JP5593668B2 - 転写加飾シートの製造方法、加飾成形品の製造方法及び加飾成形品 - Google Patents
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Description
このような射出成形同時加飾法は、ラミネート加飾法と転写加飾法とに大別することができる。ラミネート加飾法は、基材フィルム及びその上に設けられた装飾層を有する加飾シートの全層が、樹脂成形体の表面に積層一体化されるものであり、一方、転写加飾法は、樹脂成形体の表面に積層一体化された加飾シートのうち、基材フィルムが剥離除去され、装飾層等の転写層のみが樹脂成形体に残留して積層されるものである。転写加飾法では、加飾シートとして転写加飾シートが用いられ、基材フィルムには、成形性に加えて、剥離性が要求される。
本発明は、このような状況下で、十分な剥離性を有し、かつ優れた意匠を成形品に付与することのできる転写加飾シートの製造方法、該転写加飾シートを用いた加飾成形品の製造方法、及び該製造方法により得られた意匠性に優れた加飾成形品を提供するものである。
(1)表面が離型処理されている基材フィルムの該表面に、剥離層、絵柄層及び接着層を積層する工程を有する転写加飾シートの製造方法であって、少なくとも剥離層及び絵柄層の積層をグラビア印刷により行い、かつ少なくとも剥離層を積層する際の基材フィルムの温度を20℃以下とすることを特徴とする転写加飾シートの製造方法、
(2)上記(1)に記載の製造方法により得られる転写加飾シートを用いる加飾成形品の製造方法であって、(A)射出成形金型内に転写加飾シートを配する工程、(B)キャビティ内に溶融樹脂を射出し、冷却・固化して、樹脂成形と転写加飾シートの接着を同時に行う工程、及び(C)基材フィルムを剥離する工程を有する加飾成形品の製造方法、及び
(3)上記(2)に記載の方法により得られる加飾成形品、
を提供するものである。
上記離型層2は、離型剤を塗布、乾燥させることによって形成することができ、離型剤の塗布方法としては、特に限定されず、グラビア印刷法、ロールコート法、スプレーコート法等を挙げることができる。
また、離型剤としては、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース樹脂系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤、アクリル樹脂系離型剤及びこれらの複合型離型剤等を用いることができる。これらのうち、アクリル樹脂系離型剤及びポリオレフィン樹脂系離型剤が好ましく、アクリル−ポリエチレン系などのこれらを複合したものが特に好ましい。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
なお、電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。
紫外線の場合のエネルギー源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、無電極放電ランプ、キセノンランプ、エキシマランプ等の紫外線ランプ類を挙げることができる。照射線量としては、50〜10000mJ/cm2が好ましい。
また、電子線の場合は、電子線源として、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
また、剥離層3を構成する樹脂組成物には、表面の傷つき防止性を付与するために、ポリエチレンワックスを含有させてもよい。ポリエチレンワックスの含有量としては、剥離層3を構成する樹脂組成物中に0.1〜20質量%程度である。
特に、剥離層3を塗工する際の基材フィルム1の温度が高い場合に、本発明を適用する効果は大きく、後述する基材フィルム1の裏面に静電気防止層7などの機能性膜を設け、加熱乾燥工程に引き続いて、連続的に剥離層3を設ける場合などに本発明は有効である。通常、静電気防止層7などを設けた場合には、70℃程度で加熱乾燥が行われ、基材フィルム1の温度は50〜60程度まで上昇する。
基材フィルムの温度を20℃以下とする手法については、種々の方法をとることができ、例えば、基材フィルムに冷風を吹きかける方法、内部に冷却水を通したクーリングロールで冷却するなどの方法が例示される。
また、剥離層3の厚さは0.5〜30μmとすることが好ましい。0.5μm以上であると十分な耐摩耗性、耐薬品性などの表面物性が得られ、30μm以下であれば、形状追従性などの成形性が得られるとともに、経済性の点からも有利である。以上の観点から、剥離層3の厚さは1〜10μmの範囲がより好ましい。
該絵柄層4は、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂、アルキド系樹脂等の樹脂をバインダーとして、適切な色の顔料又は染料を着色剤として含有する着色インキ等による印刷によって形成することができる。特に好ましい態様であるメタリック調の絵柄は、アクリル樹脂や酢酸セルロース樹脂などのバインダーにアルミニウムなどの箔片を混入させたものなどが用いられる。
本発明においては、絵柄層4の塗工は、剥離層3と同様にグラビア印刷法を用いる。なお、グラビア印刷法は、生産効率の観点から好ましい方法である。
接着層5の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法等のコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の印刷法がある。
なお、接着層5の厚さは1〜5μmとすることが好ましい。1μm以上であると十分な接着性が得られ、5μm以下であると経済性の点で有利である。
帯電防止剤としては、種々の界面活性剤が挙げられ、アルキルサルフェート型、アルキルアリールサルフェート型、アルキルホスフェート型、アルキルアミンサルフェート型などのアニオン系界面活性剤;第4級アンモニウム塩型、イミダゾリン型などのカチオン系界面活性剤;ソルビタン型、エーテル型、アミン型、アミド型、エタノールアミド型などのノニオン系界面活性剤;ベタイン型などの両性界面活性剤などが挙げられる。
