JP5149456B1 - 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱分解を伴う1回の反応で、新冷媒として有用なHFO−1234yfを十分に高い収率で製造する経済的に有利な方法を提供する。
【解決手段】
熱媒体存在下、R22とR40とTFEとを含む原料組成物から、熱分解を伴う合成反応によりHFO−1234yfおよびVdFを製造する方法であって、(a)前記R22と前記R40および前記TFEを、予め混合して、または別々に反応器に供給し、該反応器内に所定の時間滞留させる工程と、(b)熱媒体を反応器に供給し、該反応器内で前記原料組成物と前記熱媒体とを接触させる工程を有する製造方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法に係り、特に、クロロジフルオロメタンとクロロメタンおよびテトラフルオロエチレンを含む原料組成物から、1回の反応で2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンを製造する方法に関する。
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)は、温室効果ガスである1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)に代わる新しい冷媒として、近年大きな期待が寄せられている。なお、本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、本明細書では必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。
このようなHFO−1234yfの製造方法としては、例えば、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(HCFC−225ca)を相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液で脱フッ化水素させて得られる1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFO−1214ya)を合成原料とし、水素により還元して製造する方法が知られている。
しかし、このような方法では、多段階の反応を経るため設備コストが高くなる、中間生成物や最終生成物における蒸留・精製が難しい、などの問題がある。
一方、特許文献1には、異なる種類のハイドロクロロカーボン(例えば、クロロメタンとクロロジフルオロメタン)を組み合わせて、水蒸気の共存下に845±5℃に加熱し、脱塩化水素・縮合させることにより、HFO−1234yfのようなフッ素含有オレフィン類が生成したことが提示されている。
また、特許文献2には、クロロメタンと、テトラフルオロエチレン(TFE)またはクロロジフルオロメタンの混合物を、反応器内で電気ヒータのような通常の加熱手段により700〜950℃の温度に加熱・分解して、HFO−1234yfを得る方法が提示されている。
しかしながら、特許文献1および特許文献2に示された方法ではいずれも、1回の反応でHFO−1234yfが生成するものの、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)のようなHFO−1234yfとの蒸留分離が難しい副生物の生成量が多くなり、高純度のHFO−1234yfを十分に高い収率で得ることができなかった。
さらに、特許文献2に示された方法では、滞留時間の増加に伴って高沸物の生成や原料のカーボン化が起こり、反応器が閉塞するおそれがあった。また、副生する酸分の影響から、特殊な耐腐食装置(例えば、プラチナでライニングされた反応管等)が必要であり、工業的な製造を考えた場合、現実的な方法とはいえなかった。
特公昭40−2132号公報(実施例4) 米国特許第2931840号明細書
本発明は、上記観点からなされたものであり、調達の容易な原料を使用し、熱分解を伴う1回の反応で、新冷媒として有用なHFO−1234yfを十分に高い収率で製造する経済的に有利な方法を提供することを目的とする。また、HFO−1234yfとの蒸留分離が難しい副生物であるCTFEの生成を抑え、高純度のHFO−1234yfを得る方法を提供することを目的とする。
本発明は、熱媒体存在下、クロロジフルオロメタン(R22)とクロロメタン(R40)とテトラフルオロエチレン(TFE)とを含む原料組成物から、熱分解を伴う合成反応により2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)および1,1−ジフルオロエチレン(VdF)を製造する方法であって、(a)前記R22と前記R40および前記TFEを、予め混合して、または別々に反応器に供給し、該反応器内に所定の時間滞留させる工程と、(b)熱媒体を前記反応器に供給し、該反応器内で前記原料組成物と前記熱媒体とを接触させる工程とを有することを特徴とするHFO−1234yfおよびVdFの製造方法を提供する。
本発明の製造方法によれば、調達が容易なR22とR40とTFEを原料として、中間生成物を反応系から取り出すことなく、そのまま反応させ、新冷媒として有用なHFO−1234yfを十分に高い収率で製造することができる。したがって、従来公知のHFO−1234yfを製造する方法に比べて、原料および製造設備に要するコストを大幅に低減することができる。
