JP5589934B2 - タービン及びターボチャージャ - Google Patents
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Description
タービンハウジングには、タービン入口部に流入した排気ガスをホイール収容室を迂回(バイパス)してタービン出口部へ導くウェイストゲート流路(バイパス流路)が形成されている。また、タービンハウジングには、ウェイストゲート流路を流れる排気ガスの流量を開閉動作により調整するウェイストゲート弁が搭載されている。
このように、ウェイストゲート弁を開弁してウェイストゲート流路を開放すると、ホイール収容室に導かれる排気ガスの流量が減るので、タービンのホイールに作用する排気エネルギーが減少する。これにより、ホイールの回転速度が低下するので、タービン及びターボチャージャの過回転が抑制される。
タービンハウジングは、内部に2つの内側、外側スクロールを形成するハウジング本体と、このハウジング本体の上流端に溶接により接合される入口本体部とを備えている。入口本体部の内部には、2つの内側、外側スクロールにそれぞれ連通する2つの内側、外側流路が形成されている。
また、入口本体部には、全開時にフラップバルブを外側流路の軸線方向に沿うように配置させるためのバルブ退避収納部、および全閉時にフラップバルブが着座可能なバルブシートが設けられている。
また、フラップバルブは、アーム部材の回転軸をバルブ退避収納部の収納空間に置きながら、バルブシートに着座する全閉位置とバルブシートより離脱しバルブ退避収納部の収納空間に収納される全開位置との間を回転可能に構成されている。なお、フラップバルブに連結するアーム部材には、レバー部材を介して動力が伝達されるように構成されている。
また、外側スクロールを流れる排気ガスは、最小流路断面積の部分に到達する前に、外側スクロールの途中から内側スクロールに合流してしまうため、排気ガスの流速が変化しタービン効率が落ちるという問題が生じる。
また、従来のタービン(従来例1)においては、スクロール切替弁としてのフラップバルブに加えて、上述したウェイストゲート弁を入口本体部の外側流路の内部に設置しようとした場合、ウェイストゲート弁の搭載スペースを確保することが困難となっている。
特許文献2に記載の斜流タービン(従来例2)は、略中空円筒形状をした本体と、この本体にその接線方向に接続された略中空円筒形状の入口部(スクロールの入口部)と、本体から突出した出口部とが設けられたケーシング(タービンハウジング)を備えている。 入口部の内部空間は、入口分割壁によってハブ側スクロールに連通するハブ側入口流路と、シュラウド側スクロールに連通するシュラウド側入口流路とに分割されている。
入口部には、入口分割壁の上流端に取り付けられた揺動軸をその軸線回りに回転する流量可変弁が設けられている。
また、従来例1と同様にして、流量可変弁に加えて、上述したウェイストゲート弁を入口部の内部空間に設置しようとした場合、ウェイストゲート弁の搭載スペースを確保することが困難となっている。
なお、第1バルブ本体101は、第1、第2スクロールをそれぞれ経由してホイールへ導入する排気ガスの流量を調整するスクロール切替弁の弁体であり、また、第2バルブ本体102は、ホイールを迂回する排気ガスの流量を調整するウェイストゲート弁の弁体である。
タービンハウジングには、排気ガスを第1、第2スクロールを経由してホイールへ導く2つの第1、第2排気導入流路111、112と、排気ガスを第1、第2スクロールとホイールを迂回させるウェイストゲート流路(バイパス流路)113とが設けられている。 タービンハウジングの出口部114は、排気浄化装置(触媒)やマフラーに接続されている。
第2排気導入流路112内のバルブ収納空間122には、第1アーム部材103の回転軸(第1バルブ本体101の回転中心部)が設けられている。また、出口部114内のバルブ収納空間124には、第2アーム部材104の回転軸(第2バルブ本体102の回転中心部)が設けられている。
このようなタービンハウジングの大型化に伴い、例えば車両に対する斜流タービンの搭載性を悪化させる要因となっている。
タービンハウジングは、2つの第1、第2スクロールを経由してホイールへ排気ガスを導く2つの第1、第2分岐流路と、2つの第1、第2スクロールおよびホイールより排気ガスを迂回させるバイパス流路と、バイパス流路を開閉する第1排気制御弁と、第2分岐流路を開閉する第2排気制御弁と、ホイールを収容するホイール収容室とを備えている。
