、3−チオモルホリニル、4−チオモルホリニル、5−チオモルホリニル、6−チオモルホリニル等のチオモルホリニル基;2−モルホリニル、3−モルホリニル、4−モルホリニル、5−モルホリニル、6−モルホリニル等のモルホリニル基;2−オキソイミダジニル等のオキソイミダジニル基;1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン−1−イル、1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン−2−イル、1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン−4−イル等のジオキソトリアジニル基;1−ピペリジル、2−ピペリジル、3−ピペリジル、4−ピペリジル等のピペリジル基などが挙げられる。上記縮合複素環基としては、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル等のキノリル基;3−イソキノリル、4−イソキノリル等のイソキノリル基;2−インドリル、3−インドリル等のインドリル基;1H−イソインドール−3−イル等のイソインドリル基;8−キノリジニル等のキノリジニル基;1H−プリン−6−イル、3H−プリン−6−イル等のプリニル基;3−シンノリニル、5−シンノリニル等のシンノリニル基;3−インダゾリル等のインダゾリル基;2−プテリジニル等のプテリジニル基;4−フタラジニル等のフタラジニル基;2−キナゾリニル、4−キナゾリニル等のキナゾリニル基;2−キノキサリニル、3−キノキサリニル等のキノキサリニル基;2−インドリジニル等のインドリジニル基;2H−1,3−ベンゾオキサジン−2−イル等のベンゾオキサジニル基;2−フェノチアジニル、3−フェノチアジニル等のフェノチアジニル基;2−フェナジニル、3−フェナジニル等のフェナジニル基;2−フェノキサジニル、3−フェノキサジニル、4−フェノキサジニル等のフェノキサジニル基などが挙げられる。上記複素環基のうち、5員含窒素複素環基が好ましく、特にチアゾリル基が好ましい。
上記複素環の置換基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;水酸基;アミノ基;ニトロ基;メルカプト基などが挙げられる。
Zで示される「置換されていてもよい5または6員の含窒素複素環基」としては、無置換の5または6員の含窒素複素環基が好ましく、無置換の5員の含窒素複素環基がより好ましく、チアゾリル基が特に好ましい。
Zとしては、−NHCOOR4(式中、R4は炭素数1〜8のアルキル基である。)で示される基または無置換の5または6員の含窒素複素環基が好ましく、−NHCOOR4(式中、R4は炭素数1〜3のアルキル基である。)で示される基または無置換の5員の含窒素複素環基がより好ましく、−NHCOOR4(式中、R4は炭素数1〜3のアルキル基である。)で示される基またはチアゾリル基が特に好ましい。
ベンゾイミダゾール系化合物の好適な具体例としては、メチル 2−ベンゾイミダゾールカルバメート、エチル 2−ベンゾイミダゾールカルバメート、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール等が挙げられる。上記ベンゾイミダゾール系化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ハロアセチレン系化合物は、次の式(4)で示される。
[式中、Xはハロゲン原子を示し、R5およびR6は同一または異なって、それぞれ水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、mは0または1の整数を示す。]
式(4)中、Xで示されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素の各原子が挙げられ、特にヨウ素原子が好ましい。
式(4)中、R5またはR6で示される「置換されていてもよい炭化水素基」としては、上記したR1で示される「置換されていてもよい炭化水素基」と同様のものが挙げられる。中でも無置換の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数3〜8のシクロアルキル基がより好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらにより好ましく、n−ブチルが特に好ましい。
さらに、R5およびR6の一方が置換されていてもよい炭化水素基であり、他方が水素原子であることが好ましく、R5およびR6の一方が炭素数1〜10のアルキル基であり、他方が水素原子であることがより好ましく、R5およびR6の一方が炭素数1〜4のアルキル基(特にn−ブチル)であり、他方が水素原子であることが特に好ましい。
式(4)中、mは0または1の整数を示し、mが0のとき、ハロアセチレン系化合物は酸アミド誘導体となり、mが1のときは、ハロアセチレン系化合物はカルバメート誘導体となる。これらのうち、mが1であるハロアセチレン系化合物のカルバメート誘導体が好ましい。
ハロアセチレン系化合物の具体例としては、mが0である場合のハロアセチレン系化合物の酸アミド誘導体として、3−クロロプロピオール酸アミド、N−メチル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−エチル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−プロピル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−ブチル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−ヘキシル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−オクチル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−シクロヘキシル−3−クロロプロピオール酸アミド等の(N−置換−)3−クロロプロピオール酸アミド;3−ブロモプロピオール酸アミド、N−メチル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−エチル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−プロピル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−ブチル