JP5462706B2 - アルミニウム合金ブレージングシート - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の熱交換器に使用されるアルミニウム合金ブレージングシートに関する。
一般に、自動車等の熱交換器の素材として、心材の片面または両面にろう材、犠牲材を配した種々のアルミニウム合金ブレージングシート(以下、単に「ブレージングシート」と称する場合がある)が使用されている。従来、このブレージングシートの心材として、Al−Mn系の3003アルミニウム合金が使用されていたが、この心材を使用したブレージングシートは、ろう付後強度、耐食性が十分ではなかった。
そこで、ブレージングシートのろう付後強度や耐食性を向上させる技術が提案されている。例えば、ブレージングシートの犠牲材に所定量のMgを添加させることで、ブレージングシートのろう付性低下させることなくろう付後強度を向上させるという技術が存在する(例えば、特許文献1)。詳細には、この技術は、犠牲材に添加したMgと、ろう材に存在するSiが、ろう付加熱時に心材に拡散し、心材の内部でMgSiを生成させることで、ブレージングシートのろう付後強度を向上させるとともに、犠牲材に添加したMgがろう材まで到達しないことにより、ろう付性低下を回避させている。
また、ブレージングシートの心材に所定量のCuを添加させるとともに、犠牲材に所定量のZnを添加させつつ、犠牲材を所定厚さとすることで、ブレージングシートのろう付後強度および耐食性を向上させるという技術が存在する(例えば、特許文献2)。詳細には、この技術は、犠牲材に所定量の添加したZnと犠牲材を所定厚さとすることにより耐食性を向上させ、心材に添加したCuによる固溶強化により、ろう付後強度を向上させている。
特許第2564190号公報(第2頁右欄参照) 特許第3276790号公報(段落0013参照)
しかしながら、近年の自動車等の熱交換器に対する要求は、前記したろう付後強度および耐食性の向上だけではなく、小型化・軽量化にも及んでいる。この小型化・軽量化の要求に応じるためには、熱交換器の材料を薄肉化する必要があるが、熱交換器の材料を薄肉化させればさせるほど、強度および耐食性を低下させてしまう。加えて、熱交換器の材料の薄肉化は、電縫加工時における溶接欠陥を引き起こす要因となる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであって、ろう付後強度、および耐食性に優れると共に、電縫溶接性にも優れた熱交換器用のアルミニウム合金ブレージングシートを提供するものである。
本発明者は、ブレージングシートの電縫溶接性を向上させる要因に関して鋭意実験・検討を重ねた。そして、ブレージングシートの心材内部のAl−Cu系金属間化合物の数密度がブレージングシートの電縫溶接性と相関関係にあり、当該Al−Cu系金属間化合物の数密度を低下させることで、ブレージングシートの電縫溶接性が向上することを見出した。
すなわち、前記した課題を解決するために本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、Si:0.1〜1.0質量%、Cu:0.5〜1.2質量%、Mn:0.5〜2.0質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる心材と、前記心材の一面側に配置され、Si:0.2質量%を超え0.8質量%以下、Zn:2.0質量%を超え5.0質量%以下、Mg:1.0〜4.5質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる犠牲材と、前記心材の他面側に配置され、アルミニウム合金からなるろう材と、を備えたアルミニウム合金ブレージングシートであって、前記心材内部における粒径0.5μm以上のAl−Cu系金属間化合物の数密度が1.0個/μm以下であることを特徴とする。また、前記心材は、Ti:0.05〜0.25質量%、Cr:0.25質量%以下、Mg:0.5質量%以下から選択される少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする。
かかる構成により、アルミニウム合金ブレージングシートは、心材および犠牲材を所定の組成とすることにより、ろう付後強度、ろう付性、および耐食性を向上させることができる。また、心材内部のAl−Cu系金属間化合物の数密度を制限することで、電縫加工時の溶融を安定化させることができる。
