JP5590414B2 - 変位制御材の最適剛性設定方法 - Google Patents
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この場合、変位制御材2としては各種材質の杭体の他、たとえばセメント系地盤改良材や薬液の注入による地盤改良体が採用されることも多い。
また、変位制御材2を杭の形態で設置する場合には、その断面形状はたとえば図22(a)に示すような中実円形断面や(b)に示すような中空管状断面、あるいは(c)に示すような中実角形断面等、任意の形状とされ、そのような変位制御材2を水平2方向に適宜の間隔で配列するとともに、図21に示すように原地盤1の下層に安定な良質層3がある場合には変位制御材2の先端を良質層3に根入れすることが通常である。さらに、図示は省略したが壁状の変位制御材を2方向に格子状に組んだ形態で設けることもある。なお、図21における符号4は原地盤1上に設けたスラブである。
そのため、この種の変位制御材2の設計に当たっては熟練設計者の経験に頼らざるを得ないし、それによっても必要以上の安全率を見込んでしまって過剰品質となりコスト高となることが多い。
Ep/Es=(340〜1453)×a-0.79
Ep:沈下制御杭の剛性(kN/m2)
Es:原地盤の剛性(kN/m2)
a:面積改良率(%)
Ep/Es=(163〜684)×a-0.57
Ep:沈下制御杭の剛性(kN/m2)
Es:原地盤の剛性(kN/m2)
a:面積改良率(%)
Ep/Es=(318〜1204)×a-0.82
Ep:沈下制御杭の剛性(kN/m2)
Es:原地盤の剛性(kN/m2)
a:面積改良率(%)
Ep/Es=(105〜458)×a-0.69
Ep:沈下制御杭の剛性(kN/m2)
Es:原地盤の剛性(kN/m2)
a:面積改良率(%)
本発明の第1実施形態を図1〜図5を参照して説明する。
図1は軟弱層としての原地盤1上に厚さ0.2mのスラブ4を介して鉛直荷重を作用させた場合に、沈下制御のために図22(c)のパターンで設置した変位制御材2(以下、これを沈下制御杭2と言い換える)による沈下抑止効果を検証するための解析条件を示す。
原地盤1は地表からGL-12mまでが軟弱層であってそのせん断波速度杭Vs=120m/s、それ以深は良質層3であってVs=300m/sと仮定した。
載荷する鉛直荷重は40kN/m2とした。
沈下制御杭2は良質層3に到達してそれにより支持されるように杭長を12mとし、面積改良率aは(b)に示すように0.3%〜64%の8ケース(杭断面Lおよび杭間隔sをそれぞれ図中に示すように3ケースずつとした場合の全9ケースのうち8ケース)とした。
剛性比Ep/Esの最大値である4096倍は、上記の軟弱層1(Vs=120m/s)に対して沈下制御杭2として高強度コンクリート杭を採用した場合に相当し、この種の沈下制御を行う場合における現実的な限界条件である。
A=δ/δ1
δ:沈下制御杭の位置でのスラブの沈下量
δ1:沈下制御杭がないときのスラブの沈下量として規定した指標である。
図3は、沈下制御杭の剛性が任意の場合における沈下量δと沈下制御杭の剛性が最大のときの沈下量δmaxとの差を、沈下制御杭がないときの沈下量δ1と剛性が最大のときの沈下量δmaxとの差で正規化した正規化沈下量Bを示すものである。すなわち、正規化沈下量Bは
B=(δ−δmax)/(δ1−δmax)
δ:任意の剛性の沈下制御杭の場合におけるスラブの沈下量
δmax:沈下制御杭の剛性を最大(本解析では原地盤の4096倍)としたときのスラブ の沈下量
δ1:沈下制御杭がないときのスラブの沈下量として規定した指標であり、このような正規化沈下量Bを指標とすることにより、ある面積改良率aにおける純粋な沈下制御杭の性能を評価することが可能である。
すなわち、これはある沈下制御杭の沈下制御性能を満足させるために必要となる沈下制御杭と原地盤の剛性比Ep/Esが面積改良率aごとに異なるということを示している。
そして、いずれの面積改良率aにおいても、正規化沈下量B=0.05未満の領域では剛性比Ep/Esが増加しても正規化沈下量Bはほとんど変化がなく、剛性比Ep/Esのそれ以上の増加が正規化沈下量Bの減少に殆ど寄与しないことが分かる。
