JP5595033B2 - 表示装置 - Google Patents
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Description
電子放出素子型ディスプレイは、電子源から放出させた電子を励起源とし、蛍光体などから成る発光層を励起して発光させ、外部に光を取り出す構成である。
有機ELディスプレイ、LEDディスプレイは、励起源として電流を発光層に注入し、発光させ、外部に光を取り出す構成となる。
いずれの構成においても、発光層から射出した光は、前面板や電極などを介して外部に光を取り出す。
しかしながら、発光層、前面板、電極などの界面で屈折率差が生じるため、発光層から射出した光のうち臨界角以上の射出角の光は全反射を起こす。
このため、外部に光を取り出すことができず、光の取り出し効率が低くくなり、表示装置の輝度が低下する。
その際、特許文献1のように、発光層と回折格子の間に薄膜の中間層を形成することで、光の取り出し効率を高く、安定的に電極を作製し良好な発光状態をもたせる構造が提案されている。
このような薄膜では、均一で平坦な中間層を形成しようとしても、回折格子の形状に引きずられ、中間層は凹凸形状となる。
中間層が均一で平坦でない凹凸形状となると、良好な発光層を形成するこが困難となり、内部量子効率が低下する。
また、発光した光の取り出し効率が画素または表示装置の面内で変化するため表示装置は輝度ムラが発生する。
このようなことから、中間層が凹凸形状とならないために、中間層の膜厚を大きく形成した方がよいが、一方では中間層を厚膜に形成すると、光の取り出し効率が低下するという課題が生じる。
また、中間層を厚膜で形成し均一で平坦な膜を製造した後に、CMP法などにより薄膜化しても良いが、大画面を均一に加工することは困難であり、またコストも高くなる。
前記中間層は、膜厚が少なくとも500nm以上、2000nm以下で、平均屈折率が前記発光層の屈折率よりも大きく、
前記中間層の平均屈折率と前記中間層の膜厚との積で求められる値を前記中間層の光路長とするとき、該中間層の光路長が以下の式を満たすことを特徴とする表示装置。
m:0以上の整数
λ0:真空中の波長
nm:前記中間層の平均屈折率
d:前記中間層の膜厚、
nL:前記発光層の屈折率
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
実施例1として、図1を用いて本発明を適用した表示装置の構成例について説明する。
図1には、複数の画素で形成される電界放出素子型ディスプレイの単一画素の断面概略図が示されている。
本実施例の表示装置は、電子源101から放出させた電子102を、蛍光体から成る発光層103に照射し、各画素に対応した色の発光を放射させる。
放射した光は中間層104を介し、回折格子105で一部の光が回折されて外部に取り出される。回折格子105は面内で屈折率分布を有する構造とされている。
また、本実施例では中間層104を500nm以上の膜厚で形成することで、回折格子105の形状に引きずられず均一に平坦な膜を作製することができる。
この中間層104の膜厚は、好ましくは750nm程度の膜厚とすることによって、画素における表示画面内でより均一で平坦な中間層を容易に形成することが可能となる。
但し、中間層は単一層に限らず1層以上の複数層で構成して、層ごとに凹凸形状を緩和させ、平坦化して作製してもよい。
また、中間層104を2000nm以下の膜厚に形成することで、安定良く、低コストに作製することができる。2000nm以上の膜厚で作製すると、画素間での膜厚誤差ばらつきが大きくなったり、原材料の増加やスループットの悪化によるコスト増加となる。
さらに中間層104の膜厚は、好ましくは1500nm以下で作製することが望ましい。
η0、Δηは発光層103、回折格子105などの屈折率により大きさを変化させることができる。
また、光の取り出し効率ηとは発光層103から等方的に放射した光が前面板106の外部(空気)に取り出される割合である。
図2に中間層での反射光間の位相差αと光の取り出し効率の関係を示す。
発光層103と回折格子105の間に中間層104を形成すると、臨界角より大きな角で発光層から放射した光は、中間層または発光層の界面で多重反射し、中間層や発光層内に閉じ込められる。
