JPWO2015053339A1 - 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの精製方法 - Google Patents

2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの精製方法 Download PDF

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Abstract

2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)と、HFO−1234yfと沸点が近い含フッ素化合物とを含む混合物から効率よくHFO−1234yfを精製する方法を提供する。(a)沸点が−14℃から−30℃の含フッ素化合物(ただし、HFO−1234yfを除く。)とHFO−1234yfとクロロメタンを含有する蒸留用組成物を準備する工程、(b)HFO−1234yfおよびクロロメタンの共沸組成物または共沸様組成物を含有する留分が形成される蒸留に前記蒸留用組成物を供する工程、および(c)前記留分から前記留分よりHFO−1234yf濃度が高い精製HFO−1234yfを得る工程を含むHFO−1234yfの精製方法。

Description

本発明は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの精製方法に関し、特には2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと沸点が近い含フッ素化合物と、を含む混合物から効率よく2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを精製する方法に関する。
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)は、温室効果ガスである1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)に代わる新しい冷媒として、近年大きな期待が寄せられている。なお、本明細書において、ハロゲン化炭化水素については化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、本明細書では必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。
HFO−1234yfの製造方法としては、例えば、クロロフルオロカーボン類を含む原料から熱分解を伴う1回の反応でHFO−1234yfを製造する方法が提案されている。このような方法として、例えば、特許文献1には、クロロメタン(R40)とクロロジフルオロメタン(R22)との混合物を熱媒体の存在下で加熱分解して、HFO−1234yfを得る方法が提示されている。
このような熱分解を伴う反応では、目的物質のHFO−1234yf以外に多種の類似化合物が副生物として生成されることが知られている。通常、反応生成物からの副生物の除去は沸点差を利用して蒸留で行われるが、HFO−1234yfと共沸組成物を形成することが知られている3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)(特許文献2参照)や、HFO−1234yfと沸点が近い化合物については、一般的な蒸留塔での除去は困難であり、これらを効率よく除去する方法が求められていた。
一方、特許文献3には、HFO−1234yfとフッ化水素が共沸組成物および共沸様組成物を形成することが記載されており、これを利用して、共沸蒸留によりHFO−1234yfと1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)を分離する技術が記載されている。なお、HFC−245cbは気相脱フッ化水素によるHFO−1234yfの製造のための出発原料として知られており、得られる反応生成物に含まれるHFO−1234yfと未反応原料のHFC−245cbの分離のために上記分離技術が適用されている。
しかしながら、フッ化水素を含む組成物を用いて共沸蒸留を行うには、蒸留塔や配管を含む蒸留設備全体を耐フッ化水素仕様にする必要があり、設備面での負荷が大きく、またハンドリングも容易ではなく、効率の点で問題であった。
特許第5201284号公報 特表2012−508306号公報 特表2009−513719号公報
本発明は、上記観点からなされたものであり、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと沸点が近い含フッ素化合物と、を含む混合物から効率よく2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを精製する方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の(a)工程から(c)工程を含む2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)の精製方法を提供する。
(a)沸点が−14〜−30℃の含フッ素化合物(ただし、HFO−1234yfを除く。)とHFO−1234yfとクロロメタン(R40)を含有する蒸留用組成物を準備する工程、
(b)HFO−1234yfおよびR40の共沸組成物または共沸様組成物を含有する留分が形成される蒸留に前記蒸留用組成物を供する工程、および
(c)前記留分から前記留分よりHFO−1234yf濃度が高い精製HFO−1234yfを得る工程。
なお、本明細書において、特に断りのない限り、化合物の沸点は常圧(1.013×10Pa)における沸点を示す。
本発明によれば、HFO−1234yfと、HFO−1234yfと沸点が近い含フッ素化合物とを含む混合物から効率よくHFO−1234yfを精製することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のHFO−1234yfの精製方法は、HFO−1234yfとHFO−1234yf(沸点:−29℃)と沸点の近い化合物、具体的には、沸点が−14℃から−30℃の含フッ素化合物(ただし、HFO−1234yfを除く。以下、含フッ素化合物(A)ということもある。)とを含む混合物からHFO−1234yfを精製することを目的とする方法であって、HFO−1234yfとR40が共沸することに基づく共沸蒸留を利用した以下の(a)工程から(c)工程を含む精製方法である。
