JP5599486B1 - コンデンサ劣化診断装置、インバータ装置、及び家電機器 - Google Patents

コンデンサ劣化診断装置、インバータ装置、及び家電機器 Download PDF

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Abstract

【課題】コンデンサの劣化状態の異常を精度良く検出することができるコンデンサ劣化診断装置、インバータ装置、及び家電機器を得る。
【解決手段】回路基板50に搭載されたアルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を検知するコンデンサ劣化診断装置100であって、回路基板50の、アルミ電解コンデンサ200の搭載面とは反対面に設けられ、アルミ電解コンデンサ200と熱的に結合した伝熱用導体パターン53と、伝熱用導体パターン53の温度を検出する温度センサ10と、温度センサ10の検出値に基づいて、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を判定する劣化判定手段20と、を備えたものである。
【選択図】図3

Description

本発明は、コンデンサの劣化状態を検知するコンデンサ劣化診断装置、及びそれを備えたインバータ装置、及び家電機器に関する。
従来の技術においては、コンデンサに密着配置された温度センサの検出温度を用いてコンデンサの残存寿命を演算する電子機器が提案されている(特許文献1参照)。
また、赤外線温度計測装置などの非接触式温度計測装置により、コンデンサの表面温度を計測するフィルムコンデンサの劣化診断装置が提案されている(特許文献2参照)。
特許第4508163号公報(請求項1) 特開2004−37258号公報(請求項1)
特許文献1に記載の技術では、コンデンサに温度センサを物理的に取り付けて、この温度センサの出力に基づいて劣化状態を判定しているため、熱抵抗のばらつきが出やすく検知精度が低い、という問題点があった。
また、コンデンサに温度センサを物理的に取り付ける際には、温度センサを薄膜テープで絶縁被覆するとともに、温度センサをコンデンサの外周面に当てつけた状態で熱収縮チューブに入れ、この熱収縮チューブを加熱収縮させることで、コンデンサと温度センサを密着させている。このため、製造の手間と温度センサを実装するための部品コストが高くなる、という問題点があった。
特許文献2に記載の技術は、フィルムコンデンサの表面温度を含む物性値を時系列データとしてデータベースに蓄積し、任意の経過時間毎に計測した温度特性値を比較、照合して、表面温度の時間的変化値である差分量ΔTを求めて表面温度の差分量ΔTの特性曲線を作る。そして、この特性曲線からデータベースに蓄積していた判定値を用いて劣化判定を行っている。このように、特許文献2に記載の技術では、コンデンサの劣化状態の異常を検出するための構成及び演算処理が複雑であり、コンデンサの劣化状態の異常の検出を安価な構成で実現することができない、という問題点があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、コンデンサの劣化状態の異常を精度良く検出することができるコンデンサ劣化診断装置、インバータ装置、及び家電機器を得るものである。
また、コンデンサの劣化状態の異常の検出を安価な構成で実現することができるコンデンサ劣化診断装置、インバータ装置、及び家電機器を得るものである。
本発明に係るコンデンサ劣化診断装置は、回路基板に搭載されたコンデンサの劣化状態の異常を検知するコンデンサ劣化診断装置であって、前記回路基板の、前記コンデンサの搭載面とは反対面に設けられ、前記コンデンサと熱的に結合した伝熱用導体パターンと、前記伝熱用導体パターンの温度を検出する温度センサと、前記温度センサの検出値に基づいて、前記コンデンサの劣化状態の異常を判定する劣化判定手段と、を備えたものである。
本発明は、コンデンサと熱的に結合した伝熱用導体パターンの温度を検出する温度センサの検出値に基づいて、電解コンデンサの劣化状態の異常を判定するので、コンデンサの劣化状態の異常を精度良く検出することができる。また、コンデンサの劣化状態の異常の検出を安価な構成で実現することができる。
実施の形態1に係るコンデンサ劣化診断装置のブロック構成図である。 実施の形態1に係るアルミ電解コンデンサを模式的に示す斜視図である。 実施の形態1に係るアルミ電解コンデンサが回路基板に搭載された状態を模式的に示す側面図である。 実施の形態1に係る回路基板の導体パターン面の要部を模式的に示す平面図である。 実施の形態1に係る温度センサと導体パターンとの接続を説明する模式図である。 実施の形態1に係る温度センサの接続回路図である。 実施の形態1に係るアルミ電解コンデンサの温度上昇と温度センサの出力電圧との関係を示す図である。 実施の形態2に係る回路基板の導体パターン面の要部を模式的に示す平面図である。 実施の形態2に係る温度センサと導体パターンとの接続を説明する模式図である。 実施の形態2に係る温度センサと導体パターンとの接続を説明する模式図である。 実施の形態3に係るアルミ電解コンデンサの温度上昇と温度センサの出力電圧との関係を示す図である。 実施の形態4に係るインバータ装置の回路図である。 実施の形態5に係る空気調和機の構成を示す図である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るコンデンサ劣化診断装置のブロック構成図である。