静電気防止層7の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法等のコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の印刷法がある。
ここで用いることのできる樹脂材料としては、射出成形可能な熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いることができる。例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂(耐熱ABS樹脂を含む)、AS樹脂、AN樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等を使用することができる。
(評価方法)
実施例及び参考例で得られた転写加飾シートについて、以下の方法で評価した。
(1)平均表面粗さ(Ra)
JIS B0601−1976記載の方法に従って行った。具体的には、以下の通りである。
測定には、小坂研究所株式会社製、表面粗さ計「SE−3F」を用いた。測定はまず、触針径2μm、触針加重30mg、カットオフ値0.08mm、測定長2.5mmの条件で、中心線平均粗さを求めた。これを12か所の測定点で行い、このうち最大値と最小値をそれぞれカットし、10点の平均値を求めて平均表面粗さ(Ra)とした。
(2)射出成型同時加飾による加飾成形品の製造
実施例及び比較例で製造した転写加飾シートを金型に配し、予備成形を行った。次いで、金型を閉じ、耐熱性ABS樹脂(日本エーアンドエル社製「MTH」)を射出した。金型温度を60℃、射出樹脂の温度を230℃とし、樹脂は2ヶ所のゲートから射出した。その後、冷却・固化し、得られた加飾成形品について、絵柄の脱落等、意匠性に問題がないか目視にて確認した。
基材フィルムである厚さ75μmの成型性PETフィルム(加熱により伸張するPETフィルム)の片面(表面)に、アクリル−ポリエチレン系樹脂で構成される離型層を形成した。次いで、該基材フィルムの裏面側に、カチオン界面活性剤をグラビア法により塗工し、70℃で熱風乾燥し、静電気防止層を形成した。熱風乾燥後の基材フィルムの温度は50℃であった。次いで、25℃の室温内にある直径200mmで温度17度のクーリングロールの約3/4円周、フィルムを接触させることにより、基材フィルムを19℃まで冷却した後、前記離型層上にアクリル系樹脂からなる剥離層、絵柄層、及び接着層をグラビア印刷法にて塗布し、転写加飾シートを得た。それぞれの層の厚さは、3μm、2μm、及び3μmとした。なお、基材フィルムの温度は、放射温度計により測定した。このようにして製造した転写加飾シートについて、上記方法にて表面粗さを測定し、また意匠性について評価した。結果を第1表に示す。
実施例1において、基材フィルムを冷却することなく、剥離層、絵柄層、及び接着層を設けたこと以外は、実施例1と同様にして転写加飾シートを得た。剥離層を形成する際の基材フィルムの温度は30℃であった。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
2.離型層
3.剥離層
4.絵柄層
5.接着層
6.転写層
7.静電気防止層
10.転写加飾シート
Claims (7)
- 表面に樹脂系離型剤を含む離型層を有する基材フィルムの裏面に機能性膜を形成して加熱乾燥する工程、並びに該表面に、樹脂を含む剥離層、絵柄層及び接着層を積層する工程を有する転写加飾シートの製造方法であって、前記剥離層を積層する工程を前記機能性膜を形成して加熱乾燥する工程に引き続いて連続的に行ない、少なくとも剥離層及び絵柄層の積層をグラビア印刷により行い、かつ、少なくとも剥離層を積層する際の基材フィルムの温度を20℃以下に制御する工程を行うことを特徴とする転写加飾シートの製造方法。
- 前記機能性膜が静電気防止層である請求項1に記載の転写加飾シートの製造方法。
- 前記離型層が、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース樹脂系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、及びアクリル樹脂系離型剤、並びにこれらの複合型離型剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂系離型剤を含む、請求項1又は2に記載の転写加飾シートの製造方法。
- 前記剥離層が、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、熱硬化性樹脂、及び電離放射線硬化性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の転写加飾シートの製造方法。
- 前記離型層がアクリル樹脂系離型剤又はアクリル樹脂系複合型離型剤を含み、前記剥離層がアクリル系樹脂を含む請求項1又は2に記載の転写加飾シートの製造方法。
- 表面に樹脂系離型剤を含む離型層を有する基材フィルムの裏面に機能性膜を形成して加熱乾燥する工程、並びに該表面に、樹脂を含む剥離層、絵柄層及び接着層を積層する工程を行なうことにより転写加飾シートを製造する工程の後、(A)射出成形金型内に得られた転写加飾シートを配する工程、(B)キャビティ内に溶融樹脂を射出し、冷却・固化して、樹脂成形と転写加飾シートの接着を同時に行なう工程を有する加飾成形品の製造方法であって、
前記転写加飾シートを製造する工程において、前記剥離層を積層する工程を前記機能性膜を形成して加熱乾燥する工程に引き続いて連続的に行ない、少なくとも剥離層及び絵柄層の積層をグラビア印刷により行い、かつ、少なくとも剥離層を積層する際の基材フィルムの温度を20℃以下に制御する工程を行うことを特徴とする加飾成形品の製造方法。 - 前記(A)工程と(B)工程の間に、さらに(D)真空成形により転写加飾シートを金型に密着させる工程を有する請求項6に記載の加飾成形品の製造方法。
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