本発明に係る熱交換器用のアルミニウム合金ブレージングシートによれば、ろう付後強度、ろう付性、および耐食性を向上させつつ、電縫加工時の溶融を安定化させることにより、電縫溶接性を向上させることができる。
以下、実施形態に係るアルミニウム合金ブレージングシートについて、詳細に説明する。
≪アルミニウム合金ブレージングシート≫
アルミニウム合金ブレージングシートとは、自動車等の熱交換器等に用いられる板材であり、心材と、心材の一側面に圧着した犠牲材と、心材の他側面に圧着したろう材と、から構成される。
以下、心材、犠牲材、およびろう材について説明する。
≪心材≫
心材は、Si:0.1〜1.0質量%、Cu:0.5〜1.2質量%、Mn:0.5〜2.0質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。また、心材内部において、粒径0.5μm以上のAl−Cu系金属間化合物の数密度が1.0個/μm以下である。
そして、心材は、前記成分(Si、Cu、Mn)に加え、Ti:0.05〜0.25質量%、Cr:0.25質量%以下、Mg:0.5質量%以下から選択される少なくとも1種をさらに含有することが好ましい。
<心材のSi:0.1〜1.0質量%>
SiはAl、Mnと共に金属間化合物を形成し、結晶粒の粒内に微細に分布して分散強化に寄与し、強度を向上させる。
Siの含有量が0.1質量%未満ではろう付後強度が低下する。一方、Siの含有量が1.0質量%を超えると、心材の固相線温度が低下するため、ろう付加熱時に心材が溶融する。したがって、心材に含有されるSiの量は、上記範囲内とする。
<心材のCu:0.5〜1.2質量%>
Cuはろう付後強度を向上させる効果があり、また、Cu添加により電位が貴化し、犠牲材との電位差が大きくなるため、耐食性を向上させる。
Cuの含有量が0.5質量%未満ではろう付後強度が低下し、また、犠牲材との電位差を確保することができず、内面耐食性が低下する。一方、Cuの含有量が1.2質量%を超えると、心材の固相線温度が低下するため、ろう付加熱時に心材が溶融する。したがって、心材に含有されるCuの量は、上記範囲内とする。
<心材のMn:0.5〜2.0質量%>
Mnはろう付後強度を向上させる効果を有する。
Mnの含有量が0.5質量%未満では、Al、Siと形成する金属間化合物数が低下し、ろう付後強度が低下する。一方、Mnの含有量が2.0質量%を超えると、鋳造時に粗大な金属間化合物を形成し、加工性及び耐食性が低下する。したがって、心材に含有されるMnの量は、上記範囲内とする。
<心材のTi:0.05〜0.25質量%>
Tiは心材中に層状に分布し、内面および外面の耐食性を大幅に向上させる。
Tiの含有量が0.05質量%未満では耐食性を十分に向上させる事ができない。一方、Tiの含有量が0.25質量%を超えると、鋳造時に粗大な金属間化合物を形成し、加工性及び耐食性が低下する。したがって、心材に含有されるTiの量は、上記範囲内とする。
<心材のCr:0.25質量%以下>
Crは心材内で金属間化合物を形成し、ろう付後強度を向上させる効果がある。
Crの含有量が0.25質量%を超えると、鋳造時に粗大な金属間化合物を形成し、加工性及び耐食性が低下する。したがって、心材に含有されるCrの量は、上記範囲内とする。
<心材のMg:0.5質量%以下>
MgはSiと共にMgSiの微細な析出相を形成し、強度を向上させる。
Mgの含有量が0.5質量%を超えると、非腐食性フラックスを用いたろう付をする場合にフラックスとMgが反応し、ろう付が出来なくなる。したがって、心材に含まれるMgの量は、上記範囲内とする。
<心材の残部:Alおよび不可避的不純物>
心材の成分は前記の他に残部がAlおよび不可避的不純物からなる。なお、不可避的不純物としては、例えば、Fe、Zr等が挙げられ、これらは、それぞれ0.2質量%以下の含有量であれば、本発明の効果を妨げず、心材に含有することは許容される。
<心材内部のAl−Cu系金属間化合物の数密度>
粒径0.5μm以上のAl−Cu系金属間化合物の数密度を1.0個/μm以下とすることで、電縫加工時の溶融を安定化させることができ、その結果、良好に溶接を行なうことができる。一方、粒径0.5μm以上のAl−Cu系金属間化合物の数密度が1.0個/μmを超えると、電縫加工時にAl−Cu系金属間化合物の存在する箇所が局所的に過剰溶融し、突合せの状態が不安定化し、溶接不良が発生しやすくなる。なお、粒径0.5μm未満のAl−Cu系金属間化合物は、溶接不良にほとんど影響を与えない。
ここで、粒径とは、最大径のことである。