図1において、コンデンサ劣化診断装置100は、温度センサ10、劣化判定手段20、報知手段30、及び、停止手段40を備えている。このコンデンサ劣化診断装置100は、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を検知するものである。
なお、アルミ電解コンデンサ200は本発明における「コンデンサ」に相当する。
なお、コンデンサ劣化診断装置100が劣化状態の異常を検知する対象となるコンデンサはアルミ電解コンデンサに限らず、任意の種類のコンデンサを検知対象とすることができる。
温度センサ10は、例えばサーミスタによって構成され、アルミ電解コンデンサ200と熱的に結合した伝熱用導体パターン53の温度を検出し、温度に応じた電圧を劣化判定手段20へ出力する。詳細は後述する。
なお、本実施の形態1では、温度センサ10をサーミスタで構成した場合を説明するが、本発明はこれに限定されない。例えば、ダイオード又はトランジスタ等の顕著な温度特性を有する電子部品、又はIC温度センサなどの温度検出値を直接出力する素子など、温度を測定できる素子であれば任意のセンサを用いることができる。
劣化判定手段20は、温度センサ10から出力された電圧に基づいて、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を判定する。詳細は後述する。
報知手段30は、例えばセグメントLED又は液晶表示素子等からなり、劣化判定手段20の出力に基づいてアルミ電解コンデンサ200の劣化状態に関する所定の情報を使用者に報知する。
停止手段40は、劣化判定手段20の出力に基づいて、例えばアルミ電解コンデンサ200が搭載された機器に対する停止信号などの、劣化状態に応じた所定の信号を出力する。
なお、報知手段30及び停止手段40の何れか一方を省略しても良い。
図2は、実施の形態1に係るアルミ電解コンデンサを模式的に示す斜視図である。
図2に示すように、アルミ電解コンデンサ200は、電荷が蓄積される電解コンデンサ素子を収納し、アルミニウム等の金属から成るケース201の側面及び上面202の外周部が薄い樹脂203で覆われている。また、アルミ電解コンデンサ200には、+端子210及び−端子211が設けられている。
図3は、実施の形態1に係るアルミ電解コンデンサが回路基板に搭載された状態を模式的に示す側面図である。
図4は、実施の形態1に係る回路基板の導体パターン面の要部を模式的に示す平面図である。
図5は、実施の形態1に係る温度センサと導体パターンとの接続を説明する模式図である。
図3〜図5に示すように、アルミ電解コンデンサ200は、その他の電子部品とともに回路基板50の部品面に取り付けられる。回路基板50の、アルミ電解コンデンサ200の搭載面とは反対面(パターン面)には、コンデンサ用導体パターン51、52、伝熱用導体パターン53、及び、温度センサ用導体パターン54が設けられている。
コンデンサ用導体パターン51には、アルミ電解コンデンサ200の−端子211が接続され、コンデンサ用導体パターン52には、アルミ電解コンデンサ200の+端子210が接続されている。
伝熱用導体パターン53は、コンデンサ用導体パターン52に接続されている。つまり、伝熱用導体パターン53は、少なくとも一部が、アルミ電解コンデンサ200が搭載された領域内に配置されている。
また、伝熱用導体パターン53には、例えばサーミスタによって構成された温度センサ10の端子の一方が接続されている。温度センサ用導体パターン54には、温度センサ10の端子の他方側が接続されている。
温度センサ10は、伝熱用導体パターン53及び温度センサ用導体パターン54にはんだ接続されて、回路基板50に固定される。
このように、温度センサ10を回路基板50のパターン面に設けることで、温度センサ10を、アルミ電解コンデンサ200が搭載された領域の近傍又は領域内に配置することが可能となる。
なお、温度センサ10のパッケージに表面実装型を用いることで、温度センサ10をリフローによるはんだ付けができる。また、他の部品のはんだ付け工程で同時に温度センサ10の実装、固定が可能となり、製造コストが安価にできる。
このような各導体パターンの構成により、アルミ電解コンデンサ200で発生した熱は、アルミ電解コンデンサ200の+端子210、コンデンサ用導体パターン52、伝熱用導体パターン53、温度センサ10の順で伝熱する。即ち、伝熱用導体パターン53は、アルミ電解コンデンサ200と熱的に結合しており、温度センサ10は、伝熱用導体パターン53の温度を計測することで、間接的にアルミ電解コンデンサ200の温度を検出する。