また、CTFEのような、HFO−1234yfとの蒸留分離が難しい副生物の生成が抑えられるので、高純度のHFO−1234yfを得ることができる。さらに、HFO−1234yfとともに、水処理フィルターや各種製造機械部品等の材料として使用されるポリフッ化ビニリデンの原料として有用な1,1−ジフルオロエチレン(VdF)を製造することができ、経済的なメリットが大きい。またさらに、副生するTFEのリサイクルも可能であり、経済的な効果が大きい。
本発明の製造方法に使用する反応装置の一例を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
本発明は、原料として、クロロジフルオロメタン(R22)とクロロメタン(R40)およびテトラフルオロエチレン(TFE)を含む組成物を用い、熱分解を伴う合成反応により、HFO−1234yfおよびVdFを製造する方法を提供する。そして、この製造方法は、
(a)前記R22、前記R40および前記TFEを、予め混合してまたは別々に反応器に供給し、この反応器内に所定の時間滞留させる工程と、
(b)熱媒体を反応器に供給し、この反応器内で、前記(a)工程で反応器に供給されて所定の時間滞留する原料組成物と接触させる工程とを有する。
本発明の製造方法は、連続式の製造方法であっても、バッチ式の製造方法であってもよい。連続式の製造方法において、R22、R40およびTFEからなる原料組成物の反応器への供給と、熱媒体の反応器への供給は、いずれも連続的に行われ、(a)工程と(b)工程とは同時に行われる。バッチ式の製造において、(a)工程における原料組成物の供給と(b)工程における熱媒体の供給とは、どちらが先であっても、あるいは同時であってもよい。すなわち、原料組成物と熱媒体のいずれか一方の供給の際に、他方が反応器内に供給されていない場合でも、先に供給された原料組成物または熱媒体の滞留中に、後から供給される成分が供給され、原料組成物と熱媒体とが反応器内で所定の時間接触すればよい。
本発明の製造方法は、製造効率の点で連続式の方法であるのが好ましい。以下、本発明の方法を連続式の製造に適用する実施形態について説明するが、これに限定されない。
<HFO−1234yfの生成反応>
本発明においては、反応器内で、以下の式(1)に示す熱分解および脱塩化水素を伴う合成反応が生起し、HFO−1234yfおよびVdFが生成する。
Figure 0005149456
R22とR40およびTFEを含む原料組成物は、反応器内で熱分解および脱塩化水素反応により、ジフルオロカルベン(FC:)およびTFEとR40とを含む反応混合物を生成し、これらの反応混合物は、直接付加反応して、あるいは1種または2種以上の中間体を経て、テトラフルオロプロペン、特にHFO−1234yfへと転化されると考えられる。
原料組成物がR22とR40とを含み、TFEを含まない二元系の場合も、熱媒体との接触により同様な熱分解・脱塩化水素反応が生起してHFO−1234yfが生成するが、R22とR40とTFEを含む三元系の原料組成物を使用する本発明においては、前記二元系の原料組成物を使用する場合に比べて、反応器内での原料組成物と熱媒体との接触時間を短縮できる。また、副生物の生成を抑制し、純度の高いHFO−1234yfを得ることができる。これらの効果については、後からさらに詳しく記載する。
さらに、R22とR40とTFEを含む三元系の原料組成物を使用することで、得られる反応生成物におけるHFO−1234yfの割合を、特にHFO−1234yfとの蒸留分離が難しいCTFEとの相対的な割合として高くすることができる。具体的には、反応生成物におけるHFO−1234yfとCTFEの含有割合の比(モル比)を、HFO−1234yfのモル量/CTFEのモル量(以下、「HFO−1234yf/CTFE」と示す)として9.0以上とすることができる。HFO−1234yf/CTFEは、好ましくは10.0以上であり、さらに好ましくは15.0以上である。HFO−1234yf/CTFEの値が9.0以上であれば、HFO−1234yfの製造方法として経済的に優位性が高い。
さらに、本発明においては、安全に原料のハンドリングを行うことができるという利点がある。
<原料組成物>
本発明のHFO−1234yfの製造に用いられる原料組成物は、R22とR40およびTFEを含む。原料組成物は、前記3成分以外に、反応器内で熱媒体との接触により分解してジフルオロカルベン(FC:)を発生し得る化合物、例えば、ヘキサフルオロプロペン(以下、HFPという。)、CTFE、トリフルオロエチレン、オクタフルオロシクロブタン(以下、RC318という。)、ヘキサフルオロプロペンオキサイド等を含有することができる。
原料成分の一つであるTFEの供給量とR22の供給量とのモル比(以下、TFE/R22と示す。)は、0.01〜100の範囲とするのが好ましい。0.1〜10の範囲がより好ましく、0.1〜3の範囲が特に好ましい。なお、原料組成物および熱媒体を、反応器内を連続的に流通させて反応を行わせる本実施形態において、原料各成分および熱媒体の供給量は、単位時間当たりの供給量を示すものとする。TFE/R22を0.1以上とすることで、熱媒体との接触時間を短縮できるうえに、副生物の生成を抑制し純度の高いHFO−1234yfを得ることができる。また、TFE/R22を10以下とすることで、より高い収率でHFO−1234yfを得ることができる。TFE/R22は、0.1〜3の範囲が特に好ましい。
