JP2016182616A - アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 - Google Patents
アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016182616A JP2016182616A JP2015063387A JP2015063387A JP2016182616A JP 2016182616 A JP2016182616 A JP 2016182616A JP 2015063387 A JP2015063387 A JP 2015063387A JP 2015063387 A JP2015063387 A JP 2015063387A JP 2016182616 A JP2016182616 A JP 2016182616A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- aluminum alloy
- clad
- skin material
- skin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Ceased
Links
Images
Landscapes
- Chemical Treatment Of Metals (AREA)
- Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)
Abstract
Description
本発明に係るアルミニウム合金クラッド材は、このような構成とすることにより、ろう付けを可能としている。
本発明に係るアルミニウム合金クラッド材は、このような構成とすることにより、両面に耐食効果が得られるようにしている。
本発明に係るアルミニウム合金クラッド材は、このような構成とすることにより、耐食性向上効果を大きくすることができる。
本発明に係るアルミニウム合金クラッド材は、このような構成とすることにより、耐食性向上効果をより大きくすることができる。
本発明に係るアルミニウム合金クラッド材は、このような構成とすることにより、アルミニウム合金クラッド材としての強度を向上させることができる。
このようにすると、本発明に係るアルミニウム合金クラッド材を用いているので、優れた耐食性を有する自動車の熱交換器を得ることができる。
このようにすると、本発明に係るアルミニウム合金クラッド材を用いているので、ラジエータチューブ材における冷却水による内面腐食の問題を解決することができる。
本発明に係るアルミニウム合金クラッド材の製造方法は、薄肉化した場合であっても、高耐食性を維持することができるアルミニウム合金クラッド材を製造することができる。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るアルミニウム合金クラッド材1(以下単に「クラッド材1」という。)は、心材Sと、心材Sの一方の面にクラッドされた第1皮材Gと、第1皮材Gの表面に形成された皮膜Fと、を有する。クラッド材1の板厚は、例えば、0.3mmや0.2mmを下回るようにすることなどができるがこれらに限定されず、任意に設定することができる。
はじめに、クラッド材1を構成する心材Sおよび第1皮材Gの成分組成と第1皮材Gの表面に形成された皮膜Fなどの各要素について説明する。
心材Sは、Si:0.30〜1.50質量%、Mn:0.60〜2.00質量%、Cu:0.10〜2.50質量%、Ti:0.05〜0.50質量%、Fe:0.01〜0.50質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物であるアルミニウム合金からなる。なお、心材Sは、Mg:0.10〜1.00質量%を含有しているのが好ましい。心材Sの板厚は、例えば、0.25mmなどとすることができるがこれに限定されるものではなく、任意に設定することができる。
Siは、アルミニウム合金の強度を向上させる効果がある。Siは、特にMnと共存することでAl−Mn−Si系金属間化合物を形成し、これによりさらにアルミニウム合金の強度を高めることができる。クラッド材1の強度を十分なものとするため、心材SにおけるSi含有量は0.30質量%以上とする。このような効果を十分なものとするため、心材SにおけるSi含有量は0.35質量%以上とするのが好ましく、0.40質量%以上とするのがさらに好ましい。
Mnは、Siと同様にアルミニウム合金の強度を向上させる効果がある。Mnは、特にSiと共存することでAl−Mn−Si系金属間化合物を形成し、これによりさらにアルミニウム合金の強度を高めることができる。
Cuは、SiやMnと同様にアルミニウム合金の強度を向上させる効果があり、クラッド材1の高強度化に必要である。また、Cuは、アルミニウム合金の電位を貴にする作用があるため、犠牲陽極材に対する電位を貴にして犠牲陽極材の犠牲防食効果を高める。これらの効果を十分なものとするため、心材SにおけるCu含有量は0.10質量%以上とする。これらの効果をさらに十分なものとするため、心材SにおけるCu含有量は0.15質量%以上とするのが好ましく、0.20質量%以上とするのがさらに好ましい。
