JP5599271B2 - クロロプロパンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、クロロプロパンの製造方法に関する。具体的にはクロロプロペンを塩素(Cl)と反応させる塩素付加反応によりクロロプロパンを得るクロロプロパンの製造方法において、該塩素化反応を連続的に行う方法に関する。
クロロプロパンは農薬、医薬品等、各種工業製品を製造するための原料、あるいは中間体として重要な塩素化合物である。例えば1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンは、地球温暖化係数の低いフロン代替材料の中間体として重要な中間体である。その製造方法として数種の製造工程からの合成が考えられており、例えば、エチレンと四塩化炭素を原料として、1,1,1,3−テトラクロロプロパンを製造する付加反応工程、得られた1,1,1,3−テトラクロロプロパンを脱塩化水素化してトリクロロプロペン(1,1,3−トリクロロプロペン及び3,3,3、−トリクロロプロペンの混合物;特に断らない限り以下同じ)を得る脱塩化水素工程、得られたトリクロロプロペンをClと反応させて目的物の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを得る工程が提案されている。(特許文献1参照)。
しかしながら、上記クロロプロパンの製造方法は、いずれの工程もすべてバッチ式で行われており、連続的にクロロプロパンを生成する操作は行われていない。バッチ式の製造方法では実機にスケールアップした際、原料の仕込みや生成した製品の取り出しも含め、運転時の操作回数により必要とされる運転員の人数が増える等の課題があった。
特公平2−47969号公報
従って、本発明の目的は、クロロプロペンに塩素を付加させてクロロプロパンを得るに際し、該塩素化反応をバッチ式ではなく連続式で行うことにより、より簡易で効率的にクロロプロパンの製造を行うことにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ね、出発物質となる下記式(1)で示されるクロロプロペンを反応器に連続添加しつつ、該反応混合液の一部を連続的に抜き出して外部で循環させ、同循環系内で塩素を溶解させた後に再度反応器へ液を再び添加する方法を見出した。
そして反応器内に添加されたクロロプロペン及び塩素から生成する反応生成混合物の量に相当する量の反応混合液を、前記抜出しとは異なる抜出し口から連続的に抜き出し、該抜出し液から下記式(2)で示されるクロロプロパンを回収する、クロロプロパンの連続式製造方法によって本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記式(1)
CCl=CCl(2−m)(m−1)−CCl(3−n) (1)
〔式中、mは1又は2、nは0〜3の整数〕
で示されるクロロプロペンと塩素(Cl)とを反応させる塩素化反応により、下記式(2)
CCl−CCl(3−m)(m−1)−CCl(3−n) (2)
〔式中、mは1又は2、及びnは上記式(1)における値と同一である〕
で示されるクロロプロパンを得る、クロロプロパンの製造方法において、
反応系内に連続的に式(1)で示されるクロロプロペンを供給しつつ、
反応混合液の一部を連続的に抜き出し、該抜出液に塩素を溶解させた後に反応系へと再添加して循環させると共に、
添加されたクロロプロペン及び塩素から生成する反応生成混合物の量に相当する量の反応混合液を、別途、連続的に抜き出して、該抜出し液から式(2)で示されるクロロプロパンを回収する、
クロロプロパンの連続式製造方法である。
本発明においては、抜出した反応混合液に溶解させる塩素量は、反応系に添加する式(1)で示されるクロロプロペン1molに対して、0.1〜5molの範囲が好ましい。
抜出した反応混合液に溶解させる塩素量は、再添加時の抜出し液中における濃度が0.1〜10wt%となるようにすることが好ましい。
