JP5599368B2 - 電動ターボチャージャのモータロータ構造とその組付け方法 - Google Patents
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Description
その電動ターボチャージャの駆動源として回転軸に電動機を組み込んで、コンプレッサインペラを回転制御することにより、加速応答性を改善する電動ターボチャージャが用いられている。
エンジン01の吸気マニホールド012の上流側には電動過給機03が配置されている。電動過給機03は電動モータ04と、吸気系通路に配置されたコンプレッサインペラ032が電動モータ04の回転軸041に連結されている。
電動モータ04の駆動によりコンプレッサインペラ032を駆動して、図示されないエアクリーナからの吸気を圧縮して吸気マニホールド012を介してエンジン01に給気している。
また、ハウジング031のモータロータ043と対向した位置には、磁界を発生させて、モータロータ043を回転させるステータ044が配設されている。
06はエンジンコントロールユニット(ECU)で、エンジン01の運転をコントロールすると共に、エンジン01の運転状況によりステータ044に流す電流量を電力変換器08を介して制御して、電動過給機03の運転を制御している。07はバッテリィで電力変換器08の電源である。
そして、一対の軸受042,042の間には回転子046が配設されている。
この場合、回転子046は永久磁石が使用され、外周部に永久磁石の飛散を防止するため外周部にスリーブ047が外嵌されることが必須となっている。
また、モータロータ043の外周部には、モータロータ043の永久磁石と協働して、回転軸041を回転駆動するためのステータ044がハウジング031に配設されている。
その対応策として、モータロータに永久磁石を使用しないモータのひとつに、磁気誘導子形モータがある。
磁気誘導子形モータは積層電磁鋼板及び鉄材、または、積層電磁鋼板からなるロータである回転子鉄心を回転子鉄心の周囲に配置したステータによって駆動するものである。界磁磁束は,ステータ軸方向に設けた界磁コイルまたはステータ軸方向に磁束を発生する界磁磁石によって生成される。
磁気誘導子形モータの回転軸に取付けられている回転子鉄心は薄板状の電磁鋼板を電磁鋼板の板厚方向に積層した状態で固着されている。
積層した電磁鋼板をタービンロータのシャフトに固定する作業は、薄板状の電磁鋼板が剥がれたり、変形したりすることを防止するために組立品質の徹底した維持管理が必要であり、その工数増大に伴うコスト高になる問題が生じた。
この場合、コンプレッサインペラ、回転子鉄心夫々の単体バランスを調整した後にシャフトに圧入または、焼き嵌め(又は冷し嵌め)して組立てるため、回転子鉄心やコンプレッサインペラの取付けに失敗すると、タービンインペラ、シャフト、既に取付け済みであった軸受等は使用できなくなる。
前記ハウジング内に配設されたステータが形成する磁界により回転する回転子鉄心と、
前記コンプレッサインペラと前記回転子鉄心とを一体的に回転させるシャフトと、
前記ハウジングに形成された軸受支持部に取付けられ、前記シャフトを回転可能に支軸する軸受と、を備えた電動ターボチャージャのモータロータ構造において、
前記モータロータは前記シャフトのスラスト方向中間部に前記回転子鉄心の移動を規制するストッパ部と、前記シャフトに外嵌された前記回転子鉄心を前記ストッパ部に押圧する押圧手段とを有し、前記シャフトと前記回転子鉄心との周方向への位相ズレを防止するようにしたことを特徴とする。
従って、センサターゲット板をシャフトに対して同心状に保ったまま組みつけられ、ナットの締め付け(押圧手段)によりセンサターゲット板を介して前記回転子鉄心のスラスト方向端面の全体をシャフトのストッパに向け均一に押圧するため、回転子鉄心の積層隙間を極小化できることから、安定性に優れたモータ性能を確保する組み付けができると共に、回転子鉄心の回転数検出精度をも向上させることができる。