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−ヘキシル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−オクチル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−シクロヘキシル−3−ブロモプロピオール酸アミド等の(N−置換−)3−ブロモプロピオール酸アミド;3−ヨードプロピオール酸アミド、N−メチル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−エチル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−プロピル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−ブチル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−ヘキシル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−オクチル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−シクロヘキシル−3−ヨードプロピオール酸アミド等の(N−置換−)3−ヨードプロピオール酸アミドなどが挙げられる。これらのうち、(N−置換−)3−ヨードプロピオール酸アミドが好ましく、N−ブチル−3−ヨードプロピオール酸アミドがより好ましい。
また、mが1である場合のハロアセチレン系化合物のカルバメート誘導体として、3−ヨード−2−プロピニル N−メチルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル N−エチルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル N−プロピルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル N−ブチルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル N−ヘキシルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル N−オクチルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル N−シクロヘキシルカルバメート等の3−ヨード−2−プロピニル N−アルキルカルバメートなどが挙げられ、中でも3−ヨード−2−プロピニル N−ブチルカルバメートが好ましい。
上記ハロアセチレン系化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物は、次の式(5)で示される。
[式中、Y1、Y2、Y3およびY4は同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。]
式(5)中、Y1、Y2、Y3またはY4で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素の各原子が挙げられ、特に塩素原子が好ましい。また、Y1、Y2、Y3またはY4で表される「置換されていてもよい炭化水素基」としては、上記したR1で示される「置換されていてもよい炭化水素基」と同様のものが挙げられ、中でもメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
Y1、Y2、Y3およびY4としては、Y1、Y2、Y3およびY4のすべてがハロゲン原子であるか、Y1、Y2およびY3がハロゲン原子でかつY4が水素原子であるか、Y1およびY4がハロゲン原子でかつY2およびY3が水素原子であることが好ましく、Y1、Y2、Y3およびY4のすべてがハロゲン原子であることがより好ましく、Y1、Y2、Y3およびY4のすべてが塩素原子であることが特に好ましい。
テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物の具体例としては、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,3,4,4−テトラブロモテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,4−ジクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,3,4−トリクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,3,4−トリブロモテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド等が挙げられ、これらのうち、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドが特に好ましい。上記テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記のイソチアゾリン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ハロアセチレン系化合物およびテトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物は、塩基性化合物の場合は酸との塩として用いてもよく、また、酸性化合物の場合は塩基との塩として用いてもよい。
酸との塩としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩;ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩が挙げられる。
塩基との塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、tert−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン等の有機アミンとの塩などが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ハロアセチレン系化合物およびテトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物、ならびにそれらの塩としては、市販品を用いてもよく、あるいは公知技術に従って製造したものを用いてもよいが、市販品を用いるのが便利である。
