JP5598834B2 - 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート - Google Patents

熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート Download PDF

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Description

本発明は、自動車等の熱交換器に使用されるアルミニウム合金ブレージングシートに関する。
一般に、自動車用のエバポレータやコンデンサ等の熱交換器におけるチューブ材としては、芯材を犠牲材とろう材でクラッドして構成されるアルミニウム合金ブレージングシート(以下、適宜、ブレージングシートという)を電縫加工によりチューブ状にしたものが用いられている。このようなチューブ材に用いられるブレージングシートでは、芯材として、例えば、Al−Mn系合金が用いられ、この芯材の一側面である内側、すなわち冷媒に常時触れている側面には、犠牲材として、例えば、Al−Zn系合金が用いられている。そして、この芯材の他側面である外側には、ろう材として、通常、Al−Si系合金が用いられている。
そして、このようなブレージングシートは、幅の狭い多条の条材にスリット加工された後、ロールフォーミングによりチューブ状に加工され、次いで、両端部を高周波電縫溶接により溶接し、チューブ外面側の溶接部ビードをカットした後、所定の長さに切断され自動車熱交換器用のチューブ材(電縫管)として用いられる。そして、コルゲート加工したフィン等の他の部材と共に電縫管を一体に組み立てて、ブレージング工法によってろう付することで、熱交換器等を作製している。なお、ブレージング工法としては、非腐食性のフラックスを用いたノコロックブレージング法等を挙げることができ、600℃付近の温度まで加熱してろう付を行う。
ところで、近年における熱交換器の軽量・小型化の志向から、熱交換器の質量の多くを占めるチューブ材を薄肉化する傾向が強まっている。このようなチューブ材の薄肉化を実現するためには、条材の肉厚が減少する分、強度を向上させ、また、耐食性等を確保する必要がある。そこで、このような必要性に応えて、高強度化や高耐食性等を目的としたアルミニウム合金ブレージングシートやクラッド材が提案されている。
例えば、特許文献1、2には、芯材および犠牲材の合金組成を所定に規定し、また、芯材のマトリックスが繊維組織であり、クラッド材の引張り強さが170〜260MPaであることを特徴とする造管性および耐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金クラッド材が開示されている。
特開2001−170793号公報(段落0009〜0012) 特開2001−170794号公報(段落0009〜0012)
しかしながら、従来のブレージングシート(クラッド材)においては、以下に示すような問題がある。
特許文献1、2に記載のクラッド材は、熱間圧延後の工程において、中間焼鈍温度が低いため、犠牲材中の金属間化合物が十分に溶体化せず、Mg、Znの固溶強化が促進されにくい。そのため、犠牲材の硬度が向上せず、ロール成形時にチューブ材が座屈しやすくなり、電縫溶接性が低下するという問題がある。
また、自動車用熱交換器においては、チューブ材等の材料の薄肉化が図られているが、軽量化、小型化およびコストダウンのために、さらなる薄肉化の要請が強まっている。しかし、このようなチューブ材の薄肉化により、電縫加工時に、溶接欠陥が増加したり、さらには、突発的な溶接欠陥の多量発生が起きたりする場合があり、電縫管の生産性が低下するという問題がある。
さらに、この薄肉化を進めるためには、高いろう付後強度と高耐食性が必要とされる。
ここで、従来の技術においては、ろう付後強度、耐食性等のレベルは向上しているものの、材料の薄肉化に対応するため、さらにろう付後強度が高く、耐食性等に優れたブレージングシートの開発が望まれている。
そこで、本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、電縫溶接性に優れると共に、ろう付後強度、耐食性に優れる熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートを提供するものである。