Tiは、心材Sに層状に分布して孔食の進展を抑止する作用を有しており、耐孔食性の向上に必要である。また、Tiは、アルミニウムの強度を向上させるためにも必要である。これらの効果を十分なものとするため、心材SにおけるTi含有量は0.05質量%以上とする。これらの効果をさらに十分なものとするため、心材SにおけるTi含有量は0.06質量%以上とするのが好ましく、0.07質量%以上とするのがさらに好ましい。
Feは、金属間化合物として晶出および/または析出してアルミニウム合金の強度を向上させる効果を有しており、クラッド材1の高強度化に必要である。この効果を得るため、心材SにおけるFe含有量は0.01質量%以上とする。また、これらの効果をさらに十分なものとするため、心材SにおけるFe含有量は0.02質量%以上とするのが好ましく、0.03質量%以上とするのがさらに好ましい。
本発明で用いる心材SにおけるMg、Cr、Ni、Zrは任意成分である。心材SにおけるMg、Cr、Ni、Zrは、いずれもクラッド材1の強度を向上させる効果を有する。特に、Mgは、Siとの共存によりろう付けの加熱時などにMg2Si化合物を形成し、強度を向上させる作用を有する。これらの効果は、心材SにおけるMg含有量を0.10質量%以上、Cr含有量を0.01質量%以上、Ni含有量を0.01質量%以上、Zr含有量を0.01質量%以上のうちの少なくとも1つの成分を含有することにより得ることができる。心材SにMgを含有させる場合は、Mg含有量を0.11質量%以上とするのがより好ましく、0.12質量%以上とするのがさらに好ましい。心材SにCr、Ni、Zrを含有させる場合は、これらの成分の含有量をそれぞれ0.02質量%以上とするのがより好ましく、0.03質量%以上とするのがさらに好ましい。
心材Sにおける前記した組成成分以外の残部は、Alおよび不可避不純物からなる。心材Sにおける不可避不純物としては、例えば、Na、Ca、Sr、V、Zn、B、Ga、Inなどを挙げることができる。これらの不可避不純物は、本発明の効果を妨げない範囲内であれば含有していてもよく、含有量の合計で概ね1.0質量%未満であれば許容される。
第1皮材Gは、Al−Zn系合金であり、クラッド材1における犠牲防食性を担保するものである。第1皮材Gの成分組成および厚さの限定理由は下記の通りである。
第1皮材GのZnは、腐食電位を卑化させる作用があり、心材Sとの間に電位差を付与して、犠牲防食性を発現させるために必要不可欠な元素である。このようなZnの犠牲防食効果を得るため、第1皮材GにおけるZn含有量は2.0質量%以上とすることが必要である。
第1皮材GにおけるSi、Mnは、いずれも表面に形成するベーマイト主体の皮膜Fの結晶性を向上させて第1皮材Gの自己消耗を抑制し、耐食性を向上させる効果がある。また、Si、Mnはいずれも強度を向上させる効果があるため、クラッド材1の強度向上に有効である。
一方、Siはアルミニウム合金の融点を降下させるため、過剰に添加されるとろう付け時に第1皮材Gの溶融を招く。また、Mnは過剰に添加されると粗大な晶出物が析出して、クラッド材1の加工性を低下させる。これらの悪影響がない範囲では、第1皮材Gがさらに、Si含有量を0.10〜1.00質量%、Mn含有量を0.10〜1.00質量%のうちの少なくとも1つの成分を含有していることにより上述の耐食性向上効果および強度向上効果を得ることができる。
第1皮材GにおけるFe、Cr、Ni、Zrは、いずれも表面に形成するベーマイト主体の皮膜Fを強化して、耐食性を向上させる効果を有する。また、第1皮材GにおけるFe、Cr、Ni、Zrは、いずれもクラッド材1の強度を向上させる効果を有する。これらの効果は、第1皮材Gが、Fe含有量を0.01〜0.30質量%、Cr含有量を0.01〜0.30質量%、Ni含有量を0.01〜0.30質量%、Zr含有量を0.01〜0.30質量%のうちの少なくとも1つの成分を含有していることにより得ることができる。
第1皮材Gにおける前記した組成成分以外の残部は、Alおよび不可避的不純物からなる。第1皮材Gにおける不可避不純物としては、例えば、Na、Mg、Ca、Sr、V、B、Ga、In、Cuなどを挙げることができる。これらの不可避不純物は、本発明の効果を妨げない範囲内であれば含有していてもよく、含有量の合計で概ね1.0質量%未満であれば許容される。
また、クラッド材1では、良好な耐食性、犠牲防食性を確保するため、第1皮材Gのクラッド率を1.0%以上および当該第1皮材Gの厚さを5.0μm以上のうちの少なくとも一方を満たすこととしている。
第1皮材Gの表面に形成されている皮膜Fは、厚さが0.1〜10μmであり、ベーマイトを70%以上含有するオキシ水酸化物皮膜である。
ベーマイトは、アルミニウムのオキシ水酸化物(α−AlOOH)または一水和酸化物(Al2O3・H2O)である。ここで、従来技術により犠牲防食層の薄肉化を行った場合、自己消耗によって犠牲防食層が早期に消失し、所望の防食寿命を得ることができない。自己消耗を抑制するためには表面に保護性を有する皮膜(保護性皮膜)を形成することが有効であるが、保護性皮膜は一般的には腐食電位を貴化するため、第1皮材Gの表面に保護性皮膜を形成した場合には心材Sとの電位差が小さくなって、犠牲防食効果を低下させる。