また、インナスリ―ブと電磁鋼板が一体となった回転子鉄心、シャフト+コンプレッサインペラ夫々のバランス修正を行った後に組付けることができるので、タービンロータの最終バランス修正が容易となり、バランス修正時間の短縮(製造プロセスの改善)、回転子鉄心のシャフト挿入時における失敗頻度の低減効果を有し、組立工数の低減になる。
更に、押圧手段がインナスリーブをスラスト方向に押圧する構造なので、熱によるシャフトの熱変形(線膨張)が発生しても、回転子鉄心の電磁鋼板への押圧力には影響せず適正値に維持されるので、回転子鉄心とシャフトとの回転方向の滑りを防止でき、タービンロータの品質が安定する。
積層された電磁鋼板を一体化し、該一体化された電磁鋼板をインナスリーブに外嵌固定して回転子鉄心を予め形成するステップと、予め形成された前記回転子鉄心をモータロータのシャフトに外嵌するステップと、その後、押圧手段にて前記インナスリーブに押圧力を付与して前記回転子鉄心を前記モータロータのシャフトに固定するステップとを備えることを特徴とする電動ターボチャージャのモータロータの組付け方法を特徴とする。
また、最終バランス修正時間の短縮化が可能となる。
但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1(A)に基づいて、本発明の第1実施形態にかかるモータロータ1について説明する。
モータロータ1は、シャフト4と、シャフト4の一端側に取付けられた回転子鉄心2と、他端側に取付けられたコンプレッサインペラ3と、回転子鉄心2とコンプレッサインペラ3との間に間隔を有してコンプレッサインペラ3側に配設された第1軸受11と、回転子鉄心2側に配設された第2軸受12とを備え、モータロータ1は、軸受11,12を介して電動過給機のハウジングに設けられた軸受支持部(図示省略)に取付けられる。
尚、第1、第2軸受、11,12の位置は上述のとおり回転子鉄心2とコンプレッサインペラ3の間に夫々配置する場合と、回転子鉄心2の両外側部に夫々配置する場合があるが、どちらの場合も本願の発明を適用することが可能である。
また、本実施形態においては、軸受の形式としては、ボールベアリング(アンギュラコンタクトボールベアリング)、又はメタル軸受(滑り軸受)のどちらでもよく、特に規定しない。
図2に細い軸部42側の部分拡大図を示すように、太い軸部41と細い軸部42(太い軸部41と細い軸部42との連結部も同様形状)との連結部は軸線CLに直角な段差部48(47)となっており、コンプレッサインペラ3、及び回転子鉄心2を取付ける際の軸方向のストッパ部となっている。
また、太い軸部41と細い軸部42との段差部48の太い軸部41側端部にはスパナが嵌合できる把持部である二面幅の平面部44が形成されている。
この、二面幅部44は回転子鉄心2又は、コンプレッサインペラ3をシャフト4に取付ける際に、ナット13、及び14を締付けるシャフト4の回り止めとして、二面幅の平面部44にスパナを嵌着する部分となる。
また、平面部44に加工しない残りの円周面はモータロータ1を組上げた後のバランス調整を行う際のバランス修正加工個所として利用できる。〔図2(B)参照〕
さらに、シャフト4の両端部(細い軸部42,43)にはコンプレッサインペラ3、及び回転子鉄心2を取付けるためのネジ部が配設されている。
積層された電磁鋼板23とセンタリング21は嵌合孔24部分をカシメ加工にて一体的に形成される。
尚、センタリング21が介装されない場合には、積層された電磁鋼板23だけで一体的にカシメ加工される。
45及び46はシールリングで、コンプレッサインペラ3の背面側に装着されているシールリング45は細い軸部43に嵌合(外嵌)するスリーブ状に形成されており、電動ターボチャージャのハウジングに設けられた軸受支持部の軸受を潤滑、冷却する流体をシールする部材である。
シールリング46は太い軸部に一体的に形成されており、作用は上述と同じなので省略する。