なお、発明者らの実験によって、アルミ電解コンデンサ200の内部発熱による温度上昇が、−端子211側より+端子210側が大きくなる結果が得られた。このため本実施の形態1では、伝熱用導体パターン53を、アルミ電解コンデンサ200の−端子211より+端子210に近い位置に設けている。これにより、後述する自己温度上昇ΔTをより精度良く検出することでき、劣化状態異常の検出精度をより向上できる。
なお、本実施の形態1では、伝熱用導体パターン53をコンデンサ用導体パターン52に接続した場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。伝熱用導体パターン53は、少なくとも一部が、アルミ電解コンデンサ200が搭載された領域内に配置されていれば良く、任意の形状及び位置とすることができる。例えば、−端子211が接続されたコンデンサ用導体パターン51側に伝熱用導体パターン53を設けても良いし、コンデンサ用導体パターン51とコンデンサ用導体パターン52との間に設けても良い。
図6は、実施の形態1に係る温度センサの接続回路図である。
図6に示すように、サーミスタによって構成された温度センサ10は、一方の端子がアルミ電解コンデンサ200の+端子210と接続されている。また、温度センサ10の他方の端子は、分圧抵抗R2に直列に接続されている。
したがって、アルミ電解コンデンサ200の温度に応じてサーミスタの抵抗値が変化し、サーミスタと分圧抵抗R2との接続点における出力電圧Vが温度に応じた値となる。この出力電圧Vは劣化判定手段20へ入力される。
なお、図6に示した接続回路は一例であり、本発明はこれに限定されない。例えばアルミ電解コンデンサ200とサーミスタとを電気的に接続しない構成としても良い。
また、劣化判定手段20へ入力する検出値は出力電圧Vに限らず、温度センサ10の構成に応じた任意の物理量とすることができる。
次に、アルミ電解コンデンサ200の寿命と温度との関係について説明する。
アルミ電解コンデンサ200は、リプル電流により内部発熱する。この発熱量(消費電力W)は、次式(1)で表すことができる。
W=I R+VI …(1)
:リプル電流
R :内部抵抗(等価直列抵抗)
V :印加電圧
:漏れ電流
ここで、リプル電流IR≫漏れ電流ILであるため、式(1)は以下の式(2)で近似できる。
W≒I R …(2)
アルミ電解コンデンサ200における発熱による温度と放熱による温度とが平衡する条件を求めると、次式(3)となる。
R=βAΔT …(3)
β:放熱定数
A:アルミ電解コンデンサの表面積
ΔT:リプル電流による自己温度上昇
上記式(3)からアルミ電解コンデンサ200のリプル電流による自己温度上昇ΔTは、次式(4)となる。
ΔT=I R/βA …(4)
アルミ電解コンデンサ200は、その劣化によって内部抵抗Rが上昇することが知られている。つまり、劣化によって内部抵抗が上昇すると、リプル電流による自己温度上昇ΔTが上昇することとなる。
リプル電流による自己温度上昇と周囲温度とを考慮した実使用時の推定寿命Lxは、次式(5)で表すことができる。
Figure 0005599486
Lx:実使用時の推定寿命[h]
Lr:カテゴリ上限温度において、定格リプル電流重畳時の規定寿命[h]
To:カテゴリ上限温度(最高使用温度)[℃]
Ta:実使用時の周囲温度[℃]
ΔTo:定格リプル電流印加時の自己温度上昇[℃]
ΔT:リプル電流印加時による自己温度上昇[℃]
即ち、アルミ電解コンデンサ200の推定寿命は、上記式(5)の第3因子から、リプル電流印加時による自己温度上昇ΔTに比例していることが解る。
このようなことから本実施の形態1においては、アルミ電解コンデンサ200の温度上昇ΔTcを検出し、この温度上昇ΔTcに基づいて、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を判定する。
次に、本実施の形態1におけるコンデンサ劣化診断装置100の劣化判定動作を説明する。
図7は、実施の形態1に係るアルミ電解コンデンサの温度上昇と温度センサの出力電圧との関係を示す図である。
図7に示すように、アルミ電解コンデンサ200の温度上昇ΔTcと温度センサ10の出力電圧Vは比例関係となる。
また、上述したように、アルミ電解コンデンサ200に異常の兆候として現れる温度上昇ΔTcの上昇の程度を検知することによって、結果としてアルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を判定することができる。
そこで、本実施の形態1においては、図7に示すように、劣化判定レベルを劣化判定手段20に予め設定する。そして、劣化判定手段20は、温度センサ10の出力電圧Vがこの劣化判定レベル(図7のb点)を超えたとき、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を判定する。即ち、アルミ電解コンデンサ200の温度上昇ΔTcが小さい場合(図7のa点以下の場合)には、劣化判定手段20は劣化状態が正常と判定するが、温度上昇ΔTcが大きい場合(図7のa点を超えた場合)には、劣化判定手段20は劣化状態が異常と判定する。