また、R40の供給量と、前記R22の供給量と前記TFEの供給量の合計とのモル比(以下、R40/(R22+TFE)と示す。)は、0.01〜100の範囲とするのが好ましいが、0.1〜10の範囲がより好ましく、0.33〜3の範囲が特に好ましい。R40/(R22+TFE)を0.01〜100とすることにより、R40の転化率を上げ、HFO−1234yfを高い収率で製造することができる。
反応器に供給するR22の温度、または反応器に供給するFC:を発生しうる前記含フッ素化合物の温度は、反応性がある程度高いがカーボン化はしにくい温度とするという観点から、0〜600℃とするのが好ましい。
より反応性を高めるという観点からは、R22、およびFC:を発生しうる前記含フッ素化合物を反応器に導入する前に、常温(25℃)以上600℃以下に加熱することが好ましく、100〜500℃に加熱することがより好ましい。
また、反応器に供給するR40の温度は、反応性の観点から0〜1200℃とするのが好ましい。より反応性を高めるという観点からは、R40を反応器に導入する前に、常温(25℃)以上1200℃以下に加熱することが好ましく、100〜800℃に加熱することがより好ましい。
反応器に供給するTFEの温度は、反応性の観点から0〜1200℃とするのが好ましい。より反応性を高めるという観点からは、TFEを反応器に導入する前に、常温(25℃)以上1200℃以下に加熱することが好ましく、100〜800℃に加熱することがより好ましい。
R22とR40およびTFE、さらに必要に応じて用いられるFC:を発生し得る前記含フッ素化合物の各原料成分の反応器への供給は、別々であってもよいし、各成分を混合してから供給してもよい。各成分を混合してから供給する場合には、原料組成物をグループに分けて、例えばFC:を発生し得る含フッ素化合物とそれ以外とに分けて、各グループで各成分を混合し、グループごとに反応器に別々に供給してもよいし、全成分を混合してから供給してもよい。上記供給温度の違いを考慮すれば、R22とTFEを含むFC:を発生し得る含フッ素化合物を混合し、上記好ましい温度に調整して反応器に供給し、これとは別にR40を上記好ましい温度に調整して反応器に供給することが好ましい。
なお、R22とR40およびTFE、さらには必要に応じて用いられるFC:を発生し得る前記含フッ素化合物の各原料成分を、予め混合してから反応器に供給する場合、反応器の手前で分解・反応が進行してしまうことを防ぐという観点から、反応器に供給する際の温度は600℃未満にすることが好ましく、特に500℃未満にすることが好ましい。
<熱媒体>
本発明における熱媒体は、前記原料組成物と反応器内で一定の時間接触するように、反応器に供給される。熱媒体は、反応器内の温度で熱分解が生じない媒体であり、具体的には100〜1200℃の温度で熱分解しない媒体であるのが好ましい。熱媒体としては、水蒸気、窒素、二酸化炭素から選ばれる1種または2種以上の気体が挙げられ、水蒸気を50体積%以上含み、残部が窒素および/または二酸化炭素である気体の使用が好ましい。前記式(1)の熱分解反応で生成するHClを塩酸にして除くために、熱媒体における水蒸気の含有割合は50体積%以上が好ましく、実質的に水蒸気のみ(100体積%)からなる気体の使用が特に好ましい。
熱媒体の供給量は、熱媒体および原料組成物の供給量の合計の20〜98体積%となる割合が好ましく、50〜95体積%がより好ましい。熱媒体および原料組成物の供給量の合計に対する熱媒体の供給量の割合を20体積%以上とすることで、高沸物の生成や原料のカーボン化を抑制しながら上記式(1)の熱分解反応を進行させて、HFO−1234yfおよびVdFを十分に高い収率で製造できるようになる。また、前記割合が98体積%を超えると、生産性が著しく低下するため、工業的に現実的でない。
このように供給される熱媒体と前記原料組成物との反応器内での接触時間は、0.01〜10秒間とするのが好ましく、0.2〜3.0秒間とするのがより好ましい。接触時間を0.01〜10秒間とすることで、HFO−1234yf等の生成反応を十分に進行させ、かつ副生物の生成を抑えることができる。なお、熱媒体と原料組成物との接触時間は、原料組成物の反応器内での滞留時間に相当し、原料組成物の反応器への供給量(流量)を調節することで制御できる。
<反応器>
反応器としては、後述する反応器内温度および圧力に耐えるものであれば、特に形状は限定されず、例えば円筒状の縦型反応器が挙げられる。反応器の材質としては、ガラス、鉄、ニッケル、または鉄、ニッケルを主成分とする合金等が挙げられる。
工程(b)における反応器内の温度は、反応器に供給される原料組成物であるR22、R40およびTFEの温度以上の温度とし、かつ400〜1200℃とすることが好ましい。600〜900℃の範囲がさらに好ましく、710〜900℃の範囲が特に好ましい。反応器内の温度を400〜1200℃とすることで、前記式(1)で示される熱分解を伴う生成反応の反応率を高め、HFO−1234yf等を十分に高い収率で得ることができる。