次に、細い軸部43にシールリング45、コンプレッサインペラ3を順次外嵌させ、シールリング45が段差部47に当接するまで挿入する。
その後、ナット13で仮締めして、把持部である二面幅部44にスパナを嵌着、別のスパナで増締めする。
次に、細い軸部42に電磁鋼板23を保護する保護板25を嵌入させ、回転子鉄心2を挿入し、モータロータ1の回転制御を行うためのセンサターゲット板22を組込んでナット14を仮締めする。スパナで二面幅部44(把持部)を把持して、別のスパナで規定のトルクに増締めして、細い軸部42と回転子鉄心2とが周方向に相対変位(滑り)を生じさせないようにする。
電磁鋼板23とセンサターゲット22が、シャフト4の細い軸部42に挿入された状態において、センサターゲット板の厚さLと、センサターゲット板22の内周壁面がシャフト4の細い軸部42の外径と接触する部分(スラスト方向の一部範囲)の長さL1との寸法関係はL>L1であり、またL1はセンサターゲット板22とシャフト4の同心度を得るに十分な長さになるよう設定される。
また、シャフト4の細い軸部42にセンサターゲット板22を組込み、ナット14にて締付けた際に、シャフト4の細い軸部42にきられたネジ部の根元(ネジ切上がり部)は、センサターゲット板22の板厚方向の中間部に位置するように形成してあるので、回転子鉄心2及び細い軸部42の軸線方向の製造誤差が生じても、回転子鉄心2及びセンサターゲット板22の締付け(押圧力)が不足するのを防止できるようになっている。
以後各実施形態においても、モータロータ1の回転制御を行う場合はセンサターゲット板22を配設するが、回転制御を行わない場合は保護板25が配設されるので、説明は省略する。
さらに、回転子鉄心2とストッパ部である段差部48との間にスラスト方向に弾性力を有する弾性部材(例えば皿バネ等)を介装させると、細い軸部42が熱により線膨張した場合でも、回転子鉄心2に作用するスラスト力が維持され、回転子鉄心2と細い軸部42との周方向への相対滑りは防止される。
また、シャフト4の細い軸部42へセンサターゲット板22を組込んだ際に、センサターゲット板とシャフト4との軸心ズレが発生しないようにしたことで、モータロータ組立て後のダイナミックバランスの悪化を抑制すると同時に、回転子鉄心2の回転数検出精度を向上させ、エンジンの負荷状況に応じた高精度の回転数(過給)制御が可能となり、エンジン性能の向上が図れる。
二面幅部44にスパナを嵌着して、ナット13を締付けるので、締付トルクの管理が行い易く、回転子鉄心2の段差部47への押圧力のバラツキが少なく品質が安定する。
本実施形態において、第1実施形態と同じものは同符号を付して、説明を省略する。
図3に基づいて、本発明の第2実施形態にかかるモータロータ15について説明する。
第2実施形態は第1実施形態のモータロータ1の回転子鉄心2に組込まれているセンサターゲット板22が削除され、センサターゲット板22の代わりに電磁鋼板23を保護する保護板25を配設したモータロータ15とした以外は同じなので、説明は省略する。
センサターゲット板22を廃止したのでコスト低減となる。
本実施形態において、第1実施形態と同じものは同符号を付して、説明を省略する。
図4に基づいて、本発明の第3実施形態にかかるモータロータ16について説明する。
モータロータ16は、シャフト6と、シャフト6の一端側に固定されたコンプレッサインペラ3と、コンプレッサインペラ3の背面側にシールリング45を介してシャフト6に外嵌したアウタスリーブ64と、アウタスリーブ64に外嵌した第1軸受11と、シャフト6のスラスト方向中間部にラジアル方向へシャフト6の軸線に対し略直角方向の段差を有したストッパ部である段差部65にアウタスリーブ64によってスラスト方向に押圧される回転子鉄心5と、回転子鉄心5に隣接して配置された第2軸受12とで構成されている。
尚、シャフト6の他端側にはシャフト6と一体的にシールリング63が形成されている。
また、太い軸部61の細い軸部62側端部にはスパナが嵌着できる把持部である二面幅の平面部44が形成されている。