(a)含フッ素化合物(A)とHFO−1234yfとR40とを含有する蒸留用組成物を準備する工程(以下、「蒸留準備工程」ともいう。)
(b)HFO−1234yfおよびR40の共沸組成物または共沸様組成物を含有する留分が形成される蒸留に前記蒸留用組成物を供する工程(以下、「共沸蒸留工程」ともいう。)
(c)前記留分から前記留分よりHFO−1234yf濃度が高い精製HFO−1234yfを得る工程(以下、「濃縮工程」ともいう。)
上記(a)工程から(c)工程を含む本発明のHFO−1234yfの精製方法によれば、通常の蒸留等により分離が困難であったHFO−1234yfと含フッ素化合物(A)を含む混合物(以下、「粗HFO−1234yf」ということもある。)から、HFO−1234yfと含フッ素化合物(A)を効率よく分離することができる。すなわち、本発明の精製方法によれば、得られる精製HFO−1234yfにおける含フッ素化合物(A)に対するHFO−1234yfの割合(以下、「HFO−1234yf/含フッ素化合物(A)」で示すこともある。)を、粗HFO−1234yfにおける、HFO−1234yf/含フッ素化合物(A)、より高めることができる。
言い換えれば、本明細書における精製HFO−1234yfとは、以下に説明する粗HFO−1234yfとの関係において、得られる精製HFO−1234yfにおけるHFO−1234yf/含フッ素化合物(A)が、用いた粗HFO−1234yfにおけるHFO−1234yf/含フッ素化合物(A)に比べて高い、HFO−1234yfを含む混合物またはHFO−1234yf純品を意味する。
なお、本発明の方法においては、粗HFO−1234yfがR40を含有する場合は粗HFO−1234yfをそのまま蒸留用組成物として用いて、または粗HFO−1234yfがR40を含有しない場合は粗HFO−1234yfにR40を添加して蒸留用組成物とすることで、HFO−1234yfとR40が共沸することに基づく共沸蒸留が実行可能である。上記いずれの場合であっても蒸留用組成物におけるHFO−1234yf/含フッ素化合物(A)は、粗HFO−1234yfのおけるそれと等しい。
したがって、本発明の精製方法によれば、精製HFO−1234yfにおけるHFO−1234yf/含フッ素化合物(A)を、蒸留用組成物におけるHFO−1234yf/含フッ素化合物(A)より高めることができるともいえる。本発明の製造方法によれば、HFO−1234yfと含フッ素化合物(A)を含む混合物から効率よく精製HFO−1234yfを得ることができる。
ここで、HFO−1234yfとR40が共沸することはこれまで知られておらず、本発明者らが新たに見出し、本発明の精製方法に適用したものである。すなわち、本発明者らは、設備等に負荷を与えハンドリングも困難なフッ化水素に代わってHFO−1234yfと共沸する化合物であって、設備等に負荷が少なくハンドリングも容易な化合物を探索した。その結果、R40が上記条件を満たすとともに、得られるR40とHFO−1234yfの共沸組成物または共沸様組成物が、HFO−1234yfおよびR40のいずれの沸点よりも低い温度で沸騰する、すなわち最低共沸することを確認した。
これにより、HFO−1234yfとHFO−1234yfと沸点が近い化合物を含む混合物にR40を存在させて、すなわち該混合物がR40を含む場合はこれをそのまま、R40を含まない場合はR40を加えて、蒸留用の組成物として共沸蒸留を行い、該組成物から共沸組成物または共沸様組成物としてHFO−1234yfを分離し、さらに該共沸組成物または共沸様組成物からHFO−1234yfを分離する本発明のHFO−1234yfの精製方法に至った。以下、HFO−1234yfとR40の共沸組成物または共沸様組成物について説明する。
共沸組成物は、液相の気化により生成される気相が、気化される液相と同一の組成を有する組成物、または、気相の液化により生成される液相が、液化される気相と同一の組成を有する組成物として定義される。よって、共沸組成物は、蒸発、凝縮を繰り返した場合の組成の変動がなく、組成の変化を伴わずに蒸留および/または還流されうる。共沸組成物の組成は、液相における組成と気相における組成が等しい、すなわち比揮発度が1.00となる組成として求められる。ただし、共沸組成物の組成は圧力条件により変化しうる。
HFO−1234yfとR40からなる組成物は、ゲージ圧0.5MPaの条件下では、HFO−1234yfが57モル%、R40が43モル%の組成で共沸する。このHFO−1234yfとR40の共沸組成は、ゲージ圧0.5MPaの条件下で、下記式(1)で示される比揮発度が1.00となる組成であり、以下のようにして求められる。また、HFO−1234yfとR40の共沸組成物の沸点は、該圧力ゲージ圧0.5MPaにおいて18.0℃である。
(比揮発度を求める式)
比揮発度=(気相部におけるHFO−1234yfのモル%/気相部におけるR40のモル%)/(液相部におけるHFO−1234yfのモル%/液相部におけるR40のモル%) …(1)
所定の組成のHFO−1234yfとR40の混合物を、500mLの圧力計付きオートクレーブに入れ、圧力がゲージ圧で0.5MPaとなるように外部ヒータによって徐々に加熱する。オートクレーブ内の圧力がゲージ圧で0.5MPaとなってから一定時間保持してオートクレーブ内の組成を安定化させた後、気相および液相からサンプルを採取する。気相および液相の各サンプル中のHFO−1234yfとR40をガスクロマトグラフィーで分析し各サンプルにおけるHFO−1234yfとR40の組成を得る。得られた組成を上記の式(1)に挿入して比揮発度を求める。
この操作をオートクレーブに仕込む混合物中のHFO−1234yfとR40の組成を変えて行い、比揮発度が1.00となる組成を求めゲージ圧0.5MPaにおける共沸組成を得る。なお、常圧でのHFO−1234yfとR40の共沸組成は上記で得られた共沸組成の実験値と既知の熱力学特性・計算熱力学特性を用いたシミュレーションにより、液相側のHFO−1234yfの含有割合が57モル%、R40の含有割合が43モル%と計算される。また、HFO−1234yfとR40の共沸組成物の沸点は、常圧において−32℃と算出できる。
