JP5603119B2 - カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カーボンナノチューブの製造方法に関する。
カーボンナノチューブ(CNT)の種類としては、一つのグラフェンシートが円筒状に閉じた単層カーボンナノチューブ(SWNT)と、同軸多数のグラフェンシートが円筒状に重なった多層カーボンナノチューブ(MWNT)との2種類が存在し、これらの直径は1〜数十nm程度、長さは数μm〜数百μm程度の微細な構造体である。単層カーボンナノチューブや多層カーボンナノチューブは、製造方法などにより、各々孤立して形成される場合や、束状に形成される場合などがある。カーボンナノチューブは、高い導電性または半導体性を有し、さらに細長い構造を持つことや高い機械的強度をもつという特異な性質をもつことから、その応用について活発に研究されている。また、カーボンナノチューブは、電子の放出源や、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)のチャンネルなどのデバイスへの応用が期待されている。
カーボンナノチューブは、アーク放電法,レーザ蒸着法,およびCVD法(化学気相成長法)などにより製造することができる。特に、CVD法は、基板の表面上にカーボンナノチューブを自己組織的に形成する用途に適しており、盛んに研究がなされている。CVD法では、鉄(Fe),コバルト(Co),およびニッケル(Ni)などの金属(触媒金属)を核(触媒)として基板の表面に形成した上で、一酸化炭素,エタノール,メタノール,エーテル,アセチレン, エチレン,エタン, プロピレン, プロパン, あるいはメタンなどの炭素原料ガスを供給することによって基板の表面上でカーボンナノチューブを成長させるものである。
ところで、カーボンナノチューブを用いたデバイスの特性は、構成要素であるカーボンナノチューブの配向性や直線性などによって大きく左右される。その理由としては、たとえば、カーボンナノチューブの配向性や直線性が悪ければ、カーボンナノチューブの両端とソース電極とドレイン電極との間の位置合わせの精度が低下し、さらには電気伝導性も低下してしまうことなどが挙げられる。また、隣接するカーボンナノチューブ同士がバンドルを形成し、意図しない電気的な相互作用をしてしまうことも挙げられる。
しかしながら、カーボンナノチューブのような微細な構造体を基板の表面に配向性よく形成するのには数多くの困難が伴う。このため、配向性および直線性のよいカーボンナノチューブを製造する方法が確立されれば、その応用価値は極めて高いと考えられている。
そこで、配向性および直線性のよいカーボンナノチューブを製造する方法として、単結晶石英基板や、単結晶サファイア基板を使用して、その原子構造やステップに沿うように単層カーボンナノチューブを製造する方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この方法によれば、Yカット,ATカット,STカット,Zカットした単結晶石英基板や単結晶サファイア基板を用意し、このような基板に機械的鏡面加工を施し、さらにカーボンナノチューブを合成する前にアニール処理を行なった上で、この単結晶基板の上にカーボンナノチューブを形成している。こうした処理を施すことによって、基板の表面をより滑らかな状態とした上で、基板の表面にカーボンナノチューブを形成することにしている。
特表2009−528254号公報
しかしながら、特許文献1に記載のカーボンナノチューブの製造方法では、たとえ同じ条件でカーボンナノチューブを製造したとしても、製造したカーボンナノチューブの配向性および直線性に多少のバラツキが生じていた。このため、所望の特性を有するデバイスを製造する際の歩留まりが十分ではなかった。なお、製造したカーボンナノチューブの配向性および直線性にバラツキが生じる原因については、未だに解明されていない。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、より配向性および直線性のよいカーボンナノチューブの製造方法,カーボンナノチューブ製造用の単結晶基板,およびカーボンナノチューブを提供することを目的とする。
本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法は、単結晶基板の表面に触媒金属を配置する工程と、前記単結晶基板を所定の温度まで加熱した後に炭素原料ガスを供給して前記触媒金属を核として前記表面の上にカーボンナノチューブを形成する工程とを少なくとも備え、前記表面は、単結晶の自然面からなることを特徴とするものである。
本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法において、前記単結晶の前記自然面は、アズグロウン人工単結晶の所定の自然面と平行にカットしてできたカット面に前記単結晶を再成長させることによって新たに形成された自然面であるものである
