JP2017179582A - アルミニウム合金ブレージングシート - Google Patents
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Abstract
【課題】ろう付後強度に優れるだけでなく、ろう付性、及び、ろう材側の耐食性にも優れるアルミニウム合金ブレージングシートを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシート1は、心材2と、皮材3と、ろう材4と、を備え、皮材3は、Cu:1.00質量%を超え3.00質量%以下、Si:0.02質量%以上1.30質量%以下、Mn:0.02質量%以上2.00質量%以下、残部がAl及び不可避的不純物からなり、心材2は、Cu:0.02質量%以上2.50質量%以下、Si:0.02質量%以上1.80質量%以下、Mn:0.02質量%以上2.00質量%以下、残部がAl及び不可避的不純物からなり、ろう材4は、Si:2.00質量%以上13.00質量%以下、を含有し、皮材3のCuの含有量は、心材2のCuの含有量を超える。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシート1は、心材2と、皮材3と、ろう材4と、を備え、皮材3は、Cu:1.00質量%を超え3.00質量%以下、Si:0.02質量%以上1.30質量%以下、Mn:0.02質量%以上2.00質量%以下、残部がAl及び不可避的不純物からなり、心材2は、Cu:0.02質量%以上2.50質量%以下、Si:0.02質量%以上1.80質量%以下、Mn:0.02質量%以上2.00質量%以下、残部がAl及び不可避的不純物からなり、ろう材4は、Si:2.00質量%以上13.00質量%以下、を含有し、皮材3のCuの含有量は、心材2のCuの含有量を超える。
【選択図】図1
Description
本発明は、アルミニウム合金ブレージングシートに関し、特に、自動車用熱交換器等に使用されるアルミニウム合金ブレージングシートに関する。
エバポレータやコンデンサ等の自動車用熱交換器には、アルミニウム合金ブレージングシートが使用されている。
そして、このような自動車用熱交換器の構成部材の中でも、一方の面側が腐食環境(大気)に曝されるとともに他方の面側が非腐食環境となるチューブ材や、サイドサポート材(補強材)としては、心材とろう材とからなる2層構造のアルミニウム合金ブレージングシートが使用されている。
そして、このような自動車用熱交換器の構成部材の中でも、一方の面側が腐食環境(大気)に曝されるとともに他方の面側が非腐食環境となるチューブ材や、サイドサポート材(補強材)としては、心材とろう材とからなる2層構造のアルミニウム合金ブレージングシートが使用されている。
そして、この2層構造のアルミニウム合金ブレージングシートについては、以下のような技術が提案されている。
具体的には、特許文献1において、心材の一方の面にろう材を設けた2層構造のアルミニウム合金ブレージングシートであって、前記心材は、Si:0.6〜1.0質量%、Cu:0.6〜1.0質量%、Mn:0.7〜1.8質量%、Mg:0.1〜0.7質量%、Ti:0.06〜0.20質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、前記ろう材は、Si:3.0〜12.0質量%を含有するアルミニウム合金からなり、前記アルミニウム合金ブレージングシートの板厚が0.6〜1.4mmであり、前記心材表面における{001}面の面積率が0.3以上であることを特徴とするアルミニウム合金ブレージングシートが開示されている。
近年、自動車用熱交換器に対して軽量化が要求されていることから、熱交換器の材料として使用されるアルミニウム合金ブレージングシートにも薄肉化が求められている。
ここで、従来のアルミニウム合金ブレージングシートを単純に薄肉化した場合、熱交換器としての十分な強度を確保することができないおそれがある。
ここで、従来のアルミニウム合金ブレージングシートを単純に薄肉化した場合、熱交換器としての十分な強度を確保することができないおそれがある。
アルミニウム合金ブレージングシートの薄肉化に伴う強度の低下を考慮して、特許文献1に記載されているように心材へのMgの添加によって高強度化を図ると、心材側のろう付性に悪影響を及ぼしてしまうことから、心材側にろう付性が要求される場合には好適に用いることができない。
また、心材へのCuの含有量を増加させることによって高強度化を図ると、ろう付加熱時にCuが拡散し、ろう材側の耐食性が低下するおそれがある。
また、心材へのCuの含有量を増加させることによって高強度化を図ると、ろう付加熱時にCuが拡散し、ろう材側の耐食性が低下するおそれがある。
そこで、本発明は、ろう付後強度に優れるだけでなく、ろう付性、及び、ろう材側の耐食性にも優れるアルミニウム合金ブレージングシートを提供することを課題とする。
本発明者等は、心材よりも高濃度のCuを含有した皮材を設けることによって、アルミニウム合金ブレージングシートのろう付後強度を著しく向上できるだけでなく、心材側のろう付性(皮材側のろう付性)の低下をも防止できることを見出した。
さらに、発明者等は、この皮材のCuがろう付加熱時に拡散することにより、心材の板厚中心部から皮材側の部分(以下、適宜「心材以深部」という)の電位を心材の板厚中心部より貴とすることができることを見出した。その結果、ろう材側から皮材側に向かって電位が貴になるような電位勾配となり、心材以深部においても犠牲防食効果が備わることによって、ろう材側の耐食性が向上することも見出した。
これらの知見に基づき、本発明を創出した。
さらに、発明者等は、この皮材のCuがろう付加熱時に拡散することにより、心材の板厚中心部から皮材側の部分(以下、適宜「心材以深部」という)の電位を心材の板厚中心部より貴とすることができることを見出した。その結果、ろう材側から皮材側に向かって電位が貴になるような電位勾配となり、心材以深部においても犠牲防食効果が備わることによって、ろう材側の耐食性が向上することも見出した。
これらの知見に基づき、本発明を創出した。
すなわち、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、心材と、前記心材の一方の面に設けられる皮材と、前記心材の他方の面に設けられるろう材と、を備えるアルミニウム合金ブレージングシートであって、前記皮材は、Cu:1.00質量%を超え3.00質量%以下、Si:0.02質量%以上1.30質量%以下、Mn:0.02質量%以上2.00質量%以下、残部がAl及び不可避的不純物からなり、前記心材は、Cu:0.02質量%以上2.50質量%以下、Si:0.02質量%以上1.80質量%以下、Mn:0.02質量%以上2.00質量%以下、残部がAl及び不可避的不純物からなり、前記ろう材は、Si:2.00質量%以上13.00質量%以下、を含有し、前記皮材のCuの含有量は、前記心材のCuの含有量を超える。
このように、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、心材とろう材だけでなく、皮材が設けられているとともに、皮材、心材、ろう材の各成分の含有量が特定されていることによって、ろう付後強度に優れるだけでなく、ろう付性、及び、ろう材側の耐食性にも優れる。
また、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、前記皮材が、Mg:1.00質量%以下、Ti:0.30質量%以下、Cr:0.30質量%以下、Zr:0.30質量%以下、V:0.30質量%以下、Li:1.00質量%以下、のうちの1種以上をさらに含有していてもよい。
このように、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、皮材にMg、Ti、Cr、Zr、V、Liを含有していても、ろう付後強度に優れるだけでなく、ろう付性、及び、ろう材側の耐食性にも優れたものとなる。
このように、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、皮材にMg、Ti、Cr、Zr、V、Liを含有していても、ろう付後強度に優れるだけでなく、ろう付性、及び、ろう材側の耐食性にも優れたものとなる。
また、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、前記心材が、Mg:1.00質量%以下、Ti:0.30質量%以下、Cr:0.30質量%以下、Zr:0.30質量%以下、V:0.30質量%以下、Li:1.00質量%以下、のうちの1種以上をさらに含有していてもよい。
このように、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、心材にMg、Ti、Cr、Zr、V、Liを含有していても、ろう付後強度に優れるだけでなく、ろう付性、及び、ろう材側の耐食性にも優れたものとなる。
このように、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、心材にMg、Ti、Cr、Zr、V、Liを含有していても、ろう付後強度に優れるだけでなく、ろう付性、及び、ろう材側の耐食性にも優れたものとなる。
また、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、前記ろう材が、Zn:8.00質量%以下をさらに含有していてもよい。
このように、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、ろう材にZnを含有していても、ろう付後強度に優れるだけでなく、ろう付性、及び、ろう材側の耐食性にも優れたものとなる。
このように、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、ろう材にZnを含有していても、ろう付後強度に優れるだけでなく、ろう付性、及び、ろう材側の耐食性にも優れたものとなる。
また、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、前記ろう材が、Mn:1.50質量%以下、Ti:0.30質量%以下、Cr:0.30質量%以下、Zr:0.30質量%以下、V:0.30質量%以下、のうちの1種以上をさらに含有していてもよい。
このように、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、ろう材にMn、Ti、Cr、Zr、Vを含有していても、ろう付後強度に優れるだけでなく、ろう付性、及び、ろう材側の耐食性にも優れたものとなる。
