JP5601993B2 - 配線基板 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミック焼結体からなる絶縁基板の貫通孔内に配置された貫通導体の端面がめっき層で被覆され、このめっき層と接続された配線導体と樹脂絶縁層とが順次絶縁基板上に積層された配線基板に関するものである。
従来、電子部品搭載用や半導体集積回路素子(半導体素子)を検査するプローブカード用等に使用される配線基板として、貫通導体を有する絶縁基板の上面に、薄膜導体層等からなる配線導体と樹脂絶縁層とが順次積層されてなるものが多用されている。
このような配線基板は、例えば配線導体の一部を露出させて、この露出部分に電子部品の電極や半導体素子電子部品の電気検査を行なうためのプローブが接続され、絶縁基板の下面に露出した貫通導体の端面が回路基板等の外部電気回路基板に電気的に接続される。そして、配線導体、貫通導体とを介して、電子部品や半導体素子が外部電気回路と電気的に接続され、信号の送受や、半導体素子の電気的な検査等が行なわれる。
上記配線基板においては、貫通導体のうち絶縁基板の上面に露出した端面に配線導体が電気的に接続される。そのため、この端面の酸化の抑制や薄膜法等の方法で形成される配線導体と貫通導体の端面との接続を容易とするために、貫通導体の露出した端面には、ニッケルや金等のめっき層が被着されて、被覆されている。
特開平3−276655号公報 特開2005−340257号公報 特開2009−206234号公報
しかしながら、上記従来技術の配線基板においては、貫通導体の端面を被覆するめっき層と貫通導体の端面との間で剥離等の機械的な破壊が生じる可能性があるという問題点があった。
これは、例えば配線基板製作する過程において樹脂絶縁層となる未硬化の樹脂材料の硬化時の収縮に伴う応力や、互いに熱膨張率(線膨張係数)が異なる樹脂絶縁層と絶縁基板との間で、電子部品や半導体素子の接続時や検査時等に加わる熱による熱応力等の応力が生じ、この応力がめっき層に上方向や横方向に作用し、この応力によってめっき層が貫通導体の端面から剥がれようとすることによる。めっき層と貫通導体の端面との間で剥離等の機械的な破壊が生じると、この間において接続抵抗の増加や断線が発生して、配線基板としての電気的な特性が低下する。
本発明は上記従来の技術の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、セラミック焼結体からなる、貫通導体を有する絶縁基板の上面に、貫通導体と電気的に接続された配線導体と樹脂絶縁層とが順次積層された配線基板であって、貫通導体の端面と、この端面を被覆しているめっき層との接合の信頼性が高い配線基板を提供することにある。
本発明の配線基板は、セラミック焼結体からなり、厚み方向に貫通する貫通孔を有する絶縁基板と、前記貫通孔内に配置された貫通導体と、前記絶縁基板の上面に露出した前記貫通導体の端面を被覆するとともに、外周部の少なくとも一部が前記貫通導体の前記端面よりも外側に延出するように被着されためっき層と、前記絶縁基板の上面に順次積層された、前記めっき層と電気的に接続された配線導体および樹脂絶縁層を備えており、前記貫通孔がレーザ加工によって形成されたものであり、該貫通孔の内側面と前記貫通導体の側面との間に、前記レーザ加工によって生じた溶融改質層が介在しており、前記めっき層の前記延出した部分が前記溶融改質層の端部と接合していることを特徴とする。
本発明の配線基板によれば、上記構成を備え、貫通導体の端面を被覆しているめっき層の外周部の少なくとも一部が、この端面よりも外側に延出していることから、上記樹脂絶縁層の硬化時の収縮に伴う応力や、絶縁基板と樹脂絶縁層との熱膨張率の差に起因する熱応力等の応力が生じて、めっき層に上方向や横方向に応力が作用したとしても、この応力は、まずめっき層の延出部分に作用し、相当の部分がめっき層の延出部分を変形させために使われる。そのため、めっき層のうち貫通導体の端面を被覆(端面に接合)している部分に作用する応力を効果的に低く抑えることができ、めっき層と貫通導体の端面との間で剥離が生じることは効果的に抑制される。
また、本発明の配線基板において、貫通孔がレーザ加工によって形成されたものであり、該貫通孔の内側面と前記貫通導体の側面との間に前記レーザ加工によって生じた溶融改質層が介在しており、前記めっき層の前記延出した部分が前記溶融改質層の端部と接合している場合には、めっき層と貫通導体の端面との間の剥離をより効果的に抑制することができる。
