JP5600047B2 - ガラス繊維シート、コンクリート構造物の保護被覆方法、コンクリート構造物保護被覆膜、及びコンクリート構造物保護被覆膜の膜厚管理方法 - Google Patents
ガラス繊維シート、コンクリート構造物の保護被覆方法、コンクリート構造物保護被覆膜、及びコンクリート構造物保護被覆膜の膜厚管理方法 Download PDFInfo
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このようなコンクリート構造物の変状を早期に発見し、コンクリート構造物の剥落を未然に防ぐために、透明性を有する防水、防食塗材をコンクリート表面に被覆する工法が採用されている。
かかる防水、防食塗材としてはアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、樹脂モルタル、ポリエステル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂などが一般的に使用されている。
さらに、保護被覆膜の施工時において、かかるガラス連続繊維シートは、よれ易く、作業性が悪い上、上記した透明被膜の厚みを効率よく測定管理することについて何ら改善されていない。
(2)本発明のガラス繊維シートは、前記粘着剤層に、剥離シートが貼付されていることが好ましい。
(3)本発明のコンクリート構造物の保護被覆方法は、先に記載のガラス繊維シートをコンクリート構造物に部分的に貼着する工程と、前記ガラス繊維シートを部分的に含む前記コンクリート構造物に透明ポリウレタン樹脂組成物を塗布する工程と、を含むことを特徴とする。
(4)本発明のコンクリート構造物保護被覆膜は、先に記載のコンクリート構造物の保護被覆方法を用いて、前記コンクリート構造物表面に被覆されたことを特徴とする。
(5)本発明のコンクリート構造物保護被覆膜の膜厚管理方法は、先に記載のコンクリート構造物保護被覆膜の膜厚を、渦電流式膜厚計を用いて、前記コンクリート構造物に部分的に貼着されたガラス繊維シートを介して測定することを特徴とする。
本発明のコンクリート構造物の保護被覆方法によれば、作業性よくコンクリート構造物を保護被覆することができ、工期の短縮をすることができる。
本発明のコンクリート構造物保護被覆膜によれば、コンクリート構造物の変状を早期に発見でき、さらに膜厚管理を非破壊で容易に行うことができる。
本発明のコンクリート構造物保護被覆膜の膜厚管理方法によれば、コンクリート構造物にダメージを与えことなく、簡便にコンクリート構造物保護被覆膜の膜厚を測定管理することができる。
第一に本発明のガラス繊維シートの実施の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明のガラス繊維シートの第一の実施形態を示す概略断面図である。この実施形態のガラス繊維シート1は、ガラスクロス2と、粘着剤層4とが積層され、前記ガラスクロス2の前記粘着剤層4が接している面2a側に部分的に非磁性金属フィルム層3が設けられている
粘着剤層4を構成するための粘着剤としては、特に制限なく、公知の粘着剤を使用でき、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などが使用できる。
図3は、本発明のガラス繊維シートの第二の実施形態を示す概略断面図である。図3において、図1に示したガラス繊維シート1と同じ構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
この実施形態のガラス繊維シート10は、ガラスクロス2と、粘着剤層4と、剥離シート5がこの順に積層され、前記ガラスクロス2の前記粘着剤層4が接している側に部分的に非磁性金属フィルム層3が設けられている。
即ち、この実施形態のガラス繊維シート10は、第一の実施形態のガラス繊維シート1の粘着剤層4に、剥離シート5が貼付されたものである。
シート材としては、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂などのフィルムや、これらのフィルムに填料などの充填剤を配合したフィルムや合成紙などが挙げられる。また、グラシン紙、クレーコート紙、上質紙などの紙基材が挙げられる。
シート材の表面に剥離性を持たせるには、その表面に熱硬化性シリコーン樹脂や、紫外線硬化型シリコーン樹脂等の剥離剤を塗布により付着させる。剥離剤の塗布量は0.03〜3.0g/m2が好ましい。
剥離シート5は、剥離剤を有する表面を粘着剤層4に接して積層される。
所定の寸法としては、非磁性金属フィルム層3が包含される大きさであることが必須である。上記したように、非磁性金属フィルム層3の大きさとして50mm四方以上であることが好ましいため、積層されたガラスクロス2、非磁性金属フィルム層3及び粘着剤層4は、50mm四方以上の寸法で裁断されることが好ましい。
図4は、本発明のガラス繊維シートの第三の実施形態を示す概略断面図である。図4において、図1、図3に示したガラス繊維シート1、10と同じ構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
この実施形態のガラス繊維シート20は、ガラスクロス2と、粘着剤層4とが積層され、前記ガラスクロス2の前記粘着剤層4が接している面2a側に部分的に非磁性金属フィルム層23が設けられている。
