JP5596331B2 - 充電機能を備えた立体駐車装置 - Google Patents

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本発明は、内燃機関駆動の車両と電気自動車を混在して格納し、格納された電気自動車に対して充電する機能を備えた立体駐車装置に関する。
立体駐車装置は、スペースの少ない土地に多数の車両を効率よく駐車できる駐車設備として、住宅密集地等においてひろく利用されており、利用する土地の広狭や経済性などを考慮した種々の構造のものが提供されている。この立体駐車装置の機種の一つとして、パレット上に車両を搭載して車両の移動を行ういわゆるパレット式の立体駐車装置がある。また、このパレット式の立体駐車装置に昇降リフトと立体的な駐車階層とを組合せて、より駐車効率を高めたものも提供されている。
このようなパレット式の立体駐車装置の一例として、例えばエレベータ式駐車場は次のように構成されている。エレベータ式駐車場は、地上に立設した建屋の中央部に昇降リフト用の昇降路を垂直方向に形成し、この昇降路の両側あるいは片側のスペースに駐車室を階層状に設けている。昇降リフトの上部にはパレットが搭載され、このパレット上に車両を載せて昇降リフトが上下し、車両を入出庫階と駐車室との間で搬送する。入出庫階では、車両の入出庫時にパレットと入出庫階の床面とが同一の高さとなるように昇降リフトが停止しており、車両は自走によりパレット上からの乗り降りを行う。昇降リフトが移動して各駐車室に位置すると、昇降リフト上でパレットをスライドさせ、パレットとともに車両の格納及び取り出しが行われる。
近時、環境問題への関心の高まりから内燃機関の車両に替わるものとして電気自動車が注目されてきている。この電気自動車は排気ガスを排出しないために環境の保全には優れているが、液体燃料に替えて電気自動車に搭載したバッテリーに電気を供給して充電する必要がある。したがって、この電気自動車が世間一般にひろく普及してゆくためには、街中や高速道路のサービスエリアなどにバッテリーを充電するための多くの設備が必要とされる。このようなことから、従来、格納中の電気自動車に対して充電が可能となるように構成した立体駐車装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1には、次のような構成が開示されている。電気自動車を搭載するパレットにはスタンドが立設されており、このスタンドには、電気自動車に接続して電気を供給する充電側接続部を備えている。この充電側接続部は、パレットの端面に設けられた雌型コネクタにケーブルを介して接続されている。一方、駐車棚には充電装置に連結されている雄型コネクタが備えられており、この雄型コネクタは電磁ソレノイドによって雌型コネクタと係合離脱するようになっている。このような構成によって、電気自動車が駐車棚に格納されているときには、雄型コネクタと雌型コネクタとを電磁ソレノイドによって係合させて充電を行い、また、電気自動車の出庫時には、雄型コネクタと雌型コネクタとを離脱させた後にパレットを昇降装置へと移動して電気自動車を移送するようにしている。
特開平4−366283号公報
しかしながら、このような構成を全てのパレット及び全ての駐車棚に設けるようにすると、製造に要するコストや建設工事に要するコストが増大してしまう。また、電気自動車は将来的に普及することが予想されるものの、全ての自動車が電気自動車に切り替わるには相当の時間を要すると考えられる。したがって、製造や建設工事に要するコストを考慮すると、現時点においては任意の駐車棚に一台ないし数台の電気自動車を収容し、他の駐車棚には内燃機関駆動の車両を収容するように構成した、いわゆる混在型の立体駐車装置が望ましい。
