JP5590085B2 - 平面コイルの中間体および平面コイルの製造方法 - Google Patents

平面コイルの中間体および平面コイルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、平面コイルの中間体および平面コイルの製造方法に関するものである。
特許文献1においては、磁性体基板と、該磁性体基板上に形成されている樹脂層と、該樹脂層に埋め込まれて形成された平面コイル導体と、を有するコイル部品の製造方法が開示されている。製造工程において、磁性体基板を用意するステップと、磁性体基板上に樹脂層を形成するステップと、樹脂層に、コイル状の凸部を有する金型を押し付けて、コイル状の溝を形成するステップと、溝内に導電性金属を充填させて平面コイル導体を形成するステップと、を有する。
特開2010−87030号公報
ところで、上記のコイル部品の製造方法では、巻数が変わるたびに新しい金型が必要となり、コストが高くなる。また、金型製作に時間がかかり、急な仕様(巻数)変更に対応できない。
本発明の目的は、巻数の設計自由度が高い平面コイルの中間体および平面コイルの製造方法を提供することにある。
請求項1に記載の発明では、螺旋状に巻線部が形成されるとともに前記巻線部における周方向に延びる各周の全ての線を径方向に繋ぐ繋ぎ部が形成された金属板と、前記金属板が一方の面に接着又は接合された絶縁基板とを有することを要旨とする。
請求項1に記載の発明によれば、1つの設備で金属板の切断部分を変えるだけで複数種類の平面コイルを製造可能となる。
請求項2に記載のように、請求項1に記載の平面コイルの中間体において、前記絶縁基板の他面には導電線が形成されるとよい。
請求項3に記載のように、請求項2に記載の平面コイルの中間体において、前記導電線は巻かれた形状であり、前記金属板における周方向に延びる線に対して対称的に配置されると、接着強度が向上する。
請求項4に記載のように、請求項3に記載の平面コイルの中間体において、前記金属板における周方向に延びる線のうちの一部はトランスの1次巻線を構成し、前記導電線はトランスの2次巻線を構成しているとよい。
請求項5に記載のように、請求項4に記載の平面コイルの中間体において、前記金属板と前記導電線とのうち少なくとも一方には放熱部材が熱的に接合されていると、放熱効率が向上する。
請求項6に記載の発明では、金属板を打ち抜いて螺旋状の巻線部を形成するとともに螺旋状の巻線部における周方向に延びる各周の線を径方向に繋ぐ繋ぎ部を形成する第1工程と、基板に前記第1工程で打ち抜いた金属板を接着する第2工程と、前記第2工程で接着した金属板に対し、前記基板ごと不要部分を金型で打ち抜いて少なくとも1ターンが電流が流れる実効線分で形成され、少なくとも1ターンが電流が流れないダミー線分で形成されるようにする第3工程と、を有することを要旨とする。
請求項6に記載の発明によれば、1つの設備で切断部分を変えるだけで複数種類の平面コイルを製造可能となる。
本発明によれば、巻数の設計自由度が高い平面コイルを提供することができる。
(a)は第1の実施形態の平面コイルの平面図、(b)は平面コイルの正面図。 (a)は図1(a)のA部拡大図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図、(c)は(a)のB−B線での縦断面図。 (a)は平面コイルの平面図、(b)は同じく正面図。 図3(a)のA部拡大図。 (a)は平面コイルの平面図、(b)は平面コイルの正面図。 (a)は図5(a)のA部拡大図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図、(c)は(a)のB−B線での縦断面図。 (a)は第2の実施形態におけるトランスの平面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図、(c)は(a)のB−B線での縦断面図。 (a)はトランスの平面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図、(c)は(a)のB−B線での縦断面図。
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、平面コイル10は、金属板としての銅板をプレスの打ち抜き加工することにより形成したものであり、例えば接着シートによって、基板90の上面に接着されている。平面コイル10の巻数(ターン数)は「4」である。平面コイル10は、巻線部20の一端が幅広の端子部60となるとともに他端が幅広の端子部61となっている。巻線部20は、中心に対し螺旋状に巻回された形状をなしている。