また、本発明においては、式(2)で示されるクロロプロパンを回収するための反応混合液の抜き出し方法として、反応槽からの反応混合液のオーバーフローにより抜き出す方法をも提供する。
さらに本発明は、上記クロロプロペンを得る方法として、下記式(0)で示されるクロロプロパンを熱分解により脱塩化水素して、前記式(1)で示されるクロロプロペンとする方法をも提供する。
CCl−CCl(2−m)−CCl(3−n) (0)
〔式中、m及びnは前記式(1)における値と同一である〕
本発明のクロロプロパンの製造方法は、従来と異なり連続生産が可能であることから、各種の運転コスト等を相対的に安価にすることが可能となり、工業的に有用な製造方法および装置である。
本発明のクロロプロパン製造方法を実施するための装置の一態様を示す概略図である。 本発明のクロロプロパン製造方法を実施するための装置の別の態様を示す概略図である。
本発明において、使用される原料クロロプロペンは、下記式(1)で示されるものである。
CCl=CCl(2−m)(m−1)−CCl(3−n) (1)
〔式中、mは1又は2、nは0〜3の整数〕
上記式(1)で示されるクロロプロペンを具体的に例示すると、1,1−ジクロロプロペン、1,1,2、−トリクロロプロペン、1,1,3−トリクロロプロペン、1,1,2,3−テトラクロロプロペン、1,1,3,3−テトラクロロプロペン、1,1,2,3,3−ペンタクロロプロペン、1,1,3,3,3、−ペンタクロロプロペン、1,1,2,3,3,3−ヘキサクロロプロペン等が挙げられる。
上記クロロプロペンを得る方法は特に限定されるものではないが、下記式(0)で示されるクロロプロパンの脱塩化水素反応により得たものを好適に使用できる。さらには、連続式で製造可能なこと、高い選択率、転化率が得られることなどから、熱分解により脱塩化水素して製造したものであることが特に好ましい。
CCl−CCl(2−m)−CCl(3−n) (0)
〔式中、m及びnは前記式(1)における値と同一である〕
なお、m及びnは前記式(1)における値と同一であるから、本発明における製造物である前記式(2)で示されるクロロプロパンは、上記式(0)で示されるクロロプロパンの2位の炭素に結合している塩素原子の数が1つ多くなった(水素原子の一つが塩素原子に置換された)化合物であることは当業者には明らかであろう。
上記式(0)で示されるクロロプロパンを具体的に例示すると、1,1,1−トリクロロプロパン、1,1,1,2−テトラクロロプロパン、1,1,1,3−テトラクロロプリロパン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,1,2,3,3−ヘキサクロロプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタクロロプロパン等が挙げられる。
当該クロロプロパンの熱分解による脱塩化水素の方法を具体的に述べると以下の通りである。
一例としては、外壁に加熱装置を備えた反応管中に気化器で気化させた前記クロロプロパンを導入し、熱分解させる方法が挙げられる。他の例としては、気化させる以外にも液を噴霧させて導入する、あるいは、窒素等の不活性ガスにより希釈したクロロプロパンを導入する方法等も可能である。
また、熱分解における加熱は公知の方法により行うことができる。反応器については前述した外壁に加熱装置を備えた反応管(分解炉)が好適であり、その他にも石英、セラミックス、金属等の材質よりなるものが一般的である。加熱装置としてバーナー、電気ヒーター等が使用できる。
反応管に導入されたクロロプロパンは所定時間加熱され、熱分解による脱塩化水素化が行われることにより反応生成物であるクロロプロペンを合成する。反応管中におけるガスの滞在時間(保持時間)は一般に1秒以上で十分であるが、炭素等の副生物生成割合を抑制するために、10秒以下、好ましくは5秒以下、特に3秒以下とすることが好ましい。上記方法における熱分解温度は300〜600℃が望ましく、更には350〜550℃の間で行うことが好ましい。かかる温度がこの範囲を外れて低い場合、クロロプロパンの脱塩化水素化は困難となり、高い場合は副生物の生成が増大して収率が下がる傾向にある。