本発明の工業用殺菌組成物においては、相乗的な抗菌活性の増強が見られるため、テトラサイクリン系抗生物質の1種または2種以上の含有量は、剤形、適用対象や使用環境等にもよるが、合計で0.1重量%〜40重量%が好ましく、1重量%〜40重量%がより好ましい。また、イソチアゾリン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ハロアセチレン系化合物およびテトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物、ならびにそれらの塩よりなる群から選択した1種または2種以上の抗菌性化合物の含有量は、これらの合計で0.1重量%〜40重量%が好ましく、1重量%〜40重量%がより好ましい。
本発明の工業用殺菌組成物において、より広範な抗菌スペクトルと十分な抗菌活性を得るためには、テトラサイクリン系抗生物質の1種または2種以上と、上記の抗菌性化合物の1種または2種以上は、9:1〜1:9の重量比となるように含有させることが好ましく、8:2〜2:8の重量比となるように含有させることが特に好ましい。
本発明の工業用殺菌組成物は、溶剤に溶解させ、または界面活性剤もしくは溶解助剤等を用いて懸濁もしくは分散させて、液剤または懸濁剤もしくは分散剤として、或いは界面活性剤により乳化して乳剤として提供することができる。その他、界面活性剤や固体担体を加えて、水和剤、フロアブル剤、粉剤等としても提供することができる。
本発明において用い得る溶剤としては、水の他、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレンカーボネート等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、γ−ブチロラクトン、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、イソプロピルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、エチルビフェニル、ジエチルビフェニル、ソルベントナフサ等の芳香族系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン等の極性有機溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これら溶剤の中では、水、低級アルコール類および多価アルコール類が好ましく用いられる。
本発明において用い得る界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチエンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等の非イオン性界面活性剤;アルキル硫酸エステル塩、アルキル(アリール)スルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等の陰イオン性界面活性剤などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明において用い得る溶解助剤としては、カプリン酸、アジピン酸等のカルボン酸類;アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル等のエステル類;オクチルドデカノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類などを挙げることができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明において用い得る固体担体としては、カオリンクレー、アッタパルジャイトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石等の鉱物質;トウモロコシ穂軸粉、クルミ殻粉等の天然有機物;尿素等の合成有機物;炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム等の塩類;合成含水酸化珪素等の合成無機物の微粉末或いは粒状物などを挙げることができる。
本発明の工業用殺菌組成物の調製は、5℃〜40℃にて行うことが好ましい。溶剤等への混合は、0.5時間〜5時間程度処理を行うことが好ましい。上記の界面活性剤、溶解助剤および固体担体は、組成物全量に対して、それぞれ0.1重量%〜10重量%、0.1重量%〜10重量%、および30重量%〜95重量%程度配合し得る。
本発明に係る工業用殺菌組成物には、組成物の抗菌活性や安定性に影響を与えない範囲で、他の防菌防黴剤や防藻剤等の他、pH調整剤、酸化防止剤、光安定化剤、消泡剤等の、一般的に製剤化に際して用いられる添加剤を添加することができる。
本発明の工業用殺菌組成物は、細菌類ならびにカビ類および酵母類の真菌類に対して良好な抗菌活性を有する。
上記細菌類としては、大腸菌、緑膿菌、セラチア菌等のグラム陰性桿菌;クロストリジウム属等のグラム陽性桿菌;ブランハメラ菌等のグラム陰性球菌;黄色ブドウ球菌等のグラム陽性球菌などが挙げられる。また上記カビ類としては、アスペルギルス(Aspergillus)属(コウジカビ)、ペニシリウム(Penicillium)属(アオカビ)、クラドスポリウム(Cladosporium)属(クロカビ)、オーレオバシディウム(Aureobasidium)属、アルテルナリア(Alternaria)属(ススカビ)、ムコール(Mucor)属、グリオクラディウム(Gliocladium)属等が挙げられる。酵母類としては、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、プロトミセス(Protomyces)属、タフリナ(Taphrina)属等の原生子嚢菌類;エンドミセス(Endomyces)属等の真正子嚢菌類;サッカロミセス(Saccharomyces)属等の半子嚢菌類;カンジダ(Candida)属等の子嚢菌酵母の不完全型;フィロバシディエラ(Filobasidiella)属等の異型担子菌類;ロドトルラ(Rhodotorula)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、スポロボロミセス(Sporobolomyces)属等の担子菌酵母の不完全型;ロドスポリディウム(Rhodosporidium)属、スポリディオボルス(Sporidiobolus)属、キサントフィロミセス(Xanthophyllomyces)属等の担子菌酵母などが挙げられる。
