JP5598262B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、タイヤの耐発熱性能を向上できる空気入りタイヤに関する。
近年、大型トラックやバスなどに適用される空気入りタイヤでは、低燃費化および軽量化(輸送効率の向上)を図るために、車両のドライブ軸およびトレーラ軸に採用されるタイヤ装着方式が従来のデュアル装着方式からシングル装着方式に移行しつつある。
かかるシングル装着方式の空気入りタイヤでは、(a)デュアル装着方式の空気入りタイヤと比較して、1本あたりの荷重負荷が大きいため、タイヤの発熱量が大きくなり易い。また、(b)タイヤの車両装着状態における車両内側領域は、車両外側領域と比較してブレーキ熱やエンジン熱などの影響を受け易いため、熱故障し易い。さらに、(c)近年では、扁平率55以下の低床低扁平シングルタイヤの需要が増加しつつあるが、かかるタイヤでは、上記の(a)および(b)の傾向が現れ易い。このため、タイヤの内分温度が上昇し、タイヤの構成部材(例えば、ゴム材料やワイヤなど)が熱劣化し易いという課題がある。
なお、本願発明に関連する空気入りタイヤとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
特開2009−040204号公報
この発明は、タイヤの耐発熱性能を向上できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、一対のビードコアと、前記ビードコアのタイヤ径方向外側にそれぞれ配置される一対のビードフィラーとを備える空気入りタイヤであって、前記ビードフィラーの損失正接の平均値を平均損失正接と呼ぶときに、タイヤ子午線方向の断面視にて、タイヤ赤道面を境界とする一方の領域における前記ビードフィラーの平均損失正接tanδ_ave_inおよび断面積S_inと、他方の領域における前記ビードフィラーの平均損失正接tanδ_ave_outおよび断面積S_outとが、
0.6≦tanδ_ave_in/tanδ_ave_out≦0.90、且つ、0.6≦tanδ_ave_in×S_in/tanδ_ave_out×S_out≦0.95の関係を有することを特徴とする。
この空気入りタイヤでは、タイヤ左右のビードフィラーの内外平均損失正接比tanδ_ave_in/tanδ_ave_outと基準発熱量比tanδ_ave_in×S_in/tanδ_ave_out×S_outとが適正化されるので、例えば、タイヤが前記一方の領域(車両内側領域)を車両内側に向けて装着されたときに、ビード部の耐発熱性能が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記一方の領域にあるビードフィラーの平均損失正接tanδ_ave_inが0.045≦tanδ_ave_in≦0.13の範囲にある。
この空気入りタイヤでは、ビードフィラーの平均損失正接tanδ_ave_inの範囲が適正化されるので、タイヤの耐発熱性能が適正に向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記一方の領域にある前記ビードフィラーが複数のゴム材料から成るときに、タイヤ径方向の最も外側にある前記ゴム材料が最も小さい損失正接を有する。
この空気入りタイヤでは、車両のブレーキ熱やエンジン熱などの影響を受け易い部分(タイヤ径方向の最も外側にある部分)の耐熱性が向上する。これにより、ビード部の耐熱性が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、車両装着状態にて、前記一方の領域が車両内側に位置すると共に前記他方の領域が車両外側に位置する態様で、タイヤの装着方向が指定されている。
この空気入りタイヤでは、タイヤの装着方向が指定されることにより、上記のタイヤ性能が適正に確保される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ呼び幅が355[mm]以上、タイヤ扁平率が55[%]以下、規定リムのリム径が17.5[インチ]以上であり、且つ、シングル装着方式を採用する重荷重用タイヤに適用される。
かかる重荷重用タイヤに、この空気入りタイヤの構成が適用されることにより、タイヤの耐発熱性能の向上効果を顕著に得られる利点がある。
この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤの耐発熱性能を向上できる。