熱分解する際の圧力は特に限定されないが、減圧系でも加圧系でも実施することが出来る。加圧系の方が反応器を小さくすることが可能であるが、加圧にするほど配管への炭素析出が起こりやすい傾向にあるため、常圧にて脱塩化水素化を行うことが好ましい。
本発明の熱分解により発生したガスは速やかに冷却することが副生物を減らす上で好適である。特に前記熱分解温度で排出されるガスは300℃未満、好ましくは200℃未満、特に100℃未満の温度に2秒以内で冷却されることが好ましい。冷却の方法としては公知の方法により実施でき、入口ガスと熱交換を行う方法やクロロプロペンの液滴を噴霧して気化潜熱により冷却する方法を採用することもできる。
本発明においては、前記式(1)で示されるクロロプロペン(以下、単に「クロロプロペン」と記す場合がある)と塩素(Cl)とを反応させる塩素化反応により、下記式(2)
CCl−CCl(3−m)(m−1)−CCl(3−n) (2)
〔式中、m及びnは上記式(1)における値と同一である〕
で示されるクロロプロパン(以下、単に「クロロプロパン」と記す場合がある)を得る。
本発明の特徴の一つは、当該塩素の反応系への添加を、反応混合液の一部を連続的に抜き出し、該抜出液に塩素を溶解させた後に反応系へと再添加して循環させる点にある。
即ち、塩素化反応をバッチ式ではなく、連続式で行うためには、反応系に対して、原料である前記式(1)で示されるクロロプロペンと塩素とを連続的に供給する必要があるが、本発明においては、当該塩素の連続供給を、反応系内へ直接吹き込むことによって行うのではなく、反応系から反応混合液の一部を抜き出し、該抜出液に対して塩素を溶解させた後に、該塩素の溶解した反応混合液を反応系へ戻すことにより行うものである。
このような方法を採用することにより、反応系に対して直接吹き込む方法に比べて、塩素の過剰消費を抑制出来る、また、発熱(反応熱)をコントロールすることによって局所的な温度分布を少なくし、不純物副生を抑制できるという利点がある。
当該方法を図面を参照してより具体的に説明する。図1は、本発明の製造方法を実施するために用いる装置の一態様を示す模式図である。
図示した態様では、原料となる前記式(1)で示されるクロロプロペンが、クロロプロペン供給管(1)により反応系を構成する反応槽(2)内に供給されており、また、塩素を溶解させるための反応混合液の抜き出しは、該反応槽の底部より行われる。
抜き出された反応混合液には、塩素供給管(7)から供給される塩素が、塩素溶解塔(6)にて溶解せしめられ、該塩素の溶解した混合液が反応液回収配管(8)を介して、反応系(反応槽)へと戻される。
該塩素供給量が多いほど反応系における反応時間(滞在時間)を短くでき、またクロロプロペンの転化率は高くなる一方で、未反応の塩素ロス量も共に増加し、また、副生物の生成割合も高くなり目的物の純度が下がる傾向にある。そのため本発明において、抜出した反応混合液に溶解させる塩素量は、前記クロロプロペン供給管から反応系へ供給されるクロロプロペン1molに対して、0.1〜5molの範囲となるようにその添加速度を調整することが望ましい。更に好適な範囲は0.8〜1.2molである。
塩素供給管より供給する塩素は、反応混合液に迅速に溶解するよう微細な気泡として均一に供給できる様にしておくことが好ましく、例えば、微細な細孔を多数有するパイプ等を設置して塩素溶解塔と接続する。また、液体に対して気体を溶解させるその他の公知の方法を採用することも当然可能である。
抜き出した反応混合液を外部で循環するにあたり、ライン途中に熱交換器を導入することも好ましい。循環中の液温を下げるのは塩素供給塔における塩素溶解度をあげるためであり、該塩素供給塔において反応混合液に溶解させる塩素濃度は0.1〜10wt%の範囲であることが望ましく、更に好適には1〜3wt%である。上記範囲内にて塩素濃度を維持するよう、液温および圧力は適宜選択される。なお回収した熱は、例えば、供給するクロロプロペンや反応系の加熱に用いることが可能である。