すなわち、この場合には、めっき層の延出部分が溶融改質層の端部と接合しているため、上記熱応力は、延出部分を変形させることに加えて、めっき層と溶融改質との接合を切断することにも使われる。そのため、熱応力のうちめっき層と貫通導体の端面との間で剥離を生じさせる成分をより低く抑えることができ、めっき層と貫通導体の端面との間の剥離をより効果的に抑制することができる。
なお、溶融改質層は、レーザ加工時に、絶縁基板を形成しているセラミック焼結体が部分的に溶融した後に固化して貫通孔の内側面に生じた層であり、再結晶した酸化アルミニウムと、ガラス成分と、これらの成分の間に生じた空隙と、この空隙内に貫通導体から入り込んだ金属材料とを含んでいる。実際には、この金属材料にめっき層が接合している。
なお、溶融改質層は貫通導体としての機能を備える必要がないため、めっき層と溶融改質層との間で剥離が生じたとしても、配線基板として断線等の不具合を生じることはない。
(a)は本発明の配線基板の実施の形態の一例を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線における断面図である。 本発明の配線基板の実施の形態の他の例を示す平面図である。 (a)および(b)はそれぞれ図1に示す配線基板の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。 本発明の配線基板の実施の形態の他の例における要部を拡大して示す要部拡大断面図である。 (a)は本発明の配線基板の実施の形態の他の例を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線における断面図である。 (a)および(b)はそれぞれ図5に示す配線基板の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。
本発明の配線基板を添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。図1(a)は本発明の配線基板の実施の形態の一例を示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線における断面図である。また、図2は本発明の配線基板の実施の形態の他の例を示す平面図である。図1および図2において、1は絶縁基板,2は貫通孔,3は貫通導体,4はめっき層,5は配線導体,6は樹脂絶縁層である。絶縁基板1の貫通孔2内に貫通導体3が配置され、貫通導体3の露出する端面がめっき層4で被覆され、絶縁基板1上に配線導体5と樹脂絶縁層6とが順次積層されて配線基板が基本的に構成されている。めっき層4と配線導体5とは互いに電気的に接続されている。
絶縁基板1は、酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミック焼結体,ガラス母材中に結晶成分を析出させた結晶化ガラスまたは雲母やチタン酸アルミニウム等の微結晶焼結体からなる、金属材料とほぼ同等の精密な機械加工が可能なセラミック材料(いわゆるマシナブルセラミックス)等のセラミック焼結体によって形成されている。
絶縁基板1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、次のようにして製作することができる。すなわち、酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素等の原料粉末に適当な有機バインダおよび有機溶剤を添加混合して作製したスラリーをドクターブレード法やリップコータ法等のシート成形技術でシート状に成形することによってセラミックグリーンシートを作製して、その後、セラミックグリーンシートを切断加工や打ち抜き加工によって適当な形状および寸法とするとともに、これを約1300〜1500℃の温度で焼成することによって製作することができる。
絶縁基板1は、例えば四角板状や円板状等であり、上面が、実装や電気チェックを行なう電子部品(図示せず)を搭載(電子部品を配線基板に電気的および機械的に接続して電子装置とするための実装、または電子部品に対して電気的なチェックを施すための一時的な載置)するための部位として使用される。電子部品としては、ICやLSI等の半導体集積回路素子およびLED(発光ダイオード)やPD(フォトダイオード),CCD(電荷結合素子)等の光半導体素子を含む半導体素子,弾性表面波素子や水晶振動子等の圧電素子,容量素子,抵抗器,半導体基板の表面に微小な電子機械機構が形成されてなるマイクロマシン(いわゆるMEMS素子)等の種々の電子部品が挙げられる。