シャフト6の細い軸部62には、回転子鉄心5、アウタスリーブ64、シールリング45及び、コンプレッサインペラ3の順に組付けられ、ナット13の締付けによってコンプレッサインペラ3側から回転子鉄心5が段差部65に押圧される。
積層された電磁鋼板23とセンタリング21は嵌合孔24部分をカシメにて一体的に形成される。
次に、細い軸部62に回転子鉄心5、第1軸受11が外嵌したアウタスリーブ64、シールリング45、コンプレッサインペラ3を順次組付け、段差部47に当接するまで挿入する。
その後、ナット13で仮締めして、スパナを二面幅の平面部44(把持部)に嵌着させて、別のスパナで増締めする。
尚、回転子鉄心5と段差部65との間に、スラスト方向に弾性力を有する弾性部材(例えば皿バネ等)を介装させると、細い軸部42が熱により線膨張しても、回転子鉄心2に作用するスラスト力が維持され、回転子鉄心2と細い軸部42との周方向への相対滑りは防止される。
また、重い回転子鉄心5の両側部に第1軸受11及び,第2軸受12を配置したので、モータロータ16の回転バランスが調整し易くなる。
本実施形態において、第1実施形態と同じものは同符号を付して、説明を省略する。
図5に基づいて、本発明の第4実施形態にかかるモータロータ17について説明する。
第4実施形態のシャフト8は、中実軸でスラスト方向中間部が太い軸部81で、該太い軸部81の両側はコンプレッサインペラ3が外嵌する細い軸部83と、回転子鉄心5が外嵌する細い軸部82とで構成されている。
太い軸部81と細い軸部82との連結部は軸線L2に直角な段差部85となっており、回転子鉄心5を取付ける際の軸方向のストッパ部となっている。
さらに、シャフト8の細い軸部82の端部は,積層された電磁鋼板23が一体的に固定された回転子鉄心5を細い軸部82に組込んだ後に、回転子鉄心5をカシメ締結する構造と成っている。
コンプレッサインペラ3を組付ける細い軸部83側は第1実施形態と同じなので、説明は省略する。
また、図5では省略したが、回転子鉄心5とストッパ部である段差部85との間にスラスト方向に弾性力を有する押圧手段(例えば皿バネ等)を介装させると、細い軸部82が熱により線膨張しても、回転子鉄心5に作用するスラスト力が維持され、回転子鉄心5と細い軸部82との周方向への相対滑り防止はより確実になる。
また、カシメ構造なので螺合構造と異なり、押圧部が緩むことが無いので品質向上の要素になる。
本実施形態において、第1実施形態と同じものは同符号を付して、説明を省略する。
図6に基づいて、本発明の第5実施形態にかかるモータロータ18について説明する。
第5実施形態のシャフト9は、中実軸でスラスト方向中間部が太い軸部91で、該太い軸部91の一側はコンプレッサインペラ3が外嵌する細い軸部93と、他側は回転子鉄心10が外嵌する細い軸部92とで構成されている。
また、太い軸部91と細い軸部92との段差部95の太い軸部91側端部にはスパナが嵌着できる把持部である二面幅の平面部96が形成されている。
また、二面幅の平面部96に加工しない残りの円周面はモータロータ1を組上げた後のバランス調整を行う際のバランス修正加工個所となる。〔図2(B)参照〕
また、別の形状として、図6(C)に第2係合構造図を示すように、細い軸部92”の断面は第1係合部であるキー94を装着し、回転子鉄心10の嵌合孔101にはキー94が嵌合する第2係合部であるキー溝を形成して、細い軸部92”と回転子鉄心10との周方向の位相滑りを防止する構造とすることができる。
コンプレッサインペラ3を組付ける細い軸部83側は第1実施形態と同じなので、説明は省略する。
図7に基づいて、本発明の第6実施形態にかかるモータロータ19について説明する。
本実施形態は、エンジンの排気ガスによって駆動するターボチャージャに電動発電機を内蔵した過給機で説明する。