このように心材内部に存在する粒径0.5μm以上のAl−Cu系金属間化合物の数密度を1.0個/μm以下にするため、また、電縫溶接時の成形性を確保するため、冷間圧延と最終冷間圧延の間に行う中間焼鈍と、最終冷間圧延後に行う仕上焼鈍の条件を制御する必要がある。なお、条件の詳細については、後記する。
なお、Al−Cu系金属間化合物の数密度は、例えば、機械的研磨、および電解エッチングにより、心材の中央部分観察用の試料を作成し、透過電子顕微鏡を用いて組織を観察することで測定することができる。
≪犠牲材≫
犠牲材は、心材の一面側に配置され、Si:0.2質量%を超え0.8質量%以下、Zn:2.0質量%を超え5.0質量%以下、Mg:1.0〜4.5質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。
<犠牲材のSi:0.2質量%を超え0.8質量%以下>
SiはMgと共にMgSiの微細な析出相を形成し、強度を向上させる。
Siの含有量が0.2質量%以下ではMgSiを析出させる効果が少ない。一方、Siの含有量が0.8質量%を超えると犠牲材の固相線温度が低下し、ろう付加熱時に溶融する。したがって、犠牲材に含有されるSiの量は、上記範囲内とする。
<犠牲材のZn:2.0質量%を超え5.0質量%以下>
Znは電位を卑化させる元素であり、犠牲材へ添加することにより、心材との電位差を確保して内面耐食性を向上させる効果がある。
Znの含有量が2.0質量%以下では心材との電位差が小さくなり、内面耐食性が低下する。一方、Znの含有量が5.0質量%を超えると、犠牲材の固相線温度が低下し、ろう付加熱時に溶融する。したがって、犠牲材に含有されるZnの量は、上記範囲内とする。
<犠牲材のMg:1.0〜4.5質量%>
MgはSiと共にMgSiの微細な析出相を形成し、強度を向上させる。
Mgの含有量が1.0質量%未満ではMgSiを析出させる効果が少なく、強度が十分に向上しない。一方、Mgの含有量が4.5質量%を超えるとクラッド圧着性が低下して、側材を心材に積層させることが困難となる。したがって、犠牲材に含有されるMgの量は、上記範囲内とする。
<犠牲材の残部:Alおよび不可避的不純物>
犠牲材の成分は前記の他、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものである。なお、不可避的不純物としては、例えば、Mn、Cr、Zr、Fe、In、Sn等が挙げられ、Mnは0.05質量%未満、Cr、Zrはそれぞれ0.2質量%以下、Feは0.25質量%以下、In、Snはそれぞれ0.1質量%以下の含有量であれば、本発明の効果を妨げず、犠牲材に含有することは許容される。
≪ろう材≫
ろう材は心材の他面側に配置され、アルミニウム合金からなる。このアルミニウム合金としては、一般的なJIS合金、例えば4343、4045等が挙げられる。そして、アルミニウム合金とは、Siを含有した合金の他に、Znを含有した合金も含むものである。すなわち、アルミニウム合金としては、Al−Si系合金、またはAl−Si−Zn系合金が挙げられる。そして、例えば、Si:7〜12質量%を含有したAl−Si系合金を使用することができる。
Siの含有量が7質量%未満では、ろう付温度でのAl−Si液相量が少なく、ろう付性が劣りやすくなる。一方、12質量%を超えると、ろう材鋳造時に粗大初晶Siが増大するため、ブレージングシート製造時における心材とろう材海面での過剰溶融を発生させやすく、ろう付後強度、耐食性を低下させやすい。
しかし、ろう材は特に限定されるものではなく、通常使用するAl系(Al−Si系、Al−Si−Zn系)合金であればどのようなものでもよい。また、真空ろう付用に用いられるAl−Si−Mg系、Al−Si−Mg−Bi系合金を使用することも可能である。さらに、Si、Zn、Mg、Biの他、Fe、Cu、Mn等を含有してもよい。
次に、実施形態に係るアルミニウム合金ブレージングシートの製造方法について説明する。
≪アルミニウム合金ブレージングシートの製造方法≫
まず、アルミニウム合金ブレージングシートの材料である心材、犠牲材、およびろう材を製造する。この心材、犠牲材、およびろう材の製造方法は特に限定されない。例えば、前記した組成の心材用アルミニウム合金を所定の鋳造温度で鋳造した後、得られた鋳塊を所望の厚さに面削し、均質化熱処理することで、心材を製造することができる。また、前記した組成の犠牲材用アルミニウム合金、およびろう材用アルミニウム合金を所定の鋳造温度で鋳造した後、得られた鋳塊を所望の厚さに面削し、均質化熱処理する。そして、所定の板厚まで熱間圧延することで、犠牲材、およびろう材を製造することができる。