ここで、一般的に、共沸組成を形成する組成物において、共沸組成に近似する組成の組成物は、共沸に近い挙動を示す共沸様組成物とされる。すなわち、共沸様組成物は、蒸発または凝縮されたときに分画されない傾向を有し、液相の気化により生成される気相の組成が、気化される液相の組成と、または、気相の液化により生成される液相の組成が、液化される気相の組成と、略同一である。したがって、共沸様組成物は組成の変化をほとんど伴わずに蒸留および/または還流されうる。
HFO−1234yfとR40の共沸様組成物の組成範囲としては、具体的には、通常の蒸留条件において、該組成物が組成的な変化をほとんど伴わずに蒸留および/または還流される範囲が好ましい。組成物が組成的な変化をほとんど伴わずに蒸留および/または還流される組成範囲は、例えば、所定の圧力における比揮発度が1.00±αとなる範囲として規定できる。
HFO−1234yfとR40の共沸様組成物の組成範囲としては、具体的には、所定の圧力において、比揮発度が1.00±0.20となる範囲が好ましい。所定の圧力において、例えば、ゲージ圧0.5MPaにおいて、比揮発度が1.00±0.20となるHFO−1234yfとR40の組成範囲は、上記共沸組成を求める場合と同様にして、ゲージ圧0.5MPaの条件下でHFO−1234yfとR40の組成を漸次変化させながら気相と液相における両化合物のモル%を測定することで求められる。
このような方法で求められる、ゲージ圧0.5MPaにおける、比揮発度が1.00±0.20の範囲の、HFO−1234yfとR40の共沸様組成物の組成は、R40に対するHFO−1234yfのモル比(以下、「HFO−1234yf/R40」と示すこともある。)の範囲で、41/59〜85/15である。また、圧力がゲージ圧0.5MPaの条件において、上記組成範囲のHFO−1234yfとR40からなる共沸様組成物は、沸点が18〜19℃である。
なお、常圧での比揮発度が1.00±0.20となる範囲のHFO−1234yfとR40の共沸様組成物の組成範囲は、上記で得られたゲージ圧0.5MPaにおける共沸様組成物の組成の実験値と既知の熱力学特性・計算熱力学特性を用いたシミュレーションにより、液相側のHFO−1234yf/R40の範囲として46/54〜73/27と計算される。また、常圧において、上記組成範囲のHFO−1234yfとR40からなる共沸様組成物は、沸点が−31〜−32℃と算出できる。
同様にして、各種圧力(ゲージ圧)における既知の熱力学特性・計算熱力学特性を用いたシミュレーションによるHFO−1234yfとR40の共沸組成および共沸様組成物の組成範囲を算出した。結果を、常圧およびゲージ圧0.5MPaの結果と併せて表1に示す。なお、共沸様組成物は、上記の共沸組成物とほぼ同等に取り扱える。以下の説明において共沸様組成物は、共沸組成物を含むものとして記載する。
Figure 2015053339
以下、HFO−1234yfとR40からなる共沸様組成物の性質を利用した本発明のHFO−1234yfの精製方法を工程ごとに説明する。
(a)蒸留準備工程
(a)工程は、含フッ素化合物(A)とHFO−1234yfとR40を含有する蒸留用組成物を準備する工程である。
本発明の精製方法は、少なくとも含フッ素化合物(A)とHFO−1234yfを含む粗HFO−1234yfを対象にできる。本発明の精製方法は、精製対象とされる粗HFO−1234yfに比べて、HFO−1234yfに対する含フッ素化合物(A)の割合が減少された精製HFO−1234yfを得る方法である。
含フッ素化合物(A)は沸点が−14から−30℃の含フッ素化合物(ただし、HFO−1234yfを除く。)であって、例えば、HFO−1234yfを従来公知の製造方法で製造する際に使用する原料の未反応物や、製造過程で生成される中間体、副生物等が挙げられる。また、含フッ素化合物(A)とHFO−1234yfを含む粗HFO−1234yfとして、具体的には、HFO−1234yfを従来公知の製造方法で製造して得られる反応生成物や、これを通常の方法で精製した粗精製物等が挙げられる。
含フッ素化合物(A)として、具体的には、表2にそれぞれの沸点が示される、3,3−ジフルオロプロペン(HFO−1252zf)、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロアセトン、ヘキサフルオロプロピレンオキサイド(HFPO)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,2−ジフルオロエチレン(Z)(HFO−1132(Z))、1−クロロ−1−フルオロエチレン(HCFO−1131a)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1−クロロ−1−フルオロエタン(HFC−151a)、1−フルオロプロペン(Z/E)(HFC−1261ze(Z/E))、2−フルオロプロペン(HFC−1261yf)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225yc)、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225zc)、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(Z/E)(HFO−1225ye(Z/E))、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(Z/E)(HFO−1234ze(Z/E))、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)、1−クロロ−2,2−ジフルオロエチレン(HCFO−1122)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)および1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ca)から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