また、絶縁基板1は、例えば下面が、プリント回路基板等の外部電気回路基板(図示せず)に対向して搭載(電子装置の外部電気回路基板に対する実装、または電子部品に対して電気的なチェックを施すための一時的な載置)される。
絶縁基板1には、厚み方向に貫通する貫通孔2が形成されており、貫通孔2内に、銀や銅,パラジウム,金,白金,タングステン,モリブデン,マンガン等の金属材料またはこれらの金属材料の合金材料からなる貫通導体3が配置されている。貫通導体3の形状は、例えば直径が約100〜700μm程度の円柱状等である。貫通孔2は、このような形状および寸法の貫通導体3がちょうど収まるような形状および寸法である。
このような貫通孔2は、例えばドリルを用いた機械的な孔あけ加工やレーザ光による孔
あけ加工を絶縁基板1に施すことによって形成することができる。また、貫通孔2は、絶縁基板1となるセラミックグリーンシートに金属ピン等を用いた機械的な孔あけ加工やレーザ加工を施した後に、このセラミックグリーンシートを焼成する方法で形成することもできる。
なお、貫通孔2は、焼成後のセラミック焼結体からなる絶縁基板1に孔あけ加工を施して形成するようにした方が、セラミックグリーンに孔あけ加工を施して形成する場合に比べて、その形状や位置の精度を高くする上で有利である。これは、焼成時の収縮等による貫通孔2の変形や位置精度の低下を防ぐことができることによる。
貫通導体3は、例えば、貫通孔2内に上記の銀等の金属材料のペーストを充填し、これを加熱して焼結させることによって形成することができる。
絶縁基板1の上面に露出した貫通導体3の端面は、めっき層4で被覆されている。めっき層4は、貫通導体3の酸化腐食を抑制するためのものである。また、めっき層4は、後述する配線導体5の貫通導体3に対する電気的な接続を容易かつ確実とするためのものである。
めっき層4は、例えば、貫通導体3の端面に直接被着されたニッケルめっき層4a等の下地めっき層と、ニッケルめっき層4aをさらに被覆するように被着された金めっき層4b等の表面めっき層とからなる。ニッケルめっき層4aの厚みは、例えば約1〜25μmであり、金めっき層4bの厚みは、例えば約0.5〜5μmである。
下地めっき層としては、ニッケルめっき層4a以外に、ニッケルとコバルトやリン,ホウ素等との合金めっき層,銅めっき層またはこれらのめっき層を複数層被着させためっき層等を挙げることができる。表面めっき層としては、金めっき層4b以外に、白金やパラジウム,ロジウム,銀またはこれらの金属材料と金との合金めっき層等を挙げることができる。
めっき層4は、電解めっき法や無電解めっき法等の方法で形成されている。例えば、硫酸ニッケルを主成分とするニッケルめっき液と、シアン系の金めっき液とを準備しておいて、これらのめっき液中に、貫通導体3を貫通孔2内に配置した絶縁基板1を浸漬し、所定の電流密度および時間で電解めっきを施すことによって、ニッケルめっき層4aと金めっき層4bとを順次、貫通導体3の端面に被着させることができる。めっき層4を形成するニッケルや金等の析出金属は、上記各めっき液中で露出している金属部分(貫通導体3の端面等)にはほぼ一様に被着するので、めっき層4は、貫通導体3の端面の全面を被覆するように被着される。
絶縁基板1の上面には配線導体5が形成されている。配線導体5は、例えば電子部品と電気的に接続されて、この電子部品に対する信号の送受や、電子部品に対する電気的なチェックを行なうためのプローブを接続するための端子や、外部電気回路に対する電気的な接続のための端子等として機能する。
配線導体5は、例えば、銅や銀,パラジウム,金,白金,アルミニウム,クロム,ニッケル,コバルト,チタン,タングステン,モリブデン,マンガン等の金属材料またはこれらの金属材料の合金材料からなる。
このような金属材料は、例えば、スパッタリング法や蒸着法,めっき法等の方法で絶縁基板1の表面に被着させることができる。