反応器内の温度は、反応器に供給される前記熱媒体の温度および圧力を調整することで制御することができる。また、前記反応器内の温度が特に好ましい温度範囲(710〜900℃)になるように、電気ヒータ等により反応器内を補助的に加熱することもできる。
反応器内の圧力は、ゲージ圧で0〜2MPaとすることが好ましく、0〜0.5MPaの範囲がさらに好ましい。
<反応装置>
本発明において、HFO−1234yf等の製造に使用される反応装置の一例を、図1に示す。
この反応装置20は、電気ヒータ等の加熱手段を備えた反応器1を有する。反応器1には、第1の原料成分であるR40の供給ライン2、第2の原料成分であるR22の供給ライン3、第3の原料成分であるTFEの供給ライン4、および水蒸気の供給ライン5が、以下に示すように接続されている。なお、反応器1における加熱手段の設置は必須ではない。
R40の供給ライン2、R22の供給ライン3およびTFEの供給ライン4には、それぞれ電気ヒータ等を備えた予熱器(プレヒータ)2a、3a、4aが設置されており、供給される各原料成分が所定の温度に予熱されてから反応器1に供給される。また、水蒸気の供給ライン5には、過熱水蒸気発生器5aが設置されており、過熱水蒸気と混合されることで、供給される水蒸気の温度および圧力が調整される。なお、予熱器(プレヒータ)2a、3a、4aの設置は必須ではない。
これらの供給ライン2、3、4はそれぞれ別々に反応器1に接続されていてもよいが、図1に示すように、それぞれの予熱器3a、4aを経た後にR22の供給ライン3とTFEの供給ライン4とを連結するとともに、この連結されたR22およびTFE原料供給ライン6に、予熱器2aを経た後のR40の供給ライン2と過熱水蒸気発生器5aを経た後の水蒸気の供給ライン5をさらに連結してもよい。すなわち、まず予熱後のR22とTFEとを混合した後、このR22とTFEとの原料混合物に、予熱したR40と所定の温度および圧力を有する水蒸気とをさらに混合し、このように全ての成分が混合されたものが、原料・水蒸気混合供給ライン7から反応器1に供給されるように構成することができる。
反応器1の出口には、熱交換器のような冷却手段8が設置された出口ライン9が接続されている。出口ライン9には、さらに、蒸気および酸性液回収槽10、アルカリ洗浄装置11および脱水塔12が順に設置されている。そして、脱水塔12により脱水された後、出口ガスの各成分がガスクロマトグラフィ(GC)のような分析装置により分析・定量されるようになっている。
<出口ガス成分>
本発明の製造方法においては、HFO−1234yfおよびVdFを前記出口ガスの成分として得ることができる。出口ガスに含有されるHFO−1234yfとVdF以外の化合物としては、メタン、エチレン、TFE、HFP、CTFE、トリフルオロエチレン、RC318、3,3,3−トリフルオロプロペン(CFCH=CH:HFO−1243zf)等が挙げられる。これらの成分のうちで、メチレン基(=CH)またはメチル基(−CH)を有するメタンおよびエチレンは、原料成分のR40に由来する化合物であり、フルオロ基(−F)を有するTFE、HFP、CTFE、トリフルオロエチレン、RC318、HFO−1243zfは、いずれも原料成分のうちのR22および/またはTFEに由来する化合物である。HFO−1234yfおよびVdFは、R22および/またはTFEに由来する化合物であるとともに、R40に由来する化合物である。
出口ガスに含まれるHFO−1234yfとVdF以外の前記成分は、蒸留等の既知の手段により、望まれる程度に除去することができる。そして、分離されたTFEは、原料組成物の一部としてリサイクルが可能である。また、HFP、CTFE、トリフルオロエチレン、およびRC318も、ジフルオロカルベンラジカル(CF:)を発生し得る化合物であり、原料組成物の一部としてリサイクルが可能である。なお、副生物として出口ガスに含まれるCTFEは、沸点が近いためHFO−1234yfとの蒸留分離が難しいが、HFO−1234yfの生成量に対するCTFEの副生量の割合が低いので、蒸留精製により純度の高いHFO−1234yfを得ることができる。
本発明の製造方法によれば、R22とR40とTFEを原料として、1回の反応で、地球温暖化係数(GWP)が4と小さい、新冷媒として有用なHFO−1234yfを十分に高い収率で製造することができる。例えば、本発明の製造方法は、従来公知のHFO−1234yfを製造する方法に比べて、原料および製造設備に要するコストを低減することができるばかりでなく、製造に必要なエネルギーを圧倒的に低減することができる。また、HFO−1234yfとともに、例えば水処理フィルターとして工業的に利用されているポリフッ化ビニリデンの原料であるVdFを製造することができ、地球環境を維持する上で重要な物質を、低エネルギーで安価に、かつ同時に製造することができる。
原料組成物がR22とR40とを含み、TFEを含まない二元系の場合も、熱媒体との接触により同様な熱分解・脱塩化水素反応が生起してHFO−1234yfとVdFが生成するが、R22とR40とTFEを含む三元系の原料組成物を使用する本発明においては、前記二元系の原料組成物を使用する場合に比べて、反応器内での原料組成物と熱媒体との接触時間を短縮できる。
