JP5615338B2 - コンデンサ劣化診断装置、インバータ装置、及び家電機器 - Google Patents
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Description
また、赤外線温度計測装置などの非接触式温度計測装置により、コンデンサの表面温度を計測するフィルムコンデンサの劣化診断装置が提案されている(特許文献2参照)。
また、コンデンサに温度センサーを物理的に取り付ける際には、温度センサーを薄膜テープで絶縁被覆するとともに、温度センサーをコンデンサの外周面に当てつけた状態で熱収縮チューブに入れ、この熱収縮チューブを加熱収縮させることで、コンデンサと温度センサーを密着させている。このため、製造の手間と温度センサーを実装するための部品コストが高くなる、という問題点があった。
また、コンデンサの劣化状態の異常の検出を安価な構成で実現することができるコンデンサ劣化診断装置、インバータ装置、及び家電機器を得るものである。
図1は、実施の形態1に係るコンデンサ劣化診断装置のブロック構成図である。
図1において、コンデンサ劣化診断装置100は、赤外線温度センサー10、劣化判定手段20、報知手段30、及び、停止手段40を備えている。このコンデンサ劣化診断装置100は、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を検知するものである。
なお、アルミ電解コンデンサ200は本発明における「電解コンデンサ」に相当する。
報知手段30は、例えばセグメントLED又は液晶表示素子等からなり、劣化判定手段20の出力に基づいてアルミ電解コンデンサ200の劣化状態に関する所定の情報を使用者に報知する。
停止手段40は、劣化判定手段20の出力に基づいて、例えばアルミ電解コンデンサ200が搭載された機器に対する停止信号などの、劣化状態に応じた所定の信号を出力する。
なお、報知手段30及び停止手段40の何れか一方を省略しても良い。
図3は、実施の形態1に係る赤外線温度センサーと反射板とを示す拡大図である。
図4は、実施の形態1に係る赤外線温度センサーの赤外線検知範囲を示す図であり、図4(a)は側面図、図4(b)は平面図である。
赤外線温度センサー10は、アルミ電解コンデンサ200が搭載された基板の同一面上に搭載されている。例えば図2に示すように、赤外線温度センサー10は、アルミ電解コンデンサ200が搭載されたコンデンサ搭載基板210の、アルミ電解コンデンサ200と同一面上に搭載されている。
また、赤外線温度センサー10は、検知視野がコンデンサ搭載基板210の面と略垂直方向に配置されている。赤外線温度センサー10の上部には、アルミ電解コンデンサ200からの赤外線を検知視野に導く反射板11が設けられている。
この反射板11は、開口部12から入射した赤外線を、赤外線温度センサー10へ向けて反射するものである。反射板11及び開口部12は、アルミ電解コンデンサ200の側面から放射された赤外線が赤外線温度センサー10へ入射するように構成されている。
このような構成によって、図4に示すように、赤外線温度センサー10へ入射する赤外線の検知範囲が、アルミ電解コンデンサ200の側面範囲となる。なお、赤外線温度センサー10の検知範囲をアルミ電解コンデンサ200の側面範囲より広くすると、アルミ電解コンデンサ200以外からの赤外線が入射し易くなるため望ましくない。
このように、アルミ電解コンデンサ200、コンデンサ搭載基板210、及び赤外線温度センサー10は、同一の雰囲気中に配置されており、各部品の周囲温度Taは略一致している。
W=IR 2R+VIL …(1)
IR:リプル電流
R :内部抵抗(等価直列抵抗)
V :印加電圧
IL:漏れ電流
W≒IR 2R …(2)
IR 2R=βAΔT …(3)
β:放熱定数
A:アルミ電解コンデンサの表面積
ΔT:リプル電流による自己温度上昇
ΔT=IR 2R/βA …(4)
Lr:カテゴリ上限温度において、定格リプル電流重畳時の規定寿命[h]
To:カテゴリ上限温度(最高使用温度)[℃]
Ta:実使用時の周囲温度[℃]
ΔTo:定格リプル電流印加時の自己温度上昇[℃]
ΔT:リプル電流印加時による自己温度上昇[℃]
図5に示すように、赤外線温度センサー10は、サーモパイル15、及び赤外線吸収膜18を備える。
サーモパイル15は、温接点16と冷接点17とを有する熱電対を、直列に複数接続して構成されており、温接点16と冷接点17との間の温度差に応じた熱起電力を発生させる(ゼーベック効果)。温接点16は、赤外線吸収膜18上に配置されており、入射した赤外線によって加温される。冷接点17は、サーモパイル15を構成する素子(例えばSi)を介して、コンデンサ搭載基板210と熱的に接続されている。
このような構成により、温接点16は、アルミ電解コンデンサ200の表面温度Tcに起因する赤外線によって加温される。