従って、本発明の工業用殺菌組成物は、製紙パルプ工場、冷却水循環工程等の種々の産業用水や、塗工紙、紙用塗工液、塗料、接着剤、合成ゴムラテックス、印刷インキ、プラスチック製品、セメント混和剤、シーリング剤等の各種工業製品の有害微生物の防除の用途において有効に用いることができる。より具体的には、製紙パルプ工場や冷却水循環工程のスライムコントロール剤、紙製品、樹脂製品の防菌防黴剤、塗料、合成ゴムラテックス、樹脂、インキ、シリコーンシーリング剤等の防菌防黴剤などとして有用である。
本発明の工業用殺菌組成物は、適用対象、微生物の種類(細菌類、カビ類、酵母類、藻類等)や防除期間に応じて、添加量を適宜選択すればよいが、たとえば、スライムコントロール剤として用いる場合には、製品1kgあたりに対し抗菌剤成分の量として0.1〜500mg、好ましくは、0.5〜100mg、防腐剤として用いる場合には、製品1kgあたりに対し抗菌剤成分の量として1〜5,000mg、好ましくは、10〜1,000mg、防カビ剤または防藻剤として用いる場合には、製品1kgあたりに対し抗菌剤成分の量として10〜50,000mg、好ましくは、100〜10,000mgとなるように添加すればよい。
以下に本発明について実施例により詳細に説明する。
以下の実施例および比較例において、テトラサイクリン系抗生物質としては、クロルテトラサイクリン塩酸塩、テトラサイクリン塩酸塩およびオキシテトラサイクリン塩酸塩(いずれも和光純薬工業株式会社製)を用いた。
また、イソチアゾリン系化合物としては、「ZONEN−MT」(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン50重量%含有、株式会社ケミクレア製)、「ケーソンWT」(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物14重量%含有、ロームアンドハーズ社製)、「ケーソン893T」(2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン99.5重量%含有、ロームアンドハーズ社製)を用いた。
ベンゾイソチアゾリン系化合物としては、「BIT」(1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン80重量%含有、ダウケミカル社製)を用いた。
ベンゾイミダゾール系化合物としては、「コートサイド塩酸塩」(メチル 2−ベンゾイミダゾールカルバメート塩酸塩、日本エンバイロケミカルズ株式会社製)を用いた。
ハロアセチレン系化合物としては、「トロイサンポリフェーズP−100」(3−ヨード−2−プロピニル N−ブチルカルバメート99.4重量%含有、トロイケミカル社製)を用いた。
テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物としては、スラカーブ(3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド)の20重量%ジエチレングリコールモノメチルエーテル溶液(日本エンバイロケミカルズ株式会社製)を用いた。
[実施例1〜21]
本発明の実施例1〜21の工業用殺菌組成物の組成を表1に、比較例1〜8の工業用殺菌組成物の組成を表2に示す。これらは、表1および表2に示す組成に従い、各抗菌剤成分をメチルカルビトールに添加して、室温にて30分間撹拌混合して調製し、白色の懸濁剤として得た。
実施例1〜21および比較例1〜8の工業用殺菌組成物について、以下に示す方法により、抗菌活性の評価を行った。すなわち、試験菌として、細菌類では枯草菌(Bacillus subtilis IFO3513)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus IFO12732)、大腸菌(Escherichia coli IFO3972)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa IFO3080)、セラチア菌(Serratia marcescens IFO3735)を、カビ類では黒カビ(Aspergillus niger IFO6341)、青カビ(Penicillium citrinum IFO6352)、クラドスポリウム クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides IFO6348)、アウレオバシディウム プルランス(Aureobasidium pullulans IFO6353)、アルテルナリア属(Alternaria sp.)を、酵母類ではロドトルラ ルブラ(Rhodotorula rubra IFO0907)、サッカロミセス セレビジアエ(Saccharomyces cerevisiae IFO0209)を用い、細菌類の場合は、実施例および比較例に係る懸濁剤をそれぞれ添加したグルコースブイヨン寒天培地(pH6.0)に、ミクロプランタ(佐久間製作所製)を用いて接種用細菌懸濁液を接種し、33℃で18時間培養した。カビ類および酵母類の場合は、前記と同様に、実施例および比較例をそれぞれ添加したグルコースブイヨン寒天培地(pH6.0)に、カビ胞子懸濁液または接種用酵母懸濁液を接種し、33℃で18時間培養し、さらに、28℃で2日間培養した。培養後、各菌の生育を観察し、最小発育阻止濃度(MIC)(μg/mL)を求めた。
上記実施例および比較例の工業用殺菌組成物についての抗菌活性の評価は、クロルテトラサイクリン塩酸塩、イソチアゾリン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ハロアセチレン系化合物、およびテトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物をそれぞれ単独で用いた場合(比較例1〜8)のMIC値から、各実施例について次式によりMICの理論値を算出し、実際に測定したMIC値をそれらと比較することにより行った。MICの実測値がその理論値よりも小さくなる場合、すなわち「実測値/理論値」が1より小さくなる場合には、上記の各成分を単独で用いた場合の代数和より抗菌活性が増強されているといえるため、抗菌活性の相乗的な向上が認められると評価した。
MICの理論値=CA×x/100+CB×y/100
CA;クロルテトラサイクリン塩酸塩を単独で用いた場合(比較例1)のMIC値
CB;イソチアゾリン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ハロアセチレン系化合物またはテトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物を単独で用いた場合(比較例2〜8)のMIC値