非磁性金属フィルム層23は、前記ガラスクロス2側から、ウレタン樹脂層23a、着色フィルム層23b、アルミ層23cがこの順に積層されてなる。
これにより、ガラス繊維シート20の強度が高くなり、貼着作業等が容易になり、また輸送にも有利になる。さらに、ガラス繊維シートの強度を補強することができる。
図5は、本発明のガラス繊維シートの第四の実施形態を示す概略断面図である。図5において、図1、図3、図4に示したガラス繊維シート1、10、20と同じ構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態のガラス繊維シート30は、ガラスクロス2と、粘着剤層4と、剥離シート5がこの順に積層され、前記ガラスクロス2の前記粘着剤層4が接している側に部分的に非磁性金属フィルム層23が設けられている。更に、非磁性金属フィルム層23は、前記ガラスクロス2側から、ウレタン樹脂層23a、着色フィルム層23b、アルミ層23cがこの順に積層されてなる。
即ち、この実施形態のガラス繊維シート20は、第三の実施形態のガラス繊維シート20の粘着剤層4に、剥離シート5が貼付されたものである。
図6に示されるように、所定の寸法としては、非磁性金属フィルム層23が包含される大きさであることが必須である。上記したように、非磁性金属フィルム層23の大きさは、50mm四方以上であることが好ましいため、積層されたガラスクロス2、非磁性金属フィルム層23及び粘着剤層4は、50mm四方以上の寸法で裁断されることが好ましい。
この実施形態のガラス繊維シート30は、第二の実施形態のガラス繊維シート10及び第三の実施形態のガラス繊維シート20の作用効果を兼ね備えている。
次に本発明のコンクリート構造物の保護被覆方法及びコンクリート構造物の保護被覆膜について説明する。
本発明のコンクリート構造物の保護被覆方法は、道路や鉄道の高架橋の高欄や橋脚などのコンクリート構造物の保護被覆膜を形成し、コンクリート構造物から、コンクリート片が剥落することを防止するものである。保護被覆膜の形成位置は、コンクリート構造物の外壁面、下面など、コンクリート片の剥落のおそれがある箇所である。
例えば、高架橋では、高欄や橋脚の外壁面、床版や橋桁の下面、橋脚張り出し部の下面などがその対象となる。
図7に示されるように、本発明のコンクリート構造物の保護被覆膜の一実施形態における層構成は、コンクリート構造物50/プライマー層51/ガラス繊維シート52/透明ポリウレタン樹脂層53である。
この実施形態のコンクリート構造物50の保護被覆方法としては、先ず定法に従い、コンクリート構造物50の表面を、清掃、洗浄し、塵埃や異物を除去し、乾燥後、下地接着剤層としてプライマーを塗布し、プライマー層51を形成する。
プライマー層51としては、下地(コンクリート構造物50)が湿っている場合もあることから、湿潤面に接着可能であることが好ましい。このような樹脂としては、湿潤程度の水分では実質的に発泡しないものが用いられ、湿潤面接着用接着剤として用いられる樹脂を用いることができる。
また、プライマー層51には、セメントまたはシラン系カップリング剤、あるいは、セメントとシラン系カップリング剤の両方が添加されていることが好ましい。プライマー層51とセメントとの配合割合は2:1(重量比)、プライマー層51に対するシラン系カップリング剤の配合割合は0.2〜3.0重量%程度とする。
セメントとしては、ポルトランドセメント、早強セメント、フライアッシュセメント、アルミナセメントなどが用いられる。
シラン系カップリング剤としては、エポキシシラン、アミノシランなどが用いられる。
このように、プライマー層51にセメントまたはシラン系カップリング剤、あるいは、セメントとシラン系カップリング剤の両方を添加すれば、コンクリート構造物50とプライマー層51の接着力が強くなり、結果として、コンクリート構造物50と透明ポリウレタン樹脂層53の接着力が強くなる。
このプライマーの塗布はプライマー用樹脂の溶液をスプレーガンによる散布あるいはローラーによる塗布で行うことが好ましい。この溶液の濃度は取り扱い性等から適宜選択すればよい。プライマーの塗布量は、好ましくは0.05〜0.5kg/m2 、より好ましくは 0.1〜0.3kg/m2とする。
また第二の実施形態又は第四の実施形態のガラス繊維シートから剥離シート5を剥がしたものを用いてもよい。これにより、コンクリート構造物50へのガラス繊維シート52の粘着が容易となり作業性が向上するとともに、特に現場において、ガラス繊維シート52に粘着剤あるいは接着剤の塗布が困難な場合には有利となる。
尚、現場で、ガラス繊維シート52に粘着剤あるいは接着剤を塗布した後、ガラス繊維シート52をプライマー層51に貼着してもよい。
また、この実施形態においては、美観を損ねないようにするため、ガラス繊維シート52をコンクリート構造物50に部分的に貼着するが、コンクリート構造物50の全面に貼着してもよい。特に後述する透明ポリウレタン樹脂層53の膜厚管理を簡便に行えるという観点から、又、コンクリート構造物保護被覆膜の施工時における作業性の観点から、50mm角の非磁性金属フィルム層が積層されたガラス繊維シート52を50mm〜1mピッチの範囲内で1枚ずつ貼り付けることが好ましい。これにより、透明ポリウレタン樹脂層53の乾燥後いつでも非破壊で、その膜厚を測定できる。また膜厚測定後、その測定部位が規定の膜厚に達していない場合は、簡便にその部位だけを再施工できる。