なお、温度上昇ΔTcはアルミ電解コンデンサ200の形状及び種類によって異なり、また温度センサ10とアルミ電解コンデンサ200との位置関係によっても異なるため、劣化判定レベルは、劣化発生時の実際の温度変化量等を計測した実験値などで設定するのがよい。
劣化判定手段20は、劣化状態の判定結果を報知手段30に対して出力する。報知手段30は、例えばセグメントLED又は液晶表示素子等に判定された劣化状態に関する情報(例えば、エラーコードなど)を表示させる。なお、この表示の際、所定のメンテナンス内容の情報(例えば、部品交換を促すメッセージなど)を表示させるようにしても良い。また、スピーカー等により、当該劣化状態に関する情報を音により報知するようにしても良い。
また、劣化判定手段20は、劣化状態の判定結果を停止手段40に対して出力する。停止手段40は、例えばアルミ電解コンデンサ200が搭載された機器に対して停止信号を出力し、当該機器の動作を停止させる。なお、停止手段40からの出力はこれに限らず、例えば当該機器の出力電力の低下を指示する信号を出力するなど、任意の操作信号を出力するようにしても良い。
以上のように本実施の形態1においては、アルミ電解コンデンサ200と熱的に結合した伝熱用導体パターン53の温度を検出し、この検出値に基づいてアルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を判定する。
このため、アルミ電解コンデンサ200の温度を精度良く検出することができ、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態異常の検出を精度良く実現することができる。
また、アルミ電解コンデンサ200に温度センサ10を物理的に取り付ける必要が無いので、製造の手間と製造コストを低減することができる。また、従来の技術に比べ、取り付け誤差による検知精度の低下を回避できる。また、アルミ電解コンデンサ200に温度センサ10を物理的に取り付ける際の絶縁及び耐熱温度も考慮する必要が無い。
また本実施の形態1においては、伝熱用導体パターン53は、コンデンサ用導体パターン52に接続されている。
このため、アルミ電解コンデンサ200で発生した熱が、コンデンサ用導体パターン52、伝熱用導体パターン53、温度センサ10の順で伝熱し、アルミ電解コンデンサ200の温度を精度よく検出することができる。即ち、回路基板50の材質よりも熱伝導性がよい導体を介して熱が伝導することとなり、伝熱用導体パターン53がない場合と比較して、伝熱による温度低下が少なくなると共に、温度変化の応答性が向上する。
また本実施の形態1においては、伝熱用導体パターン53を、アルミ電解コンデンサ200の−端子211より+端子210に近い位置に設けている。
このため、アルミ電解コンデンサ200の内部発熱による温度上昇が、より大きい+端子210側の温度を検出することができ、アルミ電解コンデンサ200の自己温度上昇ΔTをより精度良く検出することができ、劣化状態異常の検出精度をより向上できる。
また、回路基板50の、アルミ電解コンデンサ200の搭載面とは反対面(パターン面)に、温度センサ10を設けている。
このため、温度センサ10を回路基板50の部品面に設ける場合と比較して、アルミ電解コンデンサ200の直下(配置領域内)又は近傍に配設し易くなる。よって、温度センサ10を回路基板50の部品面に設けるよりも、より効果的に高感度で温度測定が可能となる。
また、温度センサ10を回路基板50のパターン面に設けることで、温度センサ10が部品面の面積を占有しないため、結果的に回路基板50の面積を小さくすることができ、回路基板50の価格コストを低減することができる。
また、温度センサ10を回路基板50のパターン面に設けることで、アルミ電解コンデンサ200の+端子210及び−端子211をはじめとする他の部品のフローはんだ工程において、同時に温度センサ10の実装及び固定が可能となり、製造コストが安価にできる。よって、コンデンサ劣化診断装置100を簡便、容易な構成で、かつ、低コストで実現できる。
また本実施の形態1においては、サーミスタによって構成した温度センサ10からの出力電圧Vに基づいて、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を判定するので、コンデンサ劣化診断装置100を安価な構成で実現できる。
また、アルミ電解コンデンサ200の温度上昇ΔTcと比例関係となる温度センサ10の出力電圧Vに基づいて、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を判定するので、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態異常の検出を、精度良く実現することができる。また、従来の技術に比べ、コンデンサ劣化診断装置100を安価な構成で実現できる。