2つの第1、第2スクロールは、ホイールの回転軸方向に2分割して設けられている。
第1スクロールは、第1分岐流路から排気ガスを導入する第1導入部と、ホイール収容室へ排気ガスを導入する第1ノズルとを有している。また、第1スクロールは、第1導入部から第1ノズルまでの流路断面積が排気流方向の上流側から下流側へ向かって徐々に減少する渦巻き形状である。
第2スクロールは、第2分岐流路から排気ガスを導入する第2導入部と、ホイール収容室へ排気ガスを導入する第2ノズルとを有している。また、第2スクロールは、第2導入部から第2ノズルまでの流路断面積が排気流方向の上流側から下流側へ向かって徐々に減少する渦巻き形状である。
そして、第1スクロールの第1導入部は、第2スクロールの第2導入部よりも排気流方向の上流側に配置されている。
第1導入部から第1ノズルまでの第1スクロールの中で流路断面積の大きい部位と、第2導入部から第2ノズルまでの第2スクロールの中で流路断面積の小さい部位とが重なり、第1スクロールと第2スクロールとの間にスペースを備える。
これによって、第2スクロールの第2導入部よりも排気流方向の上流側の第2分岐流路の流路長が長くなるので、タービンハウジングの体格の増加を伴うことなく、2つの第1、第2排気制御弁を搭載できるスペース(第1、第2排気制御弁の収納空間)を確保することができる。
この結果、タービンハウジングに2つの第1、第2排気制御弁を搭載した場合でも2つの第1、第2分岐流路、特に第2分岐流路の流路幅が増加することはなく、タービンハウジングの体格(サイズ)を小型化(コンパクト化)できる。したがって、タービンハウジングの搭載スペースを容易に確保することが可能となるので、例えば車両に対する搭載性を向上することができる。
請求項3に記載の発明によれば、第1分岐流路と第2分岐流路とを分岐させる分岐部よりも排気流方向の下流側(のバイパス流路および第2分岐流路)に、2つの第1、第2排気制御弁を配置したことにより、第1分岐流路および第1スクロールを経由してホイールへ導入される排気ガスの流れを乱すことがないので、第1分岐流路および第1スクロールのみを通ってホイールへ排気ガスが導入されるときにタービン効率が悪化することはない。
請求項6及び7に記載の発明によれば、第1、第2排気制御弁のどちらが排気流方向の上流側または下流側に配置されていても構わない。
請求項9に記載の発明によれば、タービンハウジング(の内部)に、第2排気制御弁を収容する第2収納空間を設けている。
ここで、第1、第2排気制御弁のいずれか一方の排気制御弁の全開時に、排気制御弁が2つの第1、第2分岐流路の内部に突き出さないように、第2分岐流路の流路壁面を奥側に凹ませて、内部に第1収納空間または第2収納空間を形成する収納凹部を設けても良い。この場合、第1排気制御弁または第2排気制御弁の全開時に、第2分岐流路および第2スクロールを流れる排気ガスは、第1排気制御弁または第2排気制御弁に邪魔され(乱され)ることなく、ホイールへ導かれる。これにより、第1排気制御弁または第2排気制御弁の全開時における、排気ガスの流路(通過)抵抗を低減させることができる。
ここで、ターボチャージャは、タービンのホイールが排気ガスにより回転駆動されると、ホイールに一体回転可能に連結されたインペラが回転し、インペラが吸気を圧縮する。圧縮されて圧力(過給圧)が上昇した圧縮空気(吸気)は、コンプレッサハウジングのスクロールを通ってコンプレッサハウジングの外部へ流出して内燃機関へ送り込まれる。
本発明は、タービンハウジングの体格の増加を伴うことなく、2つの第1、第2排気制御弁を搭載するスペースを容易に確保するという目的を、第1スクロールの第1導入部を、第2スクロールの第2導入部よりも排気流方向の上流側に配置することで、第1スクロールの流路断面積の大きい部位と第2スクロールの流路断面積の小さい部位とが重なり、2つの第1、第2スクロール間に隙間余裕(空間的な余裕)が形成されるように構成したことで実現した。
図1ないし図6は本発明の実施例1を示したもので、図1はターボチャージャを示した図で、図2および図3はタービンハウジングを示した図で、図4(a)〜図6(a)はタービンハウジングの排気ガス経路を示した図で、図4(b)はウェイストゲート弁とスクロール切替弁の全閉状態を示した図で、図5(b)はウェイストゲート弁の全閉状態、スクロール切替弁の全開状態を示した図で、図6(b)はウェイストゲート弁とスクロール切替弁の全開状態を示した図である。