このように、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、ろう材にMn、Ti、Cr、Zr、Vを含有していても、ろう付後強度に優れるだけでなく、ろう付性、及び、ろう材側の耐食性にも優れたものとなる。
また、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、前記ろう材が、Li:1.00質量%以下、Bi:2.00質量%以下、のうちの1種以上をさらに含有していてもよい。
このように、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、ろう材にLi、Biを含有していても、ろう付後強度に優れるだけでなく、ろう付性、及び、ろう材側の耐食性にも優れたものとなる。
このように、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、ろう材にLi、Biを含有していても、ろう付後強度に優れるだけでなく、ろう付性、及び、ろう材側の耐食性にも優れたものとなる。
本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、皮材、心材、ろう材の各成分の含有量が特定されていることによって、ろう付後強度に優れるだけでなく、ろう付性、及び、ろう材側の耐食性にも優れる。
以下、適宜図面を参照して、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートを実施するための形態(実施形態)について説明する。
[アルミニウム合金ブレージングシート]
本実施形態に係るアルミニウム合金ブレージングシート(以下、適宜「ブレージングシート」という)の構成は、例えば、図1に示すように、心材2と、心材2の一方の面に設けられる皮材3と、心材2の他方の面に設けられるろう材4と、を備える3層構造である。
そして、本実施形態に係るブレージングシート1は、心材2、皮材3、ろう材4の組成の含有量が特定されている。
本実施形態に係るアルミニウム合金ブレージングシート(以下、適宜「ブレージングシート」という)の構成は、例えば、図1に示すように、心材2と、心材2の一方の面に設けられる皮材3と、心材2の他方の面に設けられるろう材4と、を備える3層構造である。
そして、本実施形態に係るブレージングシート1は、心材2、皮材3、ろう材4の組成の含有量が特定されている。
以下、本実施形態に係るブレージングシートの皮材の組成、心材の組成、及び、ろう材の組成について数値限定した理由を詳細に説明する。
[皮材]
本実施形態に係るブレージングシートの皮材は、Cu:1.00質量%を超え3.00質量%以下、Si:0.02質量%以上1.30質量%以下、Mn:0.02質量%以上2.00質量%以下、残部がAl及び不可避的不純物からなる。そして、本実施形態に係るブレージングシートの皮材のCuの含有量は、心材のCuの含有量を超える。
また、本実施形態に係るブレージングシートの皮材は、前記の成分以外にも、Mg:1.00質量%以下、Ti:0.30質量%以下、Cr:0.30質量%以下、Zr:0.30質量%以下、V:0.30質量%以下、Li:1.00質量%以下、のうちの1種以上をさらに含有してもよい。
なお、皮材のクラッド率は、特に限定されないが、3%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、また、40%以下が好ましい。
本実施形態に係るブレージングシートの皮材は、Cu:1.00質量%を超え3.00質量%以下、Si:0.02質量%以上1.30質量%以下、Mn:0.02質量%以上2.00質量%以下、残部がAl及び不可避的不純物からなる。そして、本実施形態に係るブレージングシートの皮材のCuの含有量は、心材のCuの含有量を超える。
また、本実施形態に係るブレージングシートの皮材は、前記の成分以外にも、Mg:1.00質量%以下、Ti:0.30質量%以下、Cr:0.30質量%以下、Zr:0.30質量%以下、V:0.30質量%以下、Li:1.00質量%以下、のうちの1種以上をさらに含有してもよい。
なお、皮材のクラッド率は、特に限定されないが、3%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、また、40%以下が好ましい。
(皮材のCu:1.00質量%を超え3.00質量%以下、皮材のCuの含有量>心材のCuの含有量)
Cuは、固溶強化作用により強度を向上させる効果がある。また、Cuは、電位を貴にする働きがあるため、ろう材やフィンとの電位差を大きくして、犠牲陽極効果によって耐食性を向上させる元素である。皮材のCuの含有量が1.00質量%超えていれば、前記の強度向上効果が得られ、後記する心材のCuの含有量を超えていれば、前記の耐食性向上効果が得られる。一方、皮材のCuの含有量が3.00質量%以下であれば、皮材の固相線温度が低下することによる、ろう付加熱時の溶融の発生を抑制することができる。
したがって、皮材のCuの含有量は、1.00質量%を超え3.00質量%以下であるとともに、心材のCuの含有量を超える。
Cuは、固溶強化作用により強度を向上させる効果がある。また、Cuは、電位を貴にする働きがあるため、ろう材やフィンとの電位差を大きくして、犠牲陽極効果によって耐食性を向上させる元素である。皮材のCuの含有量が1.00質量%超えていれば、前記の強度向上効果が得られ、後記する心材のCuの含有量を超えていれば、前記の耐食性向上効果が得られる。一方、皮材のCuの含有量が3.00質量%以下であれば、皮材の固相線温度が低下することによる、ろう付加熱時の溶融の発生を抑制することができる。
したがって、皮材のCuの含有量は、1.00質量%を超え3.00質量%以下であるとともに、心材のCuの含有量を超える。
なお、強度をより向上させるために、皮材のCuの含有量は、1.20質量%以上が好ましい。また、固相線温度の低下をより確実に抑制するために、皮材のCuの含有量は、2.80質量%以下が好ましい。
(皮材のSi:0.02質量%以上1.30質量%以下)
Siは、母相に固溶することや、Mnとともに、Al−Mn−Si系化合物を形成することによって、強度を向上させる元素である。Siの含有量が0.02質量%以上であれば、前記の効果が得られる。一方、Siの含有量が1.30質量%以下であれば、皮材の固相線温度が低下することによる、ろう付加熱時の溶融の発生を抑制することができる。
したがって、皮材のSiの含有量は、0.02質量%以上1.30質量%以下である。
Siは、母相に固溶することや、Mnとともに、Al−Mn−Si系化合物を形成することによって、強度を向上させる元素である。Siの含有量が0.02質量%以上であれば、前記の効果が得られる。一方、Siの含有量が1.30質量%以下であれば、皮材の固相線温度が低下することによる、ろう付加熱時の溶融の発生を抑制することができる。
したがって、皮材のSiの含有量は、0.02質量%以上1.30質量%以下である。
なお、強度をより向上させるために、皮材のSiの含有量は、0.05質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましい。また、固相線温度の低下をより確実に抑制するために、皮材のSiの含有量は、1.10質量%以下が好ましい。
(皮材のMn:0.02質量%以上2.00質量%以下)
Mnは、強度を向上させる効果がある元素である。Mnの含有量が0.02質量%以上であれば、前記の効果が得られる。一方、Mnの含有量が2.00質量%以下であれば、鋳造時において巨大な金属間化合物の晶出が抑制され、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれが低減される。
したがって、皮材のMnの含有量は、0.02質量%以上2.00質量%以下である。
Mnは、強度を向上させる効果がある元素である。Mnの含有量が0.02質量%以上であれば、前記の効果が得られる。一方、Mnの含有量が2.00質量%以下であれば、鋳造時において巨大な金属間化合物の晶出が抑制され、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれが低減される。
したがって、皮材のMnの含有量は、0.02質量%以上2.00質量%以下である。
なお、強度をより向上させるために、皮材のMnの含有量は、0.05質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましい。また、巨大な金属間化合物の晶出を抑制する観点から、皮材のMnの含有量は、1.80質量%以下が好ましい。
(皮材のMg:1.00質量%以下)
Mgは、強度を向上させる効果がある。一方で、Mgはフラックスろう付性を低下させる作用がある。そして、Mgの含有量が1.00質量%を超えると、皮材側のろう付性を著しく低下させる。
したがって、皮材にMgを含有させる場合、Mgの含有量は、1.00質量%以下である。
Mgは、強度を向上させる効果がある。一方で、Mgはフラックスろう付性を低下させる作用がある。そして、Mgの含有量が1.00質量%を超えると、皮材側のろう付性を著しく低下させる。
したがって、皮材にMgを含有させる場合、Mgの含有量は、1.00質量%以下である。
なお、Mgを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、皮材のMgの含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましい。また、皮材側のろう付性の低下を抑制する観点から、皮材のMgの含有量は、0.80質量%以下が好ましい。
(皮材のTi:0.30質量%以下)
Tiは、Al合金中に層状に分布することによって、板厚方向への腐食速度を低減させ、耐食性を向上させる元素である。そして、Tiの含有量が0.30質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。また、Tiの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成される結果、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれがある。
したがって、皮材にTiを含有させる場合、Tiの含有量は、0.30質量%以下である。