また、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の判定結果を、報知手段30により報知することにより、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態に関する情報を使用者に報知することができる。これにより、使用者は例えばアルミ電解コンデンサ200が搭載された機器の運転を停止させ、アルミ電解コンデンサ200の劣化故障による発煙及び異臭の発生を防止することができる。
また、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の判定結果に応じて、停止手段40は、例えばアルミ電解コンデンサ200が搭載された機器に対して停止信号を出力し、当該機器の動作を停止させる。これにより、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態が異常の際に、アルミ電解コンデンサ200が搭載された機器の運転を停止させることができ、アルミ電解コンデンサ200の劣化故障による発煙及び異臭の発生を防止することができる。
実施の形態2.
以下、本実施の形態2について、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。なお、上記実施の形態1と同一部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
図8は、実施の形態2に係る回路基板の導体パターン面の要部を模式的に示す平面図である。
図8に示すように、伝熱用導体パターン55は、回路基板50の、アルミ電解コンデンサ200の搭載面とは反対面に設けられている。この伝熱用導体パターン55は、回路基板50のうちアルミ電解コンデンサ200が搭載された領域内(直下)に設けられたランドによって構成されている。即ち、本実施の形態2における伝熱用導体パターン55は、回路基板50を介して、アルミ電解コンデンサ200と熱的に結合されている。
図9は、実施の形態2に係る温度センサと導体パターンとの接続を説明する模式図である。
図9に示すように、本実施の形態2における温度センサ10bは、温接点11と冷接点12とを有する熱電対、及びアンプ13を備えている。
熱電対は、温接点11が伝熱用導体パターン55に接続され、温接点11と冷接点12との間の温度差に応じた熱起電力を発生させる(ゼーベック効果)。
アンプ13は、熱電対の熱起電力を増幅して、出力電圧Vを劣化判定手段20へ入力する。
また、温度センサ10は、熱電対の温接点11が伝熱用導体パターン55にはんだ接続されて、回路基板50に固定される。つまり、温度センサ10のパッケージに表面実装型を用いる場合には、伝熱用導体パターン55は、温度センサ10の実装固定用のパッドとしても機能する。
なお、温接点11と冷接点12とを有する熱電対を、直列に複数接続してサーモパイルを構成しても良い。また、周囲温度を検出して冷接点12の温度を補償する回路を設けても良い。また、アンプ13は省略しても良い。
このような構成により、アルミ電解コンデンサ200で発生した熱は、アルミ電解コンデンサ200が搭載された領域内(直下)に設けられた伝熱用導体パターン55に伝熱する。そして、温度センサ10は、アルミ電解コンデンサ200が搭載された領域内(直下)における伝熱用導体パターン55の温度を計測することで、間接的にアルミ電解コンデンサ200の温度を検出する。
なお、コンデンサ劣化診断装置100のその他の構成及び劣化判定動作は実施の形態1と同様である。
本実施の形態2においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
また、本実施の形態2においては、伝熱用導体パターン55は、回路基板50のうちアルミ電解コンデンサ200が搭載された領域内(直下)に設けられたランドによって構成されている。
このため、回路基板50のうちアルミ電解コンデンサ200が搭載された領域内(直下)の温度を検出することができ、アルミ電解コンデンサ200の温度を精度よく検出することができる。
また本実施の形態2においては、温度センサ10は、熱電対によって構成され、温接点11が伝熱用導体パターン55によって加温され、温接点11と冷接点12との温度差に応じた出力電圧Vを発生する。そして、劣化判定手段20は、温度センサ10から出力された電圧が、予め設定した劣化判定レベルを超えたとき、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を判定する。
このため、アルミ電解コンデンサ200の温度上昇ΔTcと比例関係となる温度センサ10の出力電圧Vに基づいて、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を判定するので、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態異常の検出を、精度良く実現することができる。また、従来の技術に比べ、コンデンサ劣化診断装置100を安価な構成で実現できる。