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。 図2は、図1に記載した空気入りタイヤのビード部を示す断面図である。 図3は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図4は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図5は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図6は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す表である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[空気入りタイヤ]
この空気入りタイヤ1は、ビードコア2と、ビードフィラー3と、カーカス層4と、ベルト層5と、トレッドゴム6と、サイドウォールゴム7とを含んで構成される(図1参照)。ビードコア2は、環状構造を有し、左右一対を一組として構成される。ビードフィラー3は、ビードコア2のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのビード部を補強する。カーカス層4は、左右のビードコア2、2間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層4の両端部は、ビードフィラー3を包み込むようにタイヤ幅方向外側に折り返されて係止される。ベルト層5は、積層された複数のベルト材51〜53から成り、カーカス層4のタイヤ径方向外周に配置される。トレッドゴム6は、カーカス層4およびベルト層5のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。サイドウォールゴム7は、左右一対を一組として構成され、カーカス層4のタイヤ幅方向外側に配置されてタイヤのサイドウォール部を構成する。
[ビードフィラー]
ビードフィラー3は、ビードコア2のタイヤ径方向外側に配置される部材である(図2参照)。例えば、この実施の形態では、タイヤ子午線方向の断面視にて、ビードフィラー3がビードコア2のタイヤ径方向外側に隣接して配置されている。また、カーカス層4が、これらのビードコア2およびビードフィラー3を包み込むように、タイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向に向かって折り返され、タイヤ径方向外側に巻き返されて配置されている。これにより、ビードフィラー3が、ビードコア2と、カーカス層4の本体部41および巻き返し部42とに囲まれて(挟み込まれて)保持されている。
なお、ビードコア2と、カーカス層4の本体部41および巻き返し部42とに囲まれる領域には、ビードフィラーゴム以外のゴム材料(例えば、リムクッションゴム)が配置される場合がある(図示省略)。かかる場合には、このゴム材料も、ビードフィラー3の一部に含まれるものとする。
また、この実施の形態では、ビードフィラー3が単一のビードフィラーゴムから成る単一構造を有し、単一の損失正接を有している(図2参照)。しかし、これに限らず、ビードフィラー3が複数のビードフィラーゴムから構成されても良い(図3および図4参照)。例えば、図3に示す変形例では、ビードフィラー3がアッパー部(アッパービードフィラーゴム)31およびローアー部(ローアービードフィラーゴム)32から成る二色構造を有している。また、アッパー部31およびローアー部32が相互に異なるゴム材料から成り、相互に異なる損失正接を有している。
[平均損失正接]
ここで、タイヤ赤道面CLを境界とする一方の領域を車両内側領域と呼び、他方の領域を車両外側領域と呼ぶ。例えば、この実施の形態では、タイヤの車両装着状態にて、車幅方向内側に位置する領域が車両内側領域となり、車幅方向外側に位置する領域が車両外側領域となる。
また、ビードフィラーの損失正接の平均値を平均損失正接tanδ_ave_in、tanδ_ave_outと呼ぶ。この平均損失正接tanδ_ave_in、tanδ_ave_outは、ビードフィラーが単一構造を有する場合(図2参照)には、そのビードフィラーゴムの損失正接に等しくなり、ビードフィラーが多色構造を有する場合(図3および図4参照)には、以下の数式(1)に基づいて算出される。なお、kは、ビードフィラーを構成するビードフィラーゴムの数であり、tanδは、各ゴム材料の損失正接であり、Sは、タイヤ子午線方向の断面視における各ビードフィラーゴムの断面積である。
Figure 0005598262