Tiは、Al合金中に層状に分布することによって、板厚方向への腐食速度を低減させ、耐食性を向上させる元素である。そして、Tiの含有量が0.30質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。また、Tiの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成される結果、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれがある。
したがって、皮材にTiを含有させる場合、Tiの含有量は、0.30質量%以下である。
なお、Tiを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、皮材のTiの含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上が好ましい。また、粗大な金属間化合物の生成を抑制する観点から、皮材のTiの含有量は、0.25質量%以下が好ましい。
(皮材のCr:0.30質量%以下)
Crは、AlとAl−Cr系の分散粒子を形成し、ろう付後強度を向上させることができる元素である。また、Crの含有量が0.30質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。また、Crの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成される結果、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれがある。
したがって、皮材にCrを含有させる場合、Crの含有量は、0.30質量%以下である。
Crは、AlとAl−Cr系の分散粒子を形成し、ろう付後強度を向上させることができる元素である。また、Crの含有量が0.30質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。また、Crの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成される結果、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれがある。
したがって、皮材にCrを含有させる場合、Crの含有量は、0.30質量%以下である。
なお、Crを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、皮材のCrの含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましい。また、粗大な金属間化合物の生成を抑制する観点から、皮材のCrの含有量は、0.25質量%以下が好ましい。
(皮材のZr:0.30質量%以下)
Zrは、AlとAl−Zr系の分散粒子を形成し、ろう付後強度を向上させることができる元素である。また、Zrの含有量が0.30質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。また、Zrの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成される結果、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれがある。
したがって、皮材にZrを含有させる場合、Zrの含有量は、0.30質量%以下である。
Zrは、AlとAl−Zr系の分散粒子を形成し、ろう付後強度を向上させることができる元素である。また、Zrの含有量が0.30質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。また、Zrの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成される結果、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれがある。
したがって、皮材にZrを含有させる場合、Zrの含有量は、0.30質量%以下である。
なお、Zrを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、皮材のZrの含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましい。また、粗大な金属間化合物の生成を抑制する観点から、皮材のZrの含有量は、0.25質量%以下が好ましい。
(皮材のV:0.30質量%以下)
Vは、AlとAl−V系の分散粒子を形成し、ろう付後強度を向上させることができる元素である。そして、Vの含有量が0.30質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。また、Vの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成される結果、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれがある。
したがって、皮材にVを含有させる場合、Vの含有量は、0.30質量%以下である。
Vは、AlとAl−V系の分散粒子を形成し、ろう付後強度を向上させることができる元素である。そして、Vの含有量が0.30質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。また、Vの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成される結果、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれがある。
したがって、皮材にVを含有させる場合、Vの含有量は、0.30質量%以下である。
なお、Vを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、皮材のVの含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましい。また、粗大な金属間化合物の生成を抑制する観点から、皮材のVの含有量は、0.25質量%以下が好ましい。
(皮材のLi:1.00質量%以下)
Liは、強度を向上させる元素である。そして、Liの含有量が1.00質量%以下であれば、安定相δ(AlLi)が析出されにくく、強度、伸び、靱性の低下が抑制される。
したがって、皮材にLiを含有させる場合、Liの含有量は、1.00質量%以下である。
Liは、強度を向上させる元素である。そして、Liの含有量が1.00質量%以下であれば、安定相δ(AlLi)が析出されにくく、強度、伸び、靱性の低下が抑制される。
したがって、皮材にLiを含有させる場合、Liの含有量は、1.00質量%以下である。
なお、Liを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、皮材のLiの含有量は、0.002質量%以上が好ましく、0.004質量%以上がより好ましい。また、安定相δ(AlLi)の析出を抑制する観点から、皮材のLiの含有量は、0.80質量%以下が好ましい。
なお、前記したMg、Ti、Cr、Zr、V、Liは、前記した上限値を超えなければ、皮材に1種以上、つまり1種が含まれる場合だけでなく、2種以上が含まれていても、本発明の効果を妨げない。
(皮材の残部:Al及び不可避的不純物)
皮材の残部はAl及び不可避的不純物である。そして、皮材の不可避的不純物として、Fe、Mo、Ni、Ca、Na、Sr等が本発明の効果を妨げない範囲で含有されていてもよい。詳細には、Fe:0.30質量%未満、Mo:0.05質量%未満、Ni:0.05質量%未満、Ca:0.05質量%未満、Na:0.05質量%未満、Sr:0.05質量%未満の範囲で含有されていてもよい。
そして、Fe、Mo、Ni、Ca、Na、Srについては、前記した所定の含有量を超えなければ、不可避的不純物として含有される場合だけではなく、積極的に添加される場合であっても、本発明の効果を妨げない。
また、前記した必須成分ではないMg、Ti、Cr、Zr、V、Liについては、積極的に添加してもよいが、不可避的不純物として含まれていてもよい。
皮材の残部はAl及び不可避的不純物である。そして、皮材の不可避的不純物として、Fe、Mo、Ni、Ca、Na、Sr等が本発明の効果を妨げない範囲で含有されていてもよい。詳細には、Fe:0.30質量%未満、Mo:0.05質量%未満、Ni:0.05質量%未満、Ca:0.05質量%未満、Na:0.05質量%未満、Sr:0.05質量%未満の範囲で含有されていてもよい。
そして、Fe、Mo、Ni、Ca、Na、Srについては、前記した所定の含有量を超えなければ、不可避的不純物として含有される場合だけではなく、積極的に添加される場合であっても、本発明の効果を妨げない。
また、前記した必須成分ではないMg、Ti、Cr、Zr、V、Liについては、積極的に添加してもよいが、不可避的不純物として含まれていてもよい。
次に、本実施形態に係るアルミニウム合金ブレージングシートの心材について説明する。
[心材]
本実施形態に係るブレージングシートの心材は、Cu:0.02質量%以上2.50質量%以下、Si:0.02質量%以上1.80質量%以下、Mn:0.02質量%以上2.00質量%以下、残部がAl及び不可避的不純物からなる。
また、本実施形態に係るブレージングシートの心材は、前記の成分以外にも、Mg:1.00質量%以下、Ti:0.30質量%以下、Cr:0.30質量%以下、Zr:0.30質量%以下、V:0.30質量%以下、Li:1.00質量%以下、のうちの1種以上をさらに含有してもよい。
[心材]
本実施形態に係るブレージングシートの心材は、Cu:0.02質量%以上2.50質量%以下、Si:0.02質量%以上1.80質量%以下、Mn:0.02質量%以上2.00質量%以下、残部がAl及び不可避的不純物からなる。
また、本実施形態に係るブレージングシートの心材は、前記の成分以外にも、Mg:1.00質量%以下、Ti:0.30質量%以下、Cr:0.30質量%以下、Zr:0.30質量%以下、V:0.30質量%以下、Li:1.00質量%以下、のうちの1種以上をさらに含有してもよい。
(心材のCu:0.02質量%以上2.50質量%以下、心材のCuの含有量<皮材のCuの含有量)
Cuは、固溶強化作用により強度を向上させる効果がある。心材のCuの含有量が0.02質量%以上であれば、前記の効果が得られる。一方、心材のCuの含有量が2.50質量%以下であれば、心材の固相線温度が低下することによる、ろう付加熱時の溶融の発生を抑制できる。また、心材のCuの含有量が前記する皮材のCuの含有量未満であれば、心材以深部においても犠牲陽極効果が備わることによって耐食性を向上させる効果が得られる。