また、温度センサ10は、伝熱用導体パターン55にはんだ接続されて、回路基板50に固定されるので、熱電対で構成した温度センサ10を回路基板50に搭載するために、別途、固定用のパッド等を設ける必要がなくなり、製品コストを低減することができる。
(変形例)
上記の説明では温度センサ10bが熱電対によって構成された場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、IC温度センサを用いても良い。一例を図10に示す。
図10において、温度センサ10cは、チップ内に温度センサ、定電流回路、オペアンプ等が集積されたIC温度センサである。一般に、IC温度センサの端子の少なくとも1つ(例えばGND端子)は、IC温度センサを構成するフレームに接続されている。つまり、フレームに接続されている端子に伝熱した熱は、チップ内部に伝熱し易く、検出温度に与える影響が大きくなる。
このようなことから、図10に示すように、IC温度センサによって構成された温度センサ10cは、フレームに接続された端子(例えばGND端子)が、伝熱用導体パターン55に接続される。これにより、アルミ電解コンデンサ200が搭載された領域内(直下)の温度を検出することができ、アルミ電解コンデンサ200の温度を精度よく検出することができる。
なお、本実施の形態2においても、サーミスタによって構成された温度センサ10を、ランドによって構成された伝熱用導体パターン55に接続しても良い。なお、この場合には、別途、伝熱用導体パターン55に電圧を供給する導体パターンを形成する。
なお、上述した実施の形態1の温度センサ10に代えて、本実施の形態2で説明した温度センサ10b又は10cを設けるようにしても良い。
実施の形態3.
本実施の形態3における劣化判定手段20は、劣化判定レベルが予め複数設定され、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常の程度を多段階に判定する。
以下、本実施の形態4について、上記実施の形態1又は2との相違点を中心に説明する。なお、上記実施の形態1又は2と同一部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
図11は、実施の形態3に係るアルミ電解コンデンサの温度上昇と温度センサの出力電圧との関係を示す図である。
本実施の形態3における劣化判定手段20には、劣化判定レベルが予め複数設定されている。例えば図11に示すように、温度上昇ΔTcの各点a1〜a3に対応して、劣化判定レベル1〜3(b1〜b3)が設定されている。
劣化判定手段20は、温度センサ10の出力電圧Vと、劣化判定レベル1〜3とを比較して、各劣化判定レベルに応じて、劣化状態の異常程度を判定する。
なお、温度上昇ΔTcはアルミ電解コンデンサ200によって異なるため、複数の劣化判定レベルは実際の温度変化量等を計測した実験値などで設定するのが良い。
例えば劣化判定手段20は、出力電圧Vがb1までは、劣化状態が正常状態であると判定する。
一方、出力電圧Vがb1を上回った場合は、劣化状態が異常であり、劣化判定レベル1〜3に応じて、所定の異常の程度を判定する。劣化判定手段20は、劣化状態の判定結果を報知手段30に対して出力する。
例えば劣化判定レベル1を上回った場合は、異常の程度が注意状態であると判定する。また、劣化判定レベル2を上回った場合は、異常の程度が警告状態であると判定する。また、劣化判定レベル3を上回った場合は、異常の程度が遮断状態であると判定する。
そして、報知手段30は、異常の程度に応じて、例えばセグメントLED又は液晶表示素子等に判定された劣化状態の程度に関する情報(例えば、注意、警告、遮断など)を表示させる。なお、この表示の際、所定のメンテナンス内容の情報を表示させるようにしても良い。例えば、注意の警告の際には部品寿命が近いことを注意喚起し、警告の際には部品交換を促すメッセージを表示し、遮断の際には部品寿命により運転不可である表示などを行う。
また、劣化判定手段20は、劣化状態の異常程度の判定結果を停止手段40に対して出力する。停止手段40は、例えばアルミ電解コンデンサ200が搭載された機器に対して、判定された異常の程度に応じた出力を行う。
例えば、異常の程度が注意状態である場合は機器に対する出力は行わない。異常の程度が警告状態である場合は、機器の出力電力の低下を指示する信号を出力する。また、異常の程度が遮断状態である場合は、停止信号を出力し、当該機器の動作を停止させる。
なお、劣化判定レベルの数は3つに限らず任意の数を設定することができる。
以上のように本実施の形態3においては、劣化判定手段20は、劣化判定レベルが予め複数設定され、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常の程度を多段階に判定する。このため、上記実施の形態1又は2の効果に加え、アルミ電解コンデンサ200の劣化の程度に応じた判定を行うことができる。
なお、本実施の形態3における劣化判定動作は、上記実施の形態1又は2の何れにも適用することができる。
実施の形態4.