ターボチャージャは、エンジンの各気筒毎の燃焼室に吸い込まれる吸気が流れる吸気管の途中に設けられたコンプレッサ(インペラ1、コンプレッサハウジング2)と、エンジンの各気筒毎の燃焼室から排出される排気ガスが流れる排気管の途中に設けられたタービン(ホイール3、タービンハウジング4)とを備えている。
また、タービンハウジング4には、隔壁13〜15が一体的に設けられている。なお、隔壁14の上流側端部には、タービンハウジング4の外部から内部へ排気ガスを導入する1つの排気導入流路5を流れる排気ガスを2つの第1、第2排気分岐流路11、12に分岐させる排気分岐部16が設けられている。
また、タービンハウジング4は、第1、第2スクロールケース17、18およびタービン出口スリーブ19を備えている。
隔壁14は、タービンハウジング4の内部空間(1つの排気導入流路)を、少なくとも一部が互いに隣り合うように並列して配置される2つの第1、第2排気分岐流路11、12に区画する第2仕切り壁(仕切り部)である。
隔壁15は、タービンハウジング4の内部空間を、第2排気分岐流路12とバイパス流路9とに区画する第3仕切り壁(仕切り部)である。
ウェイストゲート弁は、隔壁15に一体的に設けられるバルブシート21に対して着座、離脱して連通孔(バイパス孔)22を閉鎖、開放するバルブ本体23と、このバルブ本体23と一体回転可能に連結して、バルブ本体23を開閉動作させるバルブアーム24と、このバルブアーム24を回転方向に摺動自在に支持するベアリング25と、バルブアーム24を介してバルブ本体23を駆動するアクチュエータとを備えている。
なお、ウェイストゲート弁の詳細は後述する。
スクロール切替弁は、隔壁14に一体的に設けられるバルブシート31に対して着座、離脱して連通孔32を閉鎖、開放するバルブ本体33と、このバルブ本体33と一体回転可能に連結して、バルブ本体33を開閉動作させるバルブアーム34と、このバルブアーム34を回転方向に摺動自在に支持するベアリング(図示せず)と、バルブアーム34を介してバルブ本体33を駆動するアクチュエータとを備えている。
なお、スクロール切替弁の詳細は後述する。
エンジンは、自動車等の車両のエンジンルーム内にターボチャージャと共に設置されている。また、エンジンの各気筒には、燃焼室内に燃料を噴射供給するインジェクタが搭載されている。
また、エンジンには、エアクリーナ、ターボチャージャ等が搭載されている。
エアクリーナは、インレットダクト(外気導入ダクト)の上流端で開口した外気導入口より空気導入流路に導入される外気(吸気)を濾過するフィルタエレメント(濾過エレメント)を有している。エアクリーナの出口端は、エアクリーナを通過した吸気が流れる吸気通路を形成するインテークダクトを介して、ターボチャージャのコンプレッサハウジング2に接続している。
スロットルボディの出口端は、スロットルバルブを通過した吸気が流れる吸気通路を形成するインテークマニホールドを介して、エンジンの各気筒毎の吸気ポートに接続している。
吸気管の内部に形成される吸気通路は、エンジンの各気筒毎の燃焼室および吸気ポートに連通している。
排気管の内部に形成される排気通路は、エンジンの各気筒毎の燃焼室および排気ポートに連通している。
コンプレッサは、タービンシャフト36の回転軸(回転中心)を中心にして回転するインペラ1、およびこのインペラ1の周囲を円周方向に取り囲むように設置されたコンプレッサハウジング2を備えている。
コンプレッサハウジング2の内部には、吸気導入流路、インペラ収容室、スクロールおよび吸気排出流路(図示せず)等が形成されている。
吸気導入流路は、コンプレッサハウジング2の上流側端面で開口する開口部である吸気導入ポートを介して、コンプレッサハウジング2の外部から流入した吸気をインペラ1を回転自在に収容するインペラ収容室へ導く吸気入口流路である。
吸気排出流路は、コンプレッサハウジング2の下流側端面で開口する開口部である吸気排出ポートを介して、スクロールから流入した吸気をコンプレッサハウジング2の外部へ排出する吸気出口流路である。
タービンのホイール3は、複数のタービンブレード(翼)が円周方向に設置されている。
タービンハウジング4は、例えば耐熱アルミニウム合金や耐熱鋼等の耐熱性金属により形成されている。このタービンハウジング4は、エキゾーストマニホールドとエキゾーストダクトとの間に接続されている。