したがって、心材のCuの含有量は、0.02質量%以上2.50質量%以下であるとともに、皮材のCuの含有量未満である。
Cuは、固溶強化作用により強度を向上させる効果がある。心材のCuの含有量が0.02質量%以上であれば、前記の効果が得られる。一方、心材のCuの含有量が2.50質量%以下であれば、心材の固相線温度が低下することによる、ろう付加熱時の溶融の発生を抑制できる。また、心材のCuの含有量が前記する皮材のCuの含有量未満であれば、心材以深部においても犠牲陽極効果が備わることによって耐食性を向上させる効果が得られる。
したがって、心材のCuの含有量は、0.02質量%以上2.50質量%以下であるとともに、皮材のCuの含有量未満である。
なお、強度をより向上させるために、心材のCuの含有量は、0.05質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましい。また、耐食性の低下を抑制する観点から、心材のCuの含有量は、2.00質量%以下が好ましく、1.50質量%以下がより好ましい。
(心材のSi:0.02質量%以上1.80質量%以下)
Siは、母相に固溶することや、MnとともにAl−Mn−Si系化合物を形成することによって、強度を向上させる元素である。Siの含有量が0.02質量%以上であれば、前記の効果が得られる。一方、Siの含有量が1.80質量%以下であれば、心材の固相線温度が低下することによる、ろう付加熱時の溶融の発生が抑制される。
したがって、心材のSiの含有量は、0.02質量%以上1.80質量%以下である。
Siは、母相に固溶することや、MnとともにAl−Mn−Si系化合物を形成することによって、強度を向上させる元素である。Siの含有量が0.02質量%以上であれば、前記の効果が得られる。一方、Siの含有量が1.80質量%以下であれば、心材の固相線温度が低下することによる、ろう付加熱時の溶融の発生が抑制される。
したがって、心材のSiの含有量は、0.02質量%以上1.80質量%以下である。
なお、強度をより向上させるために、心材のSiの含有量は、0.05質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましい。また、固相線温度の低下を抑制する観点から、心材のSiの含有量は、1.60質量%以下が好ましい。
(心材のMn:0.02質量%以上2.00質量%以下)
Mnは、強度を向上させる効果がある元素である。Mnの含有量が0.02質量%以上であれば、前記の効果が得られる。一方、Mnの含有量が2.00質量%以下であれば、鋳造時において巨大な金属間化合物の晶出が抑制され、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれが低減される。
したがって、心材のMnの含有量は、0.02質量%以上2.00質量%以下である。
Mnは、強度を向上させる効果がある元素である。Mnの含有量が0.02質量%以上であれば、前記の効果が得られる。一方、Mnの含有量が2.00質量%以下であれば、鋳造時において巨大な金属間化合物の晶出が抑制され、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれが低減される。
したがって、心材のMnの含有量は、0.02質量%以上2.00質量%以下である。
なお、強度をより向上させるために、心材のMnの含有量は、0.05質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましい。また、巨大な金属間化合物の晶出を抑制する観点から、心材のMnの含有量は、1.80質量%以下が好ましい。
(心材のMg:1.00質量%以下)
Mgは、強度を向上させる効果がある。一方で、Mgはフラックスろう付性を低下させる作用がある。そして、Mgの含有量が1.00質量%を超えると、皮材およびろう材表面までMgが拡散し、ろう付性を著しく低下させる。
したがって、心材にMgを含有させる場合、Mgの含有量は、1.00質量%以下である。
Mgは、強度を向上させる効果がある。一方で、Mgはフラックスろう付性を低下させる作用がある。そして、Mgの含有量が1.00質量%を超えると、皮材およびろう材表面までMgが拡散し、ろう付性を著しく低下させる。
したがって、心材にMgを含有させる場合、Mgの含有量は、1.00質量%以下である。
なお、Mgを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、心材のMgの含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましい。また、ろう付性の低下を抑制する観点から、心材のMgの含有量は、0.80質量%以下が好ましく、0.60質量%以下がより好ましい。
(心材のTi:0.30質量%以下)
Tiは、Al合金中に層状に分布することによって、板厚方向への腐食速度を低減させ、耐食性を向上させる元素である。そして、Tiの含有量が0.30質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。また、Tiの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成される結果、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれがある。
したがって、心材にTiを含有させる場合、Tiの含有量は、0.30質量%以下である。
Tiは、Al合金中に層状に分布することによって、板厚方向への腐食速度を低減させ、耐食性を向上させる元素である。そして、Tiの含有量が0.30質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。また、Tiの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成される結果、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれがある。
したがって、心材にTiを含有させる場合、Tiの含有量は、0.30質量%以下である。
なお、Tiを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、心材のTiの含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましい。また、粗大な金属間化合物の生成を抑制する観点から、心材のTiの含有量は、0.25質量%以下が好ましい。
(心材のCr:0.30質量%以下)
Crは、AlとAl−Cr系の分散粒子を形成し、ろう付後強度を向上させることができる元素である。また、Crの含有量が0.30質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。また、Crの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成される結果、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれがある。
したがって、心材にCrを含有させる場合、Crの含有量は、0.30質量%以下である。
Crは、AlとAl−Cr系の分散粒子を形成し、ろう付後強度を向上させることができる元素である。また、Crの含有量が0.30質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。また、Crの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成される結果、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれがある。
したがって、心材にCrを含有させる場合、Crの含有量は、0.30質量%以下である。
なお、Crを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、心材のCrの含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましい。また、粗大な金属間化合物の生成を抑制する観点から、心材のCrの含有量は、0.25質量%以下が好ましい。
(心材のZr:0.30質量%以下)
Zrは、AlとAl−Zr系の分散粒子を形成し、ろう付後強度を向上させることができる元素である。また、Zrの含有量が0.30質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。また、Zrの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成される結果、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれがある。
したがって、心材にZrを含有させる場合、Zrの含有量は、0.30質量%以下である。
Zrは、AlとAl−Zr系の分散粒子を形成し、ろう付後強度を向上させることができる元素である。また、Zrの含有量が0.30質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。また、Zrの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成される結果、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれがある。
したがって、心材にZrを含有させる場合、Zrの含有量は、0.30質量%以下である。
なお、Zrを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、心材のZrの含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましい。また、粗大な金属間化合物の生成を抑制する観点から、心材のZrの含有量は、0.25質量%以下が好ましい。
(心材のV:0.30質量%以下)
Vは、AlとAl−V系の分散粒子を形成し、ろう付後強度を向上させることができる元素である。そして、Vの含有量が0.30質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。また、Vの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成される結果、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれがある。