x;抗菌剤成分中においてクロルテトラサイクリン塩酸塩の占める割合(%)
y;抗菌剤成分中において、イソチアゾリン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ハロアセチレン系化合物またはテトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物の占める割合(%)
抗菌活性の評価結果を表3〜表9に示した。各表中の「100/0」、「75/25」、「50/50」、「25/75」、および「0/100」は、クロルテトラサイクリン塩酸塩と、イソチアゾリン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ハロアセチレン系化合物またはテトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物との配合重量比を示す。なお、MICの実測値が1,000μg/mL未満である場合に、抗菌活性が認められると判断した。表3〜9においては、いずれかの実施例について抗菌活性が認められた試験菌に対する結果のみを示した。
上記表3は、クロルテトラサイクリン塩酸塩と、イソチアゾリン系化合物として、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例1〜3)についての評価結果を示す。実施例1〜3の工業用殺菌組成物は、試験した細菌類に対して抗菌活性を示したが、実施例1〜3の組成物について緑膿菌、実施例1の組成物についてセラチア菌に対するMICの実測値/理論値が1を超えており、抗菌活性の相乗的な向上は見られなかった。しかし、その他については、クロルテトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例1)、および2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを単独で使用した場合(比較例2)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表4は、クロルテトラサイクリン塩酸塩と、イソチアゾリン系化合物として、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物を75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例4〜6)についての評価結果を示す。実施例4〜6の工業用殺菌組成物は、試験菌のすべてに対して抗菌活性を示したが、実施例4〜6の組成物について大腸菌、実施例4および6の組成物について黄色ブドウ球菌および緑膿菌に対するMICの実測値/理論値が1を超えており、抗菌活性の相乗的な向上は見られなかった。しかし、その他については、クロルテトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例1)、および2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物を単独で使用した場合(比較例3)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表5は、クロルテトラサイクリン塩酸塩と、イソチアゾリン系化合物として、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例7〜9)についての評価結果を示す。実施例7〜9の工業用殺菌組成物は、セラチア菌以外の試験菌に対して抗菌活性を示した。また、セラチア菌以外の試験菌に対して、MICの実測値/理論値が1より小さくなっており、クロルテトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例1)、および2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを単独で使用した場合(比較例4)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表6は、クロルテトラサイクリン塩酸塩と、ベンゾイソチアゾリン系化合物として、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例10〜12)についての評価結果を示す。実施例10〜12の工業用殺菌組成物は、各試験菌に対して有効な抗菌活性を示したが、実施例10〜12の組成物について大腸菌および緑膿菌、実施例10について黒カビ、アウレオバシディウム プルランスおよびロドトルラ ルブラに対するMICの実測値/理論値が1以上であり、抗菌活性の相乗的な向上は見られなかった。しかし、その他については、クロルテトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例1)、および1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを単独で使用した場合(比較例5)と比べて抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表7は、クロルテトラサイクリン塩酸塩と、ベンゾイミダゾール系化合物として、メチル 2−ベンゾイミダゾールカルバメート塩酸塩を75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例13〜15)についての評価結果を示す。実施例13〜15の工業用殺菌組成物は、セラチア菌、アルテルナリア属およびサッカロミセス セレビジアエ以外の試験菌に対して抗菌活性を示した。また、抗菌活性の見られた試験菌に対し、MICの実測値/理論値が1より小さくなっており、クロルテトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例1)、およびメチル 2−ベンゾイミダゾールカルバメート塩酸塩を単独で使用した場合(比較例6)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表8は、クロルテトラサイクリン塩酸塩と、ハロアセチレン系化合物として、3−ヨード−2−プロピニル N−ブチルカルバメートを75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例16〜18)についての評価結果を示す。