この場合、前記新たに形成された自然面は、水熱合成法,ゾルゲル法,CVD法,スパッタ法,またはレーザアブレーション法のいずれかにより形成された自然面であるものとしてもよい。
あるいは、カーボンナノチューブの製造方法において、前記単結晶の前記自然面は、アズグロウン人工単結晶の所定の自然面であるものとしてもよい。
また、本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法において、前記単結晶の前記自然面は、前記単結晶の自然R面である。
さらに、本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法において、前記単結晶基板は、単結晶石英基板である。
また、本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法において、前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブであるものとしてもよい。
ーボンナノチューブ製造用の単結晶基板は、単結晶基板の表面に触媒金属を配置する工程と、前記単結晶基板を所定の温度まで加熱した後に炭素原料ガスを供給して前記触媒金属を核として前記表面の上にカーボンナノチューブを形成する工程とを少なくとも備えることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法において用いられるカーボンナノチューブ製造用の単結晶基板であって、前記表面は、単結晶の自然面からなることを特徴とするものである。
ーボンナノチューブは、単結晶基板上に形成されたカーボンナノチューブであって、前記単結晶基板は、単結晶の自然面からなる表面を有し、前記カーボンナノチューブは、前記表面の上に形成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、単結晶基板上にカーボンナノチューブを形成するにあたり、単結晶の自然面からなる表面を有する単結晶基板を用いている。このため、機械的な切断や研磨を施して加工した単結晶基板を用いた場合のように、表面を構成する結晶の格子配列にひずみが生じてしまい、このひずみに起因して表面に形成されるカーボンナノチューブの配向性および直線性が悪化してしまうことを抑制でき、単結晶石英の結晶が本来もつ格子配列に沿って配向性および直線性のよいカーボンナノチューブを製造することができる。
本発明の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造手順を表わすフローチャートである。 ランバード加工が施された人工水晶の斜視図である。 本発明の実施の形態に係る単結晶石英基板の結晶構造を説明するための図である。 本発明の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法に用いられる実験装置の一構成例を示す図である。 本発明の実施例に係る単結晶石英基板の表面のAFM写真とその高さを測定した結果を示す図である。 Rカット基板の表面のAFM写真とその高さを測定した結果を示す図である。 アズグロウン人工水晶の自然R面のAFM写真とその高さを測定した結果を示す図である。 本発明の実施例に係る単結晶石英基板の表面に形成したカーボンナノチューブのSEM写真である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造手順を示すフローチャートである。
まず、カーボンナノチューブを形成するための単結晶基板を用意する(ステップS10)。カーボンナノチューブを形成するための単結晶基板としては、ランバード加工された人工単結晶水晶(SiO2)がもつ自然R面と平行にカットされた単結晶基板を用いる。
図2は、ランバード加工が施された人工水晶の斜視図である。図2に示すように、ランバード加工が施された水晶は、mで表した柱面と,rおよびRで表した錐面とが明瞭に現れ、X軸(電気軸),Y軸(機械軸),およびZ軸(光学軸)という互いに直交する三つの結晶軸も明瞭なものとなる。r面およびR面は、X軸に平行で、かつY軸に関して38°13′傾いていることが知られている。rおよびRで表した錘面は、より面積の大きい方をR面であるものとしており、これはR面がr面に比べてゆっくりと結晶が成長することに基づいている。このR面は、水晶の結晶が他の面に比べてゆっくりと安定して成長するため、その結晶構造は他の面に比べて滑らかなものとなっている。したがって、このR面と平行にカットされた単結晶基板を用いてカーボンナノチューブを形成すれば、表面の微細なひずみに起因してそこに形成されるカーボンナノチューブがひずむことを抑制でき、配向性および直線性が最もよくなると考えられるのである。
図3は、本実施の形態に係る単結晶石英基板の結晶構造を説明するための図であり、図3(a)は人工水晶をX軸方向から見た断面図、図3(b)はR面と平行にカットした単結晶石英基板の平面図である。