また、アルミ電解コンデンサ200と同一の雰囲気中に配置されているコンデンサ搭載基板210の温度は、アルミ電解コンデンサ200の周囲温度Taと略同一であるため、冷接点17の温度は、周囲温度Taと略同一となる。
赤外線温度センサー10は、この出力電圧ΔVを劣化判定手段20へ出力する。
一般に、サーモパイル型の赤外線温度センサーでは、周囲温度Ta(冷接点温度)をサーミスタ等により検出し、温度補償回路等の演算回路を用いて、出力値を補償することで測定対象物の温度の絶対値を検出している。
このように、本実施の形態1における赤外線温度センサー10は、温度上昇ΔTcを検出しているので、出力値を補償するための演算回路が不要となり、簡易な構成とすることができ、製品コストを低減することができる。
図6に示すように、アルミ電解コンデンサ200の温度上昇ΔTcと赤外線温度センサー10の出力電圧ΔVは比例関係となる。
また、上述したように、アルミ電解コンデンサ200に異常の兆候として現れる温度上昇ΔTcの上昇の程度を検知することによって、結果としてアルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を判定することができる。
また、劣化判定手段20は、劣化状態の判定結果を停止手段40に対して出力する。停止手段40は、例えばアルミ電解コンデンサ200が搭載された機器に対して停止信号を出力し、当該機器の動作を停止させる。なお、停止手段40からの出力はこれに限らず、例えば当該機器の出力電力の低下を指示する信号を出力するなど、任意の操作信号を出力するようにしても良い。
また、アルミ電解コンデンサ200に温度センサーを物理的に取り付ける必要が無いので、製造の手間と製造コストを低減することができる。また、従来の技術に比べ、取り付け誤差による検知精度の低下を回避できる。また、温度センサーを物理的に取る付ける際の絶縁及び耐熱温度も考慮する必要が無い。
また、サーモパイル15で発生した電圧に基づいて、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を判定するので、コンデンサ劣化診断装置100を安価な構成で実現できる。
また、アルミ電解コンデンサ200の温度上昇ΔTcと比例関係となる赤外線温度センサー10の出力電圧ΔVに基づいて、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常を判定するので、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態異常の検出を、精度良く実現することができる。また、従来の技術に比べ、コンデンサ劣化診断装置100を安価な構成で実現できる。
以下、本実施の形態2について、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。なお、上記実施の形態1と同一部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
図7に示すように、本実施の形態2に係る赤外線温度センサー10は、コンデンサ搭載基板210のアルミ電解コンデンサ200と同一面上に搭載され、検知視野がコンデンサ搭載基板210の面と略水平方向に配置されている。そして、コンデンサ搭載基板210(導体パターン)と接続する出力リード13をL字状に折り曲げている。
このような構成によって、赤外線温度センサー10へ入射する赤外線の検知範囲が、アルミ電解コンデンサ200の側面範囲となる。
なお、コンデンサ劣化診断装置100のその他の構成及び劣化判定動作は実施の形態1と同様である。
また、本実施の形態2においては、上記実施の形態1で説明した反射板11を設ける必要が無くなり、さらに簡易な構成とすることができ、製品コストを低減することができる。
以下、本実施の形態3について、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。なお、上記実施の形態1と同一部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
図8に示すように、本実施の形態3に係る赤外線温度センサー10は、センサー基板220に搭載され、センサー基板220は、アルミ電解コンデンサ200が搭載されたコンデンサ搭載基板210に対して対向するように固定されている。アルミ電解コンデンサ200、コンデンサ搭載基板210、赤外線温度センサー10、及びセンサー基板220は、同一の雰囲気中に配置されており、各部品の周囲温度Taは略一致している。
赤外線温度センサー10は、検知視野がコンデンサ搭載基板210の面と略垂直方向に配置されている。
このような構成によって、赤外線温度センサー10へ入射する赤外線の検知範囲が、アルミ電解コンデンサ200の対向面範囲となる。
なお、コンデンサ劣化診断装置100のその他の構成及び劣化判定動作は実施の形態1と同様である。