実施例16〜18の工業用殺菌組成物は、すべての試験菌に対して有効な抗菌活性を示したが、実施例18の組成物についてセラチア菌に対するMICの実測値/理論値が1を超えており、抗菌活性の相乗的な向上は見られなかった。しかし、その他については、クロルテトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例1)、および3−ヨード−2−プロピニル N−ブチルカルバメートを単独で使用した場合(比較例7)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表9は、クロルテトラサイクリン塩酸塩と、テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物として、スラカーブ(3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド)を75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例19〜21)についての評価結果を示す。実施例19〜21の工業用殺菌組成物は、全試験菌に対して抗菌活性を示したが、実施例19〜21の組成物について大腸菌、実施例20および21の組成物について緑膿菌に対するMICの実測値/理論値が1以上であり、抗菌活性の相乗的な向上は見られなかった。しかし、その他については、クロルテトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例1)、およびスラカーブを単独で使用した場合(比較例8)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
[実施例22〜42]
表2に示す組成において、クロルテトラサイクリン塩酸塩をテトラサイクリン塩酸塩(和光純薬工業株式会社製)に代替し、実施例1〜21と同様に工業用殺菌組成物を調製して、実施例22〜42とした。また、表3の比較例1において、クロルテトラサイクリン塩酸塩をテトラサイクリン塩酸塩(和光純薬工業株式会社製)に代替したものを、比較例9とした。
実施例22〜42および比較例2〜9の工業用殺菌組成物について、上記実施例1〜21および比較例1〜8の場合と同様に抗菌活性を評価し、抗菌活性の相乗的な向上が見られるかどうかを検討した。なお、実施例1〜21について抗菌活性を評価した細菌類、カビ類および酵母に、ムコール スピネッセンス(Mucor spinescens IFO6071)およびグリオクラディウム ヴィレンス(Gliocladium virens IFO6355)を加えて試験菌とした。抗菌活性の評価結果を表10〜16に示す。
なお、各表中の「100/0」、「75/25」、「50/50」、「25/75」、および「0/100」は、テトラサイクリン塩酸塩と、イソチアゾリン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ハロアセチレン系化合物またはテトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物との配合重量比を示す。また上記と同様に、MICの実測値が1,000μg/mL未満である場合に抗菌活性が認められると判断し、表10〜16においては、いずれかの実施例について抗菌活性が認められた試験菌に対する結果のみを示した。
表10は、テトラサイクリン塩酸塩と、イソチアゾリン系化合物として、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例22〜24)についての評価結果を示す。実施例22〜24の工業用殺菌組成物は、試験した細菌類およびクラドスポリウム クラドスポリオイデスに対して抗菌活性を示したが、実施例22の組成物について緑膿菌、実施例22および23の組成物についてクラドスポリウム クラドスポリオイデスに対する実測値/理論値が1を超えており、抗菌活性の相乗的な向上は見られなかった。しかし、その他については、テトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例9)、および2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを単独で使用した場合(比較例2)と比べて、前記細菌類およびクラドスポリウム クラドスポリオイデスに対して、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表11は、テトラサイクリン塩酸塩と、イソチアゾリン系化合物として、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物を75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例25〜27)についての評価結果を示す。実施例25〜27の工業用殺菌組成物は、試験菌のすべてに対して抗菌活性を示したが、大腸菌に対するMICの実測値/理論値は1以上であり、抗菌活性の相乗的な向上は見られなかった。しかし、その他の試験菌に対しては、テトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例9)、および2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物を単独で使用した場合(比較例3)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表12は、テトラサイクリン塩酸塩と、イソチアゾリン系化合物として、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例28〜30)についての評価結果を示す。実施例28〜30の工業用殺菌組成物は、セラチア菌以外の試験菌に対して抗菌活性を示した。そして、セラチア菌以外の試験菌に対して、MIC値の実測値/理論値が1より小さくなっており、テトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例9)、および2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを単独で使用した場合(比較例4)と比べて、いずれの組成物についても、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表13は、テトラサイクリン塩酸塩と、ベンゾイソチアゾリン系化合物として、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例31〜33)についての評価結果を示す。