したがって、心材にVを含有させる場合、Vの含有量は、0.30質量%以下である。
Vは、AlとAl−V系の分散粒子を形成し、ろう付後強度を向上させることができる元素である。そして、Vの含有量が0.30質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。また、Vの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成される結果、製造を阻害するおそれや、塑性加工性を低下させるおそれがある。
したがって、心材にVを含有させる場合、Vの含有量は、0.30質量%以下である。
なお、Vを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、心材のVの含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましい。また、粗大な金属間化合物の生成を抑制する観点から、心材のVの含有量は、0.25質量%以下が好ましい。
(心材のLi:1.00質量%以下)
Liは、強度を向上させる元素である。そして、Liの含有量が1.00質量%以下であれば、安定相δ(AlLi)が析出されにくく、強度、伸び、靱性の低下が抑制される。
したがって、心材にLiを含有させる場合、Liの含有量は、1.00質量%以下である。
Liは、強度を向上させる元素である。そして、Liの含有量が1.00質量%以下であれば、安定相δ(AlLi)が析出されにくく、強度、伸び、靱性の低下が抑制される。
したがって、心材にLiを含有させる場合、Liの含有量は、1.00質量%以下である。
なお、Liを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、心材のLiの含有量は、0.002質量%以上が好ましく、0.004質量%以上がより好ましい。また、安定相δ(AlLi)の析出を抑制する観点から、心材のLiの含有量は、0.80質量%以下が好ましい。
前記した心材のMg、Ti、Cr、Zr、V、Liは、前記した上限値を超えなければ、心材に1種以上、つまり1種が含まれる場合だけでなく、2種以上が含まれていても、本発明の効果を妨げない。
(心材の残部:Al及び不可避的不純物)
心材の残部はAl及び不可避的不純物である。そして、心材の不可避的不純物として、Fe、Mo、Ni、Ca、Na、Sr等が本発明の効果を妨げない範囲で含有されていてもよい。詳細には、Fe:0.30質量%未満、Mo:0.05質量%未満、Ni:0.05質量%未満、Ca:0.05質量%未満、Na:0.05質量%未満、Sr:0.05質量%未満の範囲で含有されていてもよい。
そして、Fe、Mo、Ni、Ca、Na、Srついては、前記した所定の含有量を超えなければ、不可避的不純物として含有される場合だけではなく、積極的に添加される場合であっても、本発明の効果を妨げない。
また、前記した必須成分ではないMg、Ti、Cr、Zr、V、Liについては、積極的に添加してもよいが、不可避的不純物として含まれていてもよい。
心材の残部はAl及び不可避的不純物である。そして、心材の不可避的不純物として、Fe、Mo、Ni、Ca、Na、Sr等が本発明の効果を妨げない範囲で含有されていてもよい。詳細には、Fe:0.30質量%未満、Mo:0.05質量%未満、Ni:0.05質量%未満、Ca:0.05質量%未満、Na:0.05質量%未満、Sr:0.05質量%未満の範囲で含有されていてもよい。
そして、Fe、Mo、Ni、Ca、Na、Srついては、前記した所定の含有量を超えなければ、不可避的不純物として含有される場合だけではなく、積極的に添加される場合であっても、本発明の効果を妨げない。
また、前記した必須成分ではないMg、Ti、Cr、Zr、V、Liについては、積極的に添加してもよいが、不可避的不純物として含まれていてもよい。
次に、本実施形態に係るアルミニウム合金ブレージングシートのろう材について説明する。
[ろう材]
本実施形態に係るブレージングシートのろう材は、Si:2.00質量%以上13.00質量%以下、を含有する。
本実施形態に係るブレージングシートのろう材は、Si以外の成分の含有量については特に限定されないが、例えば、JIS 4000系のAl−Si系合金や、後記するような成分をさらに含有したAl−Si−Zn系合金等であればよい。
なお、本明細書でのJISの合金番号は、JIS H 4000:2014の記載に基づく。
[ろう材]
本実施形態に係るブレージングシートのろう材は、Si:2.00質量%以上13.00質量%以下、を含有する。
本実施形態に係るブレージングシートのろう材は、Si以外の成分の含有量については特に限定されないが、例えば、JIS 4000系のAl−Si系合金や、後記するような成分をさらに含有したAl−Si−Zn系合金等であればよい。
なお、本明細書でのJISの合金番号は、JIS H 4000:2014の記載に基づく。
本実施形態に係るブレージングシートのろう材は、前記の成分以外にも、Zn:8.00質量%以下を含有していてもよく、さらに、Mn:1.50質量%以下、Ti:0.30質量%以下、Cr:0.30質量%以下、Zr:0.30質量%以下、V:0.30質量%以下、のうちの1種以上を含有していてもよく、さらにまた、Li:1.00質量%以下、Bi:2.00質量%以下、のうちの1種以上をさらに含有してもよい。
なお、ろう材の厚さは、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、ろう材のクラッド率も、特に限定されないが、40%以下であるのが好ましい。
なお、ろう材の厚さは、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、ろう材のクラッド率も、特に限定されないが、40%以下であるのが好ましい。
(ろう材のSi:2.00質量%以上13.00質量%以下)
Siは、Al合金の固相線温度を低下させ、ろう付温度での液相率および流動性を高める元素である。Siの含有量が2.00質量%以上であれば、ろう付性の低下を抑制することができる。一方、Siの含有量が13.00質量%以下であれば、粗大Si粒が形成せず、さらに流動ろうが過剰に生成せず、心材の浸食などのろう付不良が抑制される。
したがって、ろう材のSiの含有量は、2.00質量%以上13.00質量%以下である。
Siは、Al合金の固相線温度を低下させ、ろう付温度での液相率および流動性を高める元素である。Siの含有量が2.00質量%以上であれば、ろう付性の低下を抑制することができる。一方、Siの含有量が13.00質量%以下であれば、粗大Si粒が形成せず、さらに流動ろうが過剰に生成せず、心材の浸食などのろう付不良が抑制される。
したがって、ろう材のSiの含有量は、2.00質量%以上13.00質量%以下である。
なお、ろう付性の低下をより確実に抑制するために、ろう材のSiの含有量は、2.50質量以上が好ましい。また、ろう付不良の発生をより確実に抑制するために、ろう材のSiの含有量は、12.50質量%以下が好ましい。
(ろう材のZn:8.00質量%以下)
Znは、ろう材の電位を卑にすることができ、心材との電位差を形成することで犠牲防食効果により耐食性を向上させる元素である。ただし、Znの含有量が8.00質量%を超えると、接合部に形成されたフィレットの早期腐食を引き起こす。
したがって、ろう材にZnを含有させる場合、Znの含有量は、8.00質量%以下である。
Znは、ろう材の電位を卑にすることができ、心材との電位差を形成することで犠牲防食効果により耐食性を向上させる元素である。ただし、Znの含有量が8.00質量%を超えると、接合部に形成されたフィレットの早期腐食を引き起こす。
したがって、ろう材にZnを含有させる場合、Znの含有量は、8.00質量%以下である。
なお、Znを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、ろう材のZnの含有量は、2.00質量%以上が好ましく、2.50質量%以上がより好ましい。また、接合部のフィレットの早期腐食を抑制する観点から、ろう材のZnの含有量は、7.50質量%以下が好ましい。
(ろう材のMn:1.50質量%以下)
Mnの添加により、初晶中にAl−Mn−Si系化合物が形成され、化合物周囲と初晶とが電池を作ることで、相対的に共晶部の優先腐食が抑制される。ただし、Mnの含有量が1.50質量%を超えると、粗大なAl−Mn−Si系化合物が形成され、化合物が不均一な分布状態となるため、耐食性が低下する。
したがって、ろう材にMnを含有させる場合、Mnの含有量は、1.50質量%以下である。
Mnの添加により、初晶中にAl−Mn−Si系化合物が形成され、化合物周囲と初晶とが電池を作ることで、相対的に共晶部の優先腐食が抑制される。ただし、Mnの含有量が1.50質量%を超えると、粗大なAl−Mn−Si系化合物が形成され、化合物が不均一な分布状態となるため、耐食性が低下する。
したがって、ろう材にMnを含有させる場合、Mnの含有量は、1.50質量%以下である。
なお、Mnを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、ろう材のMnの含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましい。また、耐食性の低下を抑制する観点から、ろう材のMnの含有量は、1.40質量%以下が好ましい。
(ろう材のTi、Cr、Zr、V:0.30質量%以下)
前記のMnと同様、Ti、Cr、Zr、Vをろう材に添加すると、初晶部内にAl−Ti、Al−Cr、Al−Cr−Si、Al−Zr、Al−V系化合物が形成され、化合物周囲と初晶部とが電池を作ることで、相対的に共晶部の優先腐食が抑制される。ただし、各成分の含有量が0.30質量%を超えると、粗大化合物が形成され、健全な外面接合を阻害する。
したがって、ろう材にTi、Cr、Zr、Vを含有させる場合、各成分の含有量は、0.30質量%以下である。
前記のMnと同様、Ti、Cr、Zr、Vをろう材に添加すると、初晶部内にAl−Ti、Al−Cr、Al−Cr−Si、Al−Zr、Al−V系化合物が形成され、化合物周囲と初晶部とが電池を作ることで、相対的に共晶部の優先腐食が抑制される。ただし、各成分の含有量が0.30質量%を超えると、粗大化合物が形成され、健全な外面接合を阻害する。