モータロータ19は、シャフト70と、シャフト70の一端側に配設されたタービンホイール26と、他端側に配設されたコンプレッサインペラ3と、タービンホイール26とコンプレッサインペラ3との間に間隔を有して配設されたコンプレッサインペラ3側に配設された第1軸受11と、タービンホイール26側に配設された第2軸受12と、2個の軸受11,12間に電動回転体となる回転子鉄心60とを備えている。
尚、軸受11,12の位置は上述のとおり回転子鉄心60の両外端に夫々配置する場合と、タービンホイール26と回転子鉄心60との間に間隔を有して2個配置する場合があるが、どちらの場合も本願の発明を適用することが可能である。
また、本実施形態においては、軸受11,12の形式としては、ボールベアリング、又はメタル軸受(滑り軸受)のどちらでもよく、特に規定しない。
シャフト70の太い部分72の端部には排ガスによって駆動されるタービンホイール26が固着されている。タービンホイール26の背面側にはタービンハウジング(図示省略)に形成されている軸受支持部(図示省略)に固定される軸受11,12が配設されている。
回転子鉄心60は、インナスリーブ66の外周に円形状をした複数の薄板状の電磁鋼板52をインナスリーブ66のスラスト方向に積層状に外嵌させて、固着されている。
回転子鉄心60は、回転子鉄心60と対向した図示されないターボチャージャのハウジングに取付けられたステータによって発生される電界によって回転する回転子である。
また、インナスリーブ66の内径は、段差部74の太い部分72の外径より小さくなっており、インナスリーブ66の端面は段差部74のラジアル方向の当接面78と確実に当接するようになっている。
また、インナスリーブ66の段差部74側端面、又は段差部74の当接面78の少なくともいずれか一方にシャフトの回転方向に対する摩擦抵抗を増大させる面粗さ部を設けると回転方向の相対移動防止をさらに確実となる。
この締付け力によって、回転子鉄心60はコンプレッサインペラ3、スラストブッシュ77及び、皿バネ29を介して段差部44側に押圧される。
そして、回転子鉄心60とコンプレッサインペラ3との間に介装される第1軸受11はスラストブッシュ77に外嵌して固定されている。
また、シャフト70に組付ける際に、電磁鋼板52の変形等が防止されると共に、組付けが容易となり、モータロータ19の品質が安定すると共に、工数低減、製造不良による部品廃棄量低減等によるコスト低減効果が得られる。
更に、弾性部材である皿バネ29を介して、インナスリーブをスラスト方向に押圧する構造なので、熱によるシャフト4の線膨張が発生しても、回転子鉄心5への押圧力が適正値に維持されやすく、回転子鉄心5の電磁鋼板の変形を防ぐと共に、回転子鉄心とシャフトとの回転方向の滑りを防止できる。
図8に基づいて、本発明の第7実施形態にかかるモータロータ20について説明する。
本実施形態は、エンジンの排気ガスによって駆動するターボチャージャに電動発電機を内蔵した過給機で説明する。
モータロータ20は、シャフト100と、シャフト100の一端側に配設されたタービンホイール26と、他端側に配設されたコンプレッサインペラ3と、コンプレッサインペラ3の背面側にシールリング105を介して取付けられた回転子鉄心80と、回転子鉄心80とタービンホイール26との間に、スラスト方向とラジアル方向の位置決め作用を有するボールベアリング型で回転子鉄心80側に配置されたA軸受83と、A軸受83と間隔を有してタービンホイール26側に配置されたB軸受84と、回転子鉄心80とA軸受83との間に介装された押圧手段の一部である皿バネ28とを備えている。
そして、ナット43にて締付けることにより、インナスリーブ81のフランジ部82と、A軸受部83のインナレース831との間に介装されている皿バネ28と、その反力を受けるシールリング105とでストッパ部を構成している。
シャフト100の太い部分102の端部には排ガスによって駆動されるタービンホイール26が固着されている。タービンホイール26の背面側にはタービンハウジング(図示省略)に形成されている軸受支持部(図示省略)に固定されるB軸受84が配設されている。