しかしながら、本発明者らが鋭意研究した結果、第1皮材Gの表面にベーマイトを70%以上含有する皮膜Fを形成させると、アルミニウム合金基材(第1皮材G)の自己消耗を抑制するが、その腐食電位に及ぼす影響が非常に小さいことが分かった。すなわち、このような態様とすれば、第1皮材Gの表面と心材Sとの電位差は変化しないため、犠牲防食効果を低下させずに、犠牲防食層の早期消耗を抑制できることが分かった。当該知見に基づき、本発明に係るクラッド材1では、第1皮材Gの表面にベーマイトを70%以上含有するオキシ水酸化物皮膜(水和酸化物)を形成させることによって、優れた耐食性を得ることができるようにした。
形成した皮膜Fの厚さは、断面を樹脂埋め込みして断面を顕微鏡観察して測定する方法によって測定が可能である。なお、形成した皮膜Fの厚さは、オージェ電子分光法(Auger Electron Spectroscopy;AES)やグロー放電発光分析法(Glow Discharge Optical Emission Spectroscopy;GDOES)などを用いて、皮膜Fの表面から深さ方向に化学成分を分析し、酸素(O)のプロファイルから計測することも可能である。
図2に示すように、本発明の第2実施形態に係るアルミニウム合金クラッド材2(以下単に「クラッド材2」という。)は、第1実施形態に係るクラッド材1と同様、心材Sと、心材Sの一方の面にクラッドされた第1皮材Gと、第1皮材Gの表面に形成された皮膜Fと、を有している。そして、クラッド材2はさらに、心材Sの他方の面に第2皮材Rがクラッドされている。
クラッド材2における以下の説明では、クラッド材1と同じ構成については同じ符号を付して表すとともに重複する説明を省略し、相違する構成について述べる。
第2皮材Rは、Al−Si系合金からなることにより、クラッド材2におけるろう付け性を担保している。第2皮材Rを構成するAl−Si系合金としては、例えば、4.0〜12.0質量%のSiを含有するAl−Si系合金を用いることができる。第2皮材Rを構成するAl−Si系合金としてより具体的には、4045合金や4343合金などを用いることができる。また、第2皮材Rには、ろう付け後の犠牲防食効果を得るために、例えば、Znを1.0質量%から6.0質量%添加することも可能である。
第2皮材Rにおける前記した組成成分以外の残部は、Alおよび不可避不純物からなる。第2皮材Rにおける不可避不純物としては、例えば、Na、Mg、Ca、Sr、V、B、Ga、In、Mn、Fe、Cu、Ni、Cr、Zrなどを挙げることができる。これらの不可避不純物は、本発明の効果を妨げない範囲内であれば含有していてもよく、含有量の合計で概ね1.0質量%未満であれば許容される。
また、クラッド材2では、耐食性に加えて良好なろう付け性や強度特性を得るため、第2皮材Rのクラッド率を5%以上および当該第2皮材Rの厚さを10μm以上のうちの少なくとも一方を満たすこととしている。第2皮材Rのクラッド率および厚さの両方が前記した数値よりも小さくなると、ろう付け時のろうの溶融量が不足してろう付け不良が発生しやすくなるなどするため、ろう付け性が低下する。なお、第2皮材Rのクラッド率は7%以上とするのが好ましく、9%以上とするのがより好ましい。また、第2皮材Rの厚さは、12μm以上とするのが好ましく、15μm以上とするのがより好ましい。これらのようにすると、ろう付け性をより十分に確保することができる。
なお、第2皮材Rの表面に前記した皮膜Fが形成されていてもよい。
クラッド材2において心材SにMgを含有させた場合、当該Mgがろう付け時にろう材である第2皮材Rへ拡散し、ろう付け性を低下させることがある。このようなろう付け性の低下を抑制するため、心材Sと第2皮材Rとの間に中間材(図示せず)をクラッドしてもよい。中間材の成分組成としては、例えば、Si:0.3〜2.0質量%、Mn:0.6〜2.0質量%、Cu:0.1〜2.5質量%を含有し、Ti:0.05〜0.5質量%、Fe:0.01〜0.5質量%、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金材を例示することができる。中間材における不可避不純物としては、例えば、Na、Ca、Sr、V、Zn、B、Ga、Inなどを挙げることができる。
図3に示すように、本発明の第3実施形態に係るアルミニウム合金クラッド材3(以下単に「クラッド材3」という。)は、第1実施形態に係るクラッド材1と同様、心材Sと、心材Sの一方の面にクラッドされた第1皮材Gと、第1皮材Gの表面に形成された皮膜Fと、を有している。クラッド材3はさらに、心材Sの他方の面にも前記した第1皮材Gがクラッドされ、さらに、この第1皮材Gの表面に前記した皮膜Fが形成されている。