図12は、実施の形態4に係るインバータ装置の回路図である。
図12において、インバータ装置300は、整流回路3と、直流電圧を交流電圧に変換して出力するインバータ回路5と、アルミ電解コンデンサ200と、上記実施の形態1〜3の何れかに記載のコンデンサ劣化診断装置100と、インバータ回路5の駆動を制御する制御手段6とにより構成されている。このインバータ装置300は、商用電源1から供給される電力により駆動されるモータ7(負荷)の運転を制御するものである。
整流回路3は、例えば全波整流回路となっており、商用電源1の交流電圧を直流電圧に変換する。この整流回路3は、4個の半導体スイッチ素子の整流ダイオード3a〜3dをブリッジ接続して構成される。
整流回路3の出力側には平滑用のコンデンサとして、上述したアルミ電解コンデンサ200が接続されている。
インバータ回路5は、アルミ電解コンデンサ200により平滑された直流電圧が入力され、制御手段6からの制御により例えばPWM制御を行い、入力された直流電圧を任意電圧、任意周波数の交流に変換する。このインバータ回路5は、例えばトランジスタ等の半導体によるスイッチング素子5a〜5fを各々ブリッジ接続して構成される。また、各々のスイッチング素子5a〜5fには並列に逆電流方向にダイオードが設けられている。
制御手段6は、インバータ回路5のスイッチング素子5a〜5fのスイッチング時間を決定することでPWM(パルス幅変調:Pulse Width Modulation)を行い、モータ7の各巻線に電圧を印加することでモータ7を駆動制御する。
コンデンサ劣化診断装置100は、上述した実施の形態1〜4の何れかと同様に、整流回路3の出力側に設けられたアルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を検知する。
また、コンデンサ劣化診断装置100の停止手段40は、劣化状態に応じた所定の信号を制御手段6に出力する。
例えば、停止手段40は、劣化判定手段20の出力に基づいて、制御手段6に対して停止信号又は負荷(モータ7)の出力電力の低下を指示する信号を出力する。
制御手段6は、コンデンサ劣化診断装置100の判定結果に応じて、インバータ回路5を制御してモータ7を駆動制御する。
例えば、停止信号が入力された場合には、モータ7の駆動を停止させる。また、出力電力の低下を指示する信号が入力された場合には、モータ7の回転数を低減するなどして、インバータ回路5からの出力電力を低下させる。
以上のように本実施の形態4においては、劣化判定手段20の判定結果に応じて、インバータ回路5の運転を制御するので、アルミ電解コンデンサ200の劣化故障による発煙及び異臭の発生を防止することができる。
実施の形態5.