その後、心材の一側面に犠牲材を重ね、他側面にろう材を重ね、熱間圧延を施すことによりそれぞれを圧着させて板材とする。そして、当該板材に対し、冷間圧延、中間焼鈍、最終の冷間圧延、仕上焼鈍を施すことで、アルミニウム合金ブレージングシートを製造する。
<中間焼鈍の条件について>
前記の中間焼鈍については、最高到達温度350〜550℃で1秒未満保持し、保持後の冷却速度を1℃/秒以上とする。当該条件で中間焼鈍を行なうことにより、心材内部に存在する粒径0.5μm以上のAl−Cu系金属間化合物の数密度を1.0個/μm以下とすることができる。
なお、中間焼鈍の最高到達温度が350℃未満では、溶体化処理が不十分となり、鋳造時に晶出した粗大なAl−Cu系金属間化合物が十分固溶せずに残存するため、心材内部の粒径0.5μm以上のAl−Cu系金属間化合物の数密度が1.0個/μmを超えてしまう。一方、550℃を超えると、中間焼鈍時にろう材が溶融する恐れがある。また、中間焼鈍の到達温度保持時間が1秒以上では、心材の再結晶粒が粗大化し、電縫溶接時の溶接割れが発生しやすくなる。また、冷却速度が1℃/秒未満では、Al−Cu系の金属間化合物が冷却時に析出し、心材内部の粒径0.5μm以上の大きさのAl−Cu系金属間化合物の数密度が1.0個/μmを超えてしまう。
<仕上焼鈍の条件について>
前記の仕上焼鈍については、処理温度を200℃以上400℃以下、保持時間を10時間以下、その後の冷却速度を30℃/hr以上とする。当該条件で仕上焼鈍を行なうことにより、心材内部に存在する粒径0.5μm以上のAl−Cu系金属間化合物の数密度を1.0個/μm以下とすることができる。
なお、仕上焼鈍の温度が200℃未満では、焼鈍処理としての圧延時の加工ひずみを緩和させる効果が得られない。一方、仕上焼鈍の温度が400℃を超えてしまうと、調質がO材となり、ろう付加熱時に心材の再結晶粒が粗大化しないために、溶融ろうの心材への侵食が非常に大きくなってしまう。また、仕上焼鈍処理の時間が10時間を超えると、Al−Cu系の金属間化合物が成長し、粒径0.5μm以上の大きさのAl−Cu系の金属間化合物の数密度が1.0個/μmを超える。また、冷却速度30℃/hr未満では冷却過程において、Al−Cu系金属間化合物が粗大化し、粒径0.5μm以上のAl−Cu系の金属間化合物の数密度が1.0個/μmを超える。
次に、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートについて、本発明の要件を満たす実施例と、本発明の要件を満たさない比較例と、を対比して具体的に説明する。
<心材の製造>
表1に示す組成を有するS1〜S23の心材用アルミニウム合金を、連続鋳造法により造塊し、必要に応じて面削、均質化処理を行い、心材用鋳塊を得た。
Figure 0005462706
<犠牲材の製造>
表2に示す組成を有するG1〜G13の犠牲陽極材用アルミニウム合金を、連続鋳造法により造塊し、必要に応じて面削、均質化処理を行い、所定の板厚まで熱間圧延し、犠牲材用の板材とした。
Figure 0005462706
<ろう材用の製造>
表3に示す組成を有するR1〜R3のろう材用アルミニウム合金を、連続鋳造法により造塊し、必要に応じて面削、均質化処理を行い、所定の板厚まで熱間圧延し、ろう材用の板材とした。
Figure 0005462706
<アルミニウム合金ブレージングシートの製造>
製造したS1〜S23のうちのいずれかの心材用板材の一側面に、G1〜G13のうちのいずれかの犠牲材用板材をクラッド率が20%となるように重ね合わせるとともに、心材用板材の他側面に、R1〜3のうちいずれかのろう材用板材をクラッド率が15%となるように重ね合わせ、熱間圧延により圧着して板材とした。その後、当該板材に対し、冷間圧延、中間焼鈍、最終の冷間圧延を行い、板厚0.25mmの板材とした。そして、最終の冷間圧延後に仕上焼鈍を行なった。
なお、中間焼鈍、および仕上焼鈍処理は、表4、5に記載の条件で行なった。
次に、前記の方法で作製したアルミニウム合金ブレージングシートを供試材とし、供試材のAl−Cu系金属間化合物の数密度[個/μm]、電縫溶接性、ろう付後強度、ろう付性、および耐食性を後記の方法で、測定・評価し、それらの結果を表4、5に示した。
なお、表4、5において、測定・評価不能だったもの、および、測定・評価を実施していないものについては「−」で示している。
そして、本実施例においては、これらの評価項目の全てが良好と評価されたものを本発明の要件を満たす実施例とし、これらの評価項目の一つでも不良と評価されたものを本発明の要件を満たさない比較例とした。