なお、含フッ素化合物(A)において、化合物名の後ろに(Z)または(E)等の表記があるものは、幾何異性体のZ体またはE体であることを示す。なお、表2において、幾何異性体を有する化合物についてE体とZ体に沸点の差がない場合は、化合物名の後ろに(Z/E)と表示した。
Figure 2015053339
表2に示すような沸点が−14から−30℃の含フッ素化合物(A)であれば、HFO−1234yfとR40の共沸様組成物の沸点範囲との沸点差が十分であり、HFO−1234yfとR40の共沸様組成物との分留が可能である。また、含フッ素化合物(A)は、通常の蒸留では容易に分離できない程度にHFO−1234yf(−29℃)の沸点と沸点が近く、精製効率の点で有利である。
なお、含フッ素化合物(A)については、沸点が−19から−30℃の含フッ素化合物(A)の場合に、より本発明の方法における精製効率に係る効果が顕著であり、沸点が−19から−28℃の含フッ素化合物(A)の場合に、特に本発明の方法における精製効率に係る効果が顕著である。
また、例えば、含フッ素化合物(A)以外の化合物で沸点が−14から−30℃の化合物が粗HFO−1234yfに含有される場合、含フッ素化合物(A)と同様に、HFO−1234yfとR40の共沸様組成物との分留が可能である。
このような化合物として、例えばジアゾメタン(CH−N、−23℃)、ジメチルシラン(CH−SiH−CH、−22℃)、ジシアン(NC−CN、−21℃)、エチニルメチルエーテル(CH≡C−O−CH、−17℃)、塩化ビニル(CH=CHCl、−14℃)、クロロアセチレン(Cl−C≡C−H、−30℃)、ジメチルエーテル(CH−O−CH、−24℃)、ホルムアルデヒド(H−C(O)−H、−19℃)等が挙げられる。
なお粗HFO−1234yfが、−14℃から−30℃の沸点を有する化合物に加えて、さらに、−14℃を超える沸点を有する化合物を含む場合は、これらの化合物についても本発明の精製方法により、HFO−1234yfとの分離が可能である。
なお、特許文献1において、HFO−1243zfはHFO−1234yfと共沸するとされており、その共沸様組成物の沸点は約14psia〜約230psia(約0.1MPa〜約1.6MPa)において約−30℃〜約66℃とされる。ただし、HFO−1243zfとHFO−1234yfに加えてR40を含む本発明の方法による蒸留用組成物においては、HFO−1234yfとR40が共沸様組成物を形成して、通常の蒸留によってこれを含む留分として分留されることから、HFO−1234yfとHFO−1243zfとは容易に分離できる。これは、HFO−1234yfとR40との共沸様組成物の沸点が、HFO−1234yfとHFO−1243zfとの共沸様組成物の沸点よりも低いことによるものである。
ここで、(a)工程において蒸留用組成物を準備するとは、例えば、上に説明したようなHFO−1234yfの製造過程で得られる粗HFO−1234yfにおいて、該粗HFO−1234yfがR40を含む場合には、その粗HFO−1234yfをそのまま蒸留用組成物とすることを含む。また、同様に粗HFO−1234yfがR40を含まない場合には、粗HFO−1234yfにR40を加えることで、蒸留用組成物が準備される。
(a)工程で準備される蒸留用組成物が含有する含フッ素化合物(A)、HFO−1234yfおよびR40のそれぞれの含有量は特に制限されない。本発明の精製方法においては、(b)工程の蒸留により、該蒸留用組成物からHFO−1234yfとR40の共沸様組成物が形成され、これを含む留分として分留される。ここで、該共沸様組成物は、蒸留用組成物においてHFO−1234yfとR40がどのような割合で含有されていても形成可能である。そのため、(a)工程で準備される蒸留用組成物におけるHFO−1234yfおよびR40のそれぞれの含有量は特に制限されない。
しかしながら、蒸留用組成物が含有するHFO−1234yfを効率よく精製するためには、(b)工程において蒸留用組成物中のHFO−1234yfの略全量を、共沸様組成物を含む留分として分留することが好ましい。
そのために、蒸留用組成物中のHFO−1234yf/R40は、所定の蒸留圧力における共沸様組成物のHFO−1234yf/R40の上限以下であることが好ましく、共沸組成物のHFO−1234yf/R40以下であることがより好ましい。HFO−1234yf/R40が当該圧力における共沸様組成物のHFO−1234yf/R40の上限以下であれば、通常の蒸留において蒸留用組成物中のHFO−1234yfの略全量を、共沸様組成物を含む留分として分留できる。
また、HFO−1234yf/R40が共沸組成物のHFO−1234yf/R40以下であれば、蒸留用組成物中のHFO−1234yfを共沸様組成物を含む留分中により効率よく分離することができる。表1からわかるように、共沸様組成物を形成するHFO−1234yf/R40の上限値99/1は、圧力が1.3〜3.0MPaGの場合の値であり、例えば、圧力が0.5MPaGの場合には、共沸様組成物を形成するHFO−1234yf/R40の上限値は85/15であり、常圧においては73/27である。したがって、(b)工程に用いる蒸留塔の能力等により高圧設定が困難な場合には、可能な設定圧力における共沸様組成物を形成するHFO−1234yf/R40の上限値を算出し、蒸留用組成物におけるHFO−1234yf/R40がこの上限値以下になるように調整することが好ましい。
蒸留が行われる圧力範囲は、通常、ゲージ圧で0〜3.0MPa程度(以下、圧力がゲージ圧の場合は、単位の後ろに「G」を付記する。)である。また、0〜3.0MPaGの圧力範囲において共沸様組成物が形成される組成範囲は、表1に示すとおり、HFO−1234yf/R40として、26/74〜99/1であり、共沸組成物が形成される組成範囲は57/43(約1.33)である。