排気導入流路5は、排気分岐部16よりも排気流方向の上流側に設けられている。この排気導入流路5は、タービンハウジング4の上流側端面で開口する開口部である排気導入ポート39を介して、タービンハウジング4の外部から流入した排気ガスを2つの第1、第2排気分岐流路11、12へ導く吸気入口流路である。
2つの第1、第2スクロール6、7および2つの第1、第2排気分岐流路11、12は、タービンのホイール3の回転軸方向に2分割して設けられている。
また、第1スクロール6は、第1排気分岐流路11の出口端部から排気ガスを導入する第1導入部41、および第1スクロール6からホイール収容室8へ排気ガスを導入する第1ノズル43を有している。
なお、第1ノズル43は、ホイール収容室8の周囲を部分円形状(円弧形状)に囲むように開口したスリット状の開口部である。
また、第2スクロール7は、第2排気分岐流路12の出口端部から排気ガスを導入する第2導入部42、および第2スクロール7からホイール収容室8へ排気ガスを導入する第2ノズル44を有している。
なお、第2ノズル44は、ホイール収容室8の周囲を部分円形状(円弧形状)に囲むように開口したスリット状の開口部である。
排気排出流路10は、ホイール収容室8よりも排気流方向の下流側に設けられている。この排気排出流路10は、タービンハウジング4の下流側端面で開口する開口部である排気排出ポート49を介して、タービンハウジング4の内部から外部(触媒側)へ排気ガスを排出する吸気出口流路である。
ウェイストゲート弁は、ターボチャージャのコンプレッサの過給圧が設定値を越えた際に開弁(例えば全開)して、コンプレッサの過給圧を設定値以下に抑える過給圧制御装置を構成する。
このウェイストゲート弁は、第2排気分岐流路12から連通孔22を通って排気排出流路10へ向かう排気ガスの流量、つまりバイパス流路9を流れる排気の流量を開閉動作により制御(調整)する排気ガス制御弁(第1排気制御弁)を構成している。
また、ウェイストゲート弁は、バルブ本体23の開度変化(バルブ角度変化)に対してバイパス流路9(特に連通孔22)の開口面積が変化する開口特性(バルブ開度−流量特性)を備えている。
バルブ本体23は、タービンハウジング4と同様に、耐熱性金属により形成されている。このバルブ本体23の背面より突出した突起51の外周には、円環状の周方向溝が形成されている。この周方向溝には、バルブ本体23の突起51の外周にバルブアーム24の結合部(出力部)52を嵌め合わせた際に、バルブ本体23からのバルブアーム24の抜け止めを行うワッシャまたはCリング等のバルブアーム抜け止め手段53が装着されている。なお、バルブ本体23は、バルブアーム24の結合部52に支持固定されている。
アクチュエータは、モータの動力(トルク)を利用してバルブ本体23をバルブアーム24の回転軸55の回転中心を中心にして回転方向に駆動するように構成されている。このアクチュエータは、駆動する動力を発生するモータ、およびこのモータの回転を減速する減速機構を含んで構成される電動アクチュエータである。
なお、モータは、ECU(エンジン制御ユニット)によって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
また、バルブアーム24の入力部は、リンク機構54を介して、減速機構の最終ギヤと一体回転可能に連結されている。また、バルブアーム24の入力部を、リンク機構54を介することなく、減速機構の最終ギヤに連結しても良い。また、バルブアーム24の入力部を、モータの出力軸に直結しても良い。
スクロール切替弁は、排気ガスの流量が少ない、エンジン回転速度(以下エンジン回転数と言う)が低速回転領域の際に閉弁(例えば全閉)して、ホイール収容室8へ排気ガスを導入するスクロール流路として第1スクロール6のみを使用することで、ホイール3へ導入される排気ガスの流速を高めて、エンジンの低速回転領域での過給性能を確保し、排気ガスの流量が増えた中速回転領域の際に開弁(例えば全開)して、スクロール流路として2つの第1、第2スクロール6、7を併用して排気ガスの流量を調整して、エンジンの中速回転領域での過給性能を向上する過給圧制御装置を構成する。
また、スクロール切替弁は、バルブ本体33の開度変化(バルブ角度変化)に対して第2排気分岐流路12(特に連通孔32)の開口面積が変化する開口特性(バルブ開度−流量特性)を備えている。
スクロール切替弁は、バルブ本体33、バルブアーム34、ベアリングおよびアクチュエータを備えている。