具体的な一例を挙げると、まず絶縁基板1の表面の全面に、クロムやモリブデン,チタン等からなる密着層(図示せず)および銅や銀等からなる主導体層(図示せず)とを順次、スパッタリング法や無電解めっき法等によって形成し、その後、フォトリソグラフィ法を用いて配線導体5となる部分を覆うようにレジストパターン(図示せず)を形成した後、レジストパターンで覆われていない余分な密着層および主導体層をケミカルエッチング法やドライエッチング法等で除去し、その後、レジストパターンを除去する方法で、所定の配線導体5を形成することができる。密着層の厚みは、例えば0.1〜0.5μm程度であり、主導体層の厚みは、例えば1〜10μm程度である。
このような配線導体5は、前述したように電子部品や外部電気回路基板、または電子部品の電気的なチェックに電気的に接続されるプローブ等が接続される部分であり、所定の回路状パターン等のパターンで形成されている。
絶縁基板1の上面の配線導体5は、めっき層4を介して貫通導体3と電気的に接続され、めっき層4および貫通導体3を介して絶縁基板1の下面側に電気的に導出されている。
配線導体5は、外部電気回路と電気的に接続された貫通導体3およびめっき層4を、半導体集積回路素子等の半導体素子やコンデンサ等の各種の受動部品電子部品と電気的に接続させるための導電路として機能する。
樹脂絶縁層6は、例えばポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性の樹脂材料からなり、絶縁基板1の上面に、配線導体5を被覆するように積層されている。樹脂絶縁層6は、例えば、配線導体5を被覆して保護するとともに、その上面にさらに他の配線(図示せず)を形成すること等によって、配線導体5を含む配線を多層化させたり、微細化させたりするために積層されている。配線導体5と他の配線との間の電気的な接続は、樹脂絶縁層6に貫通導体(いわゆるビア導体)(図示せず)を形成して、このビア導体を介して行わせることができる。樹脂絶縁層6の上面に露出する他の配線は、電子部品の電極や電子部品の電気検査を行なうためのプローブ(図示せず)を接続させるための端子として機能する。
なお、樹脂絶縁層6の上面の他の配線は、必ずしも必要なものではなく、樹脂絶縁層6の一部に配線導体5を露出させるような開口部(図示せず)を設けておいて、この開口部において露出する配線導体5に電子部品等を電気的に接続させるようにしても構わない。
樹脂絶縁層6は、例えばポリイミド樹脂からなる場合であれば、未硬化で流動性を有するポリイミド樹脂を絶縁基板1の上面(配線導体5を含む)に塗布し、これを加熱して硬化させることによって、絶縁基板1の上面に積層することができる。
このような配線基板において、例えば、上記のように配線導体5に電子部品の電極や電子部品の電気検査を行なうためのプローブ(図示せず)が、必要に応じて他の配線を介して電気的に接続され、配線導体5を介して電子部品等が貫通導体3と電気的に接続される。また、この電子部品は、配線導体5,めっき層4および貫通導体3を介して絶縁基板1の下面側に電気的に導出される。そして、絶縁基板1の下面側に露出する貫通導体3の端面を外部電気回路基板に接続すれば、配線導体5とめっき層4と貫通導体3とを介して、電子部品が外部電気回路と電気的に接続され、信号の送受や、電子部品に対する電気的なチェック等が行なわれる。
絶縁基板1の下面側に露出している貫通導体3の端面の外部電気回路基板に対する接続を容易とするために、絶縁基板1の下面から貫通導体3の端面にかけて覆うような導体パターンを形成してもよい。この場合には、貫通導体3の端面に比べて導体パターンが大き
いため、外部電気回路に対する接続をより容易に行なうことができる。
なお、電子部品に対する電気的なチェックは、例えば半導体集積回路素子の集積回路が正常に作動するか否かの検査である。この場合には、半導体基板(シリコンウエハ等)に形成された多数の半導体集積回路素子(図示せず)に対して、個片に切断する前に一括して検査を行なうために、例えば図2に示したような、半導体基板と同じ程度の大きさのセラミック母基板(図示せず)に多数の貫通導体3が配列形成されたものが使用される。この場合の配線基板(多数個配列された配線基板)は、いわゆるプローブカードとして使用することができる。
本発明の配線基板において、図3(a)に示すように、めっき層4は、絶縁基板1の上面に露出した貫通導体3の端面を被覆するとともに、外周部の少なくとも一部が貫通導体3の端面よりも外側に延出するように被着されている。