以上に説明したクラッド材1〜3によれば、心材SのSi、Mn、Cu、Ti、Feを特定の範囲に制御し、第1皮材Gのアルミニウム合金を特定し、さらに犠牲防食性を担保する当該第1皮材Gの表面にベーマイトを70%以上含有する皮膜Fを形成しているので、薄肉化した場合であっても優れた耐食効果を得ることができる。
本発明に係るアルミニウム合金クラッド材1の製造方法としては、例えば、クラッド圧延工程と、後処理工程と、を含み、少なくともこれらの工程についてはこの順で行う。
クラッド圧延工程は、例えば、前記したアルミニウム合金からなる心材Sと、前記したAl−Zn系合金からなる第1皮材Gと、を重ね合わせ、第1皮材Gのクラッド率が1.0%以上および第1皮材Gの厚さが5.0μm以上のうちの少なくとも一方を満たすクラッド圧延を行い、アルミニウム合金クラッド材1を作製する。なお、クラッド圧延工程においては、必要に応じて中間材、第2皮材Rおよび第1皮材Gをクラッドさせることもできる。このようにすると、アルミニウム合金クラッド材2、3などを作製することができる。
第1皮材G/心材S(図1参照)、
第1皮材G/心材S/第2皮材R(図2参照)、
第1皮材G/心材S/中間材/第2皮材R、または、
第1皮材G/心材S/第1皮材G(図3参照)、
の順に、且つ、所定のクラッド率になるように重ね合わせるとよい。
後処理工程における処理は、下記(1)と(2)のどちらを採用してもよい。
(1) 後処理工程における処理としては、例えば、クラッド圧延工程で作製したアルミニウム合金クラッド材1〜3を用いて熱交換器または熱交換器用構造材(例えば、ラジエータチューブ材)を作製した後に、熱湯中への浸漬、水蒸気中での暴露、および陽極酸化した後の水和処理のうちの少なくとも1つの処理を行い、第1皮材Gの表面に厚さが0.1〜10μmであり、ベーマイトを70%以上含有する皮膜F(オキシ水酸化物皮膜)を形成することが挙げられる。
(2) または、後処理工程における処理としては、例えば、クラッド圧延工程で作製したアルミニウム合金クラッド材1〜3に対して熱湯中への浸漬、水蒸気中での暴露、および陽極酸化した後の水和処理のうちの少なくとも1つの処理を行い、第1皮材Gの表面に厚さが0.1〜10μmであり、ベーマイトを70%以上含有する皮膜F(オキシ水酸化物皮膜)を形成した後に、熱交換器または熱交換器用構造材を作製することが挙げられる。
表1、表2および表3はそれぞれ心材S、第1皮材Gおよび第2皮材Rに用いたアルミニウム合金の成分組成を示す。なお、表1〜3中の数値は含有量(質量%)を示し、残部はAlおよび不可避不純物である。また、表1〜3における「−」は当該元素を添加していないことを示している。表1〜3中の下線は、本発明の要件を満たさないことを示している。
皮膜Fを形成した後の試験片に対してX線回折測定(XRD)を行い、皮膜F中のベーマイト含有量の分析を行った。さらに、XRD分析後の試験片について樹脂埋め込みを施して、断面から走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、当該皮膜Fの厚さを測定した。得られた皮膜Fの厚さとベーマイト含有量は表4に示す通りである。
自動車のラジエータ内面環境での腐食特性を評価するための腐食試験として、冷却水を模擬した試験溶液に、前記したろう付け条件に相当する加熱処理を施し、皮膜Fを形成した供試材を浸漬して温度サイクルを与えた。
試験溶液は、OY水(Cl-:195ppm、SO4 2-:60ppm、Cu2+:1ppm、Fe3+:30ppm、pH:3.0)を使用した。
温度サイクルは、試験溶液を室温から1時間で88℃まで加熱し、この88℃で7時間保持した後、室温まで1時間で冷却し、この室温にて15時間保持する1日1サイクルとした。試験期間は3ヶ月間とした。
腐食試験後にそれぞれの試験片を硝酸に浸漬して表面の腐食生成物を除去し、水洗およびアセトン洗浄を施して乾燥させた後、表面からの光学顕微鏡観察による最大腐食深さ測定を実施した。
最大腐食深さは、光学顕微鏡を用いた焦点深度法により5枚の試験片の試験面(第1皮材G側の表面)における最も深い腐食深さを測定して最大値を求めた。
また、腐食試験前後の質量変化を腐食減量として求めた。腐食減量は、5枚の試験片の腐食試験前後における質量の差分の平均値とした。
腐食試験で得られた腐食減量および最大腐食深さは表4に示す通りである。表4において、No.2〜52に係るクラッド材の腐食減量は、比較例であるNo.1に係るクラッド材を100とした場合の相対値を示している。
なお、総合判定は、下記の基準で(優れる)◎◎、◎、○、×(劣る)の4段階で評価した。表4中の下線は、本発明の要件を満たさないことを示している。
◎◎:腐食減量が50未満、且つ、腐食貫通なし。
◎:腐食減量が50以上60未満、且つ、腐食貫通なし。
○:腐食減量が60以上70未満、且つ、腐食貫通なし。
×:腐食減量が70以上、または、腐食貫通あり。
クラッド材1に係るこれらの実施例はいずれも、本発明の要件を満たし、腐食減量は70未満と十分な腐食抑制効果が得られ、且つ、孔食による板の貫通も発生せず、優れた耐食性を発揮した。これらの効果は、第1皮材Gの表面にベーマイトを70%以上含有する皮膜Fが形成されたことによって腐食抑制効果が得られ、これにより犠牲防食効果を有する第1皮材Gの消耗が抑制された結果、犠牲防食効果が継続維持されたために得られたものである。