バルブアーム34の入力部には、図示しないリンク機構が一体回転可能に連結されている。
アクチュエータは、ウェイストゲート弁と同様に、モータの動力(トルク)を利用してバルブ本体33をバルブアーム34の回転軸56の回転中心を中心にして回転方向に駆動するように構成されている。このアクチュエータは、駆動する動力を発生するモータ、およびこのモータの回転を減速する減速機構を含んで構成される電動アクチュエータである。
なお、モータは、ECUによって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
また、バルブアーム34の入力部は、リンク機構を介して、減速機構の最終ギヤと一体回転可能に連結されている。また、バルブアーム34の入力部を、リンク機構を介することなく、減速機構の最終ギヤに連結しても良い。また、バルブアーム34の入力部を、モータの出力軸に直結しても良い。
タービンハウジング4は、第1スクロール6の第1導入部41の形成位置が、第2スクロール7の第2導入部42の形成位置よりも排気流方向の上流側に配置されている。
タービンハウジング4は、排気導入流路5を流れる排気ガスを、2つの第1、第2スクロール6、7にそれぞれ連通する2つの第1、第2排気分岐流路11、12に分岐させる排気分岐部16を備えている。
スクロール切替弁の弁体であるバルブ本体33は、排気分岐部16よりも排気流方向の下流側に配置されている。このバルブ本体33は、第1スクロール6の第1導入部41よりも排気流方向の下流側に配置されている。また、バルブ本体33は、バルブ本体23よりも排気流方向の下流側に配置されている。
第1スクロール6は、その上流側(入口)端部から下流側(出口)端部までの流路断面積、つまり第1導入部41から第1ノズル43までの流路断面積が、第1導入部41から第1ノズル43へ向かって徐々に減少するように構成されている。
第2スクロール7は、その上流側(入口)端部から下流側(出口)端部までの流路断面積、つまり第2導入部42から第2ノズル44までの流路断面積が、第2導入部42から第2ノズル44へ向かって徐々に減少するように構成されている。
第2排気分岐流路12は、バルブシート31よりも排気流方向の上流側に設けられる上流側流路61、バルブシート31よりも排気流方向の下流側に設けられる下流側流路62、および上流側流路61と下流側流路62とを連通するようにバルブシート31をその板厚方向に貫通する連通孔32を有している。
なお、ウェイストゲート弁のバルブアーム24の回転軸55は、ベアリング25を介して、タービン出口スリーブ19の軸受け部72の軸受け孔壁面に回転自在に支持されている。
ここで、スクロール切替弁の全開時に、スクロール切替弁が2つの第1、第2排気分岐流路11、12の内部に突き出さないように、隔壁15の流路壁面を第2排気分岐流路12の中心軸線側に対して反対側(奥側(排気排出ポート側、図示下方))に凹ませて、内部にバルブ収納空間73を形成する収納凹部74を設けている。これにより、スクロール切替弁の全開時に、第2排気分岐流路11および第2スクロール7を流れる排気ガスは、スクロール切替弁に邪魔され(乱され)ることなく、ホイール収容室8へ導かれる。これにより、スクロール切替弁の全開時における、排気ガスの流路(通過)抵抗を低減させることができる。
なお、スクロール切替弁のバルブアーム24の回転軸56は、ベアリングを介して、タービン出口スリーブ19の軸受け部75(図7参照)の軸受け孔壁面に回転自在に支持されている。また、軸受け部75の軸受け孔は、収納凹部74の両側の溝側壁に設けられている。
次に、本実施例の内燃機関の過給システム(ターボチャージャ)の動作を図1ないし図6に基づいて簡単に説明する。
ターボチャージャのコンプレッサから吸気管(スロットルボディ、インテークマニホールド)の吸気通路、吸気ポートを経て燃焼室内に供給された吸気とインジェクタから噴射された燃料との混合気が燃焼室内で燃焼すると、この燃焼により生じた排気ガスが排気ポートから排出される。排気ポートから排出された排気ガスは、排気管(エキゾーストマニホールド)の排気通路を経てターボチャージャのタービンへ導かれる。
これによって、バルブ本体23、33が共に全閉状態を継続する。これにより、ターボチャージャのタービンハウジング4のバイパス流路9および第2排気分岐流路12が共にに閉鎖される。