塩素を溶解させるために抜き出す反応混合液の量は、適宜設定すればよいが、好ましくは反応槽中の反応混合液量を100体積部とした場合、5〜10体積部/分である。
本発明において、反応槽における反応温度は特に制限されず、前記式(1)および(2)で示されるクロロプロペン、クロロプロパン類が、液相を維持できる温度範囲であればよく、更には60℃以上の高温域が望ましい。好ましくは80〜120℃程度である。
また、反応槽内の圧力は、上記温度において液相を維持できる圧力であればよく、常圧〜1.0MPaGの範囲により適宜選択すればよい。
反応槽中の混合液の滞在時間としては、温度や圧力等の条件にもよるが、一般に1〜20時間の間で行うことが好ましい。塩素供給量の多いほど滞在時間は短くできるが、反面、前述した不利益も生じやすい。より好適な滞在時間は1〜3時間である。なお、ここでいう滞在時間とは、反応槽中の反応混合液量をX(体積部)とし、下述する反応混合物(生成物)の抜き出し速度をY(体積部/時間)とした場合、X/Yで示される時間である。
本発明は連続式の製造方法である。即ち、反応系に原料クロロプロペンと塩素とが供給されると共に、反応して生じたクロロプロパンを含む反応混合物は連続的に抜き出され、該反応混合物からクロロプロパンが回収される。
生成したクロロプロパンを含む反応混合液の抜き出し方法は特に限定されるものではないが、反応槽内における液量を一定に保つことが極めて容易な点で、オーバーフローにより行うことが好ましい。即ち、供給管から反応槽内に供給されたクロロプロペンと、反応混合液に溶解せしめられて反応槽内に供給された塩素は、各々の大部分が反応してクロロプロパンを生じるが、その分だけ反応槽内の液量が増加する。オーバーフロー方式を採用すれば、特別な液量制御手段を用いずとも、増加した液量分だけを反応槽から抜き出すことが可能となる。
より具体的には、図1に示すように、反応槽内における反応混合液量を所定量とし、クロロプロペン及び塩素の添加により(反応して反応混合物が生じ)液面位置が該所定量位置を上回ると、その分が反応槽から抜き出される(流出する)位置に抜出口を設けることにより達成できる。
この方法において、反応槽に抜出口を設ける箇所は特に制限はなく、反応槽内における反応系の充填量に従い適宜設定できる。反応槽の大きさと製造量との兼ね合い等を考慮すると、反応混合液の充填は反応槽体積の50〜70体積%が一般的であり、60%程度が特に好ましい。よって、上記抜出口の設置個所もその付近とすればよい。
オーバーフロー以外の方式で反応混合液を抜き出すことも当然可能であり、その場合には、抜出口は、反応槽内の反応混合液面よりも下になる位置に設けられる。オーバーフロー以外の方式で反応混合液を抜き出す場合、反応槽内における反応混合液の量は、前記した量よりもさらに多くてもよく、例えば、図2で示されるような装置を用い、反応槽内が100%反応混合液で満たされた状態で行ってもよい。
上述の抜き出しにより回収された反応混合液は、通常、純度が90〜95%程度のクロロプロパンであるため、そのまま使用することもできるが、通常はさらに精製を行うことが好ましい。即ち、反応混合液中には、目的生成物であるクロロプロパン以外にも、未反応の原料であるクロロプロペンや塩素、その他、副生成物等が不純物として含まれている。そのため、得られたクロロプロパンの使用目的に応じて、適宜これら不純物を除去して所望の純度のクロロプロパンを精製することが好ましい。
精製方法はクロロプロパンの公知の精製方法を適宜採用すればよいが、蒸留によることが特に好ましい。蒸留は常圧蒸留、減圧蒸留のいずれも採用できるが、クロロプロパンの分解が起こりにくい点で減圧蒸留が好ましく、特に目的物であるクロロプロパンの留出が60〜180℃程度の範囲になるように減圧度を調整して減圧蒸留を行うことが好ましい。