本発明は、このように電気自動車と内燃機関駆動の車両とを収容する混在型の立体駐車装置において、任意の駐車階に格納された電気自動車に対して、充電を好適に行うことのできる充電機能を備えた立体駐車装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために請求項1の発明は、車両を格納する複数の駐車室を昇降路に沿って設け、該昇降路を昇降する搬器にパレットを搭載して前記駐車室へ搬送し、前記パレットとともに前記車両を駐車する立体駐車装置において、電力の供給を受ける受電接点と該受電接点に接続された給電コネクタとを備えた電気自動車用パレットと、前記搬器に備えられて前記受電接点と係合及び離脱可能な給電接点と、外部電源から電力供給される急速充電器と、該急速充電器から前記給電接点に電力を供給する送電手段と、を備え、前記車両の入出庫の動作を行わないときに、充電を行う電気自動車が駐車された前記駐車室へ前記搬器が移動し、前記電気自動車用パレットの前記受電接点と前記搬器の前記給電接点とが係合して、前記電気自動車用パレットに搭載されて前記給電コネクタに接続された前記電気自動車に充電を行うようになっており、かつ、充電中に前記車両の入出庫の要請があったときには、充電を中断して前記電気自動車用パレットの前記受電接点と前記搬器の前記給電接点との係合を解除し、前記搬器を用いて前記車両の入出庫の動作を行い、当該動作の終了後、前記電気自動車が駐車された前記駐車室へ前記搬器が再び移動して、充電を再開するようになっていることを特徴としている。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の充電機能を備えた立体駐車装置において、前記給電コネクタ前記受電接点前記電気自動車用パレットの中心に対して点対称の位置にそれぞれ備えたことを特徴としている。
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の充電機能を備えた立体駐車装置において、前記外部電源を前記急速充電器と立体駐車装置を駆動する動力電源とに切り換える電源切替器を備えたことを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、任意の位置の駐車室に格納された電気自動車に対して、搬器が移動して充電を行うことが可能であり、予め駐車室へ配線を行っておくことは必要でないので、建設工事が繁雑になることを回避できコストも削減できる。
請求項2に記載の発明によれば、電気自動車用パレットの向きを180°回転させても回転前と同一の構成となるので、入出庫時の電気自動車用パレットの旋回動作を簡略化できる。
請求項3に記載の発明によれば、外部電源は動力電源と急速充電器とに重複することなく供給されるので、充電したまま搬器が動き出すといったような誤動作を防止できるとともに、外部電源の容量を小さくすることができる。
立体駐車装置の概略を示す正面図 立体駐車装置の概略を示す側面図 電気自動車用パレットと搬器との関係を示す正面図
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。図1及び図2は、立体駐車装置10の概略を示す正面図及び側面図である。立体駐車装置10の内部には、中央を上下に貫通する昇降路11が形成されており、この昇降路11を昇降可能に昇降リフト12を設けている。昇降リフト12は、車両19を搭載する搬器13の四隅にワイヤロープ14を連結し、このワイヤロープ14を立体駐車装置10の上部に設けた巻き上げ装置(図示せず)により、巻き上げ又は巻き戻しすることにより搬器13を昇降駆動するようにしたものである。
昇降路11の両側方には、複数の駐車室17が上下多段に形成されており、各駐車室17には、それぞれ車両19を搭載するためのパレット18を備えている。この立体駐車装置10においては、地上1階部分を車両19の入出庫階15としており、車両19の入退出方向16は、搬器13の長手方向に対して直交する方向に設定されている。車両19が格納されていない何れかの駐車室17にある空のパレット18は、搬器13上へスライド(横行)させられた後、搬器13とともに入出庫階15に降下して停止する。入出庫階15の下方には、パレット18を旋回して向きを変えるパレット旋回装置20を備えており、入出庫階15に到着したパレット18は、このパレット旋回装置20により90°旋回させられて、その長手方向が車両19の入退出方向16となるように方向転換して待機する。
車両19の入庫時には、車両19が自走してパレット18上へと乗り込んだ後、車両19及びパレット18は、パレット旋回装置20により90°旋回させられて搬器13上に載置される。そしてこの後搬器13は、元の駐車室17の位置、すなわち、パレット18を取り出して空になった駐車室17まで車両19及びパレット18を搬送し、この後パレット18ごと車両19を横行させて格納する。この実施例においては、駐車室17のうち任意の位置の駐車室17には、電気自動車30を搭載して充電を行う電気自動車用パレット18aを配置し、立体駐車装置10内には内燃機関の車両19と電気自動車30とが混在して格納される。