このように、めっき層4の外周部が貫通導体3の端面よりも外側に延出していることから、上記樹脂絶縁層6の硬化時の収縮に伴う応力や、絶縁基板1と樹脂絶縁層6との熱膨張率の差に起因する熱応力等の応力が生じて、めっき層4に上方向や横方向に応力が作用したとしても、例えば図3(b)に示すように、この応力は、まずめっき層4の延出部分に作用し、相当の部分がめっき層4の延出部分を変形させために使われる。そのため、めっき層4のうち貫通導体3の端面を被覆(端面に接合)している部分に作用する応力を効果的に低く抑えることができ、めっき層4と貫通導体3の端面との間で剥離が生じることは効果的に抑制される。なお、図3(a)および(b)は、それぞれ図1に示す配線基板の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。図3において図1と同様の部位には同様の符号を付している。図3において樹脂絶縁層6は省略している。
この場合、めっき層4のうち、貫通導体3の端面を被覆している部分(この端面に接合している部分)は、めっき層4を形成している析出金属と貫通導体3を形成している金属材料との化学的な結合(金属結合)によって接合している。また、めっき層4のうち貫通導体3の端面よりも外側に延出している部分は、その下側にあるのが絶縁基板1、つまりセラミック焼結体であるため、絶縁基板1等には化学的に結合せず、樹脂絶縁層6と絶縁基板1との間に挟まれて単に機械的に保持された状態になっている。
つまり、めっき層4は、貫通導体3の端面を被覆している部分に対して、この端面よりも外側に延出している部分が、独立して変形しやすい状態になっている。また、絶縁基板1の上面に金属結合等によって強固に結合されているのではないため、絶縁基板1の上面から離れて変形することも容易である。そのため、上記のように応力がめっき層4に作用したときに、この応力によってめっき層4の延出部分が変形して、応力を効果的に吸収することができる。
なお、めっき層4の延出部分が絶縁基板1の上面から離れる方向に(例えば図3(b)に示したように外側が上方に反るように)変形したときに、めっき層4の延出部分と絶縁基板1の上面との間の樹脂絶縁層6の一部には、延出部分の変形に応じた塑性変形が生じる。
めっき層4の延出部分は、応力を効果的に吸収する上では、平面視で円形状である貫通導体3の端面の外周の全周に沿って形成されていることが望ましい。言い換えれば、めっき層4は、貫通導体3の端面の外周の全周において、この外周よりも外側に延出するように被着されていることが望ましい。
また、めっき層4が、貫通導体3の外周の一部においてこの外周よりも外側に延出して
いる場合でも、ある程度、応力を吸収する効果を得ることができる。例えば、めっき層4について、上記樹脂絶縁層6の収縮に伴う応力や熱応力等の応力が大きく作用する傾向がある部分において延出部分が形成されていれば、応力を吸収する効果を得ることができる。このような応力が大きく作用する傾向がある部分は、例えば図2に示すように複数の貫通導体3が絶縁基板1に形成されている構成において、この絶縁基板1の対角線に沿った方向である。
めっき層4の延出部分を形成する範囲は、上記のような応力吸収の条件や、応力の大きさに影響がある条件(樹脂材料6の収縮量や絶縁基板1と樹脂材料6との熱膨張率の差等)、めっき層4同士の間の電気絶縁性、絶縁基板1の寸法等の設計上の条件および生産性や経済性等に応じて、適宜設定すればよい。
例えば、絶縁基板1が酸化アルミニウム質焼結体からなる、平面視で1辺の寸法が約200mmで厚みが約3mmの正方形板状であり、樹脂材料6が、ポリイミド樹脂からなる、
厚みが約0.05mmの層であり、貫通導体3が直径約0.5mm(平面視で外周の長さが約1.6mm)の円柱状であるときに、複数の貫通導体3を隣接間隔約5mmで縦横の並びに配列した場合であれば、ニッケルめっき層4aおよび金めっき層4bからなるめっき層4について、円形状の貫通導体3の外周の約40〜70%程度の範囲で延出部分を形成すればよい。この場合には、例えば、貫通導体3の端面の外周のうち絶縁基板1の対角線と交差する2点を含む円弧状の部分において、弧の長さが約0.5mm程度の範囲で延出部分を形成すれ
ばよい。この場合には、貫通導体3(貫通導体3を被覆するめっき層4)の外周のうち約(0.5+0.5)/1.6(%)、つまり約63%の範囲に延出部分を形成することになる。
めっき層4の延出部分の形成方法は、例えば電解めっき法においてめっき時間を所定の時間よりも延長すればよい。この場合、めっき時間を長くするほどめっき層4が延出するが、めっき層4自体の応力も考慮する必要がある。