Ep/Es=1453×a-0.79 (0.3%≦a≦100%)
Ep:沈下制御杭の剛性(kN/m2)
Es:原地盤の剛性(kN/m2)
a:面積改良率(%)
として与えられる。
Ep/Es=1453×γ×a-0.79
γ=0.04×(B+0.0065)-1.12
として与えられる。γは正規化沈下量Bで表される係数(図4(b)参照)である。
Ep/Es=(340〜1453)×a-0.79 ・・・(1)
上記第1実施形態は水平2方向に所定間隔をおいて配列されて良質層3に支持される沈下制御杭2を変位制御材としたものであるが、本発明における変位制御材はそのような沈下制御杭2に限るものではなく、所望の面積改良率を確保できる限りにおいては様々な材質や形態の変位制御材を様々なパターンで設置すれば良く、各パターンに対応する解析を予め行って各パターンに対応する回帰式を決定しチャートを作成しておけば良い。
そこで、変位制御材を良質層に支持されない沈下制御杭として水平2方向に所定間隔で配列する場合、変位制御材を良質層に支持される格子状の沈下制御杭とする場合、変位制御材を良質層に支持されない格子状の沈下制御杭とする場合について、それぞれ第2実施形態〜第4実施形態として以下に説明する。
以下の各解析は特記している事項以外は上記第1実施形態と同様の条件で行ったものである。
図6は変位制御材としての沈下制御杭2の杭長を良質層3に到達し得ない6mとして、その沈下制御杭2が良質層3によっては支持されない場合の例である。解析ケースは(b)に示す6ケースとした。
この場合も図7〜図8に示すように剛性比Ep/Esと正規化沈下量Aおよび正規化沈下量Bとの関係は第1実施形態と同様の傾向を示し、剛性比Ep/Esと面積改良率aとの関係およびその回帰式は図9に示すものとなる。
このことから、本第2実施形態では、第1実施形態の場合と同様に許容沈下量を正規化沈下量Bを指標としてB=0.05〜0.20の範囲に制限するために必要となる沈下制御杭2の最適剛性は、下記の回帰式(2)および図10に示すチャートにより直ちに求めることができる。
Ep/Es=(163〜684)×a-0.57 ・・・(2)
図11は変位制御材として良質層3に支持される格子状の沈下制御杭2とした場合の例である。その格子状の沈下制御杭2のピッチは10mとし、杭長は良質層に達する12mとし、杭幅および面積改良率aを(b)に示す8ケースとした。
この場合の剛性比Ep/Esと正規化沈下量Aおよび正規化沈下量Bとの関係を図12〜図13に示し、剛性比Ep/Esと面積改良率aとの関係およびその回帰式を図14に示す。
このことから、本第3実施形態では、許容沈下量をB=0.05〜0.20の範囲に制限するために必要となる沈下制御杭2の最適剛性は、下記の回帰式(3)および図15に示すチャートにより直ちに求めることができる。
Ep/Es=(318〜1204)×a-0.82 ・・・(3)
図16は変位制御材として良質層3に支持されない格子状の沈下制御杭2とした場合の例である。その格子状の沈下制御杭2は第3実施形態の場合と同様にピッチを10mとし、杭長は良質層3に達しない6mとし、解析ケースは第3実施形態と同様の8ケースとした。
この場合の剛性比Ep/Esと正規化沈下量Aおよび正規化沈下量Bとの関係を図17〜図18に示し、剛性比Ep/Esと面積改良率aとの関係およびその回帰式を図19に示す。
このことから、本第4実施形態では、許容沈下量をB=0.05〜0.20の範囲に制限するために必要となる沈下制御杭の最適剛性は、下記の回帰式(4)および図20に示すチャートにより直ちに求めることができる。
Ep/Es=(105〜458)×a-0.69 ・・・(4)
その場合には、上記実施形態において指標とした正規化沈下量Bに相当する指標としてそれと同様の概念による水平方向の正規化変位量を用いれば良い。
つまり、任意の剛性の変位制御材を設置した場合の水平変位量(上記のδに相当)と変位制御材の剛性を最大(たとえば上記実施形態のように原地盤に対して4096倍)としたときの水平変位量(上記のδmaxに相当)との差を、変位制御材がないときの水平変位量(上記のδ1に相当)と剛性が最大のときの水平変位量との差で正規化した正規化変位量を指標として用いれば良く、その指標を用いて上記実施形態と同様の解析を行えば良い。