前記課題を解決するための手段として、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート(以下、適宜、ブレージングシートという)は、芯材と、この芯材の一面側に形成された犠牲材と、この芯材の他面側に形成されたAl合金からなるろう材とを備えた熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートであって、前記芯材は、Si:0.25〜1.0質量%、Cu:0.51〜1.0質量%、Mn:0.8〜2.0質量%を含有し、さらに、Ti:0.05〜0.25質量%、Cr:0.25質量%以下から選択される少なくとも1種を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、前記犠牲材は、Si:0.2質量%を超え0.8質量%以下、Zn:2.0質量%を超え5.0質量%以下、Mg:1.0〜3.5質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、前記犠牲材の硬度が前記ろう材の硬度よりも高く、かつ、前記ろう材の硬度を前記犠牲材の硬度で割った値が0.7未満であることを特徴とする。
このような構成によれば、芯材に、Si、Cu、Mnを所定量添加し、Ti、Crを選択的に所定量添加することで、また、犠牲材に、Si、Znを所定量添加することで、ろう付後強度、耐食性等が向上する。さらに、犠牲材にZn、Mgを所定量添加することで、犠牲材の硬度が向上する。そして、犠牲材の硬度をろう材の硬度よりも所定以上高くすることで、薄肉化したチューブ材においても、チューブ材自体の耐座屈性が十分に確保される。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートによれば、ろう付後強度、耐食性を向上させることができる。また、犠牲材の硬度をろう材の硬度よりも所定以上高くすることで、薄肉化したチューブ材においても、チューブ材自体の耐座屈性を十分に確保することができる。そのため、ロール成形時のチューブ材の座屈を抑制することができ、電縫溶接性を向上させることができる。また、これらにより、熱交換器を軽量化、小型化することができると共に、コストダウンを図ることができる。
次に、図面を参照して本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートについて詳細に説明する。なお、参照する図面において、図1は、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートの構成を示す断面図である。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートとしては、図1に示すように、芯材2の一面側に犠牲材3、他面側にろう材4を形成した3層の熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート(ブレージングシート)1を挙げることができる。
次に、ブレージングシート1を構成する芯材2、犠牲材3、ろう材4における合金成分の含有量の数値限定理由、および、犠牲材3と、ろう材4との硬度の関係について説明する。
≪芯材≫
芯材2は、Si:0.25〜1.0質量%、Cu:0.51〜1.0質量%、Mn:0.8〜2.0質量%を含有し、さらに、Ti:0.05〜0.25質量%、Cr:0.25質量%以下から選択される少なくとも1種を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。
<Si:0.25〜1.0質量%>
Siは、Al、Mnと共に金属間化合物を形成し、結晶粒の粒内に微細に分布して分散強化に寄与する。Siの含有量が0.25質量%未満では、ろう付後強度が低下し、また、Al−Mn系化合物が粒界に析出しやすくなり、粒界腐食により内面耐食性が低下する。なお、ろう付後強度が低下すると、ろう付によって製造された熱交換器の耐久性が低下してしまう。一方、1.0質量%を超えると、固相線温度が低下するため、ろう付中に芯材2が溶融してしまい、ろう付ができなくなる。
よって、Siの含有量は、0.25〜1.0質量%とする。
<Cu:0.51〜1.0質量%>
Cuは、ろう付後強度を向上させる効果がある。また、Cuの添加により電位が貴になり、犠牲材3側との電位差が大きくなるため、耐食性向上にも有効である。Cuの含有量が0.51質量%未満では、ろう付後強度が低下し、また、犠牲材3との電位差を確保することができず、内面耐食性が低下する。一方、1.0質量%を超えると、固相線温度低下により、ろう付中に芯材2が溶融してしまい、ろう付ができなくなる。
よって、Cuの含有量は、0.51〜1.0質量%とする。