よって、蒸留用組成物中のR40の量は、HFO−1234yfの1モルに対して0.01モル以上であることが好ましく、0.1モル以上であることがより好ましく、0.2モル以上であることがさらに好ましく、0.5モル以上であることが特に好ましく、0.75モル以上であることが最も好ましい。これにより、共沸様組成物を形成しない余剰のHFO−1234yfが、共沸様組成物を含む留分とは別の留分(通常は含フッ素化合物(A)を含む留分)に分留されてしまうことによるHFO−1234yfのロスを抑えることができる。
なお、上記のとおり蒸留用組成物中のR40の量がHFO−1234yfと共沸様組成物を形成させる量よりも過剰な量であっても蒸留により共沸様組成物を含む留分を形成させることができるため、必要に応じて、蒸留用組成物中のR40の量を上記値より大きく設定してもよい。ただし、蒸留用組成物自体の量が増加することに起因するリボイラー及びコンデンサー負荷を抑え、消費エネルギーを小さくしてコストを抑えることを考慮すれば、蒸留用組成物中のR40の量は、HFO−1234yfの1モルに対して100モル以下であることが好ましく、10モル以下であることがより好ましい。
(a)工程において、蒸留用組成物は、例えば、本発明の精製方法を適用する対象としての粗HFO−1234yfについて、HFO−1234yfとR40の含有量を測定し、これらの含有量に応じて、得られる蒸留用組成物のHFO−1234yf/R40が上記した好ましい範囲となるように、該粗HFO−1234yfにR40を添加することで、あるいは添加せずに、準備されうる。
なお、本発明に用いる粗HFO−1234yfが、上記好ましい範囲である共沸様組成物の組成範囲を超えてR40を過剰に含有する場合は、該粗HFO−1234yfをそのまま蒸留用組成物として、(b)工程の蒸留に供すればよい。なお、本発明において蒸留用組成物は、必ずしもHFO−1234yf、含フッ素化合物(A)およびR40のみで構成されている必要はない。本発明の効果を損なわない範囲で、HFO−1234yf、含フッ素化合物(A)およびR40以外の化合物を含んでいてもよい。これらの化合物は通常、粗HFO−1234yfに含まれる形で蒸留用組成物に持ち込まれる化合物である。
本発明の精製方法の適用対象としての粗HFO−1234yfは、例えば、R40と、熱分解してFC:を発生しうる含フッ素化合物、例えば、R22、テトラフルオロエチレン(TFE)、HFP、オクタフルオロシクロブタン(RC318)、CTFE、トリフルオロエチレン(HFO−1123)、ヘキサフルオロプロピレンオキサイド(HFPO)等、との熱分解を伴うHFO−1234yfの合成方法により得られる反応生成物から、蒸留等によりHFO−1234yf、含フッ素化合物(A)およびR40の混合物からなる留分または該混合物を主成分とする留分を分取することで得ることができる。
上記熱分解を伴うHFO−1234yfの合成方法により得られる粗HFO−1234yfは、上記表1に示す含フッ素化合物(A)の全てを含有し得る。また、このようにして得られる粗HFO−1234yfをそのままあるいはR40を添加して蒸留用組成物として用いる場合には、上記のとおりHFO−1234yf、含フッ素化合物(A)およびR40以外のその他の化合物を本発明の効果を損なわない範囲で含有していてもよい。
その他の化合物として、具体的には、R22、TFE、RC318、HFO−1123、HFPO、ヘプタフルオロプロパン、クロロジフルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン(HFO−1132a)、クロロエチレン、クロロテトラフルオロエタン(HCFC−124)、クロロフルオロメタン(HCFC−31)、ジフルオロメタン(HFC−32)等が挙げられる。なお、HFO−1234yfを効率よく精製する観点から、その他の化合物の含有量は蒸留用組成物中、90モル%未満が好ましく、70モル%未満がさらに好ましい。その他の化合物の多くは、HFO−1234yfおよび含フッ素化合物(A)との沸点差が大きい化合物であって、本発明の精製方法を行う前に、通常の蒸留により予め容易に分離可能である。
本発明の精製方法に適用可能な粗HFO−1234yfとしては、上記以外に、例えば、ジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC−225)の異性体混合物を用いてHFO−1234yfを製造する際に得られる粗HFO−1234yfが挙げられる。
HCFC−225の異性体混合物を原料として用いてHFO−1234yfを製造する方法では、原料中の1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(HCFC−225ca)を選択的に脱フッ化水素させて1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFO−1214ya)を製造し、得られるCFO−1214yaを還元してHFO−1234yfを製造する。
最終的に得られる反応生成物を粗HFO−1234yfとすると、粗HFO−1234yfには、含フッ素化合物(A)として、原料組成物中の2,2−ジクロロ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(HCFC−225aa)が脱塩化水素反応した後、還元して得られるHFO−1225zc、およびHFO−1234yfの過還元体であるHFO−1243zf、HFO−1252zf等が含まれ得る。
また、特許文献3に記載の、HFC−245cbを脱フッ化水素してHFO−1234yfを製造した場合に得られる未反応原料等を含む反応生成物は、本発明の精製方法に適用可能な粗HFO−1234yfである。この場合、粗HFO−1234yfに含まれる含フッ素化合物(A)には、HFC−245cb等が含まれ得る。
なお、これらの粗HFO−1234yfを本発明の精製方法に適用する場合、該粗HFO−1234yfは基本的にR40を含有しないため、(a)工程においてR40の所定量を添加して蒸留用組成物を調製する。用いる粗HFO−1234yfは、上記熱分解を伴うHFO−1234yfの合成方法により得られる粗HFO−1234yfと同様にHFO−1234yf、含フッ素化合物(A)およびR40以外のその他の化合物を含んでいてもよい。ただし、その他の化合物の含有量は、蒸留用組成物とした際の含有量として、90モル%未満が好ましく、70モル%未満がより好ましい。