図3(a)に示すように、ランバード加工が施された人工水晶から、R面と平行な面でカットした単結晶石英基板を用意する。こうして得られた単結晶石英基板の表面は、図3(b)に示すように、結晶構造上最も滑らかなR面が大部分を占めると共に、加工に伴ってm面およびr面がX軸と平行な向きに僅かながら表出する構造となっている。ここで、R面とr面との間や、R面とm面との間に僅かに段差が生じるものの、r面やm面など、他の自然面と平行にカットした場合に生じる段差に比べれば小さいと思われる。
次いで、このようにして得られたR面と平行にカットした単結晶石英基板の表面に対し、機械的な鏡面加工処理を施して基板の表面をより滑らかにする(ステップS20)。
続いて、この単結晶石英基板の表面上の単結晶石英を再成長させて新たな自然R面を形成する(ステップS30)。
単結晶石英基板を切り出したり、ステップS20にて鏡面加工処理する際に表面を構成する結晶の格子配列にひずみが生じるものの、上述したように、その上に新たな自然R面を形成するので、表面の結晶の格子配列をより滑らかな状態にすることができるのである。
ところで、上述したように表面の単結晶石英をわざわざ再成長させて新たな自然R面を形成した単結晶石英基板を用いずとも、アズグロウン人工水晶に元々形成されていた自然R面を有する単結晶基板を用いた方が効率的であるとも思われる。しかしながら、一つのアズグロウン人工水晶からはわずかなR面しかできないため、この方法は量産には向かない。そこで、本実施の形態のように、ランバード加工が施された人工水晶をいったんR面と平行にカットし、このRカット面に新たな自然R面を形成することにより、表面が滑らかな単結晶石英基板を量産することができるのである。
なお、単結晶石英基板のRカット面に新たな自然R面を形成する方法としては、たとえば、水熱合成法やゾルゲル法、CVD法、スパッタ法、レーザアブレーション法などが挙げられる。
次いで、単結晶石英基板に対しアニール処理を行なう(ステップS40)。これにより、単結晶石英基板の表面にある結晶のクラスターが高温状況下で激しく移動し、表面に存在する微細な段差を埋めて、表面がより滑らかな状態とすることができる。
以上の一連の処理によって、本発明の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法において使用する単結晶石英基板が得られた。
続いて、上述した処理によって得られた単結晶石英基板の上に触媒金属を配置する(ステップS50)。
その具体的な手段としては、たとえば、触媒金属としての鉄(Fe)およびコバルト(Co)をUSYゼオライトの微粒子に付着させ、このUSYゼオライトの微粒子を単結晶石英基板の上に散布する方法が考えられる。ここで、鉄およびコバルトが付着したUSYゼオライトは、酢酸第1鉄(CH3COO)2Fe、酢酸コバルト4水和物(CH3COO)2Co−4H2O,USYゼオライト,およびエタノール(たとえば、ゼオライト1gに対して40mlの割合。)からなるスラリーを単結晶石英基板に塗布・分散させた後、超音波により分散させる処理と、乾燥機で乾燥させる処理とを施すことによって得ることができる。このように、単結晶石英基板の上に触媒金属を分散して配置するのは、単結晶石英基板の上に触媒金属があまりに密集して配置されていると、後述する処理によって触媒金属を核として成長したカーボンナノチューブ同士でバンドルを形成したり、ある触媒金属の微粒子を核として成長したカーボンナノチューブが他の触媒金属の微粒子と相互作用をして曲がってしまい、カーボンナノチューブの配向性および直線性が悪くなる恐れがあるためである。
続いて、触媒金属が配置された単結晶石英基板を加熱した後に、炭素原料ガスを供給してカーボンナノチューブを成長させる(ステップS60)。以下、その具体例を説明する。
図4は、本実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法に用いられる実験装置の一構成例を示す図である。この装置は、図4に示すように、石英管20と、石英管20の中央部に位置すると共に内部に装填された試料を加熱可能な電気炉22と、石英管20にアルゴン・水素(3%)混合ガスを供給する混合ガス供給部30と、混合ガス供給部30から供給されるアルゴン・水素(3%)混合ガスの流量を調節するガス流量制御弁32と、内部に貯蔵しているエタノールなどのアルコールを加熱することによって石英管20の内部にアルコールの蒸気を供給可能なアルコール供給部34と、アルゴン・水素(3%)混合ガスやアルコールの蒸気の流量を制御するガス流量制御器36と、石英管20の内部のガスを吸引する回転式の真空ポンプ40と、石英管20の内部の真空度を検出するピラニーゲージ42とから構成されている。
まず、触媒金属が配置された単結晶石英基板を、石英管20の中に入れて電気炉22の中央部まで装填する。
続いて、ガス流量制御弁32を操作し、真空ポンプ40を稼働させて混合ガス供給部30内のアルゴン・水素(3%)混合ガスを所定流量以上の状態に保ちながら電気炉22に供給し、電気炉22の内部温度を設定温度まで上昇させる。