<Mn:0.8〜2.0質量%>
Mnは、ろう付後強度を向上させる効果がある。Mnの含有量が0.8質量%未満では、Al、Siと形成する金属間化合物数が低下するため、金属間化合物による分散強化が向上せず、ろう付後強度が低下する。一方、2.0質量%を超えると、粗大な金属間化合物が多数生成し、圧延自体が困難となり、ブレージングシート1の製造が困難となる。
よって、Mnの含有量は、0.8〜2.0質量%とする。
<Ti:0.05〜0.25質量%>
Tiは、芯材2中に層状に分布し、内面および外面の耐食性を大幅に向上させる。Tiを添加する場合、Tiの含有量が0.05質量%未満では、Tiが芯材2中に層状に分布せず、腐食が顕著な孔食形態となり、耐食性が低下する。一方、0.25質量%を超えると、鋳造中に粗大な金属間化合物を形成し、耐食性が低下する。
よって、Tiの含有量は、0.05〜0.25質量%とする。
<Cr:0.25質量%以下>
Crは、芯材2内で金属間化合物を形成し、ろう付後強度を向上させる効果がある。Crの含有量が0.25質量%を超えると、鋳造中に粗大な金属間化合物を形成し、耐食性が低下する。
よって、Crの含有量は、0.25質量%以下とする。
<残部:Alおよび不可避的不純物>
芯材2の成分は前記の他、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものである。なお、不可避的不純物としては、例えば、Fe、Zr、Mg等が挙げられ、これらは、それぞれ0.2質量%以下の含有量であれば、本発明の効果を妨げず、芯材2に含有することは許容される。
≪犠牲材≫
犠牲材3は、Si:0.2質量%を超え0.8質量%以下、Zn:2.0質量%を超え5.0質量%以下、Mg:1.0〜3.5質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。
<Si:0.2質量%を超え0.8質量%以下>
Siは、ろう付時に芯材2へ拡散し、犠牲材3から芯材2へ拡散するMgと共に、ろう付後にMgSiを芯材2中に析出させ、ろう付後強度を向上させる効果がある。Siの含有量が0.2質量%以下では、MgSiを析出させる効果が少なく、ろう付後強度が低下する。一方、0.8質量%を超えると、ろう付後にAl−Si−Cu−Mg系化合物が犠牲材3中の粒界に析出し、粒界腐食により内面耐食性が低下する。
よって、Siの含有量は、0.2質量%を超え0.8質量%以下とする。
<Zn:2.0質量%を超え5.0質量%以下>
Znは、電位を卑化させる元素であり、犠牲材3へZnを添加することにより、芯材2との電位差を確保して内面耐食性を向上させる効果がある。また、Znは、犠牲材3中に固溶して犠牲材3の硬度を向上させる。そのため、ブレージングシート1をチューブ材として用いた場合に、ロール成形時におけるチューブ材の耐座屈性を向上させ、安定的な電縫溶接を可能とする効果がある。Znの含有量が2.0質量%以下では、芯材2との電位差が小さくなり、内面耐食性を確保するには不十分となる。そのため、内面耐食性が低下する。さらに、犠牲材3中における固溶量の低下により、犠牲材3の硬度が低下し、ろう材4の硬度を犠牲材3の硬度で割った値が0.7未満とならず、電縫溶接性が不安定となる。一方、5.0質量%を超えると、固相線温度を低下させ、ろう付中に犠牲材3が溶融し、チューブ材として使用出来なくなる。
よって、Znの含有量は、2.0質量%を超え5.0質量%以下とする。
<Mg:1.0〜3.5質量%>
Mgは、犠牲材3中に固溶して犠牲材3の硬度を向上させる。そのため、ブレージングシート1をチューブ材として用いた場合に、ロール成形時におけるチューブ材の耐座屈性を向上させ、安定的な電縫溶接を可能とする効果がある。Mgの含有量が1.0質量%未満では、犠牲材3中における固溶量の低下により、犠牲材3の硬度が低下し、ろう材4の硬度を犠牲材3の硬度で割った値が0.7未満とならず、電縫溶接性が不安定となる。一方、3.5質量%を超えると、圧延加工性が著しく低下するため、ブレージングシート1の製造が困難となる。
よって、Mgの含有量は、1.0〜3.5質量%とする。
<残部:Alおよび不可避的不純物>
犠牲材3の成分は前記の他、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものである。なお、不可避的不純物としては、例えば、Mn、Cr、Zr、Fe、In、Sn等が挙げられ、Mnは0.05質量%未満、Cr、Zrはそれぞれ0.2質量%以下、Feは0.051〜0.25質量%、In、Snはそれぞれ0.1質量%以下の含有量であれば、本発明の効果を妨げず、犠牲材3に含有することは許容される。