また、絶縁基板4の上面のうち貫通孔2の開口の外周に接する部分から外側に金属材料(図示せず)を点状または線状に配置しておいて、この金属材料を核として、めっき層4を貫通導体3よりも外側に成長させて被着させるようにすればよい。このような金属材料は、例えば、後述するようにレーザ加工による孔あけ加工で生じる溶融改質層を設け、この溶融改質層内の空隙に貫通導体3を形成する金属材料の一部が入り込むようにすることによって配置することができる。
めっき層4の延出部分は、貫通導体3がある部分から外側に向かってめっき(析出するニッケル等の金属層)が成長することによって形成されているため、厚みが比較的薄い。つまり、例えば図4に示すように、貫通導体3の端面上に被着されている部分においてめっき層4の厚みが最も厚く、貫通導体3上ではない延出部については厚みが薄くなる傾向がある。また、この厚みは、延出部分の内周側から外周側にかけて漸次薄くなる傾向がある。つまり、めっき層4の延出部分は貫通導体3上に比べ薄く形成することが可能なために、容易に変形しやすい状態にすることができることから、応力緩和の効果が発現される。なお、図4は、本発明の配線基板の実施の形態の他の例における要部を拡大して示す要部拡大断面図である。図4において図1と同様の部位には同様の符号を付している。図4において、樹脂絶縁層6は省略している。
また、めっき層4の延出部分の幅(平面視で貫通導体3の外周から延出部分の外側の端までの距離)は、上記のような延出部分を形成する範囲を設定する場合と同様の条件に応じて、適宜設定すればよい。例えば円形状の貫通導体3の端面の外周の全周にわたって延出部分を有している場合、つまり延出部分が円環状の場合に、約0.005〜0.03mm程度に
すればよい。
このような配線基板9において、図5に示すように、貫通孔2がレーザ加工によって形成されたものであり、この貫通孔2の内側面と貫通導体3の側面との間にレーザ加工によって生じた溶融改質層7が介在しており、めっき層4の延出した部分が溶融改質層7の端部と部分的に接合している場合には、めっき層4と貫通導体3の端面との間の剥離をより効果的に抑制することができる。なお、図5(a)は本発明の配線基板の実施の形態の他の例を示す平面図であり、図5(b)は図5(a)のA−A線における断面図である。図5において図1と同様の部位には同様の符号を付している。
すなわち、この場合には、例えば図6(a)に示すように、めっき層4の延出部分が溶融改質層7の端部と接合しているため、上記熱応力は、例えば図6(b)に示すように、延出部分を変形させることに加えて、めっき層4と溶融改質7との接合を切断することにも使われる。そのため、熱応力のうちめっき層4と貫通導体3の端面とを剥離させる成分をより低く抑えることができ、めっき層4と貫通導体3の端面との間の剥離をより効果的に抑制することができる。なお、図6(a)および(b)は、それぞれ、図5に示す配線基板の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。図6において図5と同様の部位には同様の符号を付している。図6において樹脂絶縁層6は省略している。
なお、溶融改質層7は、レーザ加工時に、絶縁基板1を形成しているセラミック焼結体が部分的に溶融した後に固化して貫通孔2の内側面に生じた層であり、再結晶した酸化アルミニウムと、ガラス成分と、これらの成分の間に生じた空隙と、空隙内に入り込んだ貫通導体3の金属材料(銀や銅等)とを含んでいる。このような溶融改質7に対してめっき層4は、主として空隙内の金属材料との結合によって接合している。そのため、めっき層4は、溶融改質層7に対して部分的に接合された状態になっている。このようなめっき層4と溶融改質層7との接合は、めっき層4と貫通導体3の端面との接合に比較して弱い。そのため、めっき層4は、応力が作用したときに、まず前述したように変形が生じた後、貫通導体3の端面から剥がれるよりも前に、溶融改質層7の端部のみから剥がれ、これによってめっき層4を貫通導体3から剥がすような応力をより効果的に吸収することができる。
なお、この場合、溶融改質層7は貫通導体3と同様の機能を備える必要がないため、めっき層4と溶融改質層7との間で剥離が生じたとしても、配線基板として断線等の不具合を生じることはない。