(b)共沸蒸留工程
本発明の方法における(b)工程は、上記(a)工程で準備された蒸留用組成物を、HFO−1234yfおよびR40の共沸様組成物を含有する留分が形成される蒸留に供する工程である。
(b)工程における蒸留は、上記(a)工程で蒸留用組成物を上記のように準備することで、特別な条件を要さない、通常の範囲の蒸留の条件設定、例えば、圧力範囲については0〜3.0MPaGの範囲で、また温度範囲については、設定圧力により、塔頂温度として−32〜88℃の範囲で、HFO−1234yfおよびR40の共沸様組成物を含有する留分が形成される蒸留とすることができる。なお、圧力条件は、0(常圧)〜2.0MPaGとすることが好ましく、温度条件については、設定圧力により、塔頂温度として−32〜68℃が好ましい。以下、HFO−1234yfおよびR40の共沸様組成物を含有する留分を共沸留分ということもある。
(b)工程の蒸留は、蒸留用組成物中のHFO−1234yfの量に対する共沸留分中のHFO−1234yfの量の割合が75モル%以上となるように行うことが好ましく、85モル%以上がより好ましく、95モル%以上がさらに好ましく、99モル%以上が最も好ましい。また、蒸留用組成物中の含フッ素化合物(A)の量に対する共沸留分中の含フッ素化合物(A)の量の割合が50モル%以下となるように蒸留を行うことが好ましく、25モル%以下がより好ましく、15モル%以下がさらに好ましく、5モル%以下が最も好ましい。これにより、より高純度のHFO−1234yfを得ることができる。
上記条件を満足させるためには、例えば、塔頂から共沸留分を留出液として取り出す場合、塔頂温度を蒸留圧力における共沸様組成物の沸点以上とし、塔底温度を含フッ素化合物(A)の沸点以下とすることが好ましい。これは、主として塔頂温度を調整することで行われる。この際、塔頂温度と塔底温度の差を小さくすることでリボイラー負荷を低減することができる。また、圧力を共沸様組成物の沸点が常温近傍、例えば、おおむね−15から50℃となるように設定することでリボイラー負荷を低減することができる。このような圧力としては、0.1〜1.3MPaGであることが好ましい。
(b)工程の蒸留は、例えば、蒸留塔と、該蒸留塔に蒸留用組成物を供給する手段と、該蒸留塔の塔頂から留出液を取り出す手段と、該蒸留塔の塔底から缶出液を取り出す手段とを備えた蒸留装置を用いて行うことができる。用いる蒸留塔としては、中空の蒸留塔でもよく、多段式の蒸留塔であってもよい。また、蒸留はバッチ式で行われても、連続式で行われてもよい。
蒸留を、例えば多段式の蒸留塔を用いて行う場合、通常、上記蒸留用組成物は蒸留塔の中段から供給され、上記共沸留分が蒸留塔の塔頂からの留出液として得られる。また、上記蒸留用組成物に含まれていた含フッ素化合物(A)が含まれる留分(以下、含フッ素化合物(A)留分ともいう。)が塔底からの缶出液として分取できる。なお、蒸留用組成物におけるHFO−1234yf/R40の含有割合が、該蒸留が行われる条件での共沸様組成物の範囲を超えている場合は、過剰に含まれるHFO−1234yfまたはR40が、含フッ素化合物(A)留分に含まれる形で塔底からの缶出液として分取される。
なお、本発明の(b)工程において共沸留分を留出液として分取するのは、塔頂からの分取に限られるものではなく、蒸留用組成物を塔内に供給する段より上の段であればどこの段からでも共沸留分を留出液として取り出すことができる。同様に、本発明は、塔底から含フッ素化合物(A)留分を缶出液として取り出す実施形態について説明しているが、本発明はこれに限られず、蒸留用組成物を塔内に供給する段より下の段であれば含フッ素化合物(A)留分を缶出液として取り出すことができる。
これは、上記の通り、例えば、常圧におけるHFO−1234yfとR40の共沸様組成物の沸点が−31から−32℃であり、また含フッ素化合物(A)の沸点が−14から−30℃、HFO−1234yfの沸点が−29℃、R40の沸点が−24.2℃であることによる。
含フッ素化合物(A)留分にHFO−1234yfが含まれる場合は、さらに上記(a)工程および(b)工程を行うことで、該含フッ素化合物(A)留分からHFO−1234yfが分離される。含フッ素化合物(A)留分にR40が含まれる場合は、上記(a)工程において、これを粗HFO−1234yfに加えて蒸留用組成物を調製して、(b)工程に供することで、該含フッ素化合物(A)留分からR40を分離してもよい。
なお、上記(a)工程において、蒸留用組成物中のHFO−1234yf/R40を所定の蒸留条件における共沸様組成物の組成に調整し、(b)工程において該所定の蒸留条件で蒸留を行うことにより、HFO−1234yfおよびR40の共沸様組成物を含有する共沸留分とHFO−1234yfやR40を略含有しない含フッ素化合物(A)留分とに分留することが可能となる。
このようにして(b)工程で得られる共沸留分が、次の(c)工程に供され、HFO−1234yfが濃縮される。なお、共沸留分におけるHFO−1234yfとR40以外の化合物の含有割合は共沸留分全量に対して90質量%以下であり、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
(c)濃縮工程
(c)工程は、(b)工程で得られる共沸留分から、該共沸留分におけるHFO−1234yf濃度に比べて、HFO−1234yf濃度が高まった精製HFO−1234yfを得る工程である。なお、得られる精製HFO−1234yfは、上に規定したとおり、用いた粗HFO−1234yfにおけるHFO−1234yf/含フッ素化合物(A)に比べて、高いHFO−1234yf/含フッ素化合物(A)を有するものである。
ここで、上記(b)工程で得られる共沸留分におけるHFO−1234yf/R40は、26/74〜99/1の範囲にある。本(c)工程で得られる精製HFO−1234yfにおけるHFO−1234yfの含有量は、精製HFO−1234yfの全量に対して90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましい。