そして、そのような解析に基づいて、変位制御材を設置した後における水平変位量が許容範囲となるような面積改良率と剛性比との関係を回帰式として求め、それに基づき許容変位量をパラメータとするチャートを作成しておけば良い。
勿論、解析に際しての具体的な解析条件、特に変位量の指標として用いる正規化変位量(上記実施形態における正規化沈下量Bに相当)や、その基準となる変位制御材の剛性の最大値(上記実施形態では原地盤に対する4096倍)の設定その他の様々な解析条件については、原地盤の状況や設計しようとする変位制御材の構造や形態その他の諸条件を考慮して適切に設定すれば良い。
2 沈下制御杭(変位制御材)
3 良質層
4 スラブ
Claims (6)
- 軟弱な原地盤中に該原地盤の変位を制御するための変位制御材を設置するに際して該変位制御材の最適剛性を設定するための方法であって、
第一に、原地盤の面積に対する変位制御材の設置面積の比である面積改良率をパラメータとし、変位制御材と原地盤の剛性比と、変位制御材があるときの原地盤の変位量を変位制御材がないときの原地盤の変位量で除して正規化した第1の正規化変位量との関係を解析により求め、
第二に、前記面積改良率をパラメータとし、変位制御材と原地盤の剛性比と、変位制御材の剛性を最大にした場合における原地盤の変位量を基準として正規化した第2の正規化沈下量との関係を解析により求め、
第三に、変位制御材と原地盤の剛性比と、前記第1の正規化変位量又は前記第2の正規化変位量との関係から、変位制御材を設置した後における原地盤の許容変位量の範囲を設定し、
第四に、前記許容変位量の範囲における前記面積改良率と前記剛性比との関係を解析により求め、該関係に基づいて変位制御材の最適剛性を面積改良率ごとに設定することを特徴とする変位制御材の最適剛性設定方法。 - 請求項1記載の変位制御材の最適剛性設定方法であって、
変位制御材として沈下制御杭を設置する場合に、前記許容沈下量を0.05以上の範囲で設定することを特徴とする変位制御材の最適剛性設定方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の変位制御材の最適剛性設定方法であって、
変位制御材を水平2方向に間隔をおいて配列されて良質層に支持される沈下制御杭として、該沈下制御杭の剛性を、解析により回帰式として決定した次式の関係に基づいて設定することを特徴とする変位制御材の最適剛性設定方法。
Ep/Es=(340〜1453)×a-0.79
Ep:沈下制御杭の剛性(kN/m2)
Es:原地盤の剛性(kN/m2)
a:面積改良率(%) - 請求項1又は請求項2に記載の変位制御材の最適剛性設定方法であって、
変位制御材を水平2方向に間隔をおいて配列されて良質層に支持されない沈下制御杭として、該沈下制御杭の剛性を、解析により回帰式として決定した次式の関係に基づいて設定することを特徴とする変位制御材の最適剛性設定方法。
Ep/Es=(163〜684)×a-0.57
Ep:沈下制御杭の剛性(kN/m2)
Es:原地盤の剛性(kN/m2)
a:面積改良率(%) - 請求項1又は請求項2に記載の変位制御材の最適剛性設定方法であって、
変位制御材を良質層に支持される格子状の沈下制御杭として、該沈下制御杭の剛性を、解析により回帰式として決定した次式の関係に基づいて設定することを特徴とする変位制御材の最適剛性設定方法。
Ep/Es=(318〜1204)×a-0.82
Ep:沈下制御杭の剛性(kN/m2)
Es:原地盤の剛性(kN/m2)
a:面積改良率(%) - 請求項1又は請求項2に記載の変位制御材の最適剛性設定方法であって、
変位制御材を良質層に支持されない格子状の沈下制御杭として、該沈下制御杭の剛性を、解析により回帰式として決定した次式の関係に基づいて設定することを特徴とする変位制御材の最適剛性設定方法。
Ep/Es=(105〜458)×a-0.69
Ep:沈下制御杭の剛性(kN/m2)
Es:原地盤の剛性(kN/m2)
a:面積改良率(%)
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