溶融改質層7は、上記のようにセラミック焼結体が部分的に溶融した後に固化して形成されたものであり、レーザ加工で貫通孔2を形成するときに形成される。レーザ加工時に、絶縁板1のうちレーザ光が直接照射された部分は酸化アルミニウム質焼結体等のセラミック焼結体の融点以上に加熱されて除去され、同時に、この熱によって、体絶縁板1の貫通孔2の内側面部分が溶融し、加工終了後の冷却(自然冷却等)によって溶融した部分が固化する。この固化の際に酸化アルミニウム成分が再結晶するとともに酸化ケイ素等のガラス成分の層と空隙とが生じる。また、後に貫通導体3となる金属材料のペーストを充填して焼結させたときに金属材料の一部が空隙内に部分的に入り込んでいる。この金属材料が溶融改質層7の端部に露出して、この金属材料にめっき層4を形成するニッケル等が被着している。
溶融改質層7の幅(平面視における内周と外周との間の距離)は、例えば、上記のように、絶縁基板1が酸化アルミニウム質焼結体からなる、平面視で1辺の寸法が約200mm
で厚みが約3mmの正方形板状であり、樹脂材料6が、ポリイミド樹脂からなる、厚みが約0.05mmの層であり、貫通導体3が直径約0.5mm(平面視で外周の長さが約1.6mm)の円柱状であるときであれば、約0.01〜0.05mm程度に設定すればよい。
(実施例1)
酸化アルミニウム質焼結体を用いて、厚みが約3mmで、1辺の長さが約200mmの正
方形板状の絶縁基板を準備し、この絶縁基板に直径が約0.3mmの貫通孔をドリル加工で
、隣接間隔を約5mmとして縦横の並びに配列形成し、これらの貫通孔内に銀の金属ペーストを充填して、約850℃で焼結させて貫通導体を形成した。貫通導体のうち絶縁基板の
上面に露出した端面は、厚みが約10〜20μmのニッケルめっき層と、厚みが約1〜2μmの金めっき層とを順次被着させて被覆した。その後、スパッタリング法およびめっき法によってチタン層(密着層)および銅層(主導体層)からなる配線導体を絶縁基板の上面に、めっき層と接続させて形成し、さらにポリイミド樹脂を用いて厚みが約0.025mmの樹
脂絶縁層を積層して実施例1の配線基板を作製した。
この実施例1の配線基板において、めっき層の外周部を貫通導体の端面よりも外側に約0.01mmの幅で円環状に延出させた。
(実施例2)
貫通孔を、炭酸ガスレーザを用いたレーザ加工で形成したこと以外は実施例1の配線基板と同様にして実施例2の配線基板を作製した。
(比較例)
めっき層に延出部分を形成しないこと以外は上記実施例1および2の配線基板と同様にして、比較例の配線基板を作製した。
なお、上記実施例1,2の配線基板において、めっき層およびその延出部分は、電解めっき法によって形成し、めっきの時間を長くすることによって延出部分を形成した。
また、上記実施例1,2および比較例の配線基板において、めっき層の延出部分の有無の確認およびその寸法の測定は、樹脂絶縁層を積層する前に画像処理装置を用いて行なった。
実施例1,2および比較例の配線基板それぞれ100個ずつについて、加速試験として温
度サイクル試験(−45℃〜+125℃,1000サイクル)の後、貫通導体とめっき層との間の
剥離の有無を断面観察によって検査した。
その結果、実施例1および実施例2の配線基板では、いずれも貫通導体とめっき層との間の剥離は確認されなかった。これに対し、比較例の配線基板では1個の配線基板において2つの貫通導体に、他の1個の配線基板において1つの貫通導体に、それぞれめっき層の剥がれが発生していた。
以上の結果により、本発明の配線基板における、めっき層の貫通導体からの剥離を抑制する効果を確認することができた。
1・・・絶縁基板
2・・・貫通孔
3・・・貫通導体
4・・・めっき層
5・・・配線導体
6・・・樹脂絶縁層
7・・・溶融改質層

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  1. セラミック焼結体からなり、厚み方向に貫通する貫通孔を有する絶縁基板と、前記貫通孔内に配置された貫通導体と、前記絶縁基板の上面に露出した前記貫通導体の端面を被覆するとともに、外周部の少なくとも一部が前記貫通導体の前記端面よりも外側に延出するように被着されためっき層と、前記絶縁基板の上面に順次積層された、前記めっき層と電気的に接続された配線導体および樹脂絶縁層を備えており、前記貫通孔がレーザ加工によって形成されたものであり、該貫通孔の内側面と前記貫通導体の側面との間に、前記レーザ加工によって生じた溶融改質層が介在しており、前記めっき層の前記延出した部分が前記溶融改質層の端部と接合していることを特徴とする配線基板。
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