≪ろう材≫
ろう材4は、Al系合金からなり、Al系合金としては、一般的なJIS合金、例えば4343、4045等が挙げられる。ここで、Al系合金とは、Siを含有した合金の他に、Znを含有した合金も含むものである。すなわち、Al系合金としては、Al−Si系合金、またはAl−Si−Zn系合金が挙げられる。そして、例えば、Si:7〜12質量%を含有したAl−Si系合金を使用することができる。
Siの含有量が7質量%未満では、ろう付温度でのAl−Si液相量が少なく、ろう付性が劣りやすくなる。一方、12質量%を超えると、ろう材鋳造時に粗大初晶Siが増大するため、ブレージングシート1にした場合の芯材2/ろう材4界面での過剰溶融を生じやすく、ろう付後強度、耐食性を低下させやすい。
しかし、ろう材4は、特に限定されるものではなく、通常使用するAl系(Al−Si系、Al−Si−Zn系)合金であれば、どのようなものでもよい。また、真空ろう付用に用いられるAl−Si−Mg系、Al−Si−Mg−Bi系合金を使用することも十分可能である。さらに、例えば、Si、Zn、Mg、Biの他、Fe、Cu、Mn等を含有してもよい。
<犠牲材と、ろう材との硬度の関係>
本発明においては、犠牲材3の硬度がろう材4の硬度よりも高く、かつ、ろう材4の硬度を犠牲材3の硬度で割った値が0.7未満であるものとする。
具体的には、「ろう材4の硬度(MHv)<犠牲材3の硬度(MHv)×0.7」の式を満足するものである。すなわち、犠牲材3の硬度がろう材4の硬度よりも高く、かつ、犠牲材3とろう材4の硬度差の割合が30%を超えるものである。
犠牲材3の硬度を、ろう材4の硬度よりも高くし、さらに、ろう材4の硬度を犠牲材3の硬度で割った値を0.7未満とすることで、チューブ材自体の耐座屈性を十分に確保することが可能となる。そのため、安定的な電縫溶接性を確保することができる。
なお、犠牲材3およびろう材4の硬度としては、ビッカース硬度(MHv)を用いることができる。例えば、マイクロビッカース硬度計を用いて、試験荷重5g、保持時間15秒で各層(犠牲材3、ろう材4)それぞれ5箇所測定し、最大値と最小値を除外した3箇所の測定値の平均を各層の硬度とすればよい。
このようなブレージングシートは、一例として、以下の製造方法により製造することができる。
まず、芯材用アルミニウム合金、犠牲材用アルミニウム合金、および、ろう材用アルミニウム合金を連続鋳造により溶解、鋳造して鋳塊を製造し、この鋳塊に面削(表面平滑化処理)、および、均質化熱処理を行うことで、芯材用鋳塊(芯材用部材)、犠牲材用鋳塊、ろう材用鋳塊を製造する。そして、犠牲材用鋳塊、および、ろう材用鋳塊は、それぞれ所定厚さに熱間圧延して、犠牲材用部材、ろう材用部材とする。次に、芯材用部材の一面側に犠牲材用部材、他面側にろう材用部材を重ね合わせ、この重ね合わせ材に熱処理(再加熱)を行った後、熱間圧延により圧着して板材とする。その後、冷間圧延、中間焼鈍(連続焼鈍)を行い、さらに冷間圧延を行う。なお、その後、仕上げ焼鈍を実施してもよい。
また、本発明における前記した犠牲材3と、ろう材4との硬度の関係は、前記合金成分の含有量の規定の他、前記中間焼鈍の最高到達温度までの昇温速度を1〜30℃/秒、最高到達温度を350〜550℃、保持時間を1秒未満、焼鈍後の冷却速度を1℃/秒以上の条件で実施することにより得られる。
<最高到達温度までの昇温速度:1〜30℃/秒>
昇温速度が1℃/秒未満では、連続焼鈍での通板速度が低下するため、生産性が低下する。一方、昇温速度が30℃/秒を超えると、犠牲材3中の金属間化合物の溶体化が不十分となり、Zn、Mgの固溶強化の作用が低下するため、ろう材4の硬度を犠牲材3の硬度で割った値が0.7未満とならない。
<最高到達温度:350〜550℃>
最高到達温度が350℃未満では、犠牲材3中の金属間化合物の溶体化が不十分となる。一方、550℃を超えると、連続焼鈍時に板切れが発生しやすい。
<保持時間:1秒未満>
本熱処理においては、金属間化合物を溶体化し、さらに圧延組織から再結晶化させる。保持時間が1秒以上では、連続焼鈍時にロール等との接触により板材表面にキズが入りやすくなり、歩留りが低下する。また、保持時間が1秒以上では、芯材の再結晶粒が粗大化し、電縫溶接時の溶接割れが発生しやすくなる。
<焼鈍後の冷却速度:1℃/秒以上>
冷却速度が1℃/秒未満では、金属間化合物が冷却時に析出し、Zn、Mgの固溶強化の作用が低下する。