立体駐車装置10には、急速充電器22を備えるとともに電源切替器23を備えており、外部電源から供給される電力は、この電源切替器23により昇降リフト12等を駆動する動力電源21側と急速充電器22側とに選択的に切替えて供給されるようにしている。急速充電器22は、交流電流を直流電流に変換する変換部と、充電の電流、電圧及び時間等の制御を行う制御部とを有しており、電気自動車30のバッテリーに対して最適な充電を行うようになっている。急速充電器22の直流側出力は、送電手段を介して搬器13に供給される。この送電手段としては、図1に示すように可塑性を有する移動電線24やエレベーターケーブル等を用いてもよく、また昇降路11に給電線を張り渡し、これに搬器13に備えたトロリーを接触させて給電するようにした集電装置等を採用してもよい。
図3に示すように、搬器13の駐車室17側側方には給電接点26を備えており、移動電線24は、この給電接点26に接続されている。一方、電気自動車用パレット18aの側方には、搬器13の給電接点26と対応する位置に受電接点27を備えている。給電接点26と受電接点27とは、例えば、以下のようにして係合離脱可能に構成している。給電接点26は、搬器13の側方に向けて突出及び引っ込み自在に備えられるとともに、電磁ソレノイドやアクチュエータを搬器13に備えて給電接点26と連結し、電磁ソレノイドやアクチュエータに通電することにより給電接点26が突出または引っ込みの動作をするように構成する。搬器13が昇降路11を移動するときには、給電接点26は搬器13側に引き込まれており、後述するように、電気自動車30に充電をするときには、所定の位置に搬器13が停止した後に給電接点26を突出させて、給電接点26と受電接点27が係合する。
電気自動車用パレット18aの側縁の上部には、給電コネクタ28が固着されており、この給電コネクタ28と受電接点27との間を配線して接続している。電気自動車30の充電時には、充電ケーブル29の一端を給電コネクタ28に接続するとともに、他端を電気自動車30の給電口に接続して電気自動車30のバッテリーに通電する。給電コネクタ28と受電接点27とは、電気自動車用パレット18aの中心に対して点対称の位置にそれぞれ設けられている。
次に、以上の構成により立体駐車装置10における充電の動作を説明する。電気自動車30の入庫時には、立体駐車装置10の入出庫口付近に備えた運転操作盤の操作によって、電気自動車用パレット18aの呼び出しを行う。このとき外部電源は電源切替器23によって動力電源21側に切替られている。呼び出し操作により搬器13は、空の電気自動車用パレット18aを収容している駐車室17に移動し、駐車室17から電気自動車用パレット18aを搬器13上に移動させた後、入出庫階15まで下降する。入出庫階15に到着した電気自動車用パレット18aは、前記したように旋回動作が行われて入退出方向16に向けられて停止する。この後、入出庫口の扉が開き、電気自動車30は自走して電気自動車用パレット18a上へ乗り込む。
電気自動車30の搭乗者あるいは立体駐車装置10の係員は、充電ケーブル29を給電コネクタ28と電気自動車30の給電口とに接続した後、入出庫階15から退出する。この後、電気自動車用パレット18aは、前記したように所定の動作を行って昇降路11を移動し、駐車室17に格納される。引き続き入出庫の要請があるときは、搬器13は入出庫動作を行うが、このような要請がないときに搬器13は、搬器13の給電接点26と電気自動車30を搭載した電気自動車用パレット18aの受電接点27との高さが合致する位置に移動し、給電接点26の突出動作を行って給電接点26と受電接点27とが係合する。次いで、電源切替器23が切り替わって急速充電器22に電力が供給されるとともに、急速充電器22が始動して電気自動車30の充電が開始される。