したがって、少ない排気流量でも十分高速な流れが得られるので、エンジンの低速運転時における過給圧を高めることができる。
これによって、バルブ本体23が全閉状態を継続し、且つバルブ本体33が全開状態となる。これにより、2つの第1、第2排気分岐流路11、12が開放され、バイパス流路9が閉鎖される。
また、排気導入流路5へ流入した排気ガスの残部は、排気導入流路5から排気分岐部16で分岐して第2排気分岐流路12に流入する。第2排気分岐流路12に流入した排気ガスは、第2導入部42から第2スクロール7に流入し、第2ノズル44からホイール収容室8に導入される。
これにより、2つの第1、第2排気分岐流路11、12および2つの第1、第2スクロール6、7の双方を通ってホイール収容室8に導入された排気ガスは、タービンのホイール3を回転駆動した後に、タービンハウジング4の排気排出流路10を通って、タービンハウジング4の下流側端面で開口した排気排出ポート49から外部(触媒側)へ排出される。
したがって、排気流量が増大し、エンジンの中速運転時における過給圧を高めることができる。
これによって、バルブ本体23、33が共に全開状態となる。これにより、ターボチャージャのタービンハウジング4のバイパス流路9および第2排気分岐流路12が共に開放される。
また、排気導入ポート39から排気導入流路5へ流入した排気ガスの残部は、第2排気分岐流路12からバイパス流路9(連通孔22)を通って排気排出流路10に逃がされる。これにより、ターボチャージャのコンプレッサの過給圧が設定値以下に抑えられる。
すなわち、ウェイストゲート弁のバルブ本体23を開弁してバイパス流路9を開放することにより、ホイール収容室8に導かれる排気ガスの流量が減るので、タービンのホイール3に作用する排気エネルギーが減少する。これにより、ホイール3の回転速度が低下するので、ターボチャージャの過回転が抑制される。ターボチャージャのコンプレッサの過給圧が設定値以下に抑えられる。
本実施例のターボチャージャのタービンハウジング4の内部には、ウェイストゲート弁(バルブシート21、連通孔(弁孔)22、バルブ本体23、バルブアーム24等)およびスクロール切替弁(バルブシート31、連通孔(弁孔)32、バルブ本体33、バルブアーム34等)が搭載されている。
タービンハウジング4の内部には、排気導入流路5、2つの第1、第2排気分岐流路11、12、2つの第1、第2スクロール6、7、ホイール収容室8、バイパス流路9および排気排出流路10等が形成されている。
本実施例のターボチャージャのタービンハウジング4においては、第1スクロール6の第1導入部41を、第2スクロール7の第2導入部42よりも上流側に配置している。これにより、第1導入部41から第1ノズル43までの第1スクロール6の中で流路断面積の大きい部位と、第2導入部42から第2ノズル44までの第2スクロール7の中で流路断面積の小さい部位とが重なり、第1スクロール6と第2スクロール7との間に隙間余裕(空間的な余裕)ができる。
また、タービンハウジング4においては、第1排気分岐流路11と第2排気分岐流路12とを分岐させる排気分岐部16よりも下流側のバイパス流路9の内部および第2排気分岐流路12の内部に、それぞれウェイストゲート弁およびスクロール切替弁を搭載(配置)したことにより、排気分岐部16でバイパス流路9と第2排気分岐流路12に対して分岐する第1排気分岐流路11および第1スクロール6を経由してホイール収容室8へ導入される排気ガスの流れを乱すことがない。これにより、排気導入流路5から第1排気分岐流路11および第1スクロール6のみを通ってホイール収容室8へ排気ガスが導入されるときのタービン効率の悪化を防ぐことができる。
図7ないし図9は本発明の実施例2を示したもので、図7(a)〜図9(a)はタービンハウジングの排気ガス経路を示した図で、図7(b)はウェイストゲート弁とスクロール切替弁の全閉状態を示した図で、図8(b)はウェイストゲート弁の全閉状態、スクロール切替弁の全開状態を示した図で、図9(b)はウェイストゲート弁とスクロール切替弁の全開状態を示した図である。
タービンハウジング4は、排気導入流路5を流れる排気ガスを、2つの第1、第2スクロール6、7にそれぞれ連通する2つの第1、第2排気分岐流路11、12に分岐させる排気分岐部16を備えている。
スクロール切替弁の弁体であるバルブ本体33は、排気分岐部16よりも排気流方向の下流側に配置されている。このバルブ本体33は、第1スクロール6の第1導入部41よりも排気流方向の下流側に配置されている。また、バルブ本体33は、バルブ本体23よりも排気流方向の上流側に配置されている。