蒸留に際しては、クロロプロパンの分解を抑制する目的で、反応混合物に対して各種の分解抑制剤を添加した後に行うことも好適である。該分解抑制剤としては、フェノール、p−メトキシフェノール、o−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシフェノール、3,4−ジメトキシフェノール、オイゲノール、o−アリルフェノール、ビスフェノールA、ジブチルヒドロキシトルエン等のフェノール類や、アリルアルコール、プロパギルアルコール等のアルコール類、ジアリルアミン、シクロヘキシルアミン、モルホリン等のアミン類、及び/又は、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、グリシドール、ビスフェノールAグリシジルエーテル等のエポキサイド類等が挙げられる。
精製により得られたクロロプロパンには、必要に応じて各種の安定剤を添加することも可能である。該安定剤としては上述の分解抑制剤に加え、アミレンやシクロオレフィン等の不飽和結合を有する炭化水素類が挙げられる。
本発明の製造方法で得られたクロロプロパンは、各種の洗浄剤等の溶剤として用いることもできるし、また各種化合物の中間体として有用である。例えば、特開2009−227675号公報、特開2001−261593号公報等に記載の如く含フッ素炭化水素の製造原料として好適に使用できるし、また特開平6−256250号公報に記載の如く医農薬の合成中間体とすることもできる。
以下、本発明をより具体的に説明するため、実施例を示すが、本発明はこれらの実施例
に何ら制限されるものではない。
実施例1
500mLのセパラブルフラスコ中に1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンと1,1,3−トリクロロプロペンが重量比95:5の混合液560g(370ml)混合液を用意した。なお用いたセパラブルフラスコには、この液量を上回るとオーバーフローして液が流出するように、側壁部に抜き出し孔を設けておいた。
この混合液へ1,1,3−トリクロロプロペンを平均で0.0049mol/分(0.5〜0.6ml/分)の速度で添加しつつ、セパラブルフラスコ中の反応混合液を平均28g/分で連続的に抜き出し、この液に塩素を0.0058mol/分(130NmL/分)で供給して塩素を溶解させた。塩素を溶解した液は再度セパラブルフラスコへと戻し循環させた。この間、セパラブルフラスコ中の反応混合液は、反応温度80℃の条件に維持し、350rpmで撹拌を行った。
上記1,1,3−トリクロロプロペン及び塩素の添加により増大した容量相当分は、前記のセパラブルフラスコ側部に設けた抜き出し孔より反応系外へと流出させた(流出量約0.6〜0.7ml/分)。
流出させた反応混合液の一部を抜き出して0.1mol/L苛性中にサンプリングし、液中の塩素を除去した後にモレキュラーシブMS−4Aにて脱水、ガスクロマトグラフィで組成を分析した。反応条件と反応時間、及び結果について下表1に示す。
Figure 0005599271
実施例2
500mLのセパラブルフラスコ中に1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンと1,1,3−トリクロロプロペンが重量比89:11の混合液560g(370ml)混合液を用意した。なお用いたセパラブルフラスコには、この液量を上回るとオーバーフローして液が流出するように、側壁部に抜き出し孔を設けておいた。
この混合液へ1,1,3−トリクロロプロペンを平均で0.0049mol/分(約0.5ml/分)の速度で添加しつつ、セパラブルフラスコ中の反応混合液を平均28g/分で連続的に抜き出し、この液に塩素を0.0045mol/分(100NmL/min)で供給して塩素を溶解させた。塩素を溶解した液は再度セパラブルフラスコへと戻し循環させた。この間、セパラブルフラスコ中の反応混合液は、反応温度80℃の条件に維持し、350rpmで撹拌を行った。
上記1,1,3−トリクロロプロペン及び塩素の添加により増大した容量相当分は、前記のセパラブルフラスコ側部に設けた抜き出し孔より反応系外へと流出させた(流出量約0.5〜0.7ml/分)。