また、本発明においては、R22およびTFEに由来する副生物のうちでも、沸点が近いことから非常に分離しにくい副生物の生成を抑制し、純度の高いHFO−1234yfを得ることができる。すなわち、R22およびTFE由来の副生物のなかでもCTFEは、沸点が−28℃とHFO−1234yfの沸点(−29℃)と極めて近いため、通常の分離精製技術(蒸留等)では分離・精製が困難であるが、本発明においては、R22とR40とTFEを含む三元系の原料組成物を使用することで、HFO−1234yfの生成量に対するCTFEの生成量の割合を大幅に減少させることができ、より高い純度のHFO−1234yfを得ることができる。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示す反応装置を用い、R22とR40とTFEとからなる原料組成物(以下、原料ガスともいう。)から、以下に示すようにして粗HFO−1234yfと粗VdFを得た。
炉内温度300℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、R40を連続的に導入し、R40を300℃に加熱(プレヒート)した。また、炉内温度300℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、R22を連続的に導入し、R22を300℃にプレヒートした。さらに、炉内温度300℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、TFEを連続的に導入し、TFEを300℃にプレヒートした。
プレヒートされたこれらの原料ガス成分(R40、R22およびTFE)と、炉内温度750℃に設定した電気炉によって加熱されたスチーム(水蒸気)とを、原料成分の供給量のモル比が、
TFE/R22=50/50(=1.0)(すなわち、TFE/(TFE+R22)=50/100)
R40/(R22+TFE)=42.8/57.1=0.75
となり、かつ水蒸気と原料組成物全体との供給量の体積比が、
水蒸気/(R40+R22+TFE)=90/10
(すなわち、R40/R22/TFE/水蒸気=4.3/2.8/2.8/90)
となるようにして、内圧(ゲージ圧)0.04MPaで内温800℃に管理された反応器に供給した。以下、圧力はいずれもゲージ圧とする。
なお、反応器に供給されるガス全体の供給量に対する水蒸気の供給量の体積比(以下、水蒸気の流量体積比という。)は、90/(10+90)=0.9(90%)となる。また、R40と、R22とTFEの合計とのモル比は、前記したように0.75(R40/(R22+TFE)=42.8/57.1)であるが、原料組成物を構成する成分のうちで、フッ素を含む化合物としての働きの観点からは、TFEの1モルはR22の2モルに相当して2当量とカウントできるため、R40と、R22およびTFEとの当量比は、以下の計算から0.5となる。
R40/(R22+TFE)=42.8/(28.55+28.55×2)=0.5
こうして、反応器内の原料ガスの滞留時間が0.5秒間となるように、原料ガスの流量(単位時間当たりの供給量)を制御し、ガスを反応器の出口より取り出した。反応器内温度の実測値は800℃であり、反応器内圧力の実測値は0.042MPaであった。なお、反応器の出口より取り出された出口ガスには、反応により生成または副生したガスの他に、未反応の原料ガスも含まれるが、以下の記載では出口ガスを生成ガスということもある。
次いで、反応器の出口より取り出したガスを、100℃以下に冷却し、蒸気および酸性液の回収とアルカリ洗浄を順に行ってから脱水処理した後、ガスクロマトグラフィで分析して、出口ガスに含まれるガス成分のモル組成を計算した。これらの結果を、反応の条件とともに表1に示す。
なお、R40、R22およびTFEのプレヒート温度は、プレヒート用の各電気炉における設定温度であり、水蒸気温度は、水蒸気加熱用の電気炉における設定温度である。また、水蒸気圧力は設定圧力である。
また、ガスクロマトグラフィでの分析で得られた出口ガスのモル組成を基にして、R40の転化率(反応率)、R40由来の各成分の選択率、R22およびTFEの転化率(反応率)、R22および/またはTFE由来の各成分の選択率、ならびにHFO−1234yfとCTFEとの比(HFO−1234yf/CTFE)をそれぞれ求めた。これらの結果を表1の下欄に示す。
なお、上記値は、それぞれ以下のことを意味するものである。
(R40転化率(反応率))
出口ガス中のR40由来成分(メチレン基またはメチル基を持つ成分)のうちで、R40の占める割合(R40回収率)がX%であるとき、(100−X)%をR40の転化率(反応率)という。反応したR40の割合(モル%)を意味する。
(R40由来の各成分の選択率)
反応したR40のうちで、R40以外の各成分に転化したのは各々何%かをいう。各成分の選択率は、「R40由来の各成分の収率」/「R40の転化率(反応率)」で求められる。なお、R40由来の各成分の収率は、出口ガス中のR40由来成分のうちのR40以外の各成分の占める割合(モル%)をいう。
(R22およびTFEの転化率(反応率))