本発明のガラス繊維シート52は、コンクリート構造物保護被覆膜の透明性を維持するために二軸組布を用いている。ガラス繊維シート52に形成される透明ポリウレタン樹脂層53は、このガラス繊維シート52の強度を補強する機能を有している。
前記ポリウレタン樹脂組成物を用いて形成された樹脂塗膜は、適度な伸び、柔軟性及び弾性を有していることが好ましい。このような物性を有することにより、透明ポリウレタン樹脂層53は、コンクリート構造物の撓みなどによる変形に追従し、破断し難いため、コンクリート構造物からのコンクリート片の剥落防止を長期にわたって安定に維持できる。
また、上述したように、ガラス繊維シート52を構成するガラスクロスにおいては、透明性の観点から、二軸組布が用いられている。前記ポリウレタン樹脂組成物自体が充分な強度を有していることが好ましく、このようなポリウレタン樹脂組成物をガラス繊維シート52に塗布することにより、ガラス繊維シート52の強度を補強することができる。
本発明のコンクリート構造物保護被覆方法は、上記保護被覆膜を施工するのに適している。また、作業性に優れているため、工期の短縮をすることができる。
本発明のコンクリート構造物の保護被覆膜の膜厚管理方法においては、上述したような方法で、コンクリート構造物保護被覆膜をコンクリート構造物表面に被覆した後、図8に示すように渦電流式膜厚計55を用いて、透明ポリウレタン樹脂層53の表面からガラス繊維シート52の非磁性金属フィルムまでの距離、即ち、該保護被覆膜の膜厚を測定する。
上述したように、コンクリート構造物50の表面上(プライマー層51)上には、50mm角の非磁性金属フィルム層が積層されたガラス繊維シート52を貼り付けることが好ましいため、プローブ54としては、直径50mmのものを用いることが好ましい。
前記ガラス繊維シートは、非磁性金属フィルムが積層されているため、このガラス繊維シートに塗膜を形成した後、渦電流式膜厚計によってコンクリート構造物保護被覆膜表面から前記非磁性金属フィルムまでの距離を調べることにより、コンクリート構造物に形成されたコンクリート構造物保護被覆膜の膜厚を、下地の材質やその表面性状等に影響されることなく容易かつ正確に、しかも非破壊検査によって測定することができる。
以下に示す方法で、コンクリート構造物の表面に、コンクリート構造物保護被覆膜を形成し、その膜厚を測定した。
図9に示すように、300mm×300mmのコンクリート50に、プライマーとして、ダイフレックス社製レジプライマーPW−F(セメント25%添加)を0.15kg/m2ローラー塗布し、23℃で4時間養生した。
次いで、コンクリート50の四隅に50mm四方の非磁性金属フィルム層52a〜52dが積層された50mm×100mmのガラス繊維シート52A〜52Dを貼付した。
次いで、これらガラス繊維シートが貼付されたコンクリート50にポリウレタン樹脂組成物を塗布し、23℃で7日間養生した。各ガラス繊維シート上に塗布するポリウレタン樹脂組成物の塗布量を変え、表1に示すように、それぞれのコンクリート構造物保護被覆膜の膜厚を三針式針入型膜厚計(商品名:マックゲイジ、アワーブレーン環境設計作製)を用いて測定した。
渦電流膜厚計(サンコウ電子研究所社製、本体機種名:MiniTest1100、プローブ:N10(直径50mm))を非磁性金属フィルム層52a〜52d上の塗膜表面に当接させ、膜厚測定を行った。結果を表1に示す。
2 ガラスクロス
2a、3a、4a 面
3、23、52a、52b、52c、52d 非金属フィルム層
4 粘着剤層
5 剥離シート
23a ウレタン樹脂層
23b 着色フィルム層
23c アルミ層
50 コンクリート構造物
51 プライマー層
53 透明ポリウレタン樹脂層
54 プローブ
55 渦電流式膜厚計
Claims (5)
- ガラスクロスと、粘着剤層とが積層されているガラス繊維シートであって、前記ガラスクロスの前記粘着剤層が接している側に部分的に非磁性金属フィルム層が設けられており、前記非磁性金属フィルム層は、前記ガラスクロス側から、ウレタン樹脂層、PETフィルム層、アルミ層がこの順に積層されてなることを特徴とするガラス繊維シート。
- 前記粘着剤層に、剥離シートが貼付されている請求項1に記載のガラス繊維シート。
- 請求項1に記載のガラス繊維シートをコンクリート構造物に部分的に貼着する工程と、
前記ガラス繊維シートを部分的に含む前記コンクリート構造物に透明ポリウレタン樹脂組成物を塗布する工程と、
を含むことを特徴とするコンクリート構造物の保護被覆方法。 - 請求項3に記載のコンクリート構造物の保護被覆方法を用いて、前記コンクリート構造物に被覆されたことを特徴とするコンクリート構造物保護被覆膜。
- 請求項4に記載のコンクリート構造物保護被覆膜の膜厚を、渦電流式膜厚計を用いて、前記コンクリート構造物に部分的に貼着されたガラス繊維シートを介して測定することを特徴とするコンクリート構造物保護被覆膜の膜厚管理方法。
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