例えば、ビードフィラー3がアッパー部31およびローアー部32から成る二色構造を有する構成(図3および図4参照)では、車両内側領域におけるビードフィラー3の平均損失正接tanδ_ave_inと、車両外側領域におけるビードフィラー3の平均損失正接tanδ_ave_outとが、以下の数式(2)、(3)に基づいて算出される。なお、tanδ_up_inは、車両内側領域におけるビードフィラー3のアッパー部31の損失正接であり、tanδ_low_inは、車両内側領域におけるビードフィラー3のローアー部32の損失正接である。同様に、tanδ_up_outは、車両外側領域におけるビードフィラー3のアッパー部31の損失正接であり、tanδ_low_outは、車両外側領域におけるビードフィラー3のローアー部32の損失正接である。これらの損失正接には、100[℃]における貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比E’/E”が用いられる。また、S_up_inは、車両内側領域におけるビードフィラー3のアッパー部31の断面積であり、S_low_inは、車両内側領域におけるビードフィラー3のローアー部32の断面積である。同様に、S_up_outは、車両外側領域におけるビードフィラー3のアッパー部31の断面積であり、S_low_outは、車両外側領域におけるビードフィラー3のローアー部32の断面積である。これらの断面積は、タイヤ子午線方向の断面視を基準として測定される。また、ここでいうtanδは、粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所製)を使用して、周波数20Hz、初期歪み10%、動歪み±2%、温度100[℃]の条件で測定したときの値をいう。
Figure 0005598262
このとき、この空気入りタイヤ1では、タイヤ子午線方向の断面視にて、車両内側領域におけるビードフィラー3の平均損失正接tanδ_ave_inおよび断面積S_inと、車両外側領域におけるビードフィラー3の平均損失正接tanδ_ave_outおよび断面積S_outとが、0.6≦tanδ_ave_in/tanδ_ave_out≦0.90、且つ、0.6≦tanδ_ave_in×S_in/tanδ_ave_out×S_out≦0.95の関係を有する。また、0.6≦tanδ_ave_in×S_in/tanδ_ave_out×S_out≦0.90であることが好ましい。S_inおよびS_outは、各ビードフィラー3、3の断面積である。
なお、tanδ_ave_in/tanδ_ave_outを、内外平均損失正接比と呼ぶ。また、tanδ_ave_in×S_inおよびtanδ_ave_out×S_outを、基準発熱量と呼び、tanδ_ave_in×S_in/tanδ_ave_out×S_outを、基準発熱量比と呼ぶ。タイヤ転動時におけるビードフィラー3の実際の発熱量H[kcal]は、この基準発熱量に比例する。内外平均損失正接比tanδ_ave_in/tanδ_ave_outおよび基準発熱量比tanδ_ave_in×S_in/tanδ_ave_out×S_outが小さいほど、ビード部の耐発熱性能が向上するため好ましい。
一方、一般に、ゴム材料の損失正接が小さくなると、ゴム材料のモジュラスも小さくなる。したがって、ビードフィラー3の構造強度を確保するために、ビードフィラーを構成するゴム材料の損失正接は、所定値以上に設定される。このため、内外平均損失正接比tanδ_ave_in/tanδ_ave_outの下限値および基準発熱量比tanδ_ave_in×S_in/tanδ_ave_out×S_outの下限値は、このビードフィラーを構成するゴム材料の損失正接に依存する。
例えば、タイヤ左右のビードフィラー3、3の平均損失正接tanδ_ave_in、tanδ_ave_outが0.045≦tanδ_ave_in≦0.13、且つ、0.08≦tanδ_ave_out≦0.12の範囲内にあることが、好ましい。これにより、ビードフィラー3、3の平均損失正接tanδ_ave_in、tanδ_ave_outの範囲が適正化されるので、ビード部の耐発熱性能が向上する。特に、車両内側領域のビード部は、車両のブレーキ熱やエンジン熱などの影響により熱劣化・熱疲労し易いため、ビードフィラー3の平均損失正接tanδ_ave_inが0.055≦tanδ_ave_in≦0.11の範囲内にあることが、より好ましい。