したがって、ろう材にTi、Cr、Zr、Vを含有させる場合、各成分の含有量は、0.30質量%以下である。
なお、Ti、Cr、Zr、Vを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、ろう材の各成分の含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましい。また、健全な外面接合が阻害されるといった事態を回避する観点から、ろう材の各成分の含有量は、0.28質量%以下が好ましい。
(ろう材のLi:1.00質量%以下)
Liは、ろうの流動性を向上させる元素であり、ろう付性を向上させる。ただし、Liの含有量が1.00質量%を超えた場合、Li2Oが過剰に形成されてろう付性が悪くなる。
したがって、ろう材にLiを含有させる場合、Liの含有量は、Li:1.00質量%以下である。
Liは、ろうの流動性を向上させる元素であり、ろう付性を向上させる。ただし、Liの含有量が1.00質量%を超えた場合、Li2Oが過剰に形成されてろう付性が悪くなる。
したがって、ろう材にLiを含有させる場合、Liの含有量は、Li:1.00質量%以下である。
なお、Liを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、ろう材のLiの含有量は、0.002質量%以上が好ましく、0.004質量%以上がより好ましい。また、Li2Oが過剰に形成されるといった事態を回避する観点から、ろう材のLiの含有量は、0.80質量%以下が好ましい。
(ろう材のBi:2.00質量%以下)
Biは、表面張力を低下させる元素であり、ろう付性を向上させる。ただし、Biの含有量が2.00質量%を超えた場合、酸化ビスマスが形成されてろう付性の向上が認められなくなる。
したがって、ろう材にBiを含有させる場合、Biの含有量は、Bi:2.00質量%以下である。
Biは、表面張力を低下させる元素であり、ろう付性を向上させる。ただし、Biの含有量が2.00質量%を超えた場合、酸化ビスマスが形成されてろう付性の向上が認められなくなる。
したがって、ろう材にBiを含有させる場合、Biの含有量は、Bi:2.00質量%以下である。
なお、Biを含有させることによって得られる効果をより確実なものとするために、ろう材のBiの含有量は、0.002質量%以上が好ましく、0.004質量%以上がより好ましい。また、酸化ビスマスが形成されるといった事態を回避する観点から、ろう材のBiの含有量は、1.80質量%以下が好ましい。
前記したろう材のZn、Mn、Ti、Cr、Zr、V、Li、Biは、前記した上限値を超えなければ、ろう材に1種以上、つまり1種が含まれる場合だけでなく、2種以上が含まれていても、本発明の効果を妨げない。
また、前記したろう材を真空ろう付もしくは、フラックスレスろう付(窒素ガス等雰囲気下)に適用する場合は、積極的にろう材にMgを添加しても本発明の効果を妨げない。
(ろう材の残部:Al及び不可避的不純物)
ろう材の残部はAl及び不可避的不純物である。そして、ろう材の不可避的不純物として、Fe、Mo、Ni、Ca、Na、Sr、In、Sn、Cu、Mg等が本発明の効果を妨げない範囲で含有されていてもよい。詳細には、Fe:0.30質量%未満、Mo:0.05質量%未満、Ni:0.05質量%未満、Ca:0.05質量%未満、Na:0.05質量%未満、Sr:0.05質量%未満、In:0.05質量%未満、Sn:0.05質量%未満、Cu:0.05質量%未満、Mg:0.05質量%未満、の範囲で含有されていてもよい。
そして、Fe、Mo、Ni、Ca、Na、Sr、In、Sn、Cu、Mgついては、前記した所定の含有量を超えなければ、不可避的不純物として含有される場合だけではなく、積極的に添加される場合であっても、本発明の効果を妨げない。
また、前記した必須成分ではないZn、Mn、Ti、Cr、Zr、V、Li、Biについては、積極的に添加してもよいが、不可避的不純物として含まれていてもよい。
ろう材の残部はAl及び不可避的不純物である。そして、ろう材の不可避的不純物として、Fe、Mo、Ni、Ca、Na、Sr、In、Sn、Cu、Mg等が本発明の効果を妨げない範囲で含有されていてもよい。詳細には、Fe:0.30質量%未満、Mo:0.05質量%未満、Ni:0.05質量%未満、Ca:0.05質量%未満、Na:0.05質量%未満、Sr:0.05質量%未満、In:0.05質量%未満、Sn:0.05質量%未満、Cu:0.05質量%未満、Mg:0.05質量%未満、の範囲で含有されていてもよい。
そして、Fe、Mo、Ni、Ca、Na、Sr、In、Sn、Cu、Mgついては、前記した所定の含有量を超えなければ、不可避的不純物として含有される場合だけではなく、積極的に添加される場合であっても、本発明の効果を妨げない。
また、前記した必須成分ではないZn、Mn、Ti、Cr、Zr、V、Li、Biについては、積極的に添加してもよいが、不可避的不純物として含まれていてもよい。
[アルミニウム合金ブレージングシートの厚さ]
本実施形態に係るブレージングシートの厚さは、特に限定されないが、チューブ材に用いる場合、0.5mm以下であるのが好ましく、0.4mm以下であるのがより好ましく、また、0.05mm以上であるのが好ましい。
そして、本実施形態に係るブレージングシートの厚さは、サイドサポート材、ヘッダー材、タンク材に用いる場合、1.5mm以下が好ましく、1.2mm以下がより好ましく、また、0.5mm以上であるのが好ましい。
本実施形態に係るブレージングシートの厚さは、特に限定されないが、チューブ材に用いる場合、0.5mm以下であるのが好ましく、0.4mm以下であるのがより好ましく、また、0.05mm以上であるのが好ましい。
そして、本実施形態に係るブレージングシートの厚さは、サイドサポート材、ヘッダー材、タンク材に用いる場合、1.5mm以下が好ましく、1.2mm以下がより好ましく、また、0.5mm以上であるのが好ましい。
[アルミニウム合金ブレージングシートのその他の構成]
本実施形態に係るブレージングシートについて、図1に示す3層構造の構成を例示して説明したが、その他の構成を除外するものではない。
例えば、本実施形態に係るブレージングシートの構成は、使用者の要求に応じて、図1に示す心材2とろう材4との間に適宜、中間材を設けてもよい。また、皮材3の外側に、ろう材、心材、又は犠牲材(犠牲防食材、犠材)を別途設けてもよい。さらに、別途設けた心材又は犠牲材の外側にさらにろう材を設けてもよい。そして、心材とろう材との間には、適宜、中間材を設けてもよい。
なお、中間材、犠牲材としては、犠牲防食能を発揮できる公知の成分組成のものであればよく、例えば、JIS 1000系の純アルミニウム、JIS 5000系のAl−Mg系合金、JIS 6000系のAl−Mg−Si系合金、JIS 7000系のAl−Zn−Mg系合金を用いることができる。
本実施形態に係るブレージングシートについて、図1に示す3層構造の構成を例示して説明したが、その他の構成を除外するものではない。
例えば、本実施形態に係るブレージングシートの構成は、使用者の要求に応じて、図1に示す心材2とろう材4との間に適宜、中間材を設けてもよい。また、皮材3の外側に、ろう材、心材、又は犠牲材(犠牲防食材、犠材)を別途設けてもよい。さらに、別途設けた心材又は犠牲材の外側にさらにろう材を設けてもよい。そして、心材とろう材との間には、適宜、中間材を設けてもよい。
なお、中間材、犠牲材としては、犠牲防食能を発揮できる公知の成分組成のものであればよく、例えば、JIS 1000系の純アルミニウム、JIS 5000系のAl−Mg系合金、JIS 6000系のAl−Mg−Si系合金、JIS 7000系のAl−Zn−Mg系合金を用いることができる。
次に、本実施形態に係るアルミニウム合金ブレージングシートの製造方法について説明する。
[アルミニウム合金ブレージングシートの製造方法]
本実施形態に係るブレージングシートの製造方法は特に限定されず、例えば公知のクラッド材の製造方法により製造される。以下にその一例を説明する。
まず、心材、皮材、ろう材のそれぞれの成分組成のアルミニウム合金を、溶解、鋳造し、さらに必要に応じて面削(鋳塊の表面平滑化処理)、均質化処理して、それぞれの鋳塊を得る。そして、ろう材の鋳塊については、所定厚さまで熱間圧延を施し、心材、皮材の鋳塊と組み合わせて、常法にしたがって、熱間圧延によりクラッド材とする。その後、このクラッド材に対して、冷間圧延、必要に応じて中間焼鈍、さらに、最終冷間圧延を施し、必要に応じて最終焼鈍を施す。
なお、均質化処理は400〜600℃で2〜20時間、中間焼鈍は350〜450℃で2〜20時間実施するのが好ましい。また、最終焼鈍は150〜350℃で2〜20時間実施するのが好ましい。そして、最終焼鈍を実施する場合、中間焼鈍を省略することが可能である。また、調質は、H1n、H2n、H3nのいずれでもよい。
[アルミニウム合金ブレージングシートの製造方法]
本実施形態に係るブレージングシートの製造方法は特に限定されず、例えば公知のクラッド材の製造方法により製造される。以下にその一例を説明する。
まず、心材、皮材、ろう材のそれぞれの成分組成のアルミニウム合金を、溶解、鋳造し、さらに必要に応じて面削(鋳塊の表面平滑化処理)、均質化処理して、それぞれの鋳塊を得る。そして、ろう材の鋳塊については、所定厚さまで熱間圧延を施し、心材、皮材の鋳塊と組み合わせて、常法にしたがって、熱間圧延によりクラッド材とする。その後、このクラッド材に対して、冷間圧延、必要に応じて中間焼鈍、さらに、最終冷間圧延を施し、必要に応じて最終焼鈍を施す。
なお、均質化処理は400〜600℃で2〜20時間、中間焼鈍は350〜450℃で2〜20時間実施するのが好ましい。また、最終焼鈍は150〜350℃で2〜20時間実施するのが好ましい。そして、最終焼鈍を実施する場合、中間焼鈍を省略することが可能である。また、調質は、H1n、H2n、H3nのいずれでもよい。
本実施形態に係るアルミニウム合金ブレージングシートの製造方法は、以上説明したとおりであるが、前記各工程において、明示していない条件については、従来公知の条件を用いればよく、前記各工程での処理によって得られる効果を奏する限りにおいて、その条件を適宜変更できることは言うまでもない。
次に、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートについて、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