Figure 0005462706
Figure 0005462706
<Al−Cu系金属間化合物の数密度>
Al−Cu系金属間化合物の数密度は、機械的研磨、および電解エッチングにより、心材の中央部分観察用の試料を作成し、透過電子顕微鏡を用いて組織を観察することで測定した。観察箇所は、等厚干渉縞から観察部の膜厚を測定し、膜厚が0.1〜0.3μmである箇所に限定した。この観察箇所において、Al−Cu系金属間化合物を倍率1万倍で観察し、単位面積(μm)当たりのAl−Cu系金属間化合物の数密度を、画像処理を用いて測定した。
<電縫溶接性評価>
前記の方法により製造したアルミニウム合金ブレージングシートを、通常のスリッタ装置を用いて、条材の幅寸法が35mmとなるようにスリット加工を行い、巻き取りコイル状とした。このようにして得られた条材を電縫管製造装置にて、電縫管に加工し、長径16mm、短径2mmの偏平管を得た。
電縫溶接性評価は、得られた電縫管に対して、100m分を外観検査し、長手方向で5mm以上の未溶接部の有無を観察した。
5mm以上の未溶接部が無い場合を、溶接性が良好(○)と評価した。一方、5mm以上の未溶接部が1個以上ある場合を、溶接性が不良(×)と評価した。
<ろう付後強度の評価>
供試材をドロップ試験方式でろう付した後(露点が−40℃、酸素濃度が200ppm以下の窒素雰囲気中で、600℃の温度で5分間加熱後)、JIS5号試験片に加工(各供試材につき3片作製)した。この試験片を、室温(25℃)で1週間放置した後、引張り試験によりろう付後強度を測定した。3つの試験片のろう付後強度の平均値が170MPa以上のものを良好(○)と評価し、170MPa未満のものを不良(×)と評価した。
なお、ろう付後強度の評価は、電縫溶接性の評価が良好なものに関してのみ実施した。
<ろう付性の評価>
供試材から幅25mm×長さ60mmのサイズの試験片を切り出し、その試験片のろう材面に非腐食性のフラックスFL−7(森田化学工業株式会社製)を5g/m塗布して乾燥させた。フラックスを塗布したろう材面が上向きとなるよう試験片を載置し、その上にφ2mmのステンレス製の丸棒をスペーサとして挟んで、厚さ1mm、幅25mm×長さ55mmの3003合金板を試験片に対し鉛直に立ててワイヤで固定した。このとき、スペーサの位置は試験片の一端から50mmの距離とした。これに対し、ろう付(露点が−40℃、酸素濃度が200ppm以下の窒素雰囲気中で、600℃の温度で5分間加熱)を行った。
試験片と3003合金板との隙間に充填されたフィレットの長さを測定し、フィレット長さが30mm以上のものをろう付性が良好(○)と評価し、フィレット長さが30mm未満のものをろう付性が不良(×)であると評価した。
なお、ろう付性の評価は、電縫溶接性、およびろう付後強度の評価が共に良好なものに関してのみ実施した。
<耐食性の評価>
供試材をドロップ試験方式でろう付した後(露点が−40℃、酸素濃度が200ppm以下の窒素雰囲気中で、600℃の温度で5分間加熱後)、幅50mm×長さ60mmの大きさに切断した。さらに、幅60mm×長さ70mmの大きさのマスキング用シールにより、ろう材面を全面シールで覆うとともに、当該シールを犠牲材面側に折り返すことで犠牲材の各淵から5mmの部分についてもシールで覆い試験片を作製した。
この試験片を、Na:118ppm、Cl:58ppm、SO 2−:60ppm、Cu2+:1ppm、Fe3+:30ppmを含む試験液に浸漬(88℃×8時間)させ、浸漬後に室温まで自然冷却した後、室温状態で16時間保持するというサイクルを90サイクル行う耐食試験を実施した。
腐食状況を目視観察し、試験片の最大腐食深さが50μm以下のものを良好(○)と評価し、最大腐食深さが50μmを超えたものを不良(×)と判断した。
なお、耐食性の評価は、電縫溶接性、ろう付後強度、およびろう付性の評価が全て良好なものに関してのみ実施した。
表4に示すように、実施例No.1〜20のブレージングシートは、本発明の要件を満たすため、電縫溶接性、ろう付後強度、ろう付性、および耐食性が良好な評価となった。一方、表5に示すように、比較例No.1〜23のブレージングシートは、本発明の規定するいずれかの要件を満たさないため、良好な評価とならなかった。
具体的には、比較例No.1のブレージングシートは、中間焼鈍の温度が高かったため、中間焼鈍時にろう材が溶融し製造することができなかった。
比較例No.2〜7のブレージングシートは、心材内部における粒径0.5μm以上のAl−Cu系金属間化合物の数密度が1.0個/μmを超えていたため、電縫加工時に局所的な過剰溶融が起こり、電縫溶接性が不良という結果となった。