言い換えると、タイヤ左右のビードフィラー3、3の100%伸長時の平均モジュラスM_ave_in、M_ave_outが2.5≦M_ave_in≦4.2、且つ、3.0≦M_ave_out≦5.0の範囲内にあることが、好ましい。これにより、ビードフィラー3の平均モジュラスM_ave_in、M_ave_outの範囲が適正化されるので、ビード部の構造強度が適正に確保される。なお、車両外側領域のビード部は、タイヤ旋回時などの接地負荷による機械的疲労によって壊れ易い。したがって、車両内外のビード部は、相互に異なる原因により破損する傾向にある。また、ここでいう100%モジュラスは、JIS K6251に準拠し測定する値をいう。
なお、ビードフィラー3が複数のビードフィラーゴムから成る構成(図3および図4参照)では、ビードフィラー3の平均モジュラスM_ave_in、M_ave_outが数式(4)により算出される。ここで、kは、ビードフィラーを構成するビードフィラーゴムの数であり、Mは、各ゴム材料の損失正接であり、Sは、タイヤ子午線方向の断面視における各ビードフィラーゴムの断面積である。
Figure 0005598262
[平均損失正接の調整]
一般に、タイヤ左右のビードフィラー3、3の断面積S_in、S_outは、タイヤのユニフォミティを確保する観点から、等しく(S_in=S_outに)設定される。この場合には、内外平均損失正接比tanδ_ave_in/tanδ_ave_outおよび基準発熱量比tanδ_ave_in×S_in/tanδ_ave_out×S_outが、各ビードフィラー3、3の平均損失正接tanδ_ave_in、tanδ_ave_outにより調整される。
また、ビードフィラー3が複数のビードフィラーゴム31、32から成る構成(図3および図4参照)では、各ビードフィラーゴム31、32の損失正接tanδ_up_in、tanδ_low_in、tanδ_up_out、tanδ_low_outと断面積S_up_in、S_low_in、S_up_out、S_low_outとの関係を調整することにより、各ビードフィラー3、3の平均損失正接tanδ_ave_in、tanδ_ave_outを調整できる。
例えば、この実施の形態では、ビードフィラー3がアッパー部31およびローアー部32から成る二色構造を有する構成(図3および図4参照)において、各ビードフィラー3、3の断面積S_in、S_outがS_in=S_outとなっている。そして、ビードフィラー3のアッパー部31の損失正接tanδ_up_in(tanδ_up_out)および断面積S_up_in(S_up_out)と、ローアー部32の損失正接tanδ_low_in(tanδ_low_out)および断面積S_low_in(S_low_out)とが調整されることにより、ビードフィラー3全体としての平均損失正接tanδ_ave_in(tanδ_ave_out)および基準発熱量tanδ_ave_in×S_in(tanδ_ave_out×S_out)が設定されている。そして、左右のビードフィラー3、3の平均損失正接tanδ_ave_in、tanδ_ave_outおよび基準発熱量tanδ_ave_in×S_in、tanδ_ave_out×S_outが調整されることにより、内外平均損失正接比tanδ_ave_in/tanδ_ave_outおよび基準発熱量比tanδ_ave_in×S_in/tanδ_ave_out×S_outが所定の範囲内に適正化されている。
また、ビードフィラー3が複数のビードフィラーゴム31、32から成る構成(図3および図4参照)では、タイヤ径方向の最も外側にあるビードフィラーゴム31が最も小さい損失正接を有することが、好ましい。例えば、タイヤ左右のビードフィラー3、3がアッパー部31およびローアー部32から成る二色構造をそれぞれ有する構成(図3および図4参照)では、車両内側領域にあるビードフィラー3のアッパー部31が左右のビードフィラー3、3のゴム材料のうち最も小さい損失正接tanδ_up_inを有するように構成される。これにより、車両のブレーキ熱やエンジン熱などの影響を受け易い部分(タイヤ径方向の最も外側にある部分)の耐熱性が向上する。
また、車両内側領域のビードフィラー3のみが二色構造を有し、車両外側領域のビードフィラー3が単一構造を有しても良い(図5参照)。このとき、車両内側領域にあるビードフィラー3のアッパー部31が左右のビードフィラー3、3のゴム材料のうち最も小さい損失正接tanδ_up_inを有するように構成される。
なお、ビードフィラー3の平均損失正接(アッパー部31およびローアー部32の損失正接)は、公知の手法により調整され得る。例えば、平均損失正接を低減する手法として、カーボンの配合量を減らす、カーボンの粒子径が大きいものを使う、シリカを配合するなどの手法が採用され得る。