次に、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートについて、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
≪供試材作製≫
まず、芯材用アルミニウム合金、犠牲材用アルミニウム合金、および、ろう材用アルミニウム合金を連続鋳造により溶解、鋳造し、面削(表面平滑化処理)、均質化熱処理して、芯材用鋳塊(芯材用部材)、犠牲材用鋳塊、ろう材用鋳塊を得た。また、犠牲材用鋳塊、および、ろう材用鋳塊については、それぞれ所定厚さに熱間圧延して、犠牲材用部材、ろう材用部材を得た。そして、芯材用部材の一面側に犠牲材用部材、他面側にろう材用部材を重ね合わせ、450〜550℃×1h以上の熱処理(再加熱)をした後、熱間圧延により圧着して板材とした。その後、冷間圧延(第1冷間圧延)、中間焼鈍を行い、さらに加工率20〜60%の冷間圧延(第2冷間圧延)を行った。その後、150〜320℃×3hの仕上げ焼鈍を実施し、所定厚さのブレージングシート(供試材)を作製した。なお、ろう材のクラッド率は10%、犠牲材のクラッド率は15%とした。また、中間焼鈍は、最高到達温度までの昇温速度:1〜30℃/秒、最高到達温度:350〜550℃、保持時間:1秒未満、焼鈍後の冷却速度:1℃/秒以上の条件で行った。
表1、2に、芯材、犠牲材、ろう材の成分、供試材の板厚を示す。なお、表1、2において、成分を含有しないもの、および、板厚の測定が不能だったものは「−」で示し、本発明の構成を満たさないものについては、数値に下線を引いて示す。
Figure 0005598834
Figure 0005598834
このようにして作製した熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート(供試材)について、犠牲材、ろう材の硬度を測定し、ろう材の硬度を犠牲材の硬度で割った値(ろう材硬度/犠牲材硬度)を算出すると共に、特性評価について、以下に示す各試験を行った。なお、各試験(ろう付後強度、耐食性)におけるろう付は、ドロップ試験方式により行った。すなわち、幅110mm×長さ230mmの試験片の長さ方向の上側に穴を開け、その穴に棒を通して、サンプルを棒に吊るした状態とした。その後、ろう付炉に入れ、600℃で2分保持のろう付を行い、その後、50℃/分の冷却速度で冷却する条件で実施した。
<硬度測定>
犠牲材、ろう材の硬度として、ビッカース硬度を測定した。測定条件は、マイクロビッカース硬度計を用いて、試験荷重5g、保持時間15秒で各層(犠牲材、ろう材)それぞれ5箇所測定した。そして、最大値と最小値を除外した3箇所の測定値の平均を各層の硬度(MHv)とした。
<電縫溶接性>
通常のスリッタ装置を用いて、スリット加工される条材の幅寸法が35mmとなるようにスリットを行い、巻き取りコイル状とした。
このようにして得られた条材を電縫管ラインにて評価した。通板速度70mpm、溶接荷重15kgで通板してチューブ材とし、溶接部外面側ビードをカットし、このチューブ材を500mmに切断しながら、500m流動させた。評価は、溶接不良が皆無のものを溶接性が良好(○)、溶接不良が多発したものを溶接性が不良(×)とした。
<ろう付後強度>
供試材をドロップ試験方式でろう付した後、JIS5号試験片を各供試材につき3本ずつ切り出して加工し、室温(25℃)に1週間放置した後、引張り試験を実施して、引張り強さを測定した。引張り強さが170MPa以上のものをろう付後強度が良好、170MPa未満のものをろう付後強度が不良とした。
<耐食性>
耐食性の試験として、犠牲材側の耐食性(内面耐食性)を評価した。具体的には、供試材をドロップ試験方式でろう付した後、幅50mm×長さ60mmの大きさに切断し、幅60mm×長さ70mmの大きさのマスキング用シールを用いて、ろう材面は全面、犠牲材面は淵5mmに接着剤でシールを貼り(供試材からはみ出したシールを犠牲材面に折り返しているため)、溶液の浸入を防止し、これを試験片とした。そして試験溶液としてNa:118ppm、Cl:58ppm、SO 2−:60ppm、Cu2+:1ppm、Fe3+:30ppmを含む水溶液に供試材を浸漬させ、88℃×8時間後に室温まで自然冷却した後、16時間保持するサイクルを90サイクル行う浸漬試験を実施し、腐食状況を目視観察した。試験片が貫通しなかったものを耐食性が良好(○)、貫通したものを耐食性が不良(×)とした。
これらの試験結果を表3、4に示す。なお、表3、4において、評価不能だったものは「−」で示し、本発明の構成を満たさないもの、および、評価基準を満たさないものについては、数値に下線を引いて示す。
Figure 0005598834