出口ガス中のフッ素を含む化合物であるR22および/またはTFEに由来する成分(フルオロ基を持つ成分)のうちで、R22および/またはTFEの占める割合(R22および/またはTFE回収率)がX%であるとき、(100−X)%をR22および/またはTFEの転化率(反応率)という。反応したR22および/またはTFEの割合(モル%)を意味する。
(R22および/またはTFE由来の各成分の選択率)
反応したR22および/またはTFEのうちで、R22以外の各成分として得られたのは各々何%かをいう。各成分の選択率は、「R22および/またはTFE由来の各成分の収率」/「R22および/またはTFEの転化率(反応率)」で求められる。なお、R22および/またはTFE由来の各成分の収率は、出口ガス中のR22および/またはTFE由来成分のうちのR22以外の各成分の占める割合(モル%)をいう。
なお、原料ガスとしてTFEを含む本発明の実施例では、TFEは反応(=転化)しているがR22から生成もしているため、TFEだけの転化率(反応率)を求めることは不可能である。また、フルオロ基(−F)を有する生成物であるHFO−1234yfやVdFが、R22から生成したものであるか、TFEから生成したものであるかを求めることも不可能である。そのため、「原料のTFEは全てR22である」と仮定して、その原料R22が反応した割合をR22および/またはTFEの転化率(反応率)としている。また、前記原料R22から各成分に何%転化しているかを求め、R22および/またはTFE由来の各成分の選択率としている。
(HFO−1234yf/CTFE比)
出口ガス中のCTFEの存在比に対するHFO−1234yfの存在比の割合である。
「R22および/またはTFE由来のHFO−1234yfの選択率」/「R22および/またはTFE由来のCTFEの選択率」で求められる。出口ガス中にHFO−1234yfがCTFEに対してどのくらいの割合(モル比)で存在しているかを表す。
[実施例2〜4]
TFEの供給量と、TFEとR22の供給量の合計とのモル比(TFE/(TFE+R22))を、実施例2では0.1(10%)、実施例3では0.3(30%)、実施例4では0.7(70%)とした。また、R40/(TFE+R22)の当量比が0.5になるように、R40/(TFE+R22)のモル比を、実施例2では0.55、実施例3では0.65、実施例4では0.85とした。それ以外は実施例1と同様な条件で反応を行なわせた。
次いで、反応器の出口より取り出したガスを、100℃以下に冷却し、蒸気および酸性液回収とアルカリ洗浄を順に行ってから脱水処理した後、ガスクロマトグラフィで分析して、出口ガスに含まれるガス成分のモル組成を計算し、得られた出口ガスのモル組成を基にして、R40の転化率(反応率)、R40由来の各成分の選択率、R22および/またはTFEの転化率(反応率)、R22および/またはTFE由来の各成分の選択率、ならびにHFO−1234yfとCTFEとの比(HFO−1234yf/CTFE)をそれぞれ求めた。結果を表1の下欄に示す。
[比較例1]
原料ガスとしてTFEを使用せず、R22とR40のみからなる原料組成物を使用し、以下に示すようにして粗HFO−1234yfと粗VdFを得た。
炉内温度300℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、R40を連続的に導入し、R40を300℃に加熱(プレヒート)した。また、炉内温度300℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、R22を連続的に導入し、R22を300℃にプレヒートした。
プレヒートされたこれらの原料ガス成分(R40およびR22)と、炉内温度750℃に設定した電気炉によって加熱された水蒸気とを、R40とR22の供給量のモル比が、R40/R22=33/67となり、かつ水蒸気の流量と原料組成物の供給量との体積比が、水蒸気/(R40+R22)=90/10(R40/R22/水蒸気=3.3/6.7/90)となるようにして、内圧0.04MPaで内温800℃に管理された反応器に供給した。なお、反応器に供給されるガス全体の供給量に対する水蒸気の供給量の体積比(水蒸気の流量体積比)は、実施例1と同様に90体積%である。そして、反応器内の原料ガスの滞留時間が0.5秒間となるように、原料ガスの流量を制御し、生成ガスを反応器の出口より取り出した。反応器内温度の実測値は800℃であり、反応器内圧力の実測値は0.42MPaであった。
次いで、反応器の出口より取り出したガスを、100℃以下に冷却し、蒸気および酸性液回収とアルカリ洗浄を順に行ってから脱水処理した後、ガスクロマトグラフィで分析して、出口ガスに含まれるガス成分のモル組成を計算し、得られた出口ガスのモル組成を基にして、R40の転化率(反応率)、R40由来の各成分の選択率、R22および/またはTFEの転化率(反応率)、R22および/またはTFE由来の各成分の選択率、ならびにHFO−1234yfとCTFEとの比(HFO−1234yf/CTFE)をそれぞれ求めた。結果を表1の下欄に示す。
[実施例5]
R40、R22およびTFEの予熱は行なわず、室温(10℃)の各原料成分をそのまま反応器に供給した。それ以外は実施例1と同様な条件で反応を行なわせた。