[供試材作製]
表1に示す組成の皮材、表2に示す組成の心材、を鋳造し、それぞれ500℃×10時間の均質化処理を施し、それぞれ所望の厚さまで両面を面削した。また、表3に示す組成のろう材を鋳造し、500℃×10時間の均質化処理を施し、所定の厚さまで熱間圧延を施し、熱間圧延板を作製した。そして、ろう材−心材−皮材の順で組み合わせて熱間圧延を施し、クラッド材を得た。その後、冷間圧延を施し、0.2mmの厚さ(ろう材と皮材のクラッド率はそれぞれ20%)とし、300℃×5時間の最終焼鈍を施すことで3層構造のブレージングシート(調質H2n)を作製し、供試材とした。
表1に示す組成の皮材、表2に示す組成の心材、を鋳造し、それぞれ500℃×10時間の均質化処理を施し、それぞれ所望の厚さまで両面を面削した。また、表3に示す組成のろう材を鋳造し、500℃×10時間の均質化処理を施し、所定の厚さまで熱間圧延を施し、熱間圧延板を作製した。そして、ろう材−心材−皮材の順で組み合わせて熱間圧延を施し、クラッド材を得た。その後、冷間圧延を施し、0.2mmの厚さ(ろう材と皮材のクラッド率はそれぞれ20%)とし、300℃×5時間の最終焼鈍を施すことで3層構造のブレージングシート(調質H2n)を作製し、供試材とした。
次に、ろう付相当加熱の条件、並びに、ろう付加熱後強度評価、耐食性評価、ろう付性評価の評価方法及び評価基準を示す。
[ろう付相当加熱]
ろう付相当加熱は、供試材を600℃で5分間保持(窒素雰囲気下)という条件で実施した。
なお、ろう付相当加熱時に、溶融した供試材については、各評価を行わなかった。
ろう付相当加熱は、供試材を600℃で5分間保持(窒素雰囲気下)という条件で実施した。
なお、ろう付相当加熱時に、溶融した供試材については、各評価を行わなかった。
[ろう付加熱後強度評価]
供試材を100mm×250mmに切断した後、ドロップ形式により前記ろう付条件でろう付相当加熱を行った。室温にて7日経過後の供試材から、引張方向が圧延方向と平行となるように、JIS5号試験片を切り出した。この試験片を用いて、JIS Z 2241:2011に準拠して室温にて引張試験を実施し、引張強さを測定した。なお、クロスヘッド速度は20mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。
引張強さが170MPa以上のものをろう付後強度が合格、170MPa未満のものを不合格「×」と判断した。そして、合格と判断したもののなかでも、引張強さが190MPa以上のものを「◎」と評価し、170MPa以上、190MPa未満のものを「○」と評価した。
供試材を100mm×250mmに切断した後、ドロップ形式により前記ろう付条件でろう付相当加熱を行った。室温にて7日経過後の供試材から、引張方向が圧延方向と平行となるように、JIS5号試験片を切り出した。この試験片を用いて、JIS Z 2241:2011に準拠して室温にて引張試験を実施し、引張強さを測定した。なお、クロスヘッド速度は20mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。
引張強さが170MPa以上のものをろう付後強度が合格、170MPa未満のものを不合格「×」と判断した。そして、合格と判断したもののなかでも、引張強さが190MPa以上のものを「◎」と評価し、170MPa以上、190MPa未満のものを「○」と評価した。
[耐食性評価]
ろう付相当加熱後の供試材から面寸法が50mm×100mmの試験片を切出した。この試験片について、ろう材側が試験面となるように、皮材面全体と端面全体およびろう材表面の外縁5mm幅の領域を、シールテープを用いてシールして、CASS試験(copper-accelerated acetic acid salt spray test、JIS Z 2371:2015)を500時間実施した。
CASS試験後、供試材の試験面の最大腐食深さを光学顕微鏡(オリンパスBX51M)を用いて、焦点深度法で測定し、最小残存板厚(=試験前の板厚−最大腐食深さ)を算出した。貫通腐食が発生したものを不合格(×)、貫通腐食が発生しなかったものを合格と判断した。そして、合格と判断したもののなかでも、最小残存板厚が元々の板厚の1/2(100μm)以下のものを「○」と評価し、元々の板厚の1/2(100μm)を超えるものを「◎」と評価した。
ろう付相当加熱後の供試材から面寸法が50mm×100mmの試験片を切出した。この試験片について、ろう材側が試験面となるように、皮材面全体と端面全体およびろう材表面の外縁5mm幅の領域を、シールテープを用いてシールして、CASS試験(copper-accelerated acetic acid salt spray test、JIS Z 2371:2015)を500時間実施した。
CASS試験後、供試材の試験面の最大腐食深さを光学顕微鏡(オリンパスBX51M)を用いて、焦点深度法で測定し、最小残存板厚(=試験前の板厚−最大腐食深さ)を算出した。貫通腐食が発生したものを不合格(×)、貫通腐食が発生しなかったものを合格と判断した。そして、合格と判断したもののなかでも、最小残存板厚が元々の板厚の1/2(100μm)以下のものを「○」と評価し、元々の板厚の1/2(100μm)を超えるものを「◎」と評価した。
[ろう付性評価]
ろう付性評価では、供試材が熱交換器として使用される際のろう材側及び皮材側のろう付性を評価した。
なお、供試材のろう付性を適切に評価するために、皮材の組成に合わせて、供試材1〜88と供試材89〜91との条件を以下のように設定した。
ろう付性評価では、供試材が熱交換器として使用される際のろう材側及び皮材側のろう付性を評価した。
なお、供試材のろう付性を適切に評価するために、皮材の組成に合わせて、供試材1〜88と供試材89〜91との条件を以下のように設定した。
(ろう付性評価:供試材1〜88)
ろう付相当加熱前の供試材から面寸法が50mm×50mmの試験片を切出した。そして、試験片のろう材の表面に市販の非腐食性のフラックス(FL−7森田化学工業製)を10g/m2で塗布し、波型に成型した30mm×30mmのベアフィン材(JIS 3003、板厚60μm、フィン山数6個)をろう材表面上に設置した(図2)。そして、前記したろう付相当加熱の条件でろう付接合した。ろう付後、試験片からフィン材を剥離し、未接合部を目視で測定し、接合率(=(全接合部長さ/(全接合部長さ+全未接合部長さ))×100)を算出した(図3)。また、波型に成型した30mm×30mmのクラッドフィン材(心材:JIS 3003、両面ろう材:Al−10Si、板厚120μm、両面クラッド率:20%、フィン山数6個)を用い、このクラッドフィン材の両側のろう材の表面に市販の非腐食性のフラックス(FL−7森田化学工業製)を10g/m2で塗布し、試験片の皮材表面上に設置した(図2)。そして、前記したろう付相当加熱の条件でろう付接合した。ろう付後、試験片からフィン材を剥離し、未接合部を目視で測定し、接合率(=(全接合部長さ/(全接合部長さ+全未接合部長さ))×100)を算出した(図3)。
ろう付性評価では、ろう材側及び皮材側のいずれか一方において、接合率が0%のものを不合格(×)、両側の接合率がいずれも0%を超えるものを合格と判断した。そして、合格と判断したもののなかでも、両側の接合率のうちいずれか一方でも50%以下となるのものを「○」と評価し、両側の接合率がいずれも50%を超えるものを「◎」と評価した。
ろう付相当加熱前の供試材から面寸法が50mm×50mmの試験片を切出した。そして、試験片のろう材の表面に市販の非腐食性のフラックス(FL−7森田化学工業製)を10g/m2で塗布し、波型に成型した30mm×30mmのベアフィン材(JIS 3003、板厚60μm、フィン山数6個)をろう材表面上に設置した(図2)。そして、前記したろう付相当加熱の条件でろう付接合した。ろう付後、試験片からフィン材を剥離し、未接合部を目視で測定し、接合率(=(全接合部長さ/(全接合部長さ+全未接合部長さ))×100)を算出した(図3)。また、波型に成型した30mm×30mmのクラッドフィン材(心材:JIS 3003、両面ろう材:Al−10Si、板厚120μm、両面クラッド率:20%、フィン山数6個)を用い、このクラッドフィン材の両側のろう材の表面に市販の非腐食性のフラックス(FL−7森田化学工業製)を10g/m2で塗布し、試験片の皮材表面上に設置した(図2)。そして、前記したろう付相当加熱の条件でろう付接合した。ろう付後、試験片からフィン材を剥離し、未接合部を目視で測定し、接合率(=(全接合部長さ/(全接合部長さ+全未接合部長さ))×100)を算出した(図3)。
ろう付性評価では、ろう材側及び皮材側のいずれか一方において、接合率が0%のものを不合格(×)、両側の接合率がいずれも0%を超えるものを合格と判断した。そして、合格と判断したもののなかでも、両側の接合率のうちいずれか一方でも50%以下となるのものを「○」と評価し、両側の接合率がいずれも50%を超えるものを「◎」と評価した。
(ろう付性評価:供試材89〜91)
ろう付相当加熱前の供試材から面寸法が50mm×50mmの試験片を切出した。そして、試験片のろう材の表面に市販の非腐食性のフラックス(FL−7森田化学工業製)を10g/m2で塗布し、波型に成型した30mm×30mmのベアフィン材(JIS 3003、板厚60μm、フィン山数6個)をろう材表面上に設置した(図2)。そして、前記したろう付相当加熱の条件でろう付接合した。ろう付後、試験片からフィン材を剥離し、未接合部を目視で測定し、接合率(=(全接合部長さ/(全接合部長さ+全未接合部長さ))×100)を算出した(図3)。また、波型に成型した30mm×30mmのクラッドフィン材(心材:JIS 3003、両面ろう材:Al−10Si、板厚120μm、両面クラッド率:20%、フィン山数6個)を用い、このクラッドフィン材の両側のろう材の表面に市販の非腐食性のフラックス(FL−7Cs−2.0森田化学工業製)を10g/m2で塗布し、試験片の皮材表面上に設置した(図2)。そして、前記したろう付相当加熱の条件でろう付接合した。ろう付後、試験片からフィン材を剥離し、未接合部を目視で測定し、接合率(=(全接合部長さ/(全接合部長さ+全未接合部長さ))×100)を算出した(図3)。
ろう付性評価では、ろう材側及び皮材側のいずれか一方において、接合率が0%のものを不合格(×)、両側の接合率がいずれも0%を超えるものを合格と判断した。そして、合格と判断したもののなかでも、両側の接合率のうちいずれか一方でも50%以下となるのものを「○」と評価し、両側の接合率がいずれも50%を超えるものを「◎」と評価した。