Figure 0005598834
表3、4に示すように、供試材No.1〜25は、本発明の要件を満たしているため、電縫溶接性、ろう付後強度、耐食性すべてが良好であった。
一方、No.26は、犠牲材中のSiの濃度が下限値未満のため、MgSiの析出が少なく、ろう付後強度が劣った。No.27は、犠牲材中のSiの濃度が上限値を超えるため、ろう付後にAl−Si−Cu−Mg系化合物が粒界析出し、粒界腐食により内面耐食性が劣った。
No.28は、犠牲材中のMgの濃度が下限値未満のため、固溶強化が十分ではなく、犠牲材の硬度が低下し、ろう材の硬度を犠牲材の硬度で割った値が0.7未満とならず、電縫溶接性が劣った。No.29は、犠牲材中のMgの濃度が上限値を超えるため、犠牲材の圧延加工性が著しく低下し、ブレージングシートの作製が不可能であった。
No.30は、犠牲材中のZnの濃度が下限値未満のため、固溶強化が十分ではなく、犠牲材の硬度が低下し、ろう材の硬度を犠牲材の硬度で割った値が0.7未満とならず、電縫溶接性が劣った。さらに、芯材との電位差が小さくなり、内面耐食性も劣った。
No.31は、犠牲材中のZnの濃度が上限値を超えるため、犠牲材の固相線温度が低下し、ろう付時に犠牲材が溶融し、チューブ材として使用出来なくなった。
No.32は、芯材中のSiの濃度が下限値未満のため、ろう付後強度が劣った。また、Al−Mn系化合物が粒界析出し、粒界腐食により内面耐食性が劣った。No.33は、芯材中のSiの濃度が上限値を超えるため、芯材の固相線温度が低下し、ろう付時に芯材が局所溶融し、ろう付ができなかった。
No.34は、芯材中のCuの濃度が下限値未満のため、ろう付後強度が劣った。また、犠牲材との電位差が確保出来ず、内面耐食性が劣った。No.35は、芯材中のCuの濃度が上限値を超えるため、芯材の固相線温度が低下し、ろう付時に芯材が局所溶融し、ろう付ができなかった。
No.36は、芯材中のMnの濃度が下限値未満のため、Al、Siと形成する金属間化合物数が低下し、金属間化合物による分散強化が向上せず、ろう付後強度が劣った。No.37は、芯材中のMnの濃度が上限値を超えるため、粗大な金属間化合物が多数生成し、圧延ができず、ブレージングシートの作製が不可能であった。No.38は、芯材中のCrの濃度が上限値を超えるため、鋳造中に粗大な金属間化合物が多数晶出し、内面耐食性が劣った。
No.39は、芯材中のTiの濃度が下限値未満のため、Tiが芯材中に層状に分布せず、腐食が顕著な孔食形態となり、内面耐食性が劣った。No.40は、芯材中のTiの濃度が上限値を超えるため、鋳造中に粗大な金属間化合物が多数晶出し、内面耐食性が劣った。
以上、本発明の好適な実施形態、実施例について説明してきたが、本発明は前記実施形態、実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲において広く変更、改変して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートの構成を示す断面図である。
符号の説明
1 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート
2 芯材
3 犠牲材
4 ろう材

Claims (1)

  1. 芯材と、この芯材の一面側に形成された犠牲材と、この芯材の他面側に形成されたAl合金からなるろう材とを備えた熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートであって、
    前記芯材は、Si:0.25〜1.0質量%、Cu:0.51〜1.0質量%、Mn:0.8〜2.0質量%を含有し、さらに、Ti:0.05〜0.25質量%、Cr:0.25質量%以下から選択される少なくとも1種を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、
    前記犠牲材は、Si:0.2質量%を超え0.8質量%以下、Zn:2.0質量%を超え5.0質量%以下、Mg:1.0〜3.5質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、
    前記犠牲材の硬度が前記ろう材の硬度よりも高く、かつ、前記ろう材の硬度を前記犠牲材の硬度で割った値が0.7未満であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート。
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