以上のように、本実施例のターボチャージャにおいては、実施例1と同様な効果を達成することができる。
次に、本実施例の内燃機関の過給システム(ターボチャージャ)の動作を図7ないし図9に基づいて簡単に説明する。
これによって、バルブ本体23、33が共に全閉状態を継続する。これにより、ターボチャージャのタービンハウジング4のバイパス流路9および第2排気分岐流路12が共にに閉鎖される。
この場合、実施例1と同様に、少ない排気流量でも十分高速な流れが得られるので、エンジンの低速運転時における過給圧を高めることができる。
これによって、バルブ本体23が全閉状態を継続し、且つバルブ本体33が全開状態となる。これにより、2つの第1、第2排気分岐流路11、12が開放され、バイパス流路9が閉鎖される。
この場合、実施例1と同様に、排気流量が増大し、エンジンの中速運転時における過給圧を高めることができる。
これによって、バルブ本体23、33が共に全開状態となる。これにより、ターボチャージャのタービンハウジング4のバイパス流路9および第2排気分岐流路12が共に開放される。
この場合、実施例1と同様に、ウェイストゲート弁のバルブ本体23を開弁してバイパス流路9を開放することにより、ホイール収容室8に導かれる排気ガスの流量が減るので、タービンのホイール3に作用する排気エネルギーが減少する。これにより、ホイール3の回転速度が低下するので、ターボチャージャの過回転が抑制される。ターボチャージャのコンプレッサの過給圧が設定値以下に抑えられる。
本実施例のターボチャージャのタービンハウジング4の内部には、ウェイストゲート弁(バルブシート21、連通孔(弁孔)22、バルブ本体23、バルブアーム24等)およびスクロール切替弁(バルブシート31、連通孔(弁孔)32、バルブ本体33、バルブアーム34等)が搭載されている。
スクロール切替弁は、タービンハウジング4の軸受け部にベアリングを介して回転自在に支持されるシャフト81、このシャフト81の径方向の延びるプレート82、およびこのプレート82の先端より回転方向の一端側に延びるプレート状のバルブ本体83を備えている。バルブ本体83には、シャフト81の回転軸(回転中心、曲率中心)を中心とする曲率半径を有する凸曲面状のシール面が形成されている。
タービンハウジング4は、ウェイストゲート弁の全作動範囲において、ウェイストゲート弁が2つの第1、第2排気分岐流路11、12の内部に突き出さないように、ウェイストゲート弁を収容(収納)するためのバルブ収納空間(第1収納空間)71を有している。このバルブ収納空間71は、バイパス流路9、特に連通孔22よりも排気流方向の下流側に設けられる。
バルブ収納空間73を形成する収納凹部74には、シャフト81の回転軸(回転中心、曲率中心)を中心とする曲率半径を有する凹曲面状の曲面部76が形成されている。
以上のように、本実施例のターボチャージャにおいては、実施例1及び2と同様な効果を達成することができる。
本実施例では、本発明のタービンを、ターボチャージャのツインスクロール型のタービンに適用しているが、本発明のタービンを、コンプレッサを有しないツインスクロール型のタービンに適用しても良い。
本実施例では、ウェイストゲート弁(第1排気制御弁)のバルブ本体23およびスクロール切替弁(第2排気制御弁)のバルブ本体33を駆動するアクチュエータとして、モータおよび減速機構を含んで構成される電動アクチュエータを用いているが、アクチュエータとして、回転軸を中心にして回転するカム部材を駆動する駆動部材(ロッド)を、電磁力または流体圧力を利用して軸線方向(ストローク方向)に往復移動させることでバルブ本体を駆動する電磁アクチュエータまたは流体圧アクチュエータを用いても良い。また、アクチュエータから回転駆動力を出力するようにしてカム部材を回転駆動しても良い。
2 コンプレッサハウジング
3 タービンのホイール
4 タービンハウジング
5 排気導入流路
6 第1スクロール
7 第2スクロール
8 ホイール収容室
9 バイパス流路
10 排気排出流路
11 第1排気分岐流路
12 第2排気分岐流路
16 排気分岐部
21 バルブシート
22 連通孔
23 ウェイストゲート弁(第1排気制御弁)のバルブ本体
24 バルブアーム
31 バルブシート
32 連通孔
33 スクロール切替弁(第2排気制御弁)のバルブ本体
34 バルブアーム