クラッド材3に係るこれらの実施例はいずれも、本発明の要件を満たし、腐食減量は70未満と十分な腐食抑制効果が得られ、且つ、孔食による板の貫通も発生せず、優れた耐食性を発揮した。これらの効果は、第1皮材Gの表面にベーマイトを70%以上含有する皮膜Fが形成されたことによって腐食抑制効果が得られ、これにより犠牲防食効果を有する第1皮材Gの消耗が抑制された結果、犠牲防食効果が継続維持されたために得られたものである。なお、クラッド材3の心材Sの両面に設置する第1皮材Gは、本発明の要件を満たす範囲であれば、No.45のように同じものでもあってもよいし、No.46のように片方の面ともう一方の面で異なるものであってもよい。
S 心材
G 第1皮材
F 皮膜
R 第2皮材
Claims (9)
- 心材と、当該心材の一方の面にクラッドされた第1皮材と、当該第1皮材の表面に形成された皮膜と、を有するアルミニウム合金クラッド材であって、
前記心材は、
Si:0.30〜1.50質量%、
Mn:0.60〜2.00質量%、
Cu:0.10〜2.50質量%、
Ti:0.05〜0.50質量%、
Fe:0.01〜0.50質量%を含有し、
残部がAlおよび不可避不純物であるアルミニウム合金からなり、
前記第1皮材は、2.0〜12.0質量%のZnを含有するAl−Zn系合金からなるとともに、クラッド率が1.0%以上および当該第1皮材の厚さが5.0μm以上のうちの少なくとも一方を満たし、且つ、
前記皮膜は、厚さが0.1〜10μmであり、ベーマイトを70%以上含有するオキシ水酸化物皮膜である
ことを特徴とするアルミニウム合金クラッド材。 - 前記心材の他方の面に、Al−Si系合金からなるとともに、クラッド率が5%以上および厚さが10μm以上のうちの少なくとも一方を満たす第2皮材がクラッドされていることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金クラッド材。
- 前記心材の他方の面にも前記第1皮材がクラッドされ、さらに、当該第1皮材の表面に前記皮膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金クラッド材。
- 前記第1皮材が、Si:0.10〜1.00質量%、Mn:0.10〜1.00質量%のうちの少なくとも1つの成分を含有していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金クラッド材。
- 前記第1皮材が、Fe:0.01〜0.30質量%、Cr:0.01〜0.30質量%、Ni:0.01〜0.30質量%、Zr:0.01〜0.30質量%のうちの少なくとも1つの成分を含有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金クラッド材。
- 前記心材が、Mg:0.10〜1.00質量%、Cr:0.01〜0.30質量%、Ni:0.01〜0.30質量%、Zr:0.01〜0.30質量%のうちの少なくとも1つの成分を含有していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金クラッド材。
- 自動車の熱交換器に使用されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のアルミニウム合金クラッド材。
- 自動車のろう付け型ラジエータチューブ材に使用されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のアルミニウム合金クラッド材。
- 請求項1に記載されているアルミニウム合金からなる心材と、請求項1に記載されているAl−Zn系合金からなる第1皮材と、を重ね合わせ、前記第1皮材のクラッド率が1.0%以上および前記第1皮材の厚さが5.0μm以上のうちの少なくとも一方を満たすクラッド圧延を行い、アルミニウム合金クラッド材を作製するクラッド圧延工程と、
前記アルミニウム合金クラッド材を用いて熱交換器または熱交換器用構造材を作製した後に、熱湯中への浸漬、水蒸気中での暴露、および陽極酸化した後の水和処理のうちの少なくとも1つの処理を行い、前記第1皮材の表面に厚さが0.1〜10μmであり、ベーマイトを70%以上含有するオキシ水酸化物皮膜を形成するか、または、前記アルミニウム合金クラッド材に対して熱湯中への浸漬、水蒸気中での暴露、および陽極酸化した後の水和処理のうちの少なくとも1つの処理を行い、前記第1皮材の表面に厚さが0.1〜10μmであり、ベーマイトを70%以上含有するオキシ水酸化物皮膜を形成した後に、熱交換器または熱交換器用構造材を作製する後処理工程と、