ろう付相当加熱前の供試材から面寸法が50mm×50mmの試験片を切出した。そして、試験片のろう材の表面に市販の非腐食性のフラックス(FL−7森田化学工業製)を10g/m2で塗布し、波型に成型した30mm×30mmのベアフィン材(JIS 3003、板厚60μm、フィン山数6個)をろう材表面上に設置した(図2)。そして、前記したろう付相当加熱の条件でろう付接合した。ろう付後、試験片からフィン材を剥離し、未接合部を目視で測定し、接合率(=(全接合部長さ/(全接合部長さ+全未接合部長さ))×100)を算出した(図3)。また、波型に成型した30mm×30mmのクラッドフィン材(心材:JIS 3003、両面ろう材:Al−10Si、板厚120μm、両面クラッド率:20%、フィン山数6個)を用い、このクラッドフィン材の両側のろう材の表面に市販の非腐食性のフラックス(FL−7Cs−2.0森田化学工業製)を10g/m2で塗布し、試験片の皮材表面上に設置した(図2)。そして、前記したろう付相当加熱の条件でろう付接合した。ろう付後、試験片からフィン材を剥離し、未接合部を目視で測定し、接合率(=(全接合部長さ/(全接合部長さ+全未接合部長さ))×100)を算出した(図3)。
ろう付性評価では、ろう材側及び皮材側のいずれか一方において、接合率が0%のものを不合格(×)、両側の接合率がいずれも0%を超えるものを合格と判断した。そして、合格と判断したもののなかでも、両側の接合率のうちいずれか一方でも50%以下となるのものを「○」と評価し、両側の接合率がいずれも50%を超えるものを「◎」と評価した。
[総合評価]
ろう付加熱後強度評価、耐食性評価、ろう付性評価において、1つでも不合格との結果が得られたものは、総合評価が不合格(×)と判断し、3つの評価が全て合格の結果が得られたものは、総合評価が合格(○)と判断した。そして、合格と判断したもののなかでも、3つの評価が全て「◎」の結果が得られたものは、総合評価が「◎」と判断した。
ろう付加熱後強度評価、耐食性評価、ろう付性評価において、1つでも不合格との結果が得られたものは、総合評価が不合格(×)と判断し、3つの評価が全て合格の結果が得られたものは、総合評価が合格(○)と判断した。そして、合格と判断したもののなかでも、3つの評価が全て「◎」の結果が得られたものは、総合評価が「◎」と判断した。
以下、表1には、皮材の組成、表2には、心材の組成、表3には、ろう材の組成、表4、5、6には、供試材の構成、及び、評価結果を示す。
なお、表1の皮材、表2の心材、表3のろう材の残部はAl及び不可避的不純物であり、表中の「−」は、含有していない(検出限界以下である)ことを示す。また、表4、5、6の「皮材Cu>心材Cu」は、皮材のCuの含有量が心材のCuの含有量を超えるという要件を満たすものについては「○」と示し、当該要件を満たさないものについては「×」と示す。
なお、表1の皮材、表2の心材、表3のろう材の残部はAl及び不可避的不純物であり、表中の「−」は、含有していない(検出限界以下である)ことを示す。また、表4、5、6の「皮材Cu>心材Cu」は、皮材のCuの含有量が心材のCuの含有量を超えるという要件を満たすものについては「○」と示し、当該要件を満たさないものについては「×」と示す。
[結果の検討]
供試材1〜70、89、90については、本発明の規定する要件を全て満たしていたことから、「ろう付後強度」、「耐食性」、「ろう付性」のいずれの評価も合格という結果となった。
供試材1〜70、89、90については、本発明の規定する要件を全て満たしていたことから、「ろう付後強度」、「耐食性」、「ろう付性」のいずれの評価も合格という結果となった。
一方、供試材71〜88、91については、本発明の規定する要件を満足しないことから、いずれかの評価項目において不良との結果となった。詳細には、以下のとおりである。
供試材71は、皮材のCuの含有量が少ないだけでなく、皮材のCuの含有量が心材のCuの含有量を超えていなかったため、ろう付後強度、耐食性が不合格という結果となった。
供試材72は、皮材のCuの含有量が多かったため、ろう付相当加熱時に溶融が発生してしまった。
供試材73は、皮材のSiの含有量が少なかったため、ろう付後強度が不合格という結果となった。
供試材74は、皮材のSiの含有量が多かったため、ろう付相当加熱時に溶融が発生してしまった。
供試材75は、皮材のMnの含有量が少なかったため、ろう付後強度が不合格という結果となった。
供試材76は、皮材のMnの含有量が多かったため、製造時に割れが発生してしまった。
供試材77は、皮材のTiの含有量が多かったため、製造時に割れが発生してしまった。
供試材78は、心材のCuの含有量が少なかったため、ろう付後強度が不合格という結果となった。
供試材79は、心材のCuの含有量が多かったため、ろう付相当加熱時に溶融が発生してしまった。
供試材80は、心材のSiの含有量が少なかったため、ろう付後強度が不合格という結果となった。
供試材81は、心材のSiの含有量が多かったため、ろう付相当加熱時に溶融が発生してしまった。
供試材82は、心材のMnの含有量が少なかったため、ろう付後強度が不合格という結果となった。
供試材83は、心材のMnの含有量が多かったため、製造時に割れが発生してしまった。
供試材84は、心材のMgの含有量が多かったため、ろう付性が不合格(ろう材側及び皮材側の接合率が0%)という結果となった。
供試材85は、心材のTiの含有量が多かったため、製造時に割れが発生してしまった。
供試材86は、ろう材のSiの含有量が少なかったため、ろう付性が不合格(ろう材側の接合率が0%)という結果となった。
供試材87は、皮材のCuの含有量が心材のCuの含有量を超えていなかったため、耐食性が不合格という結果となった。
供試材88は、皮材のCuの含有量が心材のCuの含有量を超えていなかったため、耐食性が不合格という結果となった。
供試材72は、皮材のCuの含有量が多かったため、ろう付相当加熱時に溶融が発生してしまった。
供試材73は、皮材のSiの含有量が少なかったため、ろう付後強度が不合格という結果となった。
供試材74は、皮材のSiの含有量が多かったため、ろう付相当加熱時に溶融が発生してしまった。
供試材75は、皮材のMnの含有量が少なかったため、ろう付後強度が不合格という結果となった。
供試材76は、皮材のMnの含有量が多かったため、製造時に割れが発生してしまった。
供試材77は、皮材のTiの含有量が多かったため、製造時に割れが発生してしまった。
供試材78は、心材のCuの含有量が少なかったため、ろう付後強度が不合格という結果となった。
供試材79は、心材のCuの含有量が多かったため、ろう付相当加熱時に溶融が発生してしまった。
供試材80は、心材のSiの含有量が少なかったため、ろう付後強度が不合格という結果となった。
供試材81は、心材のSiの含有量が多かったため、ろう付相当加熱時に溶融が発生してしまった。
供試材82は、心材のMnの含有量が少なかったため、ろう付後強度が不合格という結果となった。
供試材83は、心材のMnの含有量が多かったため、製造時に割れが発生してしまった。
供試材84は、心材のMgの含有量が多かったため、ろう付性が不合格(ろう材側及び皮材側の接合率が0%)という結果となった。
供試材85は、心材のTiの含有量が多かったため、製造時に割れが発生してしまった。
供試材86は、ろう材のSiの含有量が少なかったため、ろう付性が不合格(ろう材側の接合率が0%)という結果となった。
供試材87は、皮材のCuの含有量が心材のCuの含有量を超えていなかったため、耐食性が不合格という結果となった。
供試材88は、皮材のCuの含有量が心材のCuの含有量を超えていなかったため、耐食性が不合格という結果となった。
供試材91は、皮材のMgの含有量が多かったため、ろう付性が不合格(皮材側の接合率が0%)という結果となった。
以上の結果より、本発明に係るアルミニウム合金ブレージングシートは、ろう付後強度に優れるだけでなく、ろう付性、及び、ろう材側の耐食性にも優れることが確認できた。
1 アルミニウム合金ブレージングシート(ブレージングシート)
2 心材
3 皮材
4 ろう材
2 心材
3 皮材
4 ろう材
Claims (6)
- 心材と、前記心材の一方の面に設けられる皮材と、前記心材の他方の面に設けられるろう材と、を備えるアルミニウム合金ブレージングシートであって、
前記皮材は、Cu:1.00質量%を超え3.00質量%以下、Si:0.02質量%以上1.30質量%以下、Mn:0.02質量%以上2.00質量%以下、残部がAl及び不可避的不純物からなり、
前記心材は、Cu:0.02質量%以上2.50質量%以下、Si:0.02質量%以上1.80質量%以下、Mn:0.02質量%以上2.00質量%以下、残部がAl及び不可避的不純物からなり、
前記ろう材は、Si:2.00質量%以上13.00質量%以下、を含有し、
前記皮材のCuの含有量は、前記心材のCuの含有量を超えることを特徴とするアルミニウム合金ブレージングシート。 - 前記皮材は、Mg:1.00質量%以下、Ti:0.30質量%以下、Cr:0.30質量%以下、Zr:0.30質量%以下、V:0.30質量%以下、Li:1.00質量%以下、のうちの1種以上をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
- 前記心材は、Mg:1.00質量%以下、Ti:0.30質量%以下、Cr:0.30質量%以下、Zr:0.30質量%以下、V:0.30質量%以下、Li:1.00質量%以下、のうちの1種以上をさらに含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
- 前記ろう材は、Zn:8.00質量%以下をさらに含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
- 前記ろう材は、Mn:1.50質量%以下、Ti:0.30質量%以下、Cr:0.30質量%以下、Zr:0.30質量%以下、V:0.30質量%以下、のうちの1種以上をさらに含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
- 前記ろう材は、Li:1.00質量%以下、Bi:2.00質量%以下、のうちの1種以上をさらに含有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
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