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1では、タイヤ子午線方向の断面視にて、タイヤ赤道面CLを境界とする一方の領域(車両内側領域)におけるビードフィラー3の平均損失正接tanδ_ave_inおよび断面積S_inと、他方の領域(車両外側領域)におけるビードフィラー3の平均損失正接tanδ_ave_outおよび断面積S_outとが、0.6≦tanδ_ave_in/tanδ_ave_out≦0.9、且つ、0.6≦tanδ_ave_in×S_in/tanδ_ave_out×S_out≦0.95の関係を有する(図1および図2参照)。
かかる構成では、タイヤ左右のビードフィラー3、3の内外平均損失正接比tanδ_ave_in/tanδ_ave_outと基準発熱量比tanδ_ave_in×S_in/tanδ_ave_out×S_outとが適正化されるので、例えば、タイヤが前記一方の領域(車両内側領域)を車両内側に向けて装着されたときに、ビード部の耐発熱性能が向上する利点がある。例えば、0.90<tanδ_ave_in/tanδ_ave_out、あるいは、tanδ_ave_in×S_in/tanδ_ave_out×S_out>0.95となると、車両のブレーキ熱やエンジン熱などの影響により、車両内側にあるビード部の熱劣化が大きくなり、好ましくない。
また、この空気入りタイヤ1では、一方の領域(車両内側領域)にあるビードフィラー3の平均損失正接tanδ_ave_inが0.045≦tanδ_ave_in≦0.13の範囲にある。かかる構成では、ビードフィラー3の平均損失正接tanδ_ave_inの範囲が適正化されるので、タイヤの耐発熱性能が適正に向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一方の領域(車両内側領域)にあるビードフィラー3が複数のゴム材料(例えば、アッパー部31およびローアー部32)から成るときに、タイヤ径方向の最も外側にあるゴム材料31が最も小さい損失正接を有する(図3および図4参照)。かかる構成では、車両のブレーキ熱やエンジン熱などの影響を受け易い部分(タイヤ径方向の最も外側にある部分)の耐熱性が向上する。これにより、ビード部の耐熱性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、上記のように、車両装着状態にて、一方の領域(上記の車両内側領域。小さい平均損失正接tanδ_ave_inを有するビードフィラー3が配置される領域。)が車両内側に位置すると共に他方の領域(上記の車両外側領域)が車両外側に位置する態様で、タイヤの装着方向が指定されることが好ましい。かかる構成では、タイヤの装着方向が指定されることにより、上記のタイヤ性能が適正に確保される利点がある。なお、タイヤの装着方向は、例えば、通常、内外(Inside-Outside)指定として、タイヤのサイドウォール部に表記される。
[適用対象]
一般に、タイヤ呼び幅が355[mm]以上、タイヤ扁平率が55[%]以下、規定リムのリム径が17.5[インチ]以上であり、且つ、シングル装着方式を採用する重荷重用タイヤでは、デュアル装着方式の空気入りタイヤと比較して、1本あたりの荷重負荷が大きいため、タイヤの発熱量が大きくなり易いという課題がある。そこで、かかる重荷重用タイヤに、この空気入りタイヤ1の構成(図1〜図5参照)が適用されることにより、タイヤの耐発熱性能の向上効果を顕著に得られる利点がある。
[性能試験]
この実施の形態では、条件が異なる複数の空気入りタイヤについて、(1)耐発熱性能および(2)耐機械疲労性能(構造強度)に関する性能試験が行われた。これらの性能試験では、タイヤサイズ445/50R22.5の空気入りタイヤがTRA規定の適用リムに組み付けられ、この空気入りタイヤにTRA規定の最高空気圧および規定単輸荷重の150%の荷重が負荷される。また、空気入りタイヤが、試験車両の6×4のドライブ軸に4本装着される。
(1)耐発熱性能および(2)耐機械疲労性能に関する性能試験は、室内ドラム試験機にて、走行速度45[km/h]の条件下にて、ビード部が破壊したときの走行距離が測定される。また、ビード部の熱劣化状態および機械疲労状態が観察される。そして、この結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価がそれぞれ行われる。(1)耐発熱性能の評価は、指数が大きいほど好ましく、指数が105以上であれば、優位性が認められる。また、(2)耐機械疲労性能の評価は、指数が大きいほど好ましく、指数が97以上であれば、ビード部の構造強度が適正に確保されているといえる。