を含んでいることを特徴とするアルミニウム合金クラッド材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015063387A JP2016182616A (ja) | 2015-03-25 | 2015-03-25 | アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015063387A JP2016182616A (ja) | 2015-03-25 | 2015-03-25 | アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016182616A true JP2016182616A (ja) | 2016-10-20 |
Family
ID=57241682
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015063387A Ceased JP2016182616A (ja) | 2015-03-25 | 2015-03-25 | アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016182616A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112639154A (zh) * | 2018-08-30 | 2021-04-09 | Posco公司 | 热成型性和耐蚀性优异的铝-锌合金镀覆钢板及其制造方法 |
CN114008235A (zh) * | 2020-02-05 | 2022-02-01 | 学校法人芝浦工业大学 | 紧固构件及其制造方法 |
CN114148046A (zh) * | 2021-10-27 | 2022-03-08 | 银邦金属复合材料股份有限公司 | 一种铝合金复合材料及其制备方法与应用 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007504954A (ja) * | 2003-09-11 | 2007-03-08 | ベール ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー | 蝋付工作物、蝋付方法および熱交換器 |
JP2009155679A (ja) * | 2007-12-26 | 2009-07-16 | Furukawa-Sky Aluminum Corp | アルミニウム合金クラッド材 |
JP2010106345A (ja) * | 2008-10-31 | 2010-05-13 | Kobe Steel Ltd | 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート |
-
2015
- 2015-03-25 JP JP2015063387A patent/JP2016182616A/ja not_active Ceased
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007504954A (ja) * | 2003-09-11 | 2007-03-08 | ベール ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー | 蝋付工作物、蝋付方法および熱交換器 |
JP2009155679A (ja) * | 2007-12-26 | 2009-07-16 | Furukawa-Sky Aluminum Corp | アルミニウム合金クラッド材 |
JP2010106345A (ja) * | 2008-10-31 | 2010-05-13 | Kobe Steel Ltd | 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112639154A (zh) * | 2018-08-30 | 2021-04-09 | Posco公司 | 热成型性和耐蚀性优异的铝-锌合金镀覆钢板及其制造方法 |
CN112639154B (zh) * | 2018-08-30 | 2023-06-16 | 浦项股份有限公司 | 热成型性和耐蚀性优异的铝-锌合金镀覆钢板及其制造方法 |
CN114008235A (zh) * | 2020-02-05 | 2022-02-01 | 学校法人芝浦工业大学 | 紧固构件及其制造方法 |
CN114008235B (zh) * | 2020-02-05 | 2024-07-09 | 学校法人芝浦工业大学 | 紧固构件及其制造方法 |
CN114148046A (zh) * | 2021-10-27 | 2022-03-08 | 银邦金属复合材料股份有限公司 | 一种铝合金复合材料及其制备方法与应用 |
CN114148046B (zh) * | 2021-10-27 | 2023-05-30 | 银邦金属复合材料股份有限公司 | 一种铝合金复合材料及其制备方法与应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9976201B2 (en) | Aluminum-alloy clad material and production method therefor, and heat exchanger using said aluminum-alloy clad material and production method therefor | |