また、本実施の形態3においては、上記実施の形態1で説明した反射板11を設ける必要が無くなり、さらに簡易な構成とすることができ、製品コストを低減することができる。また、赤外線温度センサー10の出力リード13を折り曲げ加工する必要が無くなり、製造コストを低減することができる。
例えば図9に示すように、センサー基板220とコンデンサ搭載基板210との間に、例えばスペーサ211を配置し、各基板とスペーサ211とをネジ212で固定することで、コンデンサ搭載基板210にセンサー基板220を固定する。
また例えば図10に示すように、回路基板ケース110に、センサー基板220をネジ221で固定する。
なお、センサー基板220の固定方法はこれに限るものではなく、センサー基板220に搭載した赤外線温度センサー10が、コンデンサ搭載基板210に搭載したアルミ電解コンデンサ200に対向して配置できるものであれば良い。
図11に示すように、アルミ電解コンデンサ200は、電荷が蓄積される電解コンデンサ素子を収納し、アルミニウム等の金属から成るケース201の側面及び上面202の外周部が薄い樹脂203で覆われている。つまり、ケース201の上面202は、その外周部を除きアルミニウム等の金属が露出している。
アルミ電解コンデンサ200を被覆する樹脂203の放射率は、アルミニウム等の金属の放射率より大きいものである。例えば、樹脂203の放射率は約0.95、アルミニウム等の金属の放射率は約0.5〜0.6程度である。
したがって、アルミ電解コンデンサ200の表面温度Tcの検出には、樹脂203で覆われている部分から放射された赤外線を検出するのが望ましい。
これによって、アルミ電解コンデンサ200の上面側が、樹脂203で覆われていない場合にも、アルミ電解コンデンサ200の温度上昇ΔTcを精度良く検出することができ、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態異常の検出を、精度良く実現することができる。
一般に、赤外線温度センサーにおいては測定対象の放射率を考慮して補正を行う必要があるが、本実施の形態におけるコンデンサ劣化診断装置100は、温度上昇ΔTcに比例する出力電圧ΔVと劣化判定レベルとを比較することで、劣化状態の異常を判定しているため、放射率を考慮した補正等を行う必要が無く、簡易な構成とすることができ、製品コストを低減することができる。
本実施の形態4における劣化判定手段20は、劣化判定レベルが予め複数設定され、アルミ電解コンデンサ200の劣化状態の異常の程度を多段階に判定する。
以下、本実施の形態4について、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。なお、上記実施の形態1と同一部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施の形態4における劣化判定手段20には、劣化判定レベルが予め複数設定されている。例えば図13に示すように、温度上昇ΔTcの各点a1〜a3に対応して、劣化判定レベル1〜3(b1〜b3)が設定されている。
劣化判定手段20は、赤外線温度センサー10の出力電圧ΔVと、劣化判定レベル1〜3とを比較して、各劣化判定レベルに応じて、劣化状態の異常程度を判定する。
なお、温度上昇ΔTcはアルミ電解コンデンサ200によって異なるため、複数の劣化判定レベルは実際の温度変化量等を計測した実験値などで設定するのが良い。
一方、出力電圧ΔVがb1を上回った場合は、劣化状態が異常であり、劣化判定レベル1〜3に応じて、所定の異常の程度を判定する。劣化判定手段20は、劣化状態の判定結果を報知手段30に対して出力する。
例えば劣化判定レベル1を上回った場合は、異常の程度が注意状態であると判定する。また、劣化判定レベル2を上回った場合は、異常の程度が警告状態であると判定する。また、劣化判定レベル3を上回った場合は、異常の程度が遮断状態であると判定する。
そして、報知手段30は、異常の程度に応じて、例えばセグメントLED又は液晶表示素子等に判定された劣化状態の程度に関する情報(例えば、注意、警告、遮断など)を表示させる。なお、この表示の際、所定のメンテナンス内容の情報を表示させるようにしても良い。例えば、注意の警告の際には部品寿命が近いことを注意喚起し、警告の際には部品交換を促すメッセージを表示し、遮断の際には部品寿命により運転不可である表示などを行う。
例えば、異常の程度が注意状態である場合は機器に対する出力は行わない。異常の程度が警告状態である場合は、機器の出力電力の低下を指示する信号を出力する。また、異常の程度が遮断状態である場合は、停止信号を出力し、当該機器の動作を停止させる。
なお、劣化判定レベルの数は3つに限らず任意の数を設定することができる。
図14は、実施の形態5に係るインバータ装置の回路図である。