次いで、反応器の出口より取り出したガスを、100℃以下に冷却し、蒸気および酸性液回収とアルカリ洗浄を順に行ってから脱水処理した後、ガスクロマトグラフィで分析して、出口ガスに含まれるガス成分のモル組成を計算し、得られた出口ガスのモル組成を基にして、R40の転化率(反応率)、R40由来の各成分の選択率、R22および/またはTFEの転化率(反応率)、R22および/またはTFE由来の各成分の選択率、ならびにHFO−1234yfとCTFEとの比(HFO−1234yf/CTFE)をそれぞれ求めた。結果を表1の下欄に示す。
[比較例2]
原料ガスとしてTFEを使用せず、R22とR40のみからなる原料組成物を使用した。そして、R40およびR22の予熱は行なわず、室温(10℃)の各原料成分をそのまま反応器に供給した。それ以外は実施例1と同様な条件で反応を行なわせた。
次いで、反応器の出口より取り出したガスを、100℃以下に冷却し、蒸気および酸性液回収とアルカリ洗浄を順に行ってから脱水処理した後、ガスクロマトグラフィで分析して、出口ガスに含まれるガス成分のモル組成を計算し、得られた出口ガスのモル組成から、R40の転化率(反応率)、R40由来の各成分の選択率、R22および/またはTFEの転化率(反応率)、R22および/またはTFE由来の各成分の選択率、ならびにHFO−1234yfとCTFEとの比(HFO−1234yf/CTFE)をそれぞれ求めた。結果を表1の下欄に示す。
Figure 0005149456
表1からわかるように、実施例1〜5では、R22および/またはTFEに由来する生成物のうちでも、HFO−1234yfと沸点が近いことから非常に分離しにくいCTFEの生成が抑制されており、純度の高いHFO−1234yfを得ることができる。
すなわち、TFEのTFE+R22に対するモル比が50%である実施例1においては、出口ガス中のR22および/またはTFE由来成分のうちの86.2%が、目的生成物であるHFO−1234yfとVdF、および原料成分の一つであるTFEであり、それぞれの生成モル比は、HFO−1234yf/VdF/TFE=10.6/34.0/55.3であった。そして、R40を基準とするHFO−1234yfとVdFの選択率の合計は、95.7%(22.6%+73.1%)であり、CTFEに対するHFO−1234yfの生成モル比(HFO−1234yf/CTFE)は、19.14と大きくなっている。
これに対して、TFEを含有せずR40とR22とからなる原料成分を使用した比較例1では、出口ガス中のR22および/またはTFE由来成分のうちで、目的生成物であるHFO−1234yfとVdF、および原料成分の一つであるTFEの合計の収率は、84.1%と実施例1に比べて減少し、かつそれぞれの生成モル比は、HFO−1234yf/VdF/TFE=9.7/32.7/57.7であり、HFO−1234yfおよびVdFの生成モル比は、いずれも実施例1に比べて減少している。そして、R40を基準とするHFO−1234yfとVdFの選択率の合計は96.4%(22.0%+74.4%)であり、実施例1よりわずかに大きくなっているが、CTFEに対するHFO−1234yfの生成モル比(HFO−1234yf/CTFE)は、8.74となり、実施例1に比べて大幅に減少している。
このように、実施例1では、比較例1に比べてHFO−1234yfの生成に対するCTFEの生成が抑制され、より高い純度のHFO−1234yfが得られることがわかる。また、実施例2〜5においても、比較例1〜2に比べてHFO−1234yfの生成に対するCTFEの生成が抑制されて、HFO−1234yf/CTFEが大きくなっており、より高い純度のHFO−1234yfが得られることがわかる。
さらに、原料組成物のTFEのモル比を、0%(比較例1)から10%(実施例2)、30%(実施例3)、50%(実施例1)と増大させても、出口ガス中のTFEの割合(モル比)は増大することはなく、むしろ減少傾向にあり、かつTFEの対HFO−1234yf比は減少し、TFEに比べてHFO−1234yfの生成が増大していることがわかる。このことから、原料成分としてのTFEの使用が、HFO−1234yfの生成に有効に働いていることがわかる。
またさらに、表1から以下のことがわかる。すなわち、原料組成物としてTFEを使用し、TFEがTFE+R22中に占めるモル比(TFE/(TFE+R22))が10%以上になると、原料成分のプレヒートの有無にかかわらず、出口ガス中のHFO−1234yfの収率は増大し、特にR22および/またはTFEに由来するHFO−1234yfの選択率は大幅に増大する。したがって、原料組成物としてのTFEの使用は、HFO−1234yfを選択的に得るための有効な方法であることがわかる。
[実施例6〜9]
実施例6〜8では、反応器内温度を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様な条件で、反応を行わせた。また、実施例9では、R40のプレヒート温度を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様な条件で、反応を行わせた。次いで、反応器の出口より取り出したガスを、実施例1と同様に処理した後、同様に分析を行った。結果を反応条件とともに表2に示す。
Figure 0005149456