(c)工程の具体的な方法として、スイング蒸留、抽出蒸留、共沸蒸留、相分離および膜分離から選ばれる少なくとも1種の分離法が適用可能である。これらの分離方法は、共沸組成物を構成化合物に分離する際に用いられる一般的な方法であり、(b)工程で得られる共沸留分をこれらの分離方法に供する際には、常法にしたがえばよい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。例1〜6、例8、10が実施例であり、例7、例9が比較例である。本発明はこれらの実施例に限定されない。
[例1〜7]
例1〜6において、蒸留用組成物としてHFO−1234yfとHFO−1243zfとR40を含むそれぞれ表3〜表8に示す蒸留用組成物を準備する。例7においては、蒸留用組成物としてHFO−1234yfとHFO−1243zfのみを含む表9に示す蒸留用組成物を準備する。例1〜7において、これらの蒸留用組成物を、50段の理論段数を持つ蒸留塔の塔頂から40段目より1.0モル/hrの流量で蒸留塔に供給し、表3〜表9にそれぞれ示す運転圧力[MPaG]、塔頂温度[℃]、塔底温度[℃]で連続蒸留を行う。
例1〜例7において、表3〜表9にそれぞれ示す速度(回収量の合計[モル/H])で塔頂より留出液を抜き出し、塔底より缶出液を抜き出す。抜き出した留出液、缶出液のそれぞれについてガスクロマトグラフィーで組成を分析する。例1〜例7における留出液および缶出液の組成の分析結果を下記表3〜表9に示す。
得られた分析結果から、例1〜例7における蒸留用組成物中の各成分について、留出液、缶出液における蒸留用組成物からの回収率を以下の式により求めた。
回収率(%)=留出液または缶出液中の成分量/蒸留用組成物中の成分量×100
また、蒸留用組成物、留出液および缶出液におけるHFO−1234yfとHFO−1243zfの合計量に対するHFO−1234yfの割合(モル%)を求めた。
蒸留用組成物、留出液および缶出液における全体量に対するHFO−1234yfとR40の合計量の割合(モル%)を求めた。
蒸留用組成物、留出液および缶出液におけるHFO−1234yf/R40(モル比)を求めた。各例における結果を表3〜表9の下欄に示す。
Figure 2015053339
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Figure 2015053339
Figure 2015053339
Figure 2015053339
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例1〜例6において得られる留出液は、HFO−1234yfとR40の共沸様組成物を含有し、その合計含有量は、95.96〜99.77モル%であって、HFO−1243zfがよく除去された混合物である。このような留出液から、スイング蒸留、抽出蒸留、共沸蒸留、相分離および膜分離から選ばれる少なくとも1種の分離法により主としてR40を除去して精製HFO−1234yfを得る。
[例8、9]
例8において、蒸留用組成物としてHFO−1234yfとHFC−152aとR40を含む表10に示す蒸留用組成物を準備する。例9においては、蒸留用組成物としてHFO−1234yfとHFC−152aのみを含む表11に示す蒸留用組成物を準備する。例8、9において、これらの蒸留用組成物を、50段の理論段数を持つ蒸留塔の塔頂から40段目より1.0モル/hrの流量で蒸留塔に供給し、表10、11にそれぞれ示す運転圧力[MPaG]、塔頂温度[℃]、塔底温度[℃]で連続蒸留を行う。
例8、9において、表10、11にそれぞれ示す速度(回収量の合計[モル/H])で塔頂より留出液を抜き出し、塔底より缶出液を抜き出す。抜き出した留出液、缶出液のそれぞれについてガスクロマトグラフィーで組成を分析する。例8、9における留出液および缶出液の組成の分析結果を下記表10、11に示す。
得られた分析結果から、例8、9における蒸留用組成物中の各成分について、留出液、缶出液における蒸留用組成物からの回収率を上記例1と同様にして求めた。
また、蒸留用組成物、留出液および缶出液におけるHFO−1234yfとHFC−152aの合計量に対するHFO−1234yfの割合(モル%)を求めた。
蒸留用組成物、留出液および缶出液における全体量に対するHFO−1234yfとR40の合計量の割合(モル%)を求めた。
蒸留用組成物、留出液および缶出液におけるHFO−1234yf/R40(モル比)を求めた。各例における結果を表10、11の下欄に示す。
Figure 2015053339
Figure 2015053339
例8において得られる留出液は、HFO−1234yfとR40の共沸様組成物を含有し、その含有割合は、99.40モル%であって、HFC−152aがよく除去された混合物である。このような留出液から、スイング蒸留、抽出蒸留、共沸蒸留、相分離および膜分離から選ばれる少なくとも1種の分離法により主としてR40を除去して精製HFO−1234yfを得る。
[例10]
蒸留用組成物としてHFO−1234yfと表12に示す各種含フッ素化合物(A)とR40を含む表12に示す蒸留用組成物を準備する。この蒸留用組成物を、50段の理論段数を持つ蒸留塔の塔頂から40段目より1.0モル/hrの流量で蒸留塔に供給し、表12に示す運転圧力[MPaG]、塔頂温度[℃]、塔底温度[℃]で連続蒸留を行う。
表12に示す速度(回収量の合計[モル/H])で塔頂より留出液を抜き出し、塔底より缶出液を抜き出す。抜き出した留出液、缶出液のそれぞれについてガスクロマトグラフィーで組成を分析する。例10における留出液および缶出液の組成の分析結果を下記表12に示す。
得られた分析結果から、例10における蒸留用組成物中の各成分について、留出液、缶出液における蒸留用組成物からの回収率を上記例1と同様にして求めた。
また、蒸留用組成物、留出液および缶出液におけるHFO−1234yfと含フッ素化合物(A)の合計量に対するHFO−1234yfの割合(モル%)を求めた。
蒸留用組成物、留出液および缶出液における全体量に対するHFO−1234yfとR40の合計量の割合(モル%)を求めた。
蒸留用組成物、留出液および缶出液におけるHFO−1234yf/R40(モル比)を求めた。結果を表12の下欄に示す。