JP3869846B2 (ja) | アルミニウム合金板および熱交換器 | |
JP6115892B2 (ja) | フィン用アルミニウム合金製ブレージングシート、熱交換器及び熱交換器の製造方法 | |
US9976200B2 (en) | Cladded aluminum-alloy material and production method therefor, and heat exchanger using said cladded aluminum-alloy material and production method therefor | |
JP6106748B2 (ja) | アルミニウム合金ブレージングシート及びその製造方法 | |
JP5336967B2 (ja) | アルミニウム合金クラッド材 | |
JP5276476B2 (ja) | アルミニウム合金クラッド材 | |
JP6813579B2 (ja) | ろう付けシート及びその製造方法 | |
WO2015002315A1 (ja) | 熱交換器用ブレージングシート及びその製造方法 | |
JP5598834B2 (ja) | 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート | |
JP2017082266A (ja) | 表面処理アルミニウム合金及び表面処理アルミニウム合金クラッド材 | |
WO2019035316A1 (ja) | 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート | |
JP2012067385A (ja) | ブレージングシート及びその製造方法 | |
EP3321384B1 (en) | Aluminum alloy cladding material, manufacturing method therefor, and heat exchanger using said aluminum alloy cladding material | |
JP2016182616A (ja) | アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 | |
JP2018053279A (ja) | アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 | |
WO2019044545A1 (ja) | 熱交換器フィン用ブレージングシート及びその製造方法 | |
WO2019026658A1 (ja) | 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート | |
JP5388084B2 (ja) | 強度および耐孔食性に優れる熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
JP4393165B2 (ja) | アルミニウム合金製熱交換器及びその製造方法 | |
JP6738667B2 (ja) | 大気環境における耐食性に優れるアルミニウム合金製熱交換器及びアルミニウム合金製熱交換器の製造方法 | |
JP5184112B2 (ja) | アルミニウム合金クラッド材 | |
JP4860203B2 (ja) | 熱交換器用積層材、熱交換器用チューブ材、熱交換器用ヘッダー材、熱交換器の製造方法並びに熱交換器 | |
JP2017179582A (ja) | アルミニウム合金ブレージングシート | |
JP6738666B2 (ja) | 大気環境における耐食性に優れるアルミニウム合金製熱交換器及びアルミニウム合金製熱交換器の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170901 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180719 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180724 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20180913 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20181115 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190326 |
|
A045 | Written measure of dismissal of application [lapsed due to lack of payment] |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A045 Effective date: 20190730 |