実施例31〜33の工業用殺菌組成物は、各試験菌に対して抗菌活性を示したが、実施例31〜33の組成物について大腸菌および緑膿菌、実施例31の組成物について黒カビ、ムコール スピネッセンスおよびグリオクラディウム ヴィレンス、実施例32の組成物についてムコール スピネッセンス、実施例33の組成物について、黄色ブドウ球菌およびグリオクラディウム ヴィレンスに対するMICの実測値/理論値が1を超えており、抗菌活性の相乗的な向上は見られなかった。しかし、その他については、テトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例9)、および1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを単独で使用した場合(比較例5)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表14は、テトラサイクリン塩酸塩と、ベンゾイミダゾール系化合物として、メチル 2−ベンゾイミダゾールカルバメート塩酸塩を75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例34〜36)についての評価結果を示す。実施例34〜36の工業用殺菌組成物は、セラチア菌、アルテルナリア属およびムコール スピネッセンス以外の試験菌に対して抗菌活性を示した。また、実施例34の組成物についてサッカロマイセス セレビジアエに対する場合を除き、抗菌活性の見られた試験菌に対して、MICの実測値/理論値は1より小さくなっており、テトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例9)、およびメチル 2−ベンゾイミダゾールカルバメート塩酸塩を単独で使用した場合(比較例6)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表15は、テトラサイクリン塩酸塩と、ハロアセチレン系化合物として、3−ヨード−2−プロピニル N−ブチルカルバメートを75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例37〜39)についての評価結果を示す。実施例37〜39の工業用殺菌組成物は、セラチア菌以外の試験菌に対して抗菌活性を示した。また、セラチア菌以外の試験菌に対して、MICの実測値/理論値は1より小さくなっており、テトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例9)、および3−ヨード−2−プロピニル N−ブチルカルバメートを単独で使用した場合(比較例7)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表16は、テトラサイクリン塩酸塩と、テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物として、スラカーブ(3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド)を75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例40〜42)についての評価結果を示す。実施例40〜42の工業用殺菌組成物は、全試験菌に対して抗菌活性を示したが、大腸菌および緑膿菌に対しては、MICの実測値/理論値が1以上となっており、抗菌活性の相乗的な向上は見られなかった。しかし、その他の試験菌に対しては、テトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例9)、およびスラカーブを単独で使用した場合(比較例8)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
[実施例43〜63]
表2に示す組成において、クロルテトラサイクリン塩酸塩をオキシテトラサイクリン塩酸塩(和光純薬工業株式会社製)に代替し、実施例1〜21と同様に工業用殺菌組成物を調製して、実施例43〜63とした。また、表3の比較例1において、クロルテトラサイクリン塩酸塩をオキシテトラサイクリン塩酸塩(和光純薬工業株式会社製)に代替したものを、比較例10とした。
実施例43〜63ならびに比較例2〜8および10の工業用殺菌組成物について、上記実施例1〜21および比較例1〜8の場合と同様に抗菌活性を評価し、抗菌活性の相乗的な向上が見られるかどうかを検討した。なお、これらの組成物についても、上記実施例22〜42および比較例2〜9の場合と同様に、ムコール スピネッセンス(Mucor spinescens IFO6071)およびグリオクラディウム ヴィレンス(Gliocladium virens IFO6355)を加えた試験菌に対して、抗菌活性を評価した。結果を表17〜23に示す。
なお、各表中の「100/0」、「75/25」、「50/50」、「25/75」、および「0/100」は、オキシテトラサイクリン塩酸塩と、イソチアゾリン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ハロアセチレン系化合物またはテトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物との配合重量比を示す。また上記と同様に、MICの実測値が1,000μg/mL未満である場合に抗菌活性が認められると判断し、表17〜23においては、いずれかの実施例について抗菌活性が認められた試験菌に対する結果のみを示した。
表17は、オキシテトラサイクリン塩酸塩と、イソチアゾリン系化合物として、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例43〜45)についての評価結果を示す。実施例43〜45の工業用殺菌組成物は、試験した細菌類およびクラドスポリウム クラドスポリオイデスに対して抗菌活性を示したが、実施例43〜45の組成物について緑膿菌、実施例43および44の組成物についてクラドスポリウム クラドスポリオイデスに対するMICの実測値/理論値が1以上であり、抗菌活性の相乗的な向上は見られなかった。