充電が終了するか、または入出庫の指令があると、まず急速充電器22が停止し、この後、電気自動車用パレット18aの受電接点27が引き込まれて給電接点26と受電接点27が離脱する。次いで、電源切替器23が切り替わって外部電源が動力電源21に接続され、搬器13が移動して所要の動作を行う。充電の途中で搬器13の移動を行うときは、一旦充電を中止して搬器13が所要の動作を行った後、再び当該位置に搬器13を停止させて充電を再開する。このように、本発明においては、立体駐車装置10の動作を停止しているときを利用して充電を行うものであるが、充電時間が少なくて済む急速充電器22を使用しているため、このような状況であっても充電可能である。
以上説明したように本発明では、電源切替器23により充電時と立体駐車装置10自体の動作時とで、電力の供給を選択的に切り換えるようにしているので、充電を行ったまま搬器13が動き出すといったような誤動作が発生せず安全である。また、従来例の構成において既存の設備に充電装置を追加して設ける場合には、外部電源から動力電源に供給されている電力は限定されているので、このために別途充電用の電源を確保しなければならず電源設備の大幅な改造が必要になる。しかしながら、上記の構成であれば動力電源21として使用する電力を充電の電力とを交互に使用するので、電源設備等の大きな改造は必要なくコストを削減することができる。
電気自動車30の出庫時には、搬器13が該当する駐車室17に移動した後、電気自動車用パレット18aが搬器13上へと引き出され、昇降路11を下降して入出庫階15まで移送される。次いで、電気自動車用パレット18aは入庫時と反対の方向、すなわち電気自動車30の正面が出入り口に向くように旋回させられて停止し、この後、充電ケーブル29を取り外して電気自動車30は前進で入出庫階15から退出する。したがって、入庫時と出庫時では、入出庫階15において電気自動車用パレット18aの停止する方向が180°相違することになるが、上記したように電気自動車用パレット18aの給電コネクタ28と受電接点27とは、電気自動車用パレット18aの中心に対して点対称の位置にそれぞれ備えているので、電気自動車用パレット18aの向きがどちらの向きとなっても同一の状態となる。したがって、電気自動車用パレット18aの向きを揃えるために別途旋回するといったような動作は必要ない。
10 立体駐車装置
11 昇降路
12 昇降リフト
13 搬器
14 ワイヤロープ
15 入出庫階
16 入退出方向
17 駐車室
18 パレット
18a 電気自動車用パレット
19 車両
20 パレット旋回装置
21 動力電源
22 急速充電器
23 電源切替器
24 移動電線
30 電気自動車

Claims (3)

  1. 車両を格納する複数の駐車室を昇降路に沿って設け、該昇降路を昇降する搬器にパレットを搭載して前記駐車室へ搬送し、前記パレットとともに前記車両を駐車する立体駐車装置において、
    電力の供給を受ける受電接点と該受電接点に接続された給電コネクタとを備えた電気自動車用パレットと、前記搬器に備えられて前記受電接点と係合及び離脱可能な給電接点と、外部電源から電力供給される急速充電器と、該急速充電器から前記給電接点に電力を供給する送電手段と、を備え
    前記車両の入出庫の動作を行わないときに、充電を行う電気自動車が駐車された前記駐車室へ前記搬器が移動し、前記電気自動車用パレットの前記受電接点と前記搬器の前記給電接点とが係合して、前記電気自動車用パレットに搭載されて前記給電コネクタに接続された前記電気自動車に充電を行うようになっており、
    かつ、充電中に前記車両の入出庫の要請があったときには、充電を中断して前記電気自動車用パレットの前記受電接点と前記搬器の前記給電接点との係合を解除し、前記搬器を用いて前記車両の入出庫の動作を行い、当該動作の終了後、前記電気自動車が駐車された前記駐車室へ前記搬器が再び移動して、充電を再開するようになっていることを特徴とする充電機能を備えた立体駐車装置。
  2. 前記給電コネクタ前記受電接点前記電気自動車用パレットの中心に対して点対称の位置にそれぞれ備えたことを特徴とする請求項1記載の充電機能を備えた立体駐車装置。
  3. 前記外部電源を前記急速充電器と立体駐車装置を駆動する動力電源とに切り換える電源切替器を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の充電機能を備えた立体駐車装置。
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