従来例の空気入りタイヤは、左右のビードフィラーが単一構造を有し、また、同一の損失正接および断面積を有している。
実施例1〜4の空気入りタイヤ1は、タイヤ左右のビードフィラー3、3が単一構造を有し、また、同一の断面積S_in=S_outを有している(図1および図2参照)。一方、実施例5の空気入りタイヤ1は、タイヤ左右のビードフィラー3、3がアッパー部31およびローアー部32から成る二色構造を有し、また、同一の断面積S_in=S_outを有している(図3および図4参照)。また、これらの空気入りタイヤ1は、タイヤ左右のビードフィラー3、3の内外平均損失正接比tanδ_ave_in/tanδ_ave_outと基準発熱量比tanδ_ave_in×S_in/tanδ_ave_out×S_outとが0.6≦tanδ_ave_in/tanδ_ave_out≦0.90、且つ、0.6≦tanδ_ave_in×S_in/tanδ_ave_out×S_out≦0.95の関係を有している。
試験結果に示すように、実施例1〜5の空気入りタイヤ1では、タイヤの耐発熱性能が向上することが分かる(図6参照)。また、実施例1〜5と比較例1〜4とを比較すると、ビードフィラー3の平均損失正接tanδ_ave_in、tanδ_ave_outの範囲が適正化されることにより、タイヤの耐機械疲労性能を維持しつつ耐発熱性能を向上できることが分かる。
また、実施例5と比較例3とを比較すると、ローアー部32の損失正接tanδ_low_inが低すぎると、ビード部の機械疲労性が著しく悪化することが分かる。また、実施例5と比較例4とを比較すると、タイヤ左右のビードフィラー3、3の内外平均損失正接比tanδ_ave_in/tanδ_ave_outの範囲と基準発熱量比tanδ_ave_in×S_in/tanδ_ave_out×S_outの範囲との双方が適正化されることにより、ビード部の耐発熱性能が適正に向上することが分かる。
以上のように、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤの耐発熱性能を向上できる点で有用である。
1 空気入りタイヤ
2 ビードコア
3 ビードフィラー
31 アッパー部
32 ローアー部
4 カーカス層
41 本体部
42 巻き返し部
5 ベルト層
51〜53 ベルト材
6 トレッドゴム
7 サイドウォールゴム

Claims (5)

  1. 一対のビードコアと、前記ビードコアのタイヤ径方向外側にそれぞれ配置される一対のビードフィラーとを備える空気入りタイヤであって、
    前記ビードフィラーの損失正接の平均値を平均損失正接と呼ぶときに、
    タイヤ子午線方向の断面視にて、タイヤ赤道面を境界とする一方の領域における前記ビードフィラーの平均損失正接tanδ_ave_inおよび断面積S_inと、他方の領域における前記ビードフィラーの平均損失正接tanδ_ave_outおよび断面積S_outとが、0.6≦tanδ_ave_in/tanδ_ave_out≦0.9、且つ、0.6≦tanδ_ave_in×S_in/tanδ_ave_out×S_out≦0.95の関係を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記一方の領域にあるビードフィラーの平均損失正接tanδ_ave_inが0.045≦tanδ_ave_in≦0.13の範囲にある請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記一方の領域にある前記ビードフィラーが複数のゴム材料から成るときに、タイヤ径方向の最も外側にある前記ゴム材料が最も小さい損失正接を有する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  4. 車両装着状態にて、前記一方の領域が車両内側に位置すると共に前記他方の領域が車両外側に位置する態様で、タイヤの装着方向が指定されている請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  5. タイヤ呼び幅が355[mm]以上、タイヤ扁平率が55[%]以下、規定リムのリム径が17.5[インチ]以上であり、且つ、シングル装着方式を採用する重荷重用タイヤに適用される請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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