41 第1導入部
42 第2導入部
43 第1ノズル
44 第2ノズル
71 バルブ収納空間(第1収納空間)
73 バルブ収納空間(第2収納空間)
Claims (10)
- 排気ガスにより回転駆動されるホイールと、
このホイールの周囲を渦巻き状に囲むように設置された2つの第1、第2スクロールを有するタービンハウジングと
を備えたタービンにおいて、
前記タービンハウジングは、
前記2つの第1、第2スクロールにそれぞれ連通すると共に、前記2つの第1、第2スクロールを経由して前記ホイールへ排気ガスを導く2つの第1、第2分岐流路と、
前記2つの第1、第2スクロールおよび前記ホイールより排気ガスを迂回させるバイパス流路と、
前記バイパス流路を開閉する第1排気制御弁と、
前記第2分岐流路を開閉する第2排気制御弁と、
前記ホイールを収容するホイール収容室と
を備え、
前記2つの第1、第2スクロールは、前記ホイールの回転軸方向に2分割して設けられ、
前記第1スクロールは、前記第1分岐流路から排気ガスを導入する第1導入部と、前記ホイール収容室へ排気ガスを導入する第1ノズルとを有するとともに、当該第1導入部から当該第1ノズルまでの流路断面積が排気流方向の上流側から下流側へ向かって徐々に減少する渦巻き形状であり、
前記第2スクロールは、前記第2分岐流路から排気ガスを導入する第2導入部と、前記ホイール収容室へ排気ガスを導入する第2ノズルとを有するとともに、当該第2導入部から当該第2ノズルまでの流路断面積が排気流方向の上流側から下流側へ向かって徐々に減少する渦巻き形状であり、
前記第1導入部は、前記第2導入部よりも排気流方向の上流側に配置され、
前記第1導入部から前記第1ノズルまでの前記第1スクロールの中で流路断面積の大きい部位と、前記第2導入部から前記第2ノズルまでの前記第2スクロールの中で流路断面積の小さい部位とが重なり、前記第1スクロールと前記第2スクロールとの間にスペースを備えることを特徴とするタービン。
- 請求項1に記載のタービンにおいて、
前記タービンハウジングは、外部から内部へ排気ガスを導入する1つの導入流路、およびこの導入流路を流れる排気ガスを前記2つの第1、第2分岐流路に分岐させる分岐部を有していることを特徴とするタービン。 - 請求項2に記載のタービンにおいて、
前記第1排気制御弁および前記第2排気制御弁は、前記分岐部よりも排気流方向の下流側に配置されていることを特徴とするタービン。 - 請求項3に記載のタービンにおいて、
前記第1排気制御弁は、前記第1導入部よりも排気流方向の下流側に配置されていることを特徴とするタービン。 - 請求項3に記載のタービンにおいて、
前記第2排気制御弁は、前記第1導入部よりも排気流方向の下流側に配置されていることを特徴とするタービン。 - 請求項3ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載のタービンにおいて、
前記第1排気制御弁は、前記第2排気制御弁よりも排気流方向の上流側に配置されていることを特徴とするタービン。 - 請求項3ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載のタービンにおいて、
前記第1排気制御弁は、前記第2排気制御弁よりも排気流方向の下流側に配置されていることを特徴とするタービン。 - 請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載のタービンにおいて、
前記タービンハウジングは、前記第1排気制御弁を収容する第1収納空間を有していることを特徴とするタービン。 - 請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載のタービンにおいて、
前記タービンハウジングは、前記第2排気制御弁を収容する第2収納空間を有していることを特徴とするタービン。 - 請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載のタービンを備えたターボチャージャにおいて、
前記ホイールと一体回転可能に連結されて、吸気を圧縮して内燃機関へ送り込むインペラと、
このインペラの周囲を渦巻き状に囲むように設置されたスクロールを有するコンプレッサハウジングと
を備えたことを特徴とするターボチャージャ。
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