本実施の形態5では、家電機器として例えば空気調和機にコンデンサ劣化診断装置100を搭載した場合の形態について説明する。
図13は、実施の形態5に係る空気調和機の構成を示す図である。
図13において、本実施の形態5における空気調和機は、室外機310、室内機320を備え、室外機310には、図示しない冷媒回路に接続され冷凍サイクルを構成する冷媒圧縮機311、図示しない熱交換機を送風する室外機用の送風機312を備えている。そして、この冷媒圧縮機311及び室外機用の送風機312の少なくとも一方は、上述したインバータ装置300により制御されるモータ7により駆動される。
このような構成においても、上記実施の形態1〜4と同様の効果が得られることはいうまでもない。
なお、本実施の形態5では、家電機器の一例として空気調和機を説明したが、本発明はこれに限るものではなく、インバータ装置300により駆動される負荷を備えた家電機器であれば良く、例えば冷蔵庫、手乾燥機、IHクッキングヒータ、炊飯器、照明器具などでも良い。
1 商用電源、3 整流回路、3a〜3d 整流ダイオード、5 インバータ回路、5a〜5f スイッチング素子、6 制御手段、7 モータ、10 温度センサ、10b 温度センサ、10c 温度センサ、11 温接点、12 冷接点、13 アンプ、20 劣化判定手段、30 報知手段、40 停止手段、50 回路基板、51 コンデンサ用導体パターン、52 コンデンサ用導体パターン、53 伝熱用導体パターン、54 温度センサ用導体パターン、55 伝熱用導体パターン、100 コンデンサ劣化診断装置、200 アルミ電解コンデンサ、201 ケース、202 上面、203 樹脂、210 端子、211 端子、300 インバータ装置、310 室外機、311 冷媒圧縮機、312 送風機、320 室内機。

Claims (13)

  1. 回路基板に搭載されたコンデンサの劣化状態の異常を検知するコンデンサ劣化診断装置であって、
    前記回路基板の、前記コンデンサの搭載面とは反対面に設けられ、前記コンデンサと熱的に結合した伝熱用導体パターンと、
    前記伝熱用導体パターンの温度を検出する温度センサと、
    前記温度センサの検出値に基づいて、前記コンデンサの劣化状態の異常を判定する劣化判定手段と、を備えた
    ことを特徴とするコンデンサ劣化診断装置。
  2. 前記回路基板は、前記コンデンサの搭載面とは反対面に、前記コンデンサの端子が接続されるコンデンサ用導体パターンが設けられ、
    前記伝熱用導体パターンは、前記コンデンサ用導体パターンに接続された
    ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ劣化診断装置。
  3. 前記伝熱用導体パターンは、前記回路基板のうち前記コンデンサが搭載された領域内に設けられたランドである
    ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ劣化診断装置。
  4. 前記温度センサは、サーミスタによって構成され、
    前記サーミスタの端子の一方が、前記伝熱用導体パターンに接続された
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のコンデンサ劣化診断装置。
  5. 前記温度センサは、熱電対によって構成され、
    前記熱電対の温接点が、前記伝熱用導体パターンに接続された
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のコンデンサ劣化診断装置。
  6. 前記温度センサは、前記伝熱用導体パターンにはんだ接続されて、前記回路基板に固定された
    ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のコンデンサ劣化診断装置。
  7. 前記コンデンサは、電解コンデンサによって構成され、
    前記伝熱用導体パターンは、前記電解コンデンサのマイナス端子よりプラス端子に近い位置に設けられた
    ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のコンデンサ劣化診断装置。
  8. 前記劣化判定手段は、
    前記温度センサの検出値が、予め設定した劣化判定レベルを超えたとき、前記コンデンサの劣化状態の異常を判定する
    ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のコンデンサ劣化診断装置。
  9. 前記劣化判定手段は、
    前記劣化判定レベルが予め複数設定され、前記コンデンサの劣化状態の異常の程度を多段階に判定する
    ことを特徴とする請求項8に記載のコンデンサ劣化診断装置。
  10. 前記劣化判定手段が判定した劣化状態に関する情報を報知する報知手段を備えた
    ことを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載のコンデンサ劣化診断装置。
  11. 整流された電源電圧を平滑する電解コンデンサと、
    複数のスイッチング素子を有し、前記電解コンデンサによって平滑された直流電圧を交流電圧に変換して出力するインバータ回路と、
    請求項1〜10の何れか一項に記載のコンデンサ劣化診断装置と
    を備えたことを特徴とするインバータ装置。
  12. 前記インバータ回路の駆動を制御する制御手段を備え、
    前記制御手段は、
    前記劣化判定手段の判定結果に応じて、前記インバータ回路の運転を制御する
    ことを特徴とする請求項11に記載のインバータ装置。
  13. 請求項11又は12に記載のインバータ装置と、
    前記インバータ回路によって駆動される負荷と
    を備えたことを特徴とする家電機器。
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