電気炉22の内部温度が設定温度まで上昇するのを確認した後、ガス流量制御弁32を閉じて電気炉22へのアルゴン・水素(3%)混合ガスの供給を停止する。
次いで、真空ポンプ40により電気炉22の内部を真空状態にしながら、アルコール供給部34の内部にあるアルコールを加熱することによりこのアルコールの蒸気を電気炉22の内部に所定時間にわたって流し続け、電気炉22の内部にある単結晶石英基板上にカーボンナノチューブを成長させる。なお、アルコールの流量は、アルコールの蒸気圧を変化させることによって、ほぼ一定の状態に維持するものとする。
このようにして、単結晶石英基板の上にカーボンナノチューブを形成することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、単結晶石英基板上にカーボンナノチューブを形成するに際して、単結晶石英基板の表面に新たに単結晶を再成長させた自然R面を形成している(図1のステップS30)。したがって、単結晶石英基板を切断・研磨する際に表面を構成する結晶の格子配列にひずみが生じるものの、その上に新たに結晶を再成長させて自然面を形成するので、表面の結晶の格子配列をより滑らかな状態にすることができる。したがって、この単結晶石英基板を用いれば、結晶の格子配列のひずみによって、単結晶石英基板上に形成されるカーボンナノチューブにもひずみが生じてしまうのを抑制することができ、単結晶石英の結晶が本来もつ格子配列に沿って配向性および直線性のよいカーボンナノチューブを製造することができる。
なお、本実施の形態では、R面と平行にカットされた単結晶石英基板を用いてカーボンナノチューブを製造する方法について説明をしたが、その他の自然面、たとえば、r面やm面と平行にカットされた単結晶石英基板を用いてもよい。
また、本実施の形態では、ランバード加工を施した単結晶石英のR面と平行にカットされた単結晶石英基板を用意し(図1のステップS10)、その表面上にカーボンナノチューブを製造するものとして説明したが、アズグロウン人工石英の自然R面を表面として有する単結晶石英基板を用意し、その表面上にカーボンナノチューブを製造してもよい。この場合、鏡面加工処理(図1のステップS20)や、単結晶石英を再成長させる処理(図1のステップS30)は省略することができる。
さらに、本実施の形態では、単結晶石英基板を用いてカーボンナノチューブを製造する方法について説明したが、単結晶サファイア基板を用いてカーボンナノチューブを製造してもよい。
また、本実施の形態では、単結晶基板に対して鏡面加工処理(図1のステップS20)を施すものとして説明したが、これは省略するものとしてもよい。同様に、本実施の形態では、単結晶基板に対してアニール処理(図1のステップS40)を施すものとして説明したが、これを省略するものとしてもよい。
さらに、本実施の形態では、触媒金属をUSYゼオライトの微粒子に付着させ、このUSYゼオライトの微粒子を単結晶石英基板の上に散布するものとして説明したが、触媒金属を真空蒸着やスパッタ法などにより単結晶石英基板の上に配置するものとしてもよい。この際、フォトリソグラフィー法によるリフトオフを用いて、単結晶石英基板の表面を、触媒金属が配置されている部分と、配置されていない部分とに分離してもよい。
その他、単結晶石英基板の上に直接金属触媒を配置する方法も採用できる。具体的には、単結晶石英基板を、酢酸コバルト(または、酢酸コバルトおよび酢酸モリブデンの混合物)をエタノールに溶かした溶液に浸す。しばらく待った後、単結晶石英基板を溶液からゆっくり引き上げた後、大気中で400℃程度の温度まで加熱して単結晶石英基板の表面に付着している溶液を酸化させる。こうした処理を行なうことにより、単結晶石英基板の表面にコバルト微粒子(または、コバルト・モリブデンの微粒子)を一様に形成することができる。
また、本実施の形態では、鉄(Fe)およびコバルト(Co)を触媒金属として用いているが、8族のルテニウム(Ru),オスミニウム(Os)、9族のロジウム(Rh),イリジウム(Ir)、および10族のニッケル(Ni),鉛(Pb),白金(Pt)などを用いてもよい。さらに、補助触媒金属として、モリブデン(Mo)やロジウム(Rh)を加えてもよい。
さらに、本実施の形態では、カーボンナノチューブの製造方法について説明したが、カーボンナノチューブ製造用の単結晶基板や、カーボンナノチューブの形態としてもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。
本発明の実施例では、人工単結晶水晶のR面と平行にカットされた単結晶石英基板に鏡面加工処理を施した後、水熱合成法により表面の単結晶を再成長させて新たな自然R面を形成した。
具体的には、オートクレーブの上部に単結晶石英基板を吊るし、下部に原料となる天然水晶の小片(ラスカ)を入れ、オートクレーブ内をアルカリ水溶液で満たしたうえで密封し、高温・高圧(約350℃、90〜146MPa)に保って単結晶を再成長させて新たな自然R面を形成した。