このB軸受84はタービンホイール26のラジアル方向とコンプレッサインペラ3側への動きを規制する軸受である。
回転子鉄心80は、インナスリーブ81の外周に円形状をした複数の薄板状の電磁鋼板67をインナスリーブ81のスラスト方向へ積層状に外嵌させて、一体化した状態で固着されている。(インナスリーブ構造)
インナスリーブ81のA軸受83側の開口端縁からラジアル方向に延出した皿バネ28の受座となるフランジ部82が配設されている。
フランジ部82の外径は皿バネ28の外径より大きくなっており、皿バネ28が電磁鋼板67に直接当たらないようになっている。
また、フランジ部82は、電磁鋼板67をインナスリーブ81に組付ける際に、インナスリーブ81のスラスト方向のストッパになると共に、電磁鋼板67をスラスト方向に押圧した状態に組付け易くなり、回転子鉄心80の組付け品質が向上する。
この締付け力によって、回転子鉄心80はコンプレッサインペラ3及び、シールリング105を介してフランジ部82が皿バネ28をA軸受83のインナレース831をタービンホイール26側に押圧する。
このような構造にすることによって、皿バネ28はA軸受83にプレロードを負荷させることができる。
また、フランジ部82と段差部104との間には隙間が生じるようにして、常にA軸受83のインナレース831をタービンホイール26側に押圧するようにしてある。
そして、インナスリーブ81の内径はシールリング105の外径より小さくすることにより、インナスリーブ81のコンプレッサインペラ3側端面はシールリング105の当接面と確実に当接するようになっている。
また、インナスリーブ81又はシールリング105の当接面106の少なくともいずれか一方にシャフト100の回転方向に対する摩擦抵抗を増大させる面粗さ部を設けると回転方向の相対移動防止をさらに確実とすることができる。
シャフト70とタービンホイール26とをEBW(Electronic Beam Welding)溶接で接合するステップS1と、タービンホイール26側の第2軸受12をシャフト90に取付けるステップS2と、一方、回転子鉄心60を別工程にて、プレス等で形成した複数の鉄板状の電磁鋼板67を積層して、カシメ、又は溶接等で一体的に形成するステップS3と、インナスリーブ66に積層した電磁鋼板67を外嵌圧入(又は焼き嵌め)して回転子鉄心60を組上げるステップS4と、ステップS2でタービンホイール26側の第2軸受12を取付けたシャフト70に回転子鉄心60を取付けるステップS5と、回転子鉄心60を押圧する皿バネ29をシャフト4に取付けるステップS6と、コンプレッサインペラ3側の第1軸受11をスラストブッシュ77に取付けるステップS7と、スラストブッシュ77をシャフト70に取付けるステップS8と、コンプレッサインペラ3をシャフト70に取付けるステップS9と、コンプレッサインペラ3端をナット43で締付けるステップS10とを備えを、モータロータ1を組付ける方法である。
更に、シャフト70への組付けを容易化すると共に、電磁鋼板67の変形を防止でき、モータロータ19の組付け品質が安定すると共に、工数低減、製造不良による部品廃棄量低減等によるコスト低減効果が得られる。
2、5,10、60,80 回転子鉄心
3 コンプレッサインペラ
4,6、7、8,9、50,70 シャフト
11 第1軸受
12 第2軸受
13,14,43、47 ナット
21 センタリング
22 センサターゲット板
23 電磁鋼板
44 平面部(把持部)
45 シールリング
48、65,85、95 段差部(ストッパ部)
64 アウタスリーブ
66、81 インナスリーブ
Claims (5)
- ハウジング内に配設され、エアクリーナからの吸気を圧縮するコンプレッサインペラと、
前記ハウジング内に配設されたステータが形成する磁界により回転する回転子鉄心と、
前記コンプレッサインペラと前記回転子鉄心とを一体的に回転させるシャフトと
前記ハウジングに形成された軸受支持部に取付けられ、前記シャフトを回転可能に支軸する軸受と、を備えた電動ターボチャージャのモータロータ構造において、