比較例No.8のブレージングシートは、心材中のSiが0.1質量%未満であったため、ろう付後強度が低かった。また、比較例No.9のブレージングシートは、心材中のSiが1.0質量%を超えていたため、ろう付加熱時に心材が溶融してしまい、ろう付強度を測定することができなかった。
比較例No.10のブレージングシートは、心材中のCuが0.5質量%未満であったため、ろう付後強度が低かった。また、比較例No.11のブレージングシートは、心材中のCuが1.2質量%を超えていたため、ろう付加熱時に心材が溶融してしまい、ろう付強度を測定することができなかった。
比較例No.12のブレージングシートは、心材中のMnが0.5質量%未満であったため、ろう付後強度が低かった。また、比較例No.13のブレージングシートは、心材中のMnが2.0質量%を超えていたため、耐食性が不良という結果となった。
比較例No.14のブレージングシートは、心材中のCrが0.25質量%を超えていたため、耐食性が不良という結果となった。
比較例No.15のブレージングシートは、心材中のTiが0.05質量%未満であったため、耐食性が不良という結果となった。また、比較例No.16のブレージングシートは、心材中のTiが0.25質量%を超えていたため、耐食性が不良という結果となった。
比較例No.17のブレージングシートは、心材中のMgが0.5質量%を超えるため、ろう付性が不良という結果となった。
比較例No.18のブレージングシートは、犠牲材中のSiが0.2質量%以下であったため、ろう付後強度が低かった。また、比較例No.19のブレージングシートは、犠牲材中のSiが0.8質量%を超えていたため、ろう付加熱時に犠牲材が溶融してしまい、ろう付強度を測定することができなかった。
比較例No.20のブレージングシートは、犠牲材中のZnが2.0質量%以下であったため、耐食性が不良という結果となった。また、比較例No.21のブレージングシートは、犠牲材中のZnが5.0質量%を超えるため、ろう付加熱時に犠牲材が溶融してしまい、ろう付強度を測定することができなかった。
比較例No.22のブレージングシートは、犠牲材中のMgが1.0質量%未満であったため、ろう付後強度が低かった。また、比較例No.23のブレージングシートは、犠牲材中のMgが4.5質量%を超えていたため、側材を心材に積層させることができず、試験を行なうことができなかった。
なお、比較例No.10、11のブレージングシートは、特許文献1または特許文献2に記載された従来のブレージングシートを想定したものである。本実施例で示すように、これら従来のブレージングシートは、ろう付後強度、ろう付性、耐食性、電縫溶接性のうち、一つ以上について一定の水準を満たさないものである。従って、本実施例によって、本発明に係るブレージングシートが従来のブレージングシートと比較して、優れているのが客観的に明らかとなった。
以上、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートについて、発明を実施するための形態および実施例により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。

Claims (2)

  1. Si:0.1〜1.0質量%、Cu:0.5〜1.2質量%、Mn:0.5〜2.0質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる心材と、
    前記心材の一面側に配置され、Si:0.2質量%を超え0.8質量%以下、Zn:2.0質量%を超え5.0質量%以下、Mg:1.0〜4.5質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる犠牲材と、
    前記心材の他面側に配置され、アルミニウム合金からなるろう材と、を備えたアルミニウム合金ブレージングシートであって、
    前記心材内部における粒径0.5μm以上のAl−Cu系金属間化合物の数密度が1.0個/μm以下であることを特徴とするアルミニウム合金ブレージングシート。
  2. 前記心材は、Ti:0.05〜0.25質量%、Cr:0.25質量%以下、Mg:0.5質量%以下から選択される少なくとも1種をさらに含有する請求項1に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
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