図14において、インバータ装置300は、整流回路3と、直流電圧を交流電圧に変換して出力するインバータ回路5と、アルミ電解コンデンサ200と、上記実施の形態1〜4の何れかに記載のコンデンサ劣化診断装置100と、インバータ回路5の駆動を制御する制御手段6とにより構成されている。このインバータ装置300は、商用電源1から供給される電力により駆動されるモータ7(負荷)の運転を制御するものである。
整流回路3の出力側には平滑用のコンデンサとして、上述したアルミ電解コンデンサ200が接続されている。
また、コンデンサ劣化診断装置100の停止手段40は、劣化状態に応じた所定の信号を制御手段6に出力する。
例えば、停止手段40は、劣化判定手段20の出力に基づいて、制御手段6に対して停止信号又は負荷(モータ7)の出力電力の低下を指示する信号を出力する。
例えば、停止信号が入力された場合には、モータ7の駆動を停止させる。また、出力電力の低下を指示する信号が入力された場合には、モータ7の回転数を低減するなどして、インバータ回路5からの出力電力を低下させる。
本実施の形態6では、家電機器として例えば空気調和機にコンデンサ劣化診断装置100を搭載した場合の形態について説明する。
図15は、実施の形態6に係る空気調和機の構成を示す図である。
図15において、本実施の形態6における空気調和機は、室外機310、室内機320を備え、室外機310には、図示しない冷媒回路に接続され冷凍サイクルを構成する冷媒圧縮機311、図示しない熱交換機を送風する室外機用の送風機312を備えている。そして、この冷媒圧縮機311及び室外機用の送風機312の少なくとも一方は、上述したインバータ装置300により制御されるモータ7により駆動される。
このような構成においても、上記実施の形態1〜5と同様の効果が得られることはいうまでもない。
Claims (10)
- 電解コンデンサの劣化状態の異常を検知するコンデンサ劣化診断装置であって、
前記電解コンデンサからの赤外線に対応して電圧を発生するサーモパイルを有する赤外線温度センサーと、
前記赤外線温度センサーから出力された電圧に基づいて、前記電解コンデンサの劣化状態の異常を判定する劣化判定手段と、を備え、
前記赤外線温度センサーは、
前記電解コンデンサからの赤外線によって加温される温接点と、当該赤外線温度センサーが搭載された基板に熱的に接続された冷接点との温度差に応じた電圧を発生し、
前記基板、前記赤外線温度センサー、及び前記電解コンデンサは、同一の雰囲気中に配置され、
前記劣化判定手段は、
前記赤外線温度センサーから出力された電圧が、予め設定した劣化判定レベルを超えたとき、前記電解コンデンサの劣化状態の異常を判定する
ことを特徴とするコンデンサ劣化診断装置。 - 前記赤外線温度センサーは、
前記電解コンデンサが搭載された基板の同一面上に搭載された
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ劣化診断装置。 - 前記赤外線温度センサーは、
検知視野が前記基板の面と垂直方向に配置され、
前記電解コンデンサからの赤外線を前記検知視野に導く反射板を備えた
ことを特徴とする請求項2に記載のコンデンサ劣化診断装置。 - 前記赤外線温度センサーは、
検知視野が前記基板の面と水平方向に配置され、
前記基板と接続する出力リードをL字状に折り曲げた
ことを特徴とする請求項2に記載のコンデンサ劣化診断装置。 - 前記赤外線温度センサーは、第1基板に搭載され、
前記第1基板は、
前記電解コンデンサが搭載された第2基板に対して固定された
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ劣化診断装置。 - 前記劣化判定手段は、
前記劣化判定レベルが予め複数設定され、前記電解コンデンサの劣化状態の異常の程度を多段階に判定する
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のコンデンサ劣化診断装置。 - 前記劣化判定手段が判定した劣化状態に関する情報を報知する報知手段を備えた
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のコンデンサ劣化診断装置。 - 整流された電源電圧を平滑する電解コンデンサと、
複数のスイッチング素子を有し、前記電解コンデンサによって平滑された直流電圧を交流電圧に変換して出力するインバータ回路と、
請求項1〜7の何れか一項に記載のコンデンサ劣化診断装置と
を備えたことを特徴とするインバータ装置。 - 前記インバータ回路の駆動を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記劣化判定手段の判定結果に応じて、前記インバータ回路の運転を制御する
ことを特徴とする請求項8に記載のインバータ装置。 - 請求項8又は9に記載のインバータ装置と、
前記インバータ回路によって駆動される負荷と
を備えたことを特徴とする家電機器。
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