閉じ込められた光は、中間層や発光層内を伝播しながら、回折格子と結合し外部に取り出される(図3(a))。
中間層の界面で多重反射する成分の位相が合致し強め合うとき(α=(4m+1)π/2 mは0以上の整数)、発光層から放射した光は中間層への閉じ込めが強くなる(図3(b))。
中間層に閉じ込められた光は損失が少なく、回折格子との結合効率が高くなるため、光の取り出し効率が高くなる(図2領域1)。
一方、中間層の界面で多重反射する成分の位相が弱め合うとき、中間層への光の閉じ込めが弱くなり、発光層から放射した光は主に発光層に閉じ込められる(図3(c))。
発光層に閉じ込められた光は、発光層内の蛍光体に再吸収されたり、裏面から放射されたり、画素端の吸収材料に到達し吸収される。
このように放射した光の一部が損失となるため、光の取り出し効率は低くなる(図2領域2)。
このようなことから、光の取り出し効率は中間層での反射光の位相差に応じて周期的に変化する。
また、中間層の平均屈折率は、中間層の光路長を中間層の総膜厚で除した値とする。言い換えれば、中間層の平均屈折率と中間層の膜厚との積で求められる値が中間層の光路長となる。
また、θmは中間層を伝播する光の角であり、スネルの法則より以下の式(3)を満たす。
つまり、θLが80°から90°の光が、光の取り出し効率に寄与する。
これは、角θLが大きいと発光層から放射する光量が大きくなるので、光の取り出し効率に寄与するためである。
また、初期位相(0.2π)は、中間層で発生するエバネッセント波と回折格子との結合により生じ、エバネッセント波の侵入長に起因している。
以上の結果より、式(4)を満たす範囲であれば、500nm以上、且つ、2000nm以下の膜厚で中間層を形成した構成においても、高い光の取り出し効率が得られる。
これにより、光の取り出し効率が高く、輝度ムラを低減させた表示装置を得ることができる。
発光層103は屈折率1.7から成り、中心波長550nmで発光する蛍光体を含む層で構成される。
回折格子105は屈折率1.8、膜厚950nmのAl2O3に直径1450nmの空孔を三角格子状に周期2300nmで形成する。
中間層104は透明電極と誘電体層の2層で構成する。透明電極は屈折率1.8のITOで形成し、誘電体層は、屈折率1.8のAl2O3で形成する。
このとき、式(1)と数値計算がよく一致し、式(4)の範囲で光の取り出し効率が高くなる。
よって、光の取り出し効率は光取り出し効率の平均値(η0=57.5%)より高く、中間層を挿入しないときの光の取り出し効率(56.6%)より高くなる。
また、中間層の膜厚は1100nmで形成しているため、通常の積層プロセスで容易に均一で平坦な膜を作製できる。
以上より、光の取り出し効率が高く、輝度ムラを低減させた表示装置を得ることができる。
但し、中間層の平均屈折率が回折格子の有効屈折率より大きいと、発光層から放射した光が中間層に強く閉じ込める。
中間層に閉じ込められた光は損失が少なく、回折格子との結合効率が高いため、中間層の平均屈折率は回折格子の有効屈折率より大きい方が望ましい。
また、本実施例では、式(4)の正の整数mが2のときの構成としたが、必ずしも2以上である必要はなく、0または1であっても光の取り出し効率を高くすることができる。
しかしながら、正の整数mが2以上とすると、中間層の光路長が波長の2または3倍以上の長さとなる。
このとき、中間層に閉じ込められた光は中間層を十分に伝播することができるため、画素の面内で均一な光を取り出すことができるため望ましい。
しかしながら、発光層近傍に電極を形成したほうが、発光層の内部量子効率が向上するため望ましい。
また、本実施例では、中間層104にAl2O3から成る誘電体層を回折格子105の側に膜厚800nmで形成した。
誘電体層を500nm以上、2000nm以下の膜厚で構成することで、誘電体層のみで均一で平坦な膜を作製することができる。
このため、作製プロセスが容易になり、また、低いコストで作製できる。
また、本実施例では、中間層を無機材料であるAl2O3、ITOで形成したが、必ずしも無機材料のみで形成する必要はなく、有機材料を用いて形成してもよい。
但し、無機材料で形成すると、発光層で発生する熱にも強い構成となり、高い耐久性が得られるため望ましい。