前記モータロータは前記シャフトのスラスト方向中間部に前記回転子鉄心の移動を規制するストッパ部と、前記シャフトに外嵌された前記回転子鉄心を前記ストッパ部に押圧する押圧手段とを有し、前記シャフトと前記回転子鉄心との周方向への位相ズレを防止するようにするとともに、
前記回転子鉄心は前記シャフトのスラスト方向に電磁鋼板を積層した構造から成り、かつ、前記モータロータの回転数を検出するためのセンサターゲット板を備え、前記回転子鉄心を前記ストッパ部に押圧する前記押圧手段によって、センサターゲット板を介して前記回転子鉄心をシャフトのスラスト方向に押圧するようにしたことを特徴とする電動ターボチャージャのモータロータ構造。 - 前記モータロータの回転数を検出するためのセンサターゲット板が、前記回転子鉄心を構成する前記電磁鋼板の1枚の板厚より厚く、且つ、前記シャフトに前記センサターゲット板が挿入された状態において、前記センサターゲット板内周壁面がスラスト方向の一部範囲においてのみ前記シャフトに接触していることを特徴とした請求項1記載の電動ターボチャージャのモータロータ構造。
- ハウジング内に配設され、エアクリーナからの吸気を圧縮するコンプレッサインペラと、
前記ハウジング内に配設されたステータが形成する磁界により回転する回転子鉄心と、
前記コンプレッサインペラと前記回転子鉄心とを一体的に回転させるシャフトと
前記ハウジングに形成された軸受支持部に取付けられ、前記シャフトを回転可能に支軸する軸受と、を備えた電動ターボチャージャのモータロータ構造において、
前記モータロータは前記シャフトのスラスト方向中間部に前記回転子鉄心の移動を規制するストッパ部と、前記シャフトに外嵌された前記回転子鉄心を前記ストッパ部に押圧する押圧手段とを有し、前記シャフトと前記回転子鉄心との周方向への位相ズレを防止するようにするとともに、
前記モータロータは一対の軸受の一方が前記回転子鉄心と前記コンプレッサインペラとの間で前記シャフトに外嵌するアウタスリーブに配設された第1軸受と、他方が前記回転子鉄心の反対側に配設された第2軸受とを有し、前記回転子鉄心は前記ストッパ部に前記コンプレッサインペラ側から軸部をシールするシールリング及び前記アウタスリーブを介して前記押圧手段であるナットで押圧されることを特徴とする電動ターボチャージャのモータロータ構造。 - ハウジング内に配設され、エアクリーナからの吸気を圧縮するコンプレッサインペラと、
前記ハウジング内に配設されたステータが形成する磁界により回転する回転子鉄心と、
前記コンプレッサインペラと前記回転子鉄心とを一体的に回転させるシャフトと
前記ハウジングに形成された軸受支持部に取付けられ、前記シャフトを回転可能に支軸する軸受と、を備えた電動ターボチャージャのモータロータ構造において、
前記モータロータは前記シャフトのスラスト方向中間部に前記回転子鉄心の移動を規制するストッパ部と、前記シャフトに外嵌された前記回転子鉄心を前記ストッパ部に押圧する押圧手段とを有し、前記シャフトと前記回転子鉄心との周方向への位相ズレを防止するようにするとともに、
前記回転子鉄心は、前記シャフトに外嵌するインナスリーブと、該インナスリーブに外嵌して前記インナスリーブのスラスト方向に積層した複数の電磁鋼板とを有し、前記インナスリーブと前記電磁鋼板とが一体化的に固着され、前記押圧手段が前記インナスリーブを押圧するように構成し、
前記軸受はボールベアリングであり、該ボールベアリングに対向した前記回転子鉄心の側面に前記インナスリーブの開口端縁からラジアル方向に延在したフランジ部が形成され、該フランジ部と前記ボールベアリングとの間に弾性部材を介装したことを特徴とする電動ターボチャージャのモータロータ構造。 - 前記インナスリーブの内径は前記ストッパ部の外径より小さいことを特徴とする請求項4記載の電動ターボチャージャのモータロータ構造。
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