平面コイル10の巻線部20は、最も外周の1ターン分の線分30がダミー線分であり、ダミー線分30には電流が流れない。ダミー線分30よりも内径側の4ターン分の線分21,22,23,24が、電流が流れる実効線分である。
詳しくは、図2に示すように、最外周から2周目の線分の一部が切断され、この切断部C4に隣接する位置において、最外周の線分と、最外周から2周目の線分とは、繋ぎ部81により繋がっている。
具体的には、図3に示すように、金属板50を金型プレスで打ち抜いてコイル形状、即ち、5ターン分の線分71,72,73,74,75を有する巻線部20を形成する際、図4に示すように螺旋状の巻線部20における径方向に延びる繋ぎ部80が設けられている。ここで、樹脂基板90に接着した状態で図2に示すように、プレス加工により、最外周から2周目の線分の一部が切断される(切断部C4が形成される)。また、径方向に延びる繋ぎ部80における最外周から2周目の線分と最外周から3周目の線分の間が切断される(切断部C1が形成される)。さらに、径方向に延びる繋ぎ部80における最外周から3周目の線分と最外周から4周目の線分の間が切断される(切断部C2が形成される)。さらには、径方向に延びる繋ぎ部80における最外周から4周目の線分と最外周から5周目の線分の間が切断される(切断部C3が形成される)。
このように、実効線分21,22,23,24とダミー線分30とは一部分(繋ぎ部81)が繋がっているとともに、他の一部分(切断部C1,C2,C3,C4)が切断されている。よって、少なくとも1ターンが実効線分で形成され、少なくとも1ターンがダミー線分で形成されている。よって、巻数の設計自由度が高い。
平面コイル10(実効線分とダミー線分)は、絶縁基板としての樹脂基板90の一面に接着されている。
次に、平面コイルの作用を説明する。
製造の際、図3,4に示すように、金属板50を金型プレスで打ち抜いて螺旋状の巻線部20を形成するとともに螺旋状の巻線部20における周方向に延びる各周の線を径方向に繋ぐ繋ぎ部80を形成する。繋ぎ部80により線分間(巻線間)の間隔を保つことができる。このように、一部に繋ぎ部80を設けた状態で打ち抜く。
その後、打ち抜いた金属板50(平面コイル10)を樹脂基板90の一方の面に接着する。樹脂基板90には貫通孔91が形成されている。貫通孔91は切断部C1,C2,C3,C4に対応する領域に形成される。つまり、プレス型による打ち抜き箇所に貫通孔91が形成される。
引き続き、接着した金属板50に対し、基板90ごと不要部分を金型で打ち抜いて実効線分およびダミー線分を形成する。つまり、樹脂基板90ごとプレス抜き加工を施し、不要部分を除去して平面コイルの繋ぎ部80を切る(絶縁する)。詳しくは、図3で示す金属板50を金型プレスで打ち抜いてコイル形状にしたものに対し、図1,2に示すように、4ターンにする。具体的には、最外周から2周目の線分について切断部C4を形成し、径方向に延びる繋ぎ部80における切断部C1,C2,C3を形成する。
あるいは、図3での5ターンを、図5,6に示すように、3ターンにする。具体的には、図3で示す金属板50を金型プレスで打ち抜いてコイル形状にしたものに対し、樹脂基板90に接着した状態で図6に示すように、プレス加工により、最外周から2周目の線分について切断部C12を形成し、最外周から3周目の線分について切断部C13を形成する。また、径方向に延びる繋ぎ部80における最外周から3周目の線分と4周目の線分の間を切断する(切断部C10を形成する)とともに、最外周から4周目の線分と5周目の線分の間を切断する(切断部C11を形成する)。これにより、平面コイル11の巻線部20は、最も外周の1ターン分の線分40および最外周から2周目の線分41がダミー線分であり、ダミー線分40,41には電流が流れない。ダミー線分41よりも内径側の3ターン分の線分31,32,33が、電流が流れる実効巻線である。
このように、繋ぎ部の切り方(絶縁のし方)を変えるだけで、簡単に巻数(ターン数)を変更できる。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)平面コイルの構成として、少なくとも1ターンが電流が流れる実効線分で形成され、少なくとも1ターンが電流が流れないダミー線分で形成されている。よって、巻数の設計自由度が高いものとなる。