Figure 2015053339
例10において得られる留出液は、HFO−1234yfとR40の共沸様組成物を含有し、その含有割合は、99.74モル%であって、含フッ素化合物(A)がよく除去された混合物である。このような留出液から、スイング蒸留、抽出蒸留、共沸蒸留、相分離および膜分離から選ばれる少なくとも1種の分離法により主としてR40を除去して精製HFO−1234yfを得る。
本発明によれば、HFO−1234yfと、HFO−1234yfと沸点が近い含フッ素化合物とを含む混合物から効率よくHFO−1234yfを精製することができるので、本発明は、広い分野で生じる種々の粗HFO−1234yfから高純度のHFO−1234yfを得るのに有効に利用される。
なお、2013年10月9日に出願された日本特許出願2013−211748号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (9)

  1. (a)沸点が−14℃から−30℃の含フッ素化合物(ただし、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとクロロメタンを除く。)と、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、クロロメタンと、を含有する蒸留用組成物を準備する工程、
    (b)2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよびクロロメタンの共沸組成物または共沸様組成物を含む留分が形成される蒸留に前記蒸留用組成物を供する工程、および
    (c)前記留分から前記留分より2,3,3,3−テトラフルオロプロペン濃度が高い精製2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得る工程、
    を含む2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの精製方法。
  2. 前記蒸留用組成物中の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの量に対する前記留分中の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの量の割合は75モル%以上であり、かつ前記蒸留用組成物中の前記含フッ素化合物の量に対する前記留分中の前記含フッ素化合物の量の割合は50モル%以下である請求項1に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの精製方法。
  3. 前記蒸留用組成物中の前記クロロメタンの量は、前記2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの1モルに対して0.01〜100モルである請求項1または2に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの精製方法。
  4. 前記(c)工程は、前記留分をスイング蒸留、抽出蒸留、共沸蒸留、相分離および膜分離から選ばれる少なくとも1種の分離法に供することで行われる請求項1〜3のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの精製方法。
  5. 前記蒸留用組成物中の含フッ素化合物の沸点が、−19℃から―30℃である請求項1〜4のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの精製方法。
  6. 前記含フッ素化合物が、3,3−ジフルオロプロペン、ジクロロジフルオロメタン、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロエチレン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1−クロロ−1−フルオロエチレン、1,2−ジフルオロエチレン(Z)、3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1−ジフルオロエタン、1−クロロ−1−フルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(Z/E)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(Z/E)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1−フルオロプロペン(Z/E)、2−フルオロプロペン、ヘキサフルオロアセトン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロピレンオキサイドおよび1−クロロ−2,2−ジフルオロエチレンから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの精製方法。
  7. 前記共沸組成物又は前記共沸様組成物が、クロロメタンおよび2,3,3,3−テトラフルオロプロペンのいずれの沸点よりも低い温度で沸騰する請求項1〜6のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの精製方法。
  8. 前記蒸留用組成物が、(a)工程において、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む組成物にクロロメタンを添加することで得られる請求項1〜7のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの精製方法。
  9. 前記蒸留用組成物が、クロロメタンと熱分解してジフルオロカルベンを発生しうる含フッ素化合物との熱分解を伴う2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造反応により得られる反応生成物の蒸留留分である請求項1〜7のいずれか1項に記載の精製方法。
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