本発明の製造方法によれば、調達が容易なR22とR40とTFEを原料として、1回の反応で、新冷媒として有用なHFO−1234yfを十分に高い収率で製造することができ、従来公知のHFO−1234yfを製造する方法に比べて、原料および製造設備に要するコストを低減することができる。
また、CTFEのような、HFO−1234yfとの蒸留分離が難しい副生物の生成が抑えられ、HFO−1234yfを十分に高い収率で得ることができる。さらに、HFO−1234yfとともに、例えばポリフッ化ビニリデンの原料として有用なVdFを製造することができ、経済的なメリットが大きい。
1…反応器、2…R40の供給ライン、3…R22の供給ライン、4…TFEの供給ライン、5…水蒸気の供給ライン、2a,3a,4a…予熱器(プレヒータ)、5a…過熱水蒸気発生器、8…冷却手段、9…出口ライン、10…蒸気および酸性液回収槽、11…アルカリ洗浄装置、12…脱水塔、20…反応装置。

Claims (14)

  1. 熱媒体存在下、クロロジフルオロメタンとクロロメタンとテトラフルオロエチレンとを含む原料組成物から、熱分解を伴う合成反応により2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンを製造する方法であって、
    (a)前記クロロジフルオロメタンと前記クロロメタンおよび前記テトラフルオロエチレンを、予め混合して、または別々に反応器に供給し、該反応器内に所定の時間滞留させる工程と、
    (b)熱媒体を前記反応器に供給し、該反応器内で前記原料組成物と前記熱媒体とを接触させる工程と
    を有することを特徴とする2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  2. 前記クロロジフルオロメタンの1モルに対して前記テトラフルオロエチレンを0.01〜100モル供給する、請求項1に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  3. 前記クロロジフルオロメタンと前記テトラフルオロエチレンの合計1モルに対して、前記クロロメタンを0.1〜10モル供給する、請求項1または2に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  4. 前記反応器に供給する前記クロロメタンの温度が0〜1200℃である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  5. 前記反応器に供給する前記クロロジフルオロメタンの温度が0〜600℃である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  6. 前記反応器に供給する前記テトラフルオロエチレンの温度が0〜1200℃である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  7. 工程(b)における前記反応器内の温度は400〜1200℃である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  8. 前記熱媒体は100〜1200℃で熱分解しない媒体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  9. 前記熱媒体は、水蒸気、窒素、二酸化炭素から選ばれる1種または2種以上の気体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  10. 前記熱媒体の供給量は、前記熱媒体および前記原料組成物の供給量の合計の20〜98体積%である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  11. 工程(b)における前記反応器内での前記熱媒体と前記原料組成物との接触時間は、0.01〜10秒間である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  12. 工程(b)における前記反応器内の圧力は、ゲージ圧で0〜2MPaである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  13. 前記原料組成物は、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、およびオクタフルオロシクロブタンから選ばれる1種以上の含フッ素化合物を含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  14. 前記合成反応において、さらにクロロトリフルオロエチレンが生成され、かつ、反応生成物における2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとクロロトリフルオロエチレンとの含有割合の比が、モル比で、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン/クロロトリフルオロエチレン≧9.0である請求項1〜13のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
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