詳しく説明する。金型で打ち抜く際、図4に示すように、線分間の間隔を保つため、一部に繋ぎ部80を設けた状態で打ち抜き、最後に繋ぎ部を切る(絶縁する)方法を採用すると、巻数が変わるたびに新しい金型が必要となり、コストが高くなる。また、金型製作に時間がかかり、急な仕様(巻数)変更に対応できない。これに対し本実施形態では、繋ぎ部の切り方(絶縁のし方)を図2、図6に示すように変えるだけで、簡単に巻数を変更できるので、コストが安くなる。また、急な仕様(巻数)変更でも、繋ぎ部を切断する金型を製作するだけなので、早く対応できる。
(2)実効線分とダミー線分とは一部分が繋がっているとともに、他の一部分が切断されているので、少なくとも1ターンが実効線分で形成され、少なくとも1ターンがダミー線分で形成される。
(3)実効線分とダミー線分とは絶縁基板としての樹脂基板90の一面に接着されているので、実用上好ましい。詳しくは、金属板50を基板90に接着する構成においてダミー線分が存在するので、金属板50を基板90に強固に接着固定することができる。
(4)平面コイルの製造法として、第1〜第3の工程を有する。第1の工程では、金属板50を打ち抜いて螺旋状の巻線部20を形成するとともに螺旋状の巻線部20における周方向に延びる各周の線を径方向に繋ぐ繋ぎ部80を形成する。第2工程では、基板90に第1工程で打ち抜いた金属板50を接着する。第3工程では、第2工程で接着した金属板50に対し、基板90ごと不要部分を金型で打ち抜いて少なくとも1ターンが電流が流れる実効線分で形成され、少なくとも1ターンが電流が流れないダミー線分で形成されるようにする。よって、1つの設備(1台のプレス機)で切断部分を変えるだけで複数種類の平面コイルを製造可能となる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
本実施形態では、1次巻線と2次巻線とコアとを具備するトランスに適用している。
図7に示すように、絶縁基板140の上面に図1で示した平面コイル10(実効線分とダミー線分と)が接着されている。絶縁基板140の下面には導電線として図5で示した平面コイル11が接着されている。導電線としての平面コイル11は巻かれた形状であり、平面コイル10(実効線分とダミー線分と)に対して対称的に、即ち、絶縁基板140を挟んで対向する状態で配置されている。平面コイル10(実効線分)はトランスの1次巻線を構成し、平面コイル11(導電線)はトランスの2次巻線を構成している。
また、平面コイル10(実効線分およびダミー線分)と平面コイル11(導電線)とのうち平面コイル11には、放熱部材としてのケース120が熱的に接合されている。
以下、詳しく説明する。
図7,8に示すように、トランス110は放熱部材としてのケース120にトランス110の巻線部に発生した熱を逃がすようにしている。
コア130としてE−I型コアを用いており、コア130はE型コア131とI型コア132からなる。図7ではI型コア132を一点鎖線で示す。
絶縁基板140の一方の面である上面には、1次巻線としての平面コイル10が接着されている。絶縁基板140の他方の面である下面には、2次巻線としての平面コイル11が接着されている。図7のI型コア132および平面コイル10(1次巻線)を、図8では省略するとともに、絶縁基板140を一点鎖線で示している。
板状をなすケース120の上面120aには凹部121が形成されている。ケース120の凹部121にはE型コア131が嵌入されている。E型コア131は、板状の本体部131aと、本体部131aの一方の面(上面)の中央部に突出される中央磁脚131bと、本体部131aの一方の面(上面)の端部に突設される両側磁脚131c,131dとからなる。中央磁脚131bは円柱状をなしている。
図8(a),(c)に示すように、ケース120の上面120aにおいて、E型コア131の中央磁脚131bの配置位置を挟んで厚銅基板載置部122,123が突設されている。厚銅基板載置部122の上面122aおよび厚銅基板載置部123の上面123aは、平坦、且つ高さが同一である。
ケース120の厚銅基板載置部122,123の上面122a,123aには平面コイル11がシリコン製シート(図示略)を介して載置されている。これにより、平面コイル10,11において発生した熱はケース120の厚銅基板載置部122,123に放熱することができる。
図7に示すように、絶縁基板140の中央部には、E型コア131の中央磁脚131bが通る貫通孔141が形成されている。平面コイル10による巻線部は、図7に示すように、絶縁基板140の貫通孔141を中心として1本の導体が巻回された形状をなし、有効線分が4ターン、ダミー線分が1ターンである。図8に示すように、平面コイル11による巻線部は、絶縁基板140の貫通孔141を中心として1本の導体が巻回された形状をなし、有効線分が3ターン、ダミー線分が2ターンである。