発光層から放射する光の波長が450nm、650nmのとき、中間層の光路長と光の取り出し効率は図5(a)(b)に示すようになる。よって、誘電体層の膜厚をそれぞれ600nm、950nmに形成すれば光の取り出し効率はそれぞれ57.5%、55.3%となり、各画素で光の取り出し効率が高くなる。
実施例2として、図6を用いて本発明を適用した表示装置の構成例について説明する。
図6には、複数の画素で形成される有機ELディスプレイの単一画素の断面概略図が示されている。
本実施例の表示装置では、電極201と透明電極204に電位差を与え、電流を注入することで、発光層203を励起させ、各画素に対応した色の発光を放射させる。
放射した光は、中間層である透明電極204を介し、回折素子205で一部の光が回折され外部に取り出される。
回折素子205は、周期的な回折格子、対称性が高い準フォトニック結晶、非周期に配列された微粒子などの回折素子であればいずれの構成でもよい。
同様に、発光波長が450nm、650nmであれば、透明電極204の膜厚をそれぞれ500nm、700nmで形成すれば、光の取り出し効率は高くなる。以上の構成によれば、光の取り出し効率が高く、輝度ムラを低減させた表示装置を得ることが可能となる。
実施例3として、図7を用いて、実施例1または実施例2などの製造プロセスについて説明する。
本実施例の製造プロセスにおいて、まず、ガラス基板(前面板)106に回折素子305を形成するため、材料1を積層する(図7(a))。
続いて、レジスト膜を蒸着またはスパッタし、所定位置に感光してレジストマスク307を形成する(図7(b))。
その後、RIEなどのエッチング手法により、材料1を所定の深さまでエッチングし、アッシング等によりレジストマスク307を除去すする(図7(c))。次に、材料1に形成した空孔に、誘電体などから成る材料2を埋めこむ場合、材料2を直進性のよいスパッタまたは蒸着等により埋めこむ(図7(d))。
このとき、回折素子305の形状に引きずられ層314が凹凸形状となる。その後、層324を均一に作製するため、積層する膜厚を大きくする(図7(e))。
膜厚を大きく形成するにつれ、凹凸形状が緩やかになり膜厚が500nm程度以上大きくすると、ほぼ平坦な層324膜を形成することができる(図7(f))。
続いて、必要に応じてITOなどの電極314を蒸着またはスパッタし、中間層304を形成する(図7(g))。
その後、発光層303を形成し(図7(h))、必要に応じて、電極または後面板を作製し表示装置を得る。
材料1に形成した空孔に材料を埋め込まず空気で形成する場合、層314を形成するために、材料3を直進性のわるい蒸着またはスパッタ等により形成する。
層314が薄い場合、回折格子の形状に引きずられ層324は凹凸形状となる(図8(a))。
しかしながら、層314の膜厚を大きく形成するにつれ凹凸形状が緩やかになり(図8(b))、やがて、平坦となる(図8(c))。
その後、上記作製方法と同様のプロセスで表示装置を得る。
101:電子源
102:電子
103、203、303:発光層
104、204、304:中間層
105、205、305:回折素子
106:前面板
114、201、314:電極
124:誘電体層
307:レジストマスク
324:層
Claims (6)
- 前記中間層の平均屈折率は、前記回折素子の有効屈折率より大きいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
- 前記整数mが、2以上の正の整数であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
- 前記中間層は、電極を含む層を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
- 前記中間層は、前記回折素子の側に誘電体層を有し、該誘電体層は500nm以上の膜厚を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の表示装置。
- 前記中間層は、無機材料で形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の表示装置。
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