流出させた反応混合液の一部を抜き出して実施例1と同様にガスクロマトグラフィで組成を分析した。反応時間と反応条件、及び結果について下表2に示す。
Figure 0005599271
実施例3
500mLのセパラブルフラスコ中に1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンと1,1,3−トリクロロプロペンが重量比90:10の混合液560g(370ml)混合液を用意した。なお用いたセパラブルフラスコには、この液量を上回るとオーバーフローして液が流出するように、側壁部に抜き出し孔を設けておいた。
この混合液へ1,1,3−トリクロロプロペンを平均で0.0049mol/分(0.5〜0.6ml/分)の速度で添加しつつ、セパラブルフラスコ中の反応混合液を平均25g/分で連続的に抜き出し、この液に塩素を0.0036mol/分(80NmL/min)で供給して塩素を溶解させた。塩素を溶解した液は再度セパラブルフラスコへと戻し循環させた。この間、セパラブルフラスコ中の反応混合液は、反応温度80℃の条件に維持し、350rpmで撹拌を行った。
上記1,1,3−トリクロロプロペン及び塩素の添加により増大した容量相当分は、前記のセパラブルフラスコ側部に設けた抜き出し孔より反応系外へと流出させた(流出量約0.6ml/分)。
流出させた反応混合液の一部を抜き出して実施例1と同様にガスクロマトグラフィで組成を分析した。反応時間と反応条件、及び結果について下表3に示す。
Figure 0005599271
クロロプロパンの連続式製造装置
(1)クロロプロペン供給管
(2)反応槽
(3)撹拌羽根
(4)循環器
(5)熱交換器
(6)塩素溶解塔
(7)塩素供給管
(8)反応液回収配管
(9)反応液抜出管
(10)邪魔板

Claims (4)

  1. 下記式(1)
    CCl=CCl(2−m)(m−1)−CCl(3−n) (1)
    〔式中、mは1又は2、nは0〜3の整数〕
    で示されるクロロプロペンと塩素(Cl)とを反応させる塩素化反応により、下記式(2)
    CCl−CCl(3−m)(m−1)−CCl(3−n) (2)
    〔式中、m及びnは上記式(1)における値と同一である〕
    で示されるクロロプロパンを得る、クロロプロパンの製造方法において、
    反応系内に連続的に式(1)で示されるクロロプロペンを供給しつつ、
    反応混合液の一部を連続的に抜き出し、該抜出液に、上記反応系内に供給するクロロプロペン1molに対して、0.8〜1.2molの量の塩素を溶解させた後に反応系へと再添加して循環させると共に、
    添加されたクロロプロペン及び塩素から生成する反応生成混合物の量に相当する量の反応混合液を、別途、連続的に抜き出して、該抜出液から式(2)で示されるクロロプロパンを回収する、
    クロロプロパンの連続式製造方法。
  2. 抜出した反応混合液に溶解させる塩素量を、該抜出し液中における濃度が0.1〜10質量%になる量とする請求項1記載のクロロプロパンの連続式製造方法。
  3. 式(2)で示されるクロロプロパンを回収するための反応混合液の抜き出しをオーバーフローにより行う請求項1又は2記載のクロロプロパンの連続式製造方法。
  4. 下記式(0)
    CCl−CCl(2−m)−CCl(3−n) (0)
    〔式中、m及びnは下記式(1)における値と同一である〕
    で示されるクロロプロパンを熱分解により脱塩化水素して、下記一般式(1)
    CCl=CCl(2−m)(m−1)−CCl(3−n) (1)
    〔式中、mは1又は2、nは0〜3の整数〕
    で示されるクロロプロペンを得、次いで得られたクロロプロペンを請求項1乃至3記載の方法で式(2)で示されるクロロプロパンへと変換する、クロロプロパンの製造方法。
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