しかし、その他については、オキシテトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例10)、および2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを単独で使用した場合(比較例2)と比べて、前記細菌類およびクラドスポリウム クラドスポリオイデスに対して、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表18は、オキシテトラサイクリン塩酸塩と、イソチアゾリン系化合物として、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物を75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例46〜48)についての評価結果を示す。実施例46〜48の工業用殺菌組成物は、試験菌のすべてに対して抗菌活性を示したが、実施例46〜48の組成物について大腸菌、実施例46の組成物について緑膿菌に対するMICの実測値/理論値は1を超えており、抗菌活性の相乗的な向上は見られなかった。しかし、その他については、オキシテトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例10)、および2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物を単独で使用した場合(比較例3)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表19は、オキシテトラサイクリン塩酸塩と、イソチアゾリン系化合物として、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例49〜51)についての評価結果を示す。実施例49〜51の工業用殺菌組成物は、セラチア菌以外の試験菌に対して抗菌活性を示した。そして、セラチア菌以外の試験菌に対して、MIC値の実測値/理論値が1より小さくなっており、オキシテトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例10)、および2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを単独で使用した場合(比較例4)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表20は、オキシテトラサイクリン塩酸塩と、ベンゾイソチアゾリン系化合物として、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例52〜54)についての評価結果を示す。実施例52〜54の工業用殺菌組成物は、各試験菌に対して抗菌活性を示したが、大腸菌、緑膿菌およびグリオクラディウム ヴィレンスに対しては、MICの実測値/理論値が1を超えており、抗菌活性の相乗的な向上は見られなかった。また、実施例52の組成物について黒カビおよびムコール スピネッセンス、実施例53の組成物についてムコール スピネッセンス、実施例54の組成物について黄色ブドウ球菌に対しても、MICの実測値/理論値が1を超えており、抗菌活性の相乗的な向上は見られなかった。しかし、その他については、オキシテトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例10)、および1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを単独で使用した場合(比較例5)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表21は、オキシテトラサイクリン塩酸塩と、ベンゾイミダゾール系化合物として、メチル 2−ベンゾイミダゾールカルバメート塩酸塩を75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例55〜57)についての評価結果を示す。実施例55〜57の工業用殺菌組成物は、セラチア菌、アルテルナリア属およびムコール スピネッセンス以外の試験菌に対して抗菌活性を示したが、サッカロマイセス セレビジアエに対しては、MICの実測値/理論値が1より大きく、抗菌活性の相乗的な向上は見られなかった。その他の試験菌に対しては、実測値/理論値が1より小さく、オキシテトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例10)、およびメチル 2−ベンゾイミダゾールカルバメート塩酸塩を単独で使用した場合(比較例6)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表22は、オキシテトラサイクリン塩酸塩と、ハロアセチレン系化合物として、3−ヨード−2−プロピニル N−ブチルカルバメートを75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例58〜60)についての評価結果を示す。実施例58〜60の工業用殺菌組成物は、セラチア菌以外の試験菌に対して抗菌活性を示した。また、セラチア菌以外の試験菌に対するMICの実測値/理論値が1より小さく、オキシテトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例10)、および3−ヨード−2−プロピニル N−ブチルカルバメートを単独で使用した場合(比較例7)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上記表23は、オキシテトラサイクリン塩酸塩と、テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物として、スラカーブ(3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド)を75:25、50:50、25:75の重量比で含有する工業用殺菌組成物(実施例61〜63)についての評価結果を示す。実施例61〜63の工業用殺菌組成物は、全試験菌に対して有効な抗菌活性を示したが、大腸菌および緑膿菌に対しては、MICの実測値/理論値が1より大きく、抗菌活性の相乗的な向上は見られなかった。しかし、その他の試験菌に対しては、MICの実測値/理論値が1より小さく、オキシテトラサイクリン塩酸塩を単独で使用した場合(比較例10)、およびスラカーブを単独で使用した場合(比較例8)と比べて、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
上述したように、本発明の実施例の工業用殺菌組成物においては、クロルテトラサイクリン塩酸塩、テトラサイクリン塩酸塩またはオキシテトラサイクリン塩酸塩といったテトラサイクリン系抗生物質と、所定の抗菌性化合物を併用することにより、抗菌活性が相乗的に向上し、細菌類ならびにカビおよび酵母の真菌類に対し、幅広く抗菌活性の相乗効果が認められた。