このようにして自然R面が形成された単結晶石英基板に対し、900℃で13時間にわたって空気中でアニール処理を施した。
このような処理を施した単結晶基板の表面を原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)により観察した。
図5(a)は、本実施例に係る単結晶石英基板のAFM写真であり、図5(b)は、図5(a)の線で示された部分の高さを測定した結果を示す図である。図5(b)で示したように、表面の高低差は最大でも1nm程度と小さいことが分かる。
参考のため、新たな自然R面を形成せずに表面をアニール処理を施しただけのRカット基板と、アズグロウン水晶の自然R面にアニール処理を施した基板についてもAFMによって観察した結果を説明する。
図6(a)は、新たな自然R面を形成せずに表面をアニール処理を施しただけの単結晶石英基板のAFM写真であり、図6(b)は、その表面の高さを測定した結果を示す図である。図6(b)で示したように、表面の高低差は最大で20nm程度と大きいので、本実施例に係る単結晶石英基板に新たに形成された自然R面の方がより滑らかであることが裏付けられた。
図7(a)は、アズグロウン水晶の自然R面にアニール処理を施した基板のAFM写真であり、図7(b)は、図7(a)の線で示された部分の高さを測定した結果を示す図である。図7(b)に示すように、表面の高低差は最大でも1nm程度と本実施例に係る単結晶石英基板とほぼ等しいので、本実施例に係る単結晶石英基板に新たに形成された自然R面がアズグロウン人工水晶の自然R面と同じくらい滑らかであることが裏付けられた。
続いて、本実施例に係る単結晶石英基板の表面にカーボンナノチューブを形成した。
まず、単結晶石英基板の表面に新たに形成された自然R面に、触媒金属としての鉄およびコバルトをUSYゼオライトの微粒子に付着させ、このUSYゼオライトの微粒子を単結晶石英基板の上に散布した後、この単結晶石英基板を電気炉22の内部に装填し、アルゴン・水素(3%)混合ガスを200sccm以上の状態で供給し、電気炉の内部温度を800℃まで上昇させた。次いで、アルゴン・水素(3%)混合ガスの供給を停止し、電気炉22の内部を真空状態にしながら、アルコール供給部34の内部にあるエタノールを加熱することにより、このエタノールを電気炉22の内部に約10分間にわたって約300sccmの流量で流し続け、カーボンナノチューブを成長させた。これらのカーボンナノチューブは、いずれも高品質の単層カーボンナノチューブであることを共鳴ラマン分光によって確認している。
次に、このようにして単結晶石英基板の上に形成したカーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)にて観察した。
図8は、本実施例に係る単結晶石英基板の表面に形成したカーボンナノチューブのSEM写真である。図8に示すように、本実施例に係る単結晶石英基板の上に形成されたカーボンナノチューブは、配向性および直線性がよいことがわかった。
以上から、本実施例のように単結晶石英基板の表面に新たな自然R面を形成したときには、その表面はアズグロウン人工水晶の自然R面と同じくらい滑らかであり、かつ、配向性および直線性のよい単層カーボンナノチューブを製造することができることが裏付けられた。
本発明は、カーボンナノチューブの製造業などに利用可能である。
20…石英管、22…電気炉、30…混合ガス供給部、32…ガス流量制御弁、34…アルコール供給部、36…ガス流量制御器、40…真空ポンプ、42…ピラニーゲージ。

Claims (3)

  1. 単結晶石英基板の表面に触媒金属を配置する工程と、
    前記単結晶石英基板を所定の温度まで加熱した後に炭素原料ガスを供給して前記触媒金属を核として前記表面の上にカーボンナノチューブを形成する工程と
    を少なくとも備え、
    前記表面は、単結晶の自然R面からなり、
    前記単結晶の前記自然面は、アズグロウン人工単結晶の所定の自然面と平行にカットしてできたカット面に前記単結晶を再成長させることによって新たに形成された自然面である
    ことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
  2. 前記新たに形成された自然面は、水熱合成法,ゾルゲル法,CVD法,スパッタ法,またはレーザアブレーション法のいずれかにより形成された自然面であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  3. 前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1または2に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
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