平面コイル11がケース120の厚銅基板載置部122,123の上面122a,123aと絶縁された状態で接着されている。よって、トランスの巻線部の温度上昇を抑制することができる。
上記実施形態によれば、上記(1)〜(4)の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(5)絶縁基板140の他面(下面)には導電線としての平面コイル11が形成されるので、実用上好ましい。
(6)導電線としての平面コイル11は巻かれた形状であり、平面コイル10(実効線分とダミー線分と)に対して対称的に配置される。つまり、平面コイル10(実効線分とダミー線分と)に対して対称的に配置されるので、絶縁基板140の上面側と下面側から挟むようにして圧接する際に接着強度が向上する。
(7)平面コイル10の実効線分はトランスの1次巻線を構成し、導電線としての平面コイル11はトランスの2次巻線を構成している。よって、容易にトランス110を構成することができる。
(8)導電線としての平面コイル11には放熱部材としてのケース120が熱的に接合されている。よって、ダミー配線分を介した伝熱経路が形成され、放熱効率が向上する。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・第2の実施形態において、絶縁基板140の上面に平面コイル10(実効線分とダミー線分と)を接着し、絶縁基板140の下面に導電線として平面コイル11を接着した。これに限るものではなく、例えば、絶縁基板140の下面に平面コイル10(実効線分とダミー線分と)を接着し、絶縁基板140の上面に導電線として平面コイル11を接着してもよい。
また、絶縁基板140の上面に配した平面コイル10(実効線分とダミー線分と)が放熱部材と熱的に結合してもよい。絶縁基板140の上面に配した平面コイル10(実効線分とダミー線分と)および絶縁基板140の下面に配した導電線として平面コイル11が放熱部材と熱的に接合してもよい。
要は、平面コイル10(実効線分およびダミー線分)と導電線としての平面コイル11とのうち少なくとも一方には放熱部材が熱的に接合されていると、ダミー配線分を介した伝熱経路が形成され、放熱効率が向上する。
・銅板で平面コイルを構成したが、アルミ板で構成してもよく、要は、導電性金属であればよい。
・巻数の数は少なくとも1ターンが実効線分で形成され、少なくとも1ターンがダミー線分で形成されればよく、そのターン数はいくつでもよい。
・平面コイルは基板に対し接着ではなく、接合してもよい。
10…平面コイル、11…平面コイル、20…巻線部、21…実効線分、22…実効線分、23…実効線分、24…実効線分、30…ダミー線分、50…金属板、80…繋ぎ部、81…繋ぎ部、90…樹脂基板、120…ケース、140…絶縁基板。

Claims (6)

  1. 螺旋状に巻線部が形成されるとともに前記巻線部における周方向に延びる各周の全ての線を径方向に繋ぐ繋ぎ部が形成された金属板と、前記金属板が一方の面に接着又は接合された絶縁基板とを有することを特徴とする平面コイルの中間体。
  2. 前記絶縁基板の他面には導電線が形成されることを特徴とする請求項1に記載の平面コイルの中間体
  3. 前記導電線は巻かれた形状であり、前記金属板における周方向に延びる線に対して対称的に配置されることを特徴とする請求項2に記載の平面コイルの中間体
  4. 前記金属板における周方向に延びる線のうちの一部はトランスの1次巻線を構成し、前記導電線はトランスの2次巻線を構成していることを特徴とする請求項3に記載の平面コイルの中間体
  5. 前記金属板と前記導電線とのうち少なくとも一方には放熱部材が熱的に接合されていることを特徴とする請求項4に記載の平面コイルの中間体
  6. 金属板を打ち抜いて螺旋状の巻線部を形成するとともに螺旋状の巻線部における周方向に延びる各周の線を径方向に繋ぐ繋ぎ部を形成する第1工程と、
    基板に前記第1工程で打ち抜いた金属板を接着する第2工程と、
    前記第2工程で接着した金属板に対し、前記基板ごと不要部分を金型で打ち抜いて少なくとも1ターンが電流が流れる実効線分で形成され、少なくとも1ターンが電流が流れないダミー線分で形成されるようにする第3工程と、
